鬼滅の刃 目指せ!最強隊士!
【きめつのやいば めざせ さいきょうたいし】
ジャンル
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ボードゲーム
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対応機種
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Nintendo Switch PlayStation 4 PlayStation 5 Xbox One Xbox Series X/S Windows (Steam)
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発売元
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【Steam】セガ 【上記以外】アニプレックス
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開発元
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サイバーコネクトツー
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発売日
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【Switch】2024年4月25日 【上記以外】2024年7月17日
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定価
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6,380円
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プレイ人数
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1〜4人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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鬼滅のボードゲーム 全14人参戦 運要素強め
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少年ジャンプゲームリンク
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概要
一大ブームとなった『週刊少年ジャンプ』連載の『鬼滅の刃』を原作としたパーティーゲーム。
家庭用機での展開は『ヒノカミ血風譚』以来で、一部のグラフィックは同作から流用されている。
プレイアブルキャラクター
主人公の竈門炭治郎をはじめ、計14人が参戦。本項ではゲーム内容の解説にとどめるため、各キャラの詳細は各自検索されたい。
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竈門炭治郎
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我妻善逸
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嘴平伊之助
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冨岡義勇
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胡蝶しのぶ
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煉獄杏寿郎
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宇髄天元
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時透無一郎
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甘露寺蜜璃
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伊黒小芭内
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不死川実弥
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悲鳴嶼行冥
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不死川玄弥 ※無料アップデートで追加
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栗花落カナヲ ※無料アップデートで追加
ゲームモード
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機能向上訓練
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機能向上訓練(ミニゲーム)のみをプレイする。好きな訓練を遊べる「自由訓練」、4人対戦用訓練を連続で遊ぶ「連続訓練」、2対2用訓練を連続で遊ぶ「班対抗戦」の3モードから選べる。
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福引
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ハンコ、衣装・台紙・称号枠、記録写真をガチャ形式で獲得できる。「目指せ!最強隊士!」や「機能向上訓練」モードの結果によって獲得できる「鬼滅手形」を使用して単発・5連で回せるほか、手形と交換で獲得できる「特別引換券」で好きな景品を選んで入手することも可能。
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ハンコは、「目指せ!最強隊士!」内で使用できるリアクション機能。使うと短いボイスと小さなスタンプが表示される。
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衣装は、一部のプレイアブルキャラに存在する別衣装のこと。ゲーム内のグラフィックが変化する。
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台紙・称号枠・記録写真は、いずれも自分のプロフィールを表示する「記録帳」の飾り付けに使用するもの。このうち記録写真は、アニメのスチル画像である。
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記録帳
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自分の記録帳の編集と、一緒に遊んだ人の記録帳の閲覧ができる。
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図鑑
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ゲーム内の実績達成で得られる称号や、福引の景品の収集率を確認できる。称号は獲得条件も見られる。
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成績
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プレイ時間や鬼の討伐数、機能向上訓練の戦績を見られる。
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設定変更
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BGM・SE・ボイスの各音量、「目指せ!最強隊士!」でのCOMの行動速度、振動の有無が設定できる。
目指せ!最強隊士!のシステム
本作では、一般的なパーティーゲームの用語が以下の通り和風に差し替えられている。
一般名
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本作での呼称
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ボードマップ
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舞台
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プレイヤー
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隊士
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ミニゲーム
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機能向上訓練
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ターン
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周回数
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さいころを振って周回型のマップを進み、目的地にいち早く到着することを目指すのが基本の内容。必ず4人対戦となる。
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各プレイヤーのステータスには「昇格ポイント」と「隊貨」があり、規定のターンが終了した時点で昇格ポイントが多い順に、ポイント数が等しければ隊貨の多い順に順位が決まる。
要は『マリオパーティ』シリーズのスターが昇格ポイント、コインが隊貨にあたる。
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昇格ポイントは目的地または鬼マスに到着すると無償で増えるほか、特定マップにある鍛錬・修行マスでも入手できることがある。また、ゲーム開始前にハンデとしてあらかじめ持っておくことも可能。
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隊貨は、昼の各ターン終了後に発生する機能向上訓練を終えるとその結果によって獲得できる。マスの効果によっても増えたり減ったりする。
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目的地はマップ内に1か所設置され、誰かが到着するたびに移動するとともに、マップの「昼」と「夜」が切り替わる(開始時は必ず昼)。なお、到着時の出目はぴったりでなくてもよい。
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夜になると鬼が出現し、目的地以外にも鬼との戦い(ミニゲーム)が発生する「鬼マス」が配置されるが、悪い効果のマスも増える。特に、ランダムに誰かの昇格ポイントを奪う「強大な鬼の攻撃マス」は脅威。
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昼夜とも、目的地に到着すれば必ず昇格ポイントがもらえるが、夜の場合はルーレットの出目に応じてもらえるポイント数が増減する。
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ルーレットには、ポイントが多い順に「鬼を発見する」「鬼の重要な手がかりを見つける」「鬼の手がかりを見つける」の3つの出目があり、発見した場合のみ鬼との戦いが始まる。鬼を倒せなくてもペナルティはないが、倒せた場合は各自の得点に応じた昇格ポイントが全員に付与される。
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さいころには通常のもののほか、キャラクターごと中身が異なる「隊士さいころ」があり、大きく進んだり大量の隊貨が得られたりと強力な効果を持つ。ただし3ターンに1回しか使えない。
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進行中は「仲間マス」に止まることで仲間を獲得でき、使われていないプレイアブルキャラがランダムに登場する。
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同行中、仲間はプレイヤーとは別にさいころを振って出目を増やしてくれる。また、仲間の隊士さいころを使うこともできるが、使うとその仲間はいなくなる。
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また、夜限定で最下位プレイヤーに同行する専用の仲間として「竈門禰󠄀豆子」がいる。隊士さいころを持っていないが、常に出目を増やしてくれるだけでなく、アイテムをくれたり、夜の目的地で鬼と戦う確率を高めたりと特有の効果がある。
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仲間は1プレイヤーにつき1人までだが、通常の仲間と禰󠄀豆子を両方連れることはできる。
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さいころを振る前に使う消費アイテムもある。出目に+5するなど移動を補助するものが多いが、仲間を呼んだり、マスの効果を上げたりするものも。
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隠がアイテムをくれる「隠マス」で入手するほか、マップ内の店で隊貨を支払って購入したり、特定のマスの効果で受け取ったりしても入手可能。
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ゲーム終了後に「特別賞」として、「ミニゲームで一番多く勝った」などの条件に基づき昇格ポイントが贈られる。設定でオフにもできる。
評価点
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鬼滅キャラでパーティーゲームができる
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ジャンプ系作品には世代を問わず人気があるものが多いが、パーティーゲームという形で世に出ることは少ない。社会現象化した『鬼滅』では、家族で楽しめる本作が大いに喜ばれた。
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基本的なゲームシステムはもっぱらの評判に違わず『マリパ』そっくりだが、微妙な追加要素を加えたりせず広く支持を集める体系にならったことで、一定の完成度を確保している。
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各キャラの台詞には振り仮名つきの字幕も用意されており(消すことも可能)、年少者とプレイするのにも向いている。
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ボリューム
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無料アップデートでの追加分を含めると、プレイアブルキャラは14人、マップは6つとなり、この手のゲームとしては平均以上である。
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特に、アプデで追加された栗花落カナヲは発売時点ですでに出演を望む声が多く、彼女のプレイアブル化を機に購入したという人も。
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原作の進度に応じた演出の変化
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各マップは原作のうち別々の時期を再現しており、マスの効果として登場するNPCやその口ぶりもステージによって異なる。
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一部マップはプレイアブルキャラの存在と整合しない場合もあるが、キャラ個別のやりとりをあえて減らすことで違和感を減らしている。
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ミニゲーム
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一部を除いて原作要素は希薄であるものの、絵合わせやレースといったオーソドックスなものが一通り収録されている。操作も簡単で、誰でも楽しめる。
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舞台設定や演出の工夫により、シュールではあるが鬼滅のミニゲームとしては違和感のないつくりになっている。
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グラフィック
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流用とはいえ、羽織の質感や動きはとても自然に作られている。一部キャラのみだが衣装チェンジもでき、雰囲気に合わせたデザインが選べる。
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通常の立ち姿やアイテム獲得時のリアクションもキャラによって作り分けられている。
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体感操作とボタン操作の両立(Switch版)
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鬼との戦いではJoy-Conを振って操作するのが基本だが、ボタン操作も可能となっているため、Proコントローラーでもプレイできる。
賛否両論点
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鬼との戦いがきわめて簡単
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作中に登場する様々な敵が用意されているが、その内容は全部同じで、しかも操作は「タイミングに合わせてJoy-Conを振る/ボタンを押す」「一定時間Joy-Conを振りまくる/ボタンを押しまくる」の2種類しかない。
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後者はもちろん、前者も操作間隔が大きいため非常に簡単。低年齢層でも容易にノーミスクリアできるように作られており、実力による差が生じにくい設計である。
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ただ、鬼との戦いは「目指せ!最強隊士!」の昇格ポイントを割り振る非常に重要なイベントである。普通にやれば誰もが高得点を取れてしまうため、後述する実力勝負の要素の薄さを増長している面もある。
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また、いくらなんでも全部操作方法が同じでは変わり映えがせず、人によっては手抜きにも感じられるだろう。
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原作要素をあまり反映していないミニゲーム
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「機能向上訓練」という仰々しい名前とは裏腹に、ミニゲームはお絵描きからベーゴマ対決、雪合戦、果ては大縄跳びなど原作にてんで関係ないものばかり。
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原作からミニゲーム化できそうな部分はいくらでもあるのにどうしてこうなった、と苦言を呈する声もあるが、ゲームとして「正解」が分かりやすい、原作を知らなくても楽しめるという肯定的な意見も見られる。
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また、筋骨隆々の鬼殺隊士が一心不乱に雪遊びや縄跳びに興じる様子は尋常ならざるシュールさであり、こうした面白おかしい絵面はパーティーゲームだからこそ表現できたと言えなくもない。
問題点
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プレイヤーの介入の余地が少なく、運の要素が強すぎる
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アイテムに妨害系のものがなく、マスの効果としてもライバルの昇格ポイントや隊貨を減らすものは基本的に存在しない。総じて自発的な逆転の手段に乏しく、個々人の競走という側面が大きい。
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唯一昇格ポイントを減らす効果があるのが、夜のみ出現する「強大な鬼の攻撃マス」。しかし先述した通り、攻撃を受けてポイントを減らされるプレイヤーはランダムである。鬼の攻撃を受けるマスに止まった本人が攻撃を受けないのは理不尽であろうし、逆に一発逆転を狙うにはリスクが大きすぎ、どっちつかずの変なマスという印象を受ける。
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マップ中で昇格ポイントを得る手段は「目的地・鬼マスに到着する」「特定マップに存在する鍛錬・修行マスに止まる」の2つ。だが、後述するマップの広さにより、前者は次々移動する目的地が自分の近くに出るか、たどり着けるだけの出目を出せるかという運要素が非常に強い。加えて夜の場合、もらえる昇格ポイント数を決めるルーレットが目押しの効かない代物で、これまた運である。
後者のうち、鍛錬は上と同じ目押しできないルーレットを回さなければならず、昇格ポイントが手に入らない出目が圧倒的に大きい。修行の場合、ミニゲーム自体は実力重視であるが、そもそもミニゲームに挑戦できるかがランダムであり、その確率も低い。
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本来はここに駆け引きの要素を加えるものとして隊士さいころが存在すべきだったのだが、 キャラによっては隊貨を増やす出目(マップでは1マスも進めない)の割合が大きく、隊貨の重要度の低さもあって戦略として計算するには使い物にならない。これに伴い、隊士さいころの内容によってキャラクター間に格差も生じている。
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隊貨を使う場面が店と一部の移動ギミック使用時のみであり、後者は利用すべき状況自体が限定的。どれだけ隊貨を持っていようが目的地でもらえる昇格ポイントは一定であるため、ミニゲームに勝つ意義に乏しく、実力勝負の要素も弱い。
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鬼との戦いは数少ない重要なミニゲームであるが、先述した通り、よりによってこの戦いだけが実力差の出にくい簡単なものである。
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総括すると、本作のボードゲームはサイコロ、マップ内ギミックなど様々な部分で運勝負の面が非常に大きく、各個の個性を出したプレイや一発逆転の爽快感は楽しみにくいバランスとなっている。
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マップが広すぎる
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(通常の)さいころでは1〜6しか出ないのに対し、総じてマップが広大なため、何ターンも退屈な膠着状態になることが多い。
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プレイヤー間の配置を変えるもの以外にワープ系のアイテムがないのも要因。各マップではギミックとしてワープが用意されているが、目的地から離れる行き先しかないことも多く、試合終了まで全員一度も利用しないことがしばしば。
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本作の最小ターン数は5ターンで、オンラインのランダムマッチでも採用されているが、この場合「1人だけが目的地に到着し、そのまま誰も次の目的地に着けず終了」という展開になりがち。
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全体的に演出が地味か、手抜き
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SE自体はきちんとついているが、ジングルやファンファーレの類が非常に少ないため、一つ一つの動作に張り合いが感じられず、いまひとつ盛り上がりづらい。
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3Dキャラがあまりリアクションしない。下部に表示されている顔グラだけが変化することがほとんどである。特に悔しがる仕草が無いため、ミニゲーム終了時には全員が棒立ちになってしまう。
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マップ中で発生する鍛錬や修行は全て炭治郎が行っている扱いとなっており、どのキャラで挑んでも同じ演出が流れる。
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台詞がパートボイスとなっている。操作キャラでは違和感を感じづらいが、NPCは各マップで共通の台詞でさえも大半が「うふふ」「はい」などのミニボイスのみ。
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また、ゲーム開始時などに説明を行う高田なほ・寺内きよ・中原すみの3人は、どういうわけか収録ボイスが「
はわわ…///
」など嬌声ばかりであり、お茶の間でプレイするにはちょっと気まずい。
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ミニゲームのルール解説がない
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プレイ前の練習はあるが、途中で終わってしまううえにルールやシステムの解説がない。初見の本番では訳のわからないうちに終わってしまうことも。
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機能向上訓練など一部モードでは勝利条件のみ表示されるが、抽象的で分かりにくいものがある。
総評
パーティーゲームとしては大手にならった無難な作りで、キャラゲーとしてのクオリティも及第点。年少者にも優しい作りとなっており、一緒に遊ぶ鬼滅ファンがいれば入手して損はないと思われる。
とはいえゲーム内容を冷静に見ると、かなり運要素が強いなど未成熟な部分も多い。ボリュームは十分であるが、『マリパ』のような高い完成度や競技性は求めない方がよいだろう。
最終更新:2025年01月26日 14:23