イースIX -Monstrum NOX-

【いーすないん もんすとるむのくす】

ジャンル アクションRPG

対応機種 プレイステーション4
Windows(Steam)
Nintendo Switch
発売元 【PS4】日本ファルコム
【Win】NIS America
【Switch】日本一ソフトウェア
開発元 【PS4】日本ファルコム
【Win】PH3 GmbH/Engine Software BV
【Switch】Engine Software BV
発売日 【PS4】2019年9月26日
【Win】2021年7月7日
【Switch】2021年9月9日
定価 【PS4】通常版:7,800円+税
 数量限定コレクターズBOX:9,800円+税
 ダウンロード版:7,741円
【Win】通常版:7,678円
 デラックスエディション:8,957円
 アルティメットエディション:10,806円
【Switch】パッケージ版/DL版:7,678円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント 「異能アクション」で立体的探索が可能に
怪人・監獄都市といった独特な世界観
アドル自身に触れたストーリー
イースシリーズ


概要

『イース』シリーズのナンバリング第9作。
監獄都市バルドゥークを舞台とし、都市の探索やゴシックな雰囲気が特徴的な異色作。
システム面では前作『VIII』をベースに異能アクションを加え、シリーズでかつてないほど自由に駆け回ることが可能。
時系列は『SEVEN』の後、アドル・クリスティン24歳。設定上の原案は『バルドゥークの檻』となっている。
サブタイトルの「Monstrum NOX」はラテン語で「怪異の夜」というような意味であり、劇中では怪人たちの夜と訳されている。


あらすじ

アドルはアトラス洋で発生したロムン艦隊消失事件の重要参考人として手配されており、旅先の監獄都市バルドゥークでロムン兵に身柄を拘束されてしまう。
監獄からの脱獄を試みたアドルだったが、その最中、銃を手にした謎の女性に出会ったことで《監獄都市》と《怪人》にまつわる奇妙な事件に巻き込まれていくことになる。


特徴

異能アクション

  • 前作までの冒険具に当たる探索を助けるアクション要素。
  • パーティキャラの怪人たちはいずれも《異能》を持ち、仲間が増えることでアクション面が拡張されていく。また二段ジャンプは今作は最初から可能。
  • 異能の使用中は異能用のゲージを消費し、ゲージを使い切ると全ての異能を一定時間使用出来なくなる。
    • 赤の王―クリムゾンライン ~王者の道~
      • フィールドに設定されたポイントに一瞬でワープする異能。またロックオンした敵にも使うことができる。
    • 白猫―ヘヴンズラン ~天空散歩~
      • 垂直な壁を駆けあがることができる異能。
    • 鷹―ハンターグライド ~猛禽の翼~
      • 翼を広げ滑空する異能。
    • 人形―ザ・サードアイ ~第三の瞳~
      • 人間の目では見えないものを見る異能。壁を透過して宝箱や敵、スイッチ等を発見できる。
    • 猛牛―ヴァルキリーハンマー ~戦乙女の救済~
      • 溜め攻撃が可能になる。脆い壁を破壊したり敵のガードを崩す効果がある。また高いブレイク値を誇り大量のスキルポイントが得られる。
    • 背教者―シャドウダイヴ ~影の門~
      • 影のように地面に潜る異能。特定の狭い場所を通るのに使う他、使っている間は敵の攻撃に当たらなくなるため、戦闘でも出番が有る。
  • これらの異能はパーティ内で共有されるため他怪人の異能を使うためにキャラを切り替える必要はない。
  • 異能ゲージは異能の使用を止めると一瞬で回復するため、ARPGで良くあるスタミナゲージの回復を待つ様なストレスはない。実質的に、ハンターグライドとシャドウダイヴの連続使用に制限を付けるための仕様。

ゲームの流れ

  • 探索要素
    • 本作の冒険は監獄都市の中からスタートするが、主人公は呪い(の様なもの)の影響で街の外周および区画の境目に張られた「障壁」の影響を受けるため、街から出ることができずまた区画移動にも大きな制約を受ける。
    • 当面は、障壁を壊し街から脱出する方法を探すことが目標となる。
  • ラルヴァ戦
    • 本作の雑魚戦闘の主要素。
      • バルドゥーク内に点在する黒い点や赤い点に触れるとラルヴァ(邪霊)との戦闘になる。勝利すると「NOXゲージ」が溜まりアイテムが取得できることもある。
  • NOXゲージ
    • ラルヴァとの戦闘やクエストをこなすと溜まるゲージ。一定数溜めると瘴気の渦が出現しグリムワルドの夜に挑むことが可能となる。
      • 章末で余った分は「宵闇の欠片」というアイテムに換算されるため、毎章溜める必要がある。
  • グリムワルドの夜
    • 前作の迎撃戦に当たる要素。
    • NOXゲージを溜めて発生させたり、ストーリー上で強制突入するものがある。
    • 夜を終息させる柱スフェンを守る「防衛戦」と紅い結晶ラクリマを破壊する「破壊戦」の2種あり、基本的には最後にその夜の主を討伐すればクリア。
      • このグリムワルドの夜を攻略できると街の障壁が解除される。
  • ラルヴァやクエストでNOXゲージを溜めグリムワルドの夜をクリアし行動範囲を広げる、全編通してこの流れでゲームが進行する。

戦闘システム

  • スキル
    • スキルポイントを消費して放つ強力な攻撃。
      過去作と異なりSPが自動回復するが、それを前提としているのか今作のスキルは序盤から燃費が悪目で、溜め攻撃も中盤までないため連発していると枯渇しがち。
  • ブースト
    • 連続して攻撃する、フラッシュガードを成功させる等で溜まるブーストゲージが半分以上になると発動できる。
      ブースト中は移動速度の上昇や通常攻撃・スキルの強化、HP自動回復の恩恵がある。
      ブーストゲージは非戦闘時や消極的なプレイにより自動で減少していくため、ボス戦用に残しておくといったことはできない。
  • EXTRAスキル
    • ブースト中に発動可能。発動するとブーストゲージが0になる。
      ブースト中の切り札といった扱いになった為大技を一発撃って終了という形になったが、
      その分演出が非常に短くなり、攻防の流れを切らないようになった。
  • その他フラッシュガード、フラッシュムーブ等基本的にはVIIIと同様。

その他

  • アドルは指名手配の身であるため街中では代名詞の赤毛を黒髪に染めて行動する。
    • 隠れ家でもある拠点の運営は、前作と同様にドギが中心となる。拠点ではメインストーリーから外れたサブクエストの受託や収集要素、素材交換など、前作の拠点に準じた行動を行う事ができる。
    • 拠点に集まった協力者とのクエストを進めることで、グリムワルドの夜で協力者のサポートスキルを受けることができる様になる。
  • 収集要素
    • 蒼い花びら
      • 幸せをもたらすと言われ、集めている人物に渡すとある変化が…。
    • 街の落書き
      • 昔から現在までの様々な落書き。世界観の補強や呪いの言葉、怪人についても書かれている。

評価点

アクション面

  • 異能アクションの爽快感
    • バルドゥークは異能アクションが存分に発揮できるよう作られている。街のマップは室内除きエリア分けがなく一繋がりとなっていて、まさに怪人気分で自由に駆け巡ることが出来る。
    • 移動系の異能も非常に速くマップの作りも相まって、異能を使わされているというより積極的に使いたいと思えるようになっている。マップの高低差を生かした探索は新鮮で楽しめ、従来のギミックやパズル要素も異能で行うためテンポが良い。
      • 高所に駆け上がる『ヘブンズラン』と、滑空で飛距離を伸ばす『ハンターグライド』の2つが使えるようになると一気に行ける場所が増え、最初から見えてるけどどうしても行けない場所が多かった街の探索が楽しめるようになる。
        この2つの能力が比較的早期に解禁されるのも、地味ながら嬉しいポイント。
    • 戦闘中にも有用なものも多く、敵の大技をシャドウダイヴでやり過ごしたり、クリムゾンラインで急接近したり等、緩急をつけた戦略をとることもできる。
  • 都市の中に隠しダンジョンがいくつもあり、異能を入手することで隠しダンジョンに入れる様になるなど、探索のしがいがある。
    • ヘヴンズランとクリムゾンラインで建物の尖塔に上り、サードアイで街中の怪しい箇所を発見しハンターグライドで直行、時には入り口の壁をヴァルキリーハンマーで破壊したりシャドウダイヴで隙間から潜り込んで隠しダンジョンに潜入する、などどこぞの正義の味方ムーブをプレイヤーが行えるのは爽快。

シナリオ面

  • 冒険家アドルを掘り下げたストーリー
    • 詳しくは避けるものの、経験を積み冒険家として名を馳せ始めた時系列だからこそできたシナリオは特にシリーズファンに感慨深いものになっている。
      • また漂流や武具のリセットなどシリーズのお約束について言及される場面も。
  • 魅力的なキャラクター
    • 怪人たちそれぞれにドラマが描かれていて好感が持てるようになっている。
    • またアドルの協力者においてもバルドゥークで様々な事情を抱えた者たちが集いシナリオに深みを与えている。
  • 呪縛からの解放というテーマ
    • 登場人物やバルドゥーク自体が過去からの呪縛に囚われており、全編通してそれを解放することがストーリーの軸となっている。
    • 監獄都市という舞台や謎めいてスッキリさせないシナリオ進行も閉塞感を抱かせテーマとの親和性が高い。
  • 巧みなストーリー構成
    • プレイヤーがまだストーリーに没入していないゲーム冒頭ではすぐアクションパートが入る、ストーリー各章の最後には決まって本編の裏側のシーンを入れて続きが気になる見せ方をするといった具合に、プレイヤーが退屈しないように工夫されている。

BGM

  • 安定のイースサウンド
    • 序盤地下水路の「CLOACA MAXIMA」
      PVでも使われた「GLESSING WAY!」
      疾走感とダークさを兼ね備えるボス曲「MONSTRUM SPECTRUM」
      フィールドに出た解放感とともに印象に残る「NORSE WIND」
      などがゲームを盛り上げる。
    • 一方で設定の性質上フィールド曲はシリーズでも非常に少なく、街曲やイベント曲の割合が高い。

その他

  • 声優関連
    • 怪人の境遇に踏み込むイベントでは声優の熱演が見られ好評。
    • 怪人とその正体で微妙に演技を変えたり、また数場面ではあるが演技を利用した仕掛けもある。
      • そのためか本作では『閃の軌跡』以降ノルマになっていた本編中の声優名表示が一切ない。それが当たり前といえばそうだが。
  • 快適性
    • 頻繁に利用する鍛冶、買い物などはほぼ拠点内で揃えられる。さすがに素材が必要な防具や一点物は現地で買う必要があるが。
    • 収集要素は全て地図に書き込まれ取り逃しにくい。蒼い花びらは当初なかったがアップデートで記載されるようになった。
      しかし立体的な地形が多いため地図にあるからすぐに取得できるとは限らず、探索の楽しさを損なってはいない。
    • 属性変更のアクセサリが中盤から手に入るようになり、好きなメンバーでパーティを組みやすくなった。
  • ムービーシーンではモーションキャプチャが取り入れられ演出が向上した。
    • しかしムービー以外では使っておらず、
      一般兵ののろのろ走りやガタガタするふり向き方など目に余るようなモーションも残っている。

賛否両論点

  • オープニングムービーがない
    • イース恒例の印象的なOPがない。ネタバレの考慮や引き込まれる導入をしていること、同会社の前作『閃の軌跡IIIIV』のオープニングアニメが低クオリティだったことから特別批判されてはいないが。
  • 過去作要素の強いストーリー
    • イースと言えば『I/II』以外一作完結で基礎知識がいらないシリーズだったが、本作の特に終盤はシリーズ既プレイかどうかで感動度合いが変わるイベントがある。
    • 本作のシナリオを理解する上で必須というわけではないものの、本作がシリーズ初プレイの人は置いてきぼりをくらいやすい。
      • 一応それこそ前作『VIII』が初プレイの人でも納得はできるようにはなってはいるが。
  • 冒険感の薄さ
    • 舞台が1つの都市の中だけでほぼ完結しているため、スケール感が小さい印象となってしまっている。
    • 毎章障壁を解除するルーチンも窮屈さを抱かせる上、前作が開放的なロケーションだったこともあって槍玉に挙げられやすい。
      • ただし強制的に行動範囲が制限されている怪人の設定や、「呪縛」というテーマやストーリーという点ではマッチしていることは間違いない。
    • ファストトラベルの拠点になる「ロケーションポイント」も、前作は「絶景の景色や古代の遺構などの見所がある場所」であったが、今作では負の遺産や過去からの呪縛を象徴する様な場所が大半で、ロケーションポイント巡りをしても閉塞感ばかり感じてしまう。
  • 前作を引き継いだ結果、今ひとつ生きていない幾つかの要素。
    • 前作で好評だった素材交換などのシステムを今作でも引き継いでいるのだが、今作は都市の中というだけあって貨幣経済も生きている。
    • 結果、初期の頃はともかくお金が多く手に入る頃には素材交換が殆ど使い物にならなくなってしまう。前作と異なり上位素材を下位素材に交換できない事が更に使い勝手を悪くしている。今作では上位素材が手に入るようになっても下位素材が欲しい場面が多いため、下位素材への交換ができれば買い物との棲み分けが出来たと思われるのだが。
      • 素材は宵闇の欠片と交換するのが基本となっている。フィールド上では終盤にならないと取得できない素材も欠片との交換で序盤から手に入れられるため、NOXゲージを稼いでから進めるか迅速なシナリオ進行を優先するかはプレイヤーに委ねられている。この構造はすぐに気付けるようになっている。
  • プレイアブルキャラの構成変化
    • セルセタ・8では斬・射・打のキャラが男女1人ずつというバランスのよい構成になっていたが、本作では打が女性のみ・射が男性のみになった。恐らく怪人設定の都合のためだろうが、セルセタ・8をプレイした人には違和感を感じるかも知れない。

問題点

  • 高難度のトラップダンジョン
    • 中盤以降、怪人ではない人物でダンジョンを攻略するパートがあり、それが即死級のトラップが張り巡らされたダンジョンにアクションが大幅に制限された状態で挑ませるというもの。
      オートセーブ地点が少ないこともあって初見だとちまちまセーブロードを繰り返して進むことになる。
      • シリーズでも全くなかったゲーム性でストレスが溜まりやすく、またその人物に異能がないとはいえこの貧弱さは設定上おかしいという批判もされる。
        ただこのパートがあるからこそ怪人の凄さが際立つ一面もあるにはある。
        実際怪人たちの戦闘能力は、1体だけとはいえ特殊な装備などなくとも「人類の天敵」を打ち倒せるほどであり、常軌を逸したスペックであることは間違いない。
    • 初期ver.では復帰ポイントが少なく、ミスをするとかなり巻き戻されるポイントが多かったが、バージョンアップで復帰ポイントが増やされた他、周回プレイ時に該当パートをスキップできる様になった。
  • 露骨に壁上り対策された地形
    • ヘヴンズランでどこでも上れてしまうが故の苦肉の策だろうが、壁の上方が突き出ていて上れないようにしてある地形がある。
      • 街中など人工物ならまだわかるものの、自然のフィールドで多用されていると不自然で目に付く。
  • 足りてない最終盤のシナリオ
    • 最終盤においてそれまでと比べて非常に駆け足な展開がなされる。
    • 明らかに前振りが不足している設定や台詞だけで一気に説明される事柄が増えてしまう。もちろん本作だけで伏線回収され解決されるのだがすんなり飲みこみ辛い。
    • その影響をもろに受けたのがアプリリスである。
      • 彼女についてようやく掘り下げられるという所で終盤に入ってしまうため、影が薄めなまま終わってしまう。グッズでは『IX』のメインヒロイン扱いなのだがもったいない。
  • キーアサインについて
    • ゲームを進めると使える様になる異能のうちいくつかはコントローラから直接発動させるのだが、前作の時点でコントローラのボタンをすべて使用していたUIに更に異能操作が追加されたため、PS4のキーパッドやL3/R3まで目一杯使ってもキーアサイン可能な操作をすべて割り当てる事ができないほどキツキツである。
    • 特に初期状態で「ミニマップの表示・倍率切り替え」「仲間の行動切り替え」などの操作がアサインされていないため、前作未プレイだとそういう機能が存在することに気がつきにくい。
    • スキルはL1+○×□△に割り当てられるため、異能や探索時専用の操作を同じく2ボタンの組み合わせに割り当てられる様なシステムであればもう少し余裕ができたと思われるのだが。
  • 一部装備品の性能低下
    • 恐らくバランス調整のためだろうが、消費SP軽減アクセサリと、消費SP増大の代わりにスキルダメージUPアクセサリに露骨な性能低下が見られる。前者は半減のモノが無くなっただけなので、バランス調整の範疇に収まっているが、後者は「スキルダメージ1.5倍・消費SP2倍」「スキルダメージ2倍・消費SP3倍」という、もはやアクセサリの存在意義が皆無に等しい(アクセサリを外して普通にスキルを連発した方が強い)調整がなされている。
      • 消費SP増大の代わりにスキルダメージUPアクセサリについては、流石にこれではまずいと思ったのか、次作の10では「スキルダメージ50%アップ・代わりに消費SP50%アップ」に変更されている。
  • 前作よりボリュームダウンしたやりこみ要素
    • 前作にあったインフィニティモード・隠しダンジョン・ギャラリーモードが未収録。またクリアデータをロードしても、最終決戦前から再開出来なくなったので、人物メモを100%に出来るのがエピローグ内のみになった(前作同様人物メモがクリアデータ(周回プレイ)に引き継ぎ出来ないため)。
  • その他(アップデートで改善)
    • 街中へ出る場合のロード時間がそこそこあったが後に短くなった。同時に、フレームレートもある程度改善された。
    • カメラの上へ角度が制限されていた。垂直に壁を登る場面が多いのに登り切れるかどうか事前に確認するのが大変だった他、あるボスで上を向くことが必須だったため不便だったが、後に緩和されかなりの仰角を取れる様になった。当然(?)下着を覗くことはできない様に調整されている。
    • ダッシュの速度が上がる装備アイテムの効果が分かりづらかった。
    • ある手順を踏むことで、序盤からいきなり最終章に飛んでしまうというとんでもないバグが存在した。 しかし、手順が複雑で、意図的に起こさない限りはまず起こらない現象である。少数ながら、これを生かしたRTAも存在する。PS4のパッケージ版かつ、パッチがVer.1.00の時のみ可能。
  • テキスト
    • 発言の前に「はは…」「ふふ…」とつけたり、語尾に「というか」など、ファルコム節は本作も健在。とはいえ、気になる人は気になる程度。

移植版

Steam版

  • 2021年7月7日配信。価格は7,678円。販売はNISAmerica。
    • 移植は、Steam版『VIII』の全面改修などでPCゲームの最適化に定評のあるPeter “Durante” Thoman氏率いるPH3社と、NISA配信の閃シリーズやSwitch版『ノーモア★ヒーローズ』の移植も手掛けたEngine Software社が共同で担当。
    • 延期や修正を繰り返した前作の教訓からか、移植や最適化に定評のあるデベロッパーに任せた事で予定通りの配信となり。大きな不具合報告もほぼ無い。
  • PCゲームならではの細かい描画設定により。PS4版を上回る高画質化やフレーム上限なしの高負荷設定は勿論。内蔵GPU向けの低負荷設定も用意され、幅広いPC環境に対応。
    • 2022年1月18日のアップデートにより、Coop機能の実装と16:10の画面比率に対応。また、PH3社がSteam版と併せて移植を担当したSwitch版『英雄伝説 零の軌跡:改*1で用いた60fps化の最適化技術が本作にも流用できることが判り、同年5月25日のアップデートで更に軽量化している。
  • Steamストアページで体験版が配信中。

Switch版

  • 2021年9月9日発売。価格はパッケージ・DL版共に税込7,678円。販売はNISAmerica(国内は日本一ソフトウェア)。
    • 移植はSteam版も手掛けたEngine Software社が担当。
  • PS4版の衣装DLCが全て収録済な一方で上限30フレーム動作と、前作と似た仕様。
  • ニンテンドーeショップで体験版が配信中。
    • Steam版とほぼ同内容だが。描画設定が無い事や1プレイにつき10分の時間制限有りといった違いがある。
  • 前作では衣装DLC全部入りなSwitch版の定価が割高である点が、一部ユーザーから批判の的となっていたが。
    • Steamの通常版と定価が同一の今作は、DLCが別売り及びDLCバンドル版が別価格のSteam版の方が、実質割高となっている。

総評

SEVEN』以降探索要素を拡張させる方向性の『イース』シリーズ。
だが、本作では海外のオープンワールドゲームのような仕様を取り入れさらに自由度が増した。操作性もよく従来のスピーディさを損なうことなく両立させている。
都市中心の舞台設定や雰囲気、強めの過去作要素などシリーズでも異端ともいえる本作だが、シリーズを追ってきた人ならよりストーリーが楽しめ、初見でもアクションに十分満足できる。
特に直近の『VIII』とはあらゆる意味で対照的な作品なので両方あわせておすすめしたい。


その後の展開

  • 2022年12月15日にシリーズ最新作『イースX -NORDICS-』が発表された。北の海「オベリア湾」を舞台とした冒険が描かれ、シリーズ初となる帆船の操作と言った新要素が多数登場する。
    • 対応機種はPS5/PS4/Switchで、2023年9月28日発売。2024年10月26日には、Win版も発売された。
最終更新:2024年11月28日 21:44

*1 日本一ソフトウェアから2023年8月31日に発売予定、海外版は発売済。