極上パロディウス

【ごくじょうぱろでぃうす】

ジャンル 横スクロールSTG
対応機種 スーパーファミコン
発売元 コナミ
発売日 1994年11月25日
定価 9,800円(税別)
書換 ニンテンドウパワー
1997年9月30日/1,000円/F×4・B×0
判定 なし
ポイント 悪くない移植だが僅か1ヶ月後に上位移植が発売
このためACファンの神経を逆撫でする結果に
SFC独自のプレイヤーキャラ追加でワイワイワールド化
グラディウスシリーズ

※本記事はSFC向けアレンジ移植作品について解説しています。
ACで稼働した原作については『極上パロディウス ~過去の栄光を求めて~』(サブタイトル付き)の記事を参照して下さい。




概要

アーケードでリリースされた『極上パロディウス ~過去の栄光を求めて~』をスーパーファミコンに移植したタイトル。
前作『パロディウスだ!』のファミコン/ゲームボーイ移植同様にサブタイトルが削除された『極上パロディウス』名義での発売。

前作のSFC版移植が好評を得ていた事もあってか、続編の本作のSFC版移植も期待されていたのだが…

システム

基本的なシステム及びステージ構成は基本的にAC版の物と同様なので割愛。ここでは主に変更点や追加要素を記述する。

  • プレイヤーキャラクターについて
    • 本作で選択可能なプレイヤーキャラクターは、AC版の8組+SFC版で新規追加の3組
    • なお、ACからの続投組のうち「ビックバイパー/ロードブリティッシュ」「ひかる/あかね」「マンボウ/サンバ」は、SFCへの移植に伴い装備の内容に変更がある。
  • 自機装備の一つの「ダブル」が、表示数の関係でSFC移植に伴い2連射から単発に変更。各方向への連射判定は独立したため状況によってはAC版よりも強い
+ 自機キャラクター紹介(8体×2+SFC版追加3体)
キャラ名
(上段が1P側)
装備
(先頭のスピードアップと
6番目の「!?」は共通)
コメント(キャラ解説は基本的に1P側、2P側に注釈がある場合は別記)
ビックバイパー ミサイル
ダブル
レーザー
オプション
フォースフィールド
おなじみ『グラディウス』装備。
AC版からはダブルが単発となりバリアが全方向防御のフォースフィールドに変更。
ロードブリティッシュ
タコスケ 2WAYミサイル
テイルガン
リップル
オプション
たこつぼバリア
AC版からはテイルガンが単発になる変更のみ。
ベリアル
ツインビー ロケットパンチ
テイルガン
3WAYショット
オプション(収束型)
バリア
3WAYショットはAC版でも単発だったためほとんど装備に変更が無い。
ウインビー
ペン太郎 ポットンミサイル
ダブル
スプレッドガン
オプション(収束型)
バブル
AC版に比べダブルが単発に変更されている。
花子
ひかる ホークウインド
テイルガン
ブーメランショット
フォーメーションオプション
シールド
SFC版では装備が一新されたが、やはりサンダークロス風。
テイルガンはやはり単発、見た目はAC版のキャロットだが当たり判定が残る特徴は無い。
ブーメランショットは耐久力1の敵を貫通し、耐久力2以上の敵に当たると飛ぶ方向が8方向に曲がる。
バリアはビックバイパーと逆に前方を防御するシールドに変更。
あかね
マンボウ ホーミングミサイル
リフレクト
スクリュー
グレードアップ
シールド
SFCでは装備が一新され、『R-TYPE』のパロディ装備になっている。
ホーミングミサイルはグレードアップを取っても画面に2発までだがハッチなどの敵を一撃で倒す特性がある。
リフレクトかスクリューを取ると自機上下にオプションが付くがこれには敵への攻撃判定と弾消し判定がある。
リフレクトは耐久が1の敵を貫通し地形に当たると反射するように飛ぶショットを3WAYで発射する。
グレードアップ段階で1~5連射まで可能。
スクリューはACと違い前方に貫通力のある短いレーザーを発射2連射まで可能。
グレードアップ段階で巨大化していきパワー1以上では地形も貫通する。
オプションからもパワー0相当のレーザーが出る。
バリアは前方防御のシールドに変更。
サンバ
ミカエル ホーミングミサイル
ラウンドショット
ウェーブレーザー
グレードアップ
オーラ
ほぼACと同じ装備。
ガブリエル
こいつ こいつミサイル
こいつウェイ
こいつレーザー
こいつパワー
こいつシールド
ほぼACと同じだがこいつWAYの当たり判定は若干縮小している。
こいつミサイルの演出は再現度が高い。
あいつ (全て「あいつ~」という名称)
SFC版追加キャラ
ゴエモン スプレッドボム
ダブル
ツインレーザー
オプション
リデュース
コナミ名物天下の伊達男。初代『パロディウス』以来の登場。装備はSFC版『グラディウスIII』を元ネタとする。
リデュースが便利で、ツインレーザーとスプレッドボムのお陰で火力も高い。
スプレッドボムはAC版ひかるの物と違い前方下方向へ放物線を描いて飛ぶ。
ツインレーザーはSFCグラディウスIIIと違い見た目は2本だが一つの大きい貫通ショットの扱い。
リデュースは2回までの全方向防御に加え当たり判定縮小効果も付く。
エビス丸 2Pはおなじみゴエモンの相棒の忍者エビス丸。
シリーズ初登場だが、後の12年2ヶ月後に発売した、歴代のキャラクター達が総登場をする
パロディウス PORTABLE』では唯一彼だけが登場しなかった。
ドラキュラくん マクロミサイル
ラウンドバルカン
ニードル
グレードアップ
チェンジ
コウモリに変身しなくても空を飛べることが発覚した『ぼくドラキュラくん』の主人公。推定年齢1万9歳。
元ネタは『アクスレイ』。ミサイルが前方攻撃、ショットが周囲攻撃という非常に変わった装備だが全体的に高性能。
ラウンドバルカンはショットボタンを押す長さによって角度が変わる2方向への連射ショット。
グレードアップで角度変更速度と連射速度が強化される。
ニードルクラッカーは敵へ自動追尾するコウモリ傘のショットを8発発射する。
グレードアップで画面内に出せる最大弾数が強化され最大16発まで発射可能になる。
バリアは全方向防御のチェンジ。
キッドドラキュラ 2Pは海外版タイトル『Kid Dracula』が元ネタで、ドラキュラくん本人が一族恒例の1万年の眠りに就く前の9歳児。
眠くて機嫌が悪い設定。
ウパ ホーミング
ワイドショット
レーザー
グレードアップ
メガクラッシュ
ぼくってウパ』の主人公であるルアクーヨ王国の王子。歩くより先に空を飛べるようになってしまった。
装備の元ネタは『雷電』。
縦STGが元ネタなのでバリアではなくメガクラッシュを装備している。
ホーミングミサイルはミカエルのものとあまり変わらないが発射角度と同時発射弾数などが異なる。最大で8発まで発射可能。
ワイドショットは1~7WAYまで方向が増えていくショット、パワー4では最前方の3方向のみ3連射になる。
レーザーは単発の短い貫通ショットを発射するのみだが最も画面後ろから連射しなければ途切れないほど連射数が多い。
グレードアップで縦の当たり判定が強化される。
ルパ 2Pは本作で初登場となるウパの年下の妹のルパ。
  • パワーアップモード
    • AC版ではパワーアップモードが「セミオート」「オート」「マニュアル」の3種類から選択が可能になっていたが、SFCへの移植に伴い「セミオート」が削除され、『だ!』同様に「オート」「マニュアル」の2種類になった。
    • 「オート」でもパワーアップボタンによるパワーアップは可能なため実質「セミオート」互換となっている。
    • また、復活方式はオプションのリバイバル項目で選択する方式になり、パワーアップモード選択と復活方式は紐づけされなくなった。
  • 一部ステージの雑魚敵について
    • 本作のステージ及び雑魚敵は基本的にAC版の物をなぞっているが、2面と6面に登場する「イーグル左武Jr.」がグラフィックの異なる新キャラクターに差し替えられている。
  • 2Pプレイについて
    • AC版は2P同時プレイが可能だったが、SFCへの移植に伴い2P交代プレイに変更された。

評価点

  • ゲームの再現度が高い
    • 登場するステージ及びボスは基本的にAC版と同様の物を忠実に再現。
      • 次回作では一部の大型ボスにおけるのっぺりしたグラフィックが批判されていたが、本作ではほぼ全ての登場キャラクターがAC版と限りなく近い姿で登場。中でも2面ボスの「ニール&イライザ」はSFCで発売されたゲームとは思えないほど美麗。
    • BGMに関しては音質の劣化(後述)こそあるがフレーズ自体はAC版に忠実。一部のボス戦BGMに存在するテンポアップ演出も再現されている。
  • 前作同様にゲームの難易度はAC版から下げられている。
    • ゲームの難易度が下げられている関係で、フル装備でも進むのも容易となり全体的に遊びやすくなった。
  • SFC独自の新規プレイヤーキャラクター、および装備変更キャラクターについて
    • 追加された3組のプレイヤーキャラクターはいずれも他のコナミゲーからの参戦という事もあってか、AC版以上に更にオールスター成分が強化された。もはや『横シュー版コナミワイワイワールド』と言わざるを得ないだろう。
      • 新規参戦組の装備も扱い易い物が多く、ゲームの難易度がAC版から下げられている点も相まって、多くのキャラクターでゲームをクリア出来る仕様になっている。
    • ACからの続投キャラクターのうち「ひかる/あかね」は元々『サンダークロス』の自機のパロディキャラクターだったのだが、SFCへの移植に伴いショット/レーザーがテイルガンとブーメランショットに差し替えられた事によって、AC版から更にパロディ成分が強化。加えてAC版の弱点だった後方への攻撃や入り組んだ地形への対処も、装備の差し替えによってそれらが改善。結果的に本作のヒロインの名に恥じない実力を得る事になった。
    • 「ビックバイパー/ロードブリティッシュ」「ひかる/あかね」「マンボ/サンバ」以外の続投5組は、ダブルが弱体化している事を除いてAC版と性能が一緒なので、基本的にAC版同様の感覚でプレイが出来る。
  • 操作性の良好さ
    • ベルパワー発動やオート連射機能といった操作関連は前作を踏襲している関係上、操作性自体は前作やAC版同様に良好になっている。
    • ルーレットカプセルの速度も前作同様に遅めに変更されている事から目押しをやりやすい。これによってミスからの復活がより簡単に。

賛否両論点

  • 最終ステージについて
    • 最終ステージ「パロパロダンシング」はAC『グラディウスII -GOFERの野望-』における要塞ステージのパロディで、同ステージの地形や敵配置を一部を除いて元ネタに忠実に再現した内容である。
    • このため、今回が任天堂ハード初のAC版グラIIの要塞ステージの移植ではあるのだが、元ネタのステージに存在していた上昇する床や壁剥がれ地帯、中ボスのクラブ及びラスボスのゴーファーといった要素は既にFC『グラディウスII』で実装済みという事もあってか、FC版『パロディウスだ!』の最終ステージほど移植の有り難みは流石に無い。
    • なお、FC版『グラディウスII』ではラスボスのゴーファーは要塞ステージでは無くその先で待ち受ける細胞ステージで対峙していた。これに対して今作のラスボス「タコのA子」戦はAC版グラII同様に要塞の奥地で戦う事から、実質的に今作で初めて任天堂ハードの要塞ステージ奥地でゴーファーと戦う展開になったと言える。
  • オリジナリティの乏しいステージ
    • 本作は一部の雑魚敵こそ差し替えられているが、ステージの地形及びボスキャラクターの攻撃などは基本的にAC版に忠実な物になっている。
    • キャラクター面では評価点の通りオリジナル色が強めになったのだが、その一方でステージ面においては本作独自の要素が非常に少ない。
    • SFC版独自のキャラクターを使ってAC版に忠実なステージを遊べるという利点もあるのだが、目新しさの少なさから家庭用ハードの極パロにおいて本作を選ぶ意義が薄れているのは否めない。

問題点

  • AC版からの移植として見ると無視できない演出面の劣化点。
    • まずOPは前半こそAC版と同様だが、「むかしはよかった…」以降のバイパーと仲間達が登場する演出がカットされてしまい、そのままタイトル画面に直行する。
      • 極パロのOPはAC『グラディウスIII -伝説から神話へ-』のパロディという事に対して同作のSFC移植の際にOPが再現されてなかった件から、本作で実質的に初めて家庭用でAC版『グラIII』のOPが流れたのは評価出来る。だが、極パロ自身のOPの一部がカットされてしまった事により、手放しで褒められるとは言いがたい内容に見られてしまったのは残念だろう。
      • 2Pプレイも交代プレイに変更され、2人同時プレイができなくなった。
      • 2面ボス「ニール&イライザ」はAC版では巨大なサイズの「お~ほっほっほっほ」の文字による攻撃がプレイヤーにインパクトを残した。しかし、SFC版では文字が大幅に縮小されてしまい非常に弱体化してしまった。
    • 音源及びBGMの再現は頑張っている部類だがそれでも流石にAC版と比べると劣る。
      • 4面BGMはサビ前の繰り返しがバッサリとカットされていて物足りない印象を受けやすい。
      • スペシャルステージBGMも各パートが流れる場面自体はAC版と同様だが、演出の再現が不可能なのかあるいは処理落ちを考慮しているのか、各パートがループする仕様に変更されてしまったため、メドレーとして機能しているかどうか怪しい。
    • グラフィック・ドットも下位ハードへの移植という事もあってかドットの質が低下。
      • 本作に登場する中型敵の「イーグル左武Jr.」はAC版を縮小したようなグラフィックに変更されている事から不自然に見える。
      • 一部のステージでは彼の代わりにSFC適正グラフィックで描かれた新規キャラクターに変更されているのだが、変更されたステージが2つと非常に少ないことから、この件のフォローになっているかどうかは微妙と言わざるを得ない。
      • 最終ステージ中ボスの「ちちびんたリカ」はAC版では超巨大な姿ながらグラフィック自体はきちんと書き込まれていた。だが、SFC版ではAC版を無理に再現した形の粗いドットによるグラフィックという関係で違和感のある姿に見えてしまう。*1
  • 処理落ちの多さ
    • 本作はACよりスペックが下のハードへの移植という事もあってか、処理落ちの起こる頻度も多い。
    • 流石にFC版『パロディウスだ!』と比べると発生頻度が少なくスプライト欠けもあまり起こらないのだが、只でさえも難易度の低下しているSFC版が処理落ちによって更に簡単になってしまっている点も見られる。

総評

単体で評価した場合は口が裂けても悪いゲームとは言えない。
再現は頑張っている方ではあるし、オリジナル要素もありSFCのシューティングとしては水準どころか優良な品質である。
しかしそれは原作が優れているからこそであり、約5年の歳月を経て登場した大容量基板のゲームを前作と同じハードに移植するのは無茶があった。
何より本作の発売から約1ヶ月後にAC版のほぼ忠実な移植を次世代ハードで発売した事は本作を購入したファンの神経を逆撫でする結果となる。
前作『パロディウスだ!』のSFC移植版は良移植として好評を得ていたため、移植版としては残念な結果と言わざるを得ないところである。


その後の展開など

  • 前述の通り、本作発売から僅か約1ヶ月後の1994年12月3日に発売された『極上パロディウスだ! デラックスパック』経由でプレイステーションに移植される事となる。
    • 同作は処理落ちが多いものの、キャラクターやBGM、システムといった殆どの内容がAC版を忠実に再現している事から、移植としては本作の上位互換といってよい。
      • ただし一方で、SFC独自のキャラクターや装備変更は反映されていないため、これらのオリジナル要素を重視するならばSFC版にも価値はある。
    • PS版発売から約半年後の1995年5月15日にはセガサターンでも『DELUXE PACK』が発売され同ハードに極パロが移植された。
    • サターン版はPS版の移植内容に加えて処理落ちの発生も減少している事から、当時における極パロの家庭用移植の集大成的な内容になったと言える。
  • 本作発売から約1年後の1995年12月15日に同じくSFCにて次回作『実況おしゃべりパロディウス』が発売された。
    • これまでのSFCにおけるパロディウスシリーズはAC版からの移植が中心だったが、同作は家庭用オリジナルタイトルとして発売された事によって独自要素の数々が評価され、結果的に本作を上回る人気を得る事になった。
    • なお、過去のグラディウスシリーズではファミコンで初代『グラディウス』が発売された際は無理矢理な移植内容が批判されていた。それに対して続編の『沙羅曼蛇』『グラディウスII』は家庭用オリジナル成分を強化した事で評価されていたのだが、本作と実パロはこれを彷彿させる様な関係になってしまったのは皮肉である。
  • その後の移植作についてもSFC版『極パロ』をベースとしたものは存在しないため、本作のみの追加キャラクターはかなり希少な存在となっている。
    • ウパ&ルパ、ドラキュラくん&キッドドラキュラは次回作『実況』にて続投したが、ゴエモン&エビス丸はハブられてしまったため、『パロディウス PORTABLE』では唯一エビス丸のみ出演できなかった。
    • なお、本作で初登場したウパの妹のルパは音楽ゲーム『ポップンミュージック9』にて兄と共にプレイヤーキャラクターとしてゲスト出演を果たしている。
  • 本作から一週間前の1994年11月18日にSFCに同じくシステムGX基板のゲームである『対戦ぱずるだま』が移植されたが、こちらはキャラクターをTVアニメ『ツヨシしっかりしなさい』の物に変更した『ツヨシしっかりしなさい 対戦ぱずるだま』として発売された。
    • 同作はキャラクターの差し替えに加えてエンドレスモードやたまの色を変更するオプションの存在など家庭用オリジナル要素も充実していた事から評価もそれなり。
    • この事から、本作も移植の際に更にオリジナル要素が充実していれば評価を得られたのに…
最終更新:2023年11月03日 15:29

*1 余談だが前作のSFC版とは違い今作ではちゃんと腰を振っている描写がある。ただし、少々見逃しやすいのが難点か。