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ネルケと伝説の錬金術士たち ~新たな大地のアトリエ~ - (2024/04/11 (木) 21:56:04) のソース

*ネルケと伝説の錬金術士たち ~新たな大地のアトリエ~
【ねるけとでんせつのれんきんじゅつしたち あらたなだいちのあとりえ】
|ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B07DPB97R5)&amazon(B07DP3GTFG)&amazon(B07DPF7JHK)|
|対応機種|Nintendo Switch&br()プレイステーション・ヴィータ&br()プレイステーション4&br()Windows(Steam)|~|
|発売元|コーエーテクモゲームス|~|
|開発元|コーエーテクモゲームス(ガストブランド)|~|
|発売日|【Switch/PS4/PSV】2019年1月31日&br()【Win】2019年3月26日|~|
|定価|通常版&br()【Switch/PS4/Win】7,800円&br()【PSV】6,800円&br()20周年記念ボックス&br()【Switch/PS4】26,100円&br()【PSV】25,100円&br()プレミアムボックス&br()【Switch/PS4】10,800円&br()【PSV】9,800円|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|歴代錬金術士達が総登場&br;DS組はDLCのみ&br;村おこしが目的のゲーム&br;主人公は錬金術士ではない|~|
|>|>|CENTER:''[[アトリエシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
1997年から続く錬金術RPG『アトリエ』シリーズの20周年記念作品。~
『[[リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~]]』までの歴代のシリーズキャラが大量に登場するコラボ作品。~
主人公のネルケは貴族令嬢であり、辺境の村ヴェストバルトの担当管理官として村を発展させるのが目的のゲーム。~
PSVにおける最後の『アトリエ』シリーズ作品でもある。

#region(登場キャラクター)
『オリジナル』
ネルケ・フォン・ルシュターム ミスティ・エルルート クノス ロータス・マクレガー

『[[マリーのアトリエ>マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~]]』
マルローネ エンデルク

『[[エリーのアトリエ>エリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士2~]]』
エルフィール・トラウム

『リリーのアトリエ』
リリー

『ユーディーのアトリエ』
ユーディット・フォルトーネ

『ヴィオラートのアトリエ』
ヴィオラート・プラターネ バルトロメウス・プラターネ

『イリスのアトリエ エターナルマナ』
クレイン・キースリンク リイタ・ブランシモン ノルン

『[[イリスのアトリエ エターナルマナ2]]』
フェルト・ブランシモン ヴィーゼ・ブランシモン

『イリスのアトリエ グランファンタズム』
エッジ・ヴァンハイト イリス・フォルトナー

『[[マナケミア>マナケミア ~学園の錬金術士たち~]]』
ヴェイン・アウレオルス

『マナケミア2』
ロゼリュクス・マイツェン ウルリカ・ミューベリ ペペロンチーノ

『[[新・ロロナのアトリエ>ロロナのアトリエ ~アーランドの錬金術士~#id_abfa2991]]』
ロロライナ・フリクセル ステルケンブルク・クラナッハ

『[[トトリのアトリエ>トトリのアトリエ ~アーランドの錬金術士2~]]』
トトゥーリア・ヘルモルト

『[[メルルのアトリエ>メルルのアトリエ ~アーランドの錬金術士3~]]』
メルルリンス・レーデ・アールズ

『[[アーシャのアトリエ>アーシャのアトリエ ~黄昏の大地の錬金術士~]]』
アーシャ・アルトゥール

『[[エスカ&ロジーのアトリエ>エスカ&ロジーのアトリエ ~黄昏の空の錬金術士~]]』
エスカ・メーリエ ロジックス・フィクサリオ

『[[シャリーのアトリエ>シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~]]』
シャリステラ シャルロッテ・エルミナス

『[[ソフィーのアトリエ>ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~]]』
ソフィー・ノイエンミュラー

『[[フィリスのアトリエ>フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~]]』
フィリス・ミストルート

『[[リディー&スールのアトリエ>リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~]]』
リディー・マーレン スール・マーレン

『その他』
妖精さん パメラ・イービス ハゲル・ボールドネス
#endregion

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**ストーリー
>ネルケは好奇心あふれる貴族令嬢。
>ある事情から“辺境の村・ヴェストバルト”の担当管理官となり、村の発展を任されます。
>使命を果たすべく奮闘するネルケ。そんな彼女のもとに、スゴ腕の協力者たちがやって来て……。
>(公式サイトより引用)

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**システム
-大きく分けて「平日パート」と「休日パート」に分けられる。
--「平日パート」でできるのは、「建築」と「仕事の依頼」
--「休日パート」でできるのは、「訪問」と「調査」「研究」
--平日に開発や仕事を行いその結果をまとめた報告を受け、休日に交流や探索を行うのを交互に行うのが基本的な流れ。

-「建築」
--各エリア毎に町の形に沿った建物配置可能なマス目が表示されており、そこに各種建物や畑等を立てていく。
---建物は入口が道路に面していないと建てることができず、開発可能になった時点で存在する道路から道路を繋げることで、元の道路から離れた場所にも建物を建てることができるようになる。
---作業者を設定する建物や大型のランドマークなどは1ターンでの建築可能上限数が存在する。初期は1ターンに2個までしか建てることができないが、研究を進めることで1ターンの上限数を増やすことも可能。
---ただし、柵や看板などの作業者を設定しない小規模の建造物については建築数の制限もなく道路に面してる必要はなく、好きに配置可能。また、これらは装飾だけが目的ではなく、微量ながら補助効果を発揮する。
--アトリエや食料品店などは各建物毎に3サイズ存在し、ゲームを進めることで建築が解禁される。大規模な物は建築費用が高く場所も広く使うが中規模の物は妖精さんを1人、大規模の物は妖精さんを2人雇うことができる。
---妖精さんは下記の各仕事依頼を確率で結果の数量を上乗せしてくれる((本来4個販売予定の所を追加在庫不要で6個販売にしてくれるなど。))。上位の妖精さんも存在し、依頼費用は高くなるがアイテム増加の成功確率が増える。

-「仕事の依頼」
--住人(村を訪れた過去作キャラ)に「派遣」「栽培」「調合」「販売」の依頼をすることができる。キャラ毎に得意分野は分かれており、得意な分野程アイテムの入手数が増えたり販売数が増えたりする。栽培と販売は住人を配置しなかった場合はお手伝いさんが担当する。
---「派遣」は探索完了済みの町の外のエリアへの派遣を依頼し、素材を集めてくる。人員を配置した場所のみ素材を入手可能。
---「栽培」は建築で建てた畑や林、牧場等で指定したアイテムを育てて収穫した貰う。人員を配置しない場合、代理のNPCが設定され、少数だが指定した素材を入手してくれる。この作業だけ代理でもそれなりに役立つ。
---「調合」は各作品主人公の錬金術士達にしか依頼できない。従来の『アトリエ』シリーズ同様、集めた素材を元に各種アイテムを調合して作成する。人員を配置していないアトリエには代理のNPCが設定されるが、人がいるだけで何もしない。
---「販売」は現在の所持アイテムを建築で建てた各種店舗で販売する。食品は食料品店で、道具は雑貨屋など、決まった種類の店でしか売ることができない。調合する前の素材自体も販売できるが、非常に安い。人員を配置していない店には代理のNPCが設定されるが、販売アイテムを設定できず、基本的な素材アイテムを少数赤字で売るだけの店になる。
--調合には委託調合というシステムがある。調合アイテムと担当する錬金術士(複数可能)を指定すると、現在使用できる枠・コストの範囲で素材となるアイテムを含めて掘り下げて実行してくれる。委託調合を解除すると、その全ての調合指示が解除される。
---最上位のアイテムを含め、作中のあらゆる調合アイテムは10枠全てを使えば作れるようになっている。
---特定の調合アイテム及びその素材の出入りが特定の錬金術士に集中するため、管理が楽になりやすい。
---一方で、素材アイテムの調合を特定の錬金術士が一括で行い、それらを上位の調合担当が共有する、というプレイスタイルの場合はかえって面倒が増す。
---やるなら、全員委託調合に切り替えるくらいの思い切りが大事。

-平日パートの結果確認
--建築の指定や各仕事の依頼を設定し、平日ターンを開始すると一斉に処理が行われ、その結果が各種一覧となって表示される。
---その際には各作業の不足((調合・販売の在庫不足、お店はあるのに人はいないなど。))についても表示される。

-「訪問」
--行動ゲージを消費して各キャラを訪ねることができる。
---交流を深める事で友好度を上げたり、調査に同行してくれるようになったり、ランドマーク作成のヒントを貰ったり、「まちの声」を増やしたり(結果的に資金入手と友好度上昇に繋がる)できる。また、友好度が上がると平日パート開始時にレシピが貰える場合もある。

-「研究」
--複数の作品を超えた錬金術士に特殊な調合を依頼する。依頼には素材と担当錬金術士の合計友好度が一定以上必要。
---メインストーリーとなるグランツヴァイトの樹に関する調査はここで行う。他にも建築に使用する素材を作り出したり、戦闘で使うアイテムをさらに上位の物にしたり出来る。
--序盤はそうでもないが、次第に必要な友好度が上がっていくため訪問や自然上昇だけでは不足しがちで、すべて達成するためには序盤から計画的な運営が必須となる。
---具体的には、極力錬金術士が貢献度ランキングトップになるように仕事を割り振ったり、異常事態が起きた時は解決ターンには全ての錬金術師を発生地区に配置できるようにスケジューリングしたり、など。

-「調査」
--最大5人で町の外へ調査に向かう。指定したエリアを調査し、最後までクリアすることで以降は指定エリアの派遣が可能になる。本作の戦闘要素。
--調査は自動で道をまっすぐ進むのみで、進むごとに行動ゲージを消費する。走ることが可能で、走ると素材収集が行われず、戦闘発生時には不利になるが、少ない行動ゲージで先に進むことが出来る。
--調査を行うと調査完了時に行動ゲージが残っていても休日パートは終了となる。

-戦闘システム
--前衛(アタッカー)、後衛(サポーター)と分かれており、本作のオリジナルキャラであるネルケ、ミスティ、クノス、ロータスがアタッカー、『ザールブルグ』『アーランド』『黄昏』『不思議』シリーズの錬金術士がサポーターとして後衛になり、最大で5人編成が可能。主人公は参加固定。
--ターンゲージが溜まったキャラから敵味方問わず順に行動する形式。素早さが高いほどターンゲージの溜まりは早い。
--BPというゲージがあり、通常攻撃でBPが溜まり、それ以外の行動にはBPを消費する。
--フラムなどの戦闘用アイテムはストック制ではなくなり、一度でも錬金すると一度の調査につき1度使用できるようになる((エリーの必殺技でのみ再使用が可能になる。))。
---代わりに調合数や上位アイテムの入手に応じて威力があがったり、アタッカー4人に補正がかかるようになる。
--サポーターは行動の指定が一部を除いて不可能で、通常時はキャラ毎に決められたアイテムの使用を行う。BPを4ゲージ使用する必殺技のみゲージが溜まっていればいつでも使用させる事が出来、ターンゲージに依らずに即時発動する。
--錬金術士のレベルは錬金術のレベルと連動した『マリーのアトリエ』と同じ形式。

-課題
--領主から出されるゲームの主目的。これを達成できないとその時点でゲームオーバーとなる。
---内容は一定以上の人口の増加や黒字の安定化等、町を大きくすることに関わるのが主。
--最終的に100ターン目に強制的にエンディングとなる。
---グランツヴァイトの樹の調査は努力目標であり、達成できなくてもOK。達成できればトゥルーエンドとなる。

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**評価点
-歴代キャラとの交流
--歴代キャラがシリーズの枠を超えて交流する姿がかなりのシナリオ量で描かれており、この点においては概ね好評。
--ロロナ((彼女とステルクだけはメルルの時代ではなく、新ロロナの延長戦でトトリとメルルがいる時期から登場。))を除き、シリーズ最終作を終えた後の時系列から登場しているため、全員が最初からかなりのベテランで非常に頼りになる。
---世界毎の錬金技術の違いや目的の違いによる驚きだったり、マリーを筆頭に問題児が集まってやらかす話があったりと、過去作キャラの交流が個々は短めの会話ながら色々と描かれている。
---ヴィオのにんじん好きやエリーのチーズケーキ好きなど、原作においてこだわりの強かったこともきちんとピックアップされており、キャラ崩壊などもない。
--主人公のネルケは錬金術士ではないということで仕事は過去作主人公任せの置物なのかと思いきや、「仕事中毒で人当たりも良い有能行政マン」といったキャラクター性になっており、歴代錬金術士達と上手く釣り合いの取れる関係になっている点も巧みである。

-DLCの追加シナリオは値段相応の出来
--本編終了後の主人公の恋愛模様、シリーズ恒例キャラ歴代パメラ登場とその正体、シリーズ恒例キャラ歴代ハゲル総出演のギャグシナリオ、DSアトリエシリーズの主人公3人の交流シナリオ、幼少期のイングリド先生を自分たち好みに育てようとするマリー・エリー等、上記に引き続き、シリーズの枠を超えた良好な交流シナリオになっている。
---ただ、「何故ネルケは錬金術師になれなかったのか」という主人公の根幹にかかわる内容も含まれている為、これが有料DLCになっている事には苦言を呈する声もある。

-町づくりについては概ね好評
--町づくりシミュレーションの基本を押さえた作りにアトリエシリーズの調合システムを合わせたゲームの流れをしており、ゲームテンポもいい。そのため、やることが多い割にはゲームはサクサク進む。
--形が完全に固定化されたランドマークなどはあるものの、同じ機能の建物でも3種程度は屋根の色の違いを出すことができ、柵等はそれなりに細かく種類を選ぶこともでき、自分だけの町を作ることも可能。
---あくまで出来合いの建物等を並べる程度までしか出来ないので、町づくりに完全特化したゲーム程の自由度はないが、アトリエシリーズの記念コラボゲーとして普段こういったゲームに触れない人にとっては遊びやすい程度とも言える。

-調合の楽しさは本作でも健在
--主人公自身は休日の調査時に素材集めに参加するくらいだが、新規エリアを探して素材を集め、錬金術士との交流などから調合レシピを入手、それらを元に新規アイテムを調合するという『アトリエ』シリーズの基本は本作でも押さえられており、その点の楽しさは健在。

-適切な難易度の課題
--町の発展のための主目的である課題は集中的にやればかなり余裕のある期間設定がされており、意識して取り組めば課題達成で困ることはあまりなく、一切気にしなくても達成出来てるほど緩くはなくと言った所で適切な難易度。
---またそれでも難しい人のために、バッドエンドも含めて一度何かしらの形でゲームを終えると売り上げや友好度上昇に補正がかかるようになるため、苦手な人でも繰り返しプレイでクリアできるよう配慮されている。

-追加研究による難易度緩和
--アップデートによって錬金術士皆で宴会をするための一連の流れがシナリオと共に研究の形で追加された。シナリオ自体も好評なことも加え、簡単に進行可能な研究で後半の素材をそれなりの数入手可能なため、メイン研究の進行も難易度が緩和された。

-進行状況に応じた「まちの声」
--モンスターの討伐依頼は依頼発生時に最新エリアになっている辺りのモンスター、アイテムの作成や販売の依頼は調合可能な中から高く売れる物などが選ばれているようで、領主からくる特別依頼も後々大量に使う物をあらかじめ作っておくような形になっており、おおよそ「まちの声」に従って依頼をこなしていけばある程度スムーズにゲーム進行が出来るようになっている。目下の目標としても分かりやすい。

-BGMも良好
--新規BGMも良好だが過去作BGMも上手く使われており、調合の依頼画面では指定した錬金術士のアトリエBGMが流れるなど、シリーズファンにも嬉しい仕様。

-戦闘演出
--戦闘はかなり簡略化されており戦闘演出も控えめになっているが、前述のサポーター必殺技だけは各キャラらしい固有技でそれなりに凝った演出になっている。

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**賛否両論点
-全体的に簡略化された過去作の要素
--本作は人材の各作業への配置と各種エリアへの建築物の配置、それに加えて素材収集から商品販売までの流通の流れを管理するのがメインのゲームであり、調合にしろ戦闘にしろ過去作と比べるとかなり簡略化されている。
--あえて過去作と比較するなら、最初期のザールブルグシリーズで妖精さんを大量に雇ってひたすら工房での作業に明け暮れながら依頼をこなすようなゲーム性が近い。
---調合も戦闘も複雑化した過去作が存在し、それらを好きな人からはやはり物足りないゲームと言われがち。
---正直調査だけならば「オートで進行し必ず決まった場所で採取か戦闘が起きる」とソシャゲレベルと言っても差し支えないものとなっている。
---一方で簡略化しつつもアトリエシリーズの流れを汲んだ町づくりゲーとして本作のゲーム性を楽しんでいる人もおり、アトリエシリーズにどういった要素を求めるかでこの点は評価が割れている。

-過去作主要キャラでロジーだけ調合を頼めない
--サブキャラは錬金術士でも一貫して調合は依頼できないのだが、主要キャラの中ではロジーのみ調合を依頼できない。
---同時に協力錬金もロジーが関わるものは存在しない((追加アップデートのオマケシナリオでのみ協力錬金名義で行われる採取でロジーが指定されているものがある。))。幸いシナリオ上で錬金術士として話に絡む場面自体は多々存在する。
---恐らくは錬金釜での調合を行わないため、本作では対象外になった物と思われる。これを設定に忠実と取るか、ただでさえ人手不足気味な錬金術士が減って困る、と取るかは人それぞれだろう。

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**問題点
''シナリオ面''
-町の発展に関するシナリオは薄目
--メインシナリオとしては錬金術士達を呼び寄せた「グランツヴァイトの樹」の調査が主であり、これについては研究のメイン項目で各世界の錬金術士達の協力で段階的に色々な側面から進めていけるのだが、街の発展に関しては「ロータスが領主から課題を持ってくる」→「達成したので次の課題を持ってきた」…の繰り返しばかり。
---街を大きくする過程での問題や届いた課題の問題など、要所でシナリオ自体は入るのだが、それも主要キャラ同士の人間関係的な話がメインである。過去作キャラ交流のシナリオが充実しているのもあってどうにもメインシナリオが薄く感じてしまう。

-過去作キャラで戦闘に参加できるのは『ザールブルグ』『アーランド』『黄昏(ロジー含む)』『不思議』シリーズの錬金術士のみ。
--交流可能な主要キャラでも錬金術士以外や、『グラムナート』『イリス』『マナケミア』シリーズのキャラは戦闘参加不可で3Dモデルすら存在していない。
---『マリー』のエンデルクや『ロロナ』のステルクなど、前衛のアタッカーとして活躍出来そうな主要キャラもいるため、せっかく主要キャラとして登場しているのに彼らが戦闘に参加できないのはやはり残念。

-歴代キャラでGBAのアニスとDS版キャラのみ未登場(DS主人公は後にDLC追加)。
--登場キャラクターの欄を見ればわかるが、本作発売前のアトリエシリーズからは全ての主人公が登場する中、GBAの『アニス』とDSシリーズ3作のみ省かれている。DSシリーズは『リーズ』のシステム面などでの悪評はあれどキャラやシナリオの面では3作共に一定の人気もあるため、本作で未登場だったことにはDSシリーズファンから不満の声が出た。
---発売から4か月後(STEAM版も4か月後の7/26)に有料DLCの「エクストラストーリー」が追加され、主要キャラの追加シナリオや歴代パメラの秘密に迫るストーリーと共にDS版主人公3人も追加されたが、あくまでサブキャラ達同様の住民の一人としての追加であり、調合は任せられない。それでも主要キャラ同様に交流シナリオが追加されているのでただの住民としての追加よりは扱いは良い。
---これにより過去作主人公としてはアニスのみ住人としてすら追加されずに終わってしまった。ただしこのゲームのみバンプレストが開発と販売を行っていたため、版権的な問題で追加されなかったのではないかと推測されている。

-異世界の住民が町を訪れるシナリオはかなり単調
--錬金術士達は調合で出来たアイテムの失敗や使用時の事故でこちらの世界に到着し、サブキャラは各世界の主人公達を探していてこちらの世界に来たかたまたま迷い込んだ、という物ばかりで、来た後も特に揉めるようなこともなく素直に住民になる人ばかり。
---この点に拘っても仕方ない点ではあるし、住民が増えづらくても困るのだが、「またこの展開か」と感じることは多い。

-シナリオがあると言えるのはほぼ主要キャラのみ
--「訪問」で交流を深められる過去作キャラは公式サイトに「登場人物」として紹介されているキャラで全てで、多少サブキャラもいるとは言えほぼ各作品の主人公のみ。シリーズが長いだけにサブキャラまでしっかりと交流させているととんでもないシナリオ量になるため、ある程度は仕方ない面もあるが、やはり寂しい物はある。
---人数が多くなりすぎるため仕方ない面もあるが、『不思議』シリーズのもう1人の主役であるプラフタですらモブ住民枠に押し込まれてしまっている。
--それどころか、異世界であるはずなのに旅の延長で訪れたようなことを言ってる人もちらほら。
--主要キャラ以外は本当にいるだけで、町を訪れて住人になる際の会話をして以降は基本的に「まちの声」としてミッションを依頼する以外に出番はなく、実質各作業を任せられる名前のある住人でしかない。

''システム面''
-調合や販売による総合的な不足アイテムの確認が面倒
--各種依頼画面で調合・販売するアイテムの在庫数不足や素材アイテム不足は表示されるのだが、それらの画面で確認できるのは個人の作業の範囲での在庫のみ。例えば、小麦の在庫が15、マリーとエリーでそれぞれ小麦を10個ずつ販売しようとする場合、販売アイテムの選択画面ではあくまでそれぞれ15個中10個を販売することしか分からず、いざ実行すると当然在庫不足になる。
---人数が少ない内は管理もしやすいが、何十人もの住人で販売や調合を行っているとどうしても気づかず使いすぎる事が起きやすい。
---総合的に今回のターンでの消費合計と作成合計、現在の在庫数をアイテム倉庫の画面で確認は出来るのだが、全アイテムの一覧から絞り込みやソートを駆使して確認しなければならず、気軽に「今調合しようとしてるこのアイテムの素材のプラスマイナスはどうだっけ?」といった確認がしづらい。
---また、確率で収穫数や作成数を追加してくれる妖精さんの分は倉庫の入手数には反映されない。確率入手なので仕方ない面もあるが、最後に解禁される「スーパー妖精さん」は100%で成功する上、各施設の最上級の物では施設1つにつき妖精さんを2人雇えるので、終盤やクリア後は入手数が倉庫の表示とはかなり違ってくるのが当たり前になる。妖精さんの分も別枠表示等欲しかった所。

-本編中はそれなりに急かされる
--平日パートが今できることで町の開発作業をするのに対し、休日パートに出来ることを増やすために大事なことが詰まっており、その中でも住民との交流と新規採取エリア開拓に向けた調査は時間経過があるため、効率的に進めるにはかなり取捨選択が必要。
---住民と交流しないとレシピ入手のフラグが立たない、仲良くならないと研究が進まない((研究の条件に特定のキャラの合計友好度がある。))、と、キャラとの交流を怠るわけにはいかないのに対し、1回の休日で最大で6個までしか会話ができず、住民は加速度的に増えていくため、どんどん会話が溜まっていく一方になりやすい。
---一方で調査は調査で進めないと新規の素材拾集ができず、次のエリアを調査可能にするには最新エリアを最後まで調査しなきゃいけないのだが、1つのエリアを最後まで調査するには走っても休日の半日は必要。
---しかも走ると調査時のアイテム収集が発生しないため、調査したすぐ次の平日パートで新素材があまりないということにも繋がる。
---結果的に、どちらも並行して進める場合には会話は2~3回程度に留め、調査も走って初回のアイテム収集を諦めるプレイスタイルになりがち。ただし、採取発生地点はエリアを問わずパターン化されているため、その辺りまでダッシュして一時的にダッシュをやめる、という手段は取れる。

-住民増加がランダム
--本作は街づくりという仕様上、仕事の依頼ができる住民の数がものを言うのだが、ターン終了時に登場するかどうかはランダム。一応リセマラで登場させることはできる。
---住民が非常に多く誰が来るかについてもランダムなので、好きなサブキャラがいてもクリアまでに来なかったという事も平気で起きる。

-訪問イベント「会話」により起きる事が分かりづらい
--「会話」は(DLCを除き)フルボイスのメインコンテンツの1つではあるのだが、経験値が貰える以外は起こした結果何が起こるのかはやってみないと分からない。
---主要キャラが調査に同行するようになる、住民の訪問フラグが立つ、ランドマークの建設フラグが経つ、等、ゲームシステム部分に関わってくる要素もあるのだが、会話をするだけで終わってしまう事も多く、クリアまではゲーム進行に友好度稼ぎを優先して放置されてしまう事も多い。

-流行が初期アイテム等に来ても意味がない
--流行商品はランダムに指定され通常より多く売れるようになるのだが、ある程度ゲームが進むと最も高く売れるアイテムと初期アイテムでは販売金額が1桁どころか2桁以上違うこともあり、1つの店で売れる商品は1つしか設定できないので、初期の商品に流行が来てもわざわざそれを売るメリットがない。後半は意味のない流行も起きやすい。

-最終的な街づくりの自由度の低さ
--それなりの広さの土地とそこそこの種類の建物があるのである程度自由な街づくりは可能だが、突き詰めて自分好みの町を作ろうとするとどうしても自由度の低さが気になってくる。
---建物の色も用意された色からしか選べず好きな色に変えるといったことはできない。ランドマークは同じ効果の物を複数用意して効果優先でも見た目を選べるようにはしているが色の選択はない。好きな形の建物を作るといったこともできず、やりこんでくるとどうしても自由度の低さが気になってくる。
---有料ではあるが、追加のDLCで各シリーズをイメージした追加の7色分の建物も選べるようにはなった。色替えのみで1色350円という金額は割高と言われることも多いが、色の追加自体はありがたい。

-DLC販促に露骨すぎるがすとちゃん
--本作ではDLCで主要キャラたちの衣装が買えるのだが、シナリオ上でがすとちゃんがネルケの元を訪れ、その宣伝をしだすという露骨すぎる場面が存在する。
--がすとちゃんの大元である『ネプテューヌ』シリーズに登場していた頃ですら、そこまでの銭ゲバキャラではなかったのだが…。

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**総評
アトリエシリーズの20周年を記念して歴代の主人公達を集めたお祭りゲームとして歴代キャラ交流の面ではファンからの評価の高い一作。~
ゲームとしては村おこしが目的の町づくりシミュレーションになっており、この点はシリーズファンから少々評価が分かれる。~
とはいえ、主人公を大量の錬金術士達のまとめ役として仕事を依頼する立場にすることで話もうまくまとまっている。~
町づくりゲーム自体もそういう物に特化したゲームに比べると物足りないが『アトリエ』シリーズの要素を混ぜつつ出来自体は無難な出来である。~
いつもとは一味違ったゲーム性ではあるがお祭りゲーとしては十分よくできていると言える。

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**余談
-ランドマーク「ソフィー像」
--主人公を除きランドマークの石像がソフィーにのみ存在するのは、本作発売より前に行われた人気投票でソフィーが人気一位となったことを受けての物。

-イリスの声優変更
--原作でイリスを演じた松来未祐氏は本作発売前に亡くなられたため、本作では原紗友里氏に交代となっている。