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半熟英雄 ~ああ、世界よ半熟なれ…!!~ - (2017/10/19 (木) 17:59:13) の編集履歴(バックアップ)


本項目ではスーパーファミコン用ソフト『半熟英雄』と、そのワンダースワン移植版の紹介をしています。



半熟英雄 ~ああ、世界よ半熟なれ…!!~

【はんじゅくひーろー ああせかいよはんじゅくなれ】

ジャンル リアルタイムシミュレーションRPG
対応機種 スーパーファミコン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売・開発元 スクウェア
発売日 1992年12月19日
定価 9,500円
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個(バッテリーバックアップ)
判定 良作
バカゲー
半熟英雄シリーズリンク

概要

前作『半熟英雄』の続編。
ゲームシステム・シナリオ・演出、そしてお笑い要素を全面的にパワーアップし、シリーズをスクウェアの人気タイトルへと押し上げた。
現在でも『半熟英雄』というとこの作品を挙げるファンは多い。 難易度は高くない。 前作をプレイしていないプレイヤーでも専門用語等は無く、ゲーム中の解説もある。

ストーリー

大陸を統一し、イリス姫と結婚した主人公。
しかし平和ボケによりすっかりだらけきり、姫には逃げられる始末。大臣は胃薬を欠かせない日々を送っていた。
そんなある日、突如『完熟クイーン』と名乗る女性が城に来訪。
『黒きたまご』を持つ彼女と決着をつけるため、そして今一度主人公をフヌケ状態から抜けださせるために半熟軍と完熟軍の戦いの幕が開いた。

評価点

  • 前作の難点がほぼ解消。難易度も下がり、非常にプレイしやすくなった。
    • 敵もたまごを使用するようになり、前作にはなかったエッグモンスター同士の戦いを楽しめるようになった。
  • 倒された味方は復活できないが、その章の頭からプレイし直すことも可能になり、詰む危険性が減った。
  • たまごの種類が非常に豊富になった。
    • HPが高いエグモン中心の「ワンダーエッグ」、攻撃力重視の「スーパーエッグ」、悪魔的モンスターが多い「イビルエッグ」、ギャグ路線の「カラフルエッグ」など。
    • たまごを持っていない状態で、たまごを持っている敵を倒すと「いっぱつエッグ」が獲得できる。
      • 他にも出すモンスターを選べる「エラベルエッグ」や特定のモンスターしか出ないたまごもある。
  • 新たにフィールドの移動が速い騎馬将軍の追加や将軍ごとにたまごの補正が設定されるなど、将軍の個性がより強調された。
    • 将軍の「しゅみ」もこの作品から設定される。
  • お笑い要素が全体的にパワーアップ。
    • 前作では月一イベントやエッグモンスターぐらいにしかお笑い要素がなかったが、本作ではシナリオがギャグ路線となっており、敵ボスも個性豊かなキャラクターが登場している。
    • FFシリーズ(特にFFIV)のパロディが非常に豊富(例:竜騎士のパロディ切り札「リューキーシ」、ゴルベーザ四天王のパロディ「完熟四季王」、白魔導士のパロディ「城魔導士」など)であり、このパロディ路線が続編では別シリーズや合併相手の別作品にまで及ぶことになる。
      • また、他のスクウェア作品のゲスト出演も散見される。『FFIV』のパロム・ポロム、『ロマサガ1』のゲラハ、『Sa・Ga2』のせんせいなど。
      • 将軍にも「カイン」「エッジ」「リディア」など、スクウェア作品からのゲスト出演がいるほど。
  • 藤岡勝利氏によるキャラクターも非常に好評。
  • すぎやまこういち氏による格調高いBGMも魅力の一つ。
    • 月一イベントに時折すぎやま氏が登場し、サウンドテストが出来るという粋な計らいも。
      • なお、続編では再び植松伸夫氏がBGMを担当。続く『4』も植松氏を始めとする複数人の作曲者が担当したため、結果的にすぎやま氏は現時点では本作のみの担当になっている。
  • 本作からエッグモンスターの募集投稿が行われることとなった。実際に数多くの投稿作が採用されている。
  • タイトルコール、サブタイトル、次回予告などでボイスが付いている。

賛否両論点

  • 戦闘の難易度は将軍の能力に依存するところが大きいが、初期の4人以外、どの将軍を獲得できるかは完全に運。
    • その時マップに出ていない将軍の中から3人の候補将軍がランダムに選ばれてシャッフルされた上で1人選ぶことができる。が、実は乱数で選ばれているためシャッフルをよく見ていても無意味である
    • 獲得できる将軍は章ごとに何人かの新しい将軍が敵として出てきて、その新将軍を倒すとそいつが将軍援護会に登録される形になって増えていくが、その分狙った将軍を獲得するのが困難になってくる。
    • 一応、時間を犠牲にすれば、セーブ&リセットで解決する。
  • 強力な切り札を複数所持していると、相手のたまご持ち将軍が城攻めで速攻たまごを使ってくる。
    • 相手にたまごを落とさせる目的で持っていても無意味になってしまうので威力大+卵落下率最高の切り札「グルミー」の所持数は抑えなければならない。
  • 半熟レベルが16になると全てのエッグから「タマゴキャリー」、最大の17になってしまうと全てのエッグから「ランプキン」しか出なくなってしまうという罠がある。これは各将軍に設定されている卵レベルの補正とは関係がない。

問題点

戦闘関連

  • 戦闘バランスがやや悪くなった。難易度の低下
    • 将軍同士の戦闘は問題ないが、エッグモンスターがかなり強くなった。
    • 防衛戦だと奥の手で大逆転を狙うこともできる。
      • マイナスの効果を持った奥の手もあり、城をしっかりと築城していないと奥の手は威力が低くなる。また、能力が低い将軍の救済ともとれる。
    • いくら戦闘力が高くても、たまごを持っていない将軍はエッグモンスター戦には不利になってしまう。
      • とはいえ切り札を使えば高ダメージを与えられるし、通常の攻撃はダメージが小さいものの全部避けられることはまずなく確実に削れ、「もうこうげき」は当たらない可能性も大きいものの将軍のHPが減っていればいるほど威力が上がる。また1回でなくなるが強い「いっぱつエッグ」の入手も可能。
  • エッグモンスターの強さにバラつきが大きい。
    • 弱い・ハズレとされるエッグモンスターは、将軍の攻撃で突破することもできる。
    • また、エグモンの攻撃にはヒット数が設定されているため、一回だけの攻撃力がどんなに高くても、将軍が相手だと兵士が壁になるため最高で約8回攻撃をする羽目になることもある。最もこれは自軍にも(ry
    • 最終的にワンダーエッグが使いづらくなる。
      • このたまごから出る「ちきゅう(地球)ちゃん」はHPが9999あるものの「敵味方双方のHPが半減する」「自爆して敵にダメージを与える」といった非常に極端な技しか持っていない。
      • これをラストステージで出てくる中ボスに対して出してしまうと、ある理由によりラスボスのHPが異常に高くなってしまう可能性がある。(逆に言うとラスボスを強化して戦うことができるとも言える。)
      • 初期からいる高能力将軍のゼウスを最後まで使い続けた場合、終盤で割を食う形になる。
    • イビルエッグは最終的に中盤のボスを呼び出すようになりその時点では弱すぎる。カラフルエッグも最強レベルはイマイチな強さのため、タマゴ補正の低めの数人しかまともに使えなくなる。
      • ただし、イビルエッグは特殊な切り札を使えば準最強のエグモンを呼び出せるようになる。最強のエグモンは呼び出し条件が厳しい上、呼び出したらほぼ勝てるというチート仕様のため、通常攻略においては最強といえる。
    • 一方でスーパーエッグはやたら強く、(実質的な)最高レベルまで上げるとほとんどの将軍がタマゴ3回使用時点でもかなり強いエグモンを呼び出せてしまう。
      • しかしスーパーエッグには中盤レベルの頃に非常に弱い地雷エグモンが潜んでおり、計画的にスーパーエッグ使いばかり集めているとその期間は使いづらくなってしまう。
  • HP、能力変化の増減バグ
    • エッグモンスター「ランプキン」の使用する「ヘンなおどり」では説明では「敵味方互いにHP半減」とメッセージや攻略本には載っているが、実際は「ランプキンのみHPは半減していなかった」り、「ドラゴンパピー」の「なつく」では「かわいい鳴き声で敵の攻撃力を半減」であるはずが、「敵の攻撃力を増加させる逆ギレ技」となる。
    • 果てにはラスボスの変化する技の初期2択で、「味方モンスター、将軍のHPを半減させる」技が、「相手の最大値HP半分を回復する」という、敵に塩を送る優しい技になってしまっている。
      • このバグ仕様はWS版では改善されている。
  • アイテムである「切り札」は入手すると、売ることも捨てることもできない。また、カーソル位置の記憶もできないため、出撃時にいちいち上から選びなおさなければならず面倒。そのためいらない切り札は買わず、入手したら早めに使いきらなければならない。
  • エグモン・切り札・奥の手の技性能、将軍の卵補正など、ゲームに大きく影響する事項なのにゲーム内で確認できない事が多い。

その他

  • 将軍のパラメータ「内政」の影響がとても小さい。築城を行う際の費用に関わる数値だが、内政値が最高の将軍と最低の将軍を比べても費用は14ゴールドしか変わらない。
    • これは費用計算式が前作のFC版と変わっていないため。FC版では入手できる資金自体が少なく、しかも城のレベルは雇える兵士数に影響するので重要だった。
    • しかし本作ではそこまで金には困らない上、城レベルは兵士雇用数に影響しなくなった。また面クリア式になったため築城しても次面には引き継がれない。
      • 築城のメリット自体は複数あるが、序盤はそれほど行う必要が無く、後半は14ゴールドの差などはした金になっている。
  • 季節が冬の間は地面が白くなるため、ボス城の解放時のメッセージで白い文字フォントが非常に見づらくなる。目をよく凝らす必要があるほど。
    • 『ロマサガ1』の様に、その時だけ文字色を青に変えるか、メニューウィンドウを半透明にしないようにするなどの配慮はできなかったものか…。
  • 中ボス「スプリミリョーネ」の名前が、戦闘中は「スプリミョーネ」と誤表記されている(「リ」の字が抜けている)。
    • また、エンディングで大臣の名前が「だいじんじゃ」と表示されるシーンがある。
  • 各章のプロローグやエピローグなどのシナリオに関するイベントでは、文字速度が早送り出来ない。
    • 月一イベントなどでは可能なのだが。
  • キャラクターに性別があるにもかかわらず、イベント進行で全く考慮していない。
    • 女性入浴中の露天風呂に迷い込んで騒がれるイベントや、洞窟で美人集団(正体はあたし集団)に取り囲まれて鼻を伸ばしているイベントなど。男性キャラでは全く問題がないギャグシーンだが、女性キャラで起こしてしまうと、違和感があるどころの騒ぎではない。
    • 切り札「ブレイコウ」or奥の手「裸でぶつかる」を女性キャラが使うのも強烈。見た目はそれほど色っぽくはないが、それでも年齢制限のないゲームとしては史上まれに見るエロシーンだろう…。

総評

前作の難点を解消、お笑い要素を大幅に増やしゲームとしてもバカゲーとしても進化し名作を張れるだけの作品となった。
人気は高いのだが、次回作が出るまでに約10年の月日を要することとなった。

余談

  • 92年、小学館の児童誌『月刊コロコロコミック』にて本作のコミカライズ版が連載された。作者はおちよしひこ氏。単行本は全1巻。
    • ゲームの再現ではなくゲームの雰囲気の再現を重視したコミカライズ。ストーリーはゲームの序盤まで。
  • 2017年にはスマートフォン移植版配信に伴い、マンガアプリ『マンガUP!』内にて沖野真歩氏によるコミカライズ版が連載される。
  • 本作のゲームオーバー画面が三途の川か天国の2種類になってランダムで決まる。
  • NTT出版から攻略本が発売されていた。『ロマサガ』シリーズの本などに比べれば、間違いは少ない。
  • 人気作でありながら、『ドラクエ』同様にすぎやまこういち氏が関わっている故か、長らくバーチャルコンソールでの配信は行われなかった。
    • 2017年10月にて各種スマートフォン向けの移植版が配信がされる。

ワンダースワンカラー移植版

ジャンル リアルタイムシミュレーションRPG
対応機種 ワンダースワンカラー(専用)
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 スクウェア
開発元 スティング
発売日 2002年2月14日
定価 5,200円
セーブデータ 5個
判定 良作
半熟英雄シリーズリンク
  • SFC版の移植作。基本的に完全移植であるが、以下の変更点や追加点がある。
    • ハード仕様上のためBGMとサウンドが全体的に劣化。
    • エッグモンスターが数体追加された。なお、追加されたエグモンはすべて投稿作である。
      • 魔界塔士Sa・Ga』のラスボスをパロった「チェーンソーを持った紙」のモンスター「かみ」、お茶の間の夫婦をそのままモンスターにするという斬新な発想の「松井さん夫妻」など、投稿作はどれも奇抜で優秀。10年近くシリーズ作が途切れたことで待たされ続けた往年のファンの期待が伺える。
    • 一度ゲームをクリアすると将軍やボス、エグモンのデータが見られる上に全てのBGM・サウンドが聴けるおまけモードが追加された。
    • 戦闘時にボタンを連打ではなく押しっぱなしに変更。
      • これは、すぎやまこういち氏がプレイ中に連打は厳しいから変えて欲しいと要望を出したためという逸話がある。
    • 他、「ンダーエッグ」が「ンダーエッグ」に変更される*1など、一部のエグモンや切り札の名前が変更されている。
      • 上記2点については続編『対3D』以降にも受け継がれている。
  • スマートフォン移植版は本作をベースとした移植となっている。