アイ・オブ・ザ・ビホルダー
【あい おぶ ざ びほるだー】
| ジャンル | RPG |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 8MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | カプコン | 
| 開発元 | カプコン | 
| 発売日 | 1994年3月18日 | 
| 定価 | 12,800円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ダンジョンマスターを踏襲するリアルタイム3DダンジョンRPG キャラゲーと気付いてもらえない悲劇?
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概要
海外PC作品からカプコンがSFCに移植・販売したリアルタイム3DダンジョンRPG。
ダンジョンズ&ドラゴンズの世界観の一つであるフォーゴットン・レルムを舞台としている。
エルフやドワーフなどのおおむねファンタジー物標準の種族と職業を選んでキャラメイクしてそのメンバーで迷宮に挑む。
題材となったTRPG作品の『Advanced Dungeons&Dragons』は本作を移植したカプコンのベルトスクロールアクション2部作の元ネタとは別バージョンである。
ストーリー
都市ウォーターディープの領主ピアジェイロンは領内に迫る何らかの邪悪についての懸念を魔術師ケルベンに相談。
ケルベンの捜査により邪悪は確かに存在する、恐らくウォーターディープの中から来ている、"クサナタール"なる名が浮かび上がる。
ピアジェイロンは冒険者を募り領内のまだ捜査が及んでいない地下の下水道の探索を命じるが、
それを魔法で察知していた敵の手により冒険者パーティが地下に入るとともに落盤で入り口が塞がれてしまう。
退路を断たれたパーティは抜け道を探すためにも先に進まざるを得なくなった。
(取説のストーリー及び、ゲーム内オープニングデモを参考)
システム・特徴
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種族
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ドワーフ:耐久が高い。ドワーフ文字解読可。
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エルフ:耐久が低くて敏捷が高い。エルフ文字解読可。
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ノーム:知力が高くて魔法使い向きに見える。が……(後述)ノーム文字解読可。
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ハーフエルフ:マルチクラスが多い。エルフ語解読『不可』。
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ハーフリング:HPが低くて敏捷が高い。
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人間:パラディンになることができる。マルチクラス不可。
 
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クラス
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クレリック:レベルアップにより回復や防御の呪文を主に習得する。
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ファイター:ファイター系の基本。武器防具を使いこなす。
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メイジ:迷宮で拾った魔法の巻物を呪文書に書き写して攻撃や補助呪文を習得する。ワンド(魔法の込められた杖)を使用できる。
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パラディン:ファイター系。少し回復呪文が使える。
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レンジャー:ファイター系。重装備だと特殊能力が妨げられると書いてあるが……(後述)
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シーフ:鍵開け道具を使える。
 
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二つか三つのクラスを併せたマルチクラスが存在する。ファイター/メイジなど。経験値が分散して入るので成長が遅くなるが、レベルが上がれば必要経験値が多くなるためにマルチでもシングルより1、2レベル低い程度。例:シングルで3ならマルチで2/2程度。
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アライメント
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ローフル・カオティック軸とグッド・イビル軸があるが装備や能力、会話イベントには関わらない。
 パラディンはローフル・グッドのみかつイビルの仲間不可。レンジャーはグッドのみ。
 
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能力値
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STR(体力):近接攻撃に関係する。ファイター系は18/○○と通常の最大値である18の右に追加の数字が付く。原作TRPGの18がまともな人間の限界、19からは怪物や神で、人間離れした英雄の表現。
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DEX(器用さ):アーマー・クラス(回避力。低いほどいい)に関係する。
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CON(体質):HPに関係する。
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INT(知性):メイジ呪文習得に関係する。
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WIS(知恵):クレリック呪文習得に関係する。
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CHA(魅力):取説の説明文にゲーム上何があるか明記していないようだが……(後述)
 
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顔グラ
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濃ゆいのが目白押し。明らかに悪人の盗賊顔、男女共通で選択可能なゴツい石像みたいな迫力あるオッサン、胡散臭いエセイケメンのエルフ……まともな部類のものもそれなりに濃い。
 
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迷宮探索
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最初のキャラメイクの4人に、冒険の途中で仲間になるNPCを加えて最大6人パーティ。
 
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リアルタイム進行でモンスターが行動したり、キャラクターの食料ゲージが低下したりする。飛び道具を移動で避けたりも出来る。
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基本画面に3Dダンジョンとキャラの顔と両手アイコンが表示され、手に持った武器やアイテムを使用して戦う。
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手のカーソルでオブジェクトを操作したり、アイテムを持ったカーソルで鍵を鍵穴に入れたりする。
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壁に文字が書き込まれていてヒントになっていたりする。各種族の言語はその種族がいないと読めない。
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休むことで敵が近くにいなければHPと呪文の使用回数の回復が可能。僧侶がいると完全回復までに回復呪文を唱えながら休む。
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呪文使いは使用可能にしたい呪文を選んでから休むことで呪文を入れ替える。
 
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特定のエリアに踏み込む、オブジェクトを調べるなどで何かとクエスト達成的に経験値が入ってくる。
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スペシャルクエストという特定のミッションを達成すると経験値と隠しアイテムを入手できる。自然に達成できそうなものからこんなんわかるかまで。必須ではない。
評価点
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例えば排水溝を見れば臭うだの格子がはまってるだの、オブジェクトを調べるとこちらに何かとメッセージを返してくれることによる操作可能オブジェクトの多さからくる自由な探索をしている雰囲気。
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敵の群れに取り囲まれない立ち回り、罠のスイッチを押すと飛んでくる飛び道具を駆け抜けて避ける、慣れるまでは減るのが怖い食料値など、リアルタイム3DRPGとしてそれなりによくまとまっている。
先駆者が名作だからゲフンゲフン
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原作世界の都市を舞台に、原作キャラの依頼で原作のヴィランと戦うのはキャラゲーとしてファンなら燃えるはず。
問題点
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原作TRPGを再現しきれなかったために出来た粗
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取説の誤データ
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レンジャーの特殊能力があるように書いてあるがそんなものはない。原作での技能の隠密などと思われる。
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クラスごとに最重要能力値というものがあり、それが16以上ならレベルアップが速くなると書いてあるが機能していない。
 
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その他ゲームシステム
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魅力値が無意味。会話イベントにも変化なし。
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ノームがメイジ向きの能力値なのにメイジ不可。原作では特化型魔法使いのイリュージョニスト(幻術士)になれるが、本作はそうした派生職がない。
 
 
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毒攻撃を使う敵が登場する進度では毒消し呪文をまず憶えていない。憶えたころにはもう出てこない。
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環境設定とオプションのコマンドが分かれており、オプションはセーブ・ロードとNPCを仲間にして以降の「仲間を外す」を行う。少し分かりにくい。
総評
原作の知名度の低さのためにキャラゲーであると分かって貰えない感がある残念な作品。
単独作品としてはダンジョンマスターの後追いにとどまっているが、悪いというまでの作品ではない。
原作を知っているならより楽しめるだろう。
余談・その他
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本作の原作はD&Dのバージョン違いと日本での展開の都合で、本作以前に出ていたいわゆる赤箱からのシリーズであるベーシックセットや、本作以降に出たインターネット普及後の3版以降ほどの知名度が日本ではなく、原作ネタに気付いてもらえないような部分もある。問題点や評価点のような気もするが、知名度のためか問題にしている人が見当たらず、またゲーム的な支障でもないので別枠に。
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ある会話イベントでドロウ(ダークエルフ)のリーダーと説明されるシンディアは、画面上で一般のドロウが黒い肌に対し、彼女は灰色の肌をしている。ただのキャラの書き分けと思うだろう。
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しかし彼女も原作キャラで、ハーフドロウでありドロウより薄い肌で合っている。作中では原作的な彼女の正体には一言も説明がないが原作ファンならおっと思うだろう。
 
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別の会話イベントに出てくる『トログロダイト』は本ゲームに登場せず、同イベントで言及されるトロルほどの一般的知名度も無いが、これもD&Dをやったなら分かるレベルの基本的なモンスターで悪の爬虫人類である。本ゲーム中に出ておらずとも、キャラクターたちがその世界にいると感じられる。
 
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取説にはゲーム画面とほぼ一致しているモンスターイラストが描かれているが、ゲームではタコめいた頭部のマインドフレイヤーだけは画面と一致しないバクの頭部を持つ。精神を食べるイメージでバクなのはわかるが、タコに見えなかったのだろうか。
最終更新:2022年08月12日 18:19