本項では『鉄道にっぽん! 路線たび』シリーズのうち『ゆいレール編』と『上毛電気鉄道編』を併せて取り扱います。
鉄道にっぽん! 路線たび ゆいレール編
【てつどうにっぽん ろせんたび ゆいれーるへん】
ジャンル
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鉄道運転シミュレーション
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売・開発元
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ソニックパワード
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発売日
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パッケージ:2015年8月27日 ダウンロード:2016年10月14日
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定価
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5,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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極大級ボリュームの観光案内 高い車両性能で本編もプレイしやすい
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鉄道にっぽん! 路線たびシリーズ
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概要
鉄道運転シミュレーター『鉄道にっぽん! 路線たび』シリーズ5作目。
本作の舞台は、シリーズ初のモノレールでもある沖縄都市モノレール(ゆいレール)。往復収録しているとはいえ片道12.9キロ・所要時間30分程度の路線のため、観光案内を大幅に強化した内容となっている。
システム・追加要素
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運転操作は基本的に過去作と同一だが、本作では車両がワンハンドルマスコンを採用。ボタン操作時はスライドパッドだけで動かせるようになった。
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『叡山電車編』に続き夜間走行が収録されており、乗車率が違うという設定で若干車両性能が落ちる。運転評価も厳しめになっている。
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本作では全線走破モードの解放条件に全区間をA判定でクリアすることが追加され、同モードの資料解放にもA判定以上でのクリアが必要となった。
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夜間走行の全線走破モードをA判定でクリアすると、フリー走行モードが解放される。フリー走行モードではドアの開閉もプレイヤーが行うことができる。
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資料館は内容が大幅に増加(詳細は後述)。
評価点(ゆいレール)
非常にやりやすい運転操作
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本作の車両はワンハンドルマスコンであり、スライドパッドでマスコン・ブレーキ両方操作できるようになったため力行や減速に複雑な操作を必要としない。
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加減速性能も高く、多少強引な加減速も通るので初心者でも慣れやすい。
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さらにはATC路線のため速度計に直接制限速度が表示され、スピード調節が一目で分かる。
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隠し警笛の対象は対向列車と明確化され、ボーナスを得やすくなった。
極大ボリュームの資料館
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本作では1駅につき6つの資料を解放できるうえ、内容もこれまでとは比べ物にならない量である。
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沿線情報はこれまで同様各駅の詳細を見られる。赤嶺駅の記念碑などの写真もしっかり用意されている。
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何よりボリューミーなのが観光案内。なんとゆいレール沿線に限らず沖縄本島全体の観光地の案内動画を視聴できる。しかもナレーション付き。
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万座毛やひめゆりの塔といった定番の観光地から、琉球村・ニライカナイ橋などあまり知られていないスポットまで掲載。営業時間・定休日まで載っており、下手なガイドブックよりも実用性が高い。
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また、ある条件を満たすと、らぐぅんによるゆいレールの広告ソング「ゆいレールが行くよ」のPVをフルで視聴できる。必見。
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以上2つに加え、本作独自の要素として各駅のアートボードと車内メロディーを閲覧できる。
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アートボードとは、ゆいレール各駅に設置されたシンボル的なモニュメント。体系的に収録された媒体は本作が初めてと思われる。
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車内メロディーでは、各駅の到着前に流れる自動放送の冒頭で使われている曲をCD音源で聴くことができる。
一部権利上ゲームオリジナル曲に差し替えられているものもあるが、これはこれで良い曲。
その他
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これまでのフリー走行では文字通り走行しか楽しめなかったが、本作ではドアの開閉がやれるようになった。現実のゆいレールもワンマン列車のため、再現性が向上。
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各種BGMは沖縄風にアレンジされたものを使用している。
問題点(ゆいレール)
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上記のように素晴らしい観光案内であるが、全部観るためには全モード全駅でA判定以上を取る必要があるので実はハードルが高い。
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車内放送はメロディー部分がCD音源なのに対して文章部分は実車収録なので、音質の差が激しい。
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路線はシリーズ最短のため、他作品に比べるとボリューム不足は否めない。『叡山電車編』もほぼ同距離だったが、あちらは運転速度がかなり遅いため特に問題とされなかった。
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ただし、最短と言っても全区間収録のため、仕方無い部分も大きい。
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この路線距離の短さに加え、ゆいレールが沖縄県唯一の鉄道路線であるがゆえに資料館が大ボリュームとなったと思われる。
総評(沖縄)
沖縄唯一の路線ということもあり、ゲーム内容面の薄さをカバーするため観光面を大幅に強化した作品。鉄道運転の方もシリーズで最も操作しやすい車両性能になっているので、初心者にも安心しておすすめできる一作。
また、本作で初めて実現した上下線の収録は次作にも受け継がれた。
鉄道にっぽん! 路線たび 上毛電気鉄道編
【てつどうにっぽん ろせんたび じょうもうでんきてつどうへん】
ジャンル
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鉄道運転シミュレーション
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売・開発元
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ソニックパワード
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発売日
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パッケージ:2015年11月5日 ダウンロード:2016年10月14日
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定価
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5,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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賛否両論
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ポイント
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本作も上下線収録 鉄道ファン以外には微妙か
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概要(上毛電気鉄道)
シリーズ6作目は、群馬県の中央前橋駅~西桐生駅間を結ぶ「上毛電気鉄道」。
『近江鉄道編』に続いて複数の車両が運転できるとともに、『ゆいレール編』に続いて上下線の運転が実装されている。
評価点(上毛)
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オリジナルモード「デハコレクション」の実装。
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日本の鉄道屈指の歴史を持つ「デハ101形」の内外装をかなり細かく観察できる。
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運転台から電灯、網棚、床まで細かく解説される。イベント時しか公開されない車両であり、ファンにはたまらない。
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さらに、このデハコレクションを全て集めると本当にデハ101形を運転できるようになる。
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区間走行モードおよびフリー走行モードでは駅舎の画像を見られるようになった。地味に今まで無かった機能なので好評。
問題点(上毛)
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鉄道ファン以外にはシリーズでも特に微妙な内容。
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全面展望はほぼ全て畑か住宅地で川や山・トンネルすらなく、過去のどの作品よりも変化が少ない。夜間走行もなく、単に水増しのための上下線収録にすら感じられてしまう。
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もっとも上毛線は夜間走行を収録したところで真っ暗であり、余計につまらなくなってしまう可能性もあるが。
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デハコレクションも旧型車両が好きな人以外には無用の長物。「700型でも同じものを作って欲しかった」という意見も多い。
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そのデハ101も、せっかく独特な運転操作が楽しめるのに区間走行モードや全線走破モードでは使えない。速度計が付いていない点が影響したのかもしれないが、そこはGUIとして付けるなどゲームとして工夫が欲しかったところ。
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以上の点から、本作は上毛電気鉄道のコアなファンならこれ以上ない作品だが、そうでもない人にとってはただの作業ゲーになってしまうといえる。
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明らかに水増しされている資料館
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今回の資料館は再び従来の形式に戻っているが、いくつかはただの鉄道写真であるなど全体的にクオリティは低い。
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心臓血管センター駅の接近メロディーとして「エリーゼのために」が収録されているが、原曲はMIDI音源の機械的な音色なのに対して本作で流れるのは謎の音源であり、実使用されているものと全く異なる。
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700型の運転音が全然似ていない。加速時に「ヒョヒョヒョヒョ…」と変な音が流れ、ブレーキ音も明らかに大きすぎる。
総評(上毛)
あまり進化した点が見られないばかりか、資料館などには劣化要素も多数ある。鉄道好きでない人には楽しむことが難しいだろう。
しかし上毛電気鉄道が好きな人や古い車両に興味がある人にとってはたまらないファンアイテムになること間違いなしであり、本作を買う意義は十分にあるといえる。
最終更新:2022年02月04日 22:04