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GROOVE COASTER - (2016/09/18 (日) 01:28:08) の編集履歴(バックアップ)


GROOVE COASTER

【ぐるーヴこーすたー】

ジャンル 音楽体感アトラクションゲーム
対応機種 アーケード
発売・開発元 タイトー
稼働開始日 2013年11月5日
判定 良作
ポイント シンプル&爽快感重視の音ゲー
ZUNTATAやタイトー名作ゲーBGM等の個性的なラインナップ
世界観にどっぷりハマれる背景演出
譜面視覚性の悪さとAD-LIBの存在が賛否両論
備考 日本国外版のタイトルはRHYTHMVADERS
スペースインベーダーシリーズリンク
グルーヴコースターシリーズ
1~EX / 2:HEAVENLY FESTIVAL / 3:LINK FEVER


概要

SPACE INVADERS INFINITY GENE』の系譜を次ぐ作品[INFINITY GENE PROJECT]のひとつ。
同作の一部スタッフやモチーフを引き継いだうえで「ジェットコースターのような疾走感が楽しめる」というコンセプトのもと開発された、タイトーの音楽ゲーム。
iOSアプリとして配信された『GROOVE COASTER』『GROOVE COASTER ZERO』が高く評価され、そしてスペースインベーダー35周年記念としてアーケード版が発表。
同社としては『ミュージックガンガン!』以来となるアーケードの音楽ゲームを以って、再び大舞台に登場することになった。

システム・特徴

  • 筐体は55インチの縦に長い大画面と、台の上にある2つの「ブースター」のみとかなりシンプル。
    • ブースターは大型のレバーにボタンを取り付けたような仕様の専用コントローラー。2つ用意されており、両手を置いてプレイする。
    • 台にはNESiCAカードの読み取り機とイヤホンジャックがついている。
  • ジェットコースターのレールのように張り巡らされた一本のコースをアバターが移動する。 コース上に置かれたターゲットとアバターが重なった時に、ブースターをタイミングよく操作していく。
    • 長押し系統でないターゲットはコースに置かれているだけでなく、コース外から飛んでくるものもある。
    • 操作したタイミングにより良い評価から順に「GREAT」「COOL」「GOOD」「MISS」と評価。見逃しや大ハズレのタイミングがMISSとなってチェインが途切れ、GROOVEゲージが減る。
      • CHAINコンボは10カウントするとFEVER状態になり、一発で2つ増えるようになる(同時押し系ターゲットは4つになる)。さらにAC版では100CHAINに達するとTRANCE状態になり、更に倍の4/8CHAINずつ増えるようになる。
    • ターゲットは以下の10種類。基本的に、両方のブースターで取るターゲットと、どちらで取っても良いもののどちらか。
      • HIT :小さい丸のターゲット。どちらかのブースターについているボタンを押す。外部から飛んで来るターゲットは丸枠の星形になる。
      • CRITICAL :大きくてとげとげしているターゲット。両方のブースターのボタンを同時に押す。
      • HOLD :丸いターゲットから太いラインが伸びているターゲット。重なっている間ブースターのボタンを長押し。ターゲットの終点でボタンを離す必要はなく、ターゲットの始点でタイミングを合わせる必要も実は少ない。
      • SLIDE :矢印のついた菱型のターゲット。矢印の方向にどちらかのブースターを動かす。ボタンは使わない。
      • BEAT :菱型が連なっているターゲット。重なっている間ボタンを連打。連打数ではなく、切れ目なく連打している時間が一定であればよい。
        むやみに連打すると後続する(AD-LIB含む)ターゲットをMISSしてしまうこともある。
      • SCRATCH :らせん状のターゲット。重なっている間ブースターをどれかの方向に動かし続ける。ゲーム中では「左右に」とあるが、実際は上下や円を書くように中速で動かしてもOK。
        ビート同様、ターゲットが始まる前から動かしていても問題ないが、やはり隣接したSLIDEには注意。
      • DUAL HOLD :クリティカルのターゲットから2重の太いラインが伸びているターゲット。重なっている間、両方のブースターボタンを押しっぱなし。
      • SLIDE HOLD :矢印から太いラインが伸びているSLIDEターゲット。重なっている間、どちらかのブースターをその方向に入れっぱなしにする。
      • DUAL SLIDE :矢印が2つついているターゲットで、両方のブースターを同時に操作する。角度が小さいものの場合、同じ方向にブースターを入れる。
        これが外部から飛んでくる場合、必ず2個の矢印が合体するように飛んでくる。
      • AD-LIB :見えないヒット。曲の特定音やリズムに合わせて隠されているが、コースが折れ曲がっていたり背景に変化が起きたりなどのヒントを持つ曲もある。
        叩けると画面上にAD-LIBと表示され鈴のようなSEが鳴る。叩けなかったりタイミングを大きく外しても、それ自体でMISS判定としてはカウントされない。
  • 最大チェイン率に応じて最高10万点のボーナス、さらに曲終了時のGROOVEゲージが一定量あれば「CLEAR」で5万点のボーナス。結果画面で合計得点に応じたS~Eの6段階のRatingがつく。
    • またミスせずに見えるターゲットを全て取れば「NO MISS」、AD-LIBも含めた全てのターゲットを取れば「FULL CHAIN」という評価が足される。
    • AC版では「FULL CHAIN」かつ全て「GREAT」評価で、長押し系のチェインを逃さず*1取れば、理論値となる100万点になるようになっている。
  • 難易度は「SIMPLE」「NORMAL」「HARD」の三段階で、曲選択後に選べる。難易度が上がるにつれ、ターゲット数とターゲットの種類が増えていく。
    • SIMPLEは、原則として「ヒット」「クリティカル」「ホールド」「AD-LIB」というブースターボタンを叩くターゲットのみで構成されている。
  • 昨今の音楽ゲームでは珍しくキー音(開発内では「ショット音」と呼ばれる)が設定されている。さすがにノーツ毎の音という仕様でこそないものの、BEMANI以外で「完璧に操作することで初めて曲が完成する」タイプになっている数少ないアーケード音ゲーである。
    • 仕様としては収録されている曲全てに例外なくショット音のレイヤー(いわゆる一本WAV)を重ねているというもの。原曲をバックで流すだけというものは実質存在しない。
    • キー音を切り分けられない版権などの一部曲については、収録に際し独自にアレンジされたキー音を重ねる形になっている。メロディ合わせの譜面のある版権曲だとカラオケ風のショット音と言った具合。
  • 1クレジットごとに2~3曲・必ず遊べる。なおクリアボーナスはそのままスコア記録として残る。
    • 後述するNESiCAカードを使用してプレイすると、譜面毎のスコアを保存するだけでなく隠し曲解禁に必要なミュージックプレートなどが手に入る。
  • 店内で最大4人までの対戦プレイが可能。オンライン対戦は不可能。
    • プレイ中は全員のアバターが表示され、順位や点差をその位置関係で示している。このモードに限りミスしたプレイヤーのアバターがスピンするといった演出も。
    • 基本的に対戦の勝敗において、一人プレイ用のスコアは一要素にすぎない。他にもAD-LIBにならない空打ち数や、右・左手のどちらかだけ使った、特定アイテムを使ってクリアした、初回プレイだったなどの様々な項目が評価の対象となる。
      最終的には、これらを達成した分与えられる★の数を、1曲ごとに競うことになる。
    • 後述するNESiCAカードを使用することで、このモードでしか手に入らない称号をもらえることも。
  • NESiCAカードに対応。
    • 登録すると各曲の成績が保存され、全譜面の合計点数を競う全国ランキングに参加できる。
    • プレイするごとに経験値がたまり、レベルアップすることでアバター、タイトル、スキン、アイテムを手に入れることができる。
      • アバターにはタイトーおなじみのCRABなどインベーダー系を始めとして様々な種類がある。iOS版とは違い、どのアバターを使っても基本的な仕様は変わらないので、好きなモノを気兼ねなく使える。
      • タイトルは英訳通り「称号」。選んだものがランキングなどで登録した名前の隣に表示される。
      • スキンはターゲットを叩けた時に表示されるヒットエフェクト。曲ごとにデフォルトで決められている*2が、レベルアップで手に入れたものに差し替えることが可能。AC版では変更を曲毎に保存できる。
      • アイテムは曲選択後に一つだけ選択して使用する。10回までMISSがGOODになる「SAFE」・SLIDEなどをHITまたはCRITICALに変える「EASY TARGET」といったお助けアイテムから、
        全てのターゲットが見えなくなる「STEALTH」・COOLとGOODがMISSになる「JUST」といった縛りプレイ専用アイテムまである。
        これらのアイテムは基本的にはストック消費制であり、レベルアップの他、プレイするごとにランダムで手に入る。
    • ゲームを終了する直前に曲解禁に使うミュージックプレートが、ソロプレイなら1枚・対戦プレイなら2枚手に入る。不定期で開催される増量キャンペーン中は1枚多くもらえる。
      • 曲ごとに必要な枚数は異なるが、難易度が高い曲ほど解禁に多くの枚数がかかる傾向にある。

評価点

  • 画面演出の豪華さとセンス
    • なんといっても他の音楽ゲームではそれぞれ独立した存在だった「譜面」と「背景演出」を完全に融合させた構造がその最たるもの。
    • 55インチのワイド画面を縦横無尽に動くアバター・コースとそれに合わせて変化していく背景・エフェクトを組み合わせることで、「PV動画に頼ることなく」「画面全体で魅せる」ことを徹底している。そのため汎用背景などというものに縁はなく、それでいていわゆる動画ファイルも一切存在しない。3DCGにこだわる音ゲーとしては随一といえる。
    • 個々の演出自体はシンプルなものが多いが、それぞれの曲が持つ雰囲気・世界観・原作やPVのシーンを表現しており、曲によって多種多様なテーマの演出を楽しむことが出来る。曲そのものが持っていたコンセプトを元にした解釈ができるものもあれば、明確に原作のシーンを盛り込んだものもある。*3
      • 「メカクシコード」には『題材にしたキャラが「目を隠す(周囲からの認識を極限まで薄くする)」能力を持っている』ことからか、この譜面の途中でレールが一時的に見えなくなる箇所が存在する。(ターゲットとアバターは普段通り見えるので問題ない)
      • 「アウターサイエンス」や「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」など、PV再現を可能な限り試みた曲もいくつかある。さすがに当初はキャラまでは厳しかったが、アバター追加と連動してキャラのシルエットなどが出る曲も増えていった。
      • 「Geometic City」のイントロでは原作『レイストーム』冒頭の出撃シーンにおける背景とカメラアングルを忠実に再現。期間限定イベントでアバター「R-GRAY0」「R-GRAY1」も配信されており、手に入れていればさらに再現度向上。
      • ネット小説「ニンジャスレイヤー」より「Naraku within(通称ニンジャスレイヤー=サンがニンジャを殺すときのBGM)」含む3曲収録。原作が小説という媒体ながら、背景ムービーではネオサイタマの街やニンスレの世界観を完全再現。「忍殺」の文字やスリケン*4が飛び交う、「ラスト・ガール・スタンディング」ではヒロインのヤモト・コキ=サンのシンボルであるオリガミスリケンやサクラ・エンハンスメントを完全再現。後に放送されたアニメイシヨン版*5より動いているため評価は非常に高い。製作陣のワザマエは実際スゴイ。
      • またアプリ版からの伝統芸として、「Invader Disco」「Shadow」などは特定の俯瞰視点から見るとコースそのものがある形状を描いている…といったものもある。Shadowは原作『SIIG』のPSN/XBLA版からの収録で、それを遊びこんでいるとニヤリとすることうけあい。
      • 公式Twitterにて曲の演出のこだわりが紹介されるので、知りたい人は調べてみる価値あり。
  • 音ゲー初心者にやさしい操作方法・システム
    • 2つのブースターに両手を置いて、それを叩くか動かすだけという単純な操作方法は、スマートフォン版同様、音ゲーに全く触れたことのない人でも非常にとっつきやすいものである。
    • モードセレクト画面でチュートリアルをプレイでき、そこで基本的な動作を学ぶことができる。一番簡単なSIMPLE譜面ならボタンを押すノーツしか出ない(スライド動作が一切ない)ので初心者もクリアしやすい。
    • とはいえ後述するように、リズムを目で見てつかむのは難しいゲーム性になっているため、ヌルゲーとは言い切れない点が多々ある。
      • 特に高難易度の曲はコースやターゲットのパターン、はたまた曲のリズム自体が難解なものも多い。音ゲーとしては『リズム天国』に最も近い方向性といえる。
      • ただしHARDモード・難易度8以上となるとやっぱり高難度の手運びを要求されるようになっていく。そのうちのひとつであり、稼働初期において全難易度が最高値を持っていた最初のラスボス的存在である「Got more raves?」は、今でも超上級者への登竜門的存在となっている。
  • そこそこ頻繁に行われるアップデート
    • 2014年に入ってからは初期はほぼ2週間ごと、以降は約2ヶ月毎に曲の追加がされるスケジュールが組まれていた。
    • 同時にアバター、タイトルの追加、それらを解禁するためのキャンペーンも実施していた。
  • 豊富な楽曲ジャンルと作曲家
    • J-POPやアニソンからVOCALOIDやゲーム音楽まで多数のジャンルを揃えている。
      • 特にVOCALOIDは他社の音ゲーにも引けをとらない曲数をラインナップしている。中でもじん(自然の敵P)のカゲロウプロジェクトやM.S.S.Projectによる楽曲の提供数は他機種を上回っており、アバターやタイトル追加の特集キャンペーンも実施されていた。
      • 『ミュージックガンガン!』に続くタイトー音ゲーらしく、東方アレンジのラインナップも揃える。シリーズが下る毎に、当時の他機種に先んじた未採用の原曲を元にしたアレンジや書き下ろし収録もあり、それらの演出にも熱意を感じることが出来る。
    • ゲーム音楽に関しては間違いなく現役の音ゲーでは最強格を誇るラインナップを兼ね揃えている。
      • 『インベーダーシリーズ』『ダライアスシリーズ』等タイトーの代表作は原曲及びZUNTATAのリミックスはもちろんの事、『パズル&ドラゴンズ』『ガンスリンガーストラトス』『ブレイブルー? クロノファンタズマ』などジャンルを問わず多数のNESiCA関連ゲームともコラボが行われており、普段音ゲーに興味のない人へのアプローチを積極的に図っている。
      • 非常にマニアックな出典では『てくてくビート』経由で『テトリス・ザ・グランドマスター』や『ストリートファイターEX』等のアリカゲーム作品の楽曲も収録。知っていればニヤリと来ること間違いなし。
      • 数あるコラボの中でも、他社同士のアーケード音楽ゲーム『太鼓の達人?』『maimai』と手を組んでゲームアレンジとマッシュアップリミックスを書き下ろした3社3機種連合コラボ「GMT2014」は大きな話題を呼んだ。
        グルコスは『電車でGO!?』おなじみのCMソングをCOSIO氏が新規でリミックス。また『ファンタジーゾーン』『リッジレーサー』の楽曲と組み合わせたマッシュアップアレンジも存在。
    • オリジナル楽曲はZUNTATAの現役陣である小塩広和(COSIO)や土屋昇平を中心に制作。外部からもSampling Masters MEGAこと細江慎治や、音ゲー界隈で有名なTatsh/世阿弥こと清水達也など多数の作曲家が書き下ろし曲を提供。
      • 同人CD出典だが、MEGAvsTatshという夢のコラボバトル楽曲「Weave Detonator」も収録されている。
  • イヤホンジャックが標準装備
    • 地味な点だが周りの騒音を気にせず、音楽に没頭してプレイできるのは音ゲーでは相当に大きい。
    • 音量調節も筐体の方で細かく調整できるのでどのようなイヤホン、ヘッドホンでも問題なく使用できる。
    • 余談だが筐体のデザインもシンプルながら秀逸。スピーカー配置は指向性を重視した設計で、筐体前に立てば周囲からは想像できないほどによく音を聞き取りやすい。

賛否両論点

  • 収録曲の偏り
    • ボーカロイド・東方アレンジ・ゲームについては80曲以上収録されているのに対し、ポップス、アニメは20曲程度しか収録されていない(2016年2月2日現在)。
      これは公式開催のイベント(後述)の影響がある。この点については一部のユーザーから指摘されているが、この傾向は選曲ランキングを見る限り無理からぬとも取れる。
  • 「AD-LIB」の存在
    • いわゆる隠しノーツだが、これをすべて取ったか否かでフルコンボ表示が「FULL CHAIN」>「NO MISS」に分岐する
    • 謎解き要素として好意的に見るプレイヤーも居るが、ゲームに慣れないプレイヤーにとってはやや煩わしいといえる。
    • 後述のアイテムが削除されていたり、音以外でのヒントが減少傾向に有るのも向かい風か。

問題点

  • 譜面の視認性
    • 本作最大の問題点であり、演出性の高さと表裏一体の問題でもある。
    • 進行に応じて背景の演出、色やカメラアングルがめまぐるしく変わっていく楽曲は、ターゲットがどの位置にあるのか、どのタイミングで操作すればいいのか、初見ではわかりにくい部分がある。
    • 曲によってはターゲットそのものの色まで変わることもあり、場合によっては背景と同化して見づらくなる場合も少なくない(後の「ウサテイ2013」など)。
    • カメラのより具合等によっては本当に直前までターゲットが画面に出て来ないこともあり、これらも初見ではかなり対応しにくい。この傾向は高難易度または高BPMの曲ほど顕著。
    • この性質に加え完全な隠しオブジェであるAD-LIBも存在するため、FULL CHAINやRATING S++の獲得には否が応でも楽曲や譜面の覚え・研究を迫られることも多い。元が1レーン・1~2デバイスの譜面なので、地力偏重にするとどうしても譜面の見た目が単調になりがちというのもある。
    • 他の音ゲーにはまず無い「3Dをこれでもかと活かした」プレイ画面故に、人によっては遊んでて酔ってしまう可能性もある。
  • SIMPLE譜面特有の難しさ
    • 操作方法が少なく初心者でもできることが売りのSIMPLE譜面だが、NORMAL譜面やHARD譜面からターゲットを抜いていったいわゆる歯抜け譜面であることも少なくない。
    • ただの歯抜け譜面ならいいのだが、コース自体が見づらい曲では上述の視認性の悪さが加わり、本来ならより難しいはずのNORMAL譜面よりリズムが取りにくい・ターゲットの位置がわかりにくいということも少なくない。
      • またターゲットが少なくなるということは、画面上には見えないターゲット「AD-LIB」があるかもしれない場所がそれだけ増え、高得点への余裕がそれだけ減るということでもある。「AD-LIB」は難易度によって数も場所も変わる曲もあるため、「HARDはFULL CHAINまたはSランクでクリアできたがSIMPLEはさらに回数がかかった」ということも。
    • SIMPLEはNORMAL、HARDと異なり、判定がかなり緩いため、AD-LIBを探しているうちに「その後のターゲットの早打ち」扱いでMISSになることも少なくない。
  • アイテム「VISIBLE」の削除
    • iOS版に存在していたAD-LIBを可視化するアイテムだが、FULL CHAINに直結するほど非常に強力な効果を持つため、AC版では削除されている。このためAC初出曲のAD-LIBはターゲットのない部分を地道に叩いて調べるしかない。*6
      • ただしiOS版にAC初出の曲も続々と有料配信によって移植されてきており、それにより共通収録となった曲は、ターゲットの種類こそ変わっているもののAD-LIB配置といった基本のリズムパターンに変更はない*7。アプリ側ではログインボーナスを主に、VISIBLEを含めたアイテムを無料で入手する手段があるので、救済は与えられている。
  • コントローラーを傷めやすいゲームシステムと譜面
    • ゲームのシステム上、次の例のようにユーザーがブースターを強く操作してしまう傾向がある。そのため、プレイヤー層によってはブースター内部のボタンやスライドレバーのバネを高頻度で交換する必要に迫られることも多い。
      • 難易度が上がるとスライドの複雑な譜面が高速で現れてくるため(動画例)、強い力でぐるぐる動かしてしまいがち。
      • スクラッチノーツは途中で一瞬でも動きが止まると入力判定が途切れ、ブースターの両方で判定が切れるとMISS。ここでゲーム中説明文通りの「左右に動かし続ける」しか知らないユーザーは、MISSにならないように強く往復させがち。
      • 中にはスライド時にボタンを押す必要が無いことすら知らないユーザーも。
    • ボタンもブースタースライドも、バネが弱まると正しい判定が出にくくなり、ユーザーは強く操作するようになる。そしてさらにバネが弱くなってしまうという悪循環を生みやすい。
    • 理解度の高い店舗は、非純正(耐久性が高め)のバネを入れている店が比較的多い。
      そうでなくとも、バージョンが進む毎に激化していく譜面によって、ブースターの耐久力自体に懸念を持たれていることも多くなってきている。
    • ちなみにブースターの操作に関する注意書きは本シリーズでは未だに存在していない。
  • 判定のゆらぎ
    • アーケード版稼働時からしばらくして指摘されていたことだが、キー音の仕様もあり本作はAC音ゲーとしては比較的音と判定のズレが目立つ傾向にある。
      この問題はS+~S++以上を狙う時にようやく露呈してくる程度であり、アップデートを経て徐々に是正されていっているのだが、完全ではない。
    • 楽曲・譜面によって判定幅の広さが異なる場合もあるが、こちらはiOS版からの仕様であった。しかし楽曲の速度に依る部分も大きく、基本的には速い曲ほどGREATが出にくいということが定例であった。「判定幅が一定以下まで狭まらないようにする」仕様変更がなされるのは、稼働から約2年後のVer2.05を待つことになる。

総評

「音ゲー」の中でも群を抜いてビジュアル演出に特化した作品で、独自の音楽体験をブーストさせている個性的な機種。
さらに操作や譜面システムをシンプルにまとめ上げたことで、開発にあたって重視した「音楽にカッコよくノれるゲーム」という点を容易なものへと実現している。

「音ゲー」としての問題点は決して少なくなかったが、比較的簡単ながら完成されたゲーム性と演出、それを豊富かつ良質な楽曲ラインナップ・アーケードならではの大画面で楽しめる点は
まさしくタイトーの遺伝子(GENE)を引き継いだ、ひとつの集大成といっても過言ではない。

公式How To Play動画

Ver2.xxまでのチュートリアルモードはこの動画中のものと同じ内容である。


GROOVE COASTER EX

【ぐるーヴこーすたーいーえっくす】

ジャンル 音楽体感アトラクションゲーム
対応機種 アーケード
発売・開発元 タイトー
稼働開始日 2014年5月26日

概要(Ver1.5)

稼働開始から半年が経過したグルーヴコースターのバージョン1.50以降のタイトルで、新規・やりこみ派双方に向けた多くの追加要素を導入している。
タイトルに「EX」を追加した同社ACゲームの大型アップデートは『ダライアスバースト アナザークロニクル』以来となる。

  • 期間限定として定期的に出現する、もう一つの一人プレイ用ゲーム「イベントモード」の実装。
    • 決められた3曲を連続でプレイし、その結果から算出されたイベントポイントを蓄積していくモードである。
      イベントによってはコース内が強制ランダムセレクトになるステージもあり、また基本的に得られるイベントポイントは腕前に比例したものとなるため、中~上級者向けとされている。
    • ゲージは通常通りで、途中でFAILEDになっても選んだコースを3曲全てプレイし切ることができる(当然、FAILEDした場合得られるイベントポイントは減少する)。
    • コースは基本的に「BASIC」「ADVANCED」「EXPERT」の3つが存在し、後者ほど難易度とクリア時のイベントポイント量が上がる。
    • イベントによってはアイテムが設定されていることもあったが、これらは固定されている代わりに手持ちからは消費されない*8
    • 期間中に稼いだイベントポイントの累積量や終了時の全国ポイントランキングにより、イベント限定の称号やアバター・レアアイテムを貰うことができる。この報酬数に応じて「トロフィー」も貰える。
  • 一部楽曲においてSIMPLE/NORMAL/HARD全てでRating S(スコア90万以上)を獲得すると、4つ目の譜面モード「EXTRA」が解放される。総じて変則リズムや視認難よりは物量に特化した傾向にあり、HARDよりもさらに難しい操作を要求されるが、演出が大きく変化する曲も数少ないながらある。
  • 95万点以上でS+、99万点以上でS++の評価がつくようになった。いずれも達成にはほぼ完璧といえるプレイが要求される。EX稼働直前のアップデートにて、同じ得点を複数譜面で達成することによって得られる称号が追加されていたため、これに対応するものとなる。
  • 要望の多かったマイページ機能が実装。このバージョンではホームページから各曲の記録・イベントプレイの成績が見られる。
  • これまで同方向のスライドを連続で操作する場合、先のノーツまで間違って入力されミスを誘発する事が多かったが、このバージョンからはSLIDEでの空MISSが出ないようになった。
  • 今までは一部曲にある3連符リズムにターゲット配置が対応しておらず16分に合わせられていたのだが、EXアップデート後はいくつかの曲で是正が行われており、曲に合わせたプレイがしやすくなっている。
  • EX1.51アップデートでランダム選曲が追加。難易度・ジャンルといった様々な条件からも選べる。
    • 実装日以降のイベントモードのコースにも存在する場合があり、この場合プレイする毎にコースの曲目が変化する(イベントでのランダムに限り、未解禁の楽曲が引き当てられる場合がある)。
  • 全解禁までのプレイ数の肥大化を考慮してか、これまでは特定のイベントに重ねて実施されたミュージックパネル増量キャンペーンがEX1.51アップデート以降は常時適用されるようになった。これによりソロプレイでは2枚、イベントプレイ・対戦プレイでは3枚もらえるようになり、以降の増量キャンペーンはソロプレイも含め全モードで3枚得られるようになる。
  • 筐体の足元に設置する追加デバイス「グルーヴステージ」への対応開始。イメージとしては『beatmania IIDXシリーズ』恒例のバスシェイカー搭載ステージ(お立ち台)そのもので、記事冒頭画像の青白い足場がそれ。
    • やはり曲に合わせてこの台が振動し、よりステージの臨場感を高める。
      • 振動の大きさは称号などの設定画面から「OFF・弱・中・強」の4段階に選べるため、その日の気分や靴の厚さに合わせて変えられる。
      • ただリズムや出力音で振動するわけではなく、曲ごとに振動のタイミング・長さを調節された個別のパターンが与えられている*9。当初は前者の仕様だったが、プロデューサーの一声により後者の方針になったという。昔から演出にこだわり続けてきたタイトーらしいエピソードといえる。
    • ただの追加デバイスとしてはかなり気合の入ったものなのだが、稼働開始から時間が経った上での導入だったこと・イスが設置されている店舗も少なからず存在したこと・インカムに直接影響するものではないことなどの理由が重なり、導入している店舗は現在かなり少ない。
    • 100店舗以上で稼働されている東京都ですら、グルーヴステージの導入を確認できている店舗は10店舗未満である。また公式でグルーヴステージがどこに導入されているかを確認する手段はない。
  • イベントモードの追加により、以前にもましてコラボ企画が活発化。
    • イベントモード非使用でこそあるものの、このバージョンでは全日本アミューズメント施設営業社協力連合(AOU)主導の全国大会「天下一音ゲ祭」での課題曲収録として、なんとKONAMIのBEMANIシリーズ『jubeat saucer fulfill』も加えた前代未聞の全4社コラボ&相互移植*10が実現していた。参加機種としては当時一番の新参であり、名を連ねられたのはまさに名誉といえる。