この記事では『スターグラディエイター』と続編である『スターグラディエイター2』(共に判定なし)の2作品を紹介しています。 ---- #contents(fromhere) ---- *スターグラディエイター 【すたーぐらでぃえいたー】 |>|ジャンル|3D格闘アクション|&amazon(B000069TCX)| |>|対応機種|アーケード(ZN-1)&br;プレイステーション|~| |>|発売・開発元|カプコン|~| |稼動開始日|AC|1996年7月16日|~| |発売日|PS|1996年10月25日|~| |>|定価|5,800円|~| |>|配信|ゲームアーカイブス:2011年2月9日/600円|~| |>|判定|なし|~| **概要 アーケードビデオゲーム事業において3D技術を用いた作品が徐々に増えてきた1990年代半ばにリリースされた、カプコン初となる3D対戦格闘ゲーム。((これより前の1995年にカプコンはAC版『闘神伝2』を発売しているが、開発はタムソフト。))~ 世界観はスペースオペラであり、映画『スターウォーズ』シリーズのオマージュ作品とされている。 サブタイトルは『EPISODE:I FINAL CRUSADE』。 **ストーリー > 時は24世紀の地球。~ 近年、接触が始まった異星人との問題発生に備え、地球連邦では人間の思念により発生される「プラズマパワー」を基にした~ 兵器の開発が行われていた。しかし、発明者でもあるビルシュタイン博士が兵器開発のために人体実験を行っていた事が発覚し、~ 彼は太陽系外にあるゼータ連星の軌道上を周回する終身独房に収容され、プラズマ兵器開発は中断された。~ それから4年後、ゼータ連星にある連邦軍基地が「第四帝国」と名乗るたった数人の何者かによって壊滅させられた。~ 脱獄したビルシュタイン博士が帝国の皇帝となり、地球を征服するために復活したのだった。~ 帝国に対抗するにはプラズマ兵器しかないと判断した連邦軍は、思念に優れた人物を集め、ゼータ星にある敵の本拠地を叩く作戦に出た。~ コードネームは「スターグラディエイター」。望みは彼らに託された。 **主なシステム 1P(画面左側)のキャラを基準に記載する。 -8方向レバー+4ボタン制。 --A(縦斬り):武器を振り下ろす動作の場合、基本的にはしゃがみガード不能の中段属性。 --B(横斬り):相手の横移動にも当たりやすいが、出の速い中段攻撃が少ない。 --K(キック):斬り攻撃に比べてダメージやリーチの点で及ばないものが多い代わりに、後述のプラズマリバースで捌かれない利点を持つ。 --G(ガード・軸移動):ガードは武器攻撃の出掛かりをキャンセルしたり、後述するプラズマコンボの追加入力を途中で強制的にリセットしたりと「特定の行動に対する中断行動」としても機能する。 -当時の3D格闘ゲームで取り入れられていたリングアウト制を採用。((プレイステーション版ではアーケードモードクリア後にオプションでリングアウトの有無を切り替えられる。)) -一般的な2D格闘ゲームと骨組みが異なるためか、「削り」の概念は搭載されていない。 ''プラズマコンボ'' -本作を象徴付ける、ルート分岐を伴う追加入力式の派生コンボ。~ A/B/Kの各種始動ルートからキャラ毎に設けられた専用のコンボルートへ派生し、最大で5段までの派生攻撃に展開出来る。~ コンボルートは樹形図のように分岐・合流しており、各キャラはAタイプ/Bタイプ/Kタイプの3パターンあるルートの何れかひとつに分類されている。~ 次項の固有技を繰り出すルートも。 -キャラクター毎に、特定のコンボルートを5段目まで発動→さらに特定のコマンドを入力することで強力なフィニッシュ技「プラズマファイナル」を発動できる。 ''固有技'' -レバー入力を伴うコマンド技全般。236や63214などお馴染みのレバー入力だけでなく、レバー1方向+ボタンの技も多彩。 ''プラズマリバース'' -点滅エフェクトを発しつつ専用の構えを取る。ここに相手の武器攻撃が重なると発動する攻防を兼ね備えたシステム。 --プラズマリベンジ(いわゆる当て身投げ。←+(A+G)/(B+G)) ---A+Gは相手のA攻撃、B+GはB攻撃を受け流し、大ダメージを与えて崩れ落ちダウンを誘発させる。 --プラズマリフレクト(いわゆる弾き。→+(A+G)/(B+G)) ---こちらは相手の武器攻撃を弾き、短時間硬直状態とする事で追撃が出来る。~ 確認は難しいが、ここからの追撃次第ではプラズマリベンジを上回るダメージを与える事も可能。 ''プラズマストライク(A+B+K)'' -全身から閃光を発しつつ繰り出す、1ラウンド中1回のみ発動出来る超高威力の中段技。発生が遅く通常ガードで防げるが、プラズマリバースで返す事が出来ない利点がある。発動時の動作は各キャラ毎の通常攻撃の動作を流用しており、リーチが長いキャラであれば意表を突くタイミングで出す価値はあるだろう。 #region(その他、移動や起き上がり攻防など細かな仕様について) ''ファストムービングシステム'' 特殊な入力を伴う事による様々な方向への移動。 -ステップ(素早く→→/←←入力) --前方/後方へ一定距離を素早く踏み込む。キャラにより速度が異なり、間合いを調節するのにも得手不得手が存在する。 -ダッシュ(ステップ入力後に→入力維持) --ステップから間髪を容れずに前方へ走り続ける、いわゆるランタイプの高速移動法。 -ダッシュ攻撃(ダッシュ中に攻撃入力) --ダッシュ攻撃は軒並み発生の速さと前方移動に伴うリーチの長さを併せ持つ。その分相手にめり込みやすく、ガードされた際には反撃確定となるものが大半となる。 --基本的にはダッシュ武器攻撃はAとBで共通で、「ダッシュ武器攻撃/ダッシュK」に区分される~ (AとBで動作が異なるハヤト、ダッシュ武器攻撃で武器を使用しない2段回し蹴りを出すためにプラズマリバースを無効化出来るゴアなど一部例外あり)。 -しゃがみダッシュ(236+G) --姿勢を屈めてのダッシュ。食らい判定が狭くなった状態を維持しつつ相手に接近出来る。~ 後述する上段背後攻撃や起き上がり攻撃といった強力な攻撃を回避しつつ相手の懐に潜り込めるので、読みの要素としては結構なアドバンテージを持つ。~ 名称こそダッシュだが、性能としてはステップと同様なのでダッシュ攻撃を出す事は出来ない。~ -回り込み移動(→+G) / 真横移動(←+G) --主に縦斬りへの対策として機能する軸移動システム。回り込み移動は正位置から画面手前に、真横移動は画面奥に相手を中心に円軌道で移動する。 ---後述する武器持ち替え状態では反転入力処理が行われる仕様上、軌道が逆となる事は把握しておきたい。 ''投げ(A+B同時押し)'' -至近距離でのガード崩し手段。カプコンの格闘ゲームにおける標準搭載のシステムとしては明確に同時押し入力を伴う必要がある(所謂「投げ仕込み」での自動2択を排除した)初のタイトル。立ち投げ/しゃがみ投げ/背後投げの3種類の通常投げが存在。 -背後投げは立ち状態でのみ成立。 ''背後攻撃'' 本作では相手との立ちサイドが入れ替わった際、相手側へ振り向くには手動でそちらへの方向入力が必要となる。~ この振り向き動作を伴わないままの「背後振り向き状態」から攻撃ボタンを入力すると、即座に相手方向に振り返りつつ「背後攻撃」を繰り出せる。 -上段背後攻撃(レバーニュートラルで入力) --傾向としてリーチ、威力の面で優れる。キャラによっては何れかのボタンが専用動作で繰り出す強力な固有背後攻撃となる。 -下段背後攻撃(レバー下入力維持状態で入力) --姿勢が低いので結構な数の立ち攻撃を回避しつつ攻撃出来る上に発生が早く、反撃を受け難い。~ その分リーチと威力に関しては上段背後攻撃に比べて劣るものが多い。 ''追い打ち(相手ダウン時に↑+攻撃ボタン)'' ダウンした相手には仕様として食らい判定が付属したままなので、 攻撃判定を接触させる事でのダウン追撃自体は様々な技で可能だが、その際の威力は大幅に減少する。~ サブシステムとしてこちらの追い打ちは専用動作で行われ、威力が非常に高いものとなっている。 -追い打ち(大)(武器攻撃追い打ち) --高々度まで跳び上がって繰り出す、高威力の追い打ち攻撃。カメラワークの関係上、後述の起き上がり入力で簡単に対策されるのが泣き所。 -追い打ち(小)(K追い打ち) --こちらは通常ジャンプより低い高度で飛び上がって繰り出す。追い打ち(大)と違って狙い所はあるが、それでも起き上がり入力で交わされやすい。 ''起き上がり'' ダウン状態から復帰する際、方向入力及びボタン入力で多様な起き上がり行動が可能。 -その場起き上がり(無操作) --移動を伴わない通常の起き上がり。復帰が遅いので追い打ちが確定するというデメリットがあるためほぼ使われない。 -前方起き上がり(→入力) --ヘッドスプリング動作を伴う移動起き上がり。俊敏性があるものの相手と密着状態で復帰するため、相手からの持続重ねによる起き攻めを続けて食らう危険性も伴う。 -後方起き上がり(←入力) --後転動作で間合いを離す移動起き上がり。比較的安全に復帰出来るが、フィールドの位置によっては自らリングアウトしてしまう結果に繋がりかねないので注意。 -横転起き上がり(G入力) --軸をずらしての移動起き上がり。追い打ちや起き攻めを回避する分には非常に使い勝手がいい。前後への間合い調節は不可。 -起き上がり攻撃(K入力) --中段性能+吹き飛びダウン効果付属。K入力故にプラズマリバースされないのが大きな利点。~ 起き攻め防止策として単純に強力で、特に前方移動起き上がり後に続けて出すか否かで相手に逆2択を迫るという選択肢も生まれる。 -起き上がり下段攻撃(↓+K入力) --こちらは下段性能+転びダウン効果付属。上記起き上がり攻撃も含めると、ダウン状態から中段/下段/投げといった択一行動を迫る事も可能。 -起き上がり対空攻撃(↓↑+K入力) --跳躍して上方向に攻撃する対空攻撃。立ち&しゃがみのどちらでもガード可能な上段性能+間合いが離れないダウン効果付属。起き攻めのジャンプ攻撃の迎撃に。 -空中攻撃は一律して相手をダウンさせる攻撃となり、縦横の区別なくAとBで共通動作となる他、K同様にプラズマリバースを無効化する。 -全ての空中通常攻撃は、昇り中で出す場合と下り中で性能が異なる。 ''振り向かせ/武器持ち替え (←+B)'' 前方に攻撃しつつ武器をもう片方の手に持ち替える、いわゆるサウスポースタイルとなる。~ 攻撃、構えとして以下の特色を持つ。 -ヒット、ガード、空振りに関わらず構えが反転するため、接触&攻撃の判定/軌道に影響を伴う。B攻撃全般、回り込み移動/真横移動で顕著。 --相手との立ち位置を示すものとして、夫々の足の向きから「正位置(両者通常状態)」と「ハの字(片方が武器持ち替え状態)」で区別出来る。~ ハの字状態では当たらない技や成立しないコンボも存在するため、それらへの知識や対応はとても重要。 -ヒットした際、相手は強制的に背後振り向き状態となる。 --振り向き時の仰け反り時間が長く、発生の早い攻撃が繋がるので地上コンボの起点として活用しやすい。~ 相手の対応も発生の遅い背後攻撃/ダッシュで間合いを離すかの何れかに限定されるため、次の行動の予測も取りやすくなる。 #endregion **キャラクター #region(プレイヤー側で9人+隠し2人、CPU専用(ラスボス・真ラスボス)2人の合計13人。) ~ ''地球連邦軍スターグラディエイター'' -ハヤト --孤児達のリーダーであった自分を引き取ってくれた児童福祉施設の園長が騙されて背負った莫大な借金を育ての恩義から返済するため、~ 既に決まっていた就職の道を捨てて賞金目当てでスターグラディエイターに志願した、本編の主人公。~ 武器はプラズマブレード。プラズマコンボはタイプAに分類。 #region(主な性能) -AABからの中下段の揺さぶり、キャンセルガードを仕込んだ中段の単発Aと立ち状態限定で成立する空中追撃可能なコマンド投げ「白虎砲」の2択+α、~ 発生の早いダウン効果の背後攻撃「弧月」、コンパクトな挙動でこちらもダウン効果の「飛燕」、非常に威力の高いダッシュKなどが強い。~ 反面、K始動プラズマコンボは2段目までは立ち、3段目以降はほぼしゃがみガードで完全対策される、~ 発動時の硬直が長過ぎてあっさり潰される「円月」「阿修羅」、連続ヒットしない割にガードされると反撃確定な上に武器持ち替え状態となる「鋭刃雷影脚」~ 阿修羅の発動自体が厳しい割に「真阿修羅」~「紅蓮乱舞」/「激塵破天」/「修羅道」~「極雷鳴斬」と使い道が殆ど存在しない派生技が無駄に多い、~ 他の多くのキャラが持つ長距離移動技を一切持たないなど、性能を知る程に実用性のあるものとそうでないものの差が顕著に表れる両極端なキャラ。 #endregion -ジューン --本作の紅一点、香港生まれの新体操選手。中国の革命により家族でイギリスに亡命するが、ビルシュタインの研究所に単身赴任した父が事故死、~ それに伴う母親の自殺と不幸が相次いだ矢先、父の死に関して不穏な影を聞いた事でビルシュタインへの復讐を果たすためにスターグラディエイターに志願。~ 武器はプラズマサークル。プラズマコンボはタイプKに分類。 #region(主な性能) A始動2段目のA/Kはどちらもリバースされず、さらにリバースされない3段目のK~相手の背後に跳んで振り返り攻撃するため割込みがほぼ当たらない4段目のAと~ 性質のいい技が多く、BB/KBからは隠しルートでB/2Bに繋がる、単純にKKKの固め押しも強いという風にプラズマコンボの押しはトップクラス。~ 対空技の「シャインドリーム」、発生が早い上にダウン効果の「プロミネンスキック」、下段~中段の連携で反撃を受けない「ヒールキックコンボ」、~ 素手攻撃の「トゥインクルフィスト」、浮かせ技の3Kなども含めて固有技の大半がリバースされず、半ばこのゲームの読み合いを放棄出来る性能を持つ。~ また、発生はやや遅いものの投げ間合いが広く、1キャラ分の距離を掴めるので崩し能力も高い。~ これらの手数と押しの強さを踏まえた利点の数々とバランスを取る様に、全体のリーチと単発火力は控えめとなっている。 #endregion -サターン --惑星サターン出身の大道芸人。地球視察命令の実行中に大道芸人がヨーヨーを操る姿に魅せられ、技術提携のために地球へと来訪する。~ 一般人との接触を禁じられていたために芸を披露出来ずにいたが、スターグラディエイターに志願した傭兵達を取り纏める指揮官としての任務を聞き、志願。~ 武器はプラズマヨーヨー。プラズマコンボはタイプBに分類。 #region(主な性能) どのルート始動でも4段目と5段目が何れも中・下段のどちらかとなるので二択+αを迫れるプラズマコンボと、中間距離での単発の差し込みが要となる。~ 固有技の「タッピングアタック」「アクロバットコンボ」は発動モーションの長さ故に発生が遅く、フルヒットしてもダメージが低い上に技後の状況も不利。~ 「トラビーズコンボ」「ダブルサプライズ」「ダンシングフット」は中・下段を揺さぶれそうでいて、追加入力が連続ヒットせずそれ単体では使い難い。~ 浮かせ技はこれまた発動モーションが分かりやすいので狙い難く、追撃も総合的に大した威力にはならない…といった風に固有技を用いた近距離が苦手な一方で、~ 中距離以上の間合いでは火力を引き出せず、決め手となる要素を持たないのが最大のウィークポイント。~ 固有技のリーチの長さは他の追従を許さない程に長いものの、牽制&差し込みの「次の行動」をリバースで対策されやすく中~遠距離戦での限界も見えやすい。~ これら諸々の点で、空振りでの派生や強制リセットと合わせてプラズマコンボを強引に当てて行かなければ勝ちは覚束ない、難儀な性能に悩まされる。 #endregion -ガモフ --緑豊かな惑星デローザ出身の賞金稼ぎ。病弱な母と弟たち家族を養うために木こりの仕事で一家を支えてきたが、~ 地球と貿易協定を結んでからというものデローザは麻薬で荒廃してしまい、やむなくフリーの賞金稼ぎへと転身する事になってしまう。~ 優しい性格故、賞金第一で誰でも殺す様な他の賞金稼ぎとは肌が合わなかったが、ハヤトと知り合った事で意気投合。共にスターグラディエイターへと参加する。~ 武器はプラズマアックス。プラズマコンボはタイプBに分類。 #region(主な性能) AorB始動3段目のK以降のルートは全てコンボとして成立し、また、どの始動技からも4段目の前転から投げルート~ファイナルまでを実戦で狙える数少ないキャラ。~ 固有技は破格の性能で、隙の少ない浮かせ技の3Aからの「ガモターニングアタック」での追撃や「ガモトルネード」は6割を超える程の大ダメージを叩き出し、~ コマンド投げの「ガモスクリュー」や、掴み~追撃の「ガモホームラン」も単体で体力最大値から優に半分を奪い、これを意識させた上での~ しゃがみAから中・下段を揺さぶれる2種類の固有技の押し付けも非常に強力。この上更に「後ろ回り込みジャンプ」「前転」といった長距離移動技を兼ね備え、~ その鈍重そうな見た目に反して軽快な動きと崩し能力&一発の破壊力を併せ持った、「高機動・決定打満載」の本作きっての荒らしキャラとしての性能を秘めている。~ その分直線的な動きで行動を読まれやすく、また、プラズマコンボは始動・派生を含め下段攻撃が一切存在しない。~ 上記に挙げた4段目の前転~投げ/下段の択はジャンプで完全対策可能といった調整はしっかりと設けられている。 #endregion ''第四帝国'' -ゲレルト --スペイン生まれの闘牛士。単身ゼータ星に闘牛の興行に来ていたところ、活躍を妬むライバル闘牛士の陰謀により家族を拉致され、彼自身も追われる事に。~ そこに監獄を抜け出し地球征服準備中のビルシュタインが現れ、家族を助けるためには地球に攻め入るしかないと唆され、第四帝国に入隊する。~ 武器はプラズマサーベル。プラズマコンボはタイプAに分類。 #region(主な性能) レバー1方向入力の固有技の多くがオーバーな動作でガードされた際に反撃確定となり、同様のモーションに派生するプラズマコンボでの中段技全般も見切られやすい。~ その分コマンド入力を伴う固有技の性能に優れており、中段技で移動距離がそこそこあり、初段はリバースされない上に2段目も連続ガードとなる「フライングマタドール」、~ 円軌道の水面蹴りで軸移動に強く、こちらもリバースされない3Kからの「ブラッディフラメンコ」、~ 鋭い踏み込みから反撃を受けないA連打orコンボとして成立するKのどちらも美味しい「サンダートゥシュ」~「サザンアロー」、~ サンダートゥシュの踏み込みを省いてその場で突きを連打する、非常に発生の早い「アンダルシアストーム」、~ 同様に踏み込みと発生に優れる上にガードさせてなお有利、加えてリバースされない「ラピッドエルボー」といった、単体で押しの強い技を豊富に持つ。~ 正面からの硬め能力の高さで相手を防戦に追いやり無理矢理投げを狙うといった戦法が中心だが、故にジャンプ攻撃や軸移動攻撃には脆い。 #endregion -ベクター --ビルシュタインが地球征服に対する切り札として制作した殺戮ロボットの試作機。体内にプラズマパワージェネレーターを搭載し、~ それにより生み出される強力な兵装でゼータ星に駐留していた地球連邦軍を一瞬にして壊滅させた程の性能を有している。~ 武器はプラズマガン。プラズマコンボはタイプBに分類。~ ~ ちなみに2のオメガはあくまでプロトタイプとしてそれ以前に作られ、採用されずに破棄されたもの。 #region(主な性能) コンボとして成立するAAKorBBKルートからのBが移動投げとなり、崩しの一環として強力な性質を誇るほか、~ 同様にコンボとして成立するBAKルートからは間合いを離して完全に仕切り直しに持ち込めるA、ここからBorKで屈み状態か軸移動のどちらかで回避する必要がある~ ガード不能レーザーの2択を迫るハイリスクハイリターンな攻めも選択肢として抑え、武器攻撃からのプラズマコンボルートは3段目までは強気に出していける優秀な性能が光る。~ また、KKルートからの隠しルートとして設けられている6K>4K>6Kでリバースを気にせずひたすら相手を押して露骨にリングアウトを狙うというクレバーな戦法も取れる。~ 固有技はこのゲーム唯一の純粋飛び道具としての性能を持つ6A、3A、4Bの振り向かせ攻撃での中~遠距離戦の主導権を握りやすく、~ 他にも上記のプラズマコンボでも派生ルートに存在するガード不能の「ホリゾンタルレーザー」、同様の性質で発生が非常に早い固有背後攻撃の「バーティカルレーザー」、~ 決まれば非常に痛い総合ダメージを叩き出す背後投げからの追撃「ラストシューティング」、癖のない挙動で使いやすい「ホバーストライト」「バックローラーダッシュ」など~ 使い勝手のいい技の数々に恵まれている。反面、中距離以上の間合いで飛び道具やレーザーに確実に対策を取られた場合は一気に攻め手が激減してしまう脆さも。 #endregion -リムガル --ビルシュタインの研究所に単身赴任していたジューンの父・マイケルがその高いプラズマパワーに目を付けられ、~ ビルシュタインによって「最も凶悪な恐竜」ティラノサウルスのDNAと合成させて作り出された恐竜人間。~ 人格はマイケルのままに脳内にバイオコントロールチップを植え付けられ、意のままにコントロールされてしまっている。~ 武器はデスボーン(プラズマ兵器ではなく、先端に頭蓋骨を模したロッドである)。プラズマコンボはタイプKに分類。 #region(主な性能) 確定ダウンを奪えるAKAorBKAルートを主体に、2段目まで一括入力してガードされていた場合は強制リセット~反撃を受けないKKBAルートへの切り替えが安定する。~ A&B始動のルートは全体的に動作が俊敏で、コンボにならないルートでも4Bの振り向かせ攻撃からBKKAorBKKBルートが4段安定して入り、正面/背後どちらに対しても高い安定性を誇る。~ また、プラズマファイナルが移動投げ性能なので、直前のAを律義に立ちガードし続ける相手には初見殺しで決めやすい。~ コマンド入力の固有技はK一辺倒なので殆どリバースを気にせず出せる利点はあるが、準飛び道具性能の「ディノフレイム」、間合いを離す「ロングバックダッシュ」以外は~ 隙が大きいものが大多数を占めるために多用は出来ない。ヒットすれば追撃でのリターンは最大級の固有背後攻撃「ヘルフロート」、~ 成立すれば5割が確定する対空投げの「ジュラシックトリップ」などハイリスクなロマン技もあるにはあるが、狙って当てるのは至難の業。~ このキャラの真骨頂は6Kが大部分を担っており、ヒット時は崩れ落ちダウンを誘発。ここからAK×2セット~追撃や上記に挙げたコンボが空中追撃で怒涛の勢いで繋がるため、~ プラズマコンボの楽しさを味わいたいプレイヤーにはうってつけのキャラと言える。6K後に4Bで追撃した際はしっかり立ち背後状態になるのも嬉しい調整。 #endregion -ゼルキン --銀河系北アメリカ星雲にあるクロンダイク星出身の「軍鳥人」。~ かつての地球連邦軍との戦いで部下を捕虜に取られ、身代わりとして自らゼータ星の監獄に収監された。戦争終結後に連絡の手違いで戦死扱いとされ、~ 開放されぬままでいた所を同じ監獄に捉えられていたビルシュタインの手で助け出され、恩義に応えるために部下となった。~ 武器はプラズマクロウ。プラズマコンボはタイプKに分類。 #region(主な性能) 発生、リート共に良好な立ちAから中下段の2択を迫るAAAorAAKルート、AAKルートからは更にAorBで中下段を迫れるが、~ K始動ルートは3段目がどちらも下段、4段目以降はどのルートも中段か両ガード可能という風に完全対策可能なので、プラズマコンボに関しての総合性能は低め。~ 浮かせ技の3A後に自分から背後振り向き状態となりK追加入力で繰り出す「ファイアホイールコンボ」の威力は控えめで、~ そのままK連打で同じ動作の攻撃を続ける「エアホイール」も俊敏性に欠ける割に威力が低く、浮かせ技が浮かせ技としての機能をほぼ果たしていないという謎の性能。~ 「トラストブロウ」「サンダーホイールコンボ」などの移動攻撃も隙が大きくガードされると反撃確定、単発で両ガード可能と目立った利点は無い。~ ~ 他キャラに無い明確な違いとして、高々度まで飛び上がる「スーパージャンプ」、空中状態からの「空中浮遊」「空中横移動」「急落下」、~ 降下攻撃の「エアジャベリン」、降下からの移動投げ「スカイデストラクション」といった豊富な空中制御の数々を持ち合わせるものの、~ そもそもの地上の攻めが強くない上にスーパージャンプをした段階で次の動作がほぼ固定化されるのでバックダッシュなどで対策を取られやすく、~ エアジャベリン&スカイデストラクションは軸移動であっさり回避されるためにほぼ死に技と化しているなど、諸々の攻めの手段が非常に弱く総合的に相当厳しいキャラと言える。 #endregion -ゴア --インドネシアのバリ島で祈祷を営む家に生まれた彼は、生まれつき超能力を有しており、それを用いて人々の病気を治す存在として有名であった。~ しかし、超自然的に宿った力から齎される結果に持てはやされる事を羨む父親は彼への虐待に走り、それに抵抗した彼は超能力で父を殺してしまう。~ そこに現れたビルシュタインに人を殺す楽しさを説かれ彼に同行。それをきっかけに人を楽しく殺すための研究に没頭し、恐るべき「プラズマ魔術」を修得するに至る。~ ~ 肥大化した脳がむき出しという異様な外見をもつ彼だが、上記の通りれっきとした地球人である。~ 武器はプラズマメイス。プラズマコンボはタイプBに分類。 #region(主な性能) コンボとして成立するBBBルートからの、反撃を受けないBorAKorABルートはどれもが強力な攻めの一手。~ この内、ABルートからのプラズマファイナルは固有技の『倍率変更・巨大化』を1段階飛ばして2段階強化を一気に発動する状態変化技なので使い勝手がいい。~ 他にもBAKBルートでの移動投げによる崩し、KKルートの俊敏性に優れた中段、全体的な技の振りの速さなど、プラズマコンボによる攻撃性能はかなり上位に入る。~ 発生の早い中段攻撃の6A及びダッシュ武器攻撃、下段+浮かせ技の3Bから追撃も含めた総合火力、リバースされない後方移動攻撃の4Kなどレバー1方向入力技の性能も良好。~ その他の固有技も、準飛び道具として使い勝手のいい「毒薬散布」「組成変換」、リバースされない下段性能の多段攻撃「絶対安静~脚部回転」、~ BAKBルートにも採用され、投げが成立すれば空中追撃可能でこちらもリターンが非常に大きい「絶対安静~振動療法」、~ 一見使い難そうに見えて大本の小回りの良さをそのまま持ってきているために思いの外使い所のある「倍率変更・巨大化&超巨大化」、~ ここからの専用技「荒療治」や「内蔵圧迫」もそれなりに振り回していける。荒療治が決まれば内蔵圧迫も続けて確定し、試合を決める規模のダメージを叩き出す。~ …といった風に全キャラ中総合的にトップクラスのポテンシャルを秘めたキャラ。しゃがみ投げを持っていないという特徴もあるが、中段技が豊富なので問題にはなっていない。 #endregion ''ボスキャラクター'' -ビルシュタイン(アーケードでは隠しキャラクター) --本作のボスキャラクターを務める、第四帝国を率いる帝王。大学時代、たまたま祖先の遺品から人間の思念により発生するエネルギーであるプラズマパワーの研究書を見つけ、~ 失意のうちに死んだ祖先の怨念に取り憑かれ地球征服の野望を抱く。その後、プラズマパワーを研究の末に完成させたプラズマウェポンを用いて計画を着々と進めていた矢先、~ 軍に野望を知られる事となり遠く離れたゼータ星に収監されるも、たやすく脱出を遂げてゼータ星を壊滅させ、今一度地球征服計画を実行に移し始める。~ ~ その設定を読む限りでは彼も祖先の怨念に取り憑かれている以上、ある意味でプラズマパワーという存在の最大の被害者と言える。~ 武器はプラズマソード。プラズマコンボはタイプAに分類。 #region(主な性能) AAルートからのAorBでの中下段はどちらも遅すぎて見切られやすく、5段目のAの投げも同様に発生の遅さ&手のエフェクトが目立つせいで崩しとしてほぼ機能せず、~ 対の選択肢のKはガードさせれば反撃を受けず、ヒット時はファイナルが確定するものの両ガード可能なので、結局はAの投げルートのみ警戒すれば完全対策されてしまう。~ BAルート&K始動ルートもコンボとして繋がるのはBAのみ、以後のルートは中下段の二択は迫れず固めには機能しないという風に~ タイプAのプラズマコンボグループの中でもはっきりとした素直な軌道でクセが無い分、択一の行動を迫るにはもう一声二声欲しい所。~ 4Bの振り向かせや浮かせ技のダッシュAからはAAAAが全段繋がるが、総合ダメージとしては他に譲れる部分があるために趣味の範囲のコンボと言える。~ レバー1方向入力の固有技の性質も実にスタンダードでリーチの長さと隙の大きさに傾倒しており、下段+ダウン効果で反撃を受けない6Kが多少機能する程度。~ 武器のみを残して透明化する4Kは中下段の揺さぶりを加速させそうでいて、武器のみの軌道に集中すればよいために逆に攻撃が見切られやすくなるという側面も。~ 投げが通りやすくなる利点はあるにしろ、透明化した段階で間合いを離されやすいのがネック。~ ~ 固有技では突進力と発生の速さに加えて中段性能を備え、ダウン追撃としてのダメージも高い「スペースレントソード」がとにかく汎用性に優れ、~ 2Bからリバースされない下段2Kへの連携で出鼻を挫きやすい「ブラックデザイアー」は2B後にAA/投げの完全3択+αを迫れる。~ 他にも技後の隙は膨大だが発動時に一瞬姿勢を屈めるので存外色々な攻撃を回避しつつ攻撃出来る対空技「ブレイズソード」、~ 足元への食らい判定を無くして高速移動出来る「浮遊」、背後投げから空中追撃が可能になる「プラズマインパクト~ウォールインパクト」など~ そこそこ通用するものはあるが、やはり一番の問題は「素直過ぎて見切られやすい全体性能」に尽きるだろう。その分ブラックデザイアーの凶悪さも引き立つが。 #endregion -スーパービルシュタイン(CPU専用) --ビルシュタインまでの勝利が一定時間内((デフォルトのラウンド設定3の場合で6分以内。規定ラウンドを変更した場合はラウンド設定1→3分、設定5→9分、設定7→12分となる。))の場合に乱入してくる、真のラスボス。~ リーチ・威力・スピード全てがビルシュタインの強化版で、リングアウト無効という反則キャラ。 ''隠しキャラクター'' -カッパ --カッパ星出身のエリート軍人。カッパ星人は古くから地球との接触があり、中でも日本を好んでいる。~ 好物の日本酒を手に入れるために時々人間の目に触れてしまい、それがカッパ伝説のもとになったとも。~ 日本に住み着いた仲間からビルシュタインの地球征服のたくらみを知り、仲間を守るためスターグラディエイターの助太刀に来た。~ ~ 設定の通り彼はスターグラディエイターとしての傭兵ではなく、武器もプラズマ兵器ではない「カッパデント」を用いる。プラズマコンボはタイプAに分類。 #region(主な性能) プラズマコンボ、レバー1方向入力の固有技はゲレルトに倣う形なので割愛。~ 固有技も「夫婦蜻蛉」→「ブラッディフラメンコ」、「もずのはやにえ~蛙蹴り」→「サンダートゥシュ~サザンアロー」、~ 「夕立突き」→「アンダルシアストーム」、「鐘鳴らし」→「ラピッドエルボー」と同一の性能となる。~ 独自の固有技の「つむじ風」は発生は早いものの、ダメージは控えめで隙が大きく気軽に出せる性能ではない。~ 「鐘鳴らし」から追加のK×2で繰り出す「蚤蹴り」は一連動作の最後の二段跳び蹴りがコンボにならないために追加入力は1回目で抑えた方が無難。~ 「河童駄々っ子」は単体最大ダメージを誇るも、発動時に腰に手を当てたポーズの硬直時間が非常に長く、普通に両ガード可能なのでまず決まらない。~ ~ 独自の固有技が全体的にイマイチな性能なので総合的にはゲレルトの劣化と言い切ってしまえるが、~ 逆に言えばゲレルトの強みを一部そのまま流用して戦えるキャラでもある。発生の早い「夕立突き」や「鐘鳴らし」を中心に、~ 4Bの振り向かせからのダウン効果技→専用のダウン投げ、あるいは4Bから背後投げなど、高くない火力を固有技の押し付けと投げで補うスタイルがそのまま通じる。 #endregion ''PS版追加隠しキャラクター'' -ブラッド -- ビルシュタインがプラズマパワーの研究用に育てた、“ビルシュタインの息子たち”のひとり。プラズマ技術により?間接的に接続された義手が特徴。~ FBIの監視下に置かれていたが、ビルシュタインの助けで脱出。その後はビルシュタインの指示でプラズマ能力に優れた人物を次々に暗殺していき、~ 最後に残ったハヤトとジューンをターゲットにスターグラディエイターに入隊する。~ ~ こういった経歴を持つ彼が、傭兵集団とは言え第四帝国の制圧任務を与えられたスターグラディエイターに入隊出来た事実には疑問が残る所。~ 武器はプラズマソード。コンボはタイプAに分類。 #region(主な性能) プラズマコンボ、レバー1方向入力の固有技はビルシュタインに倣う形なので割愛。~ ブラッド独自の性能としては、A始動5段目Aの投げ技が目立った動作やエフェクトが無いために非常に見切り辛く、初見殺しとして機能しやすい側面を持っている。~ 対の選択肢もビルシュタイン同様に反撃不能&ファイナルに繋がるKなので、4段目のKからはリバースでの対応は実質的に無効化されると言ってしまえる形となる。~ また、ビルシュタインと異なりBAルート&K始動ルートにもファイナルが設けられているが、両ガード可能なのでこちらの需要は薄め。~ 一番の差別化要素は、通常投げが空中追撃可能な浮かせ状態となる事から空中コンボ確定の機会が非常に多い事だろう。~ ~ 固有技は「ダークサプライズ」→「スペースレントソード」、「ダーティー・モラル」→「ブラックデザイアー」、~ 「ライジング・トルネード」→「ブレイズソード」、と同一の性能となる。~ 独自の固有技は反撃を受けない拳での単体攻撃「アイアン・フィスト」、移動距離は控えめでガードされた場合は反撃確定の「ブル・タックル~イービル・ストーム」、~ リーチを伸ばす時間を犠牲にした事での発生の遅さ&フォロースルーの長さ故にこちらもガードされた場合に反撃を免れない「フェイタル・エッジ」、~ 後方ダッシュ→(ダーク・サプライズorGで動作リセット)のどちらかの行動を選べる「フェイク・ブレード」と、ビルシュタインよろしく長所短所がハッキリしたもの。~ 浮遊や透明化などの特異な要素をオミットした半面、通りの良い崩し要素が加わった事で総合的にビルシュタインよりもシンプルな動かしやすさを反映したキャラとなっている。 #endregion ---- CPU戦の流れはスターグラディエイターサイドと第四帝国サイドで分かれており、~ 前者は「ジューン>ガモフ>ハヤト>サターン>ゲレルト>ゼルキン>リムガル>ベクター」~ 後者は「ゲレルト>リムガル>ゼルキン>ベクター>ジューン>ハヤト>ガモフ>サターン」~ の順に巡り、9人目はゴア固定、10人目はラスボスのビルシュタインとの対戦となる。~ ~ 上記の通り、条件を満たせばビルシュタイン戦後にスーパービルシュタインとの真の最終戦が挟まれ、これに勝利する事でグッドエンディングが拝める事となる。~ 隠しキャラのカッパはステージ3終了時のタイム末尾が00の場合にステージ4の固定キャラと入れ替えで出現。~ 通常、狙って出すのはほぼ不可能だが、ステージ1の最初のラウンドから全てタイムオーバー勝ちを維持し続ける事で確定で出現させる事は可能。 #endregion ---- **評価点 ''パターン色の強いゲーム性から生まれる駆け引き'' -全体としての動きの硬さからアドリブでの行動が機能し辛く、「この状況ではこの行動がほぼ安定」という風にリスクリターンは徐に固定化されていると言っていい。~ それは裏を返せば一度の理解で大幅に腕が上達する事の表れとも言え、そこから更にその行動に対する対策を積み重ねる事での高度な読み合いに発展していく。~ カプコンがリリースした格闘ゲームタイトルの中でも、本作は一際「読み合い」に傾倒している作品と言え、一撃の威力の高さであっさりと体力を逆転する/される~ ピーキーなゲーム性から、その読み合いに勝った際のカタルシスはとても大きい。 ''存在感の強いキャラクター群'' -当時ストリートファイターシリーズから脱却していったカプコンの格闘ゲームタイトルの中でも、本作のキャラクター群はそのデザインのアクの強さ故に強烈な存在感を醸し出している。 --元々が過去作でイロモノの造形に定評のあったカプコン故、地球外まで及ぶ世界観に落とし込む上でのある種突拍子もないデザインのキャラも上手く落とし込んでいる。プレイしている内に違和感が無くなる自然さで構成されたキャラ造形は見事。 **賛否両論点 ''敷居の高いシステムの数々'' -評価点で示したパターン色の強さという点は、見方を変えれば「想定された事を隅々まで把握して初めて面白さが理解出来る」とも言える。~ 先ずボタンガードという壁があり、「プラズマコンボの全体ルート」「どのルートがどこまでコンボとして成立するか」「各固有技の性能」の把握が必須。更に「プラズマリバースの見極め」「背後攻撃と起き上がりの攻防の読み合い」、キャラによっては「浮かせ技からの空中追撃コンボ」の把握etc… -システムの項目を見て「基本システムだけでも他の格ゲーと比べて覚える事が多過ぎでないか?」と感じたら、それは間違いなく正常な認識である。続編の2で様々なシステムが簡易的になった事も、それを裏付けるものと見なしていいだろう。本作はパターンゲー好きなプレイヤーには面白く感じられる反面、一般的な目線では敷居が非常に高いゲームである事もまた事実なのだ。 --一例を挙げると、プラズマリバースの内の片方のリベンジは、決まれば優に体力の3割を奪うというリターンの大きさが目立つ。~ K攻撃や投げが弱いキャラは特に脅威に思える一方で、武器攻撃の出際をガード入力で中断する「キャンセルガード」のテクニックを駆使すれば~ 攻撃を読んでリバースを発動した相手の無防備な硬直に手痛い攻撃を当てる事も可能…といった具合にリスクリターンの比率自体は整っているのだが、~ そういった駆け引きは熟練したプレイヤーでないと見えてこない段階に埋もれた要素である。 --もう片方、リフレクトは成立しても有利フレームが短く、初~中級者はリベンジで固定された以上のダメージを与えることが難しく意識して選ぶ必需性は薄いものの、~ 大きく前進してサイドを入れ替えるリベンジがヒット後の状況次第では成立させた側がリングアウト手前の位置に移動する危険性も持ち合わせるために~ 位置関係を崩さない意図でリスクとリターンをやや落として安定度を取るという使い方も出来る。当然これも「キャンセルガード」には無力。 -他にも、絶え間なく回り込み&真横移動と前後へのステップを繰り返す事で簡単に逃げプレイに徹する事が出来るのも、対策を知らないと萎えるの一言に尽きる。する側の意図としても相手が横切りで対策してくるのを予測してリバースを仕込むなど、先の先を読んだ行動ではあるのだが、如何せんプレイヤー同士の意図が噛み合い難いキライがあるのは否めない。 **問題点 ''死に技の多さ'' -各キャラの固有技の内、1方向へのレバー入力で繰り出せる技の多くが、ガードされた際は勿論、ヒット時でも反撃確定となるものであり、それどころか発動時の硬直時間が長過ぎるせいで、技が発動しても攻撃判定が出る前に潰されるものが少なくない。 -プラズマコンボの性能もキャラ毎の格差が大きく、しかもプラズマコンボが安定して繋がるキャラほど固有技の性能も優れる傾向にあり、キャラ性能としてプラズマコンボと固有技の強弱が同一化してしまっている。 -プラズマファイナルまで全段ヒットすると体力の6~8割のダメージを与えられるが、各派生攻撃が5段目まで繋がるルートは無く((浮かせ追撃としてならばハヤトのKKBKBルートが一部キャラに入るが、相手が途中でダウンするため全体ダメージは安い上に反撃確定))、必ずガードまたは反撃が成立する様に設計されているため最後まで入力出来る事は稀。途中で入力を止めて読み合いの機会を増やすという点では評価の対象になるだろうが… ---- **総評 キャラクターのアクの強さと各システムの敷居の高さ故に、「カプコン節」を理解しているかどうかで見解の差が顕著に出るタイトルである。~ お世辞にも掴みが良かったとは言えない作品であったが、一部には本作でしか味わえないカタルシスの虜になったプレイヤーも。~ カプコン制作の3D格闘ゲームの歴史において処女作となった作品は、立ち位置としては不遇だがハマる人はとことんハマるピーキーなゲーム性がウリであった。 現在のゲームセンターでお目に掛かれる事はまず無いが、移植版はOPムービーとBGMの変化以外はアーケード版を忠実に再現している。~ ゲームアーカイブスで配信もされているので、当時の「濃い」カプコン節を堪能したいという人はプレイする価値があると言える作品である。 本作の営業的結果がもたらしたかどうかは不明だが、続編の『2』や『[[ジャスティス学園>私立ジャスティス学園 LEGION OF HEROES]]』シリーズなど、~ その後のカプコンが開発した3D格闘は従来のカプコンが得意とする2D格闘寄りのシステムデザインになっていった。 ---- **余談 -本作はカプコン製格闘ゲームとしては唯一の秒間30フレーム仕様のタイトルとなる。 --上層部からの背景にポリゴンを使用してほしいという要望に対し、それだと60フレームで動かすのは無理だったとの事。 -当時カプコンの公式ホームページ内に存在した、様々なタイトルの隠し情報を取り扱ったページ「ひみつ研究所」において詳しい内部情報を公開していた。 --隠しプラズマファイナル、ここでしか公開されていなかった各キャラのサイドストーリーなど有益なものもあった反面、ロケテストでの反応などの開発秘話やQ&A、用語集での「いんちきスターウォーズ」「名刺交換」「ズルキン」など、公開されていた内容の多くはシークレットファイルのコピペであった。 -家庭用ハードへの移植については、半透明処理能力が搭載されていないサターンへの移植は無理との事でプレイステーション版のみとなった。 --後に続編の2が本作を移植出来なかったサターンの後継ハードであるドリームキャスト版のみの家庭用移植となった際、アンケート用紙にて「プレイステーション版を所持していますか?」との質問があった事から、家庭用ハードへの移植に対してシリーズ両作品が同一ハードにて展開出来なかった事に制作側も思う所があった様だ。 -本作のリリース直前に、同じ3D武器対戦格闘ゲーム2作品について間の悪い偶然が重なった。 --特に似たシステム((読み合い重視、縦斬り・横斬り・蹴り・ガードの4ボタン制、軸移動、弾き、A+B+Kで出す回数有限の必殺技、全身が暖色半透明のラスボスと異空間で戦うなど)) を持った『[[ソウルエッジ]]』が本作の3か月前に稼働開始された。これに対する苦肉の策として、本作はイロモノ路線に特化して行く事になった(カプコンシークレットファイルNo.5より)。本記事キャラクターの項目にある通り、普通の人間はハヤト・ジューン・ゲレルトの3人しかいない。 --タカラより発売されたPS用ゲーム『闘神伝』が人気となり、続編の『闘神伝2』がAC版も出される事になった際にカプコンが販売する事になった。((尚、『闘神伝2』はAC版が先に稼働を開始し、PS版はそれの移植版という扱いでAC版の少し後に発売されている。従って、一部Webや書籍などで散見される「ACに逆移植された」と言うのはそもそも間違い。)) ***他ゲームへの参戦 -ハヤトは『[[MARVEL VS. CAPCOM 2 New Age of Heroes]]』にも参戦。 -ジューンは『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』にも参戦。 ---- *スターグラディエイター2 【すたーぐらでぃえいたーつー】 |ジャンル|3D格闘アクション|&amazon(B000069TEA)| |対応機種|アーケード(ZN-2)&br;ドリームキャスト|~| |発売・開発元|カプコン|~| |稼動開始日|1998年3月16日|~| |発売日|【DC】1999年12月9日|~| |定価|5,800円|~| |判定|なし|~| **概要(2) 前作の稼働開始から約1年8か月を経てリリースされた続編。サブタイトルは『NIGHTMARE OF BILSTEIN』。海外版は『PLASMA SWORD』とタイトルが変更されている((海外版タイトルも元々は前作の開発中のタイトルだったことが「スターグラディエイター パーフェクトガイドブック」のスタッフインタビューで言及されている。))。 **システムの主な変更点(2) -ゲームスピードの高速化。 --前作の動きの硬さとそれに釣り合わせたダメージの高さは鳴りを潜め、平均的なバランスのスピーディーな動きが可能に。 -ガード方式がボタンではなく、レバー後ろ方向に変更された。 --前作のGボタンはM(ムーブ、軸移動)ボタンとして残り、Mで奥、↓+Mで手前に移動と直感的に分かり易くなった。 -フィールドが無限となり、リングアウトが廃止された。 -必殺技と超必殺技(後述)をガードすると、削りダメージが発生するようになった。 -プラズマコンボのルートが減少し、必殺技でキャンセル可能になった。プラズマファイナルも廃止された。 --また、前作で固有技として割り振られていた1方向へのレバー入力攻撃からの連携攻撃もプラズマコンボ扱いとして統合された。 -『ストリートファイター』シリーズのスーパーコンボゲージなどに相当する、プラズマパワーゲージが搭載された。最大3本溜められ、以下の各種行動の際に消費する。 --プラズマリバース(反撃、0.5本消費):プラズマリベンジ(当て身投げ)はA+M、プラズマリフレクト(弾き)はB+Mになり、縦斬り / 横斬りの区分なく返せるようになった。その代わり反撃受付時間が短くなり、当て身投げの威力も体力ゲージの約3割→約1割と大幅に弱体化。 --プラズマストライク(超必殺技、1本消費):前作のA+B+Kで出せる技は廃止され、236 or 214+(A+B)で各キャラ固有の超必殺技を出せるようになった。 --プラズマフィールド(1本消費):B+Kで自キャラを中心に一定範囲に広がるサークル状の気を放つ。相手にヒットすると壁ありの狭い空間に引き込み、一定時間「武器が巨大化」「飛び道具が撃ち放題」など固有の特殊能力で一方的に蹂躙可能。発動時のサークルは全キャラ共通の対空技としても機能する。 **キャラクター(2) 前作のプレイアブルキャラクター9人+隠し2人から、リムガルとカッパがリストラされた。((リムガルは前作のEDにおいて、人間の自我の部分により自決した描写がされていたので仕方ないところである。カッパも色物コンパチだったので批判の対象にならず。)) これを埋めるように新加入が2人、更にビルシュタインが最初から選べるようになり合計12人。~ この&bold(){全キャラクターにそれぞれ超必殺技が異なるだけのコンパチキャラクターが追加}され、合計24名となっている。~ #region(新加入キャラクター) -ブラックハヤト --ハヤトのコンパチキャラクター。前作ではハヤトの2Pカラーとして登場していたが、今作で独立。悪の因子によって人格が変貌したハヤト自身。 -エル --ジューンのコンパチキャラクター。正体は未来から来たハヤトとジューンの娘。ガモフの真エンディングで幼少期の姿が登場する。 -プリンス --サターンのコンパチキャラクター。サターン星の王子だが、サターンをライバル視しており、彼を倒すためだけに第四帝国と組む。 -ガンテツ --ガモフのコンパチキャラクター。地球人の巨漢で、第四帝国に殺された仲間の仇を討つために闘う。 -クレア --ゲレルトのコンパチキャラクター。ゲレルトに仕える女性剣士。 -オメガ --ベクターのコンパチキャラクター。前作のベクターのプロトタイプだが、基本性能は今作のベクターと同じ。 -イーグル --ゼルキンのコンパチキャラクター。クロンダイク星人のコスプレをした地球人の青年。 -ルカ --ゴアのコンパチキャラクター。ゴアが「理想の恋人」を求めて生み出した人造人間の少女。 -シェイカー --ブラッドのコンパチキャラクター。ブラッドのクローンだが、性格は前作のブラッド以上に狂暴。しかもゲーム中の設定では複数いる。 -ゴーストビルシュタイン --ビルシュタインのコンパチキャラクター。前作で倒されたビルシュタインの元の肉体が動き出したもので、明瞭な思考は存在しない。 --なお、本物のビルシュタインは今作で新たな肉体を得ているため、他のキャラクターと逆に前作の肉体のゴーストがタイプα、リニューアルされた本物がβタイプに割り当てられている。 -白虎 --屈強な虎の獣人。手の長い爪で攻撃する。 -雷怨 --白虎のコンパチキャラクター。白虎の上官であるライオンの獣人。 --隠しキャラクターであり、白虎より強力な技を持つ。 -レイン --第四帝国の一員で、ビルシュタインの娘を名乗る謎の美女。柄の長い大鎌を扱う。 -カエデ --レインのコンパチキャラクター。雇われ賞金稼ぎのくノ一。ハンマーを使う。 --隠しキャラクターであり、レインのコンパチながら独自の技を持つなど変更点が多く、プラズマフィールド内の特殊能力もレインと全く異なるもぐら叩きになっている。 #endregion **評価点(2) ''操作法とゲームバランスの改善'' -ガードと軸移動の操作が直感的に分かり易くなった。 --特に軸移動に関して、前作ではリング端での攻防にて誤った方向に移動しリングアウトする事態が起こり気味であった。 -まず決まらないプラズマファイナルとプラズマストライクに加えて、3D格闘ゲームならではの要素だが萎えやすいリングアウトも廃止された。 -プラズマリバースが実用性を大幅に増した事に合わせ、威力がマイルド調整された。 ''(前作と比較して)取っつき易いシステム'' -前作は主に3D格闘ゲーム寄りのシステムだったが、今作ではガードやコマンド技などがカプコンの得意とする2D格闘ゲーム寄りに変更された。 -プラズマコンボの複雑さは排除され、必殺技や超必殺技が主なダメージリソースとなった。 -超必殺技のコマンドが基本的に波動系(236 or 214)+ボタン同時押しという簡単なものになっているため、圧倒的に初心者にも出しやすく、連続技に組み込みやすい。 -ゲージが溜まりやすいため大技の応酬となり、見栄えが増し初心者への間口も広がった。 ''グラフィックの強化'' -基板が前作のZN-1からZN-2になり、特に背景の精細な描写は見事。秒間60フレーム仕様になり、キャラの動きも滑らかになった。 **問題点(2) ''コンパチキャラによる水増し'' -オリジナルとコンパチのモーションはほぼ全て同一であり、差別化されているのは超必殺技(および勝利ポーズ)のみである。その超必殺技も大抵は「通常技から繋がりやすい技」と「繋がりにくい技」を各1つ持っているだけ。これはもうコンパチというより2Pカラーである。((現にハヤトのコンパチであるブラックハヤトは、前作のハヤトの2Pカラーである。超必殺技の1つもプラズマファイナルそのまま)) --例外的に隠しキャラの雷怨とカエデのみ、コンパチ元の白虎・レインと比べ独自技が多く差別化されている。 ''比較的容易な永久コンボ'' -雷怨(AAA→前方ダッシュ xN)、ゼルキン/イーグル(本来ジャンプ後に空中から急襲する技を、入力後に即キャンセル→KKB xN)あたりが有名。特に雷怨は総合的な性能においても頭一つ抜けているため、対戦では最凶キャラとなっている。 **総評(2) 緻密過ぎた前作の反省か、一転して大味なゲーム性に舵を切った作品である。正統進化を遂げてプレイヤーの間口も広がり、大技が頻繁に繰り出されるのでパーティゲームとしては有能かもしれない。移植先がドリームキャストのみ、また当時の攻略雑誌でも殆ど扱われず攻略本も出版されなかったため、今からやり込むのは厳しいのが難点である。 #areaedit(end)