RimWorld

【りむわーるど】

ジャンル シミュレーション
対応機種 Windows
Mac OS
Linux
メディア ダウンロード専売
発売元/開発元 Ludeon Studios
発売日 2018年10月17日
定価 3,600円
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント コロニーを見守るサバイバルシミュレータ
発展につれて厳しくなるバランス
豊富なカスタマイズ要素
散見されるインモラルな要素


概要

2013年にクラウドファンディングによって開発が開始されたシミュレーションゲーム。
2016年に公式ページとSteamにて早期アクセス版が販売された。
2018年1月に次のアップデートを以て正式版に移行することが発表され、同年10月に正式版がリリースされた。

様々なアクシデントを乗り越えながら辺境惑星RimWorldでのサバイバルを目指す、いわゆるサバイバルシミュレーター。
プレイヤーはキャラクターに指示を与え、ルールを設定し、コロニーを築かせてその行く末を見守る。
メーカーはジャンルとして「ストーリージェネレーター」を掲げており、もしコロニーが悲惨な結末を迎えても、それも「一つの物語」として受け入れることを推奨している。
見下ろし視点のシンプルな2Dゲームであり、キャラクターグラフィックなどは簡略化されている。

正式版に以降した後しばらくは公式から動きはなかったものの、頻度こそ少ないが大型アップデートもされており、有料DLCとして2020年1月24日に「Royalty」、2021年7月21日に「Ideology」、2022年10月21日に「Biotech」がそれぞれ販売された。
極めてMODフレンドリーであり、世界中のユーザーによって膨大な数のMODが作成されてもいる。

2018年にはSteam早期アクセスランキングのプラチナ入り、レビュー評価ランキングトップをそれぞれ獲得した。

特徴

基本的なシステムについて

  • 標準的なシナリオ「不時着」は、3人のヒトと1匹のペットが宇宙航行中に辺境の惑星であるRimWorldに不時着し、宇宙船を手に入れてRimWorld脱出を目指すというもの。
    • 開幕では当座の生活物資と小さな住居を築ける程度の資材、多少の装備品が与えられる。ここから食料を確保し、住居を拡張し、時には外敵を撃退して、惑星脱出までの生存を目指す。
  • プレイヤーは基本的にはコロニーのメンバーとなるキャラクター(コロニスト)を直接操作するわけではなく、作業指示を与えたりルールを設定したりすることで、間接的に彼らを動かす。
    • コロニストは各自が食事や睡眠、交流や娯楽といった欲求を持っており、それに従って行動する。そのままでは建築や生産といった行動は取らないので、指示やルール設定が必要になる。
      • 例えば、建物を建築する場合、プレイヤーはどのコロニストに建築作業を許可するかのルールを設定した上で、どこに何を建築するかを指示する。指示が済めば、コロニストが素材を目標地点に運搬して建築を行う。
      • 素材が不足している場合は伐採や採掘、購入などで調達する必要があるが、これらは別途指示を与える必要がある。ちなみに「運搬」も独立した作業である。
      • 作業には優先順位の設定もあり、建築の作業を許可していても、より上位の作業中であれば、それが終わるまで建築には取り掛からない。眠っている、病気や負傷で意識不明になっているといった場合も同様。
      • 「緊急作業」という指示を使うことで、特定の作業に最優先で取り掛からせることも可能。
    • プレイヤーがつど指示を出さずとも、設定されたルールに従って自動で行う作業もある。
      • 例えば、作業台で物品を作る系統の作業は、作業回数を設定して素材を用意しておけば、1回ごとに指示をせずとも自動で生産する。作業回数の設定は「x回」だけでなく、「在庫がx個になるまで」や「素材がある限り続ける」などがある。
    • 作物の種まきや収穫、病人や囚人の世話、前述の運搬なども、作業を許可しているコロニストが自動で行う。
    • ちなみに本作では自派閥のキャラを「コロニスト」と呼ぶほか、総称として「ポーン」とも呼ぶ。
  • 主に戦闘時に使用する「徴兵」モードでは、プレイヤーが移動先や攻撃対象を直接指示できる。
    • 設定次第ではコロニストが自動で応戦するが、遮蔽も使わず最も近い敵を狙うだけなので、戦闘は徴兵モードの使用が必須のバランスになっている。
    • 徴兵不能なのは意識不明か指示を受け付けない精神崩壊中のコロニストのみで、睡眠中や療養中のコロニストも即座に起こして行動させられる。
  • ゲーム進行はリアルタイムであるが、一時停止はいつでも可能で、一時停止中に命令やルール設定が可能。
    • 基本的に本作は、一時停止中に指示やルール設定を行い、解除してコロニストが働くのを眺めるという流れで進める。
    • デフォルトの設定では、襲撃などの危険・有害なイベントが発生すると、通知と共に一時停止が掛かる。
  • ゲーム難度については多岐にわたるカスタマイズが可能で、自分好みの設定で遊べる。
    • 前述の「シナリオ」は開始時の人数や所持品などの設定の集合であり、例えば「不時着」なら「3人+ペット1匹」のメンバーと「非常用食料×30」などの所持品が設定されている。ここの人数だけを変えたり、所持品を増減したりといったカスタマイズも可能。
      • 「シナリオ」が内包する設定は非常に細かく、作物の成長速度などの環境関連項目、「狩猟禁止」といった制限項目なども含まれる。
    • ゲーム中の難度の上がり方の設定もあり、これは「語り部」である「AIストーリーテラー」を選ぶという体裁で行う。
      • 本記事冒頭の画像の3人がそれ。左から順に、緩やかに難度を上げてゆく「フェーベ ベースビルダー」、コロニーの存続時間や総資産*1を無視して様々なイベントを起こす「ランディ ランダム」、コロニーの存続時間や総資産をフェーベよりも強く難度に反映する「カサンドラ クラシック」。
    • 加えて「イージー」や「ハード」に相当するゲーム難度そのものの設定もある。
    • これらによって、いきなり巨大コロニーを築ける資産を持った状態で始めることも可能なら、ほとんど生存の見込みがないようなマゾ設定で始めることも可能。
  • ゲーム中には様々なイベントが発生する。隊商の来訪、放浪者のコロニー加入、熱波や寒波といった環境の変化、敵対勢力の襲撃、野生動物の暴走、資源になる小型宇宙船や隕石の墜落など、その内容は多岐にわたる。
    • 全体としてはコロニーに有害なイベントが多く、コロニーの存続時間や総資産に応じて発生イベントの傾向が決まる。
      • AIストーリーテラーの選択にもよるが、ざっくり言えば、上手く行っているコロニーには厳しいイベントが、粗末なコロニーや疲弊したコロニーにはヌルめのイベントや救済イベントが発生しやすくなる。
      • 熱波で備蓄食料の多くが腐った、激しい襲撃を受けてコロニストが死亡したというような場合、総資産が下がって立て直しやすくなる傾向にある。ならないことも多いが。
  • ちなみに、本作にはゲームオーバーがなく、開始時のコロニストが全滅または全離脱しても、新たなコロニストが訪れてゲームが続く。
    • シナリオ目標を達成しても同様。「不時着」シナリオの目標である惑星脱出時も、誰かを残すこともできるし、全員脱出させてもゲームは続く。
    • ゲーム内時間が長く経過するほど過酷なイベントが発生しやすくなるため、どこかで「自主クリア」することにはなる。

キャラクターについて

  • 作中のあらゆる人物には、それぞれに膨大なパラメータが設定されており、一人一人が個性を持っている。
  • 「スキル」は作業への適性を示し、作業ごとに0~20のレベル、または「-」(作業不可)が設定されている。レベルが高いほど作業時間が短くなる、生産物の品質が高くなる、収量が多くなるといった効果がある。
    • その作業に従事している間はスキル経験値が溜まり、一定量に達するとレベルアップする。レベル11以上では時間経過で経験値及びスキルレベルが下がるため、全スキルを極めるのは難しい。
    • スキルには「熱意」の設定もある。「なし」「小」「大」の3段階で、「小」と「大」は経験値の獲得量にプラスの補正が掛かる。
  • 「生い立ち」は幼年期と成人後の経歴を示す。幼年期のものは主に「森番の子供」などの生まれや育ち、成人後のものは主に「エンジニア」などの職業であり、それぞれの生い立ちがスキルレベルの初期値に影響を与える。
    • 生い立ちによっては「欠点」が設定されることもあり、特定の作業ができなくなる(スキルレベルが「-」になる)こともある。
    • 生い立ちの組み合わせによって、多くのスキルが高い、あるいは低い、戦闘しかできない、家事しかできない等々、様々なキャラが生まれる。
  • 「特性」は身体的な特徴、行動や性格の傾向などの様々な要素を示す、生い立ちと並んで個性の根幹となるパラメータ。
    • どの特性もフレーバーではなく、特定の作業が得意 / 不得意 / 不可、後述の「心情」が上がりやすい / 下がりやすい、特定の行動に執着する / 忌避する、恋愛対象が異性 / 同性 / 両性 / なしになる等々、何らかの具体的な効果を持つ。
    • メリットのみの特性はほとんどなく、大抵がデメリットを併せ持ち、一部はデメリットのみとなっている。
      • 「勤労者」や「職人気質」は作業速度が上がるメリットを持つが、これらの特性を持たないキャラクターへの好感度が悪化しやすくなる。
      • 「可愛い」や「美しい」は他キャラからの好感度が高くなりやすいメリットを持つが、恋愛対象にもなりやすく、振ることで他人の心情を下げやすいデメリットに転じることもある。
      • 「サイコパス」は他キャラと喧嘩をしやすい、他キャラとの交流で心情が上がらないというデメリットを持つが、普通のキャラが嫌がる処刑や追放、死体処理で心情が下がらないというメリットも持っている。
  • 身体的なパラメータとして、体力、健康、年齢、性別といったものがある。
    • 体力はいわゆるHPで、負傷して出血すれば低下し、尽きれば死亡する。
    • 健康は飢えや睡眠不足の度合い、部位ごとの負傷や病気の有無で示される。
      • 飢えや睡眠不足が進めば自動で食事や睡眠を取り、それらの欲求を満たさないまま放置すれば餓死したり気絶したりする。
      • 様々な要因で起きる負傷や病気は治療が可能だが、痛みによって後述の心情が下がるほか、古傷が残ってその部位に依存する能力が恒久的に低下することもある。負傷が酷いと部位を失うこともあり、重要部位が酷く損傷すれば死亡することも。
    • 年齢は高いほどキャラ生成時のスキルレベルが高くなりやすいが、古傷や持病も多くなったり、加齢に伴う病気に罹りやすくなったりするデメリットもある。
      • 本作では高齢キャラの老衰死もあるが、それは臓器不全が進んで生命維持関連の能力が低下するという形で表現される。
  • 精神的なパラメータは「心情」という形でまとめられている。心情は満足度であり、欲求が満たされている、人間関係が良好いった場合は高まり、逆なら低下する。
    • 心情が一定以下になると、精神崩壊(メンタルブレイク)を起こすことがある。精神崩壊を起こすと一定時間は指示を受け付けなくなり、徘徊や引きこもり、特性によっては過食や放火といった異常行動も起こす。
    • 心情は低下する要素の方が多い。例えば暑くても寒くても下がるが、適温にしても上がらない。負傷して痛みがある場合も下がるが、痛みがないからと言って上がりはしない。
  • キャラ同士は人間関係を持ち、関わった他キャラに対する好感度のほか、血縁関係、配偶者や恋人*2といった固有の関係性を持つ場合もある。
    • 人間関係は心情に密接に関わる。配偶者や恋人とダブルベッドで眠らせれば心情は高くなり、仲の悪い相手と過ごす時間が長ければ口喧嘩を重ねて好感度も心情も低くなりやすい。また、襲撃者にコロニストの血縁者がいることもあり、殺せば心情が下がる。
    • 血縁関係は変わらないが、婚姻と恋愛関係は破局することもある。
  • 人間キャラは派閥に属しており、派閥間の関係も設定されている。
    • ゲーム開始後しばらく経過すると、コロニストが自派閥を立てて派閥名と拠点名が設定可能になる、
    • 惑星上には先住派閥が複数あり、デフォルトでコロニスト派閥に対する中立または敵対の関係が設定されている。他派閥との関係は交易や交渉、戦闘などで増減するが、略奪者集団である「宙賊」、後述の「虫」や「メカノイド」は敵対関係で固定されている。
    • 敵対派閥は襲撃してくることがあり、友好派閥には援軍や隊商の要請が可能。
    • 通常のプレイでは難しいが、惑星上の派閥の全拠点を壊滅させれば、その派閥を根絶できる。
  • 人間以外のキャラとして、動物や虫(巨大昆虫)、メカノイドといったものが存在する。
    • 動物や虫は狩って食料にできるほか、動物なら手懐けて家畜化し、畜産品の供給源にもできる。動物は雌雄を同じ場所で飼っておけば早いペースで繁殖する。
    • メカノイドは敵対的な機械生命体で、マップ上に生成される遺跡に閉じ込められていたり、有害なイベントとして古代の宇宙船と共に降ってきたりする。
    • これらとは戦闘になることもある。動物は種によって被攻撃時・手懐け失敗時に襲ってくる確率が設定されているほか、イベントで暴走したり、コロニストを捕食しようとして攻撃してくることもある。

特徴(Royalty)

  • 高度な文明を持つ帝国が登場する。プレイヤーは帝国に協力することで爵位を得ることが出来る。協力しないことも可能である。
    • 爵位を得ることで、超能力(サイキック)を行使したり、特殊な武器を使うことが出来たりするメリットが受けられる。
      • 超能力を利用するには瞑想を行いサイフォーカスを貯める必要がある。なお、サイフォーカスの値は精神感応性によって決まる。
      • サイキックはその他の方法で入手できるものもある。
    • デメリットとして爵位が高いキャラクターは贅沢になるため、よりよい部屋を望むようになり雑用に相当する作業をしなくなってしまう。
  • また、爵位を最高位まで上げることで、帝国に招かれる形で辺境の惑星を脱出することが出来るという新しいエンディングの迎え方が追加されている。
    • ただし、実際のところ、このエンディングについても来賓をもてなしつつ、繰り返される襲撃から守らなければならないことから従来のエンディングを迎えるパターンと比べ大きな違いはない。
  • その他、機械の敵であるメカノイドの強化などがRoyaltyで追加されている。

特徴(Ideology)

  • 派閥毎に思想を決めることが出来るようになる。派閥に属するキャラクターは基本的にその派閥の思想を持つ。
    • 思想によってキャラクターの行動が変わるようになる。
    • 通常は嫌う「人の死体を見た時の反応」や、「人肉食」「虫食」なども思想によっては許容したり、むしろ推奨したりすることも出来る。
  • 派閥に新たに属したキャラは基本的にそれまでの思想を持った状態で加入することになり、思想を変えさせるにはある程度の時間が必要。
    • 思想が派閥の関係にも影響を及ぼすようになり、ひいてはそこに所属するキャラクターとの関係にも影響を及ぼすようになる。
  • 思想が満たされないと心情ペナルティを受けるため、思想にあったコロニーを作成することが求められる。
    • なお、思想は一定の条件内であれば開始時にカスタマイズ出来る。

特徴(Biotech)

  • 主な拡張ポイントとしては、ゲームに子供が登場し、遺伝子を組み換えることでキャラの性質を変更することが出来るようになった。
    • 子供については、女性が妊娠することで産まれる他、人工授精も可能となっている。
    • 子供は大人のような作業を行うことは出来ないが、成長の過程で学習することで特性やスキルの情熱を獲得することが出来る。
  • なお、子供は13歳になるまでは4倍の速度で成長し、13歳になることで大人のキャラと同じような行動が取れるようになる。
    • 18歳を超えると大人として扱われるが、13歳の時点で基本的には大人と同等の行動が取れる(恋愛などは18歳にならないと行えない)。
  • 遺伝子組み換えについては能力値に変化を及ぼす他、キャラの見た目に影響を及ぼすものもある。
    • 遺伝子が操作されると、代謝に変化が出る。良い効果の遺伝子ほど代謝が悪化し、必要な栄養が増える。
    • また、遺伝子操作の数が多ければ多いほど遺伝子が複雑になり、遺伝子を抽出した場合等の回復に時間が掛かる。
  • 遺伝子の種類によっては不老不死となるようなものもある。
  • その他、メカノイドをペットのように運用したり、汚染の概念が実装されたりした。

評価点

  • 中弛みを起こしにくいゲームバランス
    • サバイバルゲームでは「ある程度安定すると緊張感がなくなる」というケースが多いが、本作は仕様上、そういった中弛みが起きにくい。
    • 例えば襲撃イベントは総資産によって難易度が決まるため、設備が整い備蓄の多いコロニーほど激しい襲撃を受ける。
    • 軍備万全、食糧充分といった状況であるほど、それらへのカウンターになるイベントが発生しやすく、標準的な難度以上でプレイするなら、基本的にいつでも気は抜けない。
  • カスタマイズ性の高さ
    • 開始時の設定によってゲームの難易度は大きく変わる。設定可能な項目の多さによって、平和な箱庭をのんびり眺めるゲームとして遊ぶことも、文字通りのサバイバルゲームとして遊ぶことも可能。
      • 例えば、AIストーリーテラーをフェーベ、難易度をピースフルにすれば、有害イベントや襲撃はかなり長期にわたって発生が抑えられ、発生しても厳しいものではない。
      • 一方でカサンドラ+生存奮闘のような設定にすれば、正真正銘の無理ゲーにもなり得る。
    • 世界中のプレイヤーによって膨大なMODも制作されており、試しきれないほどの拡張性がある。システム的な不満についても、ほぼMODで解決できると言っても過言ではない。
  • ただの駒になり下がらないキャラクター
    • 一人一人に個性があり、能力なども徐々に成長させることができるので、プレイ時間が長くなるほど愛着が沸きやすい。キャラの生い立ちや特性にまで思いが及ぶプレイヤーならば尚更だろう。
    • 自由時間には他キャラと交流したり、空を見上げたり、輪投げに興じたりと様々な行動を取る。そういった何気ない一面もプレイヤーに愛着を抱かせるポイントといえる。
      • それ故に、ピンチに陥り、誰かを切り捨てなければいけないような状況においては、大いにプレイヤーを悩ませてくれることだろう。

DLC関係の評価点

  • Ideologyでは思想という形で自身の派閥をカスタマイズ出来るようになり、自身のキャラだけでなく思考なども決めることができるため、より自身のキャラを落とし込む環境が整った。
    • 思想によっては難易度が上がるため、選ぶとサバイバルが困難になるものもあるが、逆に思想を上手く組み合わせれば死体を見ても不快にならない、ヒトの肉も普通に食べられるという難易度低下も可能。
    • 他の思想を持つキャラクターに自身の思想を布教することで改宗させることも可能であり、目的ではないが、自身の思想を布教しまくるプレイも可能である。
  • Biotechでは遺伝子を操作することで外見や特性を更に細かくカスタマイズできるようになった。
    • MODでは異種族キャラを追加するものが存在するが、こういったものがMODなしで実現できるようになったといえる。
    • 遺伝子次第では不老不死のキャラクターを作ったり、不眠不休で働けるキャラを作ったりもできる。
  • またBiotechでは子どもも追加されており、時間こそ掛かるが特性やスキルをある程度プレイヤー好みにしたキャラクターに育てることもできる。
  • 一方、Royaltyはサイキックが追加されこれまでできなかった遊び方も出来るようになっているが、厳しい側面も強いため手放しに評価するのは難しい出来となっている(詳細後述)。

賛否両論点

  • ランダム性がかなり強い
    • 本作はランダム性がかなり強く、順調であってもイベント一つでひっくり返されることも少なくない。特にゲームに不慣れな内は、コロニーが軌道に乗ってきた頃合いで大損害を被ることも多い。
      • 例えば襲撃に対しては、防衛線を整えていれば包囲攻撃などには対応できるが、拠点上空からの降下タイプや敵が迫撃砲を建設して爆撃を仕掛けてくるタイプなど、迎撃態勢を無効化するものがある。
      • 電力設備を停止させる「太陽フレア」、食糧保存や農業が困難になる「熱波」、同じく農業が困難になる「寒波」など、生存基盤を損なうタイプのイベントも多い。
    • マイナスイベントが複合して発生することもあり、病気や怪我で戦闘要員が減っているところに襲撃や人殺し動物が来襲することもままある。
      • マイナスイベントはコロニーの存続時間や総資産に応じて起こりやすくなり、複合もしやすくなる。例えば食糧を大量に冷蔵していると熱波や太陽フレアで備蓄を削られ、さらに栽培中の作物が病害で壊滅したりする。コロニーが育つほど露骨な潰しイベントが発生しやすくなるので、長く遊んでいると先が読めてくることも。
      • 襲撃時に味方の血縁者が襲ってくる場合もある。血縁者が死ぬと敵だろうとコロニストに心情デバフを与えてしまうが、敵が手心を加えるようなことは一切ない。戦闘では只でさえ負傷や死体処理で心情が下がりやすいため、精神崩壊に陥るコロニストも出やすくなる。
    • ただし、発生するだけでキャラが死んでしまうような為す術もないイベントは存在せず、基本的には対策しておくことで被害は軽減できる。
      • いわゆる「初見殺し」が多いということであるが、このランダム性を知恵と備えでいかに凌ぐかが本作の面白さであると捉えているプレイヤーも多く、中弛みしにくいゲーム性と評価されている。
      • 一方、クリアを目指すことが目的であれば強すぎるランダム性がマイナス要素として捉えられやすく、厳しすぎる、理不尽などと評価されることも。
    • プレイヤーの意思に関わらず、一方的にコロニーに新人が加入するイベントもあるが、洒落にならない問題人物が仲間になってしまう場合もある。
      • ランダムに放火を行う&消火作業不可の「放火魔」の特性を持ったキャラなどが加わった場合、基本的に追放するのが最善だが、どんな危険人物だろうと追放すればコロニーの全員が心情デバフを受けるため、既に心情の低いコロニストがいる場合に躊躇して判断を誤るといったこともある。
      • ちなみに本作ではキャラの特性や生い立ちが極めて多彩で、メリットのみのものは少ないことから、大抵のキャラは何かしら問題を抱えている。能力が低くても味方に危害を加えないなら上等の部類だったりする。
    • メーカーは本作を「ストーリージェネレーター」と定義しており、プレイヤーはコロニーに関与しつつもあくまで物語を見守る立場で、コロニーが壊滅を迎えたとしても、それもまた一つの物語として楽しむよう提案している。もちろん、その感覚でプレイするかどうかはプレイヤー次第であるが。
  • 「ストーリージェネレーター」の意味するもの
    • 上記のとおり、本作の公式ジャンルは「ストーリージェネレーター」だが、本作の「ストーリー」はプレイヤーが読み取るものであり、ゲームが提供するものではない。「ストーリージェネレーター」を謳ってはいるが、一般的な意味で言う「ストーリー重視」の作品でないことは注意したい。
    • 例えばキャラ同士は会話するが、台詞そのものが表示される訳ではない。また、惑星上には文明的な集落もあるのに原野にコロニーを築くのはなぜかといった説明もない。つまり、ゲームが提示する物語的要素は極めて乏しい。
    • 本作の「ストーリー」は、例えば「激しい襲撃で重傷者が多数出て、自らも負傷したコロニストに緊急作業で徹夜治療をさせた結果、その治療者だけが死亡した」というような場面からプレイヤーが読み取るものを指す。そこに感動的なドラマを見るプレイヤーもいれば、単に対応の失敗と捉えるプレイヤーもいるのは当然で、後者のプレイヤーに対しては、本作が「ストーリージェネレーター」であるとは言いがたい。
  • インモラルな要素が多く含まれる
    • 人肉食、臓器摘出、人身売買、ドラッグなどのインモラルな要素も数多く存在し、そういった要素を厭うプレイヤーは尻込みしてしまうかもしれない。
      • これらの要素はプレイに必須ではないため、全く利用しなくても構わない。というよりもドラッグ以外は下手に利用するとむしろデメリットが強いため、よく分からなければ「リアルでやってはいけない(やらない方が良い)ことはやらない」というスタンスでプレイするのはむしろ正しい行動といえる。
    • 具体的なグロテスク描写が行われる事はない*3ので、そういった点では安心してプレイ出来る。
    • DLCでも捕虜を奴隷にする、遺伝子を抽出する、メカノイドを作るために(主として)捕虜を犠牲にする、去勢手術をする、といった具合にインモラルな要素は多い。
  • 恋愛行動の弊害を解決しにくい
    • パートナーを持つコロニストは心情に好影響を受けるため、カップルとなった二人にとって恋愛は概ねプラスの要素だが、コロニー全体で見れば問題になる場合があり、さらに解決しにくい。
      • 頻繁に起こるのが片思いの問題。コロニストAがBに恋しているが、Bは既にCとカップルであったり、Bが「無性愛者」などの恋愛をしない特性の持ち主であったりする場合、Aは大抵振られ、AB共に心情を悪化させる。しかもAは何度振られても諦めない。
      • 特性「美しい」と「無性愛者」を兼ね備えたコロニスト、同性のみのコロニーに一人だけ存在する「同性愛者」のコロニストなどは、協調的な人格であってもトラブルメーカーになることがある。
      • 根本的な解決策は、恋に破れたコロニストが別の相手とくっ付くしかなく、そう簡単には解決できない。不評が多い仕様で、ゲームバランスを調整するMODでは、恋愛要素に手を加えているものが複数ある。
      • 初期コロニーが3人であるのは、恋愛をトラブルの種としやすくする設計でもあるのだろうが。
  • 定住以外のプレイスタイルはほぼ不可能
    • 健康や心情を維持できない、物資や金を安定して稼ぐ手段がないなどの様々な要因によって、定住以外のプレイスタイルは実質的に不可能になっている。ゲーム開始時に広大なワールドマップが作成されるが、利用できるのは実質的に開始地点と、そこから2~3日で往復できる範囲が精々。
    • そもそも放浪生活をする設計ではないものの、遊び慣れたプレイヤーからはしばしば物足りない点として指摘される。拠点を定めずに放浪を続ける、他勢力の拠点から略奪して回るといったプレイスタイルは、ワールドマップを見ればすぐ思い付くようなことで、特に敵対勢力を世界から根絶したいというプレイヤーは一定数いる模様。

DLC関係の賛否両論点

  • Ideology、Biotechでよりインモラルな要素が増えた。
    • Ideologyでは死体を晒しておく晒し檻や頭蓋骨を突きさしておくスカルスパイクが思想次第では設置可能となる。
    • Biotechでは対象を強制的に不妊にさせる去勢手術や、逆に第三者の受精卵を埋め込んで妊娠させるといったことも可能である。
    • ただ、他のインモラルな要素と同様、行うかどうかは任意(Ideologyのスカルスパイクなどは思想次第ではあった方が心情が増える)。
  • Royaltyはそのコンセプトそのものが賛否両論となりがち。
    • 新登場の帝国に対し、プレイヤー派閥は恭順こそできるが、同盟といった関係になることはできない。
      • 帝国に恭順する場合、帝国からの来訪者をもてなしたりすることで爵位を稼いでいくことになるが、来訪者は基本的に何もしてくれないため、あくまで「上下関係」に過ぎない感が強い。
    • 爵位を得ると豪華な部屋が必要になったり、「欲張り」等の特性を持つキャラは一部作業を行わなくなるデメリットも受ける。

問題点

  • 用意されているエンディングが少ない
    • ゲームのカスタマイズ性の高さやプレイングの自由度に反して、エンディングを迎えるには「自分で宇宙船を作って」惑星から脱出するか、「指定された場所にある宇宙船を使って」惑星から脱出するかの2種類である。実質的には(宇宙船を作るか見つけるかの違いこそあれど)クリア方法は1つだけと言っても良い。
      • 細かいことを言うならば、前者であれば、宇宙船は研究を進め、自分で作らなければならないが当初から生活拠点としていたコロニーで宇宙船を作ることが出来るため、襲撃に備えやすいというメリットがあり、後者であれば、宇宙船の研究を進める必要がないが、宇宙船がある場所までたどり着かなければならず、たどり着いた後、そこで襲撃に備えるための防衛線を作らなければならない、という戦略上の違いがある。
      • 宇宙船は作った場合でも見つけた場合でも作動するまでに長時間かかり、その間は襲撃が頻繁に発生するというデメリットがあるためそれを乗り越えなければならない。結局のところ「襲撃を耐えられる状況を生み出してから宇宙船を起動する」というクリア方法をとるしかない。
    • ただ、あくまでゲーム側の与えるゴールというだけであるためそもそも宇宙船を作らず、なるべく長く生存することを目指す永住プレイ、資産価値をとにかく高める金稼ぎプレイ、惑星の全ての派閥を殲滅するプレイ、といった具合に自分でプレイ目標を考えて想像力豊かにプレイすることは可能。
      • ただあまりの長期プレイは想定していないのか、バニラのバランスだと5年目以降は襲撃頻度や高難度マイナスイベントの頻度が急上昇してしまうため、mod等でバランス取りをしないと長期生存プレイはあまり現実的ではない。
    • Biotech以外の有料DLCを導入するとエンディングは各1種類追加される。
      • Royalityのものは追加要素である帝国に認めてもらい、「宇宙船を用意してもらって」賓客をもてなしつつ「襲撃を耐える」と、多少要素は増えたものの、やはりクリアの方法として目新しさはない。
      • Ideologyのものはコロニーの資産を一定以上にする等の条件を満たすことで当該コロニーを売り払う形で地図のパーツを入手し、その地図のパーツを集め、目的地に到達した上で特定のオブジェクトを起動させることでエンディングとなる。このエンディングのみ惑星からの脱出という形にはならない。
        ただ、キャラクターに愛着を抱きやすい本作においてコロニーを3回売り払わなければ到達できないこのエンディングはあまり現実的ではない。あくまでキャラも目的遂行の為の要素に過ぎないと割り切れなければ到達出来ないだろう。
  • 日本語ローカライズの問題
    • 英語以外の言語は有志によって翻訳されている。
    • 現在ではだいぶ改善されているが、過去のバージョンでは日本語テキストは直訳調で読みづらく、未翻訳テキストや誤字が多かった。
    • ランダム生成される土地や派閥、キャラクターの名称なども、独特というよりも珍妙不可思議な文字の組み合わせになりがち。

DLC関係の問題点

  • Royaltyで出てくる帝国の敵は「亡者の酸」と呼ばれるインプラントを持つことがあるが、効果は倒すと装備品が全て溶けてしまうという嫌がらせのような仕様。
  • Ideologyについても選んだ思想によって選べない考え方も存在するため、完全に自由というわけにはいかない。
    • 例えば死体を見ても不快と感じないようにしようとすると支配主義者などが必須となる。

改善点

  • プレイ時間が長くなると徐々に動作が重くなっていく
    • 本作ではプレイ時間によってデータが肥大化するためか、読み込みや進行が急激に遅くなってしまう。
    • キャラクターの詳細なデータを逐一保存しており、そのキャラクターがいなくなった後もデータとしては保持され続けるのが原因と思われる。
      • 親族関係等死亡したキャラクターであってもデータが必要なキャラもいる*4が、襲撃に来ただけのキャラなど実質なくても困らないキャラデータも多いため、そういったキャラデータが残り続けるとどんどん重くなる。
    • 結果としてプレイ時間が長くなるとスペックが高めのPCでもカクつくようになってしまう。
      • これに関しては余分なデータを削除してデータを軽量化するMODなどで対応は可能。
    • Ver.1.4.0でようやく不要となったキャラデータを定期的に削除するように仕様変更された。

総評

ランダム要素が非常に強いコロニーシムであり、難易度は高いが決して理不尽ではないバランスとなっている。
本作においてはキャラクターの個性、人間関係が非常に重要となっており、それを裏付けるバックボーンもあってキャラクターに愛着が湧きやすい仕様となっている。
愛着のあるキャラクターであるからこそなんとかして生かし、サバイバルを成功へと導いてあげたいという動機付けにも繋がっている。
ランダムで起こるイベントはゲームの最後まで油断できない緊張感をもたらし、プレイヤーを楽しませてくれる。
そして、豊富なカスタマイズ性から何度も繰り返し遊ぶことが出来るポテンシャルを秘めている。
自分の思い通りにことが進んで欲しい、というプレイヤーにとっては合わないかもしれないが、ランダム要素も楽しめ、特に物語を想像するのが得意なプレイヤーにとっては末永く遊べる一作といえよう。

余談

  • 本作の人気の一端はMOD文化が支えており、グラフィック変更やアイテム追加は無論のこと、ゲームバランスやゲーム性自体を変更するものまで、無数のMODが作成されている。
    • Steam版であればSteamのワークショップでサブスクライブするだけでMODをインストールでき、ゲーム内のMODマネージャーでオンオフを切り替えることもできるため、導入も非常にしやすい。
  • 本作のシステムは『Prison Architect』に非常に近い。
    • 開発者は『Dwarf Fortress』をインスパイアした旨をSteamの商品ページで語っている。
    • プレイヤーとキャラクターの関係性だけなら『The Simsシリーズ』も似ているとは言える。
  • Factorio』とはSteamのアーリーアクセス開始時期が近く、どちらも人気が高いことからよく比較される。
    • ただし、「不時着した惑星からの脱出が目標*5」という点こそ似通っているが、内容は全く異なり、本作が「ランダムな妨害要素を凌いで生き延びる」ことがキモであるのに対し、『Factorio』は「妨害要素はほぼなく、ひたすら効率化を突き詰める」ことが骨子になっている。
最終更新:2024年08月15日 21:30

*1 コロニーに属する全人員や建築物、物品の価値の合計。

*2 元配偶者や元恋人もある。

*3 さほどリアルではないが欠損、流血や負傷の表現はある

*4 当人を起因とする心情ペナルティなどだけでなく、兄弟関係等は両親が同じであるかどうかを元に判定しているため、既に存在しない両親のデータがなくなると兄弟関係も解消してしまう等

*5 正確には、Factorioは惑星から救助されるのが目標なので少し異なるが