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無限航路 -Infinite Space- - (2024/08/06 (火) 20:00:03) のソース

*無限航路 -Infinite Space-
【むげんこうろ いんふぃにてぃ すぺーす】
|ジャンル|RPG|&amazon(B0019JNTMW)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|発売元|セガ|~|
|開発元|プラチナゲームズ&br;ヌードメーカー|~|
|発売日|2009年6月11日|~|
|定価|5,500円(税5%込)|~|
|セーブデータ|5個 + オートセーブ((初期状態では「OPTION」でOFFとなっている。))|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~|
|ポイント|スペースオペラRPG&br;壮大なスケールの物語&br;資金稼ぎは厳し目|~|
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#contents(fromhere)
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#center(){{
 &big(){''誰が想像しただろう、DSにここまで壮大な宇宙の物語。''}
}}
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**ストーリー
小マゼラン銀河の辺境の星''ロウズ''に住む少年''ユーリ''は父の形見である超古代遺物''エピタフ''の謎を解き明かすため宇宙へ旅立つ夢を抱いていた。~
しかし、ロウズ宙域の領主が制定した「航宙禁止令」がその前に立ちはだかっていた。~
それでもユーリは、宇宙へ旅立つ者を支援する「打上げ屋」の''トスカ''と共に宇宙へ向かおうとする。

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**概要
『[[クロックタワー]]』『[[御神楽少女探偵団]]』『鉄騎』などを手掛けた河野一二三氏によるSF・RPG。~
宇宙艦隊を率いて銀河を舞台に艦戦を繰り広げる、1980年代のスペースオペラを彷彿させる作品である。~
ヌードメーカーとプラチナゲームズの共同開発であり、プラチナゲームズにとっては日本国内で最初に発売された作品でもある((処女作は『マッドワールド』で海外では『マッドワールド』が先に発売されている。))。

ストーリーは前半の「少年編」とその10年後を舞台にした後半の「青年編」に分かれている。~
時期が移行するとキャラの外見にも変化が現れ、年月の経過を実感させる。特に主人公の変貌ぶりは語り草となっている。~
ゲーム内のムービーはアニメ製作会社のProduction I.Gが制作に携わっている。

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**システム
***クルー(乗組員)
-主人公は艦長で固定である。
--イベントで主人公が不在の場合は強制的に別の登場人物が艦長となるが、それ以外の状況では常に主人公が艦長となる。
--複数の艦船を持っていても、各艦に船長を置く必要はなく、総括して主人公が艦長となる。
--雷砲長やコック長など他の役職も同様に艦隊で1名だけをアサインすることで艦隊全体の挙動に影響する。

-各役職にアサインされたクルーの能力が艦隊全体の挙動に影響する。
--例えば、貨物輸送の報酬は「主計局」にアサインされているクルーの「生活」の値によって多少増減する。
--誰もアサインされていない部署では艦長の能力が反映される場合と、艦長の能力が反映されないものとがある。
---艦長の能力が反映される例&br; 「保安長」に誰もアサインされていない場合、白兵戦では艦長の「格闘」の能力が反映される。
---艦長の能力が反映されない例&br; 「主計局」に誰もアサインされていない場合、貨物輸送の報酬に艦長の「生活」パラメーターによる増減はない。
--このため、主人公の"格闘"の能力がクルー内で1番高い場合は「保安長」に誰もアサインしないほうが良い場面もある。
---逆に、貨物室を搭載している場合は「主計局」に誰かをアサインした方が良い。
--クルーの中には特殊能力を持つ者がおり、その能力とアサインされた役職が合致していると、役職の部門の艦隊の能力が向上する。
---例えば「対艦強化」を持つクルーを「雷砲長」にアサインすると対艦攻撃にプラス補正がかかる。
--地上での白兵戦でも「保安長」(もしくは艦長)の「戦闘」の能力と特殊能力が反映される。
---地上での白兵戦でも「艦隊」の乗組員の総数が戦力に適用される。
-役職に就いているクルーは、戦闘毎にその役職に関連するパラメーターの経験値を得る。&br;経験値が規定値まで上がると、そのパラメーターが1つ上昇する。
--同じ戦闘で得られる経験値は各役職ともに同値である。
--「学習室」などの訓練設備を配置していると、役職に就いている全クルーの訓練対象となるパラメーターが、戦闘ではなく、「航続距離 × 訓練設備の能力」に比例して上昇する。
---例えば「学習室」の場合、役職に就いている全クルーの「医療」パラメーターの経験値と「生活」パラメーターの経験値が航続距離に応じて加算される。

-戦闘時にメインオペレーターもしくは雷砲長にチェルシーもしくはトスカをアサインすると専用CVで戦況報告がある。それ以外のキャラでは男女ごとの汎用ボイスが使用される。
--老人キャラでも熱い青年ボイスになったりと違和感がある場合が少なくないが、逆にそれがユーザー間でネタになっていたりする。
--ゲーム開始直後はトスカが艦長でユーリがメインオペレーターに就いているため、ユーリの専用CVで戦況報告される。

***艦隊
-戦艦の建造は造船工廠で行う。新しく艦船を建造するにはその戦艦タイプの設計図が必要。
--設計図は民間の設計局から買うか、イベントでもらう。特定ルートでしか入手できない設計図が存在する。
--基本的には艦船の種類は一部例外を除いて「戦艦」「巡洋艦」「駆逐艦」「空母」の4種類に分類される。
---「戦艦」は高い火力と耐久力を持つが機動力が低く、対空兵装との相性も良くない。
---「巡洋艦」は平均的な性能で、艦載機迎撃能力も高い。
---「駆逐艦」は開発費も安く、機動性に優れるが性能は低め。
---「空母」は戦闘には不向きだが、モジュール設置スペースが広く、艦載機搭載に特化している。
--造船工廠が全くない宙域もある。

-改装工廠で戦艦の改装が可能。
--兵装改装では、艦砲モジュールの付替えが行える。
--内装改装では、戦艦内のユニットモジュールの付け替えを行える。
---設計図を持っているユニットモジュールのみ追加できる。&br;設計図はモジュール設計局で購入するか、イベントで入手する。特定ルートでしか入手できない設計図が存在する。
---空母であっても、"格納庫"ユニットモジュールを設置しないと艦載機を搭載できない。なお、格納庫はハッチに隣接している必要がある。
---設置した司令艦橋のタイプによって巡航中のコックピット内のCGが変化する。また、同一タイプの司令艦橋でも、艦船の規模に応じて表示が大きくなったり小さくなったりする。&br;なお、司令艦橋は指定の場所(背景が赤いマス)内に収めなければならない。
--「格納庫」ユニットモジュールを設置している艦船に艦載機を搭載できる。
---艦載機を搭載するには搭載したい艦載機の設計図が必要。艦載機の設計図は艦載機設計局で購入する。

-科学ポイントが規定値まで蓄積すると「設計強化」イベントが発生する
--科学部門にクルーをアサインすると航続距離に応じて科学ポイントが蓄積する。また「科学ラボ」を設置すると航続距離に応じて科学ポイントが蓄積する。
--科学ポイントが規定値まで貯まった後に宇宙港に入港すると「設計強化」イベントが発生し、旗艦としている艦船の「設計強化」を行うか問われる。
---「強化する」を選択すると、旗艦と同タイプの艦船の性能の強化を行える。強化出来るパラメーターについて3つの候補が提示され、うち1つを選ぶこととなる。
---強化されるのは「旗艦と同タイプの艦船」であるため、艦隊内に同タイプの艦船があれば同様にパラメーターが向上し、その後に新しく同タイプの艦船を建造してもその恩恵を得られる。
---「強化しない」を選択すると、次回の宇宙港の入港時に持ち越しとなり、再度「設計強化」イベントが発生するため、「行わない」を選択後に旗艦を別のタイプに乗り換え、再度「設計強化」イベントを発生させることで別のタイプの艦船に対して設計強化を行える。
--同じタイプの艦船を設計強化し続けると設計強化に必要な科学ポイントが増えていく。
---このため、旗艦を新しいタイプの艦船に乗り換えた直後に設計強化イベントが連続して発生することがある。

-航行中はクルーの疲労度が溜まっていく。疲労度が多いと後述のCTの上昇が遅くなり、戦闘時に不利となる。
--「食堂」「シップショップ(売店)」「全天展望室」などといった娯楽系モジュールを配置して艦の居住性を上げれば疲労度の上昇を抑えられる。
--疲労度は宇宙港に入港すれば全回復する。

-戦闘に加えられる艦船の数は主人公の能力による
--ゲーム中で戦闘に加えられる艦船の数は当初は1隻だが、イベントによって増加していく。
--宇宙港から出港前にあらかじめ戦闘に加えたい艦船を「空間通商管理局」にて「艦隊」に加えておく必要がある。
---「艦隊」に登録していない艦船は戦闘には加わらないが随行しているらしい。たとえばトスカが最初に載っていた船は一度降りるとその後は「艦隊」に加えられないが付いて来ている。
---同様に、ゲストが「艦隊」に加わるイベントではそれまで「艦隊」に入っていた艦船を「艦隊」から外す必要があるが、それで失われるわけではなく、イベント後は「艦隊」に戻せる((チャプター8最終盤でゲストが「艦隊」から外れるが、その場面ではそれ以前に「艦隊」入っていた艦船を「艦隊」に戻すことは残念ながら不可能。ただし、次のチャプターでは「艦隊」に組み込める。))。
--''艦隊''には前列,中列,後列がありどの列も3隻まで登録できる。うしろの列ほど敵からの攻撃が当たりにくく、敵に攻撃を当てにくい。これは敵も同様である。

-整備部門にクルーをアサインすると戦闘中および航行中に艦船のHPが回復する。回復量はアサインしたクルーの「整備」の能力に依る。

-出港
--「出港」アイコンをタッチすることで宇宙に旅立つ。港がない宇宙空間から移動する場合もなぜか「出港」となる。%%''出発''でよかったんじゃないだろうか。%%
--「出港」アイコンをタッチすると宙域のマップが表示される。宙域マップは3次元で表現されており、宇宙なのに平面なマップしかないゲームが多い中では斬新な表現となっている。
---ただし宙域全体を見渡せず、宙域の全体像を把握しにくいものとなっている。

***戦闘
-航行中のランダムエンカウントとイベントの戦闘がある。
--艦隊の航行速度が遅いとランダムエンカウントしやすい。なお、艦隊の航行速度は艦隊内の一番航行速度が遅い艦船の航行速度となる。
--戦闘に勝つと''名声''が上がる。戦闘から逃亡しても名声は下がらない。
--戦闘によってはランダムエンカウントであっても「逃亡不可」「白兵戦不可」などといった条件が付く場合がある。
--艦隊の設定で1番目に設定した''旗艦''が撃破されると他に艦船が残っていてもゲームオーバーとなる。

-宇宙空間の戦闘だが、1次元に単純化されている
--相手との距離が装備している兵器の有効射程内でないとダメージを与えにくい。また、レーダーの索敵距離内でないと命中しにくくなる。
--相手との距離がほとんど無い場合は、接舷して相手艦船に乗り込んで白兵戦を仕掛けられる。
--このため、「前進」「後退」「待機」によって相手艦隊との距離を調節する必要があるが、1次元に単純化されているため回り込むなどの高等な機動戦術は使えない。

-戦闘中はCT(コマンドタイム)が貯まると各種コマンドを実行できる。
--通常コマンドとして「通常攻撃」「砲撃斉射」「回避機動」がある。
---「砲撃斉射」は「通常攻撃」の倍のCTが必要だが3倍のダメージを与えられる。しかし相手側が「回避機動」を行っているとほとんど当たらない。
---「回避機動」中は敵の「砲撃斉射」や特殊攻撃をほぼ回避できるが、「通常攻撃」を受けると通常の倍以上のダメージを受ける。
---相手艦隊の前列の艦船ほど命中させやすく、後ろの方の艦船ほど命中させにくい。
---艦隊(敵及び味方)のCTの溜まり具合はオーラ(?)のような表示で確認できるが、どうしてそういう方法で確認できるのかという原理などはゲーム内では一切触れられていない。
--相手との距離がほとんど無い場合、白兵戦を仕掛けることが出来る。白兵戦は距離を離される以外の方法で避けられることはない。
---白兵戦を仕掛けると白兵戦専用画面に移行する。白兵戦に勝つと戦闘は勝利となる。負けるとゲームオーバー。白兵戦で撤退すると艦隊での戦闘を続けることとなる。
--艦載機を搭載している場合、相手との距離に関係なくCTを消費して発進させて攻撃させられる。
---艦載機が相手艦隊と交戦中は敵は移動できない。これは自分にも当てはまる。
---自艦隊の艦船が対空砲を装備している場合、敵の艦載機の対してCTを消費して「対空迎撃」を行えるが、「回避機動」中は「対空迎撃」を行えない。
---双方が艦載機を出撃させた場合は艦載機同士が鉢合わせたところでお互いに交戦する。
---艦載機が全滅した場合、修理が終わり次第再度、CTを消費して艦載機の再発進が可能。修理にかかる時間は整備部門に配属したクルーの能力によって短縮可能。

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**評価点
-壮大なスケールで描かれるストーリー
--2つの銀河を舞台に幾つもの宙域を股にかけ、多くの惑星を巡る壮大な物語であり、古き良きスペースオペラの雰囲気を十二分に味わえる。
--「誰が想像しただろう、DSにここまで壮大な宇宙の物語。」というキャッチコピーを打ち出すだけあり、そのスケールは群を抜いている。
---当初は宇宙に憧れる少年の冒険譚的な内容だが、やがて星間戦争や宇宙そのものの存亡を賭けた戦いという途方もないスケールの物語へと発展していく。
---そのスケールだけにボリュームも多く、主人公の成長、強敵との戦い、和解、仲間との死別と言ったドラマチックな展開や、コロニー落としに超新星爆発などと言った大規模なイベントもたっぷり詰め込まれている。製作者は1周のプレイ時間は60~70時間程度と見積もっている。
---序盤は国家間のいざこざがメインで一見王道のスペースオペラであり、堅い科学用語も飛び交うが、序盤から伏線が張られているようにストーリーには多分にファンタジーも含まれる。
---古典SFのみならず、近年のSF作品の影響も見られ、新旧入り混じった膨大なSF設定、考察によって世界観が構築されている。
--登場人物も多く、且つ個性的な面々が揃っており、様々な思惑が交錯する濃厚な人間ドラマが展開される。
--対立する勢力のどちらにつくかを主人公が選択可能なチャプターが数カ所あり、ストーリーが分岐するためその間の敵対関係および仲間になるクルーや入手できる設計図などが異なってくる。

-ムービーの質が良い
--Production I.Gが関わってるだけあって、DSの画質にもかかわらず思わず見入ってしまう物となっており、本作の壮大な世界観を描き切るために不可欠な要素だったともいえる。
--残念ながらムービーをリプレイする機能はないが、公式サイトでさらに複数のアニメムービーが視聴可能となっている。
---ただし、OPムービーと実際のストーリーでは微妙に違う箇所がある((チャプター1の最終決戦の場所が違い、人質のいる場所も異なる。また、OPムービーで主人公が乗っている艦船はチャプター3以降でしか載れない。))。

-宇宙艦隊の戦闘を演出するボイス
--戦闘時の戦況報告や主人公が指示を出す様子も本格的でSFファンの心をくすぐり、宇宙艦隊を率いる気分にどっぷり浸らせてくれる。もちろん、スキップも可能。
--汎用ボイスの男性バージョンはかなり威勢が良く、プレイヤーの気分も高揚させてくれる。前述したように、アサインするクルーによってはシュールになってしまうが…。
--基本的にボイスは戦闘のみだが、主人公のユーリ役は少年編は朴璐美氏で、青年編は森川智之氏。ヒロインのチェルシー役に新谷良子氏と、大手声優を起用している。新谷氏はチェルシーの少女時代と成人後をしっかり演じ分けている。
---さらに、チュートリアル戦闘のみ最強の宇宙海賊・ヴァランタインの艦隊を操作するため''だけに''銀河万丈氏がヴァランタイン役として起用されている。

-艦船設計の面白さ
--カスタマイズの自由度は正に無限大。内装モジュールによって性能ががらりと変わる為、状況に応じて適切な設計に組み上げたり、理想の艦隊を目指して改良を重ねたりと試行錯誤が面白い。
---なお、ランダムエンカウントの敵はその宙域で設計図を入手できるタイプの艦船であることが多く、自艦隊のカスタマイズを行わないと敵とほぼ同性能ということになり苦戦を強いられることとなる。
--限られたスペースに上手く内装モジュールを当てはめて高性能の艦船を作るという、パズル的な面白さもある。

-充実のやり込み要素
--艦船のコンプリート、クリア後のエクストラモードとやり込み要素も豊富。
--エクストラモードでは本編では仲間にならないクルーや入手不可の艦船も多く、完全制覇を目指すならプレイ必須である。
--果ては、少年期の時点で最強のグランヘイム級を手に入れるというやり込みすら可能。

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**賛否両論点
-経済ゲーム的な部分が簡素化されている
--移動にかかる燃料や、乗組員の賃金などの諸経費は手持ちの資金から差し引かれない。なんと修理費も無料となっている。
---ところが、船内に「シップショップ」という売店のモジュールユニットを設置すると、乗組員がシップショップを利用したことによる売上が手持ち資金に加算される。
---このモジュールの存在から、本当はもう少し経営シミュレーション的なところまで踏み込みたかったのではないかとも思われる。
--交易は''貨物室''モジュールユニットを搭載するだけで勝手に行われる
---交易ゲームのように各地の物価の値動きを読んで仕入れたり売ったりする必要はなく、ただただ 「''貨物室''モジュールユニットのレベルに因る係数 × 貨物搭載数 × 航続距離 × ''主計局''にアサインされたクルーの能力に因る補正値」に応じて交易による収入が得られる。
---本当に航続距離だけで収入が決まるため、出発した宇宙港と同じ宇宙港に帰港した場合でも収入が得られる。
--これらの経済ゲーム要素の簡素化について、「煩雑過ぎず良い」と感じる人と「やや物足りない」と感じる人の賛否両論がある。

-終盤がやや駆け足
--最終盤になるとそれまでの環境を大きく覆すような大事件が起きるのだが、以降はそれまでに比べると描写がやや薄めになり、展開も駆け足気味で進む。
--ストーリー自体は盛り上がるもの、エンディングは演出もかなりあっさりで壮大なストーリーに見合うフィナーレとは言い難い。

-死亡イベントが非常に多い
--『クロックタワー』や後に発売された『[[戦律のストラタス]]』などの河野作品の例に漏れず、とにかく人が死ぬ。特に本作は銀河レベルのスケールであり、死者数は比較にならない。
--「住民の死亡者は50万人をくだらない」「惑星ごと破壊される」という惨劇イベントの他、登場人物もかなり死ぬ。恩人すらあっさりと死ぬ。
---あっさり死ぬ人達は「軍人とはそういう職業」「0Gドッグ((本作内で宇宙を旅する人間を指す。))を選んだ以上しかたない」と諦観している。そういう世界観のゲームである。
--上述したようにエンディングもあっさりで、多くの死の果てに辿り着いた結末なのにその人々の命が報われたという実感が薄い。

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**問題点
-漢字表示が好ましい部分でのひらがなの使用がある
--容量節約で使用頻度の低い漢字を抑えていると言う理由がある。本作のボリュームを実現するには仕方ない側面はある。
--しかしながら、休息を「休そく」と表記するなどと不自然な混ぜ書き表記が目立ち、FC時代に戻った気分になり、ゲーム全体を古臭く感じさせるのも否めない。
--また、例えば宇宙船のユニットパーツ"食堂2"は、内装改装画面では「食堂2」と表示されるが、会話画面では「食どう2」「食どう6」と表示される点もあり、さすがにこのような不統一なものはプレーヤーを混乱させるので避けるべきではなかっただろうか。

-資金稼ぎについて
--ミッションが少ない
---一部酒場にてミッションを受けることが可能だが「ミッションを受ける」を選んでも、常に「今は手頃なミッションがありません」しか表示されない酒場が多い。
---ごく少数の酒場では期間限定でミッションを受けることが可能だが、その期間の縛りが一部強過ぎる。
---たいていは、「チャプター中盤からそのチャプターのボス撃破まで」で、これならばわりと常識的な期間だと思われるのだが、「その宙域を訪れてからそのチャプターの序盤のイベントが起きるまで」「ボス撃破からその宙域を離れるまで」というものがあり、もはや隠し要素である。
---しかも、一度クリアしたミッションは復活しない。
--ザコ敵の報酬も少ない
---少年編チャプター2の宙域のザコ敵は初見では逃げるしか無いが、これを倒して得られる報酬は360~390Gであり、このザコ敵とまともに渡り合うには最低でも7200Gの戦艦が新たに必要で、まだ序盤のために戦闘のシステムに十分には慣れていないこととも相まって、新艦購入までに何度もゲームオーバー画面を見るハメになる。
---少年編チャプター6~8のマゼラニックストリーム宙域では主人公の艦船では歯が立たない敵が出現し、さすがに報酬は1隻あたり370Gとそこそこだが常に1隻で出現するため、1戦当たりの稼ぎはチャプター2の頃と変わらない。
---ところが、この頃はバザールなどで出費がかさむため、資金繰りはかなり厳しい。
---マゼラニックストリーム宙域のある人物が"名声"をお金に替えてくれるという救済措置のようなものがあるにはあるが、ゲーム中には''名声が低いと売ってもらえない品物''(主に設計図)があり、名声が低すぎると青年編開始時に詰む可能性もある((10年もブランクがあり、少年編の艦船は青年編では時代遅れの代物と化しているため、少年編の艦船しか無い青年編開始直後ではザコ敵とすら渡り合うのは難しい。))。
--経済ゲーム要素を強めて交易で一発逆転できれば資金繰りも楽しめたかもしれない。

-人型艦載機が1周目では使用不可
--人型機が存在する事が説明書にも堂々と書いてあるのだが、実際は2周目以降とエクストラモード限定である。
--なお、人型艦載機は通常の艦載機の2~3倍の格納スペースを必要とする。

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**総評
戦闘システムがRTSのような感覚の独特な物で、ストーリーにもシビアな展開が多分に含まれるなど、まるで宇宙の厳しさを表現するかのようなとっつきにくさがある。~
しかし、戦闘は戦術が確立できればそこまで複雑なものでもなく、その他の要素も慣れてしまえば艦船設計の面白さやDS史上類を見ない壮大なストーリーも相まってプレイヤーを宇宙の旅に引き込んでくれる。~
DSを持っているのであればやらないなんてもったいない大作と言えよう。

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**余談
-本作はプラチナゲームズが開発したゲームの中で唯一の携帯機専用作品となっている。