怒首領蜂大往生 臨廻転生

【どどんぱちだいおうじょう りんねてんせい】

ジャンル 縦スクロールシューティング

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
メディア 【Switch】ゲームカード
【PS4】Blu-ray Disc
開発・発売元 M2
発売日 2023年12月7日
価格(税抜) パッケージ版: 7,480円
ダウンロード版: 4,950円
限定版: 10,780円
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント M2ガジェット付きで甦った『大往生』
オリジナルスタッフが望んだスーパーイージー
クイックセーブで緋蜂と気軽に戦える
ルナツアーでスタンプラリー
海外版の『怒首領蜂III』初移植
ケイブSTGシリーズ
M2 Shot Triggersシリーズ


概要

ケイブを代表する弾幕系シューティングと共にあらゆる意味で伝説的存在となった『怒首領蜂大往生』(以下『大往生』)の移植版。
エムツーの公式YouTube番組「M2STG生放送」のリニューアル版「M2STG生放送2」の記念すべき1回目にて突然発表され、2回目に正式なタイトルが明かされた。
第1回でゲストとして招かれていたIKDこと池田恒基氏からアーケード版稼働20周年を機にケイブ自らがM2へ移植のオファーを送った事で移植が実現したと語られている。
家庭用ゲーム機への移植は2009年発売の360版『怒首領蜂大往生 ブラックレーベル EXTRA』以来14年ぶりとなる。

タイトルの「廻転生」には「死なせるだけでは終わらせない!(生きるがよい)」と言う意味が込められている。


収録タイトル

  • 『怒首領蜂大往生』
  • 『怒首領蜂大往生ブラックレーベル』
  • 『怒首領蜂III』(家庭用初移植)

特徴

  • M2ガジェット
    • 『M2 Shot Triggers』でお馴染みの機能、画面の余白に詳細情報を載せると言った攻略に役立つガジェットも健在。
    • 画面構成は従来通り縦画面であるため、情報量が多めなのは変わらない。
      • 「PLAYER SCORE」はお馴染みの情報。今作はコンボによる撃破ごとの点数、コンボで獲得した総得点、蜂アイテムのスコア、MAXIMUM BONUS獲得中のスコアを表示。
      • 「PLAYER INFO」はお馴染みの情報。選んだ自機とエレメントドール、現在の残機とボム数とパワーアップ状況を表示。
      • 「HYPER INFO」はストック中のHYPERゲージを数値で表記し、同ゲージの増加要因をリアルタイム表示。発動中は残り時間と発動したHYPERレベルを表示。
      • 「2ND ROUND」は2周目に到達するための条件とそれぞれの状況を表示。ミス数・ボム使用数や蜂パーフェクト達成回数の確認ができる。
      • 「DAMAGE EFFECT」はショット、レーザーそれぞれの敵へ与えるダメージ量を数値で表示。
      • 「BEE BONUS INFO」はステージ中で獲得した蜂ボーナスの獲得状況と直近で蜂ボーナスを獲得した時のHIT数を表示。
      • 「GAME RANK」はゲーム中の難易度のベースとなる「HYPER RANK」と弾速(BULLET SPEED)および弾の間隅(BULLET INTERVAL)を表示。
      • 「BATTLE ACHIEVEMENT」はお馴染みの評価情報。
      • 「COMBO INFO」は現在接続中のコンボ情報を表示。コンボ接続の残り時間と現在のコンボ数と攻撃別の内訳を表示。
      • 「STAGE MAP」はプレイ中の地図と現在地を表示。ステージ内に隠された蜂の出現位置や一度ミスした位置を[CAUTION!!]で表示するなど、攻略に役立つ情報を集約する。ボスの場合は体力と残り時間を表示。
      • 「MUSIC INFO」はお馴染みのプレイ中に再生されているBGMの表示。
  • スーパーイージーモード
    • 『M2 Shot Triggers』でお馴染みの低難易度モード。
      「-TOAPLAN ARCADE GARAGE-」シリーズではこのモードでも腕前で難易度が変動してしまっていたが、今回はアレンジモードがそれの要素を吸収しているため純粋な低難易度固定で進められるようになっている。
    • 敵弾の数は少なく、早さを極力に減速化しつつも弾幕シューティングの要点である「避け応え」を残した調整となっている。
      • 一方で敵自体の出現量と耐久力、コンボゲージの増加/減少量は変わらないため、コンボの練習も可能。
    • ボム及びハイパーを持った状態で被弾した場合はミスにならず、オートボム/オートハイパーが発動する。両方所持している時はハイパー>ボムの順で優先発動される。
      • ハイパーアイテムが廃止。ゲージが溜まった瞬間に自動で取得される。
    • 1周エンド、かつ緋蜂までが無条件で出現する。こちらもしっかり弾幕が緩和されており、気軽に挑むことができる。
  • アレンジモード
    • こちらも『M2 Shot Triggers』でお馴染みの要素だが、本作は強化タイプ毎にモードが分かれ、それぞれルールが異なる仕様となっている。
    • 各アレンジモード共通の仕様は以下の通り。
      • 1人プレイ専用。
      • スーパーイージーと同じく1周エンド。黄流第二形態(ジェット蜂)、緋蜂が無条件で出現する。
      • パワーアップアイテムの廃止。最初からフルパワー状態で開始となる。
      • 元々の残機エクステンド条件に加えて、各面のボスを撃破する度に必ず残機が1増加。
+ 各アレンジモードの内容
  • アレンジSモード(ショーティア)
    • 常時ハイパー状態のショットのみでゲームを進行させていくシンプルなモード。レーザー(低速移動)、ボムは使用不可。
      • 上記のボス撃破に加えて各中ボス撃破でも残機エクステンドが行われる。
      • 敵の弾幕の難易度は残機数に応じて大幅に変動する。残機数が初期状態以下ではスーパーイージー準拠に近くなるが、反対にノーミスを維持し続けて増えているとアーケード版寄りに激化していく。
      • プレイ側のボム枠には独自要素の「輪廻ゲージ」が表示されており、中・大型機へショットを集中して当て続ける事でゲージが上昇。
        ゲージが最大になり「RINNE!」と表示されている状態で中・大型機を撃破すると得点アイテムが大量に出現する。
      • 蜂アイテムがレーザーを当てなくても常に表示された状態になっている。
  • アレンジLモード(レイニャン)
    • 通常版アーケードモード1周目のシステム・難易度をベースに以下の要素が追加・変更がされている。
      • こちらではプレイされてない側のボム枠に「転生ゲージ」が表示されており、こちらは中・大型機へレーザーを当て続ける事でゲージが上昇。
      • ゲージが最大になり「TENSEI!」と表示されている状態で中・大型機を撃破すると必ず画面上の敵弾が全て消去され得点アイテムに変換される。
      • レーザー使用時のハイパーゲージの上昇量が増加。『ブラックレーベル』以上に溜まりやすくなっている。
        ただし、ハイパーの発動時間が必ず元の半分程度に短縮化され、発動時の無敵時間も短くなっている。
      • スーパーイージーと同じくオートボムとオートハイパー搭載。
      • 他のアレンジ2モードとは異なり、こちらは中ボス撃破での残機エクステンドはなし。
  • アレンジEXモード(エクスイ)
    • 基本的な部分はアレンジLに準ずるが、以下の変更点がある。
      • 最初から通常版アーケードモード2周目の難易度で開始される(コンティニューも不可)。残機は他のアレンジモードと同じく2機で開始。
      • アレンジSと同じく中ボス撃破でも残機エクステンドとなる。
      • スーパーイージーと同じく、ハイパーアイテムが登場せず自動回収される。
  • アーケードチャレンジモード
    • 特定ステージの1箇所を戻り復活制で挑戦するお馴染みの練習モードだが、最大規模の細かいコンフィグを実装。
    • エレメントドールの選択のみならず、蜂アイテムの入手状況やコンボの状況、 ハイパーのゲージ量や残り時間など の細かい設定を自由に選んで練習できる。
      • さらに今作では「蜂アイテム全取得」「蜂アイテム全取得+コンボを切らない」というスコアアタック練習向けの超高難易度設定が可能になった。
  • ルナツアーモード
    • いわゆるスタンプラリー。アーケードチャレンジと同じ区間を順番にクリアしていく。
      • なお、モード名については本作の舞台設定が「月での戦闘」であることが由来となっている。
    • スーパーイージーベースのカジュアルコースや、アレンジEXモード仕様のアレンジコース、アーケード版仕様で挑戦するハードコアの3コースが用意されている。
      • 各コースそれぞれでゲームランクが記録され、区間クリア毎に上昇、リトライ毎に下降していく(増減量はその都度任意で大小2通り選べる)
    • エリアをゴールするとスタンプをゲットし、制覇すると動くスタンプがもらえる。
  • 新・旧のビジュアルバージョン
    • 『大往生』のキャラクターデザイナー担当の佐藤尚平氏によるオリジナルに加えて、キービジュアルを担当した井上淳哉氏による描き下ろしイラストを搭載した「Ver.2023」を導入。
    • 「Ver.2023」のイラストは低解像度の本編のみならず「VISUAL GALLERY」から、本来の高解像度版を閲覧できる。ネタバレになるが……。
  • 3種類のBGM
    • 「ARCADE」は基板の音源を再現したモノラルBGM、「STEREO 2023」は『大往生』の作曲家である並木学氏が自ら再構築したステレオリマスター版、「-再生録-」はスーパースィープが招いた作曲家たちのアレンジBGMが用意されている。

評価点

  • 高い移植度
    • M2の手法であるフルエミュレーションに加えて、アーケード版スーパープレイヤーである「SPS/うどん大使」氏*1の監修により極めて高い移植度が実現。初回限定盤にはそのうどん大使氏による初心者向け攻略資料も付属していた。
    • 目立つ問題点はなく、メニュー関連のロード時間も速く、ストレスのない完成度を誇っている。引き続き『ブラックレーベル』も収録。
      • 『ブラックレーベル』は前期版と後期版がありそれぞれボスの撃破演出や処理落ちのかかり具合が違っておりVer1.03のアップデートで前期か後期かの選択も可能になった。
    • 今作で新たに井上惇哉氏が書きおろしたイラストを収録したゲーム内ギャラリーも閲覧できる。
      • ギャラリーは縦画面表示対応、高解像度に恩恵のある拡大機能、当時のポスターとインストラクションカード、業務用基板取扱説明書の収録。これらは『ブラックレーベル EXTRA』にはない要素ともいえる。
    • これまで1度も移植されなかった幻の海外版『怒首領蜂III』は英語へのローカライズのみならず、ゲームバランスの見直しが施されたバージョンである。
      • 『ブラックレーベル』での「ショット強化でのレーザー移動速度の改善」と、制約付きながら「2周目へ残機持ち越し」が先行で実装されており、通常版から『ブラックレーベル』に至るまでの変遷を垣間見ることが出来る。
      • 『ブラックレーベル』は起動時のバージョン選択が再現されており、事実上「『ブラックレーベル』同時収録の通常版」も収録されているという太っ腹仕様。
      • ただし、「『ブラックレーベル』から起動した通常版」についてはオンラインランキング非対応となる。
  • 『M2 Shot Triggers』の恩恵
    • 特筆すべきはやはりM2ガジェット機能。コンボを途切れないように気を遣うための、あるいはボス戦での形態変化のタイミング、マップに蜂アイテムが何処にあるか等のサポートは好評。
    • 特に2周目へ突入するための条件である蜂アイテムの回収状況、ミス及びボム使用数が一目で分かるようになった他、AC版ではなかった自機判定表示やゲーム画面上に蜂アイテム隠し位置の表示などのアシスト機能も用意されている。
    • クイックセーブはPS4版ではなんと99個まで保存可能。これは『M2 Shot Triggers』移植作品でも最大規模の数となっている。
    • 一方、Switch版は従来の30個ではあるが細かい練習用途でなければ十分な保存数である。
      • これによって自機・エレメントドール毎に各難所や各ステージ、中ボス/ボス。さらに鬼畜難易度の2周目、緋蜂戦等のそれぞれのデータを保存できる自由度の高さが本作をやり込むプレイヤーから歓迎された。特に緋蜂をちょっとした隙間時間を使って気軽に戦う事ができるのは本作ならではの魅力である。
    • スーパーイージーモードはXモードに近い内容。1周エンドにより蜂アイテムを無理に集める必要がなくなった他、ハイパーの乱発も許容されるなど懐の広い仕様になっている。
    • アーケードチャレンジモードは設定の自由度が高く、練習する幅が広い。
    • 「-再生録-」のアレンジ曲も、今までとは一味違うアレンジで好評を得ている。
      • 通常ボス曲である「焚身」は『エスプレイドΨ』の「RAGING DEICIDE」同様、ボス毎に異なるアレンジャーによる編曲が行われている。
    • 画面設定は縦画面にすることが出来て縦画面環境に対応。画面タイプはフィットとドットバイドットとカスタムの3種類のみ。
      • ドットバイドットは一般的に見せてるだけでドットバイドットではない。本当のドットバイドットはカスタムに対応しており、好きなだけ調整できる。Switchの携帯モードだと流石にプレイに支障が出るレベルで小さすぎて見えなくなるのはご愛嬌。
  • これまでのショットトリガーズからの改善点
    • 『エスプレイドΨ』からの長きにわたる課題点「画面タイプを選択するとガジェットが強制非表示になる」がようやく改善され、ガジェットを表示し続けられるようになった。
      • アレスタコレクション』では一括非表示は画面の変更時に移動したくらいで、「-TOAPLAN ARCADE GARAGE-」シリーズでは再発していた。実に4年も空けての対応である。
    • 起動時のロード画面に電子取扱説明書の1ページからのチュートリアル表示が加わるようになった。
  • それぞれでコンセプトがはっきりした3つのアレンジモード
    • 「アレンジS」はハイパーの打ちどころを考えることなく、拡散ショットだけで進めていく非常にシンプルな内容。弾数もマイルドな状態でスタートするため、初心者だけでなく弾幕系シューティングを敬遠しているプレイヤーでも遊びやすい調整になっている。
      しかし、エクステンドを重ねて残機が増えるとアーケード版よろしく大量の高速弾が飛び交うようになり、上級者でも遊び応え充分。
      得点源の大半を占めるコンボが消えたことで残機ボーナスの比率が大幅に上がっており、このモードのハイスコア狙いは如何に高速弾を避けてミス数を減らせるかが主となる。
    • 「アレンジL」は元のアーケードモードに最も近い内容だが、転生ゲージによる弾消し頻度の大幅増加と溜まりやすいハイパー、オートボム/ハイパーと、自機を強化する形で遊びやすくしている。
      転生ゲージの存在により「敵によるショットとレーザーの使い分け」「危険度の高い中・大型機へ率先してレーザーを当てていく重要性」を学べるようにもなっている。
    • オートハイパーやアレンジL・EXでのハイパー発動時間の半減は一見攻撃力低下という改悪のように見えるが、元々ハイパー中は敵の攻撃が激化されるデメリットがあるせいで、緊急回避で発動したつもりが逆に自ら首を絞める事態に陥りやすい欠点もあった。
      しかし半分の持続時間は緊急回避での切り返しにはむしろ丁度良い絶妙な長さであり、気軽にハイパーを使えるようになっている。
    • 「アレンジEX」は上記2モードから一転して2周目難易度・コンティニュー不可と、本作のやりこみプレイヤーに向けた熾烈な内容。
      だがスーパーイージー、アレンジモードに共通する救済要素と、アレンジL譲りの高頻度弾消しも追加されたことにより意外と生き延びやすく、2周目での超難易度に尻込みしていたプレイヤーへの前哨戦としての立ち位置を提供している。
    • シリーズのコンセプトである「火力と火力のぶつかり合い」を体現したモードであり、プレイ感覚としては『怒首領蜂最大往生』のエキスパート強化に近い。

問題点

  • 死にモードになりやすいルナツアーモード
    • スタンプラリーのコンプリートを目指す部分プレイであるが、アーケードチャレンジやクイックセーブでも代用ができるため、それぞれクリア記録の共有ができないことも相まって人によってはあまり起動しないモードになりがち。
  • アーケードチャレンジ、アーケードおさらいモードの対応バージョンが通常版のみで『ブラックレーベル』『怒首領蜂III』は非対応。
    • こちらもクイックセーブで代用できるとはいえ、隠し玉の『怒首領蜂III』はともかく、早い段階で収録発表されていた『ブラックレーベル』も対応してほしかったという声が見られる。
      • スタッフによると「『ブラックレーベル』も対応させようとすると発売が大幅に延びてしまうので止む無く非対応になった。ただし売上次第ではアップデートでの追加も検討する」とのこと。
  • 過去の移植版であるPS2版や360版のアレンジBGMが未収録。
    • 過去に発売されていた『M2 Shot Triggers』シリーズでは『バトルガレッガ Rev2016』ではセガサターン版、『ケツイ Deathtiny ~絆地獄たち~』ではXbox 360版と、過去に出ていた別ハードのアレンジBGMが用意されていたが、本作では権利関係の都合なのか本作では「-再生録-」以外のアレンジBGMは未収録となっている。
  • 中国ローカライズ版の『怒首領蜂大往生魂』が未収録
    • スタッフによると「使用基板*2の会社(IGS)が権利を保有しており、許諾が降りなかった」とのこと。

総評

移植職人集団M2の手腕が生かされた『大往生』の現行機対応版。
スーパーイージーモードルナツアーモードの存在もあり、や上級者のみならず初めて『大往生』に触れるという初心者にもお勧めできる内容に仕上がっている。
過去の移植版がどれもソフトの入手難易度や遊ぶための環境構築の点でハードルが高くなりつつあるため、今家で『大往生』を遊ぶならほぼこれ一択になるだろう。


最終更新:2024年08月19日 08:20

*1 2024/07現在アーケード版B-EX全1保持者、監修担当はケツイに引き続き2度目。

*2 同作では台湾・IGS製のPGM基板の後継に当たる「PGM2基板」が使われている。