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Redemption Reapers
【りでんぷしょん りーぱーず】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション5 プレイステーション4 Windows(Steam)
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発売元
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Binary Haze Interactive
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開発元
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Adglobe
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発売日
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ダウンロード: 2023年2月22日 パッケージ版: 2023年7月13日
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定価
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5,480円(税別) |
レーティング
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CERO:D(17才以上対象)
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判定(DL版Ver.1.40前)
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なし
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判定(DL版Ver.1.40後)
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良作
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改善
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ポイント
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『FE』元スタッフが制作に関与 ダークかつ緊迫感に溢れたストーリー 歯ごたえのある難易度 DL版はアプデごとに快適さが飛躍的に上昇
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概要
2021年にリリースされた『ENDER LILIES: Quietus of the Knights』の完成度の高さから、大きな注目を集めたAdglobeによるSRPG。
『トラキア』『封印』『覚醒』などのシナリオに関わり『蒼炎の軌跡』のディレクターを務めた堀川将之氏や、『風花雪月』のサウンドデザイナーである近藤嶺氏など、『ファイアーエムブレム』シリーズのスタッフが多く参加しており、システムもやや似通った面が見られる。
ストーリー
これは、「死神」と呼ばれ忌み嫌われた人間達による、ささやかな抵抗と贖いの物語。
突如現れた異形の軍勢「モース」は、その圧倒的な恐怖と力によって多くの人々を蹂躙し、国々を滅ぼした。
そんな絶望的な状況の中で、少数ながら局地的にモースと渡り合う勢力「灰鷹旅団」が存在した。
狡猾な奇襲戦法や集団戦術を駆使し、かつて人々から「忘恩の死神」と呼ばれ忌み嫌われた存在。
皮肉にも、彼らがモースに対抗する唯一の希望になろうとしていた。
プレイアブルキャラクター
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サラ(CV:甲斐田裕子)
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本作の主人公。過去に旅団が犯した過ちを人一倍悔いており、戦場では自らを省みない行動が目立つ。その一方、力のない人々には優しく、面倒見もいい。
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短剣を利用する盗賊タイプ。防御力が低いが、成長次第で回避率を大きく伸ばせる。反撃を受けないスキルや追撃を併用することで、ダメージを受けない立ち回りが可能。
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グレン(CV:小山力也)
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サラの所属する隊のリーダーを務める剣士。かつては騎士団長を務めており、指揮力に長ける。
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平均的な性能の剣士キャラ。指揮が得意という要素はゲーム内でも反映されており、味方の援護攻撃によるダメージを増加させるスキルを修得できる。
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ルグ(CV:津田健次郎)
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灰鷹旅団の古参兵。露悪的な物言いが目立ち、戦闘においては積極的に前に出たがる。その激しい性格から、仲間とトラブルになることもあるが、内心では灰鷹旅団を強く信頼している。
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槍を使用し、一歩離れたところから攻撃できる。反撃を受けずに敵を倒したり、援護に参加しやすいなど、使いやすいキャラ。
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ウルス(CV:玄田哲章)
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灰鷹旅団の戦士。仲間内では年長者ということもあり、要所要所で仲間の引き締め役を引き受けるなど、縁の下の力持ち的存在。
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斧を扱い、体力と防御力に優れるタンクタイプ。スキルを利用することでさらにダメージを減らせるなど、敵をおびき出す役割に長ける。
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カレン(CV:水樹奈々)
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灰鷹旅団の弓兵。明るい性格だが、自分の過去に触れられることを快く思っていない。
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弓を使うことから、遠くからの攻撃を得意とする。ただし、援護攻撃に参加することができない。
システム・特徴
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灰鷹旅団の団員を操作し、世界を脅かす謎の生物群「モース」と激戦を繰り広げるSRPG。
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レベルアップにおけるランダム成長や、武器の使用回数制限など、ファイアーエムブレムと共通するシステムが多く見られる。
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また、『スーパーロボット大戦』シリーズでおなじみの援護攻撃要素も搭載されている。
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プレイアブルキャラクターは少ないが、HPが0になってもロストすることはない。
スキル
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本作では、レベルの上昇に伴いさまざまな攻撃、防御、パッシブスキルを修得できる。
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攻撃スキル、防御スキルは『風花雪月』の「戦技」に近く、APと呼ばれる独自のリソースを消費して発動する。
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敵の攻撃の威力を減らしたり、敵の反撃を確実に回避できるなど、その効果は多種多様。また、レベルアップ時に獲得できる「スキルポイント」を使って効果を高めることも可能。
トレーニング
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堀川氏がディレクターを務めた『蒼炎の軌跡』で搭載されていた要素。少ないターンで味方の犠牲を出さずにクリアすることで得られるボーナスポイントを使い、プレイアブルキャラクターを成長させられる。
アクセサリー
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武器のほかに1キャラにつき1種類まで装備できるアイテム。
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特定の能力値を上昇させたり、条件を満たすことで与ダメージにボーナスが入るなど、多種多様な効果が得られる。
遺物
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マップには、「遺物」と呼ばれる物が落ちており、接触することで換金アイテムや「手記」と呼ばれるアイテムを獲得できる。
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この遺物は、出撃準備画面で確認することが可能で、シナリオの補完に一躍買っている。また、障害物としても機能しており、あえて取得せずに敵の侵攻を妨害するために利用することも可能。
回復アイテム
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本作では、出撃時に「霊薬筒」と呼ばれる回復アイテムを持って出撃する。使用することでHPが全回復し、「霊脈」と呼ばれる地点と接触することで再使用が可能になる。
遊撃戦
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いわゆるフリーマップに当たる要素。以前クリアしたマップや、専用マップに出撃し、モースを倒して経験値やアイテムを得られる。
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無限に利用可能ではあるが、武器の使用回数の問題などから、必ずしも使えば使うほど有利になるというわけではない。
評価点
優れたゲームバランス
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多勢に無勢という要素が前提に置かれており、1人で多数の敵を倒せるようにはできていない。
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しかし、敵ユニットが一気に殺到してくることはなく、援護攻撃を駆使することで大きなダメージを与えられるようにもなっているため、ユニットの行動順や敵対ユニットをどう捌いていくかの思考が大事になってくる。
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操作メンバーが5人と少なく、少数精鋭ゆえに各々の持つ特性を良く理解し、常に最適な運用を心掛ける必要がある。
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難易度にもよるが、武器の使用回数制限がややシビアで、修理費も割高な傾向にある。
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そのため、いかに多くのアイテムを入手できるかといった管理も重要になるなど、SRPGとしての面白さが強調されている。
魅力的なキャラクターたち
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本作で使用できるキャラクターは五人と少ないが、それだけに全員がしっかりとシナリオにかかわっている。要所要所で豪華声優陣が演じる彼らの声をフルボイスで聞くことができる。
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彼ら灰鷹旅団は過去に大罪を犯しており、人類の危機を前に全力でモースに立ち向かう。
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当初は自分たちが生き残るため、モースに押されている状況が気に入らないためなど、利己的かつ偽悪的な理由で戦っていたが、中盤以降に難民を保護してからは彼らを守るために戦いたいと考えるようになる。
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彼らの立ち位置は、『蒼炎の軌跡』のグレイル傭兵団や、『暁の女神』の暁の団に近く、彼らを好むプレイヤーなら好意的に受け入れられる可能性が高い。
ストーリー
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正体不明の化け物たちに人類が脅かされるというパニックホラーと、かつて大罪を犯した灰鷹旅団がそれに立ち向かうというヒロイックな要素が合わさり、高い評価を得ている。
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灰鷹旅団の団員たちはそれぞれ大きなトラウマを抱えており、人類のために戦う理由が贖罪のためであることを強調している。
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この要素は最初から開示されているわけではなく、シナリオを進めるにつれて明らかになっていく。少数精鋭ならではの長所ともいえる。
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前述した通り、会話劇やカットシーンは全編フルボイス。シナリオ開始時はナキ役の福山潤氏によるナレーションが流れる。
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編成画面で確認できる「手記」は、平和だったころと現在のギャップを汲み取れるものや、モースの発生にかかわる可能性が高いものなど、世界観の構築に一役買っている。
自由度の高い援護システム
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本作の援護攻撃は射程内にいる味方全員が参加できるうえに威力も減衰しない。さらに、敵に反撃される前に発動できるうえ、行動終了後も援護に参加が可能となっているなど、自由度が非常に高い。
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モースは1対1で戦うと押し負けることが多く、つねに多数のユニットで攻撃しなければならない。この点は、設定の中でも語られる灰鷹旅団の戦法にも合致しており、高く評価されている。
BGM
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本作のBGMは前述の「ファイアーエムブレムシリーズ」や『大神』で好評を博した近藤嶺氏が手掛けている。
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曲風としては終末感を感じさせるものが多く、本作の作風にマッチしたものと言える。
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なお、サウンドトラックは販売されておらず、サウンドテストもないため、曲名は今のところ判明していない。
賛否両論点
救いの少ない結末
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詳しい描写はネタバレになるので避けるが、本作の結末は、主人公たちに思い入れがあるプレイヤーにとっては辛いものとなっている。
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灰鷹旅団の団員たちは、過去に犯した大罪の影響から死に場所を求めていた節があるため、この結末は間違ってないともいえる。
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ただし、モースを倒して人類の平和に大きく貢献していることは紛れもない事実で、この結末はあんまりではないかという意見も聞かれた。
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一方で、ある意味本作の世界観を象徴しているという点や、彼らが守りたいものを守りきれたことも確かである。可能であれば、エンディング後の世界を見てみたいと考えるプレイヤーもいるほど。
魔法を使える味方がいない
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サラが短剣、グレンが剣、ルグが槍、ウルスが斧、カレンが弓を使うが、魔法を使えるユニットが敵のみに限定されている。攻撃スキルとの兼ね合い上、仕方ない部分もあるのだが、せっかくなら使わせてほしかったという意見もある。
NPCが役に立たない
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SRPGの常として、本作でも操作できないキャラクターは弱く、単騎でモースに向かっていくためすぐにやられてしまう。
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ただし、護衛対象以外のNPCが倒されても特にデメリットはないため、削り役を任せて放置することが定石とされている。
問題点
シナリオに関する問題
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本作で戦う敵生物「モース」は人間と意思疎通ができないため、敵と味方のやり取りを望むプレイヤーにとっては物足りないという声も多い。
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モースが爆発的に発生した理由が不明瞭。手記の一部に彼らの正体に通じる要素が書かれているのだが、メインシナリオでは一切言及されない。また、その手記に関しても可能性が高いだけで確定というわけではない。
加入キャラが少ない弊害
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前述の通り、本作は加入キャラが5人に限定されている。成長率がランダムであるため、思うように成長ができなかったキャラが出た場合、難易度が大きく跳ね上がる。
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ただしキャラクターの成長率は全体的に高めなうえ、『風花雪月』で搭載された最低2ピン保証は健在。
アクセサリやアイテムで能力の補正もできるうえ、アップデートによりトレーニングでは特定の値が成長するようになったなど、味方が弱くならない工夫はされているのだが、それでも足枷になっていると考えるプレイヤーもいる。
アップデートで改善された点
難易度「EASY」の追加
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1.40のアップデートにより、敵の能力が低い「EASY」モードが追加された。これにより、SRPGに不慣れなプレイヤーも安心してプレイできるようになった。
NEWGAME+の追加
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1.40のアップデートで、クリアした状態のデータで最初から再プレイが可能となった。強化したキャラクターを引き続き使用する楽しみを存分に味わえる。
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なお、この際に選択できる難易度はクリア後のパラメータを前提としたものとなっており、安易に無双プレイはできないようになっている。
NPCの行動パターン
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中盤でエスコートすることになるNPC「ナキ」は、目前にモースがいてもお構いなしに移動を続けることから、害悪キャラと呼ばれるなどの風評被害を受けていた。
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だが、1.30のアップデートで行動パターンが改善され、サラに向かって移動するよう修正された。
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実際、このマップでは、サラがナキに対して「自分から離れないで」という発言もしており、シチュエーションにも合致したと言える。
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このほか、UIが幾度にもわたって改善されており、アップデート後は快適さが大きく上昇している。
総評
歯ごたえのある難易度や、ダークながらも少ない人数で多数の魔物を打倒していくヒロイックなストーリーなど、見どころは非常に多い。
ダウンロード版の発売当初は、やや不便なUIなど無視できない問題があったが、度重なるアップデートにより快適なものに昇華されている。
『ENDER LILIES』や、『ファイアーエムブレム』シリーズ、特に『蒼炎の軌跡』や『暁の女神』が好きなプレイヤーには、ぜひとも手に取っていただきたい一作である。
余談
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本作と同じく過去作のFEのシナリオライターが退社後に手掛けた別作品『ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記』は発売初期にシリーズの関連作品として制作し、繋がりがあるという宣伝を行ってしまったため任天堂に注意され、内容の修正後もデザインが類似しているとして訴訟を起こされた過去があった。
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本作も開発スタッフの経歴やゲームの内容から『ファイアーエムブレム』シリーズとの類似点は多いが、その当時から長い年月が経ったことや、特に関連作品ということを匂わせてはいないためか、Switchでも販売されており発売時には公式サイトのトピックスで紹介されている(参照)。
最終更新:2024年06月17日 11:47