本ページでは、『鉄道にっぽん! 路線たびEX 清流運転 長良川鉄道編』『鉄道にっぽん! 路線たびEX 紅葉運転 小田急箱根編』を扱います。
判定はいずれも
良作
です。
鉄道にっぽん! 路線たびEX 清流運転 長良川鉄道編
【てつどうにっぽん ろせんたびいーえっくす せいりゅううんてん あけちてつどうへん】
ジャンル
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鉄道運転シミュレーション
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対応機種
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Nintendo Switch
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発売・開発元
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ソニックパワード
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発売日
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2023年8月24日
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定価
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8,580円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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史上最大クラスのボリューム 『名鉄編』の問題点も一部継承 ダイヤの水増しが難点
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鉄道にっぽん! 路線たびシリーズ
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概要
『鉄道にっぽん! 路線たび 長良川鉄道編』のリメイク作。
ゲームシステムは従来作と同様ながらも、演出面で『鉄道にっぽん! RealPro』シリーズ同等の改善が加えられた『鉄道にっぽん! 路線たびEX』シリーズの第1作となる。主な変化として、運転時に『RealPro』同様の運転曲線が表示されるようになったほか、映像表示のエンジンに『RealPro』同様のものを採用したとしている。
映像は全面的に撮り直されており、上り運転が追加された。
ゲーム内容
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本編は『名古屋鉄道編』同様に、あらかじめ表示された複数のダイヤを解放していく方式となっている。
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はじめは「訓練運転」しか選択できないが、上から順にクリアしていくことで次の列車をアンロックできる。
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時間と停止位置を合わせて各停車駅間を運転していくというシステムは過去作同様。ただし持ち時間制が廃止され、速度超過などを規定回数犯した時点で即運転終了となった。
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過去作で隠し要素だった「なりきり運転」はON/OFFが切り替え可能なオプション扱いに変更された。
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「実績」のシステムが『名古屋鉄道編』のアルバム型に変更された。高評価での運転を繰り返すことで映像特典が見られる。
評価点
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史上最大級のボリューム
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映像収録距離は144.2km(営業キロ基準)という大ボリューム。片道だけでもシリーズ随一の内容であるが、さらに倍増させた。
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映像も表示範囲が広く、かつ美麗になっており、単純なリメイクにとどまらず大きく進化しているのもポイント。
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3DS版発売当時はなかった観光列車「ながら」も収録されており、一味違った運転が楽しめる。
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大幅な進化でさらに運転しやすくなった
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もともとSwitchでのシリーズでは停止位置の合格範囲を広めにとって難易度低下に貢献していたが、本作では停車時に表示される上から見たガイドにも残り距離が表示されるようになり、距離感がより明瞭になった。
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運転曲線が『名古屋鉄道編』から逆輸入。加減速の目安が大幅に分かりやすく、Switchの無印シリーズで続いていた早着が頻発する問題を一挙に解消した。
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その内容も惰性走行を考慮したものとなるなどより現実的なものへ改善。小刻みなノッチ操作をしなくても理想速度で走れる。
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停車間際の線が無い『名古屋鉄道編』とは違い、最後まで完全に表示されている。
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その他過去作から改善された点
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駅に到着してから評価が表示されるまでのテンポが良くなった。
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なりきり運転時の操作タイミング表示がコンパクトになり、各種表示を隠さなくなった。
問題点
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ダイヤの水増し
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美濃太田→北濃の片道だけで4ダイヤに分割されている。当然全てクリアしなければ全線の運転はできない。これまでのシリーズにはなかった要素のため、不満が大きい。
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うち1つはチュートリアル「訓練運転」のため除くとしても、これらは区間・種別・車両のいずれも全て同一のため、『名古屋鉄道編』のダイヤ選択とは訳が違う単純な水増しである。
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一方で上りは「ながら」しか収録されておらず、景色や勾配の違いを楽しみたい人からすれば各駅停車がないのは残念な点。
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車両が1種類しかない
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前年に最新型車両のナガラ600形が登場したばかりであり、同形式の登場が望まれたが空望に終わった。DLCでの配信予定も無い模様。
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運転可能な形式はナガラ300形1種類しかなく、上述した水増しもあって変わり映えがない。わざわざ同じ区間の運転を強いるなら違う車両を運転させてほしいのは言うまでもない。
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公式サイトでは「運転できる車両は観光列車『ながら』とナガラ300形の2種類」とうたっているが、画像の車番から分かる通り「ながら」はれっきとしたナガラ300形である。
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運転ガイドだけを表示させることができない
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運転ガイドを表示させると女性キャラ「四姉妹」も表示されるという不満要素までもが『名古屋鉄道編』から逆輸入されてしまった。各駅停車が基本の本作では運転曲線だけでも走りやすいのが救いか。
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「四姉妹だけを消す」という機能の採用は、2024年の『特急南紀編』を待つことになる。
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資料室との兼ね合い
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ダイヤの解放と資料の解放の両方に「鉄コイン」を使用するようになったため、慢性的にコインが不足する。
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何度もやり直す設計ならともかく、本作はシステムの進化によりSランクを初見で取ることも簡単になっているため、普通にプレイしていてもあまりコインが貯まらない。
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クレバーに進めたい場合、最後のダイヤを解放するまで資料があまり解放できなくなるため、もどかしい。
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景色の視点
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もうしょうがない点ではあるが、運転台が進行方向左側に付いているにもかかわらず映像が線路中央からのものである問題点は相変わらず直っていない。
総評
『RealPro』のシステムを取り入れた新シリーズ『EX』の第1作。いくつかの問題点も入り込んでしまったが、それを踏まえても余りある運転システムの改善とボリュームの増加により、遊びごたえのある良作を久々に世に送り出すことに成功したといって良いだろう。
相変わらずの誇大広告もあるが、「清流運転」のタイトルに偽りなく美麗な映像を楽しめて、看板列車も運転できる本作は鉄道ファンなら入手しておきたい。
鉄道にっぽん! 路線たびEX 登山電車 小田急箱根編
【てつどうにっぽん ろせんたびいーえっくす とざんでんしゃ おだきゅうはこねへん】
ジャンル
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鉄道運転シミュレーション
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対応機種
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Nintendo Switch Windows (Steam)
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発売・開発元
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ソニックパワード
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発売日
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2024年9月19日
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定価
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7,480円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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箱根登山線ならではの運転 豪華な資料室 モハ1形は出ない
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概要(小田急箱根)
『EX』第2弾となる完全新作。基本的なゲームシステムは『長良川鉄道編』と同じのため記載は省略する。
本作の舞台は、神奈川県の有名観光地を走る箱根登山線こと、小田急箱根の鉄道線。このうち「登山電車」と呼ばれ、独自規格の車両が走る箱根湯本駅〜強羅駅間を収録した作品となっている。
パッケージにもある通り、本作は3000形「アレグラ号」の10周年記念作品と銘打たれている。
改善点・評価点(小田急箱根)
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登山電車ならではの運転が楽しい
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散水やスイッチバック、それに伴う車両の変化など、箱根登山線ならではの運転方法がしっかり取り入れられている。トンネルや橋梁もあり、景色の変化はシリーズで1、2を争うほどの多彩さ。
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『叡山電車編』でこっそり登場していた抑速ブレーキが本格的にプレイに組み込まれた。下りの急勾配では速度を維持するのに必須で、気軽にそれっぽい動きを楽しめる。
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発車合図もしっかり再現されている。
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映像のさらなる改善
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停車中も景色が動くよう演出が改良され、違和感が少なくなった。
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上りは逆光の箇所が多くなってしまっているが、過去作と比べて自然な仕上がりになっている。
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2種類の映像
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春・秋の2季が収録されている。順番に運転していくと景色の変化がよく楽しめる。
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最後の特典を解放すれば、景色を眺める運転も可能になる。
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ガイドマップ
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本作では資料室が箱根エリアの「ガイドマップ」となっており、沿線外も含めた50個ものガイドを収録。映像資料もある。
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単純なスポット紹介が多いとはいえ、扱うエリアの広さと数の多さでは『ゆいレール編』にも匹敵するボリュームである。
改悪点・問題点(小田急箱根)
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なりきり運転をオフにできない
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散水はもちろん、アナウンスに関しても過去作ではオプション扱いとなっていたにもかかわらず、本作ではこれらの操作を省略できない。パッケージにはわざわざ付点付きで「のんびり運転しよう!」と書かれているが、実際には駅間の短さも相まって息つく暇もないほど忙しい。
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これらは運転評価のボーナスに影響するため、無視すると単純な縛りプレイになってしまう。
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モハ1形が登場しない
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箱根登山線の最古参にしてライトな鉄道ファンからも知名度の高いモハ1形が運転できない。かなり望まれていた様子がうかがえるものの、収録は叶わなかった。
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あくまで「アレグラ号10周年記念」ということでタイアップできたという可能性もあるが、この扱いはいかがなものか。
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なぜか夏ではなく春映像を収録
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箱根登山線といえば夏の「あじさい電車」で知られており、秋の紅葉よりはむしろこちらの方が有名と思われるが、なぜか春の映像になっている。
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メニューでは桜のイラストが表示されているが、本編中で開花している桜が見える箇所は全然ない。
総評(小田急箱根)
本編のボリュームではやや劣るものの、それを大規模な資料モードでカバーした、『ゆいレール編』のスピリッツを継ぐ作品。
短いといっても本作独自の操作や景色のバリエーションも十分に多く、わずかながら他作品よりも安いため、鉄道ファンならお値段以上に楽しめるだろう。
ただし操作すべき箇所が他作品より多いので、シリーズの入門作品としては先述した『長良川鉄道編』がおすすめである。
最終更新:2025年01月02日 17:17