牙龍王 秘伝書
【がりゅうおうひでんのしょ】
| ジャンル | 対戦格闘アクション |  |  | 
| 対応機種 | PC-9801 | 
| 発売・開発元 | 日本ソフテック | 
| 発売日 | 【パッケージ版】1994年1月28日 【タケル版】1994年6月23日
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| 定価 | 6,800円 | 
| プレイ人数 | 1人~2人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | PC98の格ゲーにしては硬派路線 独自の対戦相手決定方法など工夫も見られる
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概略
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5人の格闘家が牙龍王の残した秘伝書を巡り戦闘を繰り広げる対戦格闘ゲーム。
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PC98向けの格ゲーはアダルトゲームや萌えゲームが多い中で、今作はシリアスで硬派な路線となっている。
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操作性や対戦バランスなどはお世辞にも褒められたものではないが、必殺技の使用条件や対戦相手の決定方法などに独自性が見られる。
システム
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各種技は攻撃ボタン1つで出すことができる「通常技」や近距離+攻撃ボタン2つ同時押しで出る「投げ」の他に、十字ボタンによるコマンド入力を伴う「大技」、気合ポイントの消費を伴う「必殺技」に大別させる。
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気合ポイントは専用のゲージが一杯になることで増加し、最大3つまで保有可能。ゲージの増加は時間経過のみとなっている。
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「大技」「必殺技」のコマンドは「パンチ」「キック」のいずれかを押したまま十字ボタンを「上・下」「左・右」「左斜め下・右斜め下」のいずれかに入力するという独特のもの。
 
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ストーリーモードに当たる秘伝書FIGHTモードは街を巡りながら他の格闘家と対戦して4本の秘伝書を奪い取り、収集していくというもの。
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街では4ヶ所で戦闘が行え、操作キャラの行き先は現在いる場所を起点に2ヶ所から選択できる。CPU専用キャラのKIYOUGAがいた場合は彼との戦闘となる。
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CPUキャラに敗北しても秘伝書を奪われるだけであり、秘伝書FIGHTモード自体は自身の操作キャラを含めたいずれかのキャラが4本の秘伝書を集め切るまで続く。
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集め切ったキャラが操作キャラの場合はラスボスのKIDO戦へ、CPUキャラの場合はゲームオーバーとなる。
 
 
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対戦モードでは、KIYOUGAとKIDOを含めた全キャラクターを使用可能。
キャラクター
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DAIGOLOU
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袴を履いた空手家の男性。
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各モードのキャラ選択画面で最初に選ばれているのは彼である。
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大技の「飛び込み蹴り」の使い勝手が良く、連発してまとわりつく戦法が強い。
 
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WOLF
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ストリートファッションに身を包んだキックボクサーの男性。
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飛び道具と発生の早い対空技を持ち、突進技としてスライディングもあるため一見するとスタンダードなキャラに見えるが……
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飛び道具も対空技も気合ポイントの必要な必殺技なので、飛ばせて落とす戦法は難しいだろう。
 
 
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AZUKI
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紅一点の少女。
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小柄な体格、ノースリーブにデニムのミニスカート、日本刀と人気の要素を詰め込んだキャラとなっている。
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大技の「ハヤブサ飛び」と「スキップジャック」で連携を組むと相手を封殺することができるため、最強キャラ候補と言える。
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鞘を手に持ったままで抜刀術を使うが、鞘の下の辺りを掴んでおり、どのように抜刀しているのか不明である。
 
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JYUGO
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赤い道着を羽織った古武術使いの男性。
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見た目は強面でパッケージでも主人公のように扱われているが……
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突進技に前進力がないため相手に近づく手段が乏しく、間合い調整に苦労しがち。
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代わりに全体的にリーチは長め。
 
 
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KIYOUGA
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暗器を操る巨漢の男性。
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秘伝書FIGHTモードではCPU専用キャラ。
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体格を活かした力任せの技も多い。
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巨漢キャラの宿命か他のキャラよりも攻撃を食らいやすい。
 
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KIDO
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秘伝書を全て集めると出現するラスボス。
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一般的に格闘ゲームのボスキャラは通常キャラと比べて体力が豊富だったり、アルゴリズムが強力だったりするものだが、彼の場合は「見た目より当たり判定が小さいために特定の技を食らわない」という類を見ない調整がなされている。(例:飛び道具がすり抜ける 等々)
 
評価点
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上記のシステムの項目でも触れた通り、秘伝書FIGHTモードの対戦相手が一般的な格闘ゲームのようにゲーム側が自動で決定するものではなく、ある程度自由に選択できるシステムとなっている。
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これは格闘ゲーム全体としても珍しいものであり、本作最大の特徴と言えるだろう。
 
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キャラのデザインや設定は良い。
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特に紅一点のAZUKIはデザインの他、ブーメラン型の飛び道具や発生時に空中判定になる地を這う飛び道具などの特徴的な必殺技も相まって、近年の格ゲーキャラと比べても見劣りしないキャラとなっている。
 
問題点
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操作性が悪く、一部の技は出すこと自体が困難となっている。
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逆に異様に出やすい技もあり、想定外のタイミングで暴発しないように注意が必要。
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AZUKIに関しては他のキャラよりも操作性が比較的良く、それが勝率に結び付きやすくなり、全体のバランスに影響を及ぼしている。
 
 
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初期バージョンではCPUがあまりガードを行わないため、画面端まで追い詰めれば、あとは特定の技を連発するだけで勝ててしまう。
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キャラクターの項目でも触れた通り、AZUKIは発生の早い技も多く、操作性の良さもあって、難なく秘伝書FIGHTモードをクリアできてしまう。
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対人戦ではここまで酷くならないが、それでも強い連携と言えるだろう。
 
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全キャラが飛び道具もしくはそれに相当するリーチの長い技と対空向きの技を持っていて、格闘ゲームとしてキャラの特徴付けが上手くなされているとは言い難い。
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発生などの性能は異なっているが、やはりもう少しキャラを特徴付ける技も欲しかった。
 
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戦闘BGMが2種類しかない。
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相手キャラやステージに関係なく、試合毎に交互に流れる仕様となっている。
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楽曲自体は決して悪くないのが救いか。
 
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秘伝書FIGHTモードのエンディングが「Congratulations」と表示されるだけで味気ない。
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キャラ別のエンディングまでは望まないとしても、KIDOの最期などもう少し描けるモノはあったはずでは?
 
総評
操作性や対戦バランス、各種判定などは決して褒められたものではないが、大きなバグもなく格ゲーとしての最低限の基準はクリアしており、キャラの魅力も高い。
現在、オークションサイト等でも見かける機会はまず無く、プレイ環境を整えるのは容易ではないが、もし機会ができた場合は是非ともプレイして欲しい。
余談
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開発元の日本ソフテックは富山県に本社を置くITシステムの開発企業で、医療系システムをはじめとして様々な企業のITシステムを手掛けている。
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現在ゲーム開発からは撤退しているが、IP譲渡等の情報は確認されていない。
 
最終更新:2024年12月11日 12:03