聖剣伝説コレクション
【せいけんでんせつこれくしょん】
ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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Nintendo Switch
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発売
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スクウェア・エニックス
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開発
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M2
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発売日
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2017年6月1日
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定価
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4,800円(税抜)
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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あの名作をお手軽にプレイ可能に 移植度は極めて良好で追加機能も高評価 拭いきれない割高感
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聖剣伝説シリーズ
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概要
『聖剣伝説』シリーズのオムニバスタイトル。
GB用ソフトとして発売された『聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~』(以下、『1』)、SFC用に発売された『聖剣伝説2』及び『聖剣伝説3』が一作にまとめられている。
特徴
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上記三作が収録されており、基本的なゲーム内容は原作と同様になっている。
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一部現在では倫理上問題になる部分が修正されているが、これは無修正ではCEROが通せなくなるのでやむを得ない部分である。シナリオの大筋に影響を及ぼすほどでもない。
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画面サイズはオリジナル版同様4:3(『1』は1:1)となっており、余白には壁紙が表示される。
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ZRボタンで画面切り替え(拡大⇔縮小)が可能。
拡大モードは上下いっぱいまで表示し、左右のみ余白がある。縮小モードは上下左右に余白がある。
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実質的なフィルター機能は『初代』の色調選択と、『2』『3』のアンチエイリアスON / OFFのみ。
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クイックセーブ機能とミュージックプレイヤーが搭載されている。
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両方ともエミュレーション機能を生かしており、ミュージックプレイヤーもサントラを録音しておいて流すのではなく、直接ROMを叩く形で鳴らしている。
なお『初代』と『3』はこの曲を流せという指示を出せばそのとおりに出るのだが、『2』だけはそれ以外にもパラメーターを指定しないと想定通りの音がならなかったので苦労したとの事。多分ナーシャ・ジベリのせい。
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パッケージイラストやタイトル画面のイメージイラストは、過去のシリーズ移植・リメイクに携わり『1』『2』各キャラのリデザインにも関わって来たHACCAN氏が担当。
また、タイトル画面のBGMには3Dリメイク版『1』の「Rising Sun」、各種UIの効果音には『2』のものが使われている。
評価点
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レトロゲー移植に定評があるM2が開発していることもあって、移植度は極めて良好。
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もちろん原作に忠実とは言えど、未だに語り草である「『2』のボス撃破後、進行不可能になる致命的バグ」については当然ながら修正されている。
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反面、それ以外のバグに関してはプレイヤーの有利・不利やゲームの進行不可能を問わず、ほぼそのままとなっている。
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なおスタッフインタビューで「裏技はそのままにしておきました」と意図的であることを示唆しており、こうしたバグプレイの余地も残されている。
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ちなみに『2』はあの天才プログラマー、ナーシャ・ジベリが関わった最後のタイトルとしても有名だが、M2のスタッフインタビューによると
オリジナル版から20年以上経った現在においてもナーシャのプログラムには解読不可能な部分があった
ため、その部分に関しては「オリジナル版に限りなく近い動作をするプログラム」を新たに組み直している。
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つまりただのエミュにデータを突っ込んだだけの移植ではなく、同じ素材を使った作り直しに近く、非常に手の込んだ仕事ぶりだと言えるだろう。
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2人プレイ(『2』に至っては3人プレイも)にも、もちろん対応している。SwitchそのものにJoy-Conが二つ付いていることもあって本体との相性の良さもSFC版同様である。
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また、特徴で挙げたように画面サイズを変更可能だが、『1』に限り白黒・スーパーゲームボーイ・GBの液晶風の緑がかった3タイプの色合いを選べるという、当時を知るユーザーには実に嬉しいこだわりがある。
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新たに追加されたクイックセーブは、元々『2』『3』が特定のポイントでしかセーブできないため、他のオムニバスソフト以上にありがたい。
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また、『1』は原作の時点でいつでもセーブできるとは言え(滅多に起こりうる事ではないが)変なタイミングでセーブしてしまうと詰みor突破が困難になってしまう可能性があるので、それの防止にも繋がっている。
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『2』の終盤における、モンスターからの戦利品でのみ低確率で入手できる非売品の吟味も非常にやりやすくなり、コレクターにも優しくなった。
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ミュージックプレイヤーも、それ自体はよくあるものとは言え、元々楽曲面の評価も非常に高いシリーズだったので、好きな楽曲を選んで聴けるようになったのは嬉しいところ。
賛否両論点
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リマスターではなくフルエミュレーション作品故に、『2』のクリティカルなバグを修正した事と、特徴で述べた以上の追加要素はない。
それ故に一部ユーザーからの不満の声はあるが、「下手にいじって劣化移植にされなくてよかった」「むしろこの古さが良い」などと評価する声も多い。
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一部未収録タイトルの扱いについて
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本作はスーパーファミコン版までを一区切りとして収録しており、それ以降の新作やリメイクなどは一切収録されていない。
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『4』と『新約』が収録されていない件については、いずれもファンからの評価が低い作品であるために「問題ない」とする意見が多い。
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『LoM』については人気が高く収録を望む声もあったが、外伝作であるために「未収録でも構わない・仕方ない」という意見もある。
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またPS系ハードで発売された『4』『LoM』は、前述のインタビューで「プラットフォームが違う上に『コレクション』内のエミュレート難易度も高いので見送った」と明言されている。
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GBAの『新約』についても、M2で(本作発売当時は)まだGBAのエミュレーターを制作していないというのも外された理由として挙げられる。
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『CoM』『HoM』のDS2作品についてもハードの仕様上再現するのが難しく、ソーシャルゲームに関してはゲーム性の都合上大幅な改変が必須なので実現するのは不可能に近いだろう。
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「『コレクション』を謳うのであれば外伝を含む全タイトルを収録して欲しかった」という意見もあるものの、以上の点から現実的でないことは自明である。
問題点
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コストパフォーマンスの低さ
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収録タイトルがGBソフト1本、SFCソフト2本の計3作収録で価格は税込5,000円オーバーする。バーチャルコンソールの基準で考えれば初代GBソフトは約300~400円、SFCは約800~1,000円なので、近年のコレクションソフトとしてはお得感が薄い。
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上記の通り単純移植ではなく手間がかかっていること、そもそも『1』と『3』はVC版自体が存在せず一からエミュレーションしてるため、単純にVCと比較は出来ない。だが少し追加要素があれど、消費者目線で旧作3本で5,000円越えは高すぎる。せめて価格をもう1,000円下げるか、設定資料などさらにおまけを充実していれば、この点はあまり批判されなかった可能性もある。
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アップデートで改善
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当初は何故かマニュアルが付属しておらず、(当時のゲームではよくあったことだが)収録されている3作品とも分かりやすいゲーム内チュートリアルも無かったために本作で初めて触れたプレーヤーから操作方法すら分からないと戸惑いの声が多くみられた。
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これを受けて公式サイトに当時の説明書が掲載された。後にゲーム内にもアップデートで追加されているため手軽に確認可能になった。
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総評
M2が開発しているだけのことはあって、ゲームとしてはオリジナル版に極めて近い物に仕上がっている一品。
それだけに、価格設定がどうしても全体評価の足を引っ張っており、レビューサイト等では総合点を減らされてしまう傾向にある。
ただ、再三になるが、ソフト面に関しては改悪点もなくほぼ原作通りの味わいを楽しめる良移植作である。
現行ハードでプレイしてみたいという人なら、安く購入できるチャンスがあれば買ってみてもいいだろう。
余談
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トレーラー映像では「聖剣伝説シリーズ25周年記念」となっているが、発売は初代発売より26年弱。
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倫理問題による修正を受けた箇所のひとつが、『1』で街の人を攻撃しても倒せなくなった点。
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ただし攻撃自体は原作同様可能なので、ブラッドソードを活用した回復はGB版同様使用可能でありバランスに影響はない。おそらくHPが無限になっていると考えられる。
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海外では『3』が未発売故に英語版が存在せず長らく本作も海外にて販売されていなかったが、2019年のE3にて当日より海外版(『Collection of Mana』)のDL版配信が行われることが発表された。
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これにより『3』に初めて公式な形で翻訳がなされ、海外でも初めて正規の方法でプレイできるようになった。
『3』の海外でのタイトルは『TRIALS of MANA』で、これは2020年4月発売のリメイク版にも銘打たれている。
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『3』リメイク版のE3 2019トレーラーの後半は本作の(海外での)発売告知となっているが、日本語版では「日本では配信中のタイトルとなります」と注釈されている。
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本作で未収録となった『LoM』だが、2021年6月24日にPS4とSwitchにて、翌25日にSteam(Windows)にてリマスター版が配信開始された。移植担当は本作と同じM2。
最終更新:2025年04月16日 00:44