*Death Stranding 【です すとらんでぃんぐ】 |ジャンル|ストランドゲーム|CENTER:&amazon(B07ZD1XDKJ)&amazon(B07SK84B3T)&amazon(B07YC1TMMV)&amazon(B088NZYGVC)| |対応機種|プレイステーション4&br;Windows (Steam / Epic Games Store / Microsoft Store)|~| |販売元|【PS4】Sony Interactive Entertainment&br;【Win】505 Games|~| |開発元|コジマプロダクション|~| |発売日|【PS4】2019年11月8日&br;【Steam/EGS】2020年7月14日&br;【MS Store】2022年8月23日|~| |定価|【PS4】6,980円&br;【Steam/EGS】7,590円&br;【MS Store】3,750円|~| |限定版|【PS4】デジタルデラックスエディション / 7,540円&br【Steam】初回限定生産版 / 8,690円|~| |レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~| |廉価版|Value Selection: 2021年5月26日 / 4,900円|~| |備考|''&color(#3B4EF0){「The Game Awards 2019 Best Game Direction」受賞}''|~| |判定|なし|~| |ポイント|''新生コジプロ作品の第1作''&br;『MGSV』以来の「''A HIDEO KOJIMA GAME''」&br;テーマは人と人との「繋がり」&br;オープンワールド新解釈&br;アメリカを繋ぐ配達インフラお使いゲーム&br;PS4トップクラスの美麗なグラフィック&br;非常に難解且つ複雑なストーリー&br;意外にも強いホラー要素&br;''『MGS4』をも凌ぐ圧倒的ムービーゲー''|~| |>|>|CENTER:''[[PlayStation Studios作品]]''| ---- #contents(fromhere) ---- &br #center(){{ &big(){''昔、爆発があった。この宇宙は爆発で生まれた。''}~ &big(){''昔、爆発があった。この星は爆発で生まれた。''}~ &big(){''昔、爆発があった。この生命は爆発で生まれた。''}~ &big(){''そしてまた、爆発が起こる。''} }} &br ---- **概要 『[[メタルギア>メタルギアシリーズ]]』シリーズを手掛け有名となった小島秀夫が、コナミを退社後に立ち上げた新会社コジマプロダクション((旧小島プロダクションと同音だが、こちらは全部カナ表記となる。))のもと初めて開発した完全新規のタイトル。~ 小島が企画・脚本・監督・ゲームデザイン全てを手掛け、全世界待望のかつてないゲーム体験と宣伝された。~ 主要スタッフも、脚本に野島一人、村田周陽。キャラクターデザインに新川洋司。タイトルロゴにカイル・クーパーと、過去の小島作品でお馴染みの顔ぶれが揃っている。~ 主人公であるサム・ポーター・ブリッジズを演じるノーマン・リーダス((映画『ブレイド2』などに出演しているハリウッド俳優。))をはじめ、マッツ・ミケルセン、レア・セドゥ、リンゼイ・ワグナーら世界的名優たちが出演する。 本作では「''手''」が重要なアイコンとなっており、作中の重要なテーマの1つとされている。~ 人の掌は「棒」と「縄」に例えられる((掌を開くと他人と繋ぐ事ができ、掌を閉じると拳として他人を排除する事が出来る、という意味。))とされ、従来の戦闘主体のアクションゲームが「棒」とするなら、本作は「縄」としている。~ これらのテーマを象徴すべく、本編開始前に安部公房((三島由紀夫、大江健三郎と並んで戦後を代表する日本の小説家の1人であり、世界的にも高い評価を受けている。))の短編小説「なわ」からの一文が引用される。 突如発生した原因不明の災厄によりアメリカ合衆国は崩壊、地上のインフラはほぼ消滅し、無人の荒野となった北米大陸が舞台。~ アイテムや資源を活用して、道程を模索しつつ配達物を目的地まで届けることが目的の3人称視点オープンワールドアクション。 PS4版はDLCの他スチールブックケースが同梱する「コレクターズエディション」や、多くのグッズ類とDLCが付属した「スペシャルエディション」など限定版がいくつか発売されていた。 ---- **ストーリー・世界観 >''「デス・ストランディング」''は世界を変えた。人類は分断され、孤立した。 >「伝説の配達人」である''サム・ポーター・ブリッジズ''は、未来への希望を手に、世界を再び繋ぐために歩きはじめる。 //#region(世界観について) //ふつうストーリー項が長文になる場合は折り畳まれますが、本作は独自用語の説明なしに解説が成り立たないため折りたたみを解除します。 -デス・ストランディング --本編の数十年前、アメリカ合衆国に発生した原因不明の怪現象。略して「DS」とも称される。 --作中の世界は死後の世界と繋がってしまっており、死者がこの世界に現れる(座礁する)ようになった。この死者は「BT (Beached Things、座礁体)」と名付けられた。 --この世とあの世が繋がる時、その一帯は「座礁地帯」と呼ばれ、カイラル雲という特殊な雲から「時雨(ときう)」が降るようになり、これも文明を衰退させ、人々は地下都市かシェルターに住まざるを得なくなった。 -BT(Beached Things / 座礁体) --座礁地帯に出没する、幽霊のような存在。生きている者にはその姿が見えない。 --人型の幽霊のような姿「ウォッチャー」が最もよく見られるが、本体が見えず手の形の足跡を残しながら壁面や天井も移動できるもの、タール状の沼を発生させて生者を引きずり込む「ハンター」や、「キャッチャー」と呼ばれる異形の巨大BTも居る。 --生きている人間が死んだ場合も、死後48時間以内に火葬しなければ「ネクローシス」という現象を起こしてBTへと変化し、対消滅(後述)による絶大な被害が起こる。 ---このため殺しはご法度な世界になっており、ゲームプレイ上も生きた人間に対して殺傷兵器を扱うことに大きいデメリットを持たせている。 --BTやそれに関連するカイラル物質との直接接触は人間の心身ともに深刻な健康被害を与える。 --クジラが浜辺などに座礁する(Stranding)という、現実にある現象が名前の由来。小島氏は写真展でマス・ストランド(大量座礁)した鯨たちの写真を見て本作のイメージを得たという。 -対消滅(ヴォイドアウト) --BTの体は反物質で構成されており、正の物質でできた''生者の体とBTが触れると対消滅を起こして核融合による巨大な爆発が起きる。''アメリカ各地で対消滅が起きた結果ほとんどの都市は消滅し、文明も人々の繋がりも衰退してしまった。 --素粒子物理学の「対消滅(ついしょうめつ、Annihilation)」が由来。物質と反物質が融合することで、その質量のすべてが光と熱エネルギーに変換される現象。 -時雨(ときう / タイムフォール) --DSが発生してから各地で降るようになった特殊な雨で、''最初に接触した物質の時間を急激に進めてしまう''。 ---時雨は物質に触れると同時にただの水になる。そのため、時雨に濡れた物や流れた川に触れても害は無い。 ---山岳地帯では雪として降り注ぎ、この場合は「時雪」と呼ばれるが、性質は時雨と同じ。 ---この現象のせいで地上は人工物も野生の生物もほとんどがまともに存在できなくなり、世界はほぼ緑と岩場からなる無人の荒野という様相を呈し、人類は地下のシェルターに住処を移している。 --時雨の影響を受けない性質を持つ「カイラル結晶」でコーティングすることで建造物などを時雨の影響から防護することができるが、上述の通り人体に有害なためコーティング濃度に限界があり完全な対策は打てずにいる。 --この世とあの世が繋がりBTが出現する「座礁地帯」は、時空が歪んだ影響で必ず「時雨」が激しく降る。 -ブリッジズ --DSによって崩壊したアメリカを再建するべく結成された組織。 ---DSで崩壊したアメリカ合衆国に代わり「アメリカ都市連合(United Cities of America、通称・UCA)」としてアメリカを再建しようとしている。 --過去にサムはこの組織から離脱し独立した配達人として活動していたが、ただ1人残った家族の危機を救うべく、また育ての親の最後の頼みもあって、嫌々ながらこの組織のための配達人となる。 -BB --脳死の母親(スティルマザー)と繋がれた胎児を利用した装備「ブリッジ・ベイビー (Bridge Baby)」の通称。死後の世界と繋がっているBBと接続することで、死者であるBTをある程度知覚できる。 ---BTの脅威に対応するため、DS初期でまだ体を成していた頃のアメリカ合衆国の研究とそれを引き継いだブリッジズにより開発された。 -ノットシティ --時雨によって人工の建造物はすぐに使えなくなり、人間が時雨に当たると浦島太郎のようにあっという間に老化してしまうため、人類は地上に住めなくなった。大規模な地下都市「ノットシティ」が建設され、そこに住む人々がほとんど。 ---「ノットシティ((「ノット(KNOT)」とは「結び目」を意味する英語。))」と呼ばれる都市を基幹に、各拠点をこのカイラル通信で繋ぐことが、ブリッジズから与えられたサムの任務の1つとなる。~ ゲーム的にもストーリー的にも、ノットシティやその中間に位置する配送センターは規模の大きい重要拠点となる。 ---小島氏によると、限られた人的リソースでゲームを作る際に街づくりは大変コストがかかるため、ゲームプレイとは関係ない都市部は描かないようにする為にこのような設定・世界にしたという。 -カイラル通信、プレッパーズ --この世とあの世の境界のような世界「ビーチ」を経由する事で、超大容量の情報のゼロ時間での送受信・超高速演算・莫大な電力の安定供給などを行う、ブリッジズが開発した従来とは全く違う方式の通信方式。時間の流れも無視するビーチを活用することで、無限の計算すらできるとされる。 --都市から離れて個々に住む人々「プレッパー」には、つながりを拒み接続を望まない者もいる。彼らに通信を繋いだりUCAに加盟させるには、配達や落とし物回収を積み重ねて「親密度」を上げる必要がある。 --ゲーム内では拠点ごとに通信エリアが決まっており、カイラル通信を繋ぐことで上述した「ソーシャル・ストランド・システム」(他プレイヤーの建設物や看板の共有など)が有効になる他、マップ画面でミュールのテリトリーも確認できるようになる。 ---カイラル通信が繋がっていないエリアでは他プレイヤーによる干渉が起きず、完全に自力で踏破することが必要。 -ポーター --無所属の配達人はポーターと総称される。 --時雨から身を守るための特別な衣服に身を包み、1~3人で荒野を歩いている。 ---ブリッジズから独立したサムはポーターとして独り活躍を続けており、いつしか「伝説の配達人」と呼ばれるようになった。 --時雨のため人々が地上に出られない世界にあって、必要な物資や人々の思いが込められた品を運んでいるが、ポーターが得られるものは感謝「いいね」だけである。 ---この「いいね」を獲得することに中毒になり、他のポーターが運ぶ荷物を強奪までするようになった「配達依存症」のポーターも多数居て、彼らの徒党は「ミュール」と呼ばれ厄介がられている。 //#endregion //世界観や固有名詞にかかわるものと、ゲームシステムにかかわるものとに分けました。 ---- **特徴 -ソーシャル・ストランド・システム --荷物の配達中に立ち寄った各拠点でカイラル通信を接続することで、''オンライン接続している他のプレイヤーが使った道具、建設した建物、通った痕跡・看板などがランダムで自分の世界に現れる''。本作のやりこみ要素兼、ゲームプレイの主要素。 --他プレイヤーの設置物には「いいね」を送れる。そのアイテムがいくつ「いいね」を受け取ったかはそのアイテムを共有しているすべてのプレイヤーに表示され、もちろん設置した本人も見られる。 ---「いいね」は設置物を利用すると自動的に送られるほか、いいねボタンを連打するとさらに多くのいいねを入れられる。連打できる時間は配達人ランクに応じて最大10秒まで延びる。 --自分の残したものが他人の「いいね」を集めたり、また他人の建設物や国道の修復などに貢献するほど、オンライン要素の恩恵をより多く受けることができるようになる。 ---役立つ場所に建てられた設備には沢山の「いいね」が付き、時には10万を超えることも。利用したすべてのプレイヤーがいいねを入れるわけではないし義務でもないので、いいねが少なくても役に立たない訳ではない((ただし多くの設備は利用された時点で自動的に最低限の「いいね」が入るため、ある程度はその設備の有効性の指標になる。))。~ そういった、プレイヤー間の緩いつながりが本作の独特のプレイ感を醸し出している。 --オンライン協力プレイの一種ではあるがリアルタイムではなく、PS4/PS5版においてもPSNの月額課金の必要はないままにオンライン上の設置状況が取得できる。 --Strandは「より糸」を意味する名詞でもある。またこのシステムは『[[DARK SOULSシリーズ>DARK SOULS]]』シリーズに採用されたメッセージなどの間接的オンライン要素の影響を受けている。 -BT --フィールド上の特定の地域に現れる、幽霊のような敵。「繋がり」を求めて手を伸ばして来るにすぎず悪意は無いのだが、接触してしまうと地形を変えるほどの大爆発「対消滅」が起きる。 --主に存在するのは、浮遊してさまよう人型の「ゲイザー」となる。視覚を持たず音に反応するので、息を止めつつしゃがみ移動すれば接近しても気づかれにくくなる。BTの排除手段がない場合は基本これでやり過ごす。 ---ゲイザーは基本的に視覚できないため、オドラデク(後述)の向きと反応、BBのぐずり具合でおおよその位置を把握する。また、BBの恩恵によりサムが静止している間だけ近くのBTが僅かに見える。 --ゲイザーに捕まるとサムの周囲が黒い沼のように変化する。そこからサムにまとわりついてくるBT「ハンター」が現れ、沼から出る前にハンターに転ばされると長距離を引きずられた末に、動物の姿をした大型BT「キャッチャー」に襲われることとなる。 --BTには従来の武器は透過してしまい一切効果が無いが、ストーリーが進むとサムの老廃物や血液が有効であることが分かり、それらを用いた武器が順次開発されていく。 ---序盤は対抗手段がまったく無く、間もなく限定的な対処ができるようになり、やがて直接攻撃できる手投げ弾や銃器、気づかれずに接近するとBTの臍帯を切り離して即排除するコードカッターなどが開発され、ストーリーが進むにつれてBTの排除がしやすくなっていく。 ---ゲーム終盤のゲイザーBTはコードカッターしか効かない赤色の個体や、コードカッターが効かず武器を使わなければならない大型個体も現れるようになる。 --BTはこの世とあの世が繋がっている間しか存在できないのだが、その時は必ず「時雨」が降る。ゲーム中の舞台では時雨以外の雨は無いため、雨が激しくなってきたかどうかで概ねBTの出現エリア「座礁地帯」への接近を知ることができる。襲われている最中でもまれに時雨が止む時があり、そうなれば強制的に解放される。 ---また、全てのBTには座礁地帯のように行動範囲が決められている。ハンターは黒い沼から出る、ゲイザーやキャッチャーは座礁地帯から出ることで逃げおおせることができる。 --BTを排除した場合はその場にカイラル結晶が生えてくる。特にキャッチャーを倒した場合、大量の結晶を残すとともに一時的にその座礁地帯が消滅し、時雨も止む。ゲイザーを全滅させた場合も時雨はしばらく緩やかになる。 --BTは普通の人間には知覚することが出来ないため、外部で行動する人間にとってはBB装備者の同伴が半ば必須に近い状況と言う設定((BBは一般的に普及しているものではないため、模造品の亜種が存在する。なお、ゲーム中ですれ違う一般ポーターはオドラデグ(肩の可動ライト)しか着けていない。))。 -対消滅 --BTと人間が接触することで起こる、大規模な爆発現象。内部に反物質を有するキャッチャーBTにサムが捕食されると、その地点の周辺=該当の座礁地帯は巨大なクレーターになってしまう。 --''このクレーター付近は一切の立ち入りが出来なくなる''((メインシナリオを全てクリアした後なら、時間経過で地形が元へ戻っていく。))うえに、その周辺でゲイザーBTに捕まった場合、「捕まると即ゲームオーバーとなる」金色のハンターBTが現れる。対抗手段がないうちはBTを避けて行動した方が賢明。 --BTとカイラル物質の毒性に抵抗力を持つ特殊能力者「DOOMS(ドゥームズ)」の一人であるサムは、その「帰還者」と呼ばれる能力により何度死んでも「結び目」からこの世に戻ることができる。従って、通常のマップ上においては高所から転落しようがBTに食われようが復活することができる。 ---イベントバトルでもなければサムが死ぬこと自体によるゲームオーバーは無い。 --なお、人間の死体を長時間放置しているとネクローシスしてBTが発生し、これにいずれかのNPCが接触するかサムの居ない場所でネクローシスが起きた場合、超大規模な対消滅が発生して即ゲームオーバー((サムの場合は対消滅の爆発規模が大きく軽減されるものの、帰還者でない一般人が対消滅させられた場合、核攻撃ほどの遥かに大規模な爆発になり、ゲーム継続に必要なノットシティや配送センターが巻き込まれてしまうことになるため。))となる。この場合は「結び目」を経由して過去のセーブデータへと戻されることとなる。 -地形、移動 --サムが歩く荒野には平坦な道など無く、岩場・急流・急斜面などの悪路に満ち溢れている。足場の悪い箇所を歩くとバランスを崩しやすく、立て直しに失敗すると転倒して荷物が損傷してしまう。 --ゲーム内で周囲の地形がどのような扱いになっているかは「オドラデグセンサー」という標準装備で可視化できる。頻繁に使って進むもよし、あえて縛ってリアルに地形を見極めるのもよし。 ---地形の状態は色で表示され、青はダッシュや車両でも安全に移動しやすい。黄は足場が悪く徒歩でもスタミナや靴耐久を消費しやすい場所。赤は走ると躓いて転ぶ岩・45度以上の急勾配で滑り落ちてしまう場所・水没してしまう底無しタール沼などといった障害を指す。 ---川の水深も色で示され、この場合の赤いマークは踏み入れた途端強制的に流されてしまい((サムは泳げるが、川中で転んだり激流だったりすると、荷物だけ自動パージされて流されてしまう。))、リバース・トライクというバイク型の小車両も水没して失ってしまう。 --サムが歩いたとき右や左に身体を振ると、バランスを崩すことがある。そのまま放置するとサムは転倒し、運んでいる荷物に衝撃が加わりダメージが与えられてしまう。これを''L2やR2ボタンを押して左右バランスを取りながら、転倒しないように移動する事が本作の主なプレイ''となる。 ---積載した重量が重いほどバランスを崩しやすくなる((例外として、遺体袋は重量に関わらず特にバランスを取り難い。))。電動式の外骨格「スケルトン」を装備すると背負える重量が上がり、ダッシュでスケルトンに通電している間はバランスが崩れにくくなる。 ---L2R2を同時に押し続けるとサムが背嚢をしっかり握るなどして、かなりバランスを崩しにくくなるが、移動が遅くなるし手も使えないというデメリットがある。L3でしゃがむと即座にバランスを立て直せる。 --歩き続けることでサムの靴が損傷し、最終的には壊れてしまう。その状態で歩くと速度は遅くなりスタミナも減少しやすくなるばかりか、足裏を怪我して血液(=LIFEゲージ)が徐々に減少するようになる。よって、いつでも履き替えられるようにスペアの靴をブーツハンガーに入れておくことが推奨される。 ---「靴底草」という植物が靴代わりのアイテムとして登場する。安定性が高い上に荷物枠を取らず何個でも持っておくことができるが、長持ちしないので潤沢に持っていても過信はできない。 ただし靴よりも歩行音が小さいという利点もあり、ステルス場面ではあえてこちらを使うような場面もある。 -時雨 --時雨が触れた物体の時間を大きく進めるため、あらゆる人工物の寿命が短い((時雨による劣化速度はゲーム難易度によって可変。Win版・ディレクターズカット版のVery Hard設定にすると非常に早いペースで劣化する。))。 ---サムの装備や運ぶ荷物のケースは降水地域内で急速に劣化するので、劣化しないようなるべく早く運ばなくてはならないし、装備の更新も頻繁に必要になる。 ---露天の人工物も風化が早く、建設物は自分のものも他人の物も、役立つ施設を長く使いたいのなら素材を投入して修復する必要がある。 ---配送に利用する車両も例外ではなく、すぐにサビて塗装がハゲてボロボロになってしまう。配送拠点やプレイヤーが建てたセーフハウスの車庫に入れると、修理ロボットが新品同様に直してくれる。 --BTが出現する「座礁地帯」は必ず「時雨」が降るため「雨雪=難所」という構図が自ずとわかっていく。大雨は大抵大型BTを撃退しない限り止むことがないが、逆に言えば、雨の降りにくい場所にはBTは基本的に出ないということでもある。 ---座礁地帯の場所は固定だが、たまに雨が降らなくなる座礁地帯もあり、止んでいる間はBTも出現しない。 -荷物 --ゲームは「配送端末で受注した配送依頼に応じ、配送する荷物を受け取る」→「悪路に阻まれて荷物を傷つけることが無いよう、なるべく安全に移動する」→「指定された配送先へ荷物を届ける」事を繰り返すことで進行していく。 --荷物(及び機材)にはサイズと重量が設定されており、合計重量がサムの積載量をオーバーすれば歩く事もままならなくなる。重心の概念も実装されており、大きく重い荷物は荷台の1番下に配置しないとよりバランスを崩しやすくなる。 ---Sサイズの荷物のみ、サムの肩や腰に固定することもできる。最大のXLサイズの荷物はSサイズ8個分に相当するため多くは背中に積めないが、車両に積載したり「フローター」という反重力で浮上する荷台に乗せて牽引する形で追加の所有枠を確保できる。手持ちしたまま移動することもでき、壊れもの配送に適するが咄嗟に踏ん張れないため転びやすい。 ---荷物の積載は持ち物リストの画面「CARGO SIMULATOR」で半自動で最適化できるため、個々の位置を移動させる煩雑さは少ない。サムの体への固定やバックパックへの収納も必要に応じてやってくれる((ただし、縦向きに積んではならない荷物の条件を考慮しないため、そういった特殊な荷物を扱う際には手動での微調整が必要。))。 --フィールド上には他のプレイヤーの落とし物や、NPC宛の依頼の無い荷物が点在しており、これを拾得して落とし主へ配送する事でも信頼を得られる。 --荷物は''中身の耐久値''と''ケースの耐久値''が別々に設定されている。 ---''ケースの耐久値は緩衝材の性能であり、高いほど中身へのダメージが軽減される''が、時雨や衝撃で劣化する。こちらは''特定のアイテムや建設物で修理することができる''うえに評価とは関係なく、ケース耐久度0で外見が錆び錆びでも中身が無事なら問題ないが、その場合は落下するだけでなく悪路でちょっと躓いただけで中身ダメージが発生していることさえある。 ---基本的に中身は転倒や落下などの強い衝撃を受けるとダメージを受け、ケースに巻かれているテープが全損に近づくに連れて赤くなる。中身の劣化は回復することができず、配達完了時の評価にも影響する。 --重要な任務である「サム指名依頼」の荷物は金色のケースに入っており、1つでも全損した場合はゲームオーバー。 --機材(黒いコンテナ/フレーム)や資源(黄色のコンテナ)も荷物と同じ扱いとして持ち運ぶことになる。機材にはケースが存在せず、時雨で直接中身が劣化するものが多い。 ---「ブーツハンガー」やバックパックをカスタマイズして取り付けられる「ポーチ」など、特定の小型機材には劣化させずに持ち歩ける別枠が存在することもある。 -人間の敵 --「ミュール」と呼ばれる人々がおり、サムが配送荷物を持っていた場合に奪いに来る。 --物語が進むと、アメリカが繋がる事に反対するテロリスト集団「分離破壊主義者 / ディメンス」が現れ、こちらはサムが配送荷物を持っていなくとも殺傷武器で襲い掛かってくる。 --上述の通り、敵とは言え彼らを殺したまま放置するとBTへと変化し対消滅の原因になってしまう。それを防ぐためには、パンチやゴム弾を装填した銃器、紐状の武器・ストランドで相手を絞め上げるなどで殺さず無力化するしかない。 ---もし殺してしまうと、ネクローシスする前に、死体を梱包し焼却場まで運び火葬してもらうという大変な面倒が発生する。敵も一定時間でどこからともなく追加されるのでメリットは無い。本作でも、平和主義の小島氏の思想が織り込まれている。 ---ただし、本作は『メタルギア』ほど殺傷武器の出番がないというわけではない。特定のイベントマップで使用することになる他、キャッチャーBT戦では最も基本的な対BT武器である血液グレネードとの併用で効率的に大ダメージを与えることができる。 ---- **評価点 &bold(){美麗なグラフィック} -本作はSIE及びゲリラゲームズの協力により、『[[Horizon Zero Dawn]]』等に使用された''DECIMAエンジン''がゲームエンジンに採用されている。~ 従来からグラフィック面で高い評価を受けてきた小島監督の作品というだけあり、高品質な映像表現は『Horizon Zero Dawn』に次ぐほどである。 --一見すると現実の映像と勘違いしてしまうほどにリアリティのある画質は健在。荒廃したアメリカ大陸をはじめ、鮮やかな緑色に苔が茂る大地や、辺り一面雪に覆われた山岳地帯、そして全てが無惨に破壊され尽くした戦場など、様々なロケーションが美麗に表現されている。 //正確には「Horizon」の開発会社であるゲリラゲームズと共同開発した「DECIMAエンジン」では? //共同開発ではありません。HORIZONの開発開始は2011年、小島の独立が2015年 --キャラクターのグラフィックについても抜かりなく、細かい皺や毛穴に至るまで作り込まれ、肌の微妙な赤みなど、まるで血の通う生きた人間に見える程に拘り抜かれたモデリングは見事であり、不気味の谷といった印象を皆無なものとしている。 --BTが出現する座礁地帯は、激しい時雨の作用により雑草がまたたく間に成長しては枯れて再び種子から成長する、いわゆるタイムラプスのような不思議な様子が描かれる。 ''ムービーシーンを始めとする、圧巻の演出面'' -小島監督作品でお馴染みの、映画並みに徹底したムービーシーンへの拘りは本作でも健在である。 --映像面は以前にも増して磨きが掛かり、序盤でサムが荒廃した世界を駆け抜けるシーンなど、前述の非常に美麗なグラフィックや、大胆かつ練り込まれたカメラワークによる映像は、正に圧巻の一言。本作の重厚なストーリーを支える大きな要素となっている。 ---ムービーシーンの過剰な存在がゲーム性を損なうという意見もあるが、それを含めても小島作品たる本作の大きな魅力の1つとなっている。 --また本作では前述の通り、ノーマン・リーダスや、マッツ・ミケルセンを始めとする豪華俳優陣が、モーションキャプチャーやフェイシャルキャプチャーなどの最新技術を駆使して''実際に演じている''((ゲーム作品の多くの場合は、実在の俳優が出演する際であっても、顔などのキャラクターモデルや声のみを演じる場合が多く、実際の演技については専門のモーションアクターが演じることが多い。つまりゲームで俳優が実際に演じるシーンは非常に珍しく、これもまた"映画"的である。))。 ---本作で特に語られるのが、エンディングでのダイハードマンの演技。ネタバレとなるため詳細の記述は避けるが、普段はマスクを着けた彼が、マスクを外して過去の自分の罪を涙ながらに懺悔する場面は、表情の動きも相まって非常に見応えがあり、誰もが心動かされるに違いない。 ---こうした俳優による見事な演技が、前述した数々の要素と組み合わさり、ムービーシーンを非常に見応えのあるものに仕上げている。 ---ノーマン・リーダスが演じるサムはプライベートルームでの小ネタも多くファンサービスは満点。 --日本語吹き替えの声優陣に関しても、主人公サムを演じる津田健次郎氏を始めとして、クリフ役の山路和弘氏、ダイハードマン役の大塚明夫氏、ハートマン役の大塚芳忠氏などのベテラン声優が数多く出演している。 ---声の演技についても申し分なく、非常に高い品質の日本語吹き替え音声を存分に堪能することができる。俳優自身の音声を聞ける英語音声の選択も可能。 ''独創的であり、奥深いゲーム性'' -お使い特化のゲーム性 --後述の問題こそあるが、お使いに特化したゲーム性は他には無いオリジナリティと作り込みがある。 --物を運び、人と繋がり、インフラが進んでいき街や国が新しい形で発展していく様は、まるで経営シミュレーションゲームを行っているような感覚を味わえるようになっている。 --配達にも物資や装備を考慮しつつ、安全な運送のために無理のないルートを見定めるか、あるいは切り開いておくかと、敵が少ないにもかかわらずエリアを攻略している感覚を味わえる。 --そして「時雨」の存在から荷物ケースやアイテムは長々と持っているわけにもいかないため、倉庫から持ち出した後はできる限り迅速に=効率よく物を運ぶ必要が出てくる。 --悪路を通らないルートと車両、あるいは大幅な高速移動を可能とする設備を確保すれば時雨の心配は極限まで抑えられるが、当然ながら場所によって有効な手段は異なる。 -練られた世界観・設定 --後述で語られるように分かりにくさこそあるが、伏線や構成はしっかりしており、骨組みはちゃんとしている。 --特に「''死体を放置すると世界が滅びるので敵を殺せない''」という設定が、不殺主人公であることの違和感を格段に軽減している。 -ソーシャル・ストランド・システム --カイラル通信を接続したエリア内では他のプレイヤーが建てたハシゴや施設がランダムに現れる。まさに欲しい場所で役に立ったり、活用方法を考えて配送ルート構築をするという遊び。 ---協力プレイとは言わない程度のゆるいつながりは斬新でゲームシステムと良くマッチしている。 --ほかのプレイヤーに「いいね」をもらえる喜び。 ---他人にいいねを送るメリットは、ごく僅かしかない。しかし、ゲームを進め、いい場所に施設を建てた後などには「いいね」を貰う嬉しさが分かるので、お互いにいいねし合おうという気になってくる。 ---ハマる人は嬉々として、いいねが押せる最長10秒間、相手に感謝を送るためだけにボタンを連打するようになるだろう。 --本作は他のプレイヤーとゲーム内で顔を合わせることはない。だが通信接続済みエリアで自ら建てた建造物や装備を他のプレイヤーと共有するという独自のシステムが前面に押し出されており、1人用ゲームでありながら他者と繋がるという特色を持つ。 --建造物には配置コストの概念が存在するほか、国道の復元コストは非常に高く、プレイヤー単独ではフィールド全域の整備は困難である。これによってオープンワールドを充実させるために、他のプレイヤーとの協力が必要不可欠となってくる。 --拠点やポスト・セーフハウスでは指名なし依頼の委託・機材の譲渡を行う「シェアボックス」機能も使用できる。フィールドに落ちている他のプレイヤーの落とし物も、各所のシェアボックスを通して返還されることになる。 -整備された道が無いからこそ生まれる面白さ --車両が最大速度を発揮できるような平地は少ない。多少の岩場なら強引に通れないこともないが、衝撃厳禁の荷物を持っていたり、特に傾斜が急な岩場や山岳・崖がある場合は、徒歩で渡るのが原則となる。 ---池や川は足を大きく取られ、車両で渡る場合も燃費が悪化するため、できる限り水に漬かる事は避けたい。 --建設物は「通信量」というコストを要するため有限の数しか建てられない。スムーズな配送のためには他のプレイヤーの建設物を利用することが欠かせない。 --崖はロープや梯子といったアイテム、建設物を作るための「建設装置」などで通過することになる。基本は常備しておくことが望ましいが、持てる体積や重量の制約のためいくらでも持ち歩けるわけではない。 --変わった要素として、''人が通ると道が出来る。''自分で何度も同じルートを通ると、獣道ができ、小石が減って整地され、最終的にはトラックくらいは通せるようなダート道になる((出来た道が使われないまま放置していると、そのうちに道が寂れて元の地形に戻る。))。 ---建設物と同じく、通信接続済みエリアには他のサムが通った跡の道も出現する。他人の足跡をたどると楽になりやすく、多くのプレイヤーが通るルートが街道のようになったりもする。独力で見つけたルートより安全に平地へ出られることも。 --「限られたアイテムを背負い、険しい道を工夫で踏破したり時には避けつつ、できる限り安全に早く目的地まで移動する」というのもこの作品の面白さである。 --マップ上に点在する他プレイヤーの建設物に、自分で自由に設置できる建設物や、整地された道を加え、パズルのピースを組み合わせるように配送ルートを構築するインフラ整備の過程は、本作独自の面白さを持つ。 --ジャンルとしていわゆるオープンワールド系に属する本作だが、小島監督が過去に『メタルギア』で確立し、『[[ASSASSIN'S CREED>ASSASSIN'S CREEDシリーズ]]』シリーズなどを経て多数のオープンワールドゲームに採用されていく「隠れながら敵を排除する」ステルスアクションはあえて控えめになっている。 --その代わり「''オープンワールドの広大な地形そのものを如何に踏破させるか''」という、発想の転換から生まれた斬新なゲームデザインがなされているのは、奇しくも性能の制約を発想の転換で解決した『メタルギア』に通ずる物がある。 //作品の肝となる部分のため、移動 -背負う荷物に関する駆け引き --主人公が運べる荷物と道具の体積や重量には限界があり、希望する全ての荷物を持てるわけでない。 ---限界ギリギリまで持つと主人公の荷台は高く積み上げられ、バランスが悪くなり動きは制限され、疲労も早く溜まる。頭上の障害物に荷物をぶつけると落ちてしまい、衝撃で中身が劣化する。 ---道中の障害に対処するために必要な道具も荷物と同枠で持つことになるため、取捨選択が求められる。 --ファストトラベル機能もあるが、身につけている一部の装備品と靴底草・カイラル結晶以外は持っていけず、それ以外の荷物は拠点の倉庫に自動的に預けることになるため荷物運びには使えない。資源も各拠点で貯めていくか、自分で運搬する必要がある。 -設備が拡充されていく楽しさ --戦闘前や緊急時に荷物と機材を安全に保管できる倉庫「ポスト」や、川や崖を簡単に渡れる「橋」に加え、電力で動く機材を充電してくれる「発電機」などがある。ゲームが進行すれば、拠点と同じ休憩機能+倉庫を備えた「セーフハウス」など、より便利な施設も利用可能となる。 --さらに、復元することで車両の有用性を一気に跳ね上げる「国道」もマップ各地に存在する。自らの手でインフラが充実してくれば、達成感が大きくなることだろう。 -システム・UIに関する演出 --OPTIONボタンで出るシステム画面はサムが手錠端末をのぞき込む形であり、拠点の配送端末も空中に表示されるホログラムを見るという演出になっており、没入感が高い。 ---ただしUIの使い勝手・操作性については問題視する声も大きい(詳細は後述)。 &bold(){サウンド・BGM} --配達中に時折流れる歌はどれも世界観や舞台にマッチしており、いずれも好評。 --また本作では、数々の楽曲を演出面でも非常に効果的に使用している。例を挙げると、重要な配達に向かう最中に登山をし、頂上に着いた時に未知の麓の絶景が見えるのだが、丁度そのあたりに近づくと叙情的なバラードが流れ出すようになっている事が多い。初めて頂上を登り終えた達成感も相まって、感動もひとしおである。 --また本作では、実在するアーティストによる楽曲も多数収録されており、中には小島監督とも親交の深い、日本のシンガーソングライターである''星野源''氏の楽曲「POP VIRUS」も収録されている。 ---- **賛否両論点 ''非常に人を選ぶゲーム性'' -前述の通り、このゲームは「お使いゲー」に特化しており、ゲーム内容の大半は住居から配送先へと荷物を運ぶことのみ。サブイベントやサイドクエストといった世界観を補完する要素もすべて配送の延長線上に存在する。 --荷物を運ぶことで受取人との信頼関係を築いていき、その積み重ねによってキャラクターへの感情移入が深まっていく設計であり、間接的オンライン要素も含め、最終的に本作の最大のテーマである「''人との繋がりの大切さ''」へと繋げているのは秀逸な構造ではある。 ---しかし同じことの反復は単調さや飽き易さも同時に孕むものであり、ストイックとも言えるゲーム性に惚れ込み前述したミュールの「配達依存症」の如くハマる人も居れば、逆に同じ事の繰り返しに飽きてしまう人も少なくない。 &b(){難易度の高さ} -ゲーム性の部分でも多少触れたように、配送ルートの設定は今作のゲーム性の肝である。適切なルートを選定できれば最小限のリソースでスムーズに配送できるが、計画性が足りないと障害を前にしてリソースを使い果たし、帰ることすら困難な「詰み」に陥ることもままある。 --そしてルートの選定が根本的に間違っていたり、出発時点での準備が不足して「詰み」に陥った場合、''数十分の奮闘がパー''ということも発生しうる。地図では確認しづらい亀裂や段差が障害となる初見殺し要素も多い。 ---配送前にルートの偵察とはしごなどの敷設を行っておけばこうした悲劇は回避可能であるが、当然時間はかかる。 -装備の少ない序盤はサムが人力で背負える分が積載量の限界であるため、装備と荷物のやりくりが特に厳しい。その割に激しい高低差を越えなければならない配送も存在するため、後半より難易度が高いと感じられるかも知れない。 //--荷物運びに様々な障害があるものの、それを回避するというのは難しい場面も多い。道中に対処すべき障害の種類は明示されてこそいるものの初見殺しが多めとも言え、事前調査(偵察や、道中のブレッパーズとのやりとりなど)からの対策がなければ苦戦するミッションも少なくない。 //--サム自身は死亡しても復活できるのだが荷物のダメージは死亡時点のままのため、結局セーブからやり直しになることが多々。 //--難易度を下げれば荷物の耐久度が上がり敵は柔らかくなるが、''道中が楽になったりサムの戦闘力が上がるようなフォローではない。'' //--装備が充実しておらず、プレイヤーもゲームに慣れていない序盤もきつい。 //---序盤の舞台である東部は、メインフィールドである中部に比べて小規模だが、拠点間には必ず座礁地帯が存在する。フィールドが狭く国道も存在しないため、座礁地帯を避けて通る事が難しく、BT・悪路どちらへの対抗手段も乏しいためスムーズな配達はし辛い。 //---順を追って解禁される配送用アイテムなど、難易度に影響されない要素はゲーム前半ほど枷になりやすい。 //問題点の項にあった↑を参考に追加。 &bold(){小島作品恒例の長いムービーゲー} -全体的にムービーの占める割合が多く、特に序盤と後半は畳み掛けるように1~2時間ほどムービーとイベントが続く。 --特に終盤は一時間以上もムービー主体になっていく為、ゲーム性が乏しいという意見も多い。 ''メインストーリー'' -小島秀夫監督作品らしくストーリーが重厚で、メッセージ性が強い。 --ただし非常に難解であり、解釈や考察が多くされている一方で、プレイヤーを置き去りにしているような印象も否めない。 --加えて発売当時のアメリカ合衆国の情勢・オカルト・SF・ファンタジー・考古学など様々な分野から既存の用語や設定が引用されており、物語の複雑化は否めない。 &bold(){サム} -主人公のサムは全体的に受動的かつ、ネガティブな印象を抱きやすい。アメリカ再建というゲーム全体を通した重要な目標に対してかなり消極的で、一般的な主人公像とかけ離れており感情移入が難しい。 --ただし、サムはブリッジズによって半ば強制的に任務に参加させられており思想の違いなどもあるため、アメリカ再建に対して消極的なのは致し方ない面もあり、人によっては共感の余地はある。 //サムの思想に共感する人も多いのでは? --また、中盤以降はルーとの絆を感じるようになっていき、そこからはプレイヤーも感情移入しやすくなる。 //--''脳死している母親の胎児を取り出し、配達人の装備として利用する''というゲーム世界でも倫理問題を唱えられる設定であるが、ゲームをしていると余計にショッキングである。ここまで倫理がぶっ飛んだ要素をブチ込むことを疑問視する声も存在する。 //問題視するほどですかね?ただの「珍しい設定」にしか思いませんが…。 //子供の死は多くのゲームで規制するぐらいデリケートな問題でしょう。 //実際にBBの倫理を話題にしている配信・動画・プレイ感想文等を目にしたことがありません。極一部のゲームをやらない層の活動家が騒いでいるだけでは? //https://ameblo.jp/dakusolove/entry-12551990230.htmlありますよ。普通に。仮にやらない層と言われても、じゃあ全員プレイヤーが受け入れられると思う設定じゃないでしょ。 //上記のリンクを確認してみましたが、一個人のプレイ感想のページでした。「疑問視する声が【多い】」とする根拠にはなっていません。 //多いなんて書いてませんし。それを言ったらあなただって一個人の感想では? //極一部の人間しか喚いていないのだと認める時点で発言としての根拠が皆無であると言ってるようなものですよ? //断言しますが、数十人の初見プレイ実況を視聴してきてBBの倫理観に言及するプレイヤーは皆無で、この項は一般的な評価とは言えませんのでCOします。 &bold(){BB} -リアルな胎児そのものであり、人によってはグロテスクと思うユーザーも、 -サムは対BT装備「BB-28」にストレスを与えないよう行動しなければならないが、丁寧なプレイを心がけないと赤子であるBBはストレスを非常に受けやすい。 --BBの能力はBTを感知出来るというものだが、感知中は終始怯えており強いストレスを受けている。種類を問わずBTの近くに長くいすぎるとBBのゲージがなくなって自家中毒に発展し機能不全に陥ってしまったり((サム自身のBT感知能力は十分とは言えず、BBが機能停止すると立ち止まってもゲイザーBTを視認できなくなる。))、配送中に転ぶと荷物の損傷とセットで泣きだすなど、トラブル発生時に追加でプレイヤーを煩わせる要素となりやすい。人によっては保護欲が湧くどころか育児ノイローゼになるという声も。 ---とは言えシナリオを進める内に実際の乳児と変わらないBBに愛情を抱くサムと同じように感情移入するプレイヤーもいるため、一概に問題とも言いづらい。座礁地帯を切り抜けた後のキャッキャと喜ぶ声は甲高くなく、癒される。 //その「丁寧なプレイ」を心掛けずに雑にやってただけでは?。自分は最初から最後まで難易度ハードでやって、かつ座礁地帯でBT狩りを何度かしたけど、BBが自家中毒になった事なんて一度もなかった。仮にBBの親密度が低くても、座礁地帯で相当もたもたするか何度もハンターに絡まれるかしない限り自家中毒になるほどストレスは溜まらないはず。 //泣き声も嫌だってユーザーがいるでしょ。そもそも丁寧なプレイがそもそも足かせになっててうっとうしい。 &bold(){フレーバーでしか無い不殺} -上述したように今作は世界観的に殺しがご法度であり、殺人行為に多大なデメリットが設けられているが、一方で殺人によるメリットも不殺を貫くことによるデメリットも皆無である。 -対人戦闘の機会はそれなりにあるものの、安全性と制圧力を両立した非殺傷兵器が多数存在するので不殺の戦闘に不便を感じることもない。 --出現する敵は容易に気絶させられる一方、水中で気絶させようが、崖から落とそうが、''アクセル全開のトラックで跳ね飛ばそうが''命に別状はないため、「うっかり殺してしまう」ことすら極々稀である。 --このような性質により不殺を貫かなければならないという世界観設定がゲーム性に全く影響を与えておらず、結局プレイ感覚は世間一般のTPSと大差ない。 ---しかしながらこの点がゲーム性に関わってくる場合、不殺のために神経を使わされて新たなストレス源ともなりかねず、設定をプレイに活かすべきだったとも言い難い。 //&bold(){本質的にホラーゲームである} //-本作にはいたるところにホラー要素がちりばめられている。 //--見えない幽霊、絶対に倒せない敵、それらに理不尽に殺される人間、触手が無数に生えたグロテスクなクリーチャー、人体内部の描写、不気味さを前に押し出した人形、安全なはずのマイルームでランダムに起きる恐怖演出(その全てが夢オチ)など、映画好きの小島氏らしくホラー映画のお決まりがこれでもかと盛り込まれている。特に『P.T.((未発表に終わった『Silent Hills』のプレイアブルティザーで、すでに配信停止されている。ノーマン・リーダス、ギレルモ・デル・トロは同企画にも参加していた。))』で温めていたアイデアをいくつか採用したとも。 //-氏の直近の過去作並にホラー要素が多いゲームであるという事実は発売前には広く周知されず、ホラーが苦手な人が知らずに買うと非常につらい思いをするはめになる。 //デスストの評判で「ホラー要素が嫌だ嫌いだ」なんて声聞いた事ない。そもそも2016年や2017年のトレイラーでも、その後のPVでも、がっつりホラー要素が映像に映し出されていたはずだが。単純に自分がホラー苦手ですってだけでは? &bold(){バカゲー要素} -これまでの小島作品と同様ゲームにちりばめられた様々な小ネタ要素は、程よい笑いを提供してくれるが、シリアスな世界観とそぐわないという意見もある。 --重要な場面で言われると寒いオヤジギャグを聞かされているように感じることも。 --かといって特段豊富というわけでもないため、『メタルギア』シリーズ並みのバカゲー要素を期待すると、それはそれで肩透かしを食らう。 &bold(){メタ要素} -ゲーム内で小島秀夫がBTのモデルとしてこっそり登場していたり、収集要素であるメモリーチップ集めで解禁されるギャラリーは(黒澤明監督の七人の侍など)小島氏の趣味の羅列でありゲーム内容とほぼ関係ない。 --過去の小島作品でも何度かあったことだが、身内ネタを嫌うユーザーからはやはり賛否がある。 ---- **問題点 ***シナリオ &b(){シャワー・トイレシーン} -劇中でサムのシャワーシーンやトイレシーンが何度もある。大事なところは映さないし下品な演出でもないが、回数が多い。 --これは、サムの体液や排泄物にBTを退ける力があるため、その採取を兼ねているという理由があり、特に序盤は貴重なBT対策アイテムが手に入るということもあり、配送毎にシャワー・トイレを一通りこなすことも多いが、人によっては中年男性のサービスシーンに拒絶感を拭えないこともある(スキップは可能)。 --この問題はゲーム業界にポリコレを持ち込んだ「ゲーマーゲート論争」が尾を引いているとされる。簡単に言えば「女性の裸は規制するのに男性の裸に何も言わないのか」などの反論が絡んで根深い問題と化している。 //何も言わないのは、単に男性の裸に興奮する人が少ないからではないでしょうか? //↑その点も含め『男女平等』との矛盾や、それ自体のナンセンスさを指摘する意見などの複雑な論争があります。 &b(){専門用語が多い} -序盤から''専門用語だらけの会話が始まり、その専門用語や世界観に対しての説明は中々無いまま話が進んで行く''ので大半のプレイヤーは置いてけぼりをくらいながら、ゲームを進めていくことになる。 --世界観を補完する要素として、配送先との親密度を挙げたりフィールド上の隠しアイテム入手で解放されるドキュメント(文書)があるが、大半がストーリー進行に伴い解放されるのでゲーム開始時から閲覧はできない。クリアしても世界観が不明瞭という訳でもないが、序盤の情報の少なさによる手探り感が過剰とも言える。 --話の内容としても、設定の理解を前提として起承転結を組んでいる部分が目立ち、様々な用語をきちんと理解しておかないとサクッと置いていかれることもしばしば。 &b(){カットシーンが多い} --何かにつけてカットシーンが入る。例えば、配達した物資を納品する時には納品の演出が毎回挿入される。納品演出のスキップ自体は可能だが、短い演出が複数に分けられている=そのたびにスキップ操作が求められるので非常に面倒くさい。 ---アップデートでXボタンでのスキップも可能になったが、演出に入ってしばらくはスキップできない、シティやセンター以外に納品するときはXボタンでのスキップが現れないなど、痒いところは残ったまま。 --座礁地帯でBT感知時の演出は初回以外カットする事ができるようになった。 &b(){ミュール} -配達依存症になった配達人。元々善意の配達人(ポーター)だったのが、カイラル物質による精神汚染に加えて「自分たちが世界を支えている」というプライドの肥大化や、荷物の配送によって得られる感謝の意思(作中の「いいね」)が齎す幸福感に支配された結果、配達物そのものに固執し、強奪するようになったという設定。 --配達物にしか興味が無いため、サムが配達物を一つも持っていないと関心を示さず、拠点に近付きでもしない限りは襲って来ない。 --詰まる所、SNS時代の現在よく見受けられる''自分のものでもないものを自分のものであるかのように公開して、いいねや承認欲求を得る者たち''を風刺した要素と言える。 --だが、世界を支えているプライドの強さや悪事を働いてまで「いいね」が欲しい割には、奪った荷物を自分たちの拠点で保管するだけであり、実際の挙動と比べると設定の齟齬があるように見える。ゲーム的な都合とはいえ、練り込みが足りないように見える。 ---単純に荷物を狙う敵なら盗賊や山賊などにする方が分かり易く自然だったようにも思える。風刺するにしても、別の活かし方がありそうなものである。 //&b(){ポーターが邪魔} //-ポーターとは、サム以外の一般配達人である。サムが開拓を進めるに従ってフィールドに現れるようになり、簡単な交流や物々交換をしてくれるようになる。 //--と、ここまでは雰囲気要素として面白いのだが、問題なのが''ぶつかるとちゃんとデメリットが生じる''点。 //---肩がぶつかっただけでも「いいね」がきっちりマイナスされてしまう。車両で衝突しようものなら言うまでもない。 //---車両の動線を平然と闊歩していることも珍しくない。視認性の高い服装をしているわけでもないので、作業的にゲームを進めていると不注意で衝突してしまうこともしばしば。最初の殺人がポーターとの交通事故だったというプレイヤーも珍しくない。 //---このゲームは橋や建物の入口など、車両動線上に人間のホログラムを設置することができ、日常的にホログラムを突っ切りながら配達をしなければならないことが事故回避の難しさに拍車を駆けている。いつものホログラムだと思って無視して突っ切ったら実はポーターだったという事例が後をたたないのである。 //100時間プレイして一度もポーターを轢いた事なんてないけど…これ書いた人はどんだけ雑なプレイしてたの?ホログラムなんてブラーかかっててポーターとの見分けが一目でつくから、ポーターとホログラフを見間違えるなんてありえないと思うんだが。 &b(){無駄に長いムービーシーン} -冒頭の合計2時間に及ぶムービーシーンを始め、主要キャラクターと初めて顔を合わせた時のキャラクター紹介ムービーなど、メインシナリオ進行時の多くの時間をムービーが占める。 -評価点の記述通りムービーのクオリティは文句なしに高いのだが、やたら間が長い・喋りが過剰に長い・話し相手への伝え方が簡潔ではない 等で尺が長くなり過ぎている。 --本作の制作指揮をした小島氏は「監督」と自称することで有名でインタビューで''ゲームは映画以上の存在になれる''と語るが、''映画ではないので尺をいくら使ってもいい''と勘違いして簡潔にまとめる事を放棄している節がある。 //勘違いというか、実際「尺」に関してはゲームの方が伸びるのが普通では? //問題視するなら「ゲーム全体の尺」ではなく「ムービーの尺」ではないかと…… &b(){物寂しくなっている世界観} -本編やサブクエストをやればある程度人の繋がりを感じられるが、ゲーム世界で味方のモブNPCはミュール制圧後に登場する程度で極めて少ない。 --そのため、「繋がり」がテーマなのに物寂しい世界観となってしまっている。おまけに街には数万人いるとアナウンスされているため余計に違和感を覚えやすい。 ---つまり主な「繋がり」の表現が、間接的なオンライン要素ありきで行われている。 ***ゲーム //&b(){初見プレイの難易度が高い} //プレイヤーにより感想は異なるため賛否両論点に移動 &b(){無駄に広いフィールド} -フィールド自体は非常に広大でどう行動するのもプレイヤーの自由だが、その実やる事は荷物を運ぶ事が大部分で、敵を撃退するような場面は一部エリアに限られている。 --プレイヤーが考えることは「フィールドの起伏や河川の横断にどう対処するか」が主になり、ルートを確立してしまえば文字通りの作業と化す。 --イベントが発生する場所や隠しアイテムといった要素が希薄とされることも多い。 ---地点間で輸送するというゲーム仕様上、マップ端の僻地はほとんど足を踏み入れないし、行ったところでほぼ何もコンテンツが用意されていない。 --BTやミュールの縄張りを抜けなければならない事もあるが、出現場所もやることもだいたい同じなので新鮮味は湧かず早々に飽きやすい。 //-&bold(){非常に悪路が多い。} //--通常の平地な道はほとんどなく、岩場・急な坂・雪道を渡り、荷物を運ぶことになる。 //---岩場は徒歩では小さな段差でもいちいち登らなくてはならず、''車両ではわずかな岩ですら乗り越えられない。'' //---坂は行けそうな道やバイクで登れそうな道が通れないことが多い。加えてバイクだと岩に引っかかり、画面が揺れて3D酔いが良く起こる。 //---配達の多くは悪路の狭い道が多いため、トラックがほぼ死に道具になっている。 //---''全体的に移動に手間が掛かり決して爽快感溢れる旅をイメージしていると苦痛を味わうことになる。'' //&bold(){同じような場所が多い。} //---せっかくのアメリカが舞台なのに岩場や雪山など同じような場所ばかりで単調な場面で飽きてくる。 //---アメリカの名所というのもほんとんどない //-&bold(){徒歩} //---ある程度の装備がないとまるで歩けず、直ぐにフラつきまともに配達できない。LR2でのバランスを取りも押し過ぎると転倒とかないので、LR2ボタン押しっぱなしにしておけば解決なのでただわずらわしいだけ。 //---おそらく道中左スティックだけの操作でずっと荷物運ばせて退屈させないための要素と考えられるが、しかし、それはただただ面倒なだけ、それならこんなシステムを無くして、もっと周りの景色を楽しめるようにさせて欲しかったという声もある。 //---徒歩での配達は時間が掛かりより苦行である。 //↑つまるところ「景色に面白み、アメリカっぽさがない」「移動が苦痛」と言いたそうだが、「大災害で荒れ果てた世界」を「自分で開拓して移動を楽にしていく」ゲームに何を言ってるんだろうか。 &b(){システム} -ユーザーインタフェースに使いづらい点がある。 --全てのボタンを複雑に組み合わせて使う必要があり、操作が難解。 ---よく使う□ボタンには乗車とパンチが割り当てられており、バイクや他の交通手段を使いたいのにパンチが出るという煩わしさに悩まされる。 ---荷物投げは戦闘などで最初から最後まで重要な技なのだが、操作が「R2かL2を押し続けて荷物を手に持ち、パンチボタンで荷物を振ると同時に、掴みボタンを離す((利き腕であるRで掴んでいた方が遠くまで飛ぶ。))」と非常に分かりにくい。 ---L2R2同時押しで背嚢をしっかり握り締めバランスを保つ動作をするが、L2R2を押しながらジャンプボタンを押すと「ステップ回避」という全く違うアクションが出る。 ---''重い荷物をしっかり持ちながらクレバスをジャンプで越えようとするとステップが暴発''し、谷底へ一直線に落ちる事になってしまう。 --ボタンの数だけでは足りず、ボタン長押しに別の操作が割り当てられている。 ---操作案内のアイコンも長押しと短押しの違いが直感で分かりにくく、違いに気付けないプレイヤーは永遠に長押し操作を使えない((アイテム選択画面で〇長押しで全決定、武器使用時にR2長押しでタメ攻撃など。))。 --可能な操作は「Tips」に全て書いてあるが、項目が膨大で必要な操作をすぐ調べる事が出来ない。 -文字が小さい --大画面TVでようやくちょうどいいほどのサイズ。難解なUIの説明が余計に解読が不可能になる。 --後日のアップデートで文字サイズを大きくできるようになったが、それでようやくフルHDの小~中文字レベル。 -マップ --マーカーはほぼ直列で配置されるうえ、等高線図がなく衛星写真しかないため、通行不能な山や崖などが分かりづらい。タッチパッドを押しながらコントローラーを傾けることでマップが傾き、地形の起伏をある程度確認することができるが、視認も操作も難しい。 ---Win版では右スティック操作に変更されており、こちらが使いやすいのではないかという声も多い。 --マップにはプレイヤーと他オンラインプレイヤーの建築物が色分けされて表示され、フィルターもできるが、「オンライン内で特定の数名プレイヤー」という絞り込みはできない。他のプレイヤーは良くも悪くも区別のない扱いである。 -車両で納品する際のわずらわしさ --荷物を搭載した車両を配送端末のある建物の入り口に横付けすることで、荷台から直接納品できる。しかしこの範囲が非常に狭く、配送端末から約2m以内に停めないと配送端末が荷台の荷物を認識してくれない。 ---従って、サムが端末まで行けるスペースを確保しつつ、車両を認識してくれる位置に細かく調整して停車せねばならず、無駄な手間が必要となる。 --荷物掴みボタンで荷台から直接降ろしたり積んだりできるが、数秒間の長い積み下ろし動作カットインが入る。 ---地面の荷を拾い上げる動作は一瞬なのに、この時の動作は非常に緩慢で無駄に時間が掛かる上にスキップ不可。 ---別の動作とボタン操作が共通なので、暴発もしやすい。 --舞台がアメリカなので4輪車は左ハンドルだが、配送センターの端末は右側にあるため、降車してからいちいち逆側へ歩かなくてはならない点も不便。 //-オフライン・プレイヤー人口減少時の弊害 //--本作の配送の半数に関しては、オンラインによる間接的な協力要素も念頭に置いて調整されているものも少なくない。また、プレイヤー個人が配置できる設置物もマップ全域を賄えるほどの許容量はない。 //--したがってインターネットに接続されていない場合、自力での踏破が前提となる新規エリアへの配送はともかく、フィールドをあらかじめ整備しておかねばならない部分の難易度が大きく上昇することになる。 //--さらに、オープンワールドで他プレイヤーと共有し合う建造物と配置された道具は、誰にも修繕されなければいつかは消滅してしまう。~ //つまり、仮に同時期のプレイヤーがいなくなった(過疎になった)場合、その弊害が他の1人用ゲームよりも大きめに現れることが予想できるのである。 //「他プレイヤーとの間接的な連携」に重点を置いている節が強いため、オンライン未接続時の場合は特に人々の役に立っているという感覚がイマイチ感じられない。 //※発売から2年が経った現在も新規プレイヤーの配信動画などでプレイに深刻な影響が出ていない(むしろ、長く遊んでいるベテランプレイヤーが最適な場所に建設物を設置しているため楽になっている)事、オンラインを前提に設計されPSN月額課金も必要ないゲームにオフラインのデメリットを説くのはナンセンスであるため、コメントアウトします。 ***バトル //-戦闘全般 //-- 敵の種類が少なく、飽きが早い。ボスを除くと、遭遇する敵は大別して人間とBTの2種類しか居ない。 //--前身作の『MGSV』が終始難易度の高いゲームに仕上がった反省からか、あるいは運送に重点をおいて調整されているためか、戦闘自体の難易度は抑えめ。 //--「新しいゲーム性」と宣伝して不殺を強調するゲームシステムとしながらも、ストーリー終盤は''結局、実力行使をもって敵と決着を付ける展開が多い''ことには肩透かしを感じる、という声も多い。 //MGSだって敵の殺害が非推奨なゲームデザインなのにボスとはガチバトルでしょ。何が言いたいのか分からん。 -人間の敵 --人間の敵は、槍投げ兵と銃を持った兵の2種類のみ。ミュールとテロリストという違いはあれど、持つのが気絶武器か実弾兵器かの違いだけであり行動パターンも対処方法も変わらない。 --敵の視界が広い一方でステルス状態に入れる草むらが少なく、サムが隠れるのは困難な場合が多い。 ---敵が射撃武器を扱い始めるゲーム後半からは多少対策が要るが、いずれも難易度Normal設定までなら対応する武器を持ち込んでいれば苦戦せずに撃退できる。用が無ければガン逃げも有効。 //また死亡させてはいけないという制約から戦闘に時間がかかりダレやすい。 //非殺傷武器の充実やトラックで突っ込んでも気絶止まりな耐久性から不殺による制約は皆無。 -BT戦 --BTが出現する「座礁地帯」でのプレイは最初から最後まで全く変わらない。「ゲイザー」から一定距離を保っていさえすればいい。ゲイザーやハンターからの逃走に失敗した(あるいはわざと捕まった)場合に大型BTが出現する、というギミックも全く変わらない。 ---フィールドボス的な大型BT「キャッチャー」も3種類しかおらず、うちイルカ型とイカ型は姿も行動もよく似通っていて変わり映えしない(違いに気付かない人すら居る)。 ---キャッチャー戦そのものはそこまで困難というわけではない。BT戦は武器を持ち込んでいなくても、戦闘フィールドで武器をもらえる救済処置があるため、何度かプレイして基本を学べば撃退まで持ちこめる。 ---ところが、一度キャッチャーに捕食されてしまうとクレーターができて''その座礁地帯はエンディングを迎えるまでキャッチャーが出現しないため、何度も学ぶ機会が無くなってしまう。'' ---死亡時の派手な恐怖演出もあり、TPSが苦手だったり遊んだことがなかった人はそのまま大型BT戦に苦手意識を持ってしまいがち。 ---特に、最も弱いキャッチャー扱いで序盤から登場するイルカ型は''戦闘開幕に即死攻撃=捕食を行う行動パターンが非常に多い''のも、それに拍車をかける。 ---頭部が光ってから飛びかかってくる行動が即死攻撃で飛びかかりまで時間の猶予があるのだが、初見プレイでそんな事が分かる人は居ない。 //-BT //--座礁地帯に現れる敵であるが、囚われたら逃げることは難しく荷物にもダメージが出るため、ストレスが溜まる。 //--BTは場所を移動させられるため、倒しても、落とした荷物を探さなくてはいけなくてストレスが溜まる。 //対BTがステルスゲーなのはプレイしていればわかることなのにストレスとは? //戦闘が苦痛になってるん原因の一つなんだが? //↑CO解除するよりまずスレで話すべきでは ---- **総評 主要拠点間の移動さえ困難なものに作られたオープンワールドのフィールドを、踏破する方法を取捨選択して移動する…。~ 独立後の小島氏が作り上げたこのゲームデザインは、移動そのものをゲームの主要素に据えてオープンワールドゲームと「お使い」ゲーを再解釈したとも取れる作品に仕上がっている。 ウォーキングシミュレーターのように歩くところから始まり梯子やロープを使って地形を乗り越え、やがてバイクやその他の運搬手段が解禁されるがスムーズに移動させるためには発電機や橋、国道などのインフラストラクチャーの整備が必須で、困難な配送を簡単に行えるようにフィールドを改造した時の達成感・征服感は本作でしか味わえない。~ 一方、まず我慢・忍耐を要求するゲーム性や難易度・操作性に癖がかなり強く、馴染めなかったプレイヤーには''苦行''として嫌われることもしばしばある。~ シナリオ面では日本人とも馴染み深い宗教由来の概念「三途の川」「彼岸」から着想を得た死生観を帯びたSF設定と「人との繋がり」を描いたストーリーはゲームシステムとも深く繋がっており多くのプレイヤーが評価する反面、日本人に馴染みの薄いアメリカが舞台であり、最初から独自用語が飛び交うこともあり、あまりの複雑さや難解さに混乱する人も存在する。~ しかし、いずれの要素も細かい作りこみ含めて全体的な完成度は非常に高く、「未完成」の誹りに終わってしまった前身作''『MGSV:TPP』の雪辱は十分に果たした''と言えるだろう。~ 端的に表すのなら、''万人受けこそしないが、その唯一無二のゲーム性に、ハマる人はこれ以上ない程にドハマりする。''そんなゲームと言えるだろう。 //全体的に内容が「ハマらなかった人が良くも悪くも書ける要素をネガティブ寄りにまとめた」感がある。見直した方がいい。 //肯定的な意見と否定的な意見で、ある程度バランスの取れた内容に書き直しておきました。 ---- **余談 -元々小島監督は2015年にコナミで久々の『[[SILENT HILL>SILENT HILLシリーズ]]』シリーズ新作となる筈だったPS4専用ソフト『''SILENT HILLS''』を監修していた。映画『パシフィック・リム』監督のギレルモ・デル・トロ共同監修、前述のノーマン主演、ホラー漫画『''うずまき''』作者の伊藤潤二先生が開発参加予定とかなり豪華だったのだが…。 --突如ギレルモ監督がTwitterにて『SILENT HILLS』の開発中止をコメントし、その後コナミが正式に中止を発表。合わせてプレイアブルティザーゲーム『P.T.』も配信が中止、再ダウンロードもできなくなってしまい多くのファンを落胆・憤慨させた結果、開発継続の署名運動にまで発展した。 ---その中止理由は明かされていないがコナミの社内政治事情によるものと噂されていた。前後して著名スタッフが何人かコナミを退社しており「小島監督達も退社するのではないか?」と言われていた。 ---結局中止が覆ることはなく小島監督達は本当にコナミを退社し、新たにコジマプロダクションを立ち上げて本作を手掛けることになる。 ---上述のような一部のホラー要素・ノーマンとギレルモ監督の出演など、同作の要素がいくつか拾われる形となり、一応は報われた。 //リベンジとも言える要素が。 //リベンジって復讐って意味だよ。復讐しちゃ駄目でしょ笑。 --一方、コナミ側は「''『SILENT HILL』シリーズは今後も制作していく''」とコメント。その後パチンコスロット以外長らく音沙汰がなかったが、2022年10月20日に配信番組「SILENT HILL Transmission」にて『[[SILENT HILL 2]]』のリメイクを始めとしたCS向けゲームの新作が複数発表された。 ---さすがにこの一件で反省したのか、第1弾として''『P.T.』のゲーム性を流用したPS5専用ソフト''『サイレントヒル ザ・ショートメッセージ』を''無料で''配信。''数年振りの''新作となった((コナミの社長は2020年までゲームに否定的な人物だったが、同年にようやく交代した。よってその影響もあると思われる。))。 ---また、『[[メタルギアソリッド3 スネークイーター]]』のリメイク版について「''スタッフロールに小島監督を載せる!''」とも言っている。 --ちなみに『P.T.』を評価する声は現在も多く、明らかに当作の影響を受けたゲームが作られてたり''当作をインストールしたPS4本体が高値で取引されていたりする''。 -コジマプロダクションは7月26日、PS4/Win向けに発売した本作について、''全世界での売り上げが500万本を突破している''ことを明らかにした。''Win版単体では約30億円の売り上げを記録している''ことも発表されているため、''セールス面では十分に成功を収めた''と言えるだろう。 -本作発売の翌年となる2020年、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行により人々には外出や接触の自粛の要求・それによる分断が発生しており、偶然にも本作の世界観と似た状況となっている。 --それを意識したかどうかは不明だが、『サイレントヒル ザ・ショートメッセージ』は新型コロナウイルスも題材に含めている。 -コジマプロダクションのシンボルキャラクターであるルーデンスはフィギュア化やねんどろいど化、''美少女プラモ「フレームアームズ・ガール」化''などの様々な商品展開がされており、作中にも実在するフィギュアがメモリーチップの記録として登場している。 -小島作品ではお馴染みのコラボレーションだが、本作のコラボの一つとしてエナジードリンクの「モンスターエナジー」が登場していた。作中ではサムの常備している水筒にモンスターエナジーが入っており、常備のスタミナ回復アイテムとして扱われている。 --Director's Cutでは版権が切れてしまったのか、エナジードリンクの名前・ラベルなどが変わっている。 -前述の通り、本作ではゲームエンジンにDECIMAが採用されているのだが、それには訳があり、小島氏が本作を開発する為のゲームエンジンを探す為、DECIMAの開発元であるオランダの''ゲリラゲームズ''を訪問した際に、担当のスタッフから''まだ契約も結んでいないのにソースコードを渡され''、その心意気に感動したからだと述べている。 --そもそものDECIMAという名前の由来も、日本とオランダの江戸時代から続く長い友好関係に由来している((日本とオランダの貿易場所である、長崎の出島のこと。))と考えられる為、ゲリラゲームズとコジマプロダクションの良好な関係が見て取れるだろう。 //小島監督の説明だとDECIMAと出島はたまたま発音が被ってただけで、ゲリラの方は意図して付けたんじゃなさそうという感じでしたけど //↑ソース https://dswiipspwikips3.jp/death-stranding/information/playstation-experience-2016.html#question05 //ソースを拝見させて頂きましたが、小島監督は明確に否定しているようには見えませんでしたので、元の内容のままにしておきますね。 -2021年10月15日に放送されたNHK初のゲーム教養番組『ゲームゲノム』にて本作が取り上げられた。もちろん、小島監督も出演している。 ---- **Win版 -PS4版発売から約8ヶ月後の2020年7月14日にSteamとEpic Games StoreにてWin版の配信が開始された((当初は同年の6月3日に発売が予定されていたが新型コロナウイルスの影響によりコジマプロダクションのオフィスを閉鎖したことと、それに伴うリモートワーク体制への移行が理由で延期したことが公表された。))。 --PS4版との主な相違点は、4K解像度対応、ウルトラワイドモニタ(21:9)対応、VERY HARD難易度オプションの追加、『[[Half-Life: Alyx]]』や『Cyberpunk 2077』とのコラボレーション((それぞれ6つの追加ミッションが同梱されており、それらをクリアしていくと追加アイテムを入手できる。))、最大240fps対応など。 --また、グラフィックにおいてもPS4版では存在しなかった看板が追加されている、テクスチャやライティングがより細かく表現されているなどと言った細かい相違点も挙げられている。 --なお、現在Steamで配信中のWin版はゲーム本体の他にデジタルアートブックやゲーム内アイテム((元々は予約での同梱だったが通常配信版にも同梱された。なお、アイテム自体はゲームストーリー進行中にアンロックされる。))の一部が同梱された内容となっている((Epic Games Store版はこれに加え、未使用曲10曲を含むデジタルサントラの「DEATH STRANDING Official Score Expanded Edition」も同梱されている。))。 --Win版は珍しく「初回限定生産版」と称された豪華特典付きのパッケージ版も北米・欧州・日本で同時発売された。なお、インストールに必要なストレージ容量が大きい((公式記載のシステム要件によると80GB以上。))こともあり、物理メディアは提供されておらず、Steamデジタルコードキーが同梱されている。 -2022年8月23日にはMicrosoft Storeでも配信が開始された。 ---- **その後の展開 -2021年9月24日にPS5版となる『Death Stranding Director's Cut』が発売された。 --序盤を遊びやすくする要素、新たな武器・装備、ジャンプ台などの新しい建設物、新手の大型BTの追加などの戦闘面の強化に、新しい依頼、サーキットでのレースなど多数の要素の追加のほか、Win版の一部の要素の逆輸入が行われた。 --追加シナリオには、サムが''敵地へ潜入''した際に''みかん''の入った''大人ひとりがすっぽり入るサイズの段ボール箱''を見つけ、その箱に入ってみるが首を横に振り結局使わないというシーンがある。 ---''段ボール箱を使えて敵地潜入する作品''が''未完''に終わったという自虐ネタと受け取れる。 --その後、2022年3月30日にはSteamとEpic Games StoreでWin版『Director's Cut』が発売された。既に各ストアで本作を購入済みの場合は安価((Steam及びEpic Games Storeの販売ページの記載によると1,280円))で『Director's Cut』へのアップグレードが可能となることが各販売ページに記されている。 --2024年11月7日には、XSX/Win(MS Store)版も発売。 -2022年12月に続編『Death Stranding 2』が発表された。PS5完全独占タイトルになる模様。 --その後、2024年2月1日に正式タイトルが『Death Stranding 2 On The Beach』であることが明らかになり、2025年6月26日に発売された。 -2023年9月13日に本作のmacOS/iOS/iPadOS版が発表された。対応機種はiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Max、M1チップ以降を搭載したiPad/Macで2024年1月30日に発売された。