サッカーキッド
【さっかーきっど】
ジャンル
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サッカー・アクションゲーム
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売元
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やのまん
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制作元
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KRISALIS
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発売日
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1993年12月28日
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定価
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8,800円(税抜)
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プレイ人数
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1人
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判定
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ゲームバランスが不安定
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判定
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クソゲー
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ポイント
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サッカーゲームではない パッケージ詐欺 無敵裏技を使っても地獄 本作にレッドカード
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概要
やのまんから発売されたサッカーゲームと思いきや、元々は1993年にAmigaで発売されたアクションゲーム『SOCCER KID』のSFC移植版である。
パッケージイラストは『ドッジ弾平』や『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』で知られるこしたてつひろ氏によるものであり、喜んで手を出したプレーヤーは本作に高難易度を突き付けられ、本作もまたレッドカードを突き付けられ、クソゲー判定まで退場した…
ストーリー
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舞台は1994年の世界各地
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USAワールドカップ決勝試合に悪いエイリアンが現れ、ワールドカップを盗み宇宙船で逃げようとしたところ、事故でバラバラになり世界各地へ散逸されてしまう。
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それを見たサッカーキッドがワールドカップを取り戻すべく世界へ向かうというもので、いかにも子供向けの設定となっている。
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全5面。ENGLAND、ITALY、RUSSIA、JAPAN、USAの順に回る。
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難易度は、NORMAL、EASYで始められる
ゲーム内容
操作方法
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簡単操作とあるように使用するのは、十字キーとAボタンのみ。それだけで、多彩な動作を繰り出すようになっている。
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左右で走ったり、ジャンプしたり、しゃがんだりできる。
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Aボタンでは長押しでボールを出したり、リフティング、玉乗りなどが行える。
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他の動作へ移行できて、例えばリフティングからのシュートや、玉乗りからの大ジャンプも用意されている。
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サッカーボールには攻撃判定のほかにアイテムを回収する機能もある。マリオランドのバウンスボールのようなものである。
アクションゲーム
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各国には3つのパートで構成されており、あらゆるステージをサッカーボールを駆使して戦っていく。
問題点
こしたてつひろ要素が皆無
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イラストとドット絵が違う
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ゲーム中の主人公が、パッケージの見た目と全然違う。服装の色は似ているのかもしれないが、髪の色と表情が別人である。
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他には敵キャラ、ボス達も登場はしているが、これまたイラストとは全くの別物になっている。
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せめて主人公だけでもドットの描き直しをして欲しかったところである。
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一枚絵の種類が少ない
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タイトル画面と、ステージ開始前にこっちへ向かってくる構図のみ。以降は一枚絵は一切用意されてはいない。
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台詞も一切出てこない
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文章は、オープニングデモであらすじが申し訳程度に出てくるのみ。そのわずかな文章も「宇宙船」「爆発」も平仮名で表記されるなど質が良くない。
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作中ではボスとの会話なども一切行われず、文章らしいものと言えばポップアップでノルマが表示されるのみにとどまっている。
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ボス戦にしても、必殺シュートの類もなくただただボールをぶつけて戦うのみになっている。
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これにより、ステージクリアしてボスを倒すだけのゲームという、無機質で冷たい仕上がりになってしまっている。
ゲーム性
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スライディングで攻撃できない
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敵にスライディングをしても逆にこっちダメージを受けてしまう。ボールで戦うというコンセプトならスライディングも有効にしたほうが良かった。
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セーブ・パスワードの類はない
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このため通しでクリアしなくてはならない。特に、真エンドを目指すプレーヤーにとっては地獄のような道のりとなる。
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操作性の悪さ
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十字キーとAボタンで多彩な動作を繰り出せるのは確かだが、上ボタンでのジャンプは一般的ではなく扱いづらいものとなっている。
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海外版では、Bボタンにジャンプが割り振られている。
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また、道中には操作性のヒントなどは一切なく、ハイジャンプ操作も自力で見つけなくてはならない。
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ポップアップ
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これを見るためにはボールを当てて出すのだが、慣れない内はなかなか当たらない。そして、一度見たら消失するのも不便なところである。
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このため、色々操作しているうちに偶然当たって即座に閉じたというケースもザラ。
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表示されるものも、ノルマというものでヒントの類は一切ないのも残念。また、一部暗くなるステージではポップアップのメッセージも暗くなるので見づらい。マリオワールドのポップアップと比べると雲泥の差と言える。
難易度が非常に高い
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ライフ制ではあるが敵の攻撃も激しいので難しい。初期で2、増えても4ではとても足りない。
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敵はノックバックしないので思わぬ反撃を食うことがある。
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これによりクリア自体が至難の業となっており多くのプレーヤーを退場させた。
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一応伏せる
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タイトル画面で、B、A、R、R、A、L、スタートの順に入力してゲームを始めると、無敵状態になる。
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真エンドまでの道のりが厳しい
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通常エンド
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ボスを倒したものの、カップを結局取り戻すことはできなかったというもので、本作で誰しもが一度は見てしまうだろう。
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真エンドに行くには、道中のカードを集めていかなくてはいけない。
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道中のノルマ
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これも、ヒントがなくステージ最初のポップアップにノルマが表示されるのみで非常にわかりづらい。
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そのエリアのノルマを達成した際に特別な効果音でも鳴らないのは不親切。勿論、1枚でも取りそびれると真エンドは不可能になってしまう。
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道中に点在するカードを全部集めると、ボスを倒した後にミニゲームが開始されるようになる。
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ミニゲーム
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楽しそうな印象があるが、制限時間内に食べ物を回収しなくてはならないというもの。
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難易度は初見でも一発クリア出来る程度ではあるが、やり直しがきかないため、万が一でも失敗するとその時点で真エンドは途絶える。
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その真エンド
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一応伏せる
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最後のミニゲームをクリアすると、グラウンド上にラスボスが登場。
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ラスボスを倒すと、道中で倒した5人のボスが笑顔で迎えてくれて、更に女性ボスからキッスがもらえる。以上。
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以降はスタッフロールに合流。
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その他
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スクロール仕様
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後ろを振り返ると即座にスクロールが連動するのだが速すぎる。そのため頻繁に方向転換をする個所では画面が左右にブレまくる。
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列車ステージの遠景
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高速スクロールで分かりづらいのだが、遠景のつなぎ目がずれている個所がある。
賛否両論点
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ジャンル
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サッカーゲームではなくアクションゲームである。
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やのまんは『信長戦記』『FEDAシリーズ』も発売している事からシミュレーションの制作については定評があり、洋ゲーの輸入ではなく自前でサッカーゲームを作ったほうが良かったという意見はある。
評価点
こしたてつひろ氏の起用
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パッケージイラストも手掛けており賑やかで楽しそうな見栄えに仕上がっており、本作にも少年の一枚絵が登場しておりその品質は高い。サッカーキッドのドの濁点はサッカーボール2個で構成されている。
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それゆえに本作に手を出してしまったキッズプレーヤー達が多かったのも皮肉な話である。
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パッケージのキャラは全部登場している。
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主人公は勿論、ラグビーや力士や女性のボスは登場。更に、雑魚敵のロボットやバイク乗りなどもザコ敵として登場してる。ただし、問題点で挙げた通りパッケージとのギャップはひどい。
ゲーム性
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多彩なステージ
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あらゆるステージが用意されており、市街地や遺跡外部、工場内部などで仕掛けも豊富、高速列車ではスピード感がある。
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坂道もあり、45°は勿論、あらゆる傾斜が用意されている。
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ボスの手前では記号とともに警報を鳴らしてくれる。
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物理エンジン
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サッカーボールの軌道やバウンスは勿論、坂道を転がり落ちていったりするのも実にリアルである。ボスが強風を発生させた際はボールは転がるのも実に細かい。
グラフィックは良い
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キャラクターの描き込み
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主人公のにはリフティング、ドリブル、スライティング、オーバーヘッドなど色々な動作が用意されている。中でもサッカーボールをジャンプ台として垂直ハイジャンプはいかにもコロコロ漫画に合った発想ではある。
でも真似はしないようにする事
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また、立ち止まっている際も、瞬きする、こっち見る、あくびするなどの動作が用意されている。
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敵キャラもパッケージとは似ても似つかないとは言ったが、あらゆる動作が用意。倒れた際の表情までしっかり用意されている。
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ステージの作り込み
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多彩なステージでは車やバスなども描き込まれており、遠景も用意されて細部まで力が入っている。しかも、雨や雪のエフェクトや、トンネル内部では少し暗くなる仕様など演出も併用されており見栄えは良い。
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ステージ開始前には世界地図も表示されており、こちらも品質が良い。
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リザルト画面ではサッカーコートのスクリーンに表示するというこだわりっぷり
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MODE7
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ゲームの電源を入れると、タイトルロゴを回転させながらこっちへ向かって来る演出が見られる。
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BGMも良質なものばかり
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サッカーの雰囲気が出ており、こちらもあらゆるステージの表現を更に良くしている。
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素材は良いだけに、組み立て方次第では良質なゲームになれたかも知れないのは惜しいところである。
総評
ゲームの素材や物理エンジンなど力が入っているのは確かであるものの、その組み立て方が非常に悪かったと言える。
こしたてつひろ氏の賑やかで楽しそうなデザインにつられ本作を購入したキッズ達は、原作要素の薄さ、難易度の酷さのダブルパンチに見舞われてしまった。
現在のところ投げ売り同然であるが手を出すのは得策とは言えないとしたものだ。
余談
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日本では1994年12月に3DOで『グレートサッカーキッド』が発売されている。
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本作の後にも海外で発売された。
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SNES版(『SOCCER KID』)は一枚絵も色々と差し替えられていたり、操作も上でジャンプする操作はBボタンに割り当てられるようになっていたりなど、SFC版とは仕様が異なっている。
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後にMS-DOS、GBA、PS版も発売された。一方、Atari Jaguar版も1995年の第2四半期にOcean Softwareから発売される予定だったが発売そのものが立ち消えとなった。しかし、Jaguar版はその後完成したデータが発掘されたことから旧アタリコープスのゲーム機用ソフトの復刻などを手掛けるSongbird Productionsによって2000年2月に限定発売された。
最終更新:2021年04月17日 20:46