PUI PUI モルカー Let's! モルカーパーティー!

【ぷいぷい もるかー れっつ もるかーぱーてぃー】

ジャンル ミニゲーム集
対応機種 Nintendo Switch
発売元 バンダイナムコエンターテインメント
開発元 グルーブボックスジャパン
発売日 2021年12月16日
定価 通常版:6,248円(税込)
デジタルデラックス版(全DLC付):
6,578円(税込)
プレイ人数 1〜4人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 全モルカーがプレイアブル
ミニゲーム少なすぎ
作業感の強いシステム
テレビ東京関連作品シリーズ


概要

2021年にテレビ東京の『きんだーてれび』内枠で放送されたストップモーションショートアニメ『PUI PUI モルカー』のゲーム化作品。公式略称は「モルパ」。
原作は子供向けながら、愛くるしいモルカーや妙に毒のあるストーリー構成から大人でもハマる人が続出し、社会現象化した。
簡潔に説明すると、モルカーはモルモットから進化した車型の生物という設定。文明の進化した現代社会に人間や猫など他の生物も普通に暮らす中で、自動車とペットの両方の性質を持った存在として描かれている。モルカーは「運転」することもできるがそれぞれに固有の人格も持っており、本作でも各モルカーが自分の意思で動いている描写になっている。


システム

1人プレイモードは、ミニゲームをプレイすることでゲーム内通貨「PUI」を集め、全ての「たてもの」を建てるのがゲームの主目的。全て建てた時点でエンディングとなる。
モルタウンにいるモルカーには「HAPPY」のゲージがあり、撫でてあげたりミニゲームでプレイキャラにしたりすることで値が上昇する。上げることで解放されるミッションがある。

2人プレイモードはミニゲームで遊ぶパーティーモードで、フリープレイの他に連戦でのポイント競争や2対2のチーム戦もできる。
以下は1人プレイモードでの記述である。

たてもの

13のたてものがあり、全てPUIを消費して建てることができる。うち3つはゲーム内ツールで、その他はミニゲーム。ミニゲームは全て得点を競うルールである。

  • モルショップ
    • モルカーに付けるアクセサリーを買うショップ。多くはPUIで購入できるが、課金要素に充てられているものもある。付けたアクセサリーはフォトスタジオや各ミニゲームでも反映される。
  • フォトスタジオ
    • モルカーを様々なシチュエーションで撮影したり、今までにスタジオで撮った写真を見たりできる。
    • 背景やモルカーのポーズ、表情、色合いなどはPUIで購入する。
  • ふれあい広場
    • モルカーをなでるための場所。
  • DJブース
    • ミニゲーム「モルリズム」が遊べる。
      • 元ネタは原作12話『Let's!モルカーパーティー!』。DJ役はもちろんDJモルカーだが、ゲーム参加者としてDJモルカーを選ぶとランダムで選ばれた別のモルカーがDJ役を務める。
    • お手本通りのボタンをお手本通りのリズムで押すリズムゲーム。正確に押すと高得点。
  • サッカースタジアム
    • ミニゲーム「モルサッカー」が遊べる。
      • 元ネタは原作12話『Let's!モルカーパーティー!』でモルカー達がサッカーボールで遊んでいた場面か。ゲーム部分は車でサッカーをするゲームである『ロケットリーグ』を簡易化したような作り。
    • モルカーを操作してボールを動かし、シュートを決める。人数は1対1から3対3まで選べる。得点によるチームの勝敗に加え、シュート・アシスト・ゴール防衛などの好プレーによって得られるポイントで獲得PUIを増やすことができる。
    • 2022年3月24日のアップデートでオンライン対戦に対応し、4月25日にバトルパスが導入されるなど、全ミニゲームの中で特に力が入っている。
  • おねえさんのおうち
    • ミニゲーム「こっそりモルパーティー」が遊べる。
      • 元ネタは原作12話『Let's!モルカーパーティー!』。
    • おねえさん(ポテトの運転手)がソファーで寝ている後ろで、バレないように踊るゲーム。B連打で踊り、おねえさんが起きそうになったらAで隠れる。ミスすると目が合って驚き、しばらく踊れなくなる。
    • 踊っている時と隠れている時に得点が入る。
  • ゲームセンター
    • ミニゲーム「プイプイなわばりバトル」が遊べる。
      • 原作エピソードを元ネタとしていないミニゲーム。『スプラトゥーン』を連想させるタイトルだがゲーム性は全く異なる。アームの付いたUFOがアイテムを運んでくる演出はクレーンゲーム風であり、多数展開されているモルカーのプライズ品がモチーフなのかもしれない。ナムコ系列のゲームセンターでもモルカー景品とのタイアップキャンペーンが実施されたこともある。
    • モルカーが乗ったパネルが自分の色になる。試合終了時点でのパネルの数が得点となる。
  • ゴミすてば
    • ミニゲーム「おそうじモルカー!」が遊べる。
      • 元ネタは原作4話『むしゃむしゃおそうじ』。ゲームではモルカーがゴミを食べたりはしないので安心だが、ゲーム終了時には リサイクル機に投げ込んだゴミからニンジンが生成 され、モルカー達が食べる姿を見ることができる。ゴミ集積所にはゴミ収集モルカーが(自分では収集に行かず)待機しており、ゲーム参加者にゴミ収集モルカーを選ぶと待機しているのと合わせて2台が画面上にいる状態になる。原作で複数登場したパトモルカー同様、職業系モルカーは同じカラーリングの個体が複数存在するということだろう。
    • 街に落ちているゴミ袋を拾い、ゴミ集積所に持っていく。モルカー1台につき10袋分までゴミを運べるが、多くなるほど移動速度が遅くなる。集積所に運んだゴミの数が得点となる。
  • あくのアジト
    • ミニゲーム「モルミッション」が遊べる。
      • 元ネタは原作8話『モルミッション』。
    • 悪のメカ「メカシャーク」から逃げつつにんじんを拾う。逃げている間常に得点が入り、にんじんを取るとさらに得点する。
    • メカシャークの攻撃をくらうとしばらく吹き飛ばされてロスになる。
  • モルフェスランド
    • ミニゲーム「モルフェスランド」が遊べる。
      • 原作エピソードを元ネタとしていないミニゲーム。ぶっちゃけ『Fall Guys』のモルカー版。障害物として転がってくるボールは劇場版『とびだせ!ならせ!PUI PUIモルカー』*1の入場特典として配布されたモルカーボールに似たデザインをしている。
    • さまざまなギミックのあるコースでレースをする。途中のチェックポイントの通過順位とゴール到着順位でそれぞれ点が入るため、1位でゴールしても逆転されることがある。
  • さばく
    • ミニゲーム「モルオブザデッド」が遊べる。
      • 元ネタは原作6話『ゾンビとランチ』。
    • ゾンビにぶつからないように道路を進みつつ、レタスを集めて点を稼ぐ。ゾンビに当たるとしばらく動けなくなりタイムロスになる。
  • レース会場
    • ミニゲーム「プイプイレーシング」が遊べる。
      • 元ネタはまんま原作5話『プイプイレーシング』、および12話『Let's!モルカーパーティー!』内でモルカー達が遊んでいたTVゲーム。後者のゲームは『マリオカート64』風だったが、本ミニゲームにはジャンプ台を用いたショートカットこそあるもののアイテムによる妨害などは存在せずゲーム性は大分異なる。
    • これといった仕掛けのないガチレース。単純にレース着順で順位が決まる。途中に落ちているにんじんを取るとしばらく速度を上げることができる。
  • 銀行
    • ミニゲーム「モルケイドロ!」が遊べる。
      • 元ネタは原作2話『銀行強盗をつかまえろ!』。
    • その名の通りのケイドロ。2vs2でプレイし、警察が全員逮捕するか泥棒が時間切れまで逃げ切ると終了。ただし原作再現で泥棒側はにんじんを撒くことができ、警察側がにんじんに当たるとその場で食べてしまいタイムロスになる。

モルカーかんさつ

モルタウンにいるモルカーを観察する。

  • カーソルを合わせて写真を撮ると、そのモルカーを図鑑に登録できる。
  • カーソルににんじんを置くこともでき、モルカーに食べさせるとそのモルカーのHAPPYが上がる。

ミッション

「ミニゲームで○点取った」「モルカーかんさつで銀行強盗を撮影した」といったミッションをクリアすることで報酬が得られる。このミッションでのみ解放できるモルカーもいる。

  • ミッションは項目ごとに「○○を1回行う」「3回行う」「5回行う」など累計の段階制となっている。一度に5回行うことができれば全ての報酬をすぐに受け取れる。

ずかん

モルカーのプロフィールが見られる。

  • 各モルカーの紹介文はHAPPY25%・50%・100%の3回に分けて開放される。
    • 公式のモルカー紹介では たった一行 しか書かれていないモルカーも数多いため、そういったモルカーは3項目に分けることで情報量が増えることに。勝手に設定を加える訳にはいかなかったのか大体は見たまんまの外見説明などで終わってしまっているが、ごく一部には本作での独自解釈と思しきものもあり見つける楽しみがある。

評価点

  • 原作に登場する全モルカーがプレイアブル
    • 全44のモルカー全てをミニゲームで自機として使用可能。メインキャラだけでなくDJモルカーやパトモルカー、救急モルカーといったサブキャラやモブキャラまで幅広く選べる。
    • オーソドックスな毛色のモルカーもいるので、モルモットを飼っている家では飼いモルに合わせたキャラを選択できる。
  • グラフィックが良質
    • 原作のフェルト手作り感がうまく表現されている。人間は棒立ちでほとんど動かないが、それもまた味。
    • 街を歩いているモルカーが道端の草を食べたり、顔出し看板で遊んだりといった仕草も愛らしい。
    • ふれあい広場ではプレイヤーに気付いてトコトコ駆け寄ってくるモルカー、撫でられて嬉しそうに体を揺するモルカー、後ろから突然お尻を撫でられてびっくりするモルカー、撫でるのをやめられて残念そうな顔をするモルカーなども見ることができる。
  • 原作再現
    • にんじんに妨害される無能警察、モルカー用のトイレといった原作要素をところどころで拾っており、視聴済みの人ならニヤリとできる演出がたっぷり。魔法天使もるみも出るよ!
    • 前述の通りかんさつ中にモルカーにニンジンをあげることができるが、複数のモルカーがいる時にニンジンを置くと原作さながらの引っ張り合いが発生する。負けたモルカーはしょんぼりしてしまう(HAPPYが下がったりはしない)。これを一定回数発生させるという鬼のようなミッションまで存在。
  • ミニゲーム自体は楽しい
    • ルールは非常に簡単。幼児向けの簡単な部類で、誰でも楽しめる。一方でモルサッカーのようにただプレイが上手いだけでは勝てない*2など、テクニック次第で意外な方法で上達できる要素もあり奥が深い。後述する演出面のショボさは無視できないが…
  • オプションでカメラ操作をノーマルからリバースにすることができる。地味な痒い所に手が届く。

問題点

  • モルカーに個性がない
    • 最もモルカーファンから指摘されたと思われる点。流石に3Dモデルは使い回しではないものの、触った時の反応やミニゲーム時の動きはほぼ全モルカーで共通。救急モルカーのパトライトといった各キャラの個性は無いに等しい。
    • 能力に差がないのはゲームとしては公平だが、運動神経抜群のはずのチョコがダンスで失敗しまくる姿などには違和感を覚える。CPU操作時のみ能力や行動ルーチンに差を設けても良かったのでは。
    • DJモルカーのみ少し優遇されている。かんさつ時に固有行動がある他、モルリズムでテンポが変わった時に他のモルカーが焦るのに対しDJは余裕げにクルクル回る。
  • ゲーム内容が薄い
    • ミニゲーム集を謳っていながら、その数は10個ととても少ない。全ミニゲーム解放分のPUIはすぐに集まるが、アクセサリーやポージングコンプのためのPUIを得るにはミッションでの獲得分を考慮しても回数が必要で、プレイが作業化しがち。
    • 繰り返し遊ぶにあたっては難易度を変更したいところだが、ミニゲームの難易度設定はミッション報酬に当てられている。高難度で遊びたい場合は望まないレベルでのプレイを続ける必要がある。
  • ミニゲームがショボい
    • 全体的にSEが足りていない。成功判定や得点タイミングなどが分かりづらいだけでなく、演出面でも盛り上がりに欠ける。
    • BGMは不快というわけではないものの多くが控えめな曲調で、特に白熱しない。
    • 前述した難易度もCOMの強さによる調整であるため、ランダム性が皆無で飽きやすい。
  • かんさつでのモルカーの不自然な行動
    • 道路外での行動ルーチンがうまく調節されておらず、車線を無視して駐車したり建物にめり込んだりと不可解な行動をするモルカーが後を絶たない。
  • ミッションのシステム不備
    • ミッションは非常に多彩かつ段階制のため、ミニゲーム1プレイで10以上の達成項目が生じることがザラにあるのだが、報酬受け取りは各ミッションの各段階ごとにしかできないためとにかく時間がかかる。こまめにミッションをチェックすることが求められる。
    • ソシャゲのようにまとめて報酬を受け取れる機能が欲しかったところ。

総評

コンセプト自体は悪くなく、全モルカーがプレイアブルなのは大人にも子供にもうれしい点であり、ミニゲームもシステム自体はハマれる魅力がある。
しかしいかんせんその量も質も価格不相応であり、モルカーと触れ合えると喧伝されたHAPPYシステムもプラスに働いているとは言い難い。もう少しミニゲームが多ければ、もう少しモルカーの反応が多彩だったらここまでプレイに苦が生じることはなかったであろう。
一方でモルカーファンにとっては原作でスポットが当たらなかったキャラをもじっくり観察できる、撫でたりニンジンをあげたりと夢のような体験ができるという評価点がある。モルカーの個性という面ではオミットされた部分も多いが、「モルカーを愛でるツール」としてはある程度完成された作品ともいえる。


余談

  • 2022年3月24日から「モルサッカー」のオンライン対戦だけが遊べる無料ソフト『モルサッカーオンライン Lite』が配信されている。
最終更新:2024年08月11日 08:46

*1 テレビシリーズ全12話を3D・MX4D対応で一挙上映したもの。特典のモルカーボールは押すと音がするおもちゃで、上映中に自由に鳴らすことが推奨されている。声を出す必要がない新たな応援上映の形として注目され、上映2日目にしてモルカーボールが枯渇する映画館も出るほどの好評を博した。

*2 ゴールを普通に2回決めるよりも、トリック扱いでシュートして外した方が得点が高い。