バブルシンフォニー
【ばぶるしんふぉにー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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アーケード(F3システム)
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発売・開発元
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タイトー
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稼働開始日
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1994年10月
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判定
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良作
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ポイント
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8年ぶりの正統続編 賑やかかつ多彩になったステージ構成 タイトーオールスター
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バブルボブル・パズルボブルシリーズ
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概要
タイトーの代表作のひとつ『バブルボブル(以下、初代)』の8年ぶりの続編。
それまで物語的な続編としてAC『レインボーアイランド』およびPCE『パラソルスター』、設定の異なる続編としてFC『バブルボブル2』やGB『バブルボブルジュニア』等が登場していたが、
本作は初代の世界観とゲーム性を共に引き継いだ正統続編となっている。ヨーロッパ版タイトルは『BUBBLE BOBBLE II』。
ストーリーは初代から数十年後の未来にあたる孫世代の話となっており、
初代の主人公達に恨みを晴らそうとする魔王どらんくによってバブルドラゴンに変えられ、絵本の中に吸い込まれてしまった初代主人公達の孫の仲良し四人組が、呪いを解いて絵本の世界から脱出すべく活躍する。
特徴
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基本的なシステムは初代と同じ。口から吐く泡とジャンプを使ってラウンド内にいる敵全てを倒して次のステージへ進んでいく一画面アクション。
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新たな要素として泡のタメ撃ちが追加され、背びれが光った状態でボタンを離すと一度に三発分の泡を吐けるようになった。
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また、落下中にレバー上で落下速度が遅くなり、レバー下で高速落下が可能になった。
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初代は1Pと2Pで操作キャラが固定されていたが、今作では四人の中から好きなキャラを選択してプレイできる。キャラクターごとに性能が異なる。なお、バブルンとボブルンは初代と同名だがその孫であり別人である。
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バブルン
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男の子のバビーが変身した緑色のドラゴン。初心者向けのスタンダードな性能で、タメ撃ちは三発の泡を前方に同時発射する。
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ボブルン
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男の子のボビーが変身した青色のドラゴン。足が速いが泡の飛距離が短い。タメ撃ちは前方と斜め2方向に同時発射する。
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クルルン
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女の子のクルンが変身したオレンジ色のドラゴン。泡の飛距離が長いがゆっくり飛んでいく。タメ撃ちは前後と下方に同時発射。
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コロロン
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女の子のコロンが変身したピンク色のドラゴン。足が遅いが泡が飛んでいく速度が速い。タメ撃ちは前後と頭上に同時発射。
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コロロンは敵と横軸を合わせずとも敵の真下からかぶりつきが出来るので性能で一歩抜きん出ている。
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全56ラウンド。1周エンド。
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今作では一定数のラウンドがワールドとしてまとめられており、ワールドの最後にはボスが待ち受けている。ボス戦では攻撃用バブルを吐けるようになるアイテムを使って攻撃していくことになる。
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攻撃用バブルは初代にもあった「ウォーターバブル」「サンダーバブル」「ファイヤーバブル」に加え、『レインボーアイランド』の虹くずしが出来る「レインボーバブル」やラウンド内の気流に沿って飛んでいく竜巻を出す「トルネードバブル」ラスボス戦のみだが敵を追尾する「メロディバブル」が追加された。
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ラウンド1クリア時とボス撃破時には複数の扉が出現し、次に進むワールドを選択できる。
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ラウンド1のみ3つのルートが選択可能で、他は2つから選択することになる。ただし、選択したワールドによっては次に進むワールドが固定されている場合もある。
コマンド
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アーケード版、移植版共にタイトル画面でクレジットを入れる前にコマンドを入力することで様々な効果が得られる。コマンド内の「S」は、サターン版がCボタン、アーケードおよびタイトーメモリーズ版は1Pスタートボタン。
スーパーモード
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タイトル画面で上・S・右・J・B・左・S・下と入力すると、入力成功した瞬間にタイトル画面の舞台、幕の色が変わる。スーパーモードはゲーム開始時に選択可能で、表面ではワールドテーマに沿った敵種類の配置だが裏面はそれに沿わず全て変更されている。こちらも56ラウンド+αがある。このモードをクリアすると表面とは違うエンディングを見ることができる。
人間モード
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タイトル画面で左・下・上・J・右・S・B・右と入力すると、ゲームスタート時に人間の姿からスタート。通常は、特定面でハリーアップになると通風孔から出現する「R」「O」「D」のバブルを揃えることにより人間に戻る。
パワーアップ
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タイトル画面で下・B・J・S・左・右・左・Sと入力すると、ゲーム開始からゲームオーバーになるまで、くつ、バブル連射、バブル速度UPの3つのパワーアップ状態が永続する。
オリジナルゲーム
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タイトル画面でJ・B・J・B・J・B・左・Sと入力すると、特定面で出現するシークレットルームへ入るための「扉」が無条件で出現。なお、通常ではゲーム中に一度でもミスをすると出なくなる。今作では、シークレットルーム内に存在するビッグパワーアイテム(キャンディ、くつ)の効果は永続せずミスすると効果が消える。
バブルボブルアレンジモード
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タイトル画面でS・J・B・左・右・J・S・右か、左・J・左・S・左・B・左・Sか、B・J・B・J・B・J・右・Sと入力すると、背景が『バブルボブル』と同様の黒色になり、音楽も『バブルボブル』のアレンジになる。これらは初代『バブルボブル』のスーパーモード、パワーアップ、オリジナルゲームの各コマンドである。一度入力するとデモを数回ループさせないと元に戻らない。
評価点
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初代の評価点を受け継ぎ、昇華したゲーム内容
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コミカルで可愛らしい見た目を踏襲しつつ、真っ黒だった背景がワールドごとに異なった物に変化するなど演出面が強化されており、よりコミカルさが増した。初代にはなかった物語背景を描くアトラクトデモやラウンド開始時に敵がキーアイテムを持ち去る演出なども追加されている。
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隠しコマンドでバブルボブルアレンジにすると初代と同じ黒背景にすることも可能。
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BGMも初代の曲のアレンジを含め「シンフォニー」のタイトル通り賑やかな楽曲が揃っている。
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遊びやすい前半と高難度な後半といった点もそのまま受け継がれている。
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初代で培われた各種テクニックもそのまま通じ、後半ではそれらテクニックを駆使して攻略する歯ごたえのある内容も変わらず。なお、かぶりつきの判定が大きくなりやりやすくなっている。
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ワールド分岐やボス戦が道中で何度も挟まるようになったことでメリハリもついた。一部ボスはかなりの強敵で、1コインクリアの壁となる。
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どのルートを通った場合でもラウンド数は56面で固定されており、初代の半分程度。一周クリアにかかる時間も抑えられており、気軽さも増している。ルートによって難易度も異なるため、自分の攻略しやすいルートを構築していく楽しみもある。
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なお、ラウンド数は全ての分岐を含めれば初代を越えており、実質的なボリュームもアップしている。
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一方で、シークレットルームに入るための扉の出現条件が「ワールド内でノーミス」に緩和されるなど難易度が下方修正されている部分もある。
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タイトー過去作品へのリスペクト
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各ワールドは過去にタイトーが発売したゲームをモチーフにしており、ステージ背景や登場する敵キャラも、それらの作品に沿ったものに変化する。
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例えば『奇々怪界』モチーフのステージなら背景は同作のボス戦の背景になり、妖怪モチーフの敵が出てくる。ボス戦では小夜ちゃんに変身した魔奴化が出て来て、ダメージを与えていくと背景の石畳が原作通り剥げていく。『ダライアスII』モチーフの「SUN "A" ZONE」のボス戦前にはお馴染みのアラート表示が入る専用演出があるなど非常に凝っている。また、各作品のBGMも使用されている。
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特定の条件を満たすと各作品のプレイヤーキャラクターが味方として登場し、援護してくれる。縦横無尽に移動できるシルバーホークに対し左右にしか移動できない砲台(『スペースインベーダー』)や原作通り敵をケーキに変えるトレミー(『フェアリーランドストーリー』)など、こちらも凝ったつくり。
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これら味方キャラは基本的に無敵かつプレイヤーが操作できるので、バブルン達では難しい場面を攻略するのにも便利。
問題点
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真エンディングを見るための複雑な条件
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初代同様、真のエンディングを目指す場合は様々な隠し要素をクリアせねばならず、攻略なしで見るのは難易度が高い。
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その方法とは、一度ゲームをクリアすると表示される隠しコマンドを入力してスーパーモードにし、各ラウンドに隠されている音符パネルを3つ集めることで入手できるカギを4つ入手、特定のラウンドでHurry up状態になると出現する「R」「O」「D」の文字が入った3種のRODバブルを割って人間に戻っておくこと。以上の条件を満たすとエンディングが変化する。
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音符パネルで入手できるカギは最終ワールドへ行くために必要で、4つ揃わなかった場合ラウンド44クリア時点でバッドエンドになってしまう。
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救済処置としてワールド5では揃っていない鍵と同色のパネルが出るようになっている。
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音符パネルの方は最初のシークレットルームの隠しアイテム(BIG水晶玉)を取れば一定ラウンドの間位置が分かるようになる。(本当に数ラウンド間のみなので自力で場所を把握する必要あり)一方RODバブルが出現するラウンドは完全ノーヒント。ラウンド内をくまなく歩き回れば見つかる音符パネルに対し、RODバブルの方はHurry upまで待つという条件が分かりにくく、条件を知らないとまず見つけられない。
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初代と違って一人プレイでも真エンディングを見られるようになったのでハードルは低くなったが、条件はより複雑化したと言える。
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隠しコマンドを入力する際は、緞帳が上がってバブルンとザコキャラ達が合唱するデモ中でなければならず、1度に入力できるコマンドは1つだけとなっている。
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このため、複数の隠しコマンドを使用したい場合はデモが1周するまで待つ必要がある。デモは1周3分もあるため、クレジットを入れずに待ち続けなければならない。
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次回作の『バブルメモリーズ』ではこの反省からか、すぐデモが1周するようになっている。
総評
初代のゲーム性を引き継ぎつつ、よりコミカルになった演出面や過去のタイトー作品を再現したステージ構成もあってお祭りのような作品。
キャラクターの性能差やコース選択により自由な攻略パターンを構築できるようになるなど、改良も加えられた良作である。
移植
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セガサターン版
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ほぼ完全移植。新たな隠しコマンドで選択できる隠しオプション(ゲーム開始前の「げーむすたーと おぷしょん」の画面で"左右左右ABCB"と入力)でノーマルモードとスーパーモードの切り替えや海外版への変更が可能になっている。
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iOS/Android『バブルシンフォニー クラシック』
余談
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本作は初代『バブルボブル』のリメイクとされる事もあるが、開発者インタビューによれば当初は別の企画だったのが『バブルボブル』の続編となったとの事。
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冒頭で示した通り『バブルボブル』シリーズの「2作目」が並行して乱立する形となってしまったため、一体どれが続編なのか議論になりやすいタイトルでもある。
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2020年に「4作目」を銘打った『バブルボブル 4 フレンズ』の登場により、『バブルボブル』のゲーム性で見た正統続編の流れとしては『バブルボブル』→『バブルシンフォニー』→『バブルメモリーズ』→『バブルボブル4』となる模様。
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タイトーの施策の失敗により稼働台数はあまり多くなかった模様。
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F3システムはソフトを入れ替えられるのが特徴だったが、その割当台数がタイトー直営店ですら限られていたため先に稼働開始した『ダライアス外伝』を入れる店舗ばかりになってしまったとの事。
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ただし、ファンからの評価は良好だったことが語られている。
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今作のスーパーモードは時間経過で解禁されるようになっているが、F3システムのマザーボードのマスタークロックを参照するため、設定によってはいきなり解禁状態になったり、逆に解禁されなかったりするという問題が発生した。
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このため、公平を保つため急遽スーパーモードを出す隠しコマンドが書かれたステッカーが配布された。
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本作『バブルシンフォニー』は孫世代、つまり従来のバブルン・ボブルンとは同名の別人である。
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…はずだったのだが、近年タイトー公式Vtuberとしてバブルンが活躍する「バブルンちゃんねる」で2021年9月にアップロードされたバブルンの自己紹介動画では、あたかも初代『バブルボブル』のバブルンと本作『バブルシンフォニー』のバブルンが同一個体であるかのような内容で、クルルンやコロロンも「レインボービレッジに住むバブルンたちと仲の良い双子の姉妹」とされており、まるで本作の設定が無かったことにされたかのように見えた。
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が、2022年12月の第399回 アーケードアーカイバー バブルボブルスペシャル!にて改めてシリーズの時系列の詳しい紹介がなされ、初代『バブルボブル』系統と孫世代の『バブルシンフォニー』系統はやはり別物であることが明確になった。
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孫世代における時系列では、本作『バブルシンフォニー』以降、2013年に登場したスマートフォン向け『LINE パズルボブル』/『パズルボブルジャーニー』にて再びどらんくの呪いで泡吐きドラゴンの姿にされてしまったバブルン・ボブルン・クルルン・コロロンの4人は、その後も人間に戻れず泡吐きドラゴンのまま旅は続き、2021年の『パズルボブル3D バケーションオデッセイ』→2023年の『パズルボブル エブリバブル!』と物語が続いている…、というのがオフィシャル設定のようである。
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ただ、バブルンちゃんねるにて広報を行っているVtuberのバブルンはどちらの世代のバブルンであるかは明確にしておらず、ややこしいため便宜上両方の設定を統合して曖昧にしているというのが真相のようだ。
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このように設定の混乱があったためか、海外のバブルボブルwikiでは初代のバブルン・ボブルンの恋人のベティー・パティーと本作のクルン・コロンを同一人物扱いだと誤解して掲載してしまっていたりする。
最終更新:2024年03月10日 20:48