東方スペルバブル

【とうほうすぺるばぶる】

ジャンル リズミカルパズルゲーム
対応機種 Nintendo Switch
メディア ダウンロード専売
発売元・開発元 タイトー
発売日 2020年2月6日
定価 5,800円
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント 東方アレンジ×リズム×パズル
パズルボブルをベースにリズムゲームの要素をプラス
東方Project・二次創作リンク
バブルボブル・パズルボブルシリーズ


概要

パズルボブル』をベースとした数ある『東方Project』の二次創作ゲームの一つであるが、タイトーのブランドである『パズルボブル』を自社で東方Project二次創作ゲームとしてリリースしたという意味ではかなり稀有な作品。
元々『東方Project』ありきで考案されたゲームではなく、パズルゲームである『パズルボブル』の新作プロジェクトの考案において音ゲーの要素を組み入れたいという案がタイトー社内で生まれたが、『パズルボブル』のキャラでは音楽性が弱いと考えられ、結果的にゲームシステムにマッチしている作品として『東方Project』が選ばれ本作の形となった*1

東方アレンジ×リズム×パズルというキャッチコピーが示すとおり、『パズルボブル』をベースとしつつ、リズムゲームの要素を加えた独特なゲームバランスが特徴となる対戦型パズルゲームである。

当初は、ローカル対戦のみであったが、発売から1年半以上経ったアップデートでオンライン対戦にも対応した(Nintendo Switch Onlineの加入必須)。

特徴

  • ベースのシステムは『パズルボブル』(以下『原作』という)と同様であり、画面上部に集まった色玉を、手玉として発射した色玉を使って消していくのが基本的な操作になる。
    • 「同じ色の色玉を3つ以上隣接させると消滅」、「上からの支えがなくなった色玉は落下して消滅」、「手玉は色玉か天井にぶつかるとそこにくっつくが、側面にぶつけると反射する」等のルールは『原作』と同様。
  • 対戦型パズルゲームというジャンルが示す通り、本作は1VS1の対戦形式であり、1人で黙々とステージをクリアしていくという『原作』のようなルールは存在しない。
    • 上述のとおり、音ゲーの要素も組み合わせられており、基本的なルールは『原作』を踏襲しつつ、それ以外の仕様は大きく異なったものとなっている。
  • 互いのプレイヤーは一定時間内にスコアを稼ぎ、最終的に相手よりスコアが多いプレイヤーが勝利となる。
    • 『原作』同様色玉が画面下部のラインを超えてしまうとダウンしてしまうが、ダウンしたとしても即座に敗北とはならない。ただし、ダウンすると、場にあった色玉(邪魔玉も含む)の数に応じたスコアが相手に加算されてしまうので大きく不利になる。
    • 対戦型パズルゲームは相手がダウンすると勝利という形式が多い中において、一定時間内のスコアを獲得するといったスタイルは稀有な点といえるが、ダウンを目指すと有利であることは変わりない。
    • スコアは相手をダウンさせる他、色玉を一定数以上消した際にリズムに合わせてボタンを押す「拍撃パート」で拍撃に成功することでも加算される。
      • 本作の音ゲーたる部分がこの点であり、拍撃パートでは、色玉の上にサークルが表示され、もう一つのサークルがリズムに応じて小さくなっていく。この2つのサークルが重なるタイミングでボタンを押すと成功であり、スコアが加算されるほか、相手に多くの邪魔玉を送ることが出来る。
      • 拍撃パートのサークルのタイミングは曲によって決まっており、基本的にリズムとサークルが重なるタイミングが一致するため、リズムに乗れば自ずと拍撃が成功するようになっている。
    • 消した色玉の数とタイミングによっては拍撃パートと比べ短い間隔でボタンを押す「連撃パート」に突入する。
      • 連撃パートではキャラが「〇連(2連、3連など)」とボイスを発し、通常の拍撃パートと比べ短い間隔で指定された回数ボタンを押すことを求められる。
      • こちらも成功すると1回毎にスコアが加算される。
    • 拍撃パートや連撃パートでは通常より攻撃力が高い虹の玉になる場面もあり、この場合更に攻撃力が上がる。
  • 色玉を消すとその数や拍撃、連撃の成功回数に応じて相手に邪魔玉と呼ばれる透明色の玉を送ることができる。
    • 邪魔玉は色こそないが、手玉をぶつけると同色の色玉に変化するため、数が少なければ処理はそれ程難しくないが、一気に消すのは難しいため、数が多いとかなり不利。
    • 邪魔玉が実際に送られてくるのは自身が手玉を打った後であるため、多くのパズルゲーム同様、手玉を打って色玉を消すなどして相手に邪魔玉を送る状態になった場合は相殺できる。
    • 相手がダウンしている状態で邪魔玉を送った場合は、送った個数だけ自身のスコアが加算される。この場合は、後述する反撃モードに入った時点で送った邪魔玉は初期化される。
  • 色玉を消したり、拍撃や連撃を成功させることで覚醒ゲージが貯まっていき、全て貯まると覚醒モードに突入する。
    • 覚醒モードに突入すると、場の状況がリセットされ、決められた色玉の配置になる。
    • 一定時間経過するか、場の色玉を全て消す、またはダウンラインより下まで色玉を積むと通常の状態に戻る。
      • この時、場の色玉の配置は完全にリセットされるため、覚醒モードに突入するまでにいくら邪魔玉があったとしても全てクリアされる。
    • 覚醒モード中は邪魔玉がストックされていたとしても送られてくることはないが、覚醒モードが終了した時点でストックが残っている場合、終わった時点で邪魔玉が送られてくることになる。
  • ダウンした際には覚醒モードと同じように、場がリセットされ、反撃モードに突入して復活する。
    • 反撃モードは覚醒モードと同様専用の配置になり、反撃モード中は邪魔玉が送られてこないというのも同様だが、覚醒モードと反撃モードでは玉の配置が大きく異なるという違いがある。
  • キャラクターとして選べるのは20人+DLCであり、キャラクター毎に固有の能力と『東方Project』ではおなじみのスペルカードを持つ。
    • 固有の能力はキャラ毎に完全に固定で変更不可だが、スペルカードは、キャラ毎に3種類あり、対戦開始前に選択可能。
      • 固有の能力やスペルカードの中には、特殊な玉を生成するものもあるが、大抵は手玉が触れたり、時間が経過したりすることで効果を発揮する。
    • 固有の能力はいわゆるパッシブ能力であり、プレイヤーが特段の操作をせずとも常に効果を発揮する。
    • スペルカードは一定時間経過することで利用可能になり、プレイヤーが利用することで初めて効果を発揮する。
      使用後は再度一定時間経過するまで利用できない。
    • スペルカードは大きく分けると「自身を有利にする効果」と「相手を不利にする効果」の2種類に分かれている。
      • 「相手を不利にする効果」は相手が覚醒モードや反撃モードに入っている間に使うと、不発となる。不発となった場合は使用済みとなることはないため、その点は安心である。
      • また、どちらかのプレイヤーが拍撃パートや連撃パートに突入している場合はスペルカードはそれらのパートが終わった時点で発動することになる。双方が利用した場合は利用した順番で発動する。
  • 対戦時には曲を選ぶ(ストーリーやチャレンジなどは曲が固定される)。
    • 曲によって拍撃や連撃のリズムが変わるほか、対戦時間は曲が終わるまでであり、曲によって対戦時間が大きく異なる。
    • 難易度が高い曲はスピードが速かったり、リズムが取りにくかったりするため拍撃や連撃がしづらい。
      もっとも、お互い同じ曲にのってプレイするため、相手がCPUでなければ曲の難易度が高ければお互い難しいということでもある。
      • 中には、テンポチェンジされる曲もあり、曲の途中で拍撃や連撃の速さが変わるため通常の曲より更に難しくなる。
  • 一人プレイで遊べるのは「ストーリーモード」「チャレンジモード」であるが、上述の通り、対戦形式しか存在しない。
  • ストーリーモードを進めることでキャラが解禁されていくほか、霊夢のスペルカードが解放される。
    • 他のキャラのスペルカードや、遊べる楽曲については対戦時に手に入る古銭を利用し、ゲーム内ショップである「香霖堂」で入手できる。
  • 楽曲やキャラクターについては有料DLCという形で追加されており、発売4周年を迎えた2024年3月まで要素の追加が続いた。

評価点

パズルボブルをベースとしつつ全く新しいゲーム性

  • 基本的なシステムは『原作』同様だが、リズムに乗るという斬新な要素を加えており、『パズルボブル』らしさを残しつつも、全く新しいゲームバランスを構成している。
    • 素早く消せば良い、というわけではなく、リズムに乗ることが重要であり、同じ消し方でもタイミングを少しずらすだけで連撃が発生し、攻撃の威力が大きく変わることもザラである。
    • ダウンしてもその時点で負けにはならないため、決められた時間内遊ぶことができる。
      • 1曲の時間は3分~5分程度であるため、1戦の長さとしてはやや長い気がしないでもないが実力が伯仲してそれ以上に時間が間延びしてしまうということにはならない。

個性豊かなキャラクター能力

  • キャラクター毎に能力やスペルカードが異なっており、場合によってはキャラが異なるだけでプレイスタイルそのものを大きく変える必要があるほどにゲームの展開が大きく変化する。
    • 能力によってはキャラ固有の玉を発生させることもあるため、相手のキャラの能力についてもしっかりと把握しておく必要がある。
    • 対人戦では、お互いがどのようなキャラを使うかによって自身の戦い方も変わってくる場合もあるため、それらも含めて盛り上がること請け合いである。

東方アレンジ楽曲に乗ってプレイ出来る

  • 有名なアレンジ楽曲も多数収録されているため、ファンであれば否応なく盛り上がれる。
    • 更にアレンジ楽曲は基本的にフル収録されており、この手のゲームでは珍しいフルバージョンで遊ぶことができる。
    • 上述の通り、途中でダウンして終わりということにはならないため、サビに突入するまでにゲームが終わってしまい、聞きたい部分が聞けないということにもならないのもグッドだろう。

賛否両論点

リズム要素が重要となる奥深いシステム

  • リズム要素が重要となるゲームであるため、通常のパズルゲームとは異なり、早く消すことよりも拍撃パートや連撃パートを意識することが大切になる。
    • 本作で拍撃パートや連撃パートが発生するかどうかは曲毎に決められており、どの場面で拍撃パート等が発生するかは画面の左右の譜面で分かるようになっている。
      • その他、虹の玉が出る箇所も記されているため、特に大量に玉を消す場合は譜面を確認することが重要である。
    • 同じ数の色玉を消したとしても、拍撃パートや連撃パートの数が少ないと送れる邪魔玉が減ってしまう。
      • 数こそ少ないが拍撃パートなどがほとんど発生しない場面が存在する曲もあり、そのような場所で大量の色玉を消したとしても拍撃パート1回にすら満たない邪魔玉しか送れない残念な事態に陥ってしまう。
    • 拍撃パートや連撃パートは曲のサビ部分や終盤などで多く発生する傾向にあるが、必ずそうであるというわけではないため、曲毎の場所を覚えるまでは譜面で確認しなければ分からない。
  • 譜面を見てプレイすれば良い、といってしまえばそれまでだが、この手の対戦パズルゲームにありがちな話として、情報量が多いため、慣れない内に画面端の譜面を見てプレイするなどまず不可能である。
    • プレイヤーとしては自分のフィールドの次に重要なのは相手フィールドの情報だと思われる為、尚更譜面まで見てる余裕がない事態に陥りがち。
    • そして、相手から邪魔玉も送られてくるといった状況を考えれば他のパズルゲーム同様「早く消した方が良い」と勘違いしがちである。
      • 拍撃パートなどを上手く活かせないと相手より多くの色玉を消しているはずなのに邪魔玉はこちらにばかり送られてきてしまうということも冗談抜きで起こる。
  • 本作は1打あたりの時間制限はあるが、時間制限内であればいつ打ってもよく、邪魔玉がストックされていたとしても、手玉を打たない限り送り込まれてくることはない。そのことに気づければリズムを取るということも意識しやすくなるのだが、慣れてこないと余裕を持った対処ができない。
  • 本作の覚醒モードはそれまでの盤面がリセットされ、覚醒モード終了後はリセットされた盤面で再開するという強力な効果を持っており、単に攻撃だけでなく防御面でも重要な要素となっている*2*3
    • その他、覚醒モードに突入すると盤面がリセットされるだけでなく、攻撃系のスペルカードの効果は失われてしまうため、覚醒モード直前にスペルカードを使うと完全に無駄になってしまうこともある。
      • 覚醒モード中に使った攻撃系スペルカードはキャンセルされるが、覚醒モード直前に使った場合は当然効果が出るのでよく見ておかないとスペルカードを無駄打ちしてしまうことも有り得る。
      • 支援型スペルカードは自分に使うため、無駄打ちにはなりにくいが、直後に覚醒モードに入って恩恵を得られないケースはやはりある。
    • 覚醒モードは画面下部のゲージで突入までのタイミングがある程度分かるようになっているが、初心者が譜面を見ている余裕がないのと同様やはり初心者に確認は難しいだろう。
  • 本作の要素をしっかり活用すると画面全体を見回さなければならず、情報不足による攻撃力などの低下は他のパズルゲームと比べても大きいものとなってしまう奥深いシステムとなっている。
    • 初心者同士で遊ぶ分にはあまり気にならないだろうが、多少システムが分かっている相手と遊ぶ場合はパズルの技術そのもの以外で差が付いてしまうこともある。
    • とはいえ、理不尽なバランスというわけではなく、しっかりと意識して活かせるようになるとどのタイミングで攻撃を仕掛けるべきか、妨害すべきかどうか……など様々な戦術を駆使したプレイが可能となっている。

強いキャラ、弱いキャラという格差が存在する

  • キャラ毎に能力の違いがあるゲーム故の宿命ともいえるが、キャラの強弱については間違いなく存在している。
    • アップデートにより強弱のバランスが変わることはあるものの、どのキャラでもほぼ均等の強さ……という状態にはなっていない。
      • 下手すると、それまで強かったキャラが調整の結果弱いキャラに格落ちすることもある。
  • とはいえ、キャラの能力が特定のキャラにピンポイントで刺さるといったケースもあるし、少なくとも中級者程度まで同士がわいわい遊ぶ際には好きなキャラを使えば良い程度のバランスには収まっている。

問題点

ストーリーモードの魔理沙編がかなり難しい

  • 本作のストーリーモードは霊夢編と魔理沙編の二段階構成であり、霊夢編クリアで取り敢えず一通り完結するのだが、その後に登場する魔理沙編の難易度は非常に高い。
    • 魔理沙編では通常のスペルカードよりも高性能のいわゆる敵専用のチートクラスのスペルカードを利用してくる高難易度CPUが相手となるため、本作の音ゲー要素をしっかりと理解した上で少しのミスも許されない非常にシビアなプレイが要求される。
      • 霊夢編がなんとかクリアできたという腕前では魔理沙編の序盤すら突破は難しい。そして後半になると上級者でも何十回といった単位でやり直すことを覚悟する必要がある。
  • ストーリーモードには難易度設定があり「ふつう」と「やさしめ」の二段階が用意されているが、「ふつう」の時点で上記の通りである。
    • 「やさしめ」にすると多少楽になるが、かといって魔理沙編が楽に突破出来るといったような軟弱なものではない。少なくとも霊夢編を「ふつう」でクリアしたから魔理沙編の「やさしめ」がクリアできることには到底ならない。
    • 正直「ふつう」ですら慣れないと結構厳しいバランスであるためこのような状況であれば「ふつう」と「むずかしい」という表記にしてもよかったのではないかと思われるほど。
      • 一応、魔理沙編は「ストーリーモードLunatic*4」と表記されているため、難しいというのは分かるのだが……。
  • 霊夢編をクリアしてしまえば一通りのキャラが揃うためゲームを楽しむだけであれば霊夢編さえクリアすればなんとかなるのがせめてもの救い。
    • 霊夢はストーリー進行でスペルカードが増えるが、魔理沙のスペルカードは他のキャラと同様「香霖堂」で購入するスタイルなのでスペルカードの入手も問題ない。
    • もっとも、魔理沙編クリアでエンディングが流れるため、このエンディングを見たければ修羅の道を突き進む必要がある。
  • 同様に、チャレンジモードの高難易度であるLv.9や10もかなり難しく数十回単位でやり直すことを覚悟する必要がある。
    • こちらはストーリーと異なり難易度を変えてほんの少しでも楽にするといった方法は使えないため、ストーリーを「やさしめ」でなんとか突破したというプレイヤーにとってはまさに地獄となる。
    • もっとも、チャレンジモードのクリア報酬はプロフィールの称号(実績のようなもの)がもらえるだけであるため、挑戦しなくてもそれ程問題は無い。

大差が付くと基本的には捨て試合となる

  • ダウンしても即負けにならないというのは一定時間は必ずゲームを楽しむことができるというメリットにもなるが、大差が付いたとしてもゲームを続けなければならないというデメリットにもなる。
    • 既述の通り、スコアは拍撃や連撃の成功で加算されるものの、ダウン時にダウン時の大きく加算され、1回分のダウンを拍撃や連撃の成功で挽回するということは現実的にはほぼ不可能である。
      • 拍撃や連撃は1回の成功で一律スコア+1だが、ダウン時はフィールドの玉の数だけ加算されるため、基本的には100以上加算される。
        理屈上はダウンしたとしても拍撃や連撃を相手より100以上多く成功させればスコアで勝利することも可能だが、普通はそんな状況にならない。
    • 相手とのスコアが拮抗しており、1回ダウンを奪えば逆転できる、拍撃や連撃の差で逆転できるような状況ならいいが、200点以上のスコア差となってしまうと基本的に逆転はほとんど不可能である。
  • 一応、点数差が大きくなると不利なプレイヤー側が「覚醒ゲージが貯まりやすくなる」、「反撃モードの玉の色数が減る」といった形で逆転しやすくなる要素が用意されているものの、結果的に逆転に至るというケースはあまりないだろう。
  • 結果的に、大差が付くと時間が終わるまで負けが決まった試合を適当にプレイするくらいしかやりようがなくなってしまう。

ストーリー終盤のまさかのネタバレ

  • 本作ではストーリーを進める際にマップを選び、そのマップ内で対戦するキャラのアイコンを選んでステージを選ぶことになる。
    • 同一マップで対戦するキャラが1人の場合はいいが、2人以上の場合、次以降のステージで戦う相手もアイコンは最初から表示されている。
      もっとも、実際には順番にプレイしなければならず任意の順番で攻略出来るわけではない。
      • 例えば紅魔館であれば「パチュリー」「咲夜」「レミリア」の順番に戦うため、「パチュリー」と戦う時点で次が「咲夜」であり、その次が「レミリア」であることが事実上分かる。
  • 紅魔館の例であれば基本的に意外性のある順番ではないため問題ないが、順番が最初から表示されていることで最終盤に大きな問題が起こる。
    • 簡単に言うとスペルバブルの大会が開催され、トーナメント形式で実施されるのだが、1回戦の時点で最終戦まで全ての相手が分かってしまう。
      • しかも3戦目の相手は1戦目、2戦目のストーリーの時点では出場していないキャラであり、3戦目の時点で突如乱入してくる意表を突いたキャラである。作中では驚きの展開として進行していくものの、プレイヤー目線ではアイコンでネタバレされているため予定調和以外の何物でもない。

キャラ選出の偏り

  • 初期状態の主人公2人+18人なら初期作に絞られるのもやむを得ない点はあるが、DLCでも過半数が紅魔郷〜風神録からの選出で、星蓮船以降のキャラの追加は2022年10月が最後となり、深秘録以降のキャラは1人も出なかった。
    • 主人公2人以外の本編初出作の内訳は、紅魔郷から7人、妖々夢から5人、風神録から4人、永夜抄から3人、花映塚・地霊殿から2人ずつ、緋想天・星蓮船・神霊廟・心綺楼・輝針城から1人ずつ。加えてスペルカードの演出で神霊廟から2人と妖々夢から1人。
    • 紅魔郷の7ボスが全員集結している一方で、永夜抄は表向きのラスボスの永琳が未登場、風神録は中ボスの椛がトリを務めた一方でラスボスの神奈子が不在、地霊殿に至っては古明地姉妹だけ、といった具合に、星蓮船以前でもチョイスに首を傾げたくなるものも少なくない。
    • ストーリーを見る限り、東方Projectの特定の作品に偏ったシナリオではないはずである。スペルバブルそのものは地霊殿以降のキャラにも浸透しているようなので、余計にキャラが偏っているのが気になるところ。

「弾幕STGとしての東方」の要素はない

  • 本作はあくまで「東方Projectのキャラと楽曲を使ったファンゲーム」の類であり、原作である「弾幕シューティング」としてのゲーム性は全く踏襲されていない。

改善点

発売初期はオンライン非対応だった

  • 基本的に対戦しかできないゲームなのだが、発売当初はオンラインに対応しておらずローカル対戦しかできなかった。
    • 音楽のリズムが重要になり同期が難しかったことが理由と思われるが、2020年時点においてローカル対戦しかできないのはかなり残念な仕様といえる。
    • 特にジャンルが『東方Project』とやや玄人向けであり、身内でわいわいやるようなものでもなく、価格帯も二次創作ゲームというよりは一般的なゲームと同等であるためこの点はかなり痛手といっていい。
  • 発売から1年半以上経った2021年11月18日にオンライン対戦に対応したためこの問題点は解消した。

総評

『パズルボブル』というやや懐かしいパズルゲームをベースとしつつも全く新しいゲームとして生まれ変わった一作。
リズムに乗ることが重要なアクションパズルということで難易度は決して低くないが、東方アレンジ楽曲で遊ぶことができるパズルゲームというだけでもカジュアルに楽しむことができる。
その一方で、突き詰めようとすると、パズル操作だけでなく、タイミングもしっかりと計る必要があるなど戦略的奥深さもあり、単なるライトなパズルゲームという器には収まっていない。
どのように遊ぶかによって見方は変わると思われるが、初心者から上級者まで楽しめる懐かしくも新しいパズルゲームとして十分な出来といえよう。

最終更新:2024年06月19日 13:32

*1 なお、東方Projectの制作者であるZUN氏は元タイトー社員であるため、タイトーのゲームで東方Projectとコラボを行った作品はこれまでにもあった

*2 例えば、それまでに邪魔玉が送られてきてあと少しでダウンするような状況に陥っていたとしても覚醒モードに入ってしまえば、覚醒モード終了時には初期状態の盤面となるため、覚醒モード中に相殺しきれないほどの邪魔玉を送られてきた、といったことがなければそれまでの邪魔玉を全てチャラにできる。

*3 余談だが、ぷよぷよのフィーバー系だと、フィーバーモード終了時には元の盤面に戻るため、一時しのぎにはなるが、完全にチャラにできるわけではない

*4 東方Projectの原作では最高難易度がLunaticと表記されている。また、本作のCPUの強さも一番上の強さがLunaticである。