バイオミラクル ぼくってウパ
【ばいおみらくる ぼくってうぱ】
| ジャンル | アクション |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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| 発売・開発元 | コナミ | 
| 発売日 ()は書換開始日
 | FCD | 1988年4月22日(1988年6月14日) | 
| FC | 1993年2月26日 | 
| 定価 | FCD | 3,300円 | 
| FC | 3,900円(税別) |  | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 配信 | バーチャルコンソール | 
| Wii | 2008年6月3日 | 
| 3DS | 2014年2月19日 | 
| WiiU | 2015年7月15日 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 史上初! 赤ん坊が主役のアクションゲーム 時代に恵まれなかった不運
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概要
1988年にコナミから発売された当時としては非常に珍しい赤ん坊が主人公のアクションゲーム。
赤ん坊が主人公で、しかも危機に瀕した王国を救うために冒険するという、過去に例を見ないストーリー。
全体的にコミカルタッチなものになっている。
当初はファミコンディスクカードとして発売されたが、ファミコン末期の1993年にロムカセット化もされた。
ロムカセット版はイージーモードが搭載。また、拡張音源非対応のためBGMの細部が異なっている。
内容
ストーリー
ルアクーヨ国の王子ウパは、生後一か月ながらもハイハイができるようになり、
王国の大臣をして「ただ者ではない!」と言わしめたほどのやんちゃなイタズラっ子であった。
ある日ウパは、その昔、勇者ウパラートに封じられた魔王「ザイー」の眠る壺を割ってしまう。
解き放たれたザイーはその魔力で人々の夢を奪い、人々はすっかり無気力になってしまった。
しかし、純真な心を持つ赤ちゃんにだけは自分の力が通用しないことに気付いたザイーは国中の赤ちゃんをさらってしまう。
ただ独り難を逃れ悲しみに暮れるウパの前に妖精が現れた。
ザイー封印に巻き込まれてしまったというその妖精は、ウパに純真な赤ちゃんだけが使いこなせる魔法のガラガラ
「ガラ=スウォード」を授け、ザイーを退治するよう懇願する。
ウパは王国の平和を取り戻すため、ガラ=スウォードを手に冒険に旅立つ。
システム
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主人公のウパはハイハイして進む。
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一見遅そうに見えるが、実は決して遅くないし、ジャンプもかなり高く飛べる。
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高所から落ちると、ひっくり返ってしまい少しの間動けなくなる。
 こうなる場合、空中でウパが直立姿勢になるので、先に察知することが可能。
 
 
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ライフ制でハートで表示され、0になるとミスとなる。
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ハートは初期値は2だが、アイテムのハートを取ると1つ上限が増え最大5。
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ダメージは常に1のみ。
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ROMカセット版のイージーモードでは、初期ハートは3、ダメージは0.5。ハートの上限はFDS版・ROM版ノーマルモードと同じく5。
 
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直接敵を倒すような攻撃はできず、ウパの武器「ガラ=スウォード」を敵に向かって振ると、敵はまるで風船状に膨らむ (『ディグダグ』のように連打する必要はない) 。
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膨らんだ敵は、そのままゆっくり宙に舞い上がっていく。一定時間が経つとパチン!とはじけて、倒したことになる。
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その膨らんだ敵に体当りすると高速で飛んでいき、それを他の敵に当てることで倒すことができる(スーパーマリオブラザーズのノコノコの甲羅を蹴飛ばすようなもの)。弾かれた敵は壁や天井・床で跳ね返り、跳ね返ってきた敵にウパが当たってしまうとダメージを受ける。
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ボスは「ガラ=スウォード」が通じないが、ボスと同時にザコも必ず出るので、そのザコ敵を膨らませて、体当たりで弾いてぶつけることでダメージを与えて倒すことができる。
 
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膨らんだ敵を足場にもでき、それに乗って上昇もできる。ただしウパが乗った状態ではじけてしまうと落ちるだけでなく、ダメージを受けることになる。
 
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全7ワールドで各ワールドはそれぞれ3エリア構成になっている。
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3エリア中1つは変則的なものになっている。
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ボスを倒し際に出てくる宝箱を「ガラ=スウォード」で開け、囚われた妖精を開放することでステージクリアとなる。
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一部ボスがいないステージは、最奥に進むことで宝箱が降ってくる。また、3エリア目は宝箱が2つ出現し、片方には1UPが入っている。
 
 
ステージ構成
ワールド1 スイートワールド
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エリア2はスポンジケーキの中を上下左右に食べながら自由に進める。
ワールド2 ベジタブルワールド
ワールド3 アイスワールド
ワールド4 ICワールド
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エリア2は上下が逆になっており、上側に重力がある(つまりジャンプが画面下)。
ワールド5 ステイショナリワールド
ワールド6 ミルキーワールド
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エリア2はチーズの中を上下左右に食べながら自由に進める。
ワールド7 ミラクルキャッスル
アイテム
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砂時計
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画面上の敵が一定時間ストップ(止まっていても触れるとダメージを喰らう)
 
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ベル
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ウパが直立して走り出し一定時間無敵
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ただし、効果中はガラ=スウォードを振れないため、宝箱を開けることができない、という難点がある
 
 
評価点
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当時のアクションらしく操作自体はそこまで複雑なものではない。難易度もさほど高くなく見た目通り癒し系。
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敵を膨らまして飛ばしたり、足場にしたりなどは独特だが、言い換えればそれさえ覚えてしまえば、それ以上に細かいものを覚える必要はない。
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ちなみに、この飛ばして倒すはアクションゲームの代名詞『スーパーマリオブラザーズ』から続いているので、とりわけ難しいものでもないという見方ができる。
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この「膨らました敵を飛ばす」は縦・横・斜めが有効で、その当り方には少々コツがあり低年齢層には少々荷が重い所があるが、この程度なら「適度なやりごたえ」の範疇だろう。
 
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また、見た目通り低年齢層でもクリアは十分可能なやさしめの難易度になっている。
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もちろんコンティニューも無制限で、各ワールドのエリア1から再スタートできる。
 
 
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ステージのギミックが多彩で、しかも変則的なエリアも多いので非常に変化のある展開を楽しめる。
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上記の通り3エリア中1エリアは、横道型なアクションではなく、ジャンプなしの上下左右で進んだり、水中面であったり等。
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また4ワールドの2エリアは上下逆重力と言う、今までになかった新しい趣向が盛り込まれている。
 
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実は意外と当り判定の広い「ガラ=スウォード」。
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多少上下にズレていても命中するので、敵のいる狭い足場にも着地する場合でも、案外何とかなることが多い。
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直接倒す手段は乏しいだけに、これだけでもゲームバランスを良く保てている。
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また、敵を膨らまして足場にするという形で今までにない新しいアクションを生み出している。
 
 
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かわいらしさに徹した世界観やアクション。
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ストーリーに反して、いろいろプレイヤーの身の回りにあるものなどで作られた世界は、赤ちゃんのウパの冒険によく似合っている。
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ラストのミラクルキャッスルも、おもちゃで構成されている。
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フワフワと降りて空中で直立してそのまま足から落ちてひっくりかえるウパのアクションにしても、立てずに後ろに転んでお尻を見せるという、実際の赤ちゃんでも見られるかわいらしい動きの典型である。
 
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良質なコナミックサウンド。
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可愛らしさとノリの良さを兼ね備え、世界観にマッチしたBGMが揃っている。
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ワールド1-1などの地上面で流れる「A Rattle Samba」は『極上パロディウス』や『ポップンミュージック9』でも使用されるなど、本作の象徴的な曲と言えるだろう。
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ディスクシステムの拡張音源に対応し、音の深みが増しているのも評価点。
 
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概要の通りロムカセット版は拡張音源非対応だが、違和感が少ないようにBGMがアレンジされている。
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効果音もガラ=スウォードのガラガラ音をはじめ、小気味が良いものが揃っている。
 
賛否両論点
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ワールド4-1について
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ゲームが中盤に差し掛かると登場するワールド4-1に配置されているアイテムの多くは隠し部屋に配置されている。ワールド開始時にライフ最大値を増加させるハートも隠し部屋に存在しているので、プレイヤーは必然的に隠し部屋へ向かう事になる。
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アイテム類が隠し部屋に存在している点は、探索アクションを好んでいるプレイヤー層にとってはアイテムの探しごたえがあるという事で好評を得ている。
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一方、ステージ内の隠し部屋については基本的にノーヒントである事から、初心者にとっては不親切に感じられる。特に初めてこのステージに入った場合は、ステージの構造上プレイヤーの強化無しでボス戦に挑みがちなので、何もわからないままゲームに詰んでしまう事も十分にあり得る。
 
 
問題点
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膨らませた敵を足場にしなければ進めない場所が少ない。
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初心者に優しいとも言えるが、折角の特徴的な要素なので、それを活かせていないのはもったいない。
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高所のアイテムを取る、より安全なルートを通るために高所へ行くなどの場面はそれなりに存在する。
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終盤、地形を越えるために空中の敵を膨らませることを選択肢に入れる必要のある場所が存在する。が、そこで登場する敵は比較的高速でウパを狙って飛んできた後、そのまま画面外へ消えて行ってしまうので、足場として利用するには慣れが必要となる。もう一つの手段として、ここではゼリーの床 (トランポリンのように勝手に飛び跳ね、タイミングよくジャンプすると普段より高く飛べる) を使う手もあるものの、充分に高いジャンプを出せるタイミングはややシビアであり、かつ高度が足りないとそのまま穴へ落ちてしまう。結果として、易しめなこのゲームにおいては若干難易度が突出したポイントとなっている。
 
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落下する足場のスピードが速い
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該当する足場に着地した瞬間に物凄いスピードで落ちていく。特にワールド2-1の連続で落下する足場を渡る場所は、ダッシュができないウパの性能と合わさってタイミングが結構シビア。
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ROMカセット版のイージーモードでは、1-3等に登場する乗ると移動速度やジャンプ力が落ちる足場共々ギミックが作動しなくなっているため、難易度は緩和されている。ただし、わざと足場を落下させて下に降りることができなくなったため、イージーモードでは一部のアイテムを回収できなくなってしまった。
 
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ボス敵の使いまわしが多い。
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特にワールド1-1から登場する「かとりーぶ」は全ワールド・エリアの半分ほどの登場頻度である意味本作の顔とも言える敵。
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一応、同じボスでも地形やギミックの違いで多少の差別化は出来ている。また、ディスクシステムの容量を考えればボス敵の流用が多くなるのは仕方ないことだろう。
 
 
総評
コミカルでかわいらしい見た目と、それに見合ったやさしめの難易度など、ゲームとしてコンセプトは一貫しており、狙ったターゲットに適した作りになっている。
単純に敵を倒すだけでなく足場として利用するといったアクションの新しさを盛り込み、ステージ構成に関しても変則的で短時間の間にメリハリある変化を感じさせる巧みな作りとなっており、展開の冗長さを排除している。加えて、世界観やキャラクターにマッチしたBGMのすばらしさも相まって、総じて高い完成度でまとめられている。
しかしながら本作の発売当時は『ドラゴンクエストIII』が一大社会現象にまで上り詰めていたため、業界とユーザー全体にRPG推しの風潮が強まっており、このような純然たるアクションゲームは時代遅れと見なされる傾向が強かった。既にディスクシステム自体が末期だったことも手伝って知名度も高くなく、隠れた名作的立ち位置に収まったことは時代の不運と言えようか。
難しいアクションとハードな世界観のアクションゲームに疲れた……そんな時には本作を遊んでみてはいかがだろうか。
余談
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『ファミリーコンピュータMagazine』の1988年12号(6月17日号)の裏技コーナー「超ウルトラテクニック50+1」で本作を使ったウソテクがあった。
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それは「タイトル画面で隠しコマンドを入れると『沙羅曼蛇』がプレイでき、その自機がウパ(ビックバウパー?)になっている」というもの。
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本当にあったなら面白そうな技だが、『沙羅曼蛇』そのものが1メガなので、ディスクカードでそれを入れたらウパのゲーム本編がほとんど入れられないので、それが理解できるなら簡単にわかる嘘ネタだった。
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なお『沙羅曼蛇』はプレイ出来ないものの、タイトル画面で特定のボタンを入力すると、最終面以外の自由なステージを選び遊ぶことが出来る本物の裏技がある。
 
 
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ウパは後々『ワイワイワールド2 SOS!!パセリ城』にて、本人ではないが主人公ロボット・リックルの変身形態のひとつとして登場している。
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敵を倒すと雲に変換できて1UPが容易なことや、当たり判定の小ささを活かした初心者向けのキャラであるが、その反面攻撃性能は低い。もっとも同作はビルが強すぎることもあり、最強の一角であるDタイプにてサポート役に徹することができるウパはしっかりと役目があるとも言える。
 
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また、その前作『コナミワイワイワールド』は、後に携帯電話用に移植された折に、権利関係の問題でカットされたマイキー(『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』)の代役でウパが登場。
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しかし、元々同作のマイキー自体が使い勝手の悪いキャラクターだったため、代替のウパもその性能を引き継いでいる上に本作ではガラガラに特殊効果が一切なく、残念ながら性能は良くない。
 
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ウパは更にその後は、シューティングゲーム『極上パロディウス』(SFC版のみ)と、その続編『実況おしゃべりパロディウス』の2作にも参戦。他にも音楽ゲーム『ポップンミュージック9』にも今作のBGMのアレンジver.である「バイオミラクル / ぼくってウパ?」を引っ提げて参戦している事から、現在はレトロゲームを代表するキャラの一人として定着しているようだ。
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なお、『極パロ』では彼の2Pカラーとして、原作には登場しない彼の妹という設定の「ルパ」が新たに登場。外見はウパそっくり。彼女は『実況パロ』『ポップン9』にも兄妹揃って参戦している。
 
最終更新:2025年07月26日 03:02