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月に寄りそう乙女の作法2 - (2022/11/19 (土) 20:32:10) のソース

*月に寄りそう乙女の作法2
【つきによりそうおとめのさほうつー】
|ジャンル|恋愛ADV|&amazon(B00L9WFOKO,image);|&amazon(B00SWKIV9W,image);|
|対応機種|Windows 7~8.1|~|~|
|発売・開発元|Navel|~|~|
|発売日|Limited Edition:2014年12月19日&br;Standard Edition:2015年2月28日|~|~|
|定価|9,800円(税別)|~|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|~|
|配信|2015年4月17日/8,580円|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[Navel作品リンク>Navel作品]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
Navelの『[[月に寄りそう乙女の作法]]』の続編に当たる作品。略称は『つり乙2』~
明言は避けているがつり乙ルナルートから約20年後が舞台で、『[[乙女理論とその周辺 -Ecole de Paris-]]』の登場人物と思わしき人物も登場する。~
これまでの作品をプレイしておいた方が楽しめるが、未プレイでも楽しめるようにかなり配慮されている。~

これまでの雰囲気は多々継承しているが、主人公を含めた登場人物を一新して舞台にも少なからず変更が加わっている。~
タイトル部分も意識している作りになっているが、それまであまり描写されていなかった環境も意欲的に取り入れられている。~
その代わりに実質共通のテーマだった「主従関係」や「お嬢様と服飾」に必ずしもスポットが当たっているわけではない。~
あまりイメージを引っ張りすぎずに、主人公と各ヒロイン毎に話を追っていくと素直に楽しめる作品だろう。~
『Limited Edition』が初回版で『Standard Edition』が通常版である。~

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**あらすじ
#blockquote(){
主人公の「桜小路才華」は芸術総合学院「フィリア学院日本校((名前の通り女学院ではなくなっており、教科も芸術総合学院になっている。))」で最高の成績を収めることを目標にニューヨークから帰国した。~
帰国後、日本校の服飾科で男子部が廃止されることを知り検討した結果、~
以前から外見が女性そのものであることを自覚している才華は女装して通学することを決意。~
そしてフィリア学院には開校時から多数の寄付をした者は入学試験をパスでき、~
付き人も生徒として認められる特別編成クラス制度が続いているのでこれを利用することにした。~

付き人になる為の紹介を親戚で日本でも有数の富豪でもある「大蔵ルミネ」に頼んだ結果、~
アイルランドの貴族「エスト・ギャラッハ・アーノッツ」と主従関係となる。~
その後、同じ高級マンション「桜の園」に住むことになる「八日堂朔莉」やひょんな縁から一般生徒の「銀条春心」とも知り合う。~

そして、フィリア学院にエストと通いつつ友人達と夢に向かって励む日々が始まる。
}

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**キャラクター
***主人公とヒロイン
主人公とヒロイン達は全員がフィリア学院一年生。~
ルートのロックなどは特にないが、一般的にはルミネを最初に攻略して朔莉は最後に攻略するとより楽しめるとして勧められている。~
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-桜小路 才華(さくらこうじ さいか)/小倉 朝陽(こくら あさひ)
--本作の主人公。母は日本の旧家である桜小路家の一員の、世界的に有名な服飾デザイナー。父も日本を代表する大富豪・大蔵家の一員であり、母の専属パタンナーとして世界でも有数の腕前を持つ。
---努力や教育に加えて、非常に多方面に渡る才能を持つ父にも師事してきたので才華自身も多才である。ただし、努力が過ぎて寝る時間が遅いので朝は弱い。
---マルチリンガルで日本語も堪能だが、日本語は演劇で覚えなおしたことが影響して芝居じみた発言が多い。
--「小倉朝陽」は女装時の名前で、消息不明になっている母の付き人でフィリア学院で伝説にもなっている「小倉朝日」にあやかって自身で命名した。
---足に届くほどの白い長髪だがこれは元々の色と伸ばしている地毛であり、そこいらの女性よりも力を入れて手入れしている。
---元々隠れながら好んで女装をしていた為、苦労はあるものの身内に気兼ねなく女装出来る今の環境をむしろ喜んでいる。日本のメイドはメイド服を着て当然という環境で育ったのでメイド服での外出も全く気にしない。
---ちなみに、偽バストの大きさは体格の近いルミネと同じにしている。
--最終的な夢は憧れである母同様に世界的な服飾デザイナーになること。父のことは人格や才能を尊敬しつつもデザイナーになる夢を諦めて母にすがっている軟弱者だとも思っている。
--母親共々アルビノと思われる((作中では明言されていない。))体質で強い光に非常に弱く、昼間は外を自由に出歩くことが出来ない。
--基本的にはデザイン第一という理念によって、尊大で打算的な性格をしている上にすぐに深く考え込む癖もあるものの、非常に誇り高く根っこの部分では優しく素直だったりする。

-エスト・ギャラッハ・アーノッツ
--アイルランド貴族・アーノッツ家の四女。実家は何度か傾いた影響で裏社会と癒着しているので上流階級の中では家格が非常に悪い。彼女は実家の実態を嫌って影響の少ないニューヨークで育っている。
---教養や品の悪さは貴族の中では…というより明らかにそこらの一般人よりも悪い((家の事情とはそこまで関係ないと思われる。))。特に食い意地が凄まじく、才華からは度々豚と評されてしまっている。
---才華は彼女の才能と美貌に対して貴族らしからぬ所を惜しいと思った為、従者として改善させようと努力している。
---だらしないところや自ら三枚目になろうとすることが多いものの、芯では優しさと誇りに溢れた性格をしている。その一方で論評などにおいては現実的で毒舌になることも多い。
---だらしなさに反して貞操観念は非常に強く、男性に肌を晒すくらいなら死を選びかねない程に貞淑。
--英語で話すと余りに酷い発言が矢継ぎ早に飛び出すが、日本語は主に演劇で覚えた為か芝居じみてはいるが丁寧。
--服飾デザイナーとしての才能が有り、ニューヨークに居た頃から才華とはグランプリを争う関係だった。
---才華とはお互いに面識は無いが、メールでのやりとりはある。
---日本に来てからはニューヨーク時代とは違う方向性のデザインに挑戦し続けている為、型紙や縫製はともかくデザインの評価は見るに堪えないものになっている。
--作中では省略されている場面も多いが何気に才華と同じく努力を欠かしておらず、平日休日など関係なく大抵はデザインを描き続けている。

-八日堂 朔莉(ようかどう さくり)
--岡山で古くから教育に携わっている家系のお嬢様。既に「イトウ・サクリ」の名でアメリカで映画女優として成功しているが、フィリア学院の女優科に入学し、日本のTV等にも出演している。
---幼少の頃から家から離れてプロ活動しており、実績もあるのでかなりの努力家でプロ意識も心根も強い。お金持ちだがお嬢様らしいところはほとんど見せない。
---マネージャーとは子役時代からの付き合いでかなり親しい。しかし、身の回りのことは自分でやっているらしく世話をする付き人は居ない。
--幼い頃の桜小路家本家での経験から度を越した白髪フェチになっており、初対面の才華に躊躇無く交際を申し込んだり「白髪舐めたい」と頻繁に言ってきたり、自身の髪をこまめに白に近づけたりしている。
---理想の白髪を持つ才華(朝陽)に対してはたびたび変態的な言動で迫ってくる。それ以外の人物に対しても突飛な言動が多い。
--桜小路家の本家も教育が主な事業なので家同士の仲は悪いものの、本人は桜小路家への偏見は持っていない((桜小路家の本家分家の関係性はある程度把握している。))ので才華の妹であるアトレともすぐに仲良くなった((ただし、初対面におけるアトレや九千代からの印象は悪かった。))。
--両性愛者で性格は変態的な上に普段からSっ気が強いので((自身でも変態でSとM両方兼ねていると言及している。))共演者からの受けが悪い。更に役に備えてキャラを作っていることが多いので話し辛い。加えて自身のやる気とは裏腹に演劇科は落ちこぼれの吹き溜まりと化しているので完全に孤立している。
--都合が悪い時などに「い」を伸ばす妙な癖がある。

-銀条 春心(ぎんじょう はるこ)
--フィリア学院服飾学科の一般クラスの生徒。ネット上で個人ブランドショップ「ぱるぱるしるばー」を親友の一丸九(マルキュー)と運営している。愛称はパル子。
---性格は明るく元気だが、あくまで一般人なので富豪揃いの才華達に対してはおっかなびっくり接することが多い。
---緊張には非常に弱く、それが原因で服飾科の新入生代表挨拶で歌を歌うという暴挙をしでかしている((一般クラスと特別編成クラスの仲はただでさえ悪いのだが、これによって更に悪化。))。
--小柄なのにかなりグラマラスな体型をしているので、自身の型紙を引く場合は自他共に苦戦する傾向にある。
--拘りのジャンルはないものの、趣味と実益からストリートファッション系のデザインをすることが多い((他の登場人物はコレクション向けのデザインをすることが多い。))。しかし、他の登場人物にとっては畑違いのストリートファッション系のデザインですら一目置かれる天才((主席入学しており、才能のある才華やエスト達も彼女の成果物を見て多少打ちのめされた。本作に登場する生徒の中では最も確かな実力と審美眼を兼ね備えていて毒舌なジャス子ですら認める腕前。))である。
---雑誌に載ることはあるがコンテストには応募していないらしく、クワルツ賞((この世界の日本における有名な服飾雑誌『クワルツ・ド・ロッシェ』が開催しているコンテストの賞。日本の服飾業界においては登竜門の様な扱い。))すら知らなかった。
---ぱるぱるしるばーはパル子が型紙も縫製も生徒としては一線を越えた腕前なので2人でも成立している。友人のマルキューの頑張りもあるが、彼女の服飾の才能は人並みで主に経営側で頑張っている。
--交友関係はかなり広く外国人の友人なども居る。また、服飾に真面目に取り組んではいるものの才華やエスト達と違って遊びに出かけていることも多い。そこでデザインを急に閃くこともあったりと、何かと天才肌の人物。
---作中ではあまり活かされていないが、友人と付き合っているうちに英会話を習得している。興味のあることなら服飾以外の事柄でも吸収速度が早い。

-大蔵 ルミネ(おおくら るみね)
--大蔵家前頭首が90歳を超えてから生ませた娘((ちなみに7人目の子供に当たり、それまでの子供とは異母兄妹の関係。4~6人目の子供も年を取ってからの子供だが、それでも4~6人目の子供とは孫程の年が離れている。))。前頭首の過剰な甘やかしと特に敵対者が居ないことから非常に強力な権力を持っている((個人でもかなりの地位・財産があり、それで足りなければ前頭首を初めとする様々な人物が手を貸してくれる環境。))。
---前頭首がダダ甘なので彼女を遠慮なく叱りつけることが出来る大人は現頭首(通称総裁殿)程度になっているが、総裁殿との仲は良好な模様。比較的仲の良い大人である衣遠ですらいくつかの事情((詳細については過去作を参照。))から、かなり遠慮している節が見受けられる。
---名前を漢字で表記すると「瑠美音」となる。作中ではほぼ使われず、公式サイト等でも「ルミネ」表記。
--大蔵家傘下の会社を経営しており手腕も優秀。規則至上主義を標榜しており、仕事もプライベートもそれが影響している。
--前頭首の甘やかし具合から性格が歪んでもおかしくない環境で育っているが、お嬢様的な行動が多いながらも真っ直ぐで誠実な人物に育っている。
---身内には甘いがそれ以外には排他的なのが玉に瑕。善人なのは間違いないが自身が認められないものには反射的に拒絶し続ける。理知的だが視野狭量で自身の意向を押し通す権力や実績を持ち合わせていることがそれらの面をより助長してしまっている((この場合に理知的なことは必ずしも長所でなく、正論と視野狭量であるが故に、影響を考慮できずに自身の意向を押し通す結果になることも多い。))。
---特に才華に対しては幼い頃から仲が良いことと過去に彼を傷付けてしまったトラウマから一際甘く、お願いされると大抵のことは聞いてしまう((これらのことから前頭首は才華のことを警戒している。))。また、才華より年下だが姉扱いされたがっている。
---真面目なので笠に着るような振る舞いをしないように心がけているが、自身を含めた身内に対する悪と見なしたものにはすぐに大蔵家の権力で潰そうとする危うい一面がある((冷静になれば素直に辞めたり、熱くなり過ぎる前に他者が止めるので多くは問題になっていない。))。
--フィリア学院音楽科に入学。音楽科には特別編成クラスが無いので一般クラスに一人で通っている。規則正しくギリギリまで努力しており、ピアノコンクールの入賞歴もある。
---自立したいという思いからフィリア学院在籍の間は一人暮らしを強く希望した。その為に学校や桜の園でも付き人はつけていない。
---プロのピアニストになることが夢ではあるが、父に反対されていることや会社経営などがあるのでピアノに専念するのは学生の間のみと決めている。
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***その他のフィリア学院生徒
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-桜小路 アトレ(さくらこうじ あとれ)
--才華の妹でフィリア学院調理部門パティシエ科の特別編成クラス一年生。名前の漢字表記は「亜十礼」だが、ほとんど使われない。
---アトレは3月、才華は4月の年子なので同じ年に入学している。
--アメリカに居ても日本人でありたいという思いから和風ロリを好んでいる。真っ直ぐな人柄や趣味の一致から総裁殿との仲も良い((総裁殿はゴスロリ好きが高じて自分でブランドも作っている。))。また、仏教好きが高じて発言の節々に仏教用語を使ったり他人が誤って使うと説明する癖がある。
--外見も考えも非常に父に似ており、万人に愛されて自身も愛する((媚びている訳ではなく、『誰かの為になるのは立派なこと』を素で実践している形。))と言った具合の性格に行動力と求心力も常軌を逸しているのでもはや怪物である。そこに両親の財力や大蔵家との深い縁もあるので才華からは最強の立場と評されている。
---その性格や行動力から桜小路家自体が上流階級でも格の高い側にもかかわらず、入学してすぐに気安い友人が出来ている。
---兄が好きなことと自身の外見・体質は普通な為に強い負い目を感じているので才華には特に献身的。しかし、本格的に女装した才華の姿に異常なほど惚れ込んでしまったせいでキャラ崩壊している。
---素で焦りを見せることが多いので演技は得意ではない様だが、かなり頭の回転が早くて気も利く方。たぐい稀に見る善人だが大人の対応も得意とする何かと優秀な存在。
--パティシエを目指しており、父譲りの腕前を度々披露している。また、様々な教育を受けているので才華程ではないが多才。

-山吹 九千代(やまぶき このちよ)
--子供の頃から才華とアトレに付き従っているメイド。前々作・前作に登場した山吹八千代の姪。
---桜小路家のメイドとしての矜持が非常に強いものの、かなり流されやすい性格をしているので才華からは感謝されつつもいいように扱われている。
--アトレの付き人としてパティシエ科に入学する。アトレ並かそれ以上にお菓子作りも得意。

-ジャスティーヌ・アメリ・ラグランジェ
--才華達とクラスメートになる少女。傍若無人な様からジャス子と言う蔑称がつけられたが本人は気にしておらず、後にただのあだ名と化す。
--フランスからの留学生で服飾デザイナーとしての腕前は現時点でもプロとして通用するレベルの天才。既に日本よりレベルの高い欧州で登竜門とされている賞のほとんどで入賞しているので日本での評価は気にも留めていない。
---デザインの審美眼も生徒の中ではずば抜けていて才華のデザインでもダメなものは容赦なくゴミと言ったりする。ただ、型紙に関しては興味が無いので不得手。
---家族共々フランス至上の国粋主義者だが、家族以上に尊敬し敬愛している服飾学校講師の伯母の発言((ジャス子にはプロのデザイナーとして決定的に足りていないものがあり、伯母自身はそれを日本人から教えてもらったとのこと。))から日本への来日を決めるなど行動力と叔母への信頼は相当のものである。留学の為に十分学んできたので日本語も堪能((英語は喋れない。))。
---むらっ気が非常に強く、気が乗った時にしかデザインしていない((このむらっ気の強さから、ラフォーレは彼女には注目していない。むしろ才華よりもかなりスタンレーに近いタイプだと思われるが育成を考えての事だろうか。))。型紙や縫製の腕前もむらっ気の強さからすぐ雑になる欠点がある。デザインは機能性をとことん追求したものが多い。
--服飾デザイナーとしてずば抜けた実力と家柄((彼女から見たら大蔵家はともかく、アーノッツ家や桜小路本家は大したことはない。))から自由に振舞っているが、伯母は怒ると怖いらしいのでそこだけは怖がっている。
---程度の差はあれど本国でも傍若無人な振る舞いをしていたらしく、友人が居ない様子が窺える。
--かなりリアリストな傾向が強くて歯に衣着せない論評しかしないが、国粋主義や悪意からではなく素直に表現しているだけである。良いものに対しては素直に褒め、興味も抱き、彼女なりにちゃんとお礼も言う。
---従者のカトリーヌに対しても同様の態度。夢に対して才能が欠けている彼女に対する扱いはそっけない様に見えるが、意向は汲んでいるので従者としての用事を除けば邪魔をすることは少ない。

-カトリーヌ・コレット
--ジャス子の従者。『乙りろ』の修道院で登場した孤児の一人と同一人物と思われる。立ち絵は今作で新しく付けられた。
---当時は人見知りでありつつも元気な少女だったが、都会で揉まれた結果かなり大人しい性格になっている。
---立ち絵はむしろ生徒より幼く見えてもおかしくないが、周囲の生徒とは10歳程度年が離れている。
--服飾デザイナーになるのが夢で、フィリア学院パリ校で学んだり友人の企業の元で勤務していた経験もあるものの、才能が無い為に成果が残せていない。型紙や縫製については経験の長さ相応の実力はある。
---ラグランジェ家の使用人になった理由は才能も無いまま友人の元に居続けて友情に傷を付けたくなかったことと、服飾デザイナーになる夢を諦め切れずジャス子の付き人になることで服飾の勉強を続けられる為である。
---ラグランジェ家の使用人の中では落ちこぼれらしいのだが、ジャス子の留学に誰も付いて行きたがらなかったので日本について来ることになった。日本語の勉強は不十分で、受け答えと読み書きそれぞれに四苦八苦している。

-梅宮 伊瀬也(うめみや いせや)
--才華達とクラスメートになる少女。ジャス子はいせたんと呼ぶ。
--母が桜小路家分家にあたる家系だが才華達との家同士の関係はかなり悪い((母が祖父や祖母の影響を強く受けているので才華達への敵愾心が非常に強く、伊瀬也にも悪し様に伝えられている。しかし、そのことを除けば基本的には立派な母親らしい。))。彼女自身は事情がある人を色眼鏡で見たくないことと才華達と会った事が無いので特別敵対心はないものの家族を無下に扱いたくもないのでアトレとは距離を置いている。
---才華やアトレとは顔を会わす機会が無かったので才華の素性はバレていない。アトレとは桜の園に入ってきたときに挨拶して分かっている。
--一見Sっ気が強く見えるのだが内実は単純で気も弱く流されやすい性格。その一方で家柄が良く、それ以上に優しくて面倒見も良く正義感とリーダーシップも有り才華達ほどではないが努力も欠かしていないので人望は厚い。また、良い意味でプライドも高い。
---ルミネと同じく非常に真面目なので不良っぽい相手に対する態度は厳しい。ジャス子はもちろん改造制服を着ているパル子達にも同様。
--一年程服飾デザインの経験があり地元のデザインコンテストで一位を取ったこともあるが実際に服作りをしたことはない。才華達程の知識・経験・熱意・才能もない。それでも人並み以上に熱意は有り学習意欲も旺盛。
--まごうことなきお嬢様で生活水準が高く、言う必要のない本音もつい話してしまう悪癖もある。感情が昂ぶると語彙も非常に乏しくなる。
---難しい立場((一般クラスと特別編成クラス、上級生と同級生、母とアトレ達、成績優秀者への羨望と劣等感、委員長としての影響力を一方的に期待されるなど様々な立場や感情との板挟みに合っている。そしていくつかの事情から才華やエストにプレッシャーをかけられる場面が多い。))に居ながら人を憎むことはそうそうない。感情を持て余し気味だが物事をフラットに考えたり強い固定観念に対しても素直に考えを改めることが出来る純粋な人物である。

-大津賀 かぐや(おおつか かぐや)
--伊瀬也の付き人。
---真性のドMで自身の欲求を満たしてくれる相手を探している。普段はダウナーな口調だが、素でドSな人物を見かけるとトキめいていることが多い。
---その一方でメイドとしての矜持は強く、自分にメイドとしての職を与えてくれた上に心優しい伊瀬也に誠心誠意尽くしている。
--伊瀬也があまりにも無自覚に流されやすいのでつっこんでいることも多いが、軋轢を生じさせにくいその姿勢を好んで見守っていたりもする。
--当然ではあるが家同士の関係には気を使っていて、当の伊瀬也本人よりもアトレ(桜小路家)のことを警戒している。
--服飾には興味が無く、夢は建築デザイナーで服飾のものではないがCAD経験もある。

-一丸 九(いちまる きゅう)
--パル子の親友で服飾部門アパレル経営科の一年生。主なあだ名はマルキューだが、パル子はきゅうたろうと呼ぶ。
--白ギャル系のファッションを好んでいて口調もギャルのそれだが、性格は質実剛健でかなり常識的。
---経営に関することや納期に関することはシビアで、よくさぼったりなぁなぁで流そうとするパル子をよく追い立てている。
---考え方や経済観念は一般人そのものなので、どこかふわっふわしているパル子以上に才華達に対しておっかなびっくり接することが多い。
--実践派であり、当時無料で服を作っていたパル子に対して彼女の方から誘ってブランドを作った形。マネジメント・HP管理・交渉などは彼女が全て担当している。
--服飾についてはある程度学んでいてパル子の作業をよく手伝っているものの、特に才能があるわけでもなく人並み。

-山県 大瑛(やまがた だいえい)
--ピアノ科の二年生でルミネの先輩。日本人だがアメリカ育ち。
--大蔵家の血を引いているが、私生児なので前頭首から猛烈な反対を受けている為、大蔵家の一員としても大蔵姓を名乗ることも両方認められていない。しかも父は彼を見捨てて母も育児を放棄しているので『乙りろ』に登場した『駿我』が異母兄弟として彼をアメリカで養育した。山県という苗字は母方の姓。総裁殿とは仲が良い。
--父親代わりの兄が愛情を込めつつも厳しく教育したと思われ、紳士的で温厚な上に親切に育ったので老若男女問わず慕われている。その一方で学院での教師受けは悪い。
---日本での入賞などの実績は無く成績も芳しくないが、生徒の間では有名で、何度か学院内でリサイタルやコンサートを開いては好評を博している。
---去年のフィリアコレクションでは動画部門のBGM担当で総合優勝メンバーの一人になってはいる。

-大蔵 アンソニーJr(おおくら あんそにーじゅにあ)
--美容科の一年生。
--名前の通り大蔵家の血を引いているが、最近まで父である大蔵アンソニーの存在を知らなかったので((母が父の存在を隠しつつ育てていた為、母が亡くなる時に父の存在を知った。父もそれまで彼のことを知らなかった。))、既に彼に頼らず身一つで生きていくことを決意している。
---父との関係が悪いわけではないが、大蔵家の一員として活動する気はないので大蔵家との関わりは薄い。しかし、大瑛とは意気投合したらしくかなり仲が良い。
---日本には住み始めたばかりな上に勉強した時間も短いので本人は謙遜しているが、日本によく馴染んでいる。
--性格は父と瓜二つで享楽的な女好きではあるものの、幅広い交友関係を持つ明るく優しい好青年である。
---ちなみに悪人ではないが奔放過ぎる父と違って、言動や行動は一般的な範疇なので掛け値なしの好青年。
--その見た目・腕前・家柄からアメリカで有名になっている美容師見習いだが、今は日本人の髪を切ってみたいとのことでフィリア学院日本校に入学した。
---金銭に困っていないのと、まだプロではないという理由から現在は仲の良い相手に限定して無料で髪を整えている。お金は取らないが熱意は有り、特に気に入った才華に対しては頭を下げるほどである。
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***その他のサブキャラクター
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-大蔵 衣遠(おおくら いおん)
--才華とアトレの伯父。現在の大蔵家を実質運営しており、前頭首時代以上の繁栄に導いた才人。世界的な服飾デザイナーでもあったが引退しており、今は趣味でデザインをする程度。
---過去作の同名人物と同一人物だが身内に対してはかなり丸くなっていて、他の家族ともかなり仲良くなっている。その一方で芝居じみた台詞やリアリストな一面は変わっておらず、外見も若々しいまま。
---今は才華達を見守ることを楽しみにしており、更にだだ甘なので頼めば大抵のことは何でもしてくれる親バカみたいな存在になっている。彼の矜持に反することも今までと立場が違うので大抵は流してくれる。
--今でも大蔵家頭首になる野望を持ち続けているが、家族との仲が深まっているので以前ほどは拘っていない模様。
---前頭首との仲も良好とは言えないまでも多少は改善されたらしく、基本的に他の家族も同席しているとは言え付き合いが続いている。彼の子供であるルミネにも敬意を払って接している。

-八十島 壱与(やそしま いよ)
--前作やアペンドディスクなどに登場した同名の人物と同一人物で、見た目も変わっていない。筋肉質な女性だが家事が得意。
--主がニューヨークに移住したことで主不在の『桜屋敷』をメイド長としてずっと管理をしていた。
---物語開始時に才華達と再会し、その後は彼らが住むことになる桜の園のコンシェルジュとして才華達を支える。

-樅山 紅葉(もみやま もみじ)
--前作やアペンドディスクなどに登場した同名人物と同一人物で見た目も変わっていない。年齢よりかなり若く見られることが悩み。
---相変わらず恋愛巧者みたいな発言もするが、やはり乙女ゲー好きなだけで彼氏などはいない。
--実家の縫製工場を継ぐ予定だったが、親戚が引き継いだので今はフィリア学院服飾科の講師として生活している。
---どちらかと言えばおっとりしている方だが、ついていけない者に引っ張られることなく授業を進め、評価も辛口と講師としてはしっかりしている。
--才華達の世話をしていた時期も有り、才華達と再会した後は彼らを教師として支える側になる。

-ラフォーレ・ハンデルスバンケン
--フィリア学院日本校の総学院長で特に服飾科に強く関わっている。世界的な服飾デザイナーであるジャン・ピエール・スタンレーの古くからの友人にして部下でもある。
---スタンレーの会社の始まりの2年間を支えた「伝説の七人」の1人でもあり、現在も副社長の地位に居る。
--昔からスタンレーの人格と才能に心底惚れこんでいることと、長年彼を上回ることもコピーになることも出来なかったことから「狂信者」と言われるまでになっており、現在は自身の後進をスタンレーのコピーにすることを生き甲斐にしており、才華に注目する。
---彼の発言はスタンレーを意識したものばかりになっており、日常生活に関することから思想に至るまで基本的にスタンレーからの引用である。
---スタンレーに関係することには極端に熱くなる一方で、スタンレーや彼の目的と関係ないことには非常に関心が薄く、才能がある生徒でもコピーに出来なさそうなら興味を持たない。多忙な身であることもあって学園に居ることは稀。
--狂信者故のたちの悪さはあるが基本は紳士的で教育の手腕も悪くなく、手段こそ悪いが結果は出している((結果が出ているので日本校理事長である総裁殿も苦言を呈することしかできない。))。一般クラスと特別編成クラスの対立を煽って競争を促した結果、学園の雰囲気は悪くなってきたものの落ち込んでいた服飾科の成績は盛り返してきている。
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**評価点
-今まで通り、設定を基にした魅力的なキャラクターと展開。
--フィリア学院が服飾以外の学科も取り扱うようになっており、バラエティに富んだシナリオ。
---また、前作では設定上は存在するものにしか過ぎなかった、服飾科の一般編成クラスも登場しており、パル子ではシナリオ上中心的な役割となっている。
---これにより完全に一般人((ちなみに、前々作ヒロインの湊はお嬢様ながらほぼ一般人のようなキャラクターだったが、担当したシナリオライターが異なる。))であるパル子との交流を描いたり、朔莉の演劇やルミネのピアノを服飾と絡めたりと今までとは違う方向性の物語を描けている。
--才華とエストの関係性も独特で一見凸凹な主従関係だが、エストの誇り高さが上手く作用して内面は立派な主従関係を築き上げている面白い関係性になっている。
---更にエストは朝陽としてだけではなく才華ともメールで繋がりがあるので、前作までとよく差別化された面白おかしな二重関係になっている。
--朔莉とは演劇という部署違いながらも、服飾も絡めつつも突出している人の苦労や才華の葛藤なども上手く描けている。
--パル子とは一般人と富豪の違いもあるが、今まで描けていなかった服飾の方向性の違いを上手く絡めている。

-今まで同様にサブキャラもあくの強いキャラが揃っていて飽きさせない。
--特に伊瀬也は才華からは散々見下されている((後々見直している場面も多いが。))上に才能に欠けていながらかなり難しい立ち位置に居るので、存在感が強い。
--ジャス子も最初のやりすぎな行為からとんでもないキャラの様に見えるが、終始筋が通っているキャラである。

-基本的に明言されていないが、総裁殿やジャス子の伯母など過去作の登場人物と思われる影がちらほら出てきてシリーズプレイ済みならニヤリとする演出が多い。後に顔絵が追加されたモブキャラも一名登場していたりする。
--キャラ紹介のところにも書いているが総裁殿は大蔵家の多くの人物と良好な関係を築いており、人間的に成長したことが窺える。
--特に、母親への尊敬と同時に劣等感を抱える才華の内面は1をプレイし彼女の才能をよく知っていると共感しやすいものとなっている。

-システム面は概ね前作と同様でそれだけでも高評価だが、更にマウスジェスチャと流行のバックログのフリック移動(慣性付き)も実装されている。

-BGMも今まで通り場面に合わせた良いものが揃っている。
--良曲揃いと言える中で朔莉のテーマ曲はかなり冒険している怪作になっていて、一般受けはしなさそうな曲調だが彼女をよく表現した曲になっている。

-初回特典にアペンドディスクが付属していて、「ルナアフターアフター」と「2014年度のエイプリルフール企画」が収録されている。
--『乙りろ』よりアペンドのボリュームこそ少ないが、『乙りろ』と違ってこれら抜きでも価格相応のボリュームがある。
--ちなみに本作の設定はアペンドに沿ったものと考えられる。そこまで気にする必要は無いが「2014年度のエイプリルフール企画」→「ルナアフターアフター」→本作の順にプレイするのが最も自然。

-各ルートにおける登場人物の状況の整合性。
--本作のシナリオ分岐では、個別シナリオに入らなかったヒロインが主人公が関わらない形で個別シナリオの状況に置かれている体で進行しており、時節登場するヒロインがクリア済みの場合行動の事情を察することができる。
---終盤でのルミネが顕著で、他に「フィリコレのライバルとして取り扱われないパル子」「デザインの成績が一向に伸びないエスト」などがある。
---他のヒロインが助けに入る展開で「別の科で忙しいはずなのに何故手が空いているのか」といった疑問に解答が出せるようになっており各シナリオをクリアしていく度に全体を把握する面白さが生まれている。
---こうした面もあり本作のシナリオは、前二作に比べるとどの個別も一定水準を保てており、評価が安定している。

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-朔莉の掴みどころのないキャラクター性と献身的な行動の評価が高い
--すぐに才華の正体を看破している。才華は元々朔莉にとって憧れの人物だったが、ロクに交流が無かった上に現在どんな人物になっているのかも分からなかった為、しばらく接して改めて好きになっている。
--変態なのは割と素だが貞操を守る為に普段から演技しており(基本的に嘘はついていない)、根は純情。才華の正体を知ってからはそれを利用して影ながらフォローすることを優先して行動している。
---「い」を伸ばす癖や愚痴が多かったり茶化すことが多いのもその一環で、一見本音っぽい場面でも何かしら演技していることが多い。
---不在時を除いて毎日朝早くから彼の部屋の前で待ち構えているストーキング行為は一番に彼の状態を確認しつつ、油断させないようにする為の行動である。
---半分は興味本位だと思われるが、エレベーターの行き先をチェックするのもその一環。彼女の立場上情報収集が難しい為である。
---変態的な言動は素やネタ的なものもあるが、むしろ才華の警戒を強める為の意味合いが強い。
---本気で嫌がられそうなことは避けているが、上述のストーキング行為を始めとした嫌われそうなことでも才華の為になるなら嫌われる覚悟でしている。
--才華が困っていたら演技がバレない様にうそぶきつつも過剰に甘やかさない形で無償で助ける(最も才華の為になる助け方)。その姿勢は彼女自身のルートではもちろん、序盤から他ヒロインルートで才華に彼女が出来たことを知っても一貫して続けられている。
--これらのことから彼女のルートを最後に回すと、彼女の真意と献身的な行動の数々を知った時の破壊力がより増す構造になっている。
---なおここまでする理由はとんでもなくべた惚れしているから……ではなく、彼の正体を知った時に「憧れの彼の女装がバレないように彼が学園に居る間は影でサポートする」と目標を立て、後は半ば意地だと述べている。彼の人となりをよく知らない頃から始めている理由もこの為。
---ちなみに彼女自身のシナリオはやや短く感じやすく、最初にやったり共通&他キャラルートでの細かな意図の数々に気付かないと評価が低くなりやすい傾向にある。
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**賛否両論点
-18禁シーンの多くがシリアスなのかネタなのか分からない空気。
--とは言え、今まで以上に設定と合致している上に半ば恒例と化していることなのでシリーズ購入者からするともはや常識とも言える。
--ただ、特典の投票でSやらMやら決まったらしく、今まで以上におかしなことになっている。

-エストの家は何度も傾いて歴史は古いものの現在の家柄は大したことない((本家の現状は不明だが少なくともNY時代まではメイドすら居なかったのでメイドの扱いに全く慣れていない。))という割にお金に関しては糸目を付けずに使っており、更に高級マンションである桜の園でもトップレベルの広さとサービスを受けられる65階に住まわせているのは違和感が強い。家族((子供がたくさん居て少なくとも娘は5人居る。そして、エストもだが三女もかなりの贅沢をしている模様。))が不自由なく暮らせるように父が不正を働いて頑張っているとかいう話はあるが…。
--一応エスト本人としては将来的に実家に世話になった分のお金は返すつもりで贅沢な暮らしをしている。
--元々やりたい放題している衣遠は別として、才華達のお金の使い方も過去作のそれより荒々しく、いくら彼らが裕福とは言っても金銭感覚がおかしいと感じやすい。

-本作における過去作の設定とルナアフターアフターについて
--前述の通り、本作の設定は『1』のルナシナリオの未来となっている上で、本来ルナシナリオに行く前に分岐するパラレルワールドの『乙りろ』の共通~りそなシナリオの展開や設定を組み込んだものになっている。
--その為、詳細が語られるルナアフターアフターについてはダイジェストでかなり強引な辻褄合わせが行われており、りそな自身やりそなシナリオが好きな人間にとっては、受け付けない層も存在する。
--ルナアフターでフィリア女学院日本校に入学したはずのりそなが再び不登校になってしまい、りそな単身でパリ校に再入学((この影響でエッテ主従はりそなより1学年上(性格にはりそなの入学が1年遅れ)となっている。))、『乙りろ』でのいじめ事件に巻き込まれ、クリスマスに心が折れ助けを求められた遊星が付き人朝日として入学。同時に次期当主争いに巻き込まれる、と言った流れ。
---このように辻褄合わせの為にりそなは徹底的に不憫な扱いにされている。「辛い目にだけあって遊星と結ばれる幸せは得られないりそながあまりに可哀想」「感動シーンを抜粋し語られるが軽く扱われているようで嫌」((例えばルナと和解後の衣遠の全面バックアップがある状態では原作の孤立無援で絶体絶命の状況が危機感が薄いものになる、衣遠と和解済な為三兄妹が衝突の末に結束する流れが確実に消滅している、クライマックスに本来存在した兄妹の恋愛感情が2人兄妹にない為感動がどうしても薄くなる、など。))と言った意見も存在する。
---遊星とルナが結ばれた上で乙りろの展開を自然に本作に組み込みたかったのだろうが、りそなの立場で考えると詳細においてはぼかしておいた方が良かったのかもしれない。

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-才華はかなり複雑に屈折しているキャラクターであり、そこが魅力にも欠点にもなっている。以下がその例。
--偉大な両親を心底尊敬しているが、ほとんどの部分で追い越せていないことがトラウマ。自信家の様に振舞っているが、内心は劣等感に苛まれていて誰かと比較されて劣ってみられることを嫌っている。
--幼少の頃から美しいと思い続けている白髪が原因で疎外された経験がトラウマになっており、さらにウィッグで誤魔化して生きてきたことを今でも引きずっている。ちなみに誤魔化すのが嫌なだけでウィッグを付けること自体は平気。
--父が女装してメイド服を着て母に性的に責められている光景を目撃してしまい、よりにもよって父に似ている女性(ちなみに女装した父はかなりの美人)くらいにしか素直に欲情出来なくなった。そこから巡り巡って女装好きになり、しかも女装するとデザインが捗るようになってしまった。
---実妹のアトレもその対象になってしまっている。その為に彼女と過剰に接しないようにしているが、肌を見たりすると人並み以上に狼狽してしまう。
--人を見下して侮る悪癖がある。父や母を見習って振舞っているが、母ほど自己に向き合えないので他者を侮りやすく、父と違って周囲を見下す→見下した部分を肯定という手続きが基本なので底意地が悪い。憧れの父ですら服飾デザイナーとしては侮っている為に彼からのデザインのアドバイスも素直に聞けない。
--並外れた努力家で利用出来るものは利用するという性格だが、それとは別に「お坊ちゃま」特有の甘えが多い。自身もそれを気にしていて「お坊ちゃま」等と呼ばれるのは嫌っているが甘えた行動を止める気はさらさらない。
---いくら自信家で女装に嫌悪感が無いことは良いとしても、性別を偽っていることに罪悪感を感じている場面はそう多くない。良心などは人並みにあるので、好きに女装出来る喜びとこの甘えが大きいが故にだと思われる。
--服飾の才能は有り多大な努力もしているが天才と言われる程ではない。文句の付け所がない服を作ることを目指しているが、褒められつつも欠点を述べられることが多かったことと他のトラウマとが相まって視野狭量に陥っていてジャス子と同じく「何かが欠けている」という状態から抜け出せなくなっている。
--ルミネが初恋の人であることは良いとして、彼女に本気で手を出す気が無い時点から独占欲が非常に強く、それを隠せていない。ちなみにこの束縛行為、誰であるかを伏せてルミネが話したところ、聞いた全員からドン引きされている。
--理想の高さから精神的に重度の潔癖症。短所と言うより個性の部類だが自分が穢れることを恐れる余りに常人とは違うところで人並み以上に怒ったり豹変することがある。

-上述の欠点を見ていると才華はただの嫌な人に見えるが、偉大な両親を目標にしているだけあって実は自己嫌悪の方が強い。また、見所がある人物には素直に尊敬したり友情を育めたりする。
--打算もあるが、素で面倒見も良いので他キャラの視点からはとにかく綺麗・多才・誇り高い・親切な人といった評価で尊敬される描写に違和感は無い。
--人を見下しがちな自覚はあるので失礼な真似をしないように自重している。その為、これも基本的に問題にはなっていない…が、無駄に挑発している時もある。
--素がドSで毒舌ではあるが、人を見て態度を選んでいるのでこれも基本的に問題にはなっていない。

-本作のシナリオは才華の屈折した部分に強く焦点が当たっており、ルミネシナリオ以外でそれぞれ違う形で払拭し始めるといった具合になっている。
--ちなみに才華は自身の記憶と衣遠との会話から総裁殿から単に嫌われているものだと思っているが、実際は屈折した部分を見透かされているだけだと思われる。
--今までの主人公である遊星とは共通点もあるものの、決定的に性格が違うことが最も雰囲気が変わっている点で良くも悪くも遊星と比べられやすい。
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**問題点
-前頭首が年齢的に頑張りすぎな上にルミネシナリオでは老害具合が酷いので、シリーズ通してやっていると「またかよ…」「無茶しすぎだろう」と微妙な気分にさせられる。
--一応前頭首視点で考えるとある程度は事情を察することができるが、フォローしきれないこともしているので結局微妙な気分になる。

-パル子は本人のシナリオに入らないと出番が少なく、ヒロインの中では作品全体を通した印象がやや薄い。
--才華と学院での教室が違う、というのは本作のエスト以外のヒロインは全て当てはまるのだが、加えて彼女だけは住居が桜の園ではない為必然的に才華とあまり会わない。
--服飾科という点では才華&エストと同じなのだが彼女は一般編成クラスであり、エストシナリオでもルミネ&朔莉と比べても出番は少ない。

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-ラフォーレは本作におけるラスボスポジションの人物(1でいう衣遠のポジション)ではあるが、共通シナリオ以外ではエストシナリオでしかロクに出番が無いので肩透かしな存在になっている。
--これは、服飾という分野以外には関りがない彼の設定と本作から登場した服飾科以外のヒロインのシナリオを上手く絡ませられない弊害だろう。この二人のシナリオでは一切登場しない。
---加えて、服飾科であるパル子のシナリオでも出番は一瞬しかない。一応このシナリオはラフォーレが生み出した「特別編成クラスと一般編成クラスの対立」が主題となっており、本人の出番は少ないが間接的に存在感は出ている。
--またルナアフターアフターでは八千代とサーシャに「衣遠の方がマシ」と称されているのだが良くも悪くも1当時の衣遠よりはかなり話が通じる人物でありプレイヤー視点ではそう見えず、そうした悪辣な印象という意味でも肩透かしとなっている
---少なくとも、やり方はともかく生徒のモチベーションを高める方針など、歴代のフィリアの総学院長(代理)の中では教育者らしいことをしている。

-ルミネシナリオはいまいちな評価を受けやすい
--彼女のシナリオは前頭首による過剰な贔屓(賄賂も渡している)・前頭首によるものと思われる大瑛への陰湿な嫌がらせ(日本に着ただけで妨害を受け、さらにルミネと同じピアニスト志望・進学先が被ったので一層嫌がらせが激しくなっている)・ルミネはピアニストとして「上手いだけ」ということが問題になっている…の3点が大きい。
---過剰な贔屓と大瑛への嫌がらせは前頭首の独断によるもので、改善された大蔵家に水をさす形になっている。
---ルミネのピアニストとしての問題ははっきり言って当たり前(現代でピアニストとしてやっていくには上手さ+αが必要という話)の話で余りにも捻りが無さ過ぎる。真っ当な流れではあるのでそこは良いとしても作中で完全に解決している訳でもない。
---途中から改善され始めるが、ルミネのキャラクターそのものが他キャラより欠点が大きいものになっているので少々株が落ちている(周囲の問題の方が大きいので一概に彼女自身が悪いとは言えないが)。
--彼女のシナリオのみ才華の歪みが特に解消されることのない話なので浮いている。
--補足すると、いまいちな評価を受けやすいだけで特に矛盾がある訳ではない。一区切りはついているので読了感も悪くはない。
---各ヒロインは立場の違いからそれぞれのシナリオの流れに沿って各自動いている。特にルミネは他ルートの後半で都合の良いキャラの様に動いていることが多いので先にルミネルートをプレイしておくとすんなり話に入り込める。
---ジュニアとは他のシナリオでも関わりがあるが、大瑛はルミネシナリオ以外では出番が少ないのである意味大蔵家ルートとも言える。
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**総評
好評だったシリーズながら主人公と舞台を一新した作品。~
以前との主人公の差異が大きいながら、丁寧にキャラクターとシナリオが構築されていて良作と言えるゲームになっている。~
それなりに賛否両論点や不満点があるものの、シリーズ物でありながら『乙りろ』の時と同じく意欲的に新しい試みに挑戦している気概も感じられる。~
今までの作品が好きな層なら安定して楽しめる作品だろう。

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**余談
-偶然なのか、同じ女装もので本作よりも前に発売された『[[おとボク2>処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー]]』の主人公「御門千早」と才華には多くの共通点がある。
--素直な前作主人公に比べ、ややあくのあるキャラ付け。
--千早は親戚、才華は息子(非公式)と、前作主人公とは他人ではない。
---なお、両者共に多才なのだが千早は親族から何かと見比べられ、才華はデザイン以外が劣っているなど、見劣りという面での共通点もある。
--どちらもクォーターであり、作中で日本人離れした容姿であると描かれている。
---ただし、千早の容姿は外国人の隔世遺伝であるのに対し、才華は純日本人と思われる母親からの遺伝である。
--父親に対して複雑な感情を持っている。
---ただし、才華が反抗期のようなものであるのに対し、千早は明確に不仲でしかも酌量の余地はあるものの父親側に明確な問題がある点が異なる。

-2016年11月25日に、才華のボイスをフルボイス化する為のアペンドディスク、及び本編とアペンドディスクをセットにした『FullVoice Edition』が発売されている。