ファイヤーバム
【ふぁいやーばむ】
ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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発売元
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HAL研究所
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開発元
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ライブプランニング
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発売日 ()は書換開始日
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1988年2月1日(1988年3月25日)
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定価
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3,300円
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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ポイント
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超ハイスピードアクション 達成感と同時に次の目的への繋ぎ方は非常に秀逸 豊富なパワーアップアイテム エンディングは地味
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概要
1988年2月にHAL研究所から発売されたアクションRPG。
全般的にアクション寄りのゲーム性で、主人公バムを操作し様々なアイテムを駆使して戦っていく。
まるでSFっぽい雰囲気のタイトルだが、世界観は当時最も流行っていた剣で戦うファンタジー系である。
ストーリー
それは果てしなき道、果てしなきときをへだてた彼の地の物語。
緑なす大地、野に咲く花々、すべての生きとし生けるもの、メルニボーネのことわりのもとその命を燃やす。もとより、命こそ炎、炎こそすべての源なり。
されど忘れるなかれ、炎の輝きあるところ、必ず深き闇のあることを。我は今詠わん、西の空の太陽が、その光を失う前に。
すべてのもの、すべての闇をも燃やしつくす永劫の炎(ファイヤー)、バムの物語を。
「太陽(メルン)から5番目の星、ボーンがくだけ散った日から戦いは始まった。宇宙が真紅に染まる瞬間、ボーンから一匹の龍がこの地へ飛んで来た。龍の吐く炎によりハイボリアの氷は解け、多くの命が蘇った。
やがて龍は飛び疲れ、ボーンステルの森にふたつの卵を残して息絶える。ひとつはドメス、ひとつはメルニボーネ。それは兄弟なれど、相い反する運命。ふたつの力の戦い、その行方はメルンの炎だけが知っている……。」
父や母が語る"始まりの物語"を、バムは幼いころから何度も何度も聞かされたものだ。
だけど今日からは、バムが村の子供たちにこの物語を聞かせる番だ。
今日はバムの誕生日。15歳になったバムは一人前の"炎使い"として認められるのだ。
朝早く起きたバムは村を出て、ボーンステルの森へヨロイ虫のカラを取りに行った。
炎使いはヨロイ虫の炎細工を頭につける。
父に負けないくらい立派なヨロイ虫を見つけたバムは、軽い足取りで我が家へ急いだ。
「信じられない……」
バムは、村のみんなの家が一軒も無いのに愕然となる。
父は、母は?!
駆けつけたバムの前に、我が家はその姿を保っていた。
中にいたのは2匹の魔物…身構えたバム、無抵抗な魔物の瞳に見入る。見覚えのある4つの瞳…その魔物たちこそ、父と母の変わり果てた姿だった。
突然村を襲ったドメスは、村の人々を異空間に封じ込め、バム一族の使う炎を恐れて両親を魔物に変えたのだ。
すべてを聞いたバムは戦いの準備をする。
「許さない。ドメス、絶対に許さない……」
バムはヨロイ虫の冠(ギア)をかぶる。
瞳に炎が宿る。
内容
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主人公バムをプレイヤーキャラとして、武器を駆使して敵を倒してお金の位置付けである「ファイヤールーツ」を集め、新しいアイテムで強化しながら、ドメス打倒を目指す。
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スタート地点であるバムの家には、魔物化した両親がいる。
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母(左にいる赤のモンスター)に話すと体力を全回復してくれる。満タンなら「FIGHT BAM」と励ましてくれる。
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父(右にいる緑のモンスター)に話すとセーブができる。
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Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃。
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ボウガン以外の武器は、上を押しながらBを押すことで強力な回転斬りができる。下でしゃがみ、その姿勢からの攻撃も可能。
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ボウガンなどの飛道具は連射が可能。剣などの場合、その振っている間に連射が可能。
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剣系の武器は振っていない状態でも常に前に構えており、ボタン入力をしなくても敵を突いて攻撃することもできる。
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スタートボタンで装備選択画面に移行、手に入れた装備の切り替えがいつでも可能。
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武器以外にも様々なアイテムがあり、それらは全て「ファイヤールーツ」で買うことができる。
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バムはライフ制でダメージを受け、残り3目盛り以下になると画面上部の表示が点滅する。
アイテムの詳細
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武器
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ロングソード
ナイフソードよりもリーチが長い剣。その長さを活かし、バムがダメージを受けない距離から突いて攻撃できる。
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ボーガン
前に数発の矢を飛ばす。これ自身による突きも有効。
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ファイヤーソード
リーチはナイフソード並だが、振ると炎が飛び出す剣。炎はやや山なりに飛び、バムの少し前に落ちる。
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ブーメラン
一定の距離を飛んだ後戻ってくる投擲武器。背後からの攻撃しか受け付けない敵に対して有効。
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マジックソード
最終盤にて人の姿を取り戻したバムの母から託される最強剣にして、ドメスに唯一ダメージを与えられる武器。 ロングソードの先端から剣の残像が飛び出し、威力とリーチがさらに増している。
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盾
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ナイフガーダー
防御範囲は狭いが、小さなナイフを前方に飛ばして攻撃できる。
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ファイヤーガーダー
敵に当てるとダメージを与えることができる。
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ブーツ
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ヘビーブーツ
移動速度が遅くなるが、風の中で普通に歩くことができる。
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ライトウェイトブーツ
走るスピードの最大速度がノーマルブーツ時の8倍にアップ。また、水の上を歩くことができるようになる。
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ハイジャンプブーツ
ノーマルブーツ時の3倍の高さ・飛距離のジャンプが可能となる。
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その他
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ウイング
ジャンプ中の空中制御で方向転換が可能になる。
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トニック
ライフが0になった時に自動使用されるリレイズアイテム。体力回復量はゲージの半分。
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スーパートニック
上位トニック。発動時に体力が全快する。
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敵がドロップするもの
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ファイヤールーツ(1本)
ファイヤールーツが1つ増える。
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ファイヤールーツ(3本)
ファイヤールーツが3つ増える。
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ファイヤーソリッド
様々な文字が書かれており、それによって効果が異なる。
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1
バムの残機が1増える。
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A(オールクラッシュ)
画面内の敵を全滅させる。
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B(ベアライフ)
一定時間無敵になる。体当たりで敵を倒すことも可能。
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F(ファイヤールーツ)
ファイヤールーツが10増える。これが一番出やすい。
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L(ライフ回復)
体力が全回復する。
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R
体力が半分ほど回復する。
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S(スピードアップ)
一定時間バムのスピードが飛躍的にアップし、同時に「B」よりも長い時間無敵になる。
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大きいサイズのF
ファイヤールーツが100増えるだけでなく、さらに体力全回復&1UP。ボス撃破時のみ出現する。
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ボルトの村
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ハイボリア地方の一角に存在する村。炎使いの一族が代々守ってきたが、主人公のバムが留守の間にドメスの襲撃を受けてしまう。
その結果、村人達は異次元のドメスワールドに閉じ込められ、バムの両親は魔物に変えられてしまった。
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最初はバムの家しかないが、ドメスワールドのボスを倒すことで閉じ込められた村人が少しずつ村に戻ってくる。戻って来た村人からはファイヤールーツでアイテムを購入できる。
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ここには敵はいない。黒っぽい縦長の入口が「ボーンステルの森」に繋がっている。
ボーンステルの森
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炎使いの一族ですら奥地には入れない、謎と危険に満ちた森。ここはモンスターの巣窟になっている。また、ドメスワールドの入り口「クロスゲート」も点在する。
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また、森には店もあり、ファイヤールーツで買い物ができる。ただし、ここで買い物をするためには、まず「マークペーパー」というアイテムが必要になる。マークペーパーそのものも森の店で売られているが、これだけは無条件で買える。
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森の店は売り物が無くなった状態になると、入り口が見えなくなって入れなくなる。マークペーパーがない場合は「SOLD OUT」扱いとなる。
ドメスワールド
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ボーンステルの森にある「クロスゲート」からここに続いている。ここでは風の吹いている屋外と、城のような屋内に分かれている。
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屋外の方は、強風に吹かれて強制スクロールになる。前に進み切るとボスと戦うことになる。
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屋内の方は何層にも及ぶエリアを探索してボスを探すことになる。ワールドを仕切る壁があり、そこを開けるには「ファイヤーソウル」という化石を武器で斬って、鍵を手に入れて開かなければならない。
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どちらもボスを倒せばボーンステルの森に戻ってきて、そこから森の新しい部分が開けて地形が変化する。
リトラワールド
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ドメス直属親衛隊の「リトラ」が生み出した異空間。特定のドメスワールド攻略直後に問答無用で引きずり込まれ、中にいるリトラを撃破しない限り元の世界に戻れない。
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リトラワールドは背景・エリア構成こそボーンステルの森と同一だが、色彩が灰色主体に変化し、出現する敵もリトラただ一人に限定される。
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リトラは進化すると魔獣に騎乗して移動速度が劇的に上昇。ライトウェイトブーツの装備が前提となる超高速バトルを制さなければならなくなる。
評価点
良好なゲームデザイン・バランス
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爽快なスピード感。
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屋外ドメスワールドでは自身の動きも風に押されるなどして高速化。背景の流れもそれに合わせて高速スクロールするため、疾走する爽快感が存分に味わえる。特にファイヤーソリッドS取得時は、移動速度アップと無敵付与が合わさって、敵をガンガン倒しながら駆け抜けられる。
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よく「高速疾走するゲーム」として『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が挙げられることが多いが、本作はそれに3年も早く先駆けており、しかもハードはメガドライブよりも劣るディスクシステムである点も無視できない長所である。
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スピードが速めながらも操作性で、操作面でストレスを感じる点は皆無。
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強いて不便な点を挙げるなら、ライトウェイトブーツ装備中のダッシュジャンプの勢いがあまりにもありすぎることくらいか。操作に支障が出るレベルで早すぎるため、発売から30年以上経ってもなおネタにされることがある。
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ただし、最初からそのような場面に出くわすことはないし、ライトウェイトブーツを使いたくなる場所はそれ前提のバランス調整(横に長いステージ構成&敵があまり出現しない、敵もライトウェイトブーツと等速の超高速移動をしてくる等)が施されているため、問題点とはなっていない。
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このようなゲームにありがちなのが、「攻撃する前に勢い余って敵にぶつかってしまう」ことだが、本作の場合前に出している武器には攻撃判定が常に出現しているので突き攻撃となり、ぶつかってばかりで攻撃できずストレスが溜まるということはない。
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目指すべきものがわかりやすい。
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ドメスワールドの入り口は「クロスゲート」に限定されているため、そこが目指すべき場所だとひと目でわかる。
また、ドメスワールドを1つ潰すごとにボーンステルの森が広がっていく(=ドメスによって切り取られた世界が徐々に修復していく)演出が入るため、クリアに一歩一歩近づいていく達成感がしっかり得られる。
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最初何もなかったボルトの村にも、次々と建物と村人が戻ってきて賑やかになる。それだけでなく建物は全て店なので「そこで売っているアイテムを買ってバムを強くする」という新たな目標が生じる。
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森の方でも新たなエリアや店が出現。また、ラストダンジョン出現時は「間違いなくここにドメスがいる」と言わんばかりの異彩を放つ。
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演出面・グラフィック面
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マップの様相は森・町・城壁・火の海…と多種多様。それはグラフィックだけでなくギミックにもなっており、先述した装備群を適宜最適なものに切り替えながら進む必要があるため、攻略面においても無視できない影響がある。
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また、ドメス以外の全てのボスキャラは倒されるとドメスによって進化・強化され、バムにリベンジを挑んでくる。
グラフィックが変わるだけでなく攻撃パターンも追加されるため、使い回しによるマンネリ感をあまり感じさせない作りになっている。
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いずれのアイテムもそれぞれ個性を持っており、使った瞬間にその強みがすぐわかるものばかり。
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特に序盤に買える「ロングソード」と「ナイフガーダー」があれば、戦いを一気に楽にしてくれるので、このあたりからプレイヤーのテンションも上がってくる。
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シューズ系も購入して装備した瞬間にその効果のほどが容易に感じ取れる。
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すべての敵が倒すと何かしらをドロップする。
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最低でもファイヤールーツ1本は落とすので、倒すことがムダにはならない。
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経験値による成長がないため、こういったところで何も落とさないことが続くとモチベーションを落とす要因になりかねないので、そういった悪循環を防いでいる。
賛否両論点・問題点
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初期の屋外ドメスワールドの疾走感は快感が得られる一方で、ドロップアイテムが取れない。
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強制的にスクロールすることもあって、自分の近くで倒した場合、そのドロップアイテムまで同じスピードで走る上に、後ろには行けないためドロップしたアイテムをあきらめざるを得ない。
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「仕様だから仕方ない」と言えなくもないが、全く取れないのはさすがに問題があるか。
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アイテムによるパワーアップの機会は多いもののバム自身のライフ最大値はアップする機会がない。
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少々味気ないエンディング。
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ラスボスのドメスを倒した後はバムが人間に戻った両親と一緒に家でスタッフロールを流すだけ。その後バムの家に明かりが灯る場面でゲーム終了である。
「平穏な日常を取り戻した」描写ではあるのだが、メインターゲットとなる低学年層にそれが理解できたかは若干疑問符がつく。
総評
エンディングが簡素すぎる点くらいしか問題点らしい問題点がない、高い完成度を誇るアクションRPG。
他のアクションゲームでは見られないほどのスピード感と、それにきっちり対応した良好な操作性とバランス調整が施されており、発売から長い年月が経った現在でも十分遊べる仕上がりとなっている。
余談
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パッケージで見るバムは、まるでジャングルの原住民っぽい風貌をしているが、ゲーム中では妙に可愛く見える。
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取扱書の画面写真は、「セーブとロードの方法(29頁)」以外はステータスの部分にしてもバムの家にしても微妙に異なっている。恐らく開発中のものと思われる。
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1ヶ月前にロムカセットで発売された『殺意の階層 ソフトハウス連続殺人事件』といい、この当時のHAL研究所作品はゲームの質自体は非常に良いのに売り上げが伴わずメジャーになれなかった悲運を感じるものが多い。
最終更新:2023年11月07日 11:57