ぐるぐるガラクターズ
【ぐるぐるがらくたーず】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ゲームボーイカラー(全GB共通)
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メディア
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8MbitROMカートリッジ
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発売元
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アトラス
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開発元
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【企画開発】MIT 【キャラクター・アイテムデザイン】タツノコプロダクション
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発売日
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1999年9月10日
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定価
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4,300円(税別)
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判定
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良作
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女神転生シリーズ
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概要
アトラスより発売されたポケモンを意識したモンスター収集系RPGの一つである。
過去にGBで展開されていた『女神転生外伝 ラストバイブル』シリーズ(特にII)から、ゲームシステムやグラフィックが流用されている。
アニメ『タイムボカンシリーズ』、『科学忍者隊ガッチャマン』などでお馴染みのタツノコプロがキャラクター・アイテムをデザインしている。
ストーリー
みどりヶ丘1丁目の新しいお家へ引っ越してきたユウタくん一家に、いきなり大事件が…。
そう、引越しの荷物がトラックごと何者かに盗まれてしまったんです。パパもママもガックリ、もちろんユウタくんだって…。でも、妹のミミは、おもちゃ箱が盗まれなかったのでちょっとだけのガックリでした。
ところがその夜、もっとびっくりすることが起こったんです。見慣れないピコピコとポコポコという生物が、こんどはミミのオモチャ箱を盗んでいったんです。
この不思議な生物を追って庭の物置小屋に入ったユウタはそこで…。
さて、この続きはゲームをはじめてからのお楽しみ。
さあ、ぐるぐるワールドへ、レッツゴー!
(説明書の巻頭の「あらすじ」より抜粋)
特徴
現実世界と異世界を行き来する物語
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主人公は異世界で仲間を増やせば自宅の家具が充実すると言われて、勇者になることを渋々ながら受け入れることになる。
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ギドーが率いる悪の軍団が異世界と現実世界で引き起こす問題を解決するために、2つの世界を行き来することになる。
身近な日用品がモンスターに変身!
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現実世界の水鉄砲やフライパンなどの日用品が異世界ではモンスターになって冒険を助けてくれる。
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医薬品は回復アイテムになり、マンガ本は魔法アイテムに変化する。
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帽子や衣料品は防具になり、木刀やラケットのスポーツ用具は武器になる。
異世界では会話で仲間にする
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戦闘中に会話することでモンスターを仲間にできる。女神転生シリーズではお馴染みの方法である。
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「ふざける」「おどる」「ほほえむ」などの選択肢を選んで好印象を与えれば仲間になる場合がある。
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会話に成功するとお金をくれて戦闘はその場で終了する場合もある。
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会話に失敗すると戦闘が続行する。毒などの状態異常を与えてくる場合もある。
タツノコプロによるデザイン
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モンスターはヤッターマンのビックリドッキリメカのようにユーモラスなデザインが多い。
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ドロンボー一味(悪役3人組)にそっくりの仲良し3人組も登場する。
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おまけにタツノコプロのロゴもモンスターになる。おしゃぶりが可愛い緑色のドラゴンに変身する。
コミカルなギャグテイストのストーリー
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宛先を間違えたラブレターを探しに行く、子供と老人の公園の占有権をめぐって決闘するなどコミカルな展開が多い。
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一方で、ラスボスの動機はモノを粗末にする人間への復讐というシリアスな展開もある。
評価点
仲間を増やすとにぎやかに!
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最初は自宅は家財道具が盗まれてカラッポであり、町の置物の一部も盗まれている。
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仲間を増やすことでタンスや電話などの家具は自宅に配置される。滑り台や信号機などは町内に配置される。
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仲間にしたモノがさまざまな場所に増えていくことが冒険の楽しさを引き立ててくれる。
育てれば変化する!
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仲間のレベルを上げることでランクアップして見た目が変化する。
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一例として、「ひろったパソコン」がランクアップすると最終的には「スーパーコンピュータ」になる。
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「パパのバッグ」が「サンドバッグ」に変化するなどの意外な変化も多数ある。
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おまけに、図鑑の説明が最初は否定的だが、レベルを上げると肯定的な説明に変化する。
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一例として、「クレーンゲーム」の説明が「アームがよわい」から「いっぺんにたくさんとれる」に変化する。
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ただし、ポケモンのようにモンスターの姿は変化しない。変化するのは元になったモノだけである。
収納技と連携技
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タンスや本棚などの収納家具に相性の良いアイテムを収納することで、収納先のモンスターに技が追加される。
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戦闘に参加させるつもりのない仲間や、性能の低くなった装備にも使い道ができるようになっている。
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特定の2体の仲間を戦闘に参加させていると、主人公が連携技を使用することができる。
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全体攻撃、全体回復技などの強力な技が使用できる。
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ペルソナ3のミックスレイドの先駆けとも言える。
オートバトルでサクサク
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戦闘中にオートを選択すると、テンポ良く戦闘を自動で進めてくれる。レベル上げが苦になりづらい。
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仲間の体力が減ると回復技を使用してくれるので不便に感じることは少ない。
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オート戦闘中に使用する技を一つだけ選択することもできる。また、技を任意に選択する仲間を設定することもできる。
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さらに戦闘中にでも設定を変更できるので活用する幅は広い。
図鑑が使いやすい
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「家具」「おもちゃ」などにフォルダが分類されていて探しやすい。
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収納技・連携技に関係する組み合わせも調べることができる。関係するモンスターのページをすぐに表示することもできる。
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「かわってないもの」を選ぶと、異世界での変化した姿を見ていないモノを確認することができて便利である。
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「いまのベスト10」はレベル、ステータスを高い順で表示してくれる。
エンディング後の隠しダンジョン
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隠しダンジョンでは敵幹部の四天王だけでなくラスボスさえもエンカウントする。
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最奥ではラスボスよりも強力なボスと何度でも戦うことができる。
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本編クリア後でも育てた仲間の力試しができるのは図鑑埋めなどのやる気につながる。
通信要素のオリジナリティ
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通信対戦はお互いに2体のモンスターを選出して戦う。CPUも交えた「みつどもえ」のルールも実装されている。
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プレイヤー同士の対戦を選んだ際に、低確率で乱入が発生して強制的に「みつどもえ」になる場合もある。
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「みつどもえ」では登場人物の仲良し3人組が敵として登場するという嬉しい要素もある。
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既存の作品の対戦形式と差別化をはかる創意工夫がみられる。
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「ともだちアパート」という通信相手の主人公が引っ越してきて進行度に合わせた会話が聞ける要素がある。
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「でんごんばん」という自由に入力したテキストを通信相手の伝言板に送る機能がある。
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ニンテンドーDSのすれ違い通信を先駆けたものとして評価もできる。
コピーセンター
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本編クリア後の機能として、相手が仲間にしていないモンスターを初期ステータスでコピーすることができる。
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送信元のモンスターは消えないので、通信交換よりも利用するのに敷居が低い。
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セーブを強制されないので、ゲーム内で入手が限られるモンスターを入手→コピー→リセット→入手…と繰り返せば、周回して入手する手間を省くことができる。
賛否両論点
難易度はやさしい
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他の女神転生シリーズと比べると、子供またはRPG初心者にも遊びやすい難易度設定であり歯応えは少ない。
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最序盤で手に入る回復アイテムは終盤でも全回復できるほどであり、全体回復できる魔法アイテムは簡単に複数購入できる。
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終盤のボスは全体攻撃を使用してくるので、これらの回復力が前提の難易度にはなっている。
ボスにステータス低下の効果があまりない
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防御を下げる技を1回当てても、数ダメージ増加するだけである。命中を下げる技も効果を感じられない。
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さらに、十分にレベル上げした仲間でも命中率は5割ほどなので当たりづらい。
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素早さを低下させる技は先制を取れるようにする使い道があるが、命中率が悪いので使いづらい。
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攻撃力を上昇させて、2連続の物理攻撃技を使用するのが最適解となってしまう。
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子供向けに、ステータス低下技を前提としない難易度に調整した結果とも考えられる。
仲間の選択にひと手間かかる
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仲間が増えていくと膨大なアイテム名のリストから連れて行きたいモンスターを探すのに時間がかかる。
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モンスターの異世界での名前と現在のレベルの表示にも切り替えられるが、それでも探しづらい。
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配置されるものは所持品として持ち歩けないので異世界に出かける際に選択して仲間に入れる手間が必要になる。
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「まえのなかま」という以前のパーティを呼び出す機能はあるが、さらに追加する場合にはリストから探す手間がある。
ベンチとの入れ替えが面倒
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イベントを進める鍵となるモンスターが必要な時は戦闘に参加するパーティー内にいないとイベントが進展しない。
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必要なモンスターを連れてきたが、イベントが発生せずに詰みと勘違いしやすい。
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エンカウント抑制、ダンジョン脱出などの補助技はモンスターがベンチにいると選択できない。
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使用するには戦闘に参加するパーティと入れ替えて、技を選択する必要がある。
アイテム入手が一癖ある
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一度でも入手して倉庫に預けてあるアイテムを宝箱から入手すると補充できないと表示されて見逃すしかなくなる。
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購入できる消耗品も手持ちになければ売り切れと表示されて、購入することができない。
仲間にできないモンスターがいるのは残念
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エンカウントで出現するが会話が不可能で仲間にならないモンスターがいる。
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ボスとして戦えるのみで仲間にできないモンスターもいる。
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デザインが良いモンスターもいるので仲間にして使えたらと思うと残念に感じる。
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ゲーム全体のバランス調整のために仲間の総数を120体に絞った結果とも考えられる。
問題点
収納効果がほとんど機能していない
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相性が良い場合に収納家具に入れたものは「歩くたびに経験値が増える」「壊れたアイテムが修理される」という効果があるが、ほとんど役に立たない。
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収納家具のモンスターを数十レベル上がるほど連れ回して、3レベルほど上がるだけの経験値を得られるだけである。
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アイテムが修理される効果は、これよりもお金を払ったほうが手間がかからない。お金に関しては余るほど手に入る。
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収納技が追加される組み合わせ以外はほとんど意味がないとも言える。
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相性が悪い場合は「ステータスが下がる」「アイテムが壊れる」という効果があるが、役に立たないだけの存在である。
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アイテムごとにステータスの上昇や追加効果があればさらに面白いシステムだったと考えられる。
図鑑の完成には複数のデータが必要になる
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最低で3パターンのセーブデータを用意する必要がある。当時としては珍しくないとも言える。
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最初の選択肢の結果により3パターンに分かれて、9体の内の3体のモンスターのみが入手可能になる。
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物語の中盤で3体のうちから1体を選んで仲間にできるイベントが存在する。
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10種類の言葉から3つを組み合わせて、正解の組み合わせなら手に入るモンスターが6体いる。
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その言葉はゲーム内で一つの言葉につき一度だけしか教えてもらえない。
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コピーセンターを活用すれば他の類似作品よりは収集しやすい。
現在は図鑑を完成できない
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現在は隠しモンスターであるシャンマが入手不可能となっている。
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「東京ゲームショウ'99秋」(1999年9月17日-19日)のアトラス (キッズコーナー)のプレゼントに「コミックボンボンオリジナルぐるぐるモンスター」として配布された記録は残っている。
総評
RPG作品としてはゲームバランスを子供向けに丁寧に整えた佳作である。戦闘はオート戦闘を活用できるのでテンポが良く、収納技と連携技は面白いシステムである。通信要素は新しい対戦形式の導入、プレイヤー同士で交流できるアイディアは評価できる。
身の回りの日用品が別の世界でモンスターに変化して仲間になるのは童心をくすぐる内容である。自宅、町内にモノが増えていき、育てると見た目が変化するのも冒険をワクワクさせてくれる。コミカルでギャグテイストのストーリーにタツノコプロのデザインもピッタリの組み合わせである。
子供の心を刺激するアイディアが詰め込まれたRPGを楽しみたい人にオススメのRPG作品である。
余談
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熊沢ユキオによりコミックボンボン1999年6月号から2000年2月号まで漫画『ぐるぐるガラクターズ』(全9回)が連載されていた。
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最終回は
突如話が終わってしまう事に憤慨した登場人物たちが当時のコミックボンボン編集長を元凶として倒しに行く
というある意味ブラックな内容であった。
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1年後に発売される『デビルチルドレン』も本作およびラストバイブルのシステムを流用しており、本作はこの2作を繋ぐ過渡期の作品だと言える。
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本作はいわゆるポケモンフォロワーと言えるが、実は通信対戦は『女神転生外伝 ラストバイブル』が先んじて実装した要素である。
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通信対戦で50勝することで、女神転生シリーズお馴染みの悪魔でありアトラスのマスコットキャラクターであるジャックフロスト(フロストくん)を仲間にすることができる。
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隠しアイテムとして「ボンボンスペシャル」を入手できる。ボンボンで連載されていたSDガンダム風のデザインのガドランを仲間にすることができる。
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隠しモンスターのボルンは月刊誌「コミックボンボン」の異世界の姿である。一方で、シャンマは単行本「ボンボンコミックス」の異世界の姿である。
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イラストから単行本は漫画『ぐるぐるガラクターズ』だが、私たちの世界では残念ながら出版されなかった。
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図鑑を完成させると表彰状が授与される。現在入手不可能のシャンマは図鑑完成の条件に含まれていない。
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2024年にボルンの入手方法がコミックボンボン1999年12月号に掲載されていたことが確認された。
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ガドランを入手した状態で4丁目開通後ならば、いつでも入手できる。以下の手順で会話をする必要がある。
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1丁目薬屋でキヨシの父と会話→4丁目でコミくんの母と会話→1丁目薬屋でキヨシの母と会話→4丁目でコミくんと会話→コミックボンボン入手
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注意として、最初の1丁目薬屋でキヨシの父と会話した後、キヨシの母に話しかけるとフラグがリセットされる。
最終更新:2024年10月05日 20:44