Rainbow Six: Lockdown
【れいんぼーしっくす ろっくだうん】
ジャンル
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FPS
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対応機種
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Windows Playstation 2(海外のみ) GameCube(海外のみ) Xbox
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発売元
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Ubisoft
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開発元
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Red Storm Entertainment
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発売日
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【PS2/Xb/GC】2005年9月8日 【PC】2006年2月16日
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判定
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賛否両論
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シリーズファンから不評
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ポイント
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家庭用機主軸のレインボーシックス シリーズの魅力を潰す大幅な簡略化 シンプルで単調なシナリオ お粗末で連携の取れないAI
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トム・クランシーシリーズ
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ストーリー
2009年5月2日 南アフリカ共和国
情勢の悪化した首都プレトリアで、南アフリカ大統領が反乱軍によって拘束された。
世界各国の先鋭を集めた国際的特殊部隊「レインボー」は直ちに現地に向かい大統領の救出を成功させるが、その最中にもう一つの事件が勃発。
欧米に反旗を翻す極左テロリスト集団である国際解放戦線(GLF)が反乱軍と手を組み、致死率100%の化学兵器「レギオン」を強奪したというのだ。
大規模なテロの予兆を察知したレインボーの指揮官である「シックス」ことジョン・クラークは、アルファチーム隊長ドミンゴ・チャベスと共に世界各地に位置するGLFの本拠地を襲撃し痕跡を探す。
しかしGLFはスコットランド、フランス、スペインといったヨーロッパ各国でテロ事件を決行し、レギオンを用いた大虐殺計画は着々と進行していた。
GLFを瓦解させ、謎の指導者バスティアン・ヴァンダーワールを排除すべく、チャベス率いるアルファチームは困難な連続テロの阻止に挑む。
概要
同名小説を題材とした、特殊部隊による屋内突入作戦をリアルに描くタクティカルシューター『Rainbow Six』のメインシリーズ第4作目。
前作『Raven Shield』から3年後の発売であり、システムは家庭用機向けに大幅に調整・簡略化されている。
開発を担当したのはシリーズおなじみRed Storm Entertainment。
エンジンは前作から引き続き改良型Unreal Engine 2を使用している。
ゲームシステム
基本操作
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ほとんど一撃即死だった過去シリーズとは異なり、体力制に変更。3ブロック分のHPが用意され、0になると死亡してミッション失敗となる。
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道中にHP回復の手段はなく、各ミッションごとに開始時に満タンになる方式。負傷兵が次のミッションに参戦出来なくなるシステムは撤廃された。
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ゴーストリコン風の操作性を採用していた前作とは異なり、操作形態は当時の一般的なFPS寄りとなった。
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ADS操作はShiftから右クリックへと変更され、咄嗟の撃ち合いが行えるようになっている。
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オートエイムは撤廃されたため、敵を倒す際はきちんと照準を合わせて撃つ必要がある。
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プレイヤーは基本的に4人小隊で行動し、互いに連携しながら進んでいく。
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スペースキーを用いて仲間にドアの開錠や爆弾解除、突入などの指示出しを行うことができるほか、接近すれば自分で行うこともできる。
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また、ドアは錠前を破壊して勝手に開くようにしたり、蝶番を破壊してドア自体を破壊するなどの手法も取れる。
ゲーム進行
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全16面構成のミッション自由選択型FPS。各ミッションは複数エリアで構成されており、過去作と比較してかなりの長期戦となる。
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ミッション開始前に司令官のジョンによるブリーフィングテキストがある点は過去作と同様。
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道中は任意でセーブ・ロードができるようになっており、これによって総合的な難易度は過去作よりも大幅に低下した。
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セーブ回数に制限はなく、突入前などの重要な局面で気軽にセーブしておけるようになっている。
武器・装備
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プレイヤーはミッション開始前に自分と仲間3人の装備を整えることができる。しかしミッション中は一切変更不可能で、弾薬の補給すらもできない。
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武器は40種類を超える多種多様なものが揃っており、あらゆる局面で使えるアサルトライフルから近距離に強いショットガン、連射性能に優れるサブマシンガンなどさまざまなものが選べる。
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武器本体の他にカスタム要素もあり、スコープを装着したりサプレッサーを付けて音を出さないようにしたりといった好みのカスタマイズを施すことができる。
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メイン武器は所持弾薬の概念があり、弾薬が尽きると使用不可能。しかしサブ武器(拳銃)は威力が低い代わりに弾薬が無限となっており、詰むことはない。
味方チーム
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プレイヤーの操作するチャベス以外に3人の仲間が随伴し、待機・随伴の指示や隠密・攻撃の切り替えなどを命令して協力することができる。
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また、任意の場所にクロスヘアを合わせて指示を飛ばすことで突撃させたり、退避させたりと言った行動も可能。
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ドアのある場所では突入指示を出すことができ、単にクリアリングを行う以外にも閃光弾や手榴弾を投げて敵を排除させるなどの命令ができる。
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味方NPCもプレイヤーと同じくHPバーが3ブロック用意されており、攻撃を食らってHPが無くなると死亡する。死亡した仲間は復活することはない。
評価点
豊富な武器種
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武器は各ジャンルごとにさまざまなものが取り揃えられており、武器選びの面白さは過去作同様に存在する。
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初期装備は普通のアサルトライフルだが、静かに行きたい時はサプレッサーを装着したり、威力重視の場合は機関銃を持ち込んだりと状況によって変えていくのも楽しい。
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ただしシナリオ上は隠密作戦の意義がほとんどないため、効率を重視すると最終的には高威力武器と大口径拳銃という構成に落ち着いてしまうのだが…
綺麗なグラフィック
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グラフィックは当時水準以上で、メリハリの利いた陰影が特徴。前作よりも表現は豊かになっている。
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暗視ゴーグルなどの視点もきちんと作られており、雨粒で画面が濡れるなどのリッチな表現も存在する。
賛否両論点
プランニング要素の廃止
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前作までのレインボーシックスシリーズPC版では、ミッション開始前に「プランニング」と呼ばれるフェーズが用意されていた。
プレイヤーは部隊を任意の人員で編成し、各チームごとに行動ルートと動作を決め、如何に完璧な作戦を立案できるかで試行錯誤することができた。
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元々家庭用機向けの移植版ではその複雑さから簡略化・撤廃されることの多かった要素だが、本作ではPC版ですら完全に抹消され、無計画に現地に突っ込んで現場の判断で行動する内容となった。
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プランニング要素は複雑で遊びにくさもあった反面、「綿密な計画を練り、如何に最小の犠牲で任務を達成するか」という、本作の最大の魅力とも言える部分であったため、シリーズ過去作のファンからは批判の声が上がった。
任意セーブ・ロード要素
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本作では過去作には無かった任意セーブ・ロード機能があり、プレイヤーは好きなタイミングで状況を記録することができるようになった。
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トム・クランシーシリーズでは『ゴーストリコン』や『スプリンターセル』でおなじみの機能だが、1ミッションを成功するまで何度も試行するのが常であった虹六シリーズの一部ファンからは「簡単すぎ」という声も挙がった。
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とはいえこれ自体は初心者にとっては救済措置として働いており、要素単体で見ればさほど問題ではない。
問題点
単調なゲーム展開
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本作では前述のプランニング要素が排除された代わりに、FPSパートのボリュームが大幅に増加した。
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このため、1ステージの長さは過去作よりも圧倒的に増加し長期戦となっている。
これ自体はFPSとしては別に良いのだが、単にマップサイズを広げてプレイ時間を引き延ばしただけのような場面が多い。
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短い代わりに多種多様なロケーションで遊べた過去作のような面白みはなく、ひたすら広いマップを進んでは前方から襲撃してくるテロリストを倒していくだけの場面が多いため単調さを抱きがち。シナリオ部分も終始さほどドラマチックな出来事は起こらず、それぞれのテロはあっさり制圧できてしまう。
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更に、何も考えずにステージのボリュームを増やした結果戦闘が長すぎてプレイヤーの弾薬が尽きてしまうという問題も抱えてしまっており、その解決策として「拳銃が無限に撃てる」というそれまでのリアリズムをかなぐり捨てた適当過ぎる仕様で解決が図られている。
敵味方共にお粗末なAI
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AIは敵味方共にお粗末。敵は連携がまるで取れておらず、真横に立っても数秒間気付かないほどに馬鹿。
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過去作では必中の攻撃で油断したプレイヤーを屠っていたが、本作の敵は数分間撃ち合ってもプレイヤーに全く当てられない貧弱な命中精度を持つ。
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これだけならまだ単なる「簡単なゲーム」でいられたのだが…問題は味方のAIもかなりアホである事。
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クリアリング中に周囲の状況に気付けず死角に背中から突っ込んで死んだり、フレンドリーファイアがあるにもかかわらずプレイヤーの射線上に飛び出してきて勝手に死んだり、プレイヤーよりも前進して知らないうちにダメージを食らっていたりと役に立たない行動が多い。
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ならばプレイヤーひとりで全部こなせば良いと思って待機指示を出しても、一定時間経過で勝手に待機指示を無視して付いてくるという謎の仕様があり、また適度に連携しないとプレイヤーの弾薬が尽きるため、結局連れ回すことしかできない。
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プランニング要素のあった過去作であれば間抜けな味方も的確な指示を出すことで効率的かつ安全に動かすことができたが、本作ではそれらの介護できるシステムがないため、味方が死ぬかどうかは殆どプレイヤーの祈祷力頼み。
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死傷者無しで遊ぼうと思っても講じられる対策が少ないせいで「突入前にドアの前でセーブし、部屋を無傷で制圧できるまでひたすらロードする」などという戦略性のせの字もないプレイに頼らざるを得ず、過去作のような戦略的奥深さは薄れてしまっている。
プレイを阻害するバグ
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味方がスタックして動かなくなるなどのバグが頻発し、そうなった場合は指示を切り替えるなどして対応しなければならない。
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ドアから部屋への突入は仲間3人全員が揃わないと準備完了とならないため、一人でもスタックすると他の仲間たちも使い物にならなくなる。
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また、蒸留所ミッションで梯子を使うと虚空にはじき出されたり、マルセイユミッションでいつのまにか仲間がポリゴンの隙間から落下していなくなったりといった重大なバグも放置されている。
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プレイに関係のない部分でも、救出対象の人質がずっとうるさくしゃべり続けたりといった違和感のある部分がある。
総評
「シビアで奥深い戦略要素」と「リアリズムに溢れる特殊部隊描写」が人気のシリーズから、あろうことかシビアさとリアリズムを両方排除してしまった一作。
当時のコンシューマFPS業界の傾向に沿おうとした結果、レインボーシックス本来の持ち味が失われ、他の作品でも代用できるような凡庸な内容となってしまった。
開発チーム自体は実績のあるRed Stormであり、グラフィック、操作性など基本的な部分のクオリティは2005年当時相応のクオリティを保っている。
しかし、味方も敵も賢くなく、シナリオ展開も尺の割に起伏に乏しく単調であるなど、ゲーム単体としても難点が多く見受けられてしまっている。
シリーズ本来の持ち味が排除され、かといって当時主流であったFPSの娯楽性の高さにも届いていない中途半端な内容から、当初目論んでいた新規層開拓には失敗。
現在はトム・クランシーシリーズ公式からの扱いも悪く、従来のファンからもシリーズの汚点のような扱いとなってしまっている。
本作では確立できなかった「プランニング要素のない虹六」は、続く『Vegas』シリーズで大幅に改良されることとなった。
余談
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家庭用機版とPC版の相違点
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先に発売された家庭用機版ではミッション間のムービーシーンが用意され、また一部ミッションでは狙撃兵になって援護するパートなどが盛り込まれていたが、後に発売されたPC版ではなぜかそれらは撤廃されている。
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また、PC版ではストーリー展開が若干違い(といってもブリーフィング内容程度だが)、登場するテロリスト陣営のバリエーションが増加している。
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日本語版
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海外ではPS2、GCでも発売されているが、日本ではXboxおよびWindows版のみの販売となった。
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Xbox版は翻訳されているが、Windows版は日本語マニュアル付き英語版となっている。
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続編
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本作から1年後の2006年には、システム面を正統進化させ、娯楽面と戦略面を強化した作品として『Rainbow Six: Vegas』が発売された。
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仲間との連携要素はそのままにストーリー演出もよりドラマチックになり、本作では成し得なかった虹六シリーズの復権に成功。こちらは現在でも根強いファンが存在する。
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小ネタ
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本作の道中には世界観を共有する関連作品であるゴーストリコン2やスプリンターセルの宣伝広告が配置されている。
なぜか同一広告をひたすら貼った場所などもあり、地下鉄ミッションでは駅のホームの広告スペースがほぼ全てゴーストリコン2で埋め尽くされているという異様な光景が広がっている。
最終更新:2025年03月09日 16:29