KILLER IS DEAD
【きらーいずでっど】
ジャンル
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ファンタジー・アクション
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ASINが有効ではありません。 |
対応機種
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プレイステーション3 Xbox 360
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発売元
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角川ゲームス
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開発元
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グラスホッパー・マニファクチュア
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発売日
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2013年8月1日
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定価
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パッケージ版: 7,600円(税抜) ダウンロード版: 6,400円(税込)
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レーティング
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CERO:Z(18才以上のみ対象)
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判定
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賛否両論
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ポイント
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センス溢れる演出の数々 難解&説明不足すぎるストーリー
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概要
独特な雰囲気のゲームを次々と出している須田剛一氏とグラスホッパー・マニファクチュアが送り出した、『ノーモア★ヒーローズ』や『killer7』などの殺し屋シリーズの系譜を継ぐ作品。
ストーリー
月への旅行や、人体の改造、
20世紀に夢見たことが少しだけ実現した未来。
“処刑事務所”という小さな隠密国家機関から届いた
採用通知を受け取ったモンド・ザッパ。
物語は処刑人モンドの初仕事から始まる。
かたき討ちを願う小鳥、
自分を殺した相手の処刑を依頼する幽霊、
月からの使者や人間に化けた宇宙人。
普通ではない様々な依頼人が訪れる”ブライアン処刑事務所”。
依頼人が普通でなければ依頼される処刑対象も様々。
話が進むにつれて、無関係のようにみえた様々な依頼のすべてが
”月”に関係していることが分かり始める。
モンドの行く末を知っているのか、
処刑を繰り返すうちに時折見せる
ブライアン、ヴィヴィアン、ミカ、オフィスメンバーの意味深な動き。
処刑事務所から届いた採用通知は、
月と血に翻弄されながらも処刑を遂行する、
処刑人モンドの数奇な宿命の招待状なのであった。
(取扱説明書より引用)
特徴
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基本操作・アクション(PS3版で表記)
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左のスティックで移動、□ボタンでスラッシュ、△ボタンでガードブレイク、〇ボタンでガード。
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L1でサブウェポンを構え、L1を押したままR1でサブウェポンを使用できる。
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左スティック+〇ボタンで回避、敵の攻撃をギリギリで回避するとバーストスラッシュを発動できる。
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敵の攻撃に合わせて〇ボタンでジャストガードができる。ジャストガードを決めると一定時間敵が無防備になる。
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ジゴロミッション
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ストーリーの合間に遊べるミニゲーム。美女たちを会話や贈り物でオトすという内容。
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完全な息抜きイベントであり、ジゴロミッションの美女たちは本編には絡まず、ミッションの成否も本編に影響しない。その割にはやたらと力が入っているが。
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首尾よく美女のハートを射止めれば、規制に触れないギリギリを攻めるセクシームービーを観賞できる。
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X線メガネで美女の下着を透視できるという、小学生の妄想のような仕様もある。
評価点
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須田剛一らしさ溢れるセンスある演出の数々。
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元よりセンスとパンクを売りとする須田剛一作品だけあって、本作の演出もセンス抜群。
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例えば、アクションゲームにありがちな「ちょっと強めの雑魚が出てきて、敵を倒すまで先に進めない」といった演出も生首で生体認証ロック解除といった具合に納得しやすい形で組み込まれている。
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とどめの演出は「KILLER IS DEAD」のボイスと共に標的の首を切り落とす、戦闘面ではバーストスラッシュで滅多斬りにできるなどのように、「瞬間ごとの演出のかっこよさ」は高く評価してもいい。
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陰影を強調した独特なグラフィック。
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今作のグラフィックは陰影を強調した独特なものとなっており、硬派な雰囲気を醸し出している。
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公式インタビューによると過去の『ロリポップチェーンソー』がポップで明るい「陽」のゲームだったため、次は「陰」のゲームを作りたかったとのこと。
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アクション面に関しては上々な出来。
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通常攻撃時はズバズバと刀を振って爽快感のある攻撃ができる一方、ボス戦ではガードや回避などを活用して立ち回ることが求められる。
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ギリギリで攻撃を回避することで発動するバーストスラッシュやジャストガードの存在も、アクション性を高めている要因の1つと言える。
賛否両論点
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ファンタジックすぎる世界観。
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一見硬派なグラフィックや「20世紀に夢見たことが少しだけ実現した未来」というイントロダクションから、現実の延長線上の世界観かと思いきや、実際はかなりファンタジー寄り。
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例を挙げると、メルヘンな家の迷路に迷い込んだり、額縁の絵に入ってマップ移動をしたり、仲間キャラが16本の腕を出して銃撃したり、ボスキャラの背中の刺青からトラが出てきたり……。
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そのような描写に関して作中でツッコミや説明が入ることがほとんど無く、主人公のモンドも驚くことなくクールに対応するので、「そういうのが当たり前の設定・世界観」なのか「特殊な事例」なのか「単なるギャグ」なのか、判別が難しい。
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『ロリポップチェーンソー』のように明るい雰囲気の作風であれば単なるおバカ演出・ギャグシーンとして受け入れやすいのだが、本作では前述した通り雰囲気が暗めなので、そういった意味ではグラフィックと世界観が噛み合っていないとも言える。
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難解&説明不足なストーリー。
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須田剛一作品にはよく見られることだが、本作のシナリオも難解……というか説明不足。
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前述したファンタジックな世界観も合わさって、本作のストーリーを理解するのは非常に難しい。
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一応公式サイトや取扱説明書、インタビュー記事などに断片的な情報が載っているため、それらを元にストーリーを考察することは可能。
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逆に言えば、それらの断片的な情報を元に考察をしないと最低限の理解もままならないということでもあるのだが……。
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ただし、須田剛一は2005年に発売された『killer7』の副読本『Hand in killer7』において「アクションゲームで書けるシナリオ量の限界を知りました」と表明しており、8年の時を経た今作においても、元からストーリーを説明するつもりが無かった可能性はある。
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これ自体は余談かつ推測ではあるものの、こうした記述や実際に発売されてきた作品群から「須田ゲーはそういうもの」と受け入れるファン層は多く、そうした投げっぱなしや荒唐無稽さこそがいいというプレイヤーもいる。
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スタイリッシュ、シュール、アホが混在する独特のノリ
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これもファンには「須田ゲー」の一言で片付けられるような特徴ではあるが、全体にノリが混沌としており、極めてユニークであるとも、一つの作品として据わりが悪いとも言えるような仕上がりになっている。
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主人公のモンドからして、スリムで渋いイケオジながら、「左腕が剥き出しのゴツイ機械腕」という何とも言い難いビジュアル。銃撃やドリル化も可能な武器腕なのだが、日常もこの腕で平然と過ごしている。
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絵面が邦アニメ調ではなく、多くの人物が西洋人風の美男美女なのだが、人物の言動や仕草、寸劇の内容が割とベタに日本的だったりする。邦ゲー故に当たり前と言えば当たり前で、一概に欠点とも言えないが、絵面と内容にギャップを覚えるかも知れない。
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ジゴロミッションでは、外ヅラはクールなモンドの心の声がダダ漏れになり、うまく好感度を稼げば「アミーゴ...!!」とブチ上がり、美女のハートを射止めれば「イエ゛ェェェェェ----!!」と魂の雄叫びを上げる。
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これ自体は単純なギャグ演出ではあるが、奇怪な世界でよく分からない戦いを繰り広げた後のジゴロミッションであることも多いので、テンションが追い付かないというプレイヤーも。
問題点
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サブウェポンの標準の操作性が悪い。
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サブウェポンを使用する際に照準の微調整ができず、標的に攻撃を当てにくい。
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若干画面が見にくい。
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評価点でもある独特の配色やライティングによる絵作りの弊害で、キャラが背景に溶け込む、あるいはエフェクトと混ざるなど、アクションにやや支障を来たす場面がある。
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ジゴロミッションが単調。
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やることが美女を見つめる → 胸などを見る → プレゼントを渡すを2~3回ほど繰り返すだけで単調。
総評
アクション面に関しては佳作~及第点といったところだが、とにかく難解で説明不足なストーリー故に万人受けするゲームとはとても言い難い。
考察必須の難解すぎるストーリーは一見すると「意味不明」とも捉えられてしまい、故に本作を「クソゲー」と評価する声も決して少なくはない。
しかし、須田氏らしいセンス溢れる演出は過去作に負けず劣らずなので、この演出を魅力的に感じた上で難解なストーリーを考察できるプレイヤーなら、本作を手に取る価値はあるだろう。
ただ、確実に言えるのは『ノーモア★ヒーローズ』シリーズのようなおバカ丸出しかつ分かりやすいストーリーを求めているなら、本作を遊ぶのは非推奨ということである。
移植
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2014年5月23日にWin移植版である『Killer is Dead - Nightmare Edition』がSteamにて配信開始。全世界配信のためパブリッシャーはDeep Silverが担当。移植はCS機版の発売元である角川ゲームスが手掛けている。
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CS機版との相違点はサブタイトルにもあるように新しく追加された高難易度仕様の「ナイトメアモード」の実装、カットシーンを見返すことで各キャラクターの裏情報などが確認できる「シアターモード」の追加、各種ミッションやコスチュームが追加される「スムーズオペレーターパック」が同梱されているといった点が挙げられる。
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2014年6月27日にはズーからパッケージ版も発売されたが、パッケージ版でもSteamの認証が必須なので、ネットワーク環境及びSteamクライアントとSteamアカウントがないとプレイ不可(現在は販売終了)(参照)。
余談
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本作には通常版と特典が付いた『PREMIUM EDITION』が存在するが、パッケージ版が『PREMIUM EDITION』のみで、ダウンロード版が通常版のみとなる。
最終更新:2024年08月16日 00:00