パラノマサイト FILE 23 本所七不思議
【ぱらのまさいと ふぁいるにじゅうさん ほんじょななふしぎ】
ジャンル
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ホラーミステリーADV
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対応機種
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Nintendo Switch Windows(Steam) iOS Android
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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スクウェア・エニックス ジーン
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発売日
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2023年3月9日
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定価
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1,980円(税込) ※iOS/Androidは1,900円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:D(17歳以上推奨)
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判定
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良作
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ポイント
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「本所七不思議」という意外に目新しいモチーフ 「呪い」をテーマにしながらユーモアのある会話劇 良テンポで進む予想のつかない展開
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概要
テキスト式のホラー・ミステリーアドベンチャーゲーム。
実在する怪談「本所七不思議」と死者を蘇生させる「蘇りの秘術」を巡って、呪いの力を得た登場人物たちの思惑が絡み合う群像劇となっている。
シナリオを『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズ、『スクールガールストライカーズ』シリーズのディレクションで実績のある石山貴也(生王正生)が担当。
キャラクターデザインを『すばらしきこのせかい』『新すばらしきこのせかい』『サガ2GOD』『サガ3SOL』『スクールガールストライカーズ』などで知られる小林元、音楽を『フロントミッション』シリーズなどの岩崎英則が担当している。
プロデューサーは『インペリアル サガ』等を手掛けた奥州一馬。本所を舞台にすることを提案したのも奥州で,インペリアルサガでの佐賀県とのコラボ経験を活かして開発の早い段階で墨田区との協力関係を構築した。
スクウェア・エニックスには珍しい正統派なテキストアドベンチャーであり、更にロープライスでの販売や、石山の過去代表作との企業を越えたコラボ、墨田区観光協会とのタッグ広報、アドベンチャーゲームとしては珍しい実況動画での早期ネタバレ解禁など実験的なプロモーションが話題となった。
タイトルに「FILE23」とあるが、これは後にシリーズ作品が製作された際を見込み、「パラノマサイトシリーズの事件の1つ」的な意味合いで付けられたものである。
そのため本作リリース時点で1~22が存在するわけではない。
あらすじ
昭和後期、東京・墨田区。
福永葉子に連れられて「本所七不思議」を調査していた興家彰吾は、錦糸堀公園で「呪詛珠」を手に入れる。
それには七不思議になぞらえた呪いの力が込められており、人を呪い殺して滓魂(魂)を集めると「蘇りの秘術」を操ることができるという。
同じ頃、彰吾のほかにも呪詛珠を手にした者達、即ち「呪主(かしりぬし)」が動き始めていた。
呪いの発動条件は呪主本人にしか分からない。しかし、呪主を殺せば多量の滓魂が手に入る。
「蘇りの秘術」を巡る壮絶な呪い合いの夜が始まった。
登場人物
最序盤の主要人物、および、一部のプレイアブルキャラについてのみ記載する。
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興家 彰吾(おきいえしょうご)
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化学薬品会社「ヒハク石鹸」に勤める会社員。
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福永葉子に巻き込まれる形で「本所七不思議」の調査をしていたところ、「置いてけ堀」の呪詛珠を手に入れる。
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福永 葉子(ふくながようこ)
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1か月ほど前に彰吾と知り合ったオカルト大好き女子。
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愛犬を「蘇りの秘術」で蘇らせるため、秘術の鍵を握る七不思議を調査していた。
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案内人
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翁の仮面をつけた男。
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物語の外の人物として、プレイヤー自身をゲームの世界へと案内するために登場する。
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志岐間 春恵(しぎまはるえ)
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警察庁幹部を夫に持つ主婦。「送り拍子木」の呪詛珠を持っている。
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1年ほど前に小学生の1人息子を誘拐殺人で失っており、秘術で蘇らせたいと強く願っている。
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津詰 徹生(つつみてつお)
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ベテラン警部。「落葉なき椎」の呪詛珠を持っている。
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同僚が殺害された事件を捜査する中で七不思議に巻き込まれ、事態の収束のため他の呪主から呪詛珠の回収を目論む。
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逆崎 約子(さかざきやっこ)
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区内の駒形高校に通う学生。「馬鹿囃子」の呪詛珠を持っている。
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1週間前の親友の自殺に疑問を抱いており、真相を知りたいと考えている。
システム
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複数の呪主の視点から多面的に物語を追っていくザッピングシステムとなっている。
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最序盤は興家彰吾のストーリーだけ読み進める形となるが、他のプレイアブルキャラが開放されてからは1人のキャラストーリーが最後まで連続するのではなく、1エピソード読了ごとにチャート画面に遷移し、次に読むエピソードを任意に選択する形式となる。
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基本的には読了するだけで同じキャラの次のエピソードが開放されるが、時折別のキャラで特定の行動を取らないと進行しないといった推理要素が含まれている。
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中にはプレイアブルキャラ同士が集結して一つの現場を共に眺めるというシーンも存在するが、「主人公ごとに何度も同じセリフを聞いて、各主人公の心境の差分を楽しむ」ではなく「特定の主人公を一人だけ操作すればイベントが完結する」というスタイルである。
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おまけ要素として、各エピソード内の何処かに出現する隠しステッカー「なめどり」を収集することができる。
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暴走族風の鳥類が表されたステッカーとなっており、昭和後期に流行した「なめ猫」のパロディと思われる。ちなみに全て集めても特にご褒美等はない。
評価点
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強い求心力を持った最初のツカミ
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起動した直後からプレイヤーを楽しませる仕掛けが複数施されている。
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まず最初は「案内人」による意図的に画面越しのこちら側へ向けられたセリフ回しが特徴となっており、スクウェア・エニックスロゴが表示された途端しゃべりはじめ、素早くゲームの世界に引き込んでくる。
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その際ロゴから徐々にカメラが引いていき、実は案内人の横にあるテレビ画面を映していたことが解るという見せ方をしており、プレイヤーとゲームの境界が曖昧になる洒落た演出となっている。
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名前入力をさせたにもかかわらず、Switch、Steamのアカウントに設定されたユーザー名で確認を取ってくるというドッキリ要素も効いている。
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更に物語の簡単な概要を説明しながら、(うっかりという体で)重要な人物の死を先出しするなど、興味を惹く仕組みがうまく配されているといえる。
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奇想天外な呪殺バトル
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ゲーム本編が始まってからは、ホラーミステリーと見せかけて突然能力バトルが開始される。
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彰吾が入手した「置いてけ堀」は「自分に対して帰る・ここから去ると宣言した者をその場で溺死させる」という能力であり、これを駆使して滓魂を集めることになる。
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しかし他の呪主の持つ呪いは条件も殺害方法も全く別であり、しかも彰吾同様に「普通の人間より呪主を殺した方がより多くの滓魂を得られる」ことを知っている。
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このため行く先々で互いの呪いの条件の探り合いが繰り広げられ、また各呪いには由縁のある亡霊の姿(呪影)が描画されることから、さながらスタンドバトルのような面白さが展開されることになる。
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また、発動条件が異なるということは回避方法も異なるということだが、中にはハッとするような対抗手段が存在しており、謎解きとしての面白さを体感することもできる。
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一方、本作はホラーミステリーであり、中盤以降は序盤ほど呪殺バトルが中心にならない(能力がプレイヤーにばれている状態で呪殺バトルを続けても面白みが欠けるので当然と言えば当然だが)。先の展開を読ませず多彩なストーリー展開を楽しむことができるのは本作の魅力の一つである。
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コミカルさを含んだテンポの良い会話劇
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基本的にシリアスな物語だが、それぞれの会話には小ボケや軽いツッコミが多分に含まれており、雰囲気が重たくなりすぎることなく進行する。
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特にコワモテながら茶目っ気のある津詰と物怖じせず若干無礼な振る舞いもする部下の襟尾、色気と陰を有しながら少し浮世離れした春恵と奇人的な言動の多い私立探偵・利飛太のかけあいは随所に笑えるポイントが生じている。
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言い回しに昭和らしさが無く、「なんかもう逆に○○だわ」のような平成中期以降を感じさせる構文が多いが、却って野暮ったさの排除とスムーズな感情移入に繋がっており、全編通して読み疲れしにくくなっている。
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非常に読みやすいテキスト
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上記の軽快な会話劇と併せてテキストも読みやすくしてある。会話で一度に表示される文章は2行までとし、読点を使わずに半角スペースで文章を区切ることで、普段文章を読むのが苦手なプレイヤーでもすんなり受け入れられるようになっている。
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石山本人はインタビューで『ドラゴンクエストシリーズ』の一部テキストを担当した際に培われた技術である、と述べているが、テキストを一度に表示出来ない携帯電話ゲームを数多く手掛けた経験が影響した可能性もあるだろう。
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魅力的な人物群
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キャラクター単体としても好感を持ちやすい人物が多い。
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落ち着いた思慮深い性格の持ち主が多く、相容れない思想の相手であっても頭ごなしに否定するよりは別の形での理解や歩み寄りを見せる様子が見られる。
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中には呪詛珠の力に胡坐をかき調子に乗るキャラもいるが、回避方法が判明した後は愛おしい程の情けなさが前面に出るし、許され得ない卑劣な残虐殺人を犯した者ですらどこか枯れたような哀愁によって人間味が描かれている。
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また霊感少女の黒鈴ミヲは、厚ぼったい黒髪にややぽっちゃりした体型というあまり他に見られないキャラクターデザインであるが、約子編を牽引する主要人物かつ、警察に心霊捜査でタダ働きさせられている悲哀から特に愛されやすいキャラである。
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心霊事件を対処するため転校して各地を渡り歩いているという設定にも魅力があるためか、レビューサイト・動画サイトでは国内外問わず彼女にフォーカスを当てた続編を望むコメントが見られる。がんばれ 国家権力……!
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立ち絵を大胆に配置したダイナミックな構図
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基本的には一般的なテキストアドベンチャー同様、背景絵の上に2Dの立ち絵を乗せるようなUIとなっているが、立ち絵を大胆に拡縮することで距離感や視線での演技が効果的に表現されている。
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極端な例では画面内に顔全体が映らない程のアップになることがあるし、そのうえ視線や開き具合の変化といった「目の演技」による表情差分が多いため、キャラクターの感情変化が伝わりやすい。
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また、背景は360度見渡せるパノラマ写真風であり、時には角度もつけることで更に臨場感を増している。
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無駄行動を極力させないテキスト誘導
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システム自体は画面内のクリックと選択肢によるオーソドックスな進行のため総当たりADV的な側面はあるが、進行フラグが別キャラクターのエピソードに隠されている場合は会話などによって自然に手詰まりを認識できるようになっている。
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例えば「ここでできることは無いかもしれない」「今はどうすることもできない」といったようなモノローグによって、自然と他のエピソードに目を向けられるようになっているため、無駄なプレイ時間の浪費が防止されている。
賛否両論点
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陰惨で生々しいバックストーリー
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キャラクターたちの呪い合いに発展している以上当然ではあるが、本編が開始した時点で結構な数の大事件が既に発生している。
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しかもそれらがかなり重苦しく、「教師による女子生徒への性的行為強要」「小学生児童が殺害されたうえドブ川に捨てられる」「女子高生の死体がバラバラにされやっぱりドブ川に捨てられる」といった、深く考えてしまうと心に来る内容が多い。
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そして発生済みということは、プレイヤーがどう頑張ってもこれらの事件までは解決できないということである。
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無論そうしたおぞましい事件を背景としたうえで物語全体を取り巻く雰囲気の造成に至っており、咀嚼できてしまえば問題はないのだが、「子供」「殺人」「性的被害」という要素について受け入れにくいという人はいるだろう。この辺りは石山の過去作でも似たような事例があった。
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一方、呪主同士のやりとりは評価点でも触れた通りどこかカラっとしており、あまり重苦しくはない。
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詰まりやすすぎるポイントの存在
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幾つか、謎解きやフラグ立てで詰まりやすい箇所がある。
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特にフラグ立てについては「普通に話を読み進めたのに新しいエピソードが全く開放されない」状態になりやすい場面があり、「仲間に移動を促されている状況で無関係な場所を複数回調べる」のような、やや意地悪な要素がキーとなっている。
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謎解き周りについては開発者インタビューで「基本的に難しめに作り、テストプレイで難しいと言われたらヒントを追加。難しいポイントで5人くらいのうちひとりが解けたなら大丈夫だろう」といった旨の指針が明かされている。(インタビュー記事:外部サイト)
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合わせて「話題作りというか、あそこ詰まったよねと共有してもらいたいという狙い」があったとのことで、そうしたコミュニケーションの楽しみや、逆に難しいからこそ解けた快感には面白味があるが、プレイヤーによっては「ただ進行を阻害された」という印象だけ残ってしまう可能性はある。
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なお、後にアップデートが入った際、回収し辛いフラグや見つけにくいオブジェクトに対する調整が行われており、以前よりは詰まるケースが緩和された様子。
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ホラー要素のバランス
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本作のホラー要素は序盤に集中しており,序盤を越えてしまうと極端に薄くなってしまう。その為ホラー好きにとってはホラー要素が薄く、ホラーが苦手な人にとっては序盤で畳み掛けるように襲ってくるので辛いという作りになっている。
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この為ミステリーが好きだがホラーが苦手なプレイヤーが手を出して、序盤を越えられずに挫折するという事例がそこそこ見受けられた。宣伝やアプリのアイコン等でホラー要素を全面に押し出している所もそこに拍車をかけている。
問題点
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既読スキップがない
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謎解きの失敗によるゲームオーバーがあったり、フラグ立てのために同じエピソードを読み返す場面があったりするにも拘らず、既読スキップ機能が無い。
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一応AUTOモード、およびAUTO中の倍速モードはあるが、あくまで手ぶらでサクサク読むためレベルであり、高速スキップには使えない。
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これは会話ひとつひとつと立ち絵・カメラワークが同期し、ウェイト(待ち時間)も設定されているためと思われるが、繰り返し同じ場面の確認がかさんでくると苦痛になりやすい。
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なお、こちらもアップデートが入った際に超高速早送り機能(ボタンを押しっぱなしで良い)が追加されており、ある程度のストレスは緩和された。
総評
メタ視点での展開を含みつつ心地よい驚きがもたらされる良質なシナリオと、ビジュアル面での演出が絡み、総じて完成度の高いアドベンチャーとなっている。
重苦しいバックストーリーはあれど、メインの会話の応酬は現代風にユーモアを含んだものとなっておりとっつきやすい方だろう。
オカルト要素のあるサスペンス劇に興味があるなら、特におすすめできる一作である。
余談
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本作で最初に登場する呪影「置いてけ堀」は、目がぽっかりと丸く穿たれた和服の少女というかなりお化け然とした姿で、リリース当初、スマホ版のアプリアイコンや公式Twitterアイコンに用いられていた。
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しかしその後ユーザーからの「怖すぎる」という評判を受けて変更。これについて開発サイドは「現場では置いてけ堀ちゃんとして可愛がっていたので怖いことに気付かなかった」「みんなおかしくなっていた」という旨の見解を示している。(インタビュー記事:外部サイト他)
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タイトルの「FILE 23」については冒頭の通りそれ自体が意味のある数字ではないが、「石山貴也」の総画数を元にしている(インタビュー記事:同上)
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『パノラマサイト』と間違えられることがある。
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とはいえ、スクウェア・エニックス公式Youtubeチャンネルで本作が取り上げられた際は、背景を360度見渡せる要素から「パノラマ」の意味も意図されてはいる、と言及された。
最終更新:2023年12月08日 02:42