超原人
【すーぱーげんじん】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売元 | ハドソン | 
| 開発元 | エーアイ アンブル
 レッドカンパニー
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| 発売日 | 1994年7月22日 | 
| 定価 | 8,800円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | 【VC】CERO:A(全年齢対象) | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【Wii】:2010年11月16日/800Wiiポイント(配信終了)
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| 判定 | 良作 | 
| PC原人シリーズリンク | 
 
概要
PC原人シリーズの初のスーパーファミコンソフト。元々が「PCエンジン」に因んだタイトルだった為、本作もハードに合わせて「
超
原人」となっている。
特徴
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基本的な操作は旧作と同様。「ボンク」をメイン攻撃方法として、主人公の原人を操作する。ラスボスもお馴染みのキングタマゴドン三世。
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スピンボンク、三角飛び、大車輪、根性登り、滝登りと言ったアクションも踏襲している。
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花を取ると行けるボーナスステージも健在。但し、ボス撃破後のボーナスステージは無くなった。
 
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更に本作には『PC原人3』のキャンディによるサイズ変化が採用されている。
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青いキャンディを取ると巨大化して「でか原人」に、赤いキャンディを取ると縮小化して「マメ原人」に、黄色いキャンディを取ると通常サイズに変化する。
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サイズ毎に異なった技が使用可能な他、でか原人だと攻撃力が上がるが当たり判定が大きくなり、狭い道もやパイプも通れない、マメ原人だと逆に攻撃力は低いが当たり判定が小さく狭い道も通れると言った違いがある。
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マメ状態だと足場や攻撃に使え、壁に反射する「絶叫攻撃」が可能。でか状態だとにこちゃんチップを消費して特殊技を使うことができる。
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今回はダメージを受けてもサイズは元に戻らない。また、でか状態は前作ではでか過ぎた所為か少し小さくなっている。
 
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肉によるパワーアップも健在だが、今回もまた変身形態は一新された。今回は顔だけではなく胴体も変わるようになった。パッケージによると「ダーウィンもビックリの進化論」だそうな。
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ごるご原人
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一段階パワーアップ。名前の通りゴ◯ゴ13のような顔つきに。しかもマメごるご状態で出す絶叫は「スナイプ!」というそのものズバリな形態。ディレクターの吉川昇一氏が『ゴルゴ13 第一章 神々の黄昏』に関わっていた関係だろうか?
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従来の一段階目と同様、グランドボンクで画面全体の敵の動きを止められる。通常サイズでは敵の動きを止める金縛り光線が撃てる。でかごるごになると鳥のような姿になり、卵爆弾を産んで攻撃が可能。
 
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ニョッヘ~原人
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二段階パワーアップ。名前も見た目もイッちゃった形態。この形態になると一定時間無敵になる。
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従来の二段階目と同様、グランドボンクで画面全体の敵にダメージを与えられる。通常サイズでは舌を伸ばして攻撃する。でかニョッヘ~になると身体が某怪獣のような姿になり、一定時間透明になれる。但し、でか状態だと攻撃方法が尻尾で叩くものになってしまうので、ボンクが一切できなくなる。
 
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カニ原人
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従来同様、原人が押し潰されると何故かカニ化する。キャンディを取ると元に戻る。今回はカニ原人の姿でシューティングゲームを行うステージが存在する。
 
 
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ばね花はジャンプ台になる黄色と、アイテムや敵を放出する赤、肉を放出するオレンジの三種類で、青や緑は廃止された。
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今回はステージ毎にサブタイトルが付けられている。また、ステージ間にはストーリーを表現するデモシーンが用意されている。
評価点
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アクションの楽しさは健在
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従来の基本アクションは一通り揃っており、シリーズの集大成とも言える出来になっている。タイトルの「超」は単なるハードネタでは無い。
 
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シリーズ最大級のぶっ飛んだ世界観
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元々、原始時代に現代やSFを折り混ぜたカオスな世界観を作り上げていたシリーズだが、本作はその中でも荒唐無稽さ、壮大さは群を抜いている。
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まずオープニングからして原人がキングタマゴドン三世のなぜかご丁寧に「わな」と書かれた立て札の有る罠によって現代日本に飛ばされるという幕開け。というわけでステージ1は現代の街なのだが、ステージが進むと巨獣の体内を経て宇宙に飛び出し、月面の遺跡、人工星内部、亜空間と凄まじいスケールにまで発展していく。最早、原始時代は終盤のみ。
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ステージ4の序盤は惑星サイズにまで巨大化した原人で宇宙を進む。大きさ的な意味でも壮大。
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次のマップに移ると(おそらく)元に戻るが、その舞台となる彗星帝国はデ◯・スターのような巨大宇宙要塞。過去作のような時代錯誤的要素を通り越して、一気にSF感が増す。
 
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ラストバトルでは更に(大きさ的な意味で)壮大な展開が待ち受ける。ラスボスにトドメを刺す際の演出もこれまたぶっ飛んでいる。
    
    
        | + | ネタバレ | 
自ら巨大化して原人を倒そうとしたキングタマゴドン三世だが、原人に巨大青キャンディーを取られて同サイズに巨大化され、最後の戦いを演じる。
原人が勝つと、タマゴドンのメカから更に巨大な青キャンディーが飛び出し、それを取った原人は最早画面に収まらないほどにまで巨大化する。
最後のミッションはその超巨大化原人を操作してタマゴドンのメカを踏み潰せ、というもの。最後の最後まで壮大なスケールで展開する。
ちなみに最終ステージのタイトルは「史上最大の超決戦」。正に「最大」であった。
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進化したグラフィックによる多彩なステージ
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お馴染みキャラのグラフィックやアイコンなどは『PC原人3』から色数が増えたぐらいで殆ど変わっていないが、ステージは格段に進化。背景まで細かく書き込まれており、更にステージのバリエーションが大幅に増えたことで飽きずにステージに挑戦していける。
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ステージ1の最初のマップは、原人が雷門を破って出てくる通り浅草がモデルであり、アサヒビール本社の有名な金の炎のオブジェまで再現されている。怪獣のう◯こではない
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ステージ2の巨獣の住処が何故か現代風の家。テレビもベッドもある。どんな巨獣や。
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しかも巨獣の体内への入り方は、グラスに注がれたジュースの中を泳いでストローに入り、そのまま飲まれるというなんとも可笑しな方法である。
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過去作にも体内ステージは存在したが、この巨獣の体内では迷路状になった脳味噌を進んだり、血管を泳いで進む事になる。
 
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ステージ4序盤では前述の通り太陽系の宇宙空間を飛び回るマップなのだが、背景で動く惑星に名前が律儀にも表示されている。
 
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ストーリーは一本道だが、ステージの攻略ルートは複数用意されており、ショートカットしたり隠された小ステージに行けたりと探索の楽しみがある。
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サイズ変化によって行ける場所が異なる場合があるので、複数プレイで新たな発見をする事も。
 
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従来同様マップ毎にやたらコミカルな名前が付けられているが、今回は入り口の立て札に書いてあるのではなく、画面右上に表示される形式に。常に見えるのでマップの印象を強めている。
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ただの地名の時もあれば、攻略のヒントになっている場合もある。今回はボス部屋にも名前があるのだが、なんとそのボスの弱点ズバリである。
 
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ハード移行によってBGM、SEも大きく進化
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BGMはシリーズらしいコミカルなものから、迫力のあるもの、シリアスなものまで幅広い。
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「は~とはどきどき」で流れる「Beating Heart」、無重力マップで流れる「Zero Gravity」、ゲームオーバー曲などの穏やかな曲調も有れば、地下洞窟などで流れる「Underground」「Lava Cave」と言った不気味な曲、有名な「剣の舞」のアレンジ「Engine Room」や、「あめだすいせい」で流れる「Big Comet Empire」と言った緊迫感のある曲も用意されている。
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特に「もじのる~む」「あくうかん」で流れる「Twilight Space」はその中でも異彩を放つほどの格好良さから高い人気を誇る。
 
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原人や一部の敵は攻撃を喰らうと「わー!」などと声を上げる。悲鳴ではあるが悲痛さは無く寧ろ愉快な演出であり、本作をよりコミカルに彩っている。
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また、今回のボスは爆発音が妙にリアルで迫力のあるものになっている。
 
賛否両論点
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でか原人の特殊技が「首ちょんぱ攻撃」。
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その名の通り首をちょん切って、頭を転がして攻撃する。演出はコミカルになっているが、人によっては気持ち悪く見える。しかも性能的にも微妙。
 
問題点
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無敵のなり易さ
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二段階パワーアップで簡単に無敵になれるというシリーズの仕様上、仕方ない部分もあるのだが今回は肉がかなり配置されており、テンポ良く進むと肉を取り続けてずっと無敵のまま進める事すらある。いくら難易度が抑えめとは言え、この点はヌル過ぎるという声も。
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また、無敵になると無敵専用曲に変わるので、せっかくの良BGMがなかなか聴けないという事もある。
 
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ボスの強さにもばらつきがあり、弱いボスは本当に弱い
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多くのボスが弱点を攻撃し放題なので、無敵時間の短いボスならハメが通用する。また、でか状態だと攻撃力が高いのであっと言う間に決着が付いてしまう。逆に言えばマメ状態だとなかなか倒せない事でもあるが…。
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ステージ1の「ブルムーン」は無敵時間が短く、下からジャンプして羽に頭突きするだけで倒せる。ヒント通りに頭を攻めてもやはりすぐに爆散。
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ステージ2の「ビフィズスグレート」も攻撃らしい攻撃もしてこないので、弱点に頭突きするだけ。一方狭いのででか状態だと接触ダメージを受けやすくなってしまうが。
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ステージ4の「ブフーバー」は弱点の当たり判定は小さめだが、攻撃し放題なのは変わらず。
 
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一方でステージ3の「ラビルーナ」はダメージモーションが長いので簡単にハメで倒す事は出来ないうえ、最大体力をも減らしにかかってくる。 一応、スピンボンクを活用すればハメられない事もないが、相当な連打が必要である。
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また、ステージ5の「オニックス」は特定のタイミングでしか攻撃が当てられず、それまでのようなハメ戦法は一切通じない。
 
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ラスボスは第三形態まであるが、一定時間耐えるだけの第一形態を除き、いずれも突進しかしてこない。しかしフェイントを多用するのでなかなか攻撃を当てられず、強いというよりは面倒な相手になっている。
 
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でか状態での特殊技はコストが掛かる割に役に立たない
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特にでかごるごの卵爆弾は使い所に困る上、爆発は自分にも当たり判定がある。
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一方、でかニョッヘ~の透明化は攻撃やトゲ地形すら無効にするという高性能で、終盤にはそれを駆使して進むシーンすらあるほど。ただしニコちゃんチップの消費が所持数の2分の1と多めなうえ、時間制限で効果が切れるまではアイテムも取れなくなってしまう。
 
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ハードが移行してもセーブやパスワードと言った中断機能は無い
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全6ステージだが、一つのステージが結構長いのでクリアまでには相応の時間が掛かる。しかし電源を切ればまた最初からなので、ぶっ通しでプレイしなければならない。
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せめてもの措置なのか、ステージ2ではテレビの電源をオンにしてから入るとステージ3に、ステージ3ではボス戦前に隠しルートを通るとステージ5まで、それぞれワープ可能な小ステージが存在する。
 
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2人プレイの廃止
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『PC原人3』では可能だったのだが、本作は完全1人プレイ用になっている。
 
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捕食ザコの存在
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前作にも登場した、原人を捕食するザコ。うっかり接触すると喰われてその体内の小ステージに飛ばされる。胃液の中などを通って出口(つまり直腸)に辿り着くと元の場所に戻る。
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最初のうちはインパクトがあって面白いのだが、そのうちただテンポを阻害する存在となり果てる。これが何体もいるマップも存在し、しかも種類も増えている。食われずに倒せばいいことではあるのだが…。
 
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一部の面倒な敵
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恐竜っぽい敵や隕石は、当たってもダメージは無い代わりに、ニコちゃんチップを半分にされてしまう。しかもいずれも無敵。さらに後者はスピードが速く、画面外からでもいきなり飛んでくるうえに大きく、挙句の果てには宇宙空間ゆえにこちらの操作がしづらいという四重苦。数がそれほど多くないのが救いだが、非常に面倒。
 
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一部のミニゲーム
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ポンプを押してプロペラチックンを膨らませるゲーム、制限時間は25秒。クリアにはギリギリのタイムだが、なぜかポンプは必ず画面右端、原人は左端からスタートするせいで、ポンプに辿り着くだけで2秒はロスしてしまう。つまり、実質23秒。なぜこんな配置に?意地悪としか思えない。
 
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ストーリーイベントでテキストが殆ど無い
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明確なセリフはラストステージ前のデモでキングタマゴドン三世が僅かに喋るだけで、後はラストシーンの「おぼえてろよ・・・!」だけ。ボスは一言も喋らないし、ステージ間のデモでは台詞も無く原人が落ちたり吹っ飛んだりするだけ。
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長々とストーリーを説明するようなゲームではないとは言え、今回は超展開に次ぐ超展開のぶっ飛んだストーリーなので、だんだん理解が追いつかなくなる。特に中盤は何故ここを通るのか、何が起きているのかが分かりにくい。
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彗星帝国とは結局何だったのか、キングタマゴドン三世の「最後の手段」など、勢いで察するしか無い。
 
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登場人物と呼べるキャラも原人とタマゴドンぐらいしかおらず、プリンセス・ドラゴンなどの過去作キャラも登場しない。
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その為、今回はスケールの壮大さの割にストーリー自体は「タマゴドンの装置で未来に飛ばされた原人が、色々な所を巡って原始時代に戻り、タマゴドンを倒す」と、極めてシンプルにまとめられてしまう。
 
総評
シリーズ特有の面白さに加え、ハード移行による演出の進化とぶっ飛んだ世界観の正に「超」な原人である。
無敵のなり易さはアクションゲームに慣れている人にはややヌルい印象もあるだろうが、ゲーム全体がヌルゲーになっている訳ではない。
シリーズファンも、ライトなアクションが好きな人もやって損は無いのだが、惜しむらくは後述の通りバーチャルコンソール配信が終了してプレイのハードルが高くなった事か。
余談
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後に本作の続編『超原人2』が発売された。
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本作のシステムを踏襲しているが、舞台が原始時代に戻った事で雰囲気は過去作に近くなった。シリーズでも地味な印象が拭えず、海外でも発売されていない。バーチャルコンソールでも配信されなかった。ただかつてのニンテンドウパワー書き換えサービスでは何故か2のみ配信対象となっていた。
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堅実な作りで決して出来が悪いわけではないのだが、大味ながら爽快なアクションとド派手な演出が売りのシリーズだっただけに、地味で手堅くまとまった『2』はあまり高い評価を得られなかった。ネット上の情報も非常に少なく、かなりマイナーな作品になっている。
 
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最早キングタマゴドン三世の口癖「おぼえてろよ!」は何故か敵側の合言葉の如く(タマゴドン以外にも)連呼され、ラストシーンでもいつも通りタマゴドンの「おぼえてろよ!」と、「つづく」の表示で終わっている。
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しかし、結果としてこれが(リメイクを除くと)シリーズ最終作になってしまい、「おぼえられず、つづかなかった」と言う悲しい結末に。
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海外では携帯アプリの『Bonk's Return』がリリースされているので一応報われている。
 
 
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海外でも『Super Bonk』のタイトルで発売されたが、冒頭の浅草の町がチャイナタウンに変更されている。
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WiiバーチャルコンソールではPCエンジン三部作や『PC電人』と共に本作も配信されていた。
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しかしPCエンジンの4作はWiiUバーチャルコンソールでも配信されているが、本作だけはそちらでは配信されず、Wiiショッピングチャンネル終了に伴って本作の配信も終了してしまった。
 
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とある場所から入れる隠しステージ扱いのカニシューティング面のニコチャンアイテムには、なぜか実写取り込みの人物の画像が使用されている。扱いとしては単なる得点アイテム。
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ステージ3のボス「ラビルーナ」と戦うマップの名前が「みみがかんじちゃう」。
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単純に耳が弱点というだけなのだが、本作唯一の女性型ボスという事もあってよく「卑猥に聞こえる」とネタにされる。
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また、ステージ1のボス「ブルムーン」のマップ名は「あたまがよわい」。…別の意味にも見える。
 
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ポーズのSEが怖いと言うか悲しげで暗い気分にさせる
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実際、ゲームオーバー時に原人が倒れた時やミニゲームでのタイムアップでもこのSEが流れるので、そういう用途で作られた音なのが分かる。何故これがポーズ音なのだろうか…?
 
最終更新:2024年07月18日 10:08