ドラもじ のび太の漢字大作戦
【どらもじ のびたのかんじだいさくせん】
ジャンル
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学習ソフト
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売元
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小学館
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発売日
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2015年2月26日
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定価
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5,280円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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配信
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【Switch】2021年2月4日/1,125円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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あまりにも垂れ流しなゲーム内容 楽習ソフトシリーズ屈指の低予算臭
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ドラえもんシリーズ
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概要
ドラえもんの学習ゲーム『楽習ソフト』シリーズの第5弾。3DSでの発売だが、立体視には対応していない。
小学校6年生までに習う漢字と、平仮名・片仮名が収録されている。
ストーリー
漢字のテストが目前に迫るのび太だったが、漫画にうつつを抜かしてろくに勉強しない。ドラえもんの忠告も虚しく、寝落ちしてしまった。ドラえもんは「ゆめグラス」を取り出し、のび太の夢を勉強に役立つものへと操作することに。
のび太の夢は、さっきまで読んでいた『魔物退治カケル』という漫画の内容が反映されていた。さっそく、漫画の主人公「文字カケル」がのび太に助けを乞う。街には文字を食べてしまう「字魔」があふれ、看板や作品の文字がみるみる消えているという。
字魔を倒すには、特別な巻物に美しい字を書き、文字のパワーで攻撃しなければならない。カケル一人では手に負えない数まで増えてしまった字魔を片付けるため、のび太も退治に協力することになる。
ゲーム内容
本作のゲーム内容は雑魚戦の「びもじれんしゅう」と、ボス戦の「ボスバトル」の2つからなる。いずれも下画面の枠に文字を書いて解答する。
出題される文字は「ようちえん」〜「6ねんせい」の7レベルから調節できる。
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「びもじれんしゅう」は、一字ずつ文字を書いていく練習。上画面と下画面にお手本があり、後者はなぞり書きすることができる。
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書いた文字は0〜100点で採点され、50点以上あれば字魔を倒せる (ただし1〜49点は存在しない)。制限時間はなく、誤答した時点でその問題には再解答できなくなる。
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なぞるためのお手本は非表示にできるほか、正しい書き順のアニメーションを見ることもできる。
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「ストーリー」では1ステージにつき4〜6問が出題されるが、どれだけ間違えても次のステージに自動で進む。「れんしゅう」では1字ごとになる。
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「ボスバトル」は、ストーリー中に挟まれるボス戦用のステージ。1体の大きな字魔との戦いになり、相手の体力ゲージを0にすると勝利。
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サポートアイテムを1つ選択でき、体力が回復する「お医者さんカバン」、文字を書かなくてもダメージを与える「空気砲」、攻撃を一度回避できる「ヒラリマント」、1問に限り攻撃を強化できる「ビッグライト」、1問パスできる「タイムピストル」、制限時間が回復する「逆時計」の6種類がある。
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1問ごとに約30秒の制限時間があり、時間切れになるとのび太が攻撃をくらってしまう。3回のダメージでゲームオーバーとなり、そのバトルの最初からやり直しになる。
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最初は下画面のお手本が表示されなくなった「びもじれんしゅう」を進め、ボスの体力を削っていく。間違っても即ミスにはならない代わりに、その文字で合格点をもらうまで次の問題に進めない。
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体力を3分の1程度まで減らすとボスが発狂し、「水」「火」「木」の3つからランダムに選ばれた属性に関連する漢字を書くことになる。例えば「水に関連する漢字」の場合、「水」はもちろんのこと「川」や「湖」といった字が正解になる。
正解になると一撃必殺でボスを倒すことができる。この問題は学年が上の難しい字を書くほど高得点になる。
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幼稚園級でも容赦なく漢字を書かせる代わりに、この問題は下画面にお手本を表示できる。また、ビッグライトをうまく使えばスルーすることも可能。
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ボスバトルでは撃破後に点数が記録され、ハイスコアランキングが3位まで記録される。
ゲームモード
ストーリー
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ストーリーに沿って「びもじれんしゅう」と「ボスバトル」をこなしていく。4〜5個のれんしゅうの後にボスバトルがある。
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ステージは下画面のマップから選択するが、選択肢は1つしかないので実質一本道である。
れんしゅう
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1文字ごとの「びもじれんしゅう」および、「ボスバトル」を練習できる。
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「びもじれんしゅう」はプレイ状況が記録され、1度でも練習済みの文字は色が変わる。
コレクション
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ゲームの進行に応じて獲得できるひみつ道具やトロフィーを確認できる。
問題点
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全体的にストーリー・システムとも著しく薄い。
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ドラえもんとのび太以外はオリジナルキャラクターしか登場せず、ストーリー中にボイスもほとんど無い。本作以前のシリーズの問題点を受け継いでしまっている。
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ストーリー自体、「字魔をひたすら倒していたらボスが出てきた」の繰り返しで、あってないようなもの。
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ゲーム内容も背景が違うだけの「びもじれんしゅう」と「ボスバトル」を延々繰り返すのみ。お手本が出なくなる、制限時間が短くなるといった難易度変化は一切無し。
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プレイするステージも順番が完全固定で、マップから選ばせる意味がない。
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ステージをジャンル別に分けるとか、漢字の難易度別で字魔の強さが変わるといった仕掛けがあるだけでも相当に改善されると思われるが…
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文脈で漢字を書くという基本中の基本に全く触れられない。
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例文や穴埋めといった要素が全く存在せず、ひたすらに1文字ずつ学習していくのみのため、「文脈から漢字を判断して書く」という重要な能力が育たない。
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例えば「アンケートにカイトウする」といった場合、同音異義語には「回答」のほか「解答」「解凍」等が考えられるが、これらの使い分けについては全く触れられない。というか、そもそも本作には熟語の概念が無い。
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一応特定ステージでは、全ての字をうまく書くと「苦労みそ」などひみつ道具の名前になるという仕掛けがあったりするが、架空の固有名詞を覚えたところで…
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小学校の漢字テストはもちろん、はるか先の大学入学共通テストでも同様の選択問題が存在する。補助教材とはいえその勉強ができないのは問題である。
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DS時代の漢字学習ソフトにも大抵は文章からの書き取りや熟語問題が含まれているため、見ようによっては前世代機のソフトにすら劣る。
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漢字の問題点の指摘が一部投げやり。
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書き順は2画以上間違えると誤答扱いになるのだが、1画だけ順番が違う場合「がんばって書けています。お手本の形をたしかめましょう。」というメッセージ固定で、書き順を間違えたことには一切触れられない。
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その他の場合も、減点されているのに悪い箇所が具体的に指摘されないことがかなりある。
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ボス戦最終攻撃では「木に関係する漢字」で「葉」「種」「机」が誤答扱いなのに「芽」「緑」「柱」が正解になっているなど、若干ズレた正誤判定が見られる。
賛否両論点
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小学校で学習しない漢字は使えない。
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習わない漢字は全て誤字とみなされてしまう。ネット上でもよく議論の的になる話題だが、正しく知っているのに誤答扱いにされるのは児童からしたら納得がいかないだろう。
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これが起きる場面はボス戦最終攻撃のみと限定的であるが、大事なシーンだけに使えないと強い不満を感じるかもしれない。
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ただし、「木に関係する漢字」における「栢」や、「水に関係する漢字」における「泗」など、適当に思いついた字を書いて正解扱いになってしまうケースも考えられるため一概に悪いとは言い切れない。
評価点
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本編中に説明はないが、実はボス戦の道中にある「びもじれんしゅう」は通常ステージで誤答した字が優先して出題されるようになっている。
間違えたものを復習するという最低限は守られているといえる。
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ただし過去に誤答した字である旨の表示はないため、プレイヤーが覚えていなければ苦手を自覚することは難しい。
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ボス戦は子供向けとしてはシビアながらも短すぎない制限時間となっており、適度な緊張感を持ってプレイできる。
総評
ただお手本をなぞれば敵が倒れペナルティも一切無しの雑魚戦、3種類しかないお題に沿って漢字を書くだけのボス戦と、これまでの作品とは打って変わってゲーム内容はきわめて単純。
学習ツールとして見ても、漢字の実用面が全く学べないことや文字の練習が機能不足なことなど、足りない面があまりにも多い。
もちろんビデオゲームとして遊べるだけでもモチベーションは相当に違うのだが、この内容の繰り返しではいくら児童でもクリア前に食傷気味になってしまうだろう。これを買うくらいなら、より多くの技能がつく学習ドリルをこなした方が良いと思われる。
最終更新:2024年03月21日 19:29