開発者のコメントは全てPS2発売直前にソフトバンクから出版された雑誌『イーモーション』の記事から引用しています。また、本作品の全ての隠し要素解禁にはオプションの設定・コナミコマンドは不問です。


グラディウスIII&IV -復活の神話-

【ぐらでぃうすすりーあんどふぉー ふっかつのしんわ】

ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 プレイステーション2
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテイメント東京
発売日 2000年4月13日
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:全年齢対象*1 ※廉価版2種のもの
廉価版 コナミ・ザ・ベスト:2001年9月13日/2,800円
コナミ殿堂セレクション:2004年9月2日/1,890円
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 低難度設定での当たり判定調整以外は基本アーケード版に忠実
グラディウスシリーズ
デラックスパック(コナミ) シリーズ


概要

グラディウスIII -伝説から神話へ-』『グラディウスIV -復活-』のカップリング移植作品。
前者も初のアーケード版に忠実な内容の移植となっている。

家庭用ということでステージセレクト(『III』はチェックポイント単位、『IV』はステージ単位*2)やコナミコマンド(本作では最後2操作となる4ボタン側の入力でレーザー(×→○)とダブル(□→△)を選択可能)といったものも追加されている。
本稿では移植作品としての視点から評価している。アーケード版から引き継がれているポイントについては各作品の記事を参照。


評価点

  • アーケード版の完全移植であること*3
    • 当時『III』の移植はSFC版しかなく、そちらは大幅にアレンジされたリメイクゲーだった。
    • また『IV』は本作が初の移植である。
  • 『III』の低難度における当たり判定の変更
    • EASY以下では当たり判定が変更され、高難度が緩和されている。
    • NORMAL以上はアーケード同様の高難度仕様を再現している。いわゆる「ドガスの後ろ」等の有名な当たり判定詐欺はもちろん、回転レーザー地帯のタイミングがズレまくる現象など、一部のバグまで忠実に再現している。
      • 一部店舗で稼働していたNewバージョン準拠のため、無敵や残機増殖*4などプレイヤーに有利なバグが潰されている。唯一プレイヤーに不利な点で修正されているのは面クリア直後に突然死する現象ぐらい(参照(アーカイブ))。
    • 難易度設定はプレイ可能なステージに制限をもたらさない(プレイ開始時のモード選択とは独立)が、VERY EASY以下は1周エンドとなる。
  • 『III』の「EXTRA EDIT」*5におけるSFC版プレイヤーへのファンサービス
    • 登場する全装備から選択できる「EXTRA EDIT」では、このモードで1周クリアするとSFC版オリジナルの装備も追加される。
      • また、シールド(?カテゴリ)に存在する「リデュース」はアーケード版開発当初は!カテゴリだった名残か、シールドで選択しなければ(SFC仕様のリデュースIIとも併用不可)!カテゴリでAC仕様のリデュースを選択可能になる。
      • ローリングシールドはSFC同様に地形にぶつかっても小さくならない。同じ形のシールドやフリーシールドに比べ有利。
      • フォーメーションオプションやローリングオプションはパワーゲージを何もない所に合わせパワーアップボタンを押すと間隔を変更できる。
  • 『III』9面のキューブ避けや、最終面の隠しステージ「のみ」をプレイできるモード
    • 文字通り。それぞれの場面に到達すれば「EXTRA MODE」に追加される。
  • サウンドテストには未使用曲も収録。
    • こちらも文字通り。
  • 『III』の処理落ち調節機能
    • 『III』ではキャラ数が増えると処理落ち(っぽく見せる処理)が入るが、本作ではその発生ラインをアーケード版より上げることが可能(アーケード版より増やす設定と、無制限ノーウェイトの2段階)。
      ただし、ただでさえ鬼畜といえる難易度がさらに上がる結果になる。
      • 一方で、最終面では地形判定となっている回転レーザー*6の判定ズレがなくなるというメリットも。
      • 処理落ちレベルの変更はプレイ中に任意に変更が可能なので、回転レーザー地帯「だけ」ウェイトを無制限にして通過後すぐ元に戻す、といったPS2版しかできない突破手段も生み出されている。
      • ただし、この回転レーザー地帯ノーウェイトは壁やレーザーギリギリでのコントロールが必要になるという難点がある。
      • なお発生ラインをアーケードより落とすことはできない。やったところで回転レーザーの当たり判定が鬼畜レベルになるだけだが

問題点

  • どちらもアーケード版は高難度だが、その根本的な部分には手が加えられていない。
    • 低難度設定でも敵や厄介な仕掛けが間引かれていたりなどの処置がほとんどない*7。高難度はほとんどの詐欺的な当たり判定がそのまま。キューブラッシュの鬼畜ぶりもそのまま。
      • 移植度については忠実であることが望まれるものではあるが、原作自体の難易度ぶりが度を越して凄まじかっただけに、問題なく遊べるレベルまで調整が入らなかった点は痛い所だろう。
    • コンティニューが『III』全般及び『IV』最終面では不可能*8なのも同じ。
      • 一応ステージセレクトを使うことで、簡易的なコンティニューとしては利用可能。ただし『III』ではEXTRA EDITと両立できない、『IV』ではステージ単位である、という難点もある。
  • 移植度は比較的高い方だと思われるが、「完全移植」とは言い難い部分がいくつかある。
    • 『III』
      • 僅かな入力遅延がある。方向キーを押しっぱなしにしながらポーズ→方向キーをニュートラルにしてからポーズ解除するとわかりやすい。『IV』ではこのような現象は起きない。しかし後に登場したアケアカ版の『III』でも遅延が指摘されているので、基板から元々入力遅延があるのではとも疑われている。
      • 10面の回転レーザー地帯に於けるザブ*9の出現パターンがアーケードとはかなり異なる*10
    • 『IV』
      • ハードの特性上、処理落ちが全くかからない*11。この為3面や6面などでオリジナルとの難易度の差が如実に表れる。
  • 『III』『IV』共通の隠し要素として当たり判定表示モード*12搭載されているが、その項目を出すための条件が「スコアアタックモード*13を1周クリア」である
    • スコアタモードは難易度NORMAL固定かつコナミコマンド使用不可であり、ちょうどNORMALに挑む人が必要とする機能なのに解禁するのが最も難しい。
  • 『IV』は難易度設定を調整してもローリングコア等の詐欺判定が解消されない。
    • というより『IV』はEASIESTの変化が泡とアーマーピアッシング程度で、EXTRA EDITなど追加要素が多い『III』に比べると追加要素が少なすぎる。
      • ステージセレクトが進行状況で随時解禁される『III』と異なり、条件を満たさないと解禁されない隠し要素扱い。難易度不問とはいえ最低難易度でもノーコンティニュー1周クリアはそれなりに難しく、時限解禁でも長時間のプレイが必要となるため、解禁のハードルがやや高い。
      • 『IV』のみ常時フル装備状態*14で、1面から8面までの全てのボスを倒すまでの時間を競う「BOSS RUSH MODE」が用意されている。コンティニューは不問なので、『IV』本編を1周クリアで解禁される。

総評

AC版『III』『IV』共に高難度を誇る作品であり、「1周できるだけでもカリスマ」と言われた『III』はともかく『IV』は特にゲームバランスの悪さが批判されたため、そのまま単独で発売しても採算は難しいだろうという会社の判断から、本作は未使用曲の収録も含めて両作のアーカイブという形で抱き合わせ販売のような形態になったとされる*15
腕に覚えのあるプレイヤーでなければ、難易度を下げない限り1周することすらできないだろう。
AC版『III』『IV』を家庭機で楽しめるのは本作が実質初めてであり、詐欺的な当たり判定なども(低難度設定でなければ)忠実に移植されているため、それも含めて基本的にアーケード版そのままを家庭で楽しみたいという人向けの作品である。


余談

  • 後にPSPにて発売された『グラディウス ポータブル』収録版の『III』及び『IV』はどちらも今作のバージョンを元に移植されているが、オプション画面の背景がカットされている等、PS2版から削除・変更されている部分も見られる。

最終更新:2025年01月28日 06:32

*1 現在で言えばA

*2 設定不問でノーコンティニューで1周クリア、もしくはプレイ時間が20時間以上経過で解禁される。

*3 開発者は「うるさいユーザーだった自分が完全移植した」とゲーム雑誌のインタビューでアピールしている。『III』では起動画面までも再現している。

*4 リメインオプション装備時に特定の操作をすると、残機が減るどころかむしろ増殖してしまう現象。

*5 『III』本編を1周クリアすれば解禁される。

*6 触れると即死なのは地形判定であるため。

*7 例外的に『III』のキューブラッシュは個数が減り飛来速度が低下する。また同作最終面最序盤のデモス地帯がザブラッシュになりパワーアップがしやすくなった。

*8 但し、PS2版『IV』では「NORMAL以上の難易度でプレイした場合のみ最終面がコンティニュー不可」になった。余談だがAC版は「難易度設定を問わず最終面でのコンティニューは一切不可」なので、ここは多少緩和されたとも言える。

*9 シリーズではおなじみである「何もない空間から出現して飛んでくる正方形の敵」

*10 インタビューでは「エミュレーターだと追加要素が入れにくくなるので、あえて手間のかかる手段を選択した」「AC版はアセンブラで動いていたので、PS2に最適化するのが大変だった」とコメントしている。エミュレーションによる移植ではない点から、AC版との相違点が生じたものと思われる。

*11 開発者は「PS2版は処理落ちがなくて、全体的に動きがスムーズ」と好意的なコメントをしていたので、これは賛否両論と言える問題である。「AC版のプログラムをそのまま使用して、ハードの特性に依存する部分に多少の修正を加えている」とコメントしているので、意図的に処理落ちを再現するのが困難だったと思われる。

*12 解禁後はポーズ画面で設定変更が可能。

*13 ゲームオーバー時に画面右下にインターネットランキング登録用のパスワードが表示されるモード。発売当時は全国のプレイヤーとハイスコアを競うことができた。現在は終了している。

*14 プレイ中にパワーアップボタンを押すと、自機の移動速度が上昇する。

*15 開発者は「新しいハードに慣れるために、とりあえず新作ソフトを1本発売したかった」という趣旨のコメントをしていた。