激闘プロレス!! 闘魂伝説
【げきとうぷろれす とうこんでんせつ】
ジャンル
|
スポーツ
|
|
対応機種
|
ファミリーコンピュータ
|
発売元
|
テクモ
|
発売日
|
1989年9月1日
|
プレイ人数
|
1~2人
|
定価
|
5,800円
|
判定
|
ゲームバランスが不安定
|
ポイント
|
迫力のズームアップ演出 威力がわかりにくい技
|
激闘シリーズ 激闘プロレス!! 闘魂伝説 / 激闘スタジアム!!
|
概要
1989年にテクモから発売されたプロレスゲーム。
ファミコンでは数少ないプロレスゲームの1つであり1986年のディスクソフト『プロレス』(任天堂)以来約3年ぶりとなる。
世界レスリング連盟のスタイリー・スマイリー氏により「世界格闘五輪」が開催。
世界各地で激戦を勝ち抜いた10人のレスラーが「テクモ・コロシアム」に集結し、熱いバトルを展開する。
ルール
1本勝負で制限時間は7分間。
3カウントのピンフォール、または固め技によるギブアップで勝敗を決する。
コーナーポストに上がるとカウントを取られ、5カウントで反則負け。
また場外に出ると20カウント以内にリング内に復帰できなければ負けとなる(二人ともそうなった場合両者リングアウト引分け)。
このようにプロレスの王道なルールに準拠している。
試合はシングルマッチのみで、同キャラ対戦は不可。
評価点
豊富な技があり、10人のレスラーの個性が出せている。
-
『ノーザンライトスープレックス』『延髄斬り』、『パワーボム』など大技から小技まで揃っている。
-
それに伴いリングアナの実況も「テクモのキャプ翼」のプロレス版と言うべき演出で実際のプロレス中継と同じようなノリでプロレス好きなら見ているだけでも面白い。
-
固有の技だけでなく、技1つ1つの威力度合いが選手によって細かく設定されているので、個性付けを強めている。
迫力のズームアップ
-
選手固有で一部の技が相手の体力が少なくなって大技を仕掛けると迫力あるズームアップの絵になる。これも「テクモのキャプ翼」の必殺シュートの演出のノウハウを使った物。
初戦と負けた後はパワーアップしてリベンジ
-
ゲームスタート時と負け試合後(引分け含む)は1つ前の相手に戻されるがトレーニングして、パワーアップすることができる。
体力が半分を切ると出せる大技
-
『ジャーマンスープレックス』『ノーザンライトスープレックス』『パワーボム』『アルゼンチンバックブリーカー』など大技は体力が半分を切ると使えるようになる。
名前を自由に変更でき2P対戦でも可能
-
上記のリングアナの実況にも反映されるので、感情移入にもなり、より盛り上がる。
-
また、名前こそ全くオリジナルだが、実在レスラーをモデルにしているのもいる。
-
「ドラゴン アキラ」は、見た目といい延髄切りや卍固めなどの技といい「不屈の闘魂」という異名といいどうひっくり返してもアントニオ猪木がモデルである(延髄と卍は天龍源一郎の得意技でもありリングネームのドラゴンはおそらく…)。
-
また「クリス ハイパー」はタイガーマスク、「レックス ビート」はホーク・ウォリアー、「シュワノ ビッチ」はスタン・ハンセンによく似ており、技のスタイルもよく似ている。リアルなプロレスのファンはこれらの名前を付けて楽しんだようだ。
BGMも質が良く、中にはどこかで聴いたことのある曲のアレンジも…
-
テクモのゲームはBGMの秀逸さに定評があり、それは本作でも言える。
-
オープニングは「スポーツ行進曲」のアレンジであり、試合中には「タイガーマスク」の主題歌のアレンジまであり、特に後者は思わず口ずさんだ者もいたという。
-
レスラー10人は対等な扱いであり明確な主人公がいるわけではないが、パッケージの中央に描かれているのは「ドラゴン アキラ」であり「闘魂伝説」というサブタイトル、「闘魂ゲージ」システムなどがあるように恐らく公式では彼が主役的位置付けだったのであろう。
賛否両論点
『ジャイアントスイング』が強すぎてバランスブレイカーに近い
-
簡単に仕掛けられる上に、序盤からガンガン使っていける。
-
技の威力自体はそこまで反則級に高くはないが、投げる距離がやたら長く大抵場外転落ダメージのおまけがついてくるので大抵大ダメージになる。
-
技の多彩さに対して威力そのものは全般的に弱い「ドクター ギルド」だが、これがあるせいでやたら強く感じてしまう。
更に「シュワノ ビッチ」はこれを持っている。
-
そもそも、この技は「回して勢いをつけて投げること」よりも「回すことそのもので相手の平衡感覚にダメージを与える」が肝となる技である、がしかし、格ゲー辺りではおなじみの遠くにぶん投げるぐるぐる回ってかける技としての側面が強くて…。
対CPUと2P対戦で微妙にシステムが違う
-
対CPU戦は、体力の残りで出せる技が決まり、さらに基本的な能力を補正する「闘魂ゲージ」というパラメーターも選手毎に設定されていて、体力の多い前半が強い選手と体力の減ってからが強い選手が設定されているのだが、2P対戦時は画面中央のシーソー式ゲージが闘魂ゲージの機能を担い、大技のかかりの判定に使われているので、ゲームシステム(大技のかかる仕組み)を悪用するとほぼハメ技レベルで大技を決め続けることも不可能ではない。
問題点
技の強弱がはっきりせず、得意技の設定が紛らわしい
-
同じ技でも実は使い手によって威力が違うのは個性付けになっているが、それらは明示されないので攻略本などがないと知るすべがない。
-
例えば「ゲンジ ムラマサ」はゲームのレスラー選択画面では『ジャーマンスープレックス』と『アバラッシュホールド』が得意となっている。説明書では「得意技はジャーマンスープレックス」と書かれている。
だが実際には『ジャーマンスープレックス』は「ドラゴン アキラ」のが強い(階級差と言えばそれまでだが)。
-
固め技などはズームアップがない。
-
実際には「ドラゴン アキラ」の使う『卍固め』は最強クラスの威力がある。また『ラリアート』は全員共通の技でズームアップもないが「シュワノ ビッチ」のは必殺技クラスの破壊力があり、彼の持ち技の中では最強(元ネタの選手知ってりゃ、まあわかると思うが)。
-
一応、体力が少ない時に使える大技系は、体力があるときに同じコマンドで使う技より順当に強いのでそこはわかりやすい。
『アルゼンチンバックブリーカー』が関節技扱いになっていない
-
ズームアップの絵で見せたいという意図なのだろうが、それであれば『卍固め』もズームアップさせれば問題なかったのでは…
-
現実のプロレスだと、アルゼンチンで担いでぶん投げたり、担いだまま腰を落としたり膝を着いたりして着地でダメージを与える技もあるんですが、グラがそういう風でもなく…。
一見公平なようで実はかなり如実に能力差があり、後半の相手ほど強いというわけでもない
-
元ネタの選手の体格(階級)を見ると1発でわかると思うが、基本的にはジュニアヘビー級の選手が能力的に弱く、逆にスーパーヘビー級選手が能力的に強い傾向。
-
ただし、持ち技と威力の高い固有技の組み合わせをよく見ると、体力多くても使えるそこそこ威力の高い技を持っている選手が有利。
トレーニングは実は『腹筋』一択
-
『腕立て』『スクワット』で鍛える腕や足の力は試合でも上がるので慣れた者からすれば『腹筋』以外選ぶ理由がない。
「ダウンした相手を引きずり起こす」にメリットがない
-
『ファイヤープロレスリング』などでは、ダウンした相手を引きずり起こすとしばらく無力になり、飛び蹴り系の大技やバックに回って大技が使えるチャンスになるが、本作にはそういったものは一切ない。
同じズームアップが連続すると冗長気味になる
-
ズームアップ自体は迫力があっていいのだが、その対象の技でフィニッシュにならない(そのままフォールできない)技ばかり使いまくられると冗長気味になってうんざりする。
-
特に『ジャイアントスイング』は倒れていると高頻度で使ってくる上に、やたらアニメーションが長いので尚更。
パスワードにパワーアップ度合いが反映されない
-
これではわざわざパスワードをメモする必要性が薄い。
-
上記の通り、後半の相手だからと言って強いとは限らないがラスボスの「ブラック キング」は強いのでやはり痛い。
結局の所、連打ゲー
-
ファイプロシリーズのような組み合ってからタイミングよくボタンを押すのではなく、一定の間合いに入る所で素早くボタンを入力するタイプのシステムで十字キーで移動しながらABボタンを連打している方が技がかかりやすく、結局の所『タッグチームプロレスリング』のパンチ連打で技かける権利得るシステムと大差がない。
総評
ファミコンというかなり限られた容量の中で10人ものレスラーの個性付けがなされている。ファミコンでこれだけ細かく個性を持たせたことだけでも充分評価に値すると言えるだろう。
更にズームアップによる演出は多少ゲームのテンポを落としてでも、技の迫力を演出しており『テクモシアター』と銘打たれた『キャプテン翼』『忍者龍剣伝』に通ずる魅力がある。
また、このような演出はスーパーファミコンのプロレスゲームでも取り入れられていないため独自の魅力として輝いている。
しかしその一方で技の強弱関係や、それに伴うレスラーの強弱がわかりにくく、「トータルでは公平」というわけでもないので、ゲームとしては1人プレイでも対戦プレイでもバランスの悪さが目立っているのは非常に残念と言わざるを得ない。
余談
-
パスワードを間違えると、「お~っと! おきてやぶりのパスワードだ!」と『キャプテン翼』の「おっと!これはミスキックだ!」を踏襲したものになっている。
-
前年12月発売の『忍者龍剣伝』の取扱説明書の最終頁には「TECMO PROWRESTLING」(テクモプロレス)として本作の予告がされていた。
-
CMもフルアニメでなかなか凝っていた。アナウンサーのテンションもゲーム本編そのもので、とにかくノリで盛り上げるスタイルだった。
-
ただ「平成元年!宇宙への旅立ちだぁ~!!」はツッコミんでくれと言わんばかり。プロレスなので宇宙どころか空にすら旅立っていない(最高到達点でもせいぜい「リング+コーナーポスト+ジャンプ」で地上5m程度)。
最終更新:2024年07月09日 10:29