本稿では、オリジナルのアーケード版及びそのファミコン移植版を併せて解説する。
【ねっけつこうはくにおくん】
ジャンル | アクション | |
対応機種 | アーケード | |
販売・開発元 | テクノスジャパン | |
稼働開始日 | 1986年 | |
配信 |
バーチャルコンソールアーケード 【Wii】2012年3月6日/800Wiiポイント |
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判定 | 良作 | |
くにおくんシリーズ |
なぜか色々な悪人たちに絡まれる難儀な友人「ひろし」の敵討ちのために、熱血高校の番長「くにお」が戦うアクションゲーム。
後に同社が出した『ダブルドラゴン』、カプコンの『ファイナルファイト』などに代表される「ベルトスクロールアクション」の始祖となったゲームである。
本作自体はある程度左右に幅のある固定画面方式で、横スクロールアクションの要素はないが、集団を相手に格闘を駆使して立ち回るという基礎的な部分は既に確立されている。
最初に前座のザコと戦い、一定以下になると乱入してくるボスを倒せばクリアとなる。
ボスを倒すと残ったザコは逃げていくが、敵が画面内から全ていなくなる前に時間切れになるとアウトとなってしまう。
また、1面と2面のみリングアウトの概念があり、耐久値分の攻撃を当てなくても画面端に敵を突き落とせば倒した事になる。くにお自身が落下しても体力の有無に関わらず問答無用で即死となる。
+ | 各面の詳細 |
ボタンが3つあってやや操作が複雑なのと、立ち回りに工夫がいるのとで慣れが必要だが、思い通りに敵を捌けるようになるとスイスイ進めるだろう。
生身の人間同士が拳で殴りあって喧嘩する醍醐味をゲームに落とし込んで再現しつつ、80年代のツッパリ文化という独特な世界観をまぶした、まさに80年代ならではのノリとテイストに溢れる個性豊かな1作。
ボリュームがやや薄いのが残念なところであるが、本作が後のベルトスクロールアクションの原型となったことを鑑みるに、ゲーム史における1つの大きなターニングポイントとなった作品であるのは間違いないだろう。
その後「くにおくん」シリーズはテクノスジャパンを代表する人気シリーズとなる。
しかし「くにお」自身は喧嘩よりも専ら様々なスポーツにいそしむことになり、ドッジボール部の活動やダウンタウンの抗争を経て「熱血硬派の不良」と言うより「ハチャメチャなスポーツマン」というイメージが定着していった。
その理由は岸本氏によると、本作で大方の強敵に勝利してしまった為、喧嘩の相手がいなくなったからであるとの事。
これにより、くにおくんシリーズは本作の流れを汲む硬派な喧嘩アクション「熱血硬派シリーズ」、ドッジボールを始めとする様々なスポーツにいそしむ「スポーツシリーズ」、個性的でハチャメチャな学生達を描く「ダウンタウンシリーズ」に分岐していく事になる。
また、1面のボスだった「りき」も改心し、後に「くにおくん」シリーズの名ライバル役兼2Pキャラとして、くにおに付き合いスポーツに喧嘩に活躍して行く。
更に2面のボス「しんじ」、3面のボス「みすず」、そしてラスボスの「さぶ」は『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』・『くにおの熱血闘球伝説?』(※日本未発売)にて再びくにお&りきの前に立ちはだかることとなる。そして「しんじ」「みすず」は長き時を経て『熱血硬派くにおくんSP 乱闘協奏曲』にて「りき」に続く「くにお」の相棒に。「さぶ」は「くにお」の最大の敵として対峙し続けるのだった。
【ねっけつこうはくにおくん】
ジャンル | アクション | imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。高解像度で見る 裏を見る |
対応機種 | ファミリーコンピュータ | |
販売・開発元 | テクノスジャパン | |
発売日 | 1987年4月17日 | |
定価 | 5,300円 | |
配信 |
バーチャルコンソール 【Wii】2008年3月18日/500Wiiポイント 【3DS】2013年4月3日/500円 【WiiU】2014年1月15日/500円 |
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判定 | 良作 | |
ポイント | さらにぶっとんだ展開 | |
くにおくんシリーズ |
ファミコンに移植された「熱血硬派くにおくん」。
アーケードとファミコンのスペックの差を考慮し、様々な追加要素が施されたアレンジ移植となっている。
熱血高校に通うヒロシは、いつもみんなにいじめられていた。
そんなある日、一人の男が転校してきた。
彼の名はくにお!!生まれながらの熱血硬派である。
見た目はこわいが、弱い者いじめが大キライな心やさしい男である。
いつのまにか二人は、親友となっていくのであった。
ところが、ある日ヒロシが何者かに誘拐されてしまったのだ。
くにおは、ヒロシを救いだすためたちあがった。
(FC版説明書より引用)
+ | 各面の変更点 |
得点にハイスコアーの表記がない
アーケードとファミコンのスペックの差ゆえに完全移植は無理だったもののアーケード版の雰囲気を残しつつ、様々な追加要素で劣化部分を補っている。
ステージ後半の迷路要素などに若干の難はあるが、操作性、ゲーム性の両面で原作を著しく損ねてしまった部分もなく、ハードにあわせて程よいアレンジの効いた良移植といって差し支えないだろう。
特に今作でパワーアップしたぶっとんだノリは今後もシリーズの定番として受け継がれていく事になる。