ノスフェラトゥ
【のすふぇらとぅ】
ジャンル
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横スクロールアクション
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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16MbitROMカートリッジ
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発売元・開発元
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セタ
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発売日
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1994年10月7日
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定価
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9,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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劣悪な操作性 理不尽なトラップ 強すぎる敵&迫りくる時間制限 代り映えしないステージギミック ゴシックホラーとしての一面は好評
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概要
セタから1994年に発売された2D横スクロールアクションゲーム。
主人公が吸血鬼に攫われたヒロインを助けに行くというストーリーである。
本作にシリーズはなく単体作品となっている。
パッケージイラストは『ウィザードリィ』などで知られる末弥純氏が手がけている。
特徴
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基本的には横スクロールアクションであり、全6ステージ構成。
各ステージの最後にボスが配置されており、それらを倒してステージを進めていく面クリア型ゲームとしては基本的な造り。
各ステージごとに制限時間が設けられているが、ボス戦では無制限となる。
本作にセーブ機能はなく、昔のゲームにありがちなクレジット制である。
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主人公の特性
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操作の癖はかなり強い。
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基本的には移動姿勢と攻撃姿勢の2種類がある。
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移動姿勢では歩く、その場ジャンプ、前ジャンプ、走る、走りながら前ジャンプといったアクションが可能である。
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攻撃姿勢はパンチを繰り出す&敵からの攻撃を受けることで自動的に移行する。
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攻撃姿勢でのジャンプはあくまで飛び蹴りをメインとした動作であり、移動姿勢のような大幅なジャンプが効かない。↑キーを押して移動姿勢に移行する必要がある。これらをステージごとに配置されている敵や罠に対して上手く使い分ける必要があり、ゲームとしての難易度はかなり高い。
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攻撃姿勢での移動は基本的に前ステップとバックステップとなり、メインのパンチは連続でヒットする格闘ゲームのチェーンコンボのようなもの。方向入れやジャンプ中の繰り出しによって色々な攻撃に変化させることができ、どちらかというと格闘ゲームのような攻撃方法になる。
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攻撃はクリスタルの所持数によって強化されていく仕様。最大で9個まで持つことができ、敵を倒す&宝箱から入手可能。3つ持つごとに攻撃力やコンボ数、技のバリエーションに変化が生じる。
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ステージの所々に宝箱が設置されており、中には体力回復アイテム、攻撃強化クリスタル、体力上限増加アイテム、時間制限増加の砂時計といったものを一度に数個回収できる仕組みになっている。
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しかし、クリスタルは被ダメージや落下、壁などへの激突によって落としてしまう。
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エンディングは2種類用意されており、最終ステージをクリアした時に残りクレジットが1つでも残っていればグッドエンディング。
しかしクレジットを全て使い切っている状態でクリアした場合はバッドエンディングとなる。
評価点
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本作は吸血鬼に攫われたヒロインを助けるために城へ乗り込むといった部分から、『悪魔城ドラキュラ』シリーズ(年代的にAC版)を彷彿とさせる要素がある。
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悪魔城ドラキュラシリーズでは「夜を狩る者」としての主人公とされる血族が各作品に登場していたが、本作は一般人が武器も何も持たない状態で城に乗り込み、あらゆる妖怪を素手でシバいていくというゲームである。この類いのゲームは他になく、独特な雰囲気を醸し出している所も本作の特徴である。
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またBGMの質も高く、悪魔城ドラキュラシリーズのようなゴシックホラーの類いとしてかなりホラーチックな出来となっている。ゲーム全般としてもかなりの不気味さを醸し出している。
賛否両論点
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後述する問題点の項目に「操作性の悪さ」とあるが、これはあくまで現実的な人間の動作を追求した結果の代物であり、『プリンス オブ ペルシャ』の影響が見てとれる。
それもあり、他の横スクロールアクションでありがちな短すぎる着地モーション、断続的に可能なジャンプといった非現実的な要素から見事に乖離しているという点も一概には悪いと言えない部分がある。
問題点
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ゲームとしての問題点
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本作は面クリ型のゲームではあるが、各ステージを攻略するにあたって仕掛けを解いて先への道を探すことが多く、言わば迷路のようなステージ構成になっている部分がある。
それにもかかわらず本作にはステージごとに制限時間が設けられており、0になると問答無用で残機が1つ減るので、ゲームの特性上操作性の悪さや一体ごとの雑魚敵が強いことから時間がかかってしまい、結局は正解のルートも分からない状態でミス&ステージの最初からという展開になりかねない。
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チェックポイントが異常な程に少ないのも問題点の一つである。
しかし行き止まりの所々には宝箱があることが多く、特徴で前述した通り回復や体力上限増加or制限時間増加アイテム、攻撃強化が可能なクリスタルといったアイテムが数個入っていることがあるため、まだ良心的な部分があるとは言える。
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また、本作にはイージー、ノーマル、ハードの3つの難易度設定があるが、ボスの硬さが変わっているのみで根本的な攻略難易度に変化が見られない。むしろ慣れればボス戦よりも道中の方が苦戦を強いられるという始末である。
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操作性の悪さ
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特徴で前述した通り、本作は主人公のアクションを現実寄りにしたためか、かなり操作性が悪い。
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少し走れば慣性で1ジャンプ分も滑ってしまったり、それによって壁に激突してしまいクリスタルを落とすといった何ともストレスの溜まる仕様になっている。しかし、ダッシュ中の攻撃(タックル)を繰り出すとその場で止まるという絶妙にやり込める仕様ではある。
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前述の通り、移動姿勢の状態で敵やトラップによってダメージを受けると自動的に攻撃姿勢に切り替わるという仕様がある。これによって移動姿勢のジャンプができなくなることから、攻撃頻度の高い敵や床トラップ相手には連続でダメージを貰うことが多々ある。攻撃姿勢でのジャンプは移動がほぼ効かないため、構え中のステップでの脱出が求められる。
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ジャンプの仕様にも少々の使い辛さが見受けられる。
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移動姿勢で方向入れ&ジャンプをすると前ジャンプとなるが、攻撃姿勢だと微妙にしか前へ飛ばないため、踏んだら即死の針山を飛び越える場面で意外と飛び込み事故が発生する。
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また前ジャンプの仕様もおかしく、足場のない所の寸前で飛ぼうとすると方向入れ後のジャンプボタンを押す猶予が少ないことが原因で、前ジャンプのはずが普通に飛び降りてしまうということも珍しくはない。これは2D横スクロールアクションには稀な崖から降りるモーションを追加したことが原因であろう。
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攻撃面
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前述の通り、本作には移動姿勢と攻撃姿勢の2つが存在する。
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基本的に移動姿勢の状態では直ぐに攻撃のパンチを繰り出すことはできず、攻撃ボタンを一度押して攻撃姿勢に切り替える必要がある。そのため、移動姿勢からの攻撃はダッシュ攻撃(タックル、飛び蹴り、スライディングキック)でしか出せない。そのため、崖から飛び降りた真下に敵がいた場合、構えの姿勢を取っている間に攻撃を受けてしまうという不便な仕様である。
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また、振り向きの硬直がやたら長く、クリスタルの所持数をmaxにでもしていない限り、両サイドから敵に挟まれた場合はまず無傷で抜け出すことが難しくなる。
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強すぎる敵
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本作の敵は全体的にかなり巧みに攻撃を繰り出してくる。近寄るだけで飛び掛かってくる敵から、主人公のダッシュよりも素早いスピードで突進してくる敵、主人公の攻撃範囲より長いナイフを断続的に繰り出してくる敵、拘束されて体力を三分の一持っていかれる敵等、対処法を心得ておかないとまず倒せないといった敵がほとんどである。
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これらの敵に対する対処法を知った上で相手をするとしても、主人公の操作性の悪さから一度ハメられるチャンスを逃してしまうと対処できず、延々とダメージを受け続けるという事態になりかねないといった特徴がある。主人公の構え姿勢の間合い外から攻撃してくるなんて茶飯事である。
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理不尽なトラップ
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本作にはスイッチを踏むと作動する弓矢、針、歩くと地面から突然飛び出てくる敵等が存在し、初見殺しと言わんばかりに体力を奪われていくシステムである。また操作性が悪いのは勿論のこと、事前に知っていても回避することの難しいトラップもしばしば見受けられる。中には一度触れただけで即死してしまうトラップも幾つか存在するため、操作ミスによって触れてしまうという事故が非常に起きやすい。
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また、ゲーム後半になるとトラップによる完全初見殺しがエスカレートしていく。具体的には「時間経過で崩れる足場の中に走り切れない程崩れの早い足場が一つだけある」や「壁に設置されているボタンを押すだけで即死」または「二択の飛び降り場所で片方は足場がなく即死」といった、通常のプレイでミスなしには通れない意地悪なトラップが頻出する。ステージ構成の暗記なしにはクリア不可能なまで煮詰まってしまっている。
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これらに加え本作がクレジット制なのもゲームとしてのバランスの悪さに拍車をかけている。
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クレジットは最初から8つあるが、これはよくあるシューティングゲームのような残機が0になってコンティニューするための消費量という訳ではなく、一度のミスに対しての消費なので初見で攻略しようものなら劣悪なゲーム性も相まって相当なストレスが掛かる。
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前述の通り、針や動く丸鋸のような即死トラップに触れてしまった場合、その一撃で1クレジット消費してしまうという何とも極悪な難易度設定である。
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このため、前述の通りステージの所々に体力上限値を上げるクリスタルの入った宝箱が設置されているが、わざわざ1クレジットを失う危険を冒してまで回収する価値があるかという判断になってしまう。
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また、6ステージあるにもかかわらずステージ中にあるギミックがほぼ使いまわしという点も問題点。
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前述の通り、強化クリスタルはダッシュ時の壁との衝突や敵からの攻撃または接触によって落としてしまうという仕様がある。
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移動や攻撃頻度の高い敵を相手に一度攻撃ポイントを逃してしまうと、主人公に無敵時間が存在しないことから連続でダメージを貰う&クリスタルを大量に落としてしまうという悲劇に見舞われる。
総評
面クリア型の横スクロールアクションとしての完成度は高いが覚えゲーの要素が強く、どうしても操作性の悪さや敵の理不尽な強さ、初見殺しと言わんばかりのトラップの多さに挫折しかねない要素が多数見受けられる。
更にはセーブ機能がないことやクレジット制といった面がゲームとしての難易度を更に高めている。
昔のAC版ゲームにありがちな理不尽な高難易度を好む極一部のプレイヤーには受けると思われるが、万人受けを目指すには一歩物足りなかったと言うべきか。
余談
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本作にはゲームをクリアする上で優位になる隠しコマンドが多数存在する。コマンド方法はハードモードクリア時に吸血鬼の笑い声と共に表示される。
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CSで放送されているゲーム番組『ゲームセンターCX』では第17シーズン終盤にて有野課長が本作に挑戦している。
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類似性のあるプリンスオブペルシャをかつてクリアした課長であったが、今作は上述したクレジットを使い切ったバッドエンディングを出すという何とも後味の悪い結末に終わってしまった。
最終更新:2024年03月15日 04:06