マーベルアイアンマン VR
【まーべるあいあんまん ぶいあーる】
| ジャンル | アクション/アドベンチャー |  
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| 対応機種 | PlayStation 4 Meta Quest 2
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| 発売元 | 【PS4】ソニー・インタラクティブエンタテインメント 【Quest】Oculus Studios
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| 開発元 | Camouflaj | 
| 発売日 | 【PS4】2020年7月3日 【Quest】2022年11月4日
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| 定価 | 【PS4通常版】5,390円(税込) 【PS4デジタルデラックス版】6,490円(税込)
 【Quest】3,990円(税込)
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| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | 【PS4】CERO:A(全年齢対象) 【Quest】IARC:12+
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| 判定 | 良作 | 
| 備考 | PlayStation VR専用ソフト PS Move モーションコントローラー×2必須
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| ポイント | 非常に良質なアイアンマン体験ゲーム VRアクションとしても悪くない内容
 複雑で慣れが必要な操作性がネック
 総じてアイアンマンファン向け
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| Marvel Comics関連作品シリーズ | 
 
概要
SIEから発売されたマーベルコミックの有名ヒーロー「アイアンマン」のPSVR専用ゲーム。
SIEが出したマーベルゲーとしては『Marvel's Spider-Man』に次いで二作目となる。
当初は2020年2月の発売予定だったが、諸々の理由で延期が重なり、最終的に同年7月の発売となった。
ストーリー
トニー・スタークは兵器製造から引退し、アイアンマンとして悪と戦うための技術開発に専念している。
世界的スーパーヒーローになって数年経ったところでスターク・インダストリーズの武器を使いまわすハッカーであり反企業主義者、謎の存在「ゴースト」に攻撃される。
スターク・インダストリーズを潰そうとゴーストは世界中のスターク支社を攻撃し、いちかばちかの決戦へと発展する。
(公式サイトより引用)
特徴
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ストーリーは章仕立てで構成されており、敵と戦うアクションパート、チェックポイントを通って飛行するフライトミッション、探索をするアドベンチャーパートをプレイしていく。
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難易度
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「見習い」「ヒーロー」「スーパーヒーロー」の三段階から難易度を選択できる。
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8月22日のアップデートにより最高難易度「最大のヒーロー」が追加された。
 
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ミッションをクリアすると成績に応じた数のリサーチポイントが取得できる。
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リサーチポイントは消費することでスーツの能力を開放することができる。
 
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8月22日のアップデートにより、リサーチポイントなどを引き継いで最初からストーリーを遊ぶことができる「新しいゲーム+」が追加。
操作方法
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本作はPS Move モーションコントローラー2本を両手に持ってプレイすることになる。
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飛行/移動操作
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Tボタンを押すことでスラスターで飛行できる。掌を真下に向ければ上へ飛び、後方に向ければ前方に加速する。
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□ボタン及び△ボタンを押すことで向きを変えるターンが可能。
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□ボタンで左方向へ、△ボタンで右方向へと向きを変える。
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両手の□/△ボタンを同時に押すことで真後ろにターンできる。
 
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右手の〇ボタン、左手の×ボタンを押すことでその場で空中に留まることができるホバーが可能。
 
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攻撃方法
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掌を前方に向けてMoveボタンを押すことで飛び道具「リパルサーレイ」を放つことができる。ただし、連続で撃ちすぎるとオーバーヒートして撃てなくなるので無駄撃ちには注意。
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手の甲を向けるようにコントローラーを持つことで、サブウェポンで敵をロックオン可能。その状態でMoveボタンを押すと使用できる。
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右手では×ボタン、左手では〇ボタンを押しながらコントローラーを前方に動かすことで、パンチをしながら前方へ加速する「ロケットパンチ」が放てる。
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地面に向かってパンチを放つことで「グラウンドストライク」が可能。地上にいる敵に有効。
 
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右手の〇ボタンと左手の×ボタンを同時に押すと必殺技である「ユニビーム」を発射できる。
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「ユニビーム」は一度使用すると使えなくなる。再び使うには敵を撃破してチャージをしなくてはならない。
 
 
評価点
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アイアンマンという題材とVRの相性の良さ
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アイアンマンはAIや兵器を活用したアーマードスーツを着て戦うヒーローであり、VRとの相性は抜群である。
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敵のロックオンや目的表示などもシステムのサポートという形で表示される。アイアンマン体験ゲーとしてはかなり良質な出来である。
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スーツを着てる際はHUDなどの情報が常に表示されるおかげか、激しく飛び回るゲーム内容でありながら比較的VR酔いしにくい。
 
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アイアンマンの能力を概ね再現していること
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リパルサーレイ、ロケットパンチといった攻撃は勿論、胸から発射する必殺技「ユニビーム」など、アイアンマンの主な攻撃方法を網羅しており、ファンも満足できる内容となっている。
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左手で飛行、右手で攻撃といったこともできる。もちろんそれがゲーム内でも活用できる内容になっている。
 
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オリジナルのストーリー
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ストーリーは映画や原作コミックを再現したものではなく、本作オリジナルのものとなっており、映画などでアイアンマンを見尽くしたコアなファンでもプレイする価値は十分にある。
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本作オリジナルキャラクターとして、兵器製造をしていた時代のトニー・スタークを催したAI「ガンスミス」が登場する。物語の鍵を握るキャラクターの一人でもある。
 
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やりごたえのあるアクションパート
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後述の操作が複雑という点はあるが、逆に言えば操作に慣れてしまえばVRアクションゲームとしてはかなり楽しめる。
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状況や敵の種類に応じて攻撃を使い分ける必要もあり、中盤以降になると飛行で敵の攻撃を避ける必要もあるので、緊張感を持った戦いが楽しめる。
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難易度設定もあるので、難しすぎると感じたら「見習い」を選択して気軽に楽しむのもありだろう。
 
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声優陣による吹き替えも好評
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本作のアイアンマン/トニー・スタークは映画の吹き替えなどでお馴染みの藤原啓治氏が担当しており、映画からアイアンマンを知った層にも親しみやすい。
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そもそもマーベルゲーで日本語吹き替えがされているケースが珍しく、MVCシリーズ等、ゲームでは英語ボイスのみの物がほとんど。
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本作はゲーム作品に絞った場合、藤原啓治氏が吹き替えたアイアンマンが登場する数少ない作品であり、その点でも貴重である。本作の他には『LEGO マーベル スーパー・ヒーローズ ザ・ゲーム』くらいしかない。
 
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前述したガンスミスも藤原氏が演じており、昔のトニー・スタークという面でも演じ分けができており、見応えがある。
 
    
    
        | + | 最終盤における微ネタバレ注意 | 
マーク1アーマーで戦える
アイアンマンを知らない方に簡潔に説明すると、マーク1アーマーとはトニーがアイアンマンになる前に、ゲリラのアジトから脱出するために作成したプロトタイプのスーツ。
第12章ではとある事情により、それまで使ってきた赤と金でお馴染みのマーク3アーマーが使用できなくなるため、マーク1アーマーを装備して戦うことになる。
サブウェポンが火炎放射器になっているなど、アイアンマン好きには嬉しいファンサービスとなっている。
映画版のマーク1アーマーとは違い普通に飛行できるが、つっこんではいけない。
メタ的なことを言えば鈍重な動きなど原作再現を重視するあまり、いきなり操作方法が大きく変わったり、ゲームプレイがつまらなくなってしまっては本末転倒なので、ゲームの都合だと割り切ろう。
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賛否両論点
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VRゲームの中でも操作が複雑
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PS Moveを使用したアイアンマンの操作は意外と難しい。VRゲームをそれなりに経験しているプレイヤーでも慣れるまでそこそこ時間がかかる。
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特に飛行操作が難しく、最初の内は確実に思い通りに飛ぶことはできないと断言してもよいほど。映画やPVのように華麗に飛ぶには相応の練習は必須。
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飛行操作の難しさはフライトミッションで実感させられる。上手く飛べずにタイムが公式記録の倍以上になることもザラ。
 
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攻撃方法も特徴に書いた通り多数用意されており、慣れない内は混乱しやすい。
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前述した通り敵や状況ごとに有効な攻撃があるので、効率良くプレイしたければ攻撃の使い分けは必須。
 
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PS Move モーションコントローラーを2本使用するPSVRのゲームの中でも操作が複雑であり、PS Moveのボタンも珍しいほど使用している。
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操作方法に関してはアイアンマンというヒーローをVRに忠実に落とし込んだ結果によるものであり、一概に悪い点とは言い切れないのだが、プレイのハードルが高くなってしまっていることは事実である。
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複雑な操作方法に慣れてさえしまえば、VRゲームとしてはかなり楽しめる。そこまでたどり着くのが中々大変なのだが。
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本作をプレイすれば、アイアンマンになるには豊かな富や高い知能だけではなく、スーツを扱う技術力も必要だということを深く実感させられるだろう。
 
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設定に関する説明不足
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オリジン(簡単に言うとヒーローになった経緯)やキャラクターの関係性などがゲーム内で詳しく説明されないので、アイアンマンを全く知らない人からは説明不足に感じてしまう。
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特にストーリーに関しては前述した通り本作オリジナルの内容ではあるが、アイアンマンのオリジンを知っている前提で話が進んでいくので、アイアンマンという作品/キャラクターをどれだけ知っているかによって、感想が変わってくる。
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一応ロード中やトニーの独白などで多少のフォローが入るが、文章及び音声のみの説明なので原作を知っているプレイヤーに向けたおさらい的なものである。
 
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逆に言えばアイアンマンを映画などである程度知っていれば、そこまで問題はない。キャラゲーである以上原作を知っている人向けに作ることは妥当とも言える。
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また映画を少ししか見ていない人からは、アイアンマンが使用するAIがJ.A.R.V.I.S(ジャービス)ではなく、F.R.I.D.A.Y.(フライデー)なのも気になる点かもしれない。
 
問題点
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かなり長めのロード時間
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ロード時間がかなり長く、VRへの没入感を阻害する。具体的にはちょっとしたオープンワールドのゲームと同じくらいの長さである。
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ロード中はTIPSを自由に見ることができる、スーツのデザイン開放までの条件を確認できるなど、僅かではあるが配慮はされている。それでも長いが。
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ミッションを失敗して再挑戦する際のロード時間は比較的短めではある。
 
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ただしVRゲームは普通のゲームと比べて疲れやすいので、休憩時間として活用するのもあり。
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アップデートによりロード中にリパルサーレイやパンチの練習ができるミニゲームが追加され、少しマシになった。
 
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360°全方向を向くゲーム内容におけるPSVRの限界
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これは本作の問題点というより、PSVRの問題点(欠点)なのだが、本作はあらゆる方向に向いてゲームプレイをする内容となっている。特にアクションパートとフライトミッションにて顕著。
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これだけ書くと「VRゲームなので当然なのでは?」と思う人もいるかもしれないが、PSVRはPSカメラでヘッドセットやコントローラーをトラッキングする仕様上、厳密には360°全方向に向きながらプレイすることはできない。
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どういう事かと言うと、例えばPSカメラに対してリアルに真横や真後ろへと体を向けると、PSカメラの方向を向くように注意されてしまう。
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そのためゲーム内で方向転換をするときはターンボタンを押して向きを変えることになる。これも操作が複雑な要因の一つとなっている。
 
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敵の種類が少ない
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本作の敵は主にゴーストがスターク・インダストリーズの兵器を奪ったという設定で登場する。そのためヴィランと直接対決する場面は少なめ。
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原作コミックから出てくるヴィランも「ゴースト」と「リビング・レーザー」のたった2人。映画しか追ってないファンからすると、馴染み深いヴィランとは言いづらい。
 
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スーツデザイン変更機能の問題点
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本作ではアイアンマンのスーツのデザインを変えることができるのだが、常に一人称視点でゲームが進む仕様上、デザインの変更にあまり意味が無い。
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ゲームプレイ中では精々腕くらいしか変化を楽しむことができないので、スーツのデザイン変更機能が、常に一人称視点で遊ぶVRというジャンルと噛み合っていない。
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また、スーツのデザイン自体も単なる色替えであり、原作ファンが喜ぶデザインかと問われると微妙なところ。
 
総評
VRでアイアンマンとなり敵と戦い、空を飛び回ることができる本作はアイアンマンのVRゲームとしては非常に良く出来ている。
しかし、アイアンマンの能力をVRで忠実に再現したことが原因となり、操作が少々複雑になってしまい、慣れるまで時間がかかる点はマイナスか。
重ねて書くが、アイアンマンの能力を忠実に再現したこと自体は純粋に評価できる点であり、アイアンマンファンであれば十分満足できる内容になっている。
アイアンマンが好きなファンであれば是非とも本作をプレイして「私がアイアンマンだ」と宣言してもらいたいところである。
ただし、上記の評価は裏を返せば本作が典型的なキャラゲーであり、アイアンマンを知っている人向けに作られてることは注意すべき点だろう。
操作の複雑さやロード時間の長さなどもあって、アイアンマンを知らない方にまで手放しでおすすめできるゲームとは言い難い。
アイアンマンをよく知らない方が本作を遊ぼうと思っているなら、最低でも2008年公開の実写映画『アイアンマン』を事前に視聴しておくことを強く推奨する。
余談
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2020年4月に本作でアイアンマン/トニー・スタークを演じた藤原啓治氏が癌により逝去したため、本作が藤原氏が最後に演じたアイアンマンとなっている。
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藤原氏が入院中で収録が難しい状態だったためか、藤原氏の了承を得てごく一部ではあるが中野泰佑氏が代演してる部分がある。(参考)
 
Meta Quest 2版
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2022年11月4日にはスタンドアロン型VR端末「Meta Quest 2」に『Marvel's Iron Man VR』のタイトルで移植された。主な変更点は以下の通り。
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パブリッシャーはSIEではなくOculus Studiosが担当。ただし、ゲーム内のコピーライトにはSIEの名前もしっかり載っている。
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VR専用端末へと移植されたことによりPSVR版と比べて操作性などいくつか快適になっている。
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PSカメラでトラッキングする仕様だったPSVR版と違い、スタンドアロン型端末へと移植されたことにより、360°あらゆる方向に自由に向けるようになった。
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PS Moveと違いコントローラーにアナログスティックが搭載されていることにより、アドベンチャーパートで左コントローラーのスティックで歩いて移動できたり、右コントローラーのスティックで方向転換できるようになっている。
 
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その他、大きな改善点としてPSVR版と比べてロード時間が大幅に短縮されている。そのためPSVR版にアップデートで追加されたロード中のミニゲームはQuest版には実装されていない。
 
最終更新:2023年02月14日 00:57