サラブレッドブリーダーII

【さらぶれっどぶりーだーつー】

ジャンル シミュレーション
対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 ヘクト
発売日 1994年6月8日
プレイ人数 1人
定価 12,800円
判定 スルメゲー
ポイント 競走馬育成ゲーム全盛期に唯一昭和の名馬たちと戦えるゲーム
ゲームを通して競馬史を知る
少々不便な調教システムはほとんどそのまま
サラブレッドブリーダーシリーズ
無印 / II / IIPLUS / III / 世界制覇編


概要

1994年6月に発売された競走馬シミュレーションゲーム。
前年発売された『サラブレッドブリーダー』の続編となる。
本作はエンドレスではなく、現実の昭和39(1964)年~平成5(1993)年の30年間を史実に沿って進行し、シンザン・ ハイセイコー・TTG*1・シービー&ルドルフのダブル三冠馬・平成三強*2など史実の名馬たちと競い合う。 根本的なシステムは前作からほぼそのまま受け継がれているため、エンドレス方式だった前作を実史30年方式にアレンジしたものと言えるだろう。
それだけでなく新しいパラメータ追加や一部バグの修正やバランスの調整もなされている。

本項目ではその変更点を中心に記載するものとする。


内容

全体の流れ

  • 前作では『ダビスタシリーズ』同様のエンドレススタイルだったが本作は昭和39(1964)年~平成5(1993)年の中央競馬史30年をプレーする。
    • レースはそれぞれの時代がしっかり再現されている(ただし土曜開催はない)。
      例えば昭和47(1972)年初期はウマインフルエンザにより関東での開催ができなかったことや、昭和51(1976)年の皐月賞がストライキにより東京競馬場開催になったことなど。
      • 終わった後の重賞を見ると、実際の勝利馬の名前が表示される(自身の馬が勝ったとしても、ここに表示されるのは史実で勝った馬)。
    • 30年を完走すると、それまでの成績の集計が表示される。
      牡・牝ごとの競争成績(全体・重賞・八大競争)。
      総獲得賞金(約〇億円)
      牡・牝ごと出生頭数
      レース後の故障と予後不良発生回数
      八百長疑惑発生回数(後述)
    • その後にオーナーブリーダーとしての点数が100点満点で採点される。
    • それが終わると、30年プレーの間での八大競争初制覇時の表彰写真と、年度代表馬、クラシック三冠、牝馬三冠(「エリザベス女王杯」として施行された昭和51年以降)、天皇賞連覇時の記事がダイジェストで見られる。
    • 最後にスタッフロールで、それが終わると「30年前に戻る」と「継続プレイ」を選択する。
      • 30年前に戻る
        ここまで稼いだ資金を持ち越して、再び昭和39年から再スタートすることになる(初期設定からやり直す)。
        ただし、初回スタート時と違って初期所有の繁殖牝馬にハヤノボリ、シラオキ、トキノタカラといった最強クラスの馬を選ぶことができる*3
      • 継続プレイ
        そのまま、前作のようなエンドレスループのプレーに入る。以降は年は表示されなくなる(均一で「平成6年」扱い)。
  • 4歳クラシックと天皇賞、宝塚記念、有馬記念の週を迎えると、注目馬の載った新聞記事が出る(継続プレイの「平成6年」時を除く)。
    • 人気を集めそうな馬が1~3頭ピックアップされる。特にない場合「中心場不在!戦国模様の○○(レース名)」という記事になる。

騎手のシステム

  • 本作では実在騎手への騎乗依頼はできない。ゲームオリジナルのプレイヤー専属騎手のみにしか依頼できない。
    • 現在のみだった前作と違い昭和39(1964)年当時のベテランからエンドレスプレイの平成6(1994)年の新人までのデータを用意するとなると容量が膨大に膨れ上がるため、このようなシステムにしたものと思われる。
    • デフォルト名は開始時29歳のベテラン「おがた」「まつむら」、17歳の新人「やなぎ」「れいこ」の4人がいる。
    • ゲーム開始時に得意な戦法と、ベテランの2人は得意な距離を決める(「万能」にすると「短距離適性」「中距離適正」「長距離適正」が1/3に均等に分散される)。
    • ベテランの2人は初期から経験値をある程度持っているが、以後の成長は鈍い。新人の2人は完全にゼロ状態だがベテランの2人よりも3.5倍の成長力がある。
  • 騎手のパラメーター
    • 「経験値(S)」
      • 根本的な騎乗の技術度。これが少ないと出遅れなどをしやすい。
      • 同時にこれが高くなっていくと、負けた時に経験値に応じて「①馬体重の適正との差」「②相手との能力差」「③成長の時期」「④得意な展開」をコメントしてくれるようになる。新人は最初は「私の力が足りませんでした」としか言わず、体重に関することすら言わない。
    • 「短距離適性(短)」
      • 1000~1700m適正。
    • 「中距離適性(中)」
      • 1800~2200mの適正。
    • 「長距離適性(長)」
      • 2300m以上の適正。
    • 「ダート適性(D)」
      • ダートや道悪状態での適正。
    • 「経験値(S)」は騎乗さえすれば上がっていくが、それ以外は対象の距離やダートレースで勝たないと上がらない。
      重賞は平場の8倍、八大競争は16倍分上昇する。それに新人ならば更に3.5倍となる。
  • レース中にリセットすると再開時新聞で「〇月〇週 〇〇〇〇(レース名前)に不正疑惑発生 八百長!?」とでかでかと書かれた新聞記事で再開される。
    • 乗っていた騎手は4週間騎乗停止処分となる*4
    • 上記の通り、この回数も記録されており、最終評価で1回につき1点が減点される。
    • レース自体はなかったことになり、馬自身の出走履歴には記録されず、レースによる馬体重の増減もない。つまり、故障(予後不良)がわかったら1点減点と引換えに命を救うことができる。
  • レースに出す前に追う度合いを決めることができるようになった。
    • レースを使う目的や、相手のクラスでどれほどの力の出し具合が必要かに応じて下記5通りの中から使い分けられる。
    • 「勝負」馬をとことん追って実力以上のものを出させる。
      • もちろん馬にかかる負担も非常に大きく馬体重が減りや疲労も非常に大きい。
    • 「お任せ」普通に使う場合で、大体実力通り。
      • レースでの力の出し具合は「勝負」に次いで2番目。
    • 「調整」なまった状態の馬に刺激を与える(適度に疲れさせる)のに最適。
      • レースでの力の出し具合は「お任せ」よりやや低めで、馬体重が減りはほとんどないが疲労度は「お任せ」よりやや高い。
    • 「一叩き」疲れさせずに馬体重を絞りたい時。
      • レースでの力の出し具合は「調整」と同じ。疲労は小さいが馬体重の減りは大きい。
    • 「流し」格下相手で楽勝な時。
      • レースでの力の出し具合は最低だが、馬体重の減りも疲労もほとんどない。

その他

  • 賞金は年代を問わず1994年当時の基準に統一されている。
    • 例えば日本ダービー(東京優駿)ならば昭和39(1964)年当時は1着賞金が1000万だったが、1994年当時の1億3000万になっている。
    • 賞金によるクラス分けも1994年当時基準の「500万」「900万」「1500万」になっている。
    • 昭和59(1984)年から現在のグレード制は施行されたので、それ以前は単に「重賞」という扱いでしかないが、賞金はグレード制導入後にそれぞれ合わせられている。
      • クモハタ記念、ビクトリアカップなどグレード制導入前に廃止されたレースはだいだいGII基準になっている。
  • スーパー種牡馬、スーパー繁殖牝馬登場の条件が獲得賞金8億円毎になった。
  • 種牡馬は常に全通りから選べるようになった。
    • 種牡馬も史実での、種牡馬入り、種牡馬引退、死没などに準じて使える期間は限られている。
      • 例えばホウヨウボーイならば、昭和56(1981)年限りで引退して種牡馬入りしたものの、その年のうちに死亡してしまったのでゲームでも使えるのは昭和57(1982)年のみ。
    • 一部種牡馬(ヒンドスタン、パーソロン、ノーザンテーストなど)は特定の年で、能力値や種付け料が変わる(固定)。
  • 種牡馬、繁殖牝馬に新たなステータスが追加された。
    • 「代替」
      • 成長期に能力を底上げする力で、成長力とこれが非常に重要となる。
      • 0~127だが、既存馬で最高は種牡馬では昭和39(1964)年のスーパー枠、ネイティヴダンサーの80で、繁殖牝馬ならば同じく同年のスーパー枠、コングの66。
      • つまり、それ以上の馬を使いたければ自分で生産したものに頼るしかない。
    • 「相性」
      • パターンは40通りあり、すべての馬がいずれかのものを持っている。
      • 父と母のこれが合致した場合のみ、産駒にその特徴が現れる。合致した場合は種付け時に「これはひょっとして…」とコメントされる。
      • プラスのみに働くものもあれば一長一短なものもある。モロにマイナスなものはない。
    • 「伝達力」
      • 産駒が繁殖入りしてからの「成長力」となる。つまり、この値が高いと孫の代で成長力が高くなる。
    • 「適応力」
      • 前作では距離適性になっていた部分が独立。これが高いと適正距離の幅が広い。反面低いと一部の距離のみにとことん特化したものになる。
    • 「繁殖力」(種牡馬のみ)
      • A・B・Cの3段階で高いほど受胎率が高くなる。
    • 「生命力」(繁殖牝馬のみ)
      • 数値のパラメータで、種付けをするごとに下がっていき、下がるほど受胎率が悪くなる。ゼロになると死亡する。
      • 根本的には能力の高い馬ほどこれが低い傾向にある。
  • リアルな馬の嘶きが実装された。
    • 上記のスーパー馬登場時や予後不良時は「ヒィーヒヒヒヒン!!」と馬の嘶く声が発生する。
      • 因みに実際のサラブレッドは、このような典型的な馬のような嘶きはしない。
  • 2着時は4択のクイズが出題される。これに正解すると賞金を1着分にしてくれる。
    • ただし、馬自身の獲得賞金額は2着分しか加算されず、差分は単に資金として貰えるだけで上記のスーパー馬の累積にも含まない。
  • 温泉の効果が少し変わった。
    • 故障の回復は早いが、成長期に関係なく能力が微量ながら落ちていく。
      • ただしピークを過ぎた馬の能力の落ち幅よりは緩いので、ピークを過ぎた馬は走らせたら温泉に入れて次を待つが賢いやり方。
  • 厩舎での表示はヨコ並びになり、馬のグラフィックは一回り大きくなった。
    • これにより、厩舎での全体表示でも確認、今の状態が確認できるようになった。
    • 汗のかき度合いなどで疲労度合いが見られるようになった。
    • 調子による馬の表情もより豊かに表現されるようになった。
    • その反面、一度に見られる馬の数は3頭までで、それ以上となるとスクロールで見る必要がある。
  • 有料で馬の鑑定ができる。
    • かかる料金は均一ではなく現在額に対しての比率依存なので、金を持っているほど高くなる(最低100万)。項目は下記11通り。
    • 「成長の時期」(1%)
      「まだ成長期になっていません」「成長中です」「成長のピークはすぎました」の3通り。
    • 「得意な距離」(5%)
      ○○00m~○○00m、○○00m以上など100m単位で教えてくれる。
    • 「理想的な体重」(1%)
      ベスト体重と今の体重の乖離を教えてくれるが10kg以上ある場合は「あと20kg絞った方がいいです。」「あと10kg太らせた方がいいです。」と10kg単位になる。
    • 「得意な馬場」(3%)
      芝とダートのどちらに向いているか教えてくれる。特に向いている場合「絶対」、さほど差がない場合は「どちらかといえば」になる。
    • 「特殊な能力」(2%)
      両親の相性が一致した場合に受け継がれた能力について教えてくれる。
    • 「特殊能力の遺伝」(2%)
      種牡馬、繁殖牝馬となった後「相性」など、特殊なものを持っている場合、それを教えてくれる。
    • 「血統的な力」(3%)
      血統的な能力を999点満点で教えてくれる。血統的なので調教による強化は含まない。
    • 「新馬デビュー」(1%)
      デビュー前の馬が新馬戦に出た結果を予想。勝てる見込みがあるならば「今がチャンスです」、まだ能力的に難しい場合「まだちょっとムリだと思います。」。
    • 「得意な位置取り」(8%)
      脚質「自在」「逃げ」「先行」「差し」「追込」をストレートに教えてくれる。
    • 「現在の実力」(1%)
      今の実力が「未勝利」「500万」「900万」「1500万」「オープン」「重賞」いずれのクラスに相当するかを教えてくれる。
    • 「疲労度」(1%)
      今の疲労蓄積度合いを7段階で教えてくれる。最悪な状態が「体が動かない」で、この状態で調教すると確実に故障する。
  • 2月1週で種付けしても12月に生まれるようなことはなくなった。

評価点

  • 中央競馬史に燦然と輝く名馬たちと戦える。
    • 土曜開催こそないものの、なくなったレースをはじめレースプログラムもしっかり史実に基づいて取り込まれており、再現度の高さは目を見張るものがある。
      • 同時にすっかり伝説となった馬の配合などを行ったりもできるので、昭和時代の競馬ファンにとってはヤミツキ必至。
    • リアルタイムで新聞などが出て、自分の馬が伝説の名馬と並ぶのも当時を生きている気分にさせてくれる。
    • 重賞限定ではあるものの、当時の史実の勝ち馬の名前が出てくるなど、ちょっとしたレース名鑑な一面もある。
  • 初心者に対しての救済機能「馬の鑑定」。
    • 有料とはいえ、普通にプレイしていては気付きにくい特徴を的確にしてくれるので、このようなゲームにありがちな「わけがわからず、ただ負けてばかりでモチベーションを保てず投げ出して終わる」という最悪な結果をある程度未然に防いでいる。
    • 特に初心者は資金繰りも上手くないので逼迫していることが多いため、所持金が少ないほど安くやってもらえる点も初心者に親切な形になっている。
  • 初心者を脱出した次のステップでも設けられている救済要素がある。
    • 次にぶちあたりやすい壁としては、なんとかシステムには慣れたけど、上手く資金繰りができず破産して終わるというパターンだが、そこで地方馬に気付くことで30年完走する道が視野に入ってくる。
    • 地方馬は中には少しはGIを狙えるレベルの馬もいるし、成長パターンは表示されているのであからさまにピークを過ぎた馬*5を選ばなければ、大スカで結果大赤字になるような心配は薄い。
    • 昭和54(1979)年には、その年のみ購入できる繁殖牝馬、ミスマルミチとワールドハヤブサという馬がおり、双方とも能力はノーマル枠ではかなり強いのに1000万と安価。
      • ちょうど半分であり序盤を乗り切れても、このあたりでまた詰まりだすポイントなので、その救済にもなっている。
  • 厩舎の馬を一覧で状態を確認できるようになった。
    • 前作は表示が小さすぎて、いちいち馬固有の画面を開かなければならなかったのが改善。
      • 画面の大きさからして3頭ずつがやっとだが、それでもLやRのスクロールでズラッと確認できるのは便利。
  • このようなゲームとは好相性のクイズ。
    • 2着になると出されるクイズは、いろいろマニアックでゲーム対象外の昭和38(1963)年以前に絡む問題も出てくる。
      • そのため、ゲームを通して競馬の歴史を知りたいという新規競馬ファンにもうってつけな要素。

賛否両論点

  • 実在騎手に乗ってもらえない仕様。
    • 保田隆芳、野平祐二、加賀武見、栗田勝、武邦彦など名立たる名騎手たちも出てくるのだが、彼らに騎乗依頼できないのは古参の競馬ファンとしてはガッカリなところ。
    • しかし、自分の完全なパートナーとしての騎手を育てながらガッチリとタッグを組んで昭和の名馬、名騎手たちに挑んでいくのは、これまでのゲームでは味わえない楽しさに転化させている一面もある。
  • ヘクトプリンセスの存在。
    • 昭和39(1964)年の地方馬だが他が3000万なのにこの馬のみ値段は9億9900万。
      • 当然のごとく強く「勝負」で臨めばシンザンに代わる三冠も可能なほどだが、繁殖入りすると一転能力は最悪なレベルになる。
    • もちろん、趣味の範疇としてなら面白いし、スーパー馬を出すためにガンガン賞金を稼いでもらうならばまさにうってつけではある。
  • 前作とはまるで違うゲームの方向性。
    • 本作には前作のヘクトカップのような明確な目標がない。30年間破産しなければそれだけでクリアであり、無条件でエンディングも流れる。
    • もちろんこれが悪いというわけではなく、シリーズファン内でもこれはこれで良いという意見もある。
      • 一応、本作の目標は30年を完走した後のオーナーブリーダーとしての採点で100点を目指すというものだが、これが何点だろうがスタッフロールが変わったりしないので寂しく感じる部分ではある。

問題点

  • 「継続プレイ」の価値が薄い。
    • 特定レース前の新聞による下馬評や年度代表馬の記事も出ないので、イマイチやりがいがない。
    • おまけに地方馬も、2歳馬も常に売り切れで買うことができない。
    • 前作のようなエンドレスモードに入るわけだが前作は「ヘクトカップ制覇」という目標があったのだが、そういったものはなく本作の目標である採点もされない。
    • ここでしか出ない種牡馬や繁殖牝馬(スーパー含む)もいるが、いずれも特別強い馬がいない。
      • 一応平成4(1992)年から使えるノーマルながらスーパーバリの能力を持った種牡馬ダンシングブレーブ、平成4(1992)年のスーパー繁殖牝馬になっている当時唯一の三冠牝馬のメジロラモーヌなどを使いたいならば必須といえば必須だが、単に対戦のために強い馬を作りたいだけならば、そのまま最初の昭和39(1964)年に戻った方が、スーパー馬の能力も更に強いのがゴロゴロ出てくるので効率がいい。
    • 同時に平成期に入って登場する種牡馬たちは、その意義の薄い「継続プレイ」をしないことには活躍の場がない。平成元(1989)年に種牡馬入する組がギリギリ最終年のクラシックに間に合うだけ。
  • 不便なシステムまでそのまま改善せず持ち越されてしまっている。
    • その最たる例が全体調教のシステムで、助手4人の持ち分が固定のため結局「臨時」でダビスタよろしく個々に調教を行った方が良い。
      • しかも本作はたくさんの馬の把握がしにくいレイアウトになっているので、3頭程度ならいいもののあまりに多くの馬を管理していると気が付かないうちに故障していたなんてことも起きやすい。
  • 後述の通り、実績に対して不釣り合いなのもいるが、それを抜きにして値段と能力が不釣り合いなステータスの種牡馬や繁殖牝馬も多々ある。
    • 例えばノーザンテーストは平成4(1992)年以降は種付け料が2900万とスーパー種牡馬バリの高額なのに、能力がガタ落ちして底辺クラスになる。
      それまでは能力も非常に高く、昭和56(1981)年~平成3(1991)年は何故か600万と破格の安さ。昭和51(1976)年~昭和55(1980)年は2400万とスーパーバリの高額だがその分能力も高い。
      • 一応直後の平成5(1993)年にリアルシャダイとトニービンに抜かれてリーディングサイアーから陥落したので能力は納得にしても、種付け料が高くなる理由がよくわからない。
    • ニホンピロウイナーも1500万とやたら高いわりに成長力Cで代替値も18と低く底辺クラスの力しかない。
    • 片やダンシングブレーヴはなんと種付け料たった300万なのに能力はどれも高くスーパー種牡馬クラスのものになっている。
  • 攻略書籍でもなければ重要なパラメータである「成長力」「代替」などがマスクデータのせいで知るすべがない。
    • インブリードは効果にプラスもあればマイナスもあり、これに関しても攻略書籍に頼らなければノーヒント。
    • 種牡馬や繁殖牝馬上記の通り「高いからといって優秀とは限らない」というのも、初心者からすれば一筋縄ではいかない難しさに繋がっている。
  • 馬の鑑定「血統的な力」がおかしい
    • いくつかの能力を総合して999点満点で評価してくれるのだが、能力が高いほど高得点になるわけではなく低いほど高得点になるものもあるため、総合点だけ聞いても全く当てにならない。
  • 地方馬の購入でしかシンザン世代と戦えない。
    • 初期に貰える馬では、その年に生まれる馬でもデビューできるのは昭和41(1966)年で、シンザンは昭和40(1965)年に引退してしまう。
      • そのため、シンザンと戦いたいならば地方馬に頼るしかない。初期に貰える3歳と2歳馬では当然能力が低すぎて(上手くいってやっとこオープン程度)シンザンと戦う以前の問題。
    • もう5年ほど前をスタートにしても良かったかもしれない。
  • 平成6(1994)年追加の種牡馬。
    • 平成6(1994)年なのに当時まだ現役バリバリのナリタブライアン、ウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタタイシン、ライスシャワーが現役をホッポリ出して種牡馬になっているのは違和感がある。
    • トウカイテイオーも再度の骨折のためこの年の出走は叶わず結果的には前年の有馬記念が生涯最後の出走となったが正式に引退したのはこの年の10月なので、まだまだ現役だった。
  • 一部ステータスとの整合で現実の再現ができないこともある。
    • 例えば昭和53(1978)年1月の日経新春杯は、あのTTGの一角テンポイントが致命的な故障をした悲劇のレースとして有名だが、ゲームではライバル馬は故障しないシステム都合によりテンポイントは出走せず、史実の勝ち馬ジンクエストが適当な馬と走って勝って終わるだけ。
      • 他にも昭和41(1966)年の阪神大賞典のキーストン、昭和62(1987)年の有馬記念のサクラスターオーなど故障したレースの再現は一切されない(テンポイント同様、キーストンやサクラスターオーそのものが出走しない)。
    • 昭和48(1973)年の日本ダービーは、当時のアイドルホースであるハイセイコーの不敗神話が崩れ去った伝説的なレース*6だが、ゲームでのステータスではハイセイコーが実際の勝ち馬であるタケホープよりもかなり高く設定されているため出てこない。これは同年の菊花賞や翌昭和49(1974)年の春の天皇賞も同様。
      • レースでは出てこないのにレース前の新聞では普通に単独で注目馬として出てくる。
    • 昭和46(1971)年の有馬記念は馬インフルエンザの影響でエントリー自体が少なく更に直前での取り消しも多発して6頭での競走だったがゲームでは必ず8頭となる。

総評

賛否ある前作のシステムがほぼそのまま持ち越されているが、実在の競馬史に残る名馬たちと競い合えるという内容は、往年の競馬ファンならば否応なくのめり込んでしまうだろうし、新規のファンでも伝説として聞いたことのある馬たちと戦えるとなれば同じことが言える。
それだけに慣れない少々難しいシステムに対しても、前作を知らなくても自ずとそれを覚えていくことが苦になりにくく、更なる研究心も維持していくことができるきっかけとしては十分すぎるものに違いない。
また「馬の鑑定」が導入されことによって、初心者に対するハードルが下げられているので、伝説の競馬30年という魅力を感じて新規プレーをする層に対しても敷居を下げる配慮もされている。
それでもデータ量が増えたことや、それに伴っての配合の難しさはそうやすやすとコツは掴めないし、前作で使い勝手の悪かった調教システムなど、システム面で難があった部分が放置されているところも少なくはなく、更に騎手の育成にも手間をかける必要がある。
偉大な先人先馬と戦う醍醐味を味わえるのは大いに魅力的であるが、システムに慣れ、使いこなしていくコツを掴むのは難しく、それを乗り越えてこそ伝説の舞台での戦いを満喫できるのだ。


その後の展開

  • 1996年10月18日に続編『サラブレッドブリーダーIII』がスーパーファミコンで発売。
    • こちらはゲームの舞台は現在(1996年)のみだがシステムが大幅に刷新され日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパと外国のレースまでフルに取り込まれている。
      • とはいえ当時は外国の競馬など一部GIを除いて興味がない者がほとんどだったため、日本からの遠征ならまだしも、そのまま外国での競馬ごときをフルに取り込んだところでどうでもいいとしか思われず、かけらほどの魅力にもならなかった。
        おまけに当時は翌年に発売を控えた『ファイナルファンタジーVII』の影響もありプレイステーションへの世代交代が進んだ時期でもあったためソフト売上自体は大幅に落ちている。

余談

  • ゲームとしてのバランスは取れているものの、既に実績の結果があるにもかかわらず能力が低いなど矛盾した点が見られる。
    だが後々になって終わってみれば妥当な評価だったと思えるような結果になった例もある。
    • 平成6(1994)年の三冠馬ナリタブライアンが早熟の短距離馬になっている上に成長力がCとひどい評価。
      • 発売時点では朝日杯・皐月賞・ダービーまで勝っているがダービーは5月29日、皐月賞は4月17日なので、開発期間を考えればダービーはもちろん、皐月賞制覇すら視野には入れられないので仕方ないと言えば仕方ないが、それでも時期を考えれば朝日杯、共同通信杯とシャードーロールのおかげで無双状態突入という時期だったのに…
        結果的に早熟という点に関しては翌年(5歳)春のGII阪神大賞典快勝後に故障、復帰した秋以降は大敗を繰り返して最終的に古馬成績では阪神大賞典2勝と6歳春の天皇賞2着以外はすべて着外の大敗で無冠に終わったため、当らずとも遠からずになったのは皮肉か。
    • ウイニングチケットがビワハヤヒデよりも種牡馬としての能力が高い。
      • ウイニングチケットは平成5(1993)年のダービー制覇後の4歳秋以降は復帰戦の京都新聞杯こそ辛うじて勝ったもののそれが最後の勝利となり、4歳時のジャパンカップ(3着)と5歳時のオールカマー(2着)以外はすべて大敗しており*7明らかに同期のビワハヤヒデには大きく水をあけられている*8
        ウイニングチケットの5歳始動となったのは7月の高松宮杯なので、古馬での戦績はこの時点では未知数だが少なくとも平成5(1993)年の有馬記念での11着大敗や、ビワハヤヒデとの直接対決ではその有馬記念までに限ってもわずかな差で勝ったダービー以外は全て大差をつけられて負けていることは認知しているはずなので、ビワハヤヒデより上と見る理由がない。
      • もっとも史実ではお互いに種牡馬としては成功したとは言い難かったものの、中央重賞勝ち馬を送り出すことができなかったビワハヤヒデに対し、ウイニングチケットはGIIIのフェアリーステークスを制したベルグチケットを送り出した上デビュー6連勝でGIの大阪杯を逃げ切ったレイパパレの曽祖父(母の母の父)にもなっているので、種牡馬としてはウイニングチケットに軍配が上がったとは言える。
    • 平成5(1993)年に輸入されたトニービンの父カンパラは、輸入時既に18歳と高齢なこともあって産駒は重賞どころかオープンすらままならなかったほど鳴かず飛ばずだったのに、ゲームでは中の上ぐらいの能力になっている。
      • これだけなら当時は日本で産駒がデビューする前の未知数状態だから仕方ないしトニービンの活躍も考慮に入れたのかも知れないが、だとすると祖父(トニービンの曽祖父)ゼダーンの能力が最低クラスなのは矛盾している*9
    • スターバレリーナが何故かスーパー繁殖牝馬枠になっている。しかも能力もスーパーとして申し分なく高いので「一見すごそうに見せて実はヘッポコを用意した罠要素」というわけでもない。
      • 本馬は平成5(1993)年のローズステークスを勝っただけで本番のエリザベス女王杯では1番人気に推されながら9着と大敗。GI未勝利で他の重賞勝ちもなく、ここまでの優遇される理由が薄い*10
      • なお孫に2013年の皐月賞馬ロゴタイプや2012年のサマースプリントチャンピオンで、種牡馬としてもJpnIのJBCスプリントやサウジアラビアの高額賞金GIIIのリヤドダートスプリントを制したダンシングプリンスを送り出したパドトロワがいるなど、実際に繁殖牝馬としては優秀であった。
    • その一方で平成3(1991)年の桜花賞馬でオークスでも2着したシスタートウショウがノーマル扱いで、ノーマルの中では高額で能力も高めとはいえスターバレリーナに劣る。昭和63(1988)年のエリザベス女王杯を制したミヤマポピーに至っては、ノーマルなだけでなく能力も底辺クラス。他にもGIを制しながらノーマルの底辺扱いな牝馬に平成元(1989)年のオークス馬ライトカラー、同年のエリザベス女王杯を制したサンドピアリスなどがいる。
      • 彼女らもサンドピアリスこそタマモストロングという重賞勝ち馬を出したものの、他はいずれも産駒は鳴かず飛ばずに終わっている。
  • 反面、前作でスーパー枠に入っていたエアグルーヴの母ダイナカールはノーマル枠で、能力もそれなりの平凡なものに変えられている。
    • 言うまでもなくエアグルーヴ(父トニービン)は前年に生まれたばかりな上に、既にデビュー済のエアグルーヴの兄や姉はやっとこ未勝利を脱した程度の実績しかなく、この当時はせいぜい「自身がオークス馬」という程度しか見るべきところがないので、これぐらいが無難な扱いではある。
  • 重賞勝ちやGI2着など充分な結果を出していながら休ませてもらえず理不尽なまでに酷使され、平成4(1992)年の有馬記念で致命的な骨折をした平成初の悲劇の名牝として名高いサンエイサンキューは、本作でも平成6(1994)年追加の繁殖牝馬として登場している。
    • 言うまでもなく本来ならば安楽死処分は避けられないほどだったがオーナーの繁殖入りさせたい意向から延命処理が取られ、本作発売当時は延命闘病でボロボロ状態ながらまだ生存していた(2年近い治療の甲斐もなくこの年の10月21日に6歳で死没)。
      • 到底生存など望めない骨折をしていながらもこのようにゲームでは入れられているところを見ると彼女の奇跡的な回復を願う気持ちを感じさせる。
    • 当然というべきか安楽死を要される骨折ならば仮に奇跡的に命をつなぎ留めても競走馬復帰はありえないため年明けた平成5(1993)年には引退している扱いだが、その時点では繁殖入りされていないというのも現実にしっかり準拠している。
  • 本作発売の少し前にあたる1994年3月4日、テレビ朝日系夜9時放送のドキュメンタリー番組『驚きももの木20世紀』で「悲運の名馬 テンポイント伝説」が放送されていた。
    • TTGの一角、テンポイントにスポットをあてて、その生涯をドラマチックに語る内容になっていた。同番組は非常に人気が高かったこともあって、これを見て初めてそのエピソードを知った、昭和時代の競馬の魅力を感じた矢先に、このようなゲームが出たこともあって本作をプレーするきっかけになったという人も少なからずいたと思われる。本作にとっては非常にいいタイミングで放送してくれた好都合なことだろう。
    • 因みにそのテンポイントは過去の馬で種牡馬になることもなく死没してしまったこともあり血統にその名が載っていないので、『ダビスタシリーズ』などをはじめとした当時の現代を舞台にした競馬系ゲームの大多数では普通に同じ名前を付けられてしまうが、本作では勿論付けられない。

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競馬 ヘクト SLG SFC
最終更新:2024年11月12日 05:38

*1 トウショウボーイ、テンポイント、グリーングラスの1973年世代で、それぞれの頭文字を取ったもの。

*2 オグリキャップ、スーパークリーク、イナリワンの3頭を指す。

*3 本当の初回時は高くても1億円のナミノオト、リトルミッジあたりしか貰えない。

*4 もちろん現実で八百長などをやろうものなら騎乗停止どころか資格取り消しである。

*5 昭和62(1987)年のヨネタロウ(晩成だが8歳)、ヨネジロウ(普通な上に7歳)などがそれにあたる。

*6 単勝支持率がダービー史上最高で66.6%と驚異的だったことも、その話題性をグンと高めた。これは平成17(2005)年ディープインパクト(73.3%)に破られたが、勝てなかった中での単勝支持率としては今もなお歴代最高である。

*7 菊花賞は3着だったがビワハヤヒデには6馬身半も離されており無冠のステージチャンプ(2着)の後塵も拝しているので事実上大敗。

*8 ビワハヤヒデは菊花賞までGI勝ちこそなかったが、それまで挑戦した3度のGIはすべて2着に入っており有馬記念でも2着。

*9 カンパラの父でありトニービンの祖父カラムーンをはじめヨーロッパでの産駒の活躍は目覚ましく、昭和54(1979)年(当時15歳)に日本に輸入されてからも昭和56(1981)年生のエリザベス女王杯馬キョウワサンダーやGIには届かなかったが、GIII2勝した昭和58年(1983)生のタニノスイセイなど少ないながら活躍馬を出していた。またカラムーンは昭和52(1977)年のスーパー種牡馬枠として入っている。

*10 平成6(1994)年7月の高松宮杯ではダービー馬ウイニングチケットを5着に退けて2着したものの本作発売の後の話。5月の京阪杯でも牡馬に混じって2着しているが、これを加味するには時期的に無理がある。また双方ともそれだけでスーパーと評価するには不十分。