マッド・シティ

【まっどしてぃ】

ジャンル アクション・シューティング
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 コナミ
発売日 1988年8月12日
プレイ人数 1人
定価 5,500円
レーティング 【VC】CERO:B(12才以上対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii U】2016年9月21日/524円
判定 良作
ポイント トリプルハードアクションゲーム
当時にしては珍しい光線銃対応
アメリカ映画よりもこっちが先


概要

現代のアメリカを舞台としたバイオレンスアクションゲーム。
ストリートファイト(横スクロールアクション)を主軸としガンシューティング、カーアクションを織り交ぜた複合型アクション&シューティングゲーム。
CMは元より雑誌でも「3つのゲームが1つのソフトに詰まったおトクなゲーム」と謳われていた。

ガンシューティングのモードは光線銃にも対応している。


ストーリー

ベトナム戦争後、故郷の田舎で静かに暮らしていた退役軍人ビリー・ウエスト(主人公)。
彼は大企業の令嬢・アナベルと恋愛関係にあったが、周囲には「身分が違う」と反対される。

彼らの関係に目をつけたギャングのボスであるゴードンはビリーを抹殺するためにアナベルを誘拐。
ビリーは、さらわれた恋人のアナベルを救うため、たったひとりで敵のアジトへ乗り込んでいく。


内容

  • 全9ステージ構成。
    • ストリートファイトを主軸とし、4・5ステージはカーアクション、2・7ステージは一人称視点でのガンシューティングと、CMなどで歌われた通り大きく3通りの構成になっている。
    • ステージ間にストーリーパートが挟まれる。
    • クリア時は残っている弾丸がボーナス点になる。
  • カーアクションの4・5ステージとストリートファイト5ステージの内、1・6・8ステージはボスがいないので最後までたどり着けばクリア。
  • ライフ制。
    • ライフが尽きると死ぬ(肉を取って回復できる)がかなりタフ。
  • ストリートファイトでは、主にパンチやキック、ジャンプキックとアイテムで戦う。
    • ナイフ(投擲用)、ピストル、棒、ムチ、防弾チョッキ、肉といったアイテムも豊富。
  • ガンシューティングステージのアイテム、弾薬、砂時計(一定時間段数無制限で撃ちまくれる)、救急箱(ライフ回復)は弾を当てて取る『オペレーションウルフ』のような格好になる。
    • ガンシューティングはタイトル画面で「GAME A」を選べばコントローラーで、「GAME B」を選べば光線銃でプレイする。
      光線銃がないのにうっかり「GAME B」を選んだままガンシューティングステージに入ると詰み。パーになるのがステージ1クリアだけなのが救いと言えば救い。
  • カーアクションステージの弾は無制限。
    • 前方に撃つ銃と空中に投げ上げるダイナマイトで敵を攻撃する。
      • ダイナマイトは前上方に投げ上げている(前に向かって山なり)形なので、落下したポイントでは地上にも有効。

評価点

  • 大きな変化のある展開。
    • このゲームを語る上で欠かせない、ガンシューティングやカーアクションといった全く異なるゲーム性を織り交ぜることで、非常に変化のある展開を作り出している。
  • 初心者に優しいトレーニングモード。
    • ゲーム本編よりも難易度が低く、複合的なゲーム性の1つ1つを手軽に試せる。
    • 単にこの変則的なゲームに慣れる意味合いだけでなく、クリアすると本編に持ち越せる予備のガソリンタンクや弾丸、回復用の肉、といったアイテムが獲得できる。*1
  • ストーリーパートだけでなくアクションの中でもストーリーが感じられる展開。
    • ステージ3はボスのいるステージだが、倒してその場でクリアというわけでなく、先へ進むとアナベルを乗せたトラックが発車するシーンで終わる。
    • もちろん、それを見たビリーに「つっ立ってないで走って追っかけろよ」というツッコミどころはあるが…
  • アイテムが豊富で、ちゃんと住み分けができている。
    • ストリートファイトステージは『ダブルドラゴン』に似ているが、アイテムが専ら攻撃用だったそれと異なり、武器だけでなく回復アイテムの肉、銃弾系を防ぐ防弾チョッキなど用途が広い。
    • また武器にしても、投げても当てた後拾えるナイフ、リーチや威力を上げる棒やムチ、有限だが長射程で強力なピストルなど、それぞれが独立した長所を持っている。
    • バランス的にはムチが一番だが、これはステージ6まで使えない。
      • ただし、前述のトレーニングモードではこれを持った敵が出現する為、それを奪い取ったままクリアすればいきなりステージ1から使用可能。
  • ちょっとしたお遊びのマルチエンディング。
    • 普通はラスボスを倒した後出てきたアナベルに触れると抱き合ってエンディングになる。
      • この時、隠しコマンドを入れるとアメリカなのに関西弁のちょっと笑えるエンディングにできる。
    • 恋人のアナベルが出てきても、それから逃げてばかりいる(触らずに一定時間経過させる)と破局のようなバッドエンドになってしまう。
      • 難易度自体が高くないので、リプレイの楽しみになっている。
  • ファミコン音源の可能性を大いに広げたBGM。
    • ゲーム中に流れるBGMはほぼ全編、ゲームの世界観に合った古き良きアメリカを思わせるファンクミュージック。
      • それまでのゲームミュージックといえば、音色の表現力の限界もあり、ほのぼのとしたイージーリスニングや軽快なポップス、ロック調の曲が中心だったが、本作ではファンキーでグルーヴ感のある曲調で他に類を見ない。
    • ボンゴやコンガを思わせるDPCM音源を駆使したパーカッションパートに、ギタースラップを模したであろうリードが抜群にマッチしている。
    • この頃のコナミ作品は名曲揃いではあるのだが、ファミコンにファンクミュージックを持ち込んだチャレンジは賞賛に値すると言って過言ではないだろう。

賛否両論点

  • 見た目に反して難易度が非常に低いので、低年齢層でもクリアしやすいが、手慣れた者にとってはいささか物足りなさが感じられる一面もある。
    • ファミコン草創期の過剰な高難度揃いだった頃を思えば、それも抑えられてきた時期ながら、その中でもかなり難易度が低い。
    • 上記の通りトレーニングモードで補助アイテムを獲得すれば更に下がるので初プレイでゲームオーバーを経験しなかったプレイヤーも珍しくない。
    • 実際補助アイテムなしでも無理なくクリアできるバランスになっている。
  • 無敵キャラや条件つきでないと倒せない敵がいない。
    • 上記と被るが、このような敵がいないというのもいささか物足りないものがある。障害物的なものもカーアクションステージの岩やオイルのみ。

問題点

  • 唐突なステージクリアがある。
    • ストリートファイトのステージ1・6・8は、ボスが不在で最終地点に辿り着けばクリアなのだが、いきなりクリアのSEが流れるだけ。
    • カーアクションのステージならまだしも、アクションステージでこれは淡泊な感じが否めない。
  • カーアクションステージはアイテムが乏しい。

総評

当時は『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』大ブレイクの影響でRPGばかり求められていた時代だったこともあり、アクションゲームはマリオなど一部のビッグタイトルを除いて注目度が低く、一段劣るような扱いを受けていた不遇な時代。
本作も例外ではなくさほど目立って注目もされず評価も芳しくなかったが、複合アクションに加えて、それにしっかり乗ったストーリーの流れなどゲーム自体は総じて完成度が高く、バグのような欠陥も少ない。
本作の多彩なゲーム性に慣れるとともに補助アイテムが獲得できるトレーニングモードなど初心者への配慮もできており、低年齢層でもクリアの達成感を得やすいなど万人受けするゲームに仕上がっている。


余談

  • コナミは1986年に『グーニーズ』や『キングコング2』などアメリカ映画のゲーム化作品を出していたこともあって、本作はアメリカが舞台でまるでアメリカ映画を彷彿とさせるタイトルなだけに、当時は本作もアメリカ映画のタイアップゲームと勘違いした人がいた。実際は全くのオリジナルである。
    とはいえ主人公の造形等大まかなモチーフは洋画の『インディジョーンズ』や『クロコダイルダンディー』を参考にしていると思われるので勘違いをしても仕方ない部分もあるのだが。なお攻略本のインタビューによると後者は完全に意識していたとの事。
    • 後にアメリカで同名の映画がワーナー・ブラザースによって1997年に公開された(日本でも翌1998年5月に公開)。もちろん、これも本作とは一切関係なく、ストーリーも異なる。
  • 海外では『The Adventures of Bayou Billy』のタイトルで発売され、こちらでは大ヒットとなった。
  • ネタとして日本でも千葉県の松戸市が英訳すると「マツドシティ」なので「マッドシティ」と呼ばれることがある。
    • そんなネタに反して治安自体は良く、東京のベッドタウンとして重用されている。
  • 2016年9月21日よりWii Uバーチャルコンソールにて配信開始。光線銃をWiiリモコンで代用できるようになっている。

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最終更新:2024年03月01日 06:25

*1 ただし、トレーニングモードを完遂した後、電源を切らずにゲーム本編をクリアすると、バッドエンドが待っている。