アレスタコレクション
【あれすたこれくしょん】
ジャンル
|
シューティング
|


|


|
対応機種
|
Nintendo Switch PlayStation 4
|
メディア
|
Switch
|
ゲームカード
|
PS4
|
Blu-ray Disc
|
開発・発売元
|
M2
|
発売日
|
2020年12月24日
|
価格(税抜)
|
パッケージ版
|
6,800円
|
ダウンロード版
|
4,500円
|
ゲームギアミクロ同梱版
|
14,800円
|
プレイ人数
|
1人
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
アレスタシリーズを一本に完全移植 入手困難作がお手頃価格に 希少サントラも収録 まさかのゲームギアの完全新作
|
コンパイルSTGシリーズ
|
M2 Shot Triggersシリーズ
|
概要
かつて『ぷよぷよ』シリーズの著作権を保有していた旧コンパイルが、セガハードに発売したSTG『アレスタ』シリーズ。
本作は海外版も含めたシリーズ作品のカップリング移植である。
レトロゲームの移植に定評のあるエムツーによる生配信番組『M2STG生放送』の第1回目にて発表された。
エムツーが『アレスタ』シリーズの権利を獲得した後のタイトルとしては記念すべき1作目となる。
また、M2 Shot Triggersシリーズとして、初のコンシューマーソフトのみで構成された作品となっている。
収録タイトル
-
アレスタ / 海外版Power Strike(1988年/SMS)
-
GGアレスタ(1991年/GG)
-
GGアレスタII / 海外版Power Strike II(1993年/GG)
-
POWER STRIKE II(1993年/SMS)
-
GGアレスタ3(完全新作)
限定版付属の『ゲームギアミクロ ホワイト』にも同タイトルが収録されている。そちらでは海外版は隠しコマンドで切り替えになっている。
特徴
-
M2ガジェット
-
ショットトリガーズでお馴染みの機能、画面の余白に詳細情報を載せると言った攻略に役立つガジェットも健在。
今作は4:3の家庭用ゲーム機からの移植の為、縦画面のアーケード移植より画面外のスペースが狭いということもあり、簡略化されている。
今作以前に同社開発の『ダライアス コズミックコレクション』内『ダライアスアルファ』でガジェットは導入されていたが、非常に簡素な作りだったため、本格的なガジェット導入は初となる。
-
「GAME INFO」はプレイ中のタイトル名、難易度、スコアに加え、後何点でエクステンドするかの表示もある。
-
「PLAYER INFO」は残機をアイコンとして表示、残機の追加やフォースフィールドの発動までのチップを回収した数、アイテムを取った時の無敵時間の表示、ゲームの難易度を左右する「AutoLevelControl」。
-
「MUSIC INFO」はゲーム中に流れるBGMの曲名と作曲者名を表示。
-
「CONTROLLER INFO」は操作をリアルタイムに表示する。コントローラーのデザインは『アレスタ』ではセガ・マークIII、『Power Strike II』はマスターシステム、『GGアレスタ』シリーズはゲームギア。
-
「BATTLE ACHIEVEMENT」各ROUNDの道中、ボス戦のプレイを評価する実績。途中でノーミス達成かどうか確認できる。
-
「POWER UP INFO」攻撃と強化の情報、入手前の武器の確認、次のパワーアップを表示。
-
「TIMER INFO」ボスに到達するまでの時間、ボスを倒すまでの時間を表示。オンラインランキングの為の表示である。
『GGアレスタ3』のみオンラインランキング用のスコアの表示になる。
-
お馴染み「スーパーイージーモード」は今作には存在しないものの、『アレスタ』のみEASYモードが搭載されている。これは、『アレスタ』が非常に高難易度である為に用意されたもので、「ミス時にパワーダウンしない」「違う特殊武器を取得しても武器レベルが維持される」「アイテム取得時の無敵時間を延長」「アイテムキャリアーの出現数増加」といった措置が取られている。
-
『GGアレスタ3』
-
本作、及びゲームギアミクロホワイトの為に作られたゲームギアの完全新作。
-
元エムツーの音楽家の並木学率いる『スーパースターソルジャー』等の過去のSTGを手掛けたベテランスタッフ達によりゲームギアの性能を限界まで生かして作られた。
-
主人公はリュナ・ワイゼン。テロ組織にハッキングされた周辺の衛星やステーション群に挑むためにアークセイバーに乗り込み、出撃する。キャラクターデザインは『キミキス』や『アマガミ』などで知られる高山箕犀氏が手掛けている。
-
Pエンブレムから出てくるアイテムは入力方向の反対側に発射して敵弾を相殺するオールレンジ、敵を追尾するチェインチェイサー、自機をガードするディフェンスビット、火柱弾を前方に発射するファイアウォール、自機の左右からレーザーを発射するライジングレーザー、周囲へ発射するターレットガン。
-
アレスタチャレンジ
-
各作品のステージやボスを任意の特殊武器や難易度等を設定して練習できるモード。
『ケツイDeathtiny ~絆地獄たち~』『エスプレイドΨ』にあった「アーケードチャレンジ」にあたるモードで、被弾すると自動的に数秒前に巻き戻しされる「リワインド」機能も引き続き搭載している。
-
各作品、ステージ、難易度、特殊武器毎にそれぞれクリアメダルが設定されているため、コンプリートを狙うとなると膨大なボリュームを誇る。
-
『GGアレスタ3』のみ新作扱いのため、最初はステージ1しか選べずゲーム本編でステージをクリアしていく毎にステージが解禁される仕様となっている。
評価点
-
移植のクオリティ
-
M2のお得意の自作エミュレーターによって当時と変わらない感覚でのプレイを可能とする移植を実現している。
-
過去に『SEGA AGESシリーズ』の『アレックスキッドのミラクルワールド』を手掛けた事もあってか、『アレスタ』はセガ・マークIIIのエミュレーターを拡張した形となっている。
-
ゲームギアミクロ向けのゲームギアタイトルの移植は過去に行われているが、『GGアレスタ』シリーズについては今回が初の家庭用ゲーム機向けのエミュレーションとなる。
-
『Power Strike II』はちゃんとヨーロッパ向けSMSの基準である50Hz稼働となっている。
実機では『PSII』自体にプロテクトがかかっていない事から、日本のSMSに『PSII』をピン配列変更用のゲタを介して差し込んでも起動はするのだが、日本向けSMSの基準である60Hzで稼働してしまい、ゲームスピードが想定している物ではなくなってしまう。
単にエミュレーターにデータを突っ込んでいるのではなく、エミュレーター上では50Hzで動かしつつ、画面表示間隔が60Hzの日本のTVで違和感なく動くように調整が入っている。
ちなみに堀井社長が『PSII』を購入した5年前には「50Hzにするのは難しい」とTwitterで漏らしていたが、製品化するにあたってキッチリ50Hzに仕立てられていることからもM2の技術力の高さをうかがい知ることができる。
-
旧作は全てが初移植のタイトル
-
いずれも今となっては入手困難であったり中古価格が高値のタイトルとなっていたため、今回のコレクションとして復刻されたことで、本作はパッケージ版は6,800円、ダウンロード版は4,500円と比較的に購入のハードルが低くなり、手を出しやすくなった。
-
『アレスタ』は過去にWiiバーチャルコンソールでMSX版が移植されていたが、セガ・マークIIIのオリジナル版は今作が初移植になる。さらに海外版である『Power Strike』も同時収録されている。
-
『GGアレスタ』は出荷数が少ない上、現品は箱無しでは1万円以上、箱ありで状態問わず4万円以上の値がついているが、本作に収録された事で大幅に触れやすくなった。
-
『GGアレスタII』は中古で1万円以上だが前作と比較するとまだ良心的。こちらも海外版仕様の『Power Strike II』(※下記のSMS版とは別物)を選択可能。
-
『Power Strike II』はスーパーファミコンやメガドライブ等が現役時代の1993年に欧州に向けて発売されたが、当時の日本ではマスターシステム向けの展開が既に行われていなかったため、27年越しとなる日本初上陸になった。欧州ではマスターシステム末期時代に発売されたソフトである為レア物と化しており、日本国内では逆輸入時の中古価格が3万円以上(に加え、上記のように正常に動かすには欧州版本体と50Hzに対応するモニターもしくは周波数を擬似的に変更出来るコンバーターが必要)となっていた。
-
新作『GGアレスタ3』のクオリティ
-
エミュレーションだけでなく、ゲームギアの実機でもちゃんと動くように制作されている。非常に手間のかかっている新作として話題になった。
-
美麗なドット絵はゲームギアとは思えない程丁寧な書き込み具合である。
-
『アレスタ』シリーズらしいシナリオは当時からのユーザーをも納得させる出来。
-
BGMも「Hacking Storm」「Last Messiah」「Dogfighter」「Deeper into abyss」とゲームギアの音源を活かした名曲揃い。
-
単純にSTG新作としての完成度が高く、懐古層以外のSTGファンや初心者にもオススメできる内容となっている。
-
効果音を含めて破壊の爽快感に溢れており、簡単すぎず難しすぎずの良好な難易度でプレイ感覚がとても良い。やや初見殺しが目立つものの対処法が分かりやすく、前述のアレスタチャレンジで要所要所の練習が可能。
-
ゲームギア用ソフトという制約がありながら、各面ごとに趣向を凝らしたド派手な演出が備わっており、先へ進む楽しみを大いに感じさせる。
-
過去2作のように特殊武器が〇〇一択といったバランスにはなっておらず、プレイヤーによって相性の良い特殊武器を選ぶ楽しみを持たせている。
-
ガジェット
-
特に『GGアレスタ』はステージをクリアするまでスコアがはっきりしなかったが、ガジェットのお陰で特定の敵を倒すことによって何点取ったかなどが分かりやすくなった。
-
残機は10機以上エクステンドしていても9機で表示はカンストされてしまったが、アイコンを縦2列、横10列で合計20機まで表示されるようになり増減が把握しやすくなった。
-
今まで武器を取るまでパワーアップの効果が分からなかったが、本作は武器を取る前に確認ができるようになった。ボス戦の前に違う武器を取ってしまうなどの失敗のリスクが減った。
-
アイテムを取った時の無敵時間が詳細に表示されるおかげで、どの敵に何秒以内に突っ込む事が出来るかなどが考えられるようになった。
-
希少価値の高い資料
-
当時の取扱説明書は公式サイトでしか見られないが、ゲーム内のギャラリー機能により当時のパッケージや本作のイラストが見られる。特に実機でソフトを入手できても外箱はなかなか見かけないため、電子化された本作なら堪能できる。
-
各タイトルのサウンドトラックも収録。曲名は『アレスタ』以外GAME SOUND LEGEND SERIES 「LEGEND OF GAME MUSIC ~CONSUMER BOX~」に基づいている。
-
最初に音源化された方は本作の定価を超えるプレミア価格となっていることを考慮すると、この点でも非常にお買い得と言える。
-
『Power Strike II』は最初の音源化が60Hzでの収録であったことから原作のプログラマーであった「じぇみに広野」こと広野隆行氏がTwitterで不満を訴えた事があったが、今回はちゃんと50Hzでの音源となっている。
-
限定版には新作『GGアレスタ3』の設定資料集も特典として付属している。
-
ショットトリガーズからの改善点
-
シリーズの前作の『エスプレイドψ』では画面を変更するとガジェットが強制非表示になる問題があったが、本作はガジェットの一括非表示は画面の変更時に移動し、ノーマル、ドットバイドットのありかなしの各2種類になった。
-
ソフトの起動時のロードが速い。
-
ダイレクトメニューに移動するときは前作は小型メニューであったが本作は選択前のメニューに戻るようになった。
賛否両論点
-
バーチャルコンソールの価格を基準にした場合の割高感
-
評価点に挙げた通り、現品の市場価格と比較すると安いのではあるが、Wiiや3DSにおけるバーチャルコンソールの一般的な価格と比較するとやや割高な印象となる。
-
通常、VCではセガ・マークIIIとマスターシステムは514円、ゲームギアは286円。本作の5作分に単純換算すると1,886円、海外版を含めても2,686円。こう考えると少し高いのではという批判も存在する。
-
もっとも、本作の収録タイトルは実際にはバーチャルコンソールに出ておらず、M2による高いクオリティの移植が実現されており、新作やおまけ要素も収録されていることを考えると付加価値も含めての価格設定であると言える。
-
同じく旧作移植である『聖剣伝説コレクション』等でも、表面だけを見て同様の事柄を言われることがあるが、3D復刻シリーズやSEGAAGES等、M2が関わった仕事のインタビューをじっくり読み込むと、実際には単純な右から左のベタ移植でなく、忠実に再現するために信じられないレベルの工数が掛かっていることが窺える。それ故に「むしろこの値段で販売して利益があるの?」という感想を持たれる事が多い。
問題点
-
『アレスタコレクション』と謳っているが、シリーズ全タイトルが網羅されていない。
-
『アレスタ』シリーズは様々なハードで展開されていたのだが、今回はセガ・マークIII/マスターシステムとゲームギアからの移植のみに絞られている。
-
おそらく「ゲームギアミクロ」先行での企画となっているため、GGMで動かせる見込みの無いメガドライブや他社ハードの移植は不可能だったのではないかと考えられる。
残りのシリーズ作としてはMD版「武者」は加賀電子が権利を保持しているため除外すると、MSX2版「初代、外伝、2」。SFC版「スーパー」。MCD版「電忍」の5本となっている。
-
後の生放送でそれ以外のハードで展開されたコレクションの続編構想がある旨の発言が出ている。
総評
入手困難になったシリーズを現行ハードへと移植し、さらに当時のプレイ感覚をほぼ完璧な形で実現した。
新規ユーザーにも取っつきやすい便利機能、マニアに感動を与える資料性、現在の市場価格から考えられるお手頃価格等が詰まった作品と言える。
今から『アレスタ』をプレイするならこれが決定版と言えるだろう。
余談
-
本作の発売から2年前の2018年のトークショーで「2008年に『SEGA AGES 2500シリーズ』の時から本作の構想が既にあり、『Vol.33 ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』の後にM2社長の堀井氏は前向きに考えていたが、SEGA AGESのディレクション担当であったセガの奥成氏から同シリーズの終了を宣言された為、企画が一旦凍結された」事が明かされた。
-
2020年の本作発表当時、上述のトークショーを知るファンにとってはその企画が実現したことにより大きな衝撃が走ったと言う。
-
本作の再開のきっかけは『アレスタブランチ』にゲームギアミクロホワイトを同梱する計画を立てたがコンセプトの相性が悪かった事や開発が難航されたためとの事。
-
パッケージ版には限定特典のインタビュー雑誌「Aleste history」が付属。
-
内容は仁井谷元社長のコンパイルの更なる設立経緯や『アレスタ』の誕生経緯、名前の由来等。プログラマーである広野氏が初めて明かす『Power Strike II』の誕生経緯や当時のコンパイルの状況、武器の一新の真相。当時のスタッフがメールインタビューで明かす『GGアレスタ』シリーズ裏話を中心として盛りだくさんの内容となっている。
-
本作未収録の『アレスタ』シリーズ作品の短い紹介、『アレスタブランチ』の続報、広野氏の漫画もおまけに収録。
-
限定版付属の『ゲームギアミクロ ホワイト』のスタッフクレジットにはM2完全新規制作のミニゲームが仕込まれている。
-
スタッフクレジットを起動し1・2ボタンを押すとマスコットキャラクター「キャリーくん」が現れ、文字を崩すミニゲームが遊べるというもの。最終スコアに応じて全十数種類のイラストが用意されている。
-
何気にM2がマスターシステム仕様で作った初めての新規ゲームとのこと(M2STG生放送#4より)。
-
限定版には『ビッグウィンドーミクロ ホワイト』も付属している。
-
元々はゲームギア本体に付ける拡大鏡で、それのゲームギアミクロ対応版。ミクロは画面の異様な小ささが欠点でもあったため、これを取り付けることで大分見やすくなる。
-
当初はゲームギアミクロ4色コンプリートセット予約特典の数量限定商品だったため、確実に手に入るのは嬉しい。カラーも前者がブラックだったのに対し、こちらは本作限定のホワイトになっている。
-
2021年1月28日に『G-MODEアーカイブス ZANAC』が配信された。
-
旧コンパイル消滅後に権利が再整理されて以降『ザナック』と『アレスタ』が同一ハードに登場するのは初となる。
-
同年1月にはシリーズ初となるアーケードゲーム『戦刃(せんじん)アレスタ』が発表された。2021年7月15日にALL.Net P-ras MULTI用タイトルとして配信開始された。
-
ちなみに旧コンパイルから『アレスタX』のタイトルでアーケード作品をリリースする予定があったものの、企画立ち上げが旧コンパイルの和議申請と前後したため実現しなかった。
-
また、「戦刃」のアルファベット表記は「SEN-XIN」となっている。この『アレスタX』を意識したものかは不明であるが。
最終更新:2025年01月25日 13:48