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メタルギアライジング リベンジェンス - (2022/07/13 (水) 16:10:19) の編集履歴(バックアップ)


メタルギアライジング リベンジェンス

【めたるぎあらいじんぐりべんじぇんす】

ジャンル ライトニングボルトアクション


対応機種 プレイステーション3*1
Xbox 360
Windows
開発元 小島プロダクション
プラチナゲームズ
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
発売日 通常版/プレミアムパッケージ:2013年2月21日
スペシャルエディション:2013年12月5日
Windows:2014年1月9日
定価 通常版:7,180円
プレミアムパッケージ:10,265円
スペシャルエディション:2,480円
Windows:$ 29.99
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:D(17才以上対象)
コンテンツアイコン 暴力
備考 日本ゲーム大賞2012フューチャー部門受賞
判定 良作
ポイント 主役に返り咲いた雷電
ステルスゲームではない
シリーズファンには特に賛否両論の別路線作
アクションの爽快感は格別
メタルギアシリーズ



メタルギアが、キレた。



概要

メタルギアソリッド』シリーズ外伝作にして、同シリーズのメインキャラである雷電が『MGS2?』以来の主役を務めたアクションゲーム。
MGS4』の数年後を描く、シリーズの血を受け継ぐ「ソリッド」ではない、新たな『メタルギア』である。

当初は『メタルギアソリッド ライジング』として『MGS2』と『MGS4』の間の空白期間を描くものとして2010年に発表された。
しかし開発が予定通り進まずプロジェクト中止まで考えていたが、VGA 2011(Video Game Awards 2011)のワールドプレミアにてプラチナゲームズとコラボし、新たな開発体制で再開発された。
それにより、これまでの開発データを封印し一から作り直した結果、『MGS4』を下敷きとした後日談としての発売に至った。
なお、本作の開発のほとんどはプラチナゲームズが担当しており、小島プロダクションはシナリオ及び設定監修を担当している。
また、メタルギアシリーズの生みの親だった小島秀夫監督も本作ではシナリオに一切関与していない。


あらすじ

+ 長文につき収納

世界の民間軍事会社(PMC)を巻き込んだ「ガンズ オブ ザ パトリオット」事件から3年余りが経過した。
戦争がビジネスとなった時代は終焉を迎えるかに思われたが、アメリカのサイボーグ技術の流出が、戦場に新たな非対称性を持ち込んだ。

かつて少年兵としてリベリア内戦に参加、“ジャック・ザ・リッパー”の名で怖れられたという雷電は、
現在はサイボーグとして民間軍事警備会社(PMSCs)“マヴェリック・セキュリティ・コンサルティング”に所属し、新興国での要人警護や国軍の訓練などを請け負うことで糊口を凌いでいた。
しかし内戦を脱し復興を遂げたはずの国で、雷電達は多数のサイボーグを擁する勢力に襲撃を受け、復興の立役者である首相は死亡。敵の用心棒サムは雷電の剣が「快楽を怖れている」と指摘、雷電はサムに敗れ左目と左腕を失うことになる。

調査の結果、敵勢力は“デスペラード・エンフォースメント”として米国に登記されたPMCであると判明。さらに彼らが、米ロの思惑が交錯するアブハジアにて首都を占拠したとの情報が入る。
ロシア出身のマヴェリック社代表ボリスは、ロシア連邦保安庁(FSB)からの根回しを受けて、首都奪還の業務を受注。新たなサイボーグとして再起動した雷電は、デスペラード社とサムへの雪辱戦(リベンジ)に赴く。

世界各地で暗躍するデスペラード社と、その背後で蠢く影、そして不可解なサムの発言。
戦いの中で明らかになるのは、自由な情報発信が保証されてもなお剥奪され続ける“真実”。
吹き荒れる暴力の嵐の中、過去と対峙した雷電は、一つの決断を下す―。

(公式サイトより引用)


特徴・評価点

(ボタン配置はPS3コントローラーに準拠するものとする)

  • 多彩なコンボと攻撃手段
    • □ボタンと△ボタンを組み合わせることで様々なコンボを繰り出すことが可能。雷電のスタイリッシュかつ派手なアクションを体感できる。また、カスタマイズでスキルを購入することで強力な技を繰り出すことができる。
      • 空中に打ち上げる、敵に急接近する等、コンボを繋げるのに有用なものが多い。
    • 章ごとに存在するボスを倒すと、ボスが使っていた武器を入手する。どれも癖は強めだが特徴をもち、戦いの幅を広げてくれる。
  • 斬撃モードによる自由な切断
    • 燃料ゲージを消費することで周囲の時間をスローモーションにし、スティック操作で任意の方向から切断することができる。
    • スティック操作以外にも、□ボタンで横斬り、△ボタンで縦斬りができる。
    • 敵のサイボーグ兵や無人機の他、木や車両やガラス、看板や建造物の柱まで切り刻むことが可能。
    • 敵またはオブジェクトをバラバラに斬りまくれるので、これまでのアクションゲームにない快感を得られる。
    • さらに、他ゲームではいわゆるQTEとしてボタンを充てるところの一部を斬撃モードにしている部分も多く、プレイヤーの没入感・主体感を高めている。
    • 切断する際の任意の角度で物体が綺麗に切り分けられ、切られた物体も更に細かく色々な角度からバラバラにでき、そしてそのすべての断面が描写される…といった表現の細かさは特筆に値する。
    • 他にも敵については切断箇所に応じて豊かな反応を示し、膝から下を斬ると膝をつき、そこから上ではそのまま倒れる、片足だけ斬るとケンケンをする、腕を斬ればそこを抑える、など。
      斬った敵は撃破とは限らず、残った四肢でや装備で攻撃も図る。戦闘中には意識しづらいが、反応の豊富さはリアルな切断感を作り出す。
    • 一般市民等生身の人間も登場するが切断はできない。一般市民の男性は衣服のみを切断でき、その状態で無線を行うとネタ系の会話が聞ける。
  • ニンジャランによる移動の快適さ
    • 高速で移動できるダッシュ機能を発展させたもの。段差や障害物も自動で飛び越せるうえに、マシンガンのような小さな銃弾なら自動で弾くことも可能。
    • 本作にはジャンプアクションを意識したギミック配置が為されている場所があるが、これを使えば難しい操作を行うことなくスイスイ進むことができる。
    • ゲージも一切消費せずいつでも発動可能。
  • シノギによるジャストガード
    • 敵が攻撃してくる方向に左スティックを倒しながらタイミング良く□ボタンを押すことで、相手の攻撃を刀で弾く「シノギ」が発生する。
      • タイミングは地味に厳しいが、慣れれば敵の攻撃をスタイリッシュに受け流すことができる。
    • 軽めの攻撃に対し、よりタイミング良くシノギをすると「シノギカウンター」が発動し、強力な反撃を繰り出せる。
    • 難易度easyでは自動でシノギをしてくれる「イージーアシスト」に加え、シノギの判定自体も緩くなる。
      隠し難易度REVENGENCEではシノギカウンターの威力が飛躍的にアップする。
  • ニンジャキルによるスタイリッシュな暗殺
    • 敵に気付かれないように上か背後に立つと、相手を問答無用で瞬殺するニンジャキルを発動できる。
    • ボスキャラを除くサイボーグ兵は勿論、無人機やAI兵器にも使用可能。
    • 敵に見つからずに潜入するノーアラートプレイが可能なエリアが存在し、その際にお世話になるアクション。
  • 爽快感溢れる必殺アクション「斬奪*2
    • 斬撃モード中に敵の一定箇所に表示されるマーカーを斬ると、相手の生体燃料を奪い取る「斬奪」が可能になる。
    • 体力・燃料ゲージを全回復できるため、爽快感が非常に高い。特に窮地からの全回復は動作のカッコよさと相まって病みつきになる。
  • 間口の広いゲームシステム
    • 基本は直感的な操作でスタイリッシュなアクションを出し気持ちよく敵を倒せるシステム。 攻撃と防御のボタンが一緒であったり、自動で地形を乗り越えたり、敵に当たるよう補正がかかるなど、プレイヤーの負担を適度に保って軽快に動かせるようになっている。
    • アクションが苦手なプレイヤーのために、難易度EASYではパラメータ調整だけでなく、シノギの判定緩和、斬撃の判定緩和などがなされており、そこそこに遊びやすくなる。
    • 一方高難易度ではジャスト入力や多数追加スキルのフル活用、状況に合わせた的確な攻撃派生やコンボ構築が求められ、テキトーにボタン連打するゲームには成り下がらない。 さらには一部の行動の硬直が"攻防一体"になっている仕様のほか、斬撃モード・ジャンプなど技のキャンセル行為がしやすい仕様もあり、コアなプレイヤーにもやり甲斐・磨き甲斐がある。
  • 特徴をそれぞれもつボス
    • 詳細は実際に見てもらうとして、各ボス様々な特徴をもっており、その戦法や状況で毎ボス新鮮な戦いを楽しめる。
    • 戦闘中に斬撃モードもうまく落とし込んであり、締めの特別な演出もあってボスとの戦いは特に盛り上がりを見せる。
    • 攻撃の応酬をしながら学んで優位に立っていける、途中から攻撃パターンが追加されるなど、アクションゲームとしての基本がしっかりと作り込まれており、ゲーム性としてもやり甲斐がある。
  • カスタマイズによる雷電の強化
    • 敵を倒す等で得られるBPを消費することで、雷電のボディや武器等を購入・強化することができる。
    • ボディと武器は特定の条件を満たす他、ダウンロードコンテンツによって増やすこともできる。
  • ボーカルを取り入れたBGM
    • BGMは本作のアクション性に合ったスタイリッシュなものが多く、ボーカル曲も積極的に採用している。
    • ボス戦では最初はノンボーカルのBGMだが、雷電が優勢になるとボーカルが流れ出すと言う演出があり、目まぐるしく変わる戦況と相俟って白熱のバトルを楽しめる。
    • ボーカルは全て英語だが、登場人物の過去・心情・思想などを歌っており完成度は高い。
    • ボーカル曲ではないが、日本庭園のステージではなんと『がんばれゴエモン! からくり道中』のメインテーマのアレンジが流れると言う、古くからのコナミファンを驚かせる演出もある。
  • ネタに溢れた無線会話も豊富
    • 『MGS4』以降、無線ネタが激減している本シリーズだが、本作は『MGS3』以前を彷彿させるようなバラエティに富んだ会話が用意されている。
    • 息子の事になると親バカ丸出しの嬉しそうな声色で語り出す雷電といった思わず笑ってしまうようなものから、世界情勢に踏み込んだ重く圧し掛かるようなシリアスな会話まで様々。
    • 「グパヤマ」「シポムニギ」といったシリーズ過去作のネタもある。中にはかの英雄ソリッド・スネークについて触れた会話も…。
  • 各所に存在するファンサービス
    • セーブ後のコートニーとの雑談、VRミッション等、過去作をリスペクトした作りになっている。
    • 敵キャラに月光や仔月光、さらにメタルギアRAYが序盤から登場する。
      • 過去作で苦労させられた敵を豪快にぶん投げたり切り刻めるのは痛快かつ爽快。
    • また、『MGS4』に登場したあのキャラの成長した姿を拝むこともできる。
    • DLC等では『MGS』に登場したサイボーグニンジャのボディ&刀や、スネークの声が聞こえる木刀なども購入できる。
  • 豪華なキャスティング
    • 主要人物に過去作から続投した雷電役の堀内賢雄氏の他、菅生隆之氏 、沢城みゆき氏、中村悠一氏、麦人氏等の豪華なメンバーが揃っている。
      • 出番の多寡を問わず、いずれも個性と魅力のあるキャラクターに仕上がっており、笑いとシリアスが上手く両立した仲間達との掛け合いの質も高く、先述のBGMの項でも触れたボスとの一騎打ちも白熱したものになっている。
  • 美しいグラフィック
    • ムービー・ゲームパートともにグラフィックは非常に美麗に仕上がっている
      • 中でも光の表現が秀逸でイベントシーンの見せ場をより印象的なものにしている。
    • 可変60fpsだが全体的に高いフレームレートを維持し、処理落ちもセーブ中や大型の敵やオブジェクトを細切れにしたとき以外ほとんど起こらない。

賛否両論点

  • 薄れたステルス要素
    • 従来同様、敵に発見されることでアラートモードに入る点は同様で、一応、多くの場面では敵に見つからないように潜入することも可能。
      • しかし強制戦闘に引きずり込まれる場面も多く、スニーキングから強制的に引きずり出され歯がゆい思いする事も間々ある。
      • また、カスタマイズに必要なBPを得ようとすると、戦闘が発生する場面を探して敵に殴り込んだ方が稼ぎは良い。
    • そもそも本作は「ライトニングボルトアクション」であり、「タクティカルエスピオナージ(戦略諜報)アクション」である従来の『MGS』や『MG』『MGA』のようなステルス作品ではない*3
      • 要するにゲーム性の変化というか、シリーズタイトルというだけで内容の趣旨は完全に別物であり、まるで不自然な事ではない。しかし曲がりなりにもメタルギアの名を冠している事もあり、従来シリーズのようなステルスゲームを求めていたファンも多く、そう言ったユーザーには不評である。
    • 総じて従来のステルスゲームか派手で爽快なアクションゲーム、どちらを好むかで評価が分かれやすい。
      • とはいえ、高難易度モードではシノギカウンターを完璧に使いこなせる程度に腕の立つプレイヤーでなければゴリ押しは厳しい等、戦闘がシビアな傾向にあるのは変わらない。ステルスキルを狙って手間を省いていくのも基本スタイルの一つとなるだろう。
  • ストーリー中の賛否
    + ネタバレ注意
  • 中盤以降の雷電の変貌ぶり
    • 物語中盤、雷電は人殺しを愉しむジャック・ザ・リッパーとしての本性を露にするのだが、その時の言動があまりにも中二病チックである。
    • 少年兵だった頃の自分を再現しているのかもしれないが、30代半ばの大人にしては発言が痛いと批判されている。本性を表した際の形相は、堀内氏の演技力も相俟って決して浮いたり寒気だつようなものではないのだが…。
    • 少年兵時代の件は『MGS2』『MGS4』でデリケートに取り上げられただけに、このような扱い方に難を示すプレイヤーも多い。
    • しかし、弱者を守ろうとする考え自体は変わっていない。
      更に、『MGS2』終盤にて「自分は殺戮で快楽を覚えている。これがVRの所為なのか、少年兵時代の経験の所為なのか、判断できない」とソリッド・スネークに対して告白するシーンがある。『MGS4』はソリッドの最終章であったこともあり、残念ながら雷電がこの本性に対してどう折り合いをつけたかは言及されなかった。
      それ故に、「雷電の人生において触れるべき要素にしっかり触れた」等と評価する声もある。
      • また、物語序盤は活人剣を言い訳にして、"後ろ暗い自慰行為として殺戮を続けて自分や敵から精神的に逃げていた男"だったのが、自分の殺戮衝動に折り合いをつけて、更に雷電が妻子や恩師ソリッド達のお陰で培ったミーム(文化的遺伝子)のお陰で、"悪党のみを覚悟をもって斬る、本当の一殺多生の活人剣を体現した男"へと昇華するストーリーである。と評価する向きもある。
  • その他、サニーがウルフにお手をした後に雷電も同じように手を差し出すが、お手をしてくれずリッパーモードを発動しかける。
    • 「『MGS』シリーズ恒例のネタ要素」と笑い飛ばす者もいれば、「冷静沈着な雷電がこの程度でキレるのはおかしい」と批判する者もいる。なおこの直後に雷電は真面目な話を続ける。
    • 無線通信ではやっぱり気にしていた事が語られている。
       
  • 宿敵サムエルについて
    • 本作では、サムエルへの雪辱戦も雷電の大きな目的でもある。作中でも不可解な言動や謎の多い設定故に、旧作に登場したヴァンプを彷彿させるものとなっている。
    • 決戦は西部劇のような荒野での決闘となる。熱いBGMとサムエル自身の高い戦闘力も相まって、非常に白熱した戦いが楽しめる。
      • しかし、宿命のライバル対決、という要素を期待すると、最後は呆気なく倒され肩透かしだとする意見もある。
    • サムエルの過去についてはDLC第二弾「JETSTREAM」にて明かされることとなる。
      • 本編で若干匂わせているが、彼もまた、吹っ切れた後の雷電が実践している「(悪党を)殺すことを愉しむ、一殺多生の活人剣」を人生の命題にしていたが、潰せど尽きず無限に後継が出て来る悪党達に対して徒労感を覚えて人生に倦んで、好き放題暴れるだけの人生に魅力を感じ出していた。
        そこで心機一転の為に、アメリカの中でも巨悪である、ラスボスと癒着するPMCに戦いを挑んだが、ラスボスに返り討ちに遭ったことで自慢の剣も一殺多生の活人剣の生き方も否定され、完全に悪の道へ堕落、という経緯のキャラクターである。つまり、本作の中盤以降の雷電に意図的に被せた・いわばこの作品の先の世界を含めた雷電のIFにあたる役目を負ったキャラである。
        作品としての位置づけは雷電と上院議員、そしてサムエルで対比として面白くもなるため、「もう少し本編の方で掘り下げてくれればより良かった」という意見は多い。
         
  • あまりにクセの強いラスボス
    • 本作のラスボスを務めるスティーブン・アームストロング上院議員のキャラクター性が余りに濃すぎる。
      • 一見特に変哲の無い中年男性でありながら暴力をこよなく愛する危険思想、「西部開拓時代の古き良きアメリカ」…つまり「誰もが何にも囚われず、夢と混沌と暴力が満ち溢れていた弱肉強食の世界」を取り戻すというイカれた政治的主張、素手で雷電を一方的に殴り倒す、思想に違わぬ驚きの戦闘力など、まず人物像からしてとことん振り切れており、分かりやすいインパクト性が抜群。
      • さらにストーリーラストではアメフトのごとく雷電が蹴飛ばされ、どこからともなく歓声が沸き起こるといったコミカルな演出も挟まり、正に怒涛の喧嘩問答が展開される。
      • あまりに滅茶苦茶な主張と戦闘力のために、ゲーム中の雷電も「アンタ、本当に政治家かよ…」とツッコミを入れる始末。
      • こういったぶっ飛んだ展開のみならず、デザイン的にはただの大柄なおっさんにも見えるその容姿や、ラスボスにもかかわらず股下から後ろを覗き込んだり、何故か日本の相撲取りよろしく四股を踏んだりといった素っ頓狂な描写も、好き嫌いの分かれるところ。
    • 特に「ナノマシンを入れた政治家が歴戦の勇士であり強化改造を施された雷電を圧倒する」という描写には疑問視するプレイヤーもいた。
      • ただし実際には、公式記録上でもアームストロング自身海軍出身であるだけでなく、DLCでは秘かに格闘訓練も受けていたことが窺える描写もある。
      • また、歴代シリーズのようにナノマシンを注入しただけでなく、新種のサイボーグと言える程の肉体の大幅改造を施しているのだが、それを解説する無線を聞いているか否か等、どこまでプレイしたかで印象が変わる部分でもある。
  • 短い登場時間と、上記の強烈過ぎるネタ要素の影響で色眼鏡で見られがちなボスである点は否めない。一方で、考察的な観点からの評価は好評でもある。
    • 表現こそ簡素になっているものの、この上院議員の主張する「シンプルな戦争で全てが回る戦士が生き易い世界の実現」「愛国者達が構築した現代の社会基盤・倫理観を破壊し尽くして一度リセットする行為」は、ビッグボスを含めスネークの名を継いだ歴代ボス達が目指した理想郷である。
      • その為、雷電と上院議員の最終決戦は愛国者達の支配から逃れようと必死だったソリダス・スネークのミーム上の息子達の闘争であり、『メタルギア』シリーズの流れを汲む決戦と言える。
    • アームストロングは「殺戮嗜好を持つ雷電の負の欲望も含め全肯定してくれる」。しかし、真人間であり家族も居る雷電は「そんな上院議員に言いようのない共感と嫌悪感を同時に抱くからこそ、上院議員が望む通り弱肉強食で捻じ伏せる。雷電にはそれ以外の生き方が出来ない」。
      • そして、先述した喧嘩問答から一転し、シリアスな最終決戦へと移行する上院議員戦では、実に熱いBGMの中で最終決戦に相応しい死闘が展開される。
      • 雷電自身の葛藤の具現でもあるこの構図に対しても評価するプレイヤーは少なからず居り、このキャラクター及び戦いの賛否をより強めている。
    • そのため、非常に理解しやすいインパクトを放ちながらも、「ただ濃いだけ」のキャラに収まらない複雑な背景を持つ彼は、国内外を問わず、更に本作のみならず『メタルギア』シリーズ内でもトップクラスの人気を獲得してもいる。
  • 総じて、妙にコミカルな描写が飛び出したかと思った次の瞬間、雷電の葛藤をあまりに深くえぐるシリアスな展開が目まぐるしく顔を出す。
    • そのネタっぽさに難色を示す声もあれば、その切り口の鋭さに「これこそMGSの続編らしい」と称賛する声もあり、まさに賛否両論。
    • シリアスな面から見ても、それまでのシナリオ展開を置き去りにするほどに濃縮された展開が繰り広げられるため、良くも悪くも本作の終盤のシナリオは彼一人のインパクトに引っ張られてしまっている節もある。
       
  • 上記以外の賛否両論の要素としては、ラスボスと決着後の雷電の消息がプレイヤーの想像に委ねられる形で締めくくられる点である。
    • 様々な憶測が飛び交っているが、家族をほったらかして好き勝手に生きることを決めたと捉えられてもおかしくない展開である為、否定的な意見が多い。
      • ただし、無線にてではあるが妻子を安全地帯に逃がしたことや、相変わらず愛妻の尻に敷かれて家族の面倒はしっかり見るつもりである点は最終ステージでも言及されているので、「後述の無線で解説している部分が多い」という問題点には絡むが杞憂と言える。
  • 説明不足な部分がある
    • 無線が豊富なのは良いのだが、本編で伝えるべきストーリーの細かい説明も無線に委ねている事がある。とはいえこれはゲーム進行のテンポの良さとの兼ね合いがあるので難しいところ。
      + ネタバレ注意
    • 例えば第二のミッション開始時には雷電はメキシコに移動し、前ミッションで倒したウルフが相棒になっているのだが、これらの理由は本編ムービーでは一切語られず、前ミッション中の任意の無線で説明されている。無線を細かく聞いていないと置いてきぼりを喰らう。
    • 尤も、これは歴代『MGS』シリーズでも同じことが言えるため、この作品に限った要素ではない。
      • あくまでより細かく掘り下げた補足であるため、無線を聞かないと作品の内容が分からない、ということは無い
        • ただし、「殺人鬼として他人を拒絶する雷電とそれを叱咤して雷電に関わり続けると宣言したコートニーに涙ぐむ」「世界やそれを守る為に戦ったソリッド達の遺志を継ぐ決意をサニーに語る雷電」等、聞くとがらりと印象が変わる無線も多数ある。
          こうした内容を本編でやった方が良い感は否めない。
      • また、多分野に渡りつつ造詣のある解説や雑学はいずれも傾聴に値する内容である。真実に虚構を織り交ぜたもっともらしい設定の数々は上質なSF世界を広げてくれる。

問題点

  • シナリオが短く、ボリューム不足
    • アクション性に突出している分シナリオがかなり短く、アクションゲームが苦手でもなければ初見10時間もあればクリアできる。その上、慣れれば1周約3時間でクリアできる。
    • 「ムービーゲー」と揶揄されたこれまでのシリーズ作品よりムービーは程々で、バトル展開もスピーディーなため、このような形になったのも致し方ないという考えもある。
    • 一応、プレイ内容によって得られる称号、収集アイテムや隠しアイテムなど、周回プレイのために用意されたお遊び要素も数多く存在するが、基本的に本編は数ステージを周回するだけなので飽きはきやすい。
  • バトル中のカメラワークが悪い
    • カメラが地形と干渉し、極端なアップやあらぬ角度になることが多々ある*4。さらにそれへの自動対応が「カメラを壁から離す」すなわち壁を映すものになっており、壁際で戦うと壁ばかり見せられて肝心の敵が見えないことが多い。本編中では狭い場所での戦闘は少なく壁から離れることである程度の対処は可能だが、押しやられることも多く非常にストレスになる。
    • カメラ視点を動かしても間をおかず雷電の背後に戻ろうとするため、地形干渉と相まってプレイヤーの意図しないカメラの挙動が頻発する。
      • これに関しては敵をロックオンすればかなりマシになるが、それでも完全に解決されない。そのロックオンも誤ロックしやすく、使い勝手が良いとは言い難い。またカメラが問題になるのは基本的に一対多の状況であり、一体だけを映すのでは不足なことも多い。そもそもロックオンに関する説明がゲーム上で存在せず、説明書を読まなければ気付きにくい。
    • 動きが激しい敵では、ロック無しではまともに視界に捉えられず、ロック有りでは視点が激しく動き回って入力の向きがぶれたり酔いやすくなる。海外レビュー等でも「劣悪なカメラワークさえ改善されれば素晴らしいゲームになる」等と特に惜しく思われている点である。
    • 本作の特徴であるシノギアクションの操作方法は「敵が攻撃してきた方向に左スティックを入力する+□ボタン」なのでシチュエーションによってはカメラワークに起因するミスが起こりやすい。
      • 特に高難度のミッションでは一度のシノギミスが致命傷となる事も珍しくないため、カメラワークの難点で最も困る点である。
  • 装備変更が行いづらい
    • 装備を変更するためのメニューが完全に立ち止まらないと開くことができない。攻撃も防御も移動も止めなくてはならない。これは無線のメニューも同様。なお、ポーズはいつでも可能。
    • 特徴をもち状況に応じた使い分けが肝要なユニークウェポンという装備があるのだが、それらもいちいち立ち止まらないと変更できない。思うように変更できないほか、僅かながら隙を晒すので被弾の原因にもなる。安全な変更のためには遠くに逃げてからか、斬奪などの特殊アクション直後にしなければならず、テンポを損なったり制限がかかる。
    • タイムアタックのVRミッションでは始めに持つユニークウェポンも重要なのだが、本編やカスタマイズに戻るか他のVRミッションをクリアしないとそれを持ち替えられず、先述の実戦中の替えにくさもあってテンポを損なう。せめて開始演出中に替えられれば…
  • 斬撃モード中の特殊な操作がやりづらい
    • 地上で斬撃モードを発動した際に左スティックを押し込みつつ傾ける(L3+左スティック)ことで移動が行えるものの操作性が悪い。
      L3ではなく×ボタンなど斬撃モード中に使用しない他のボタンを割り当てていれば操作性が向上したかもしれない。
  • 収集要素の兵士のID(左腕)入手が難しい
    • 特定の兵士の左腕を切り取ることで兵士のIDを入手することができるのだが、腕の光っている部分を的確に切断しなければ手に入らないため、難易度が高い。部位切断の判定全般にも言えることである。
    • この操作が必須な場面は一度だけ(しかも失敗しても進める)だが、これをすべて入手することが条件の特典もある。
  • 豊富なメインウェポンの入手条件が厳しい
    • 攻撃力が抑えられた代わりに特殊な効果を持つ刀や振りの重さとリーチが変わる刀など、デザイン含めて魅力的なメインウェポンが存在するのだが、これらの入手条件が厳しく活用するにはやり込みが必須となる。
    • 具体的には触れないが上記の収集要素などと関わり、通常のプレイではストーリ1,2周ではまず入手できない。初期のブレードに比べ強力な点もあるため、早いうちからの使用は慣れの段階にふさわしくないという側面もあるが、折角の魅力を見ないままやめることもあり得、勿体ない。
    • これらの武器にも初期武器同様の多段階の強化が可能なのだが、入手時期の関係上一気に最終強化ということになりやすい。早いうちに入手できて、強力な効果についても強化段階で調節するなど初期ブレードとのバランスを整えれば強化システムもよく活きただろう。
    • ただこれだけ魅力的であるからこそやり込みのご褒美としてふさわしいという面もあり、一概に否定できるわけではない。
  • ラスボスが異常に強い
    • ストーリー、特にラスボスについては賛否両論点にて述べた通りだが、こいつはゲーム上においてもこれまでのボスと比べても圧倒的に強い。
    • 体力は他のボスの2倍あり、範囲の広い攻撃や素早いダッシュで接近する上、回復技も使用する(こちらは隙をついて中断させることはできる)。巨漢で頑丈という設定故にどの技もむやみに威力が高い。
    • 特に問題とされているのは、こちらに向けて投げてくる瓦礫を切断するシーンである。この瓦礫は4個のマーカーを一振りで切断しなければならないうえ初期体力で失敗すると即死、最大体力でも半分削られる
      • ここまでに斬る場所は指定されても、斬る角度までは指定されなかったため、スティック操作が苦手な人はここで死にまくる。初見殺しとしても1発アウトはやりすぎたと言わざるを得ない。
        斬撃モードに入らずに敵の足元にダッシュで潜り込めば安全に無力化出来るが、気づくのもラスボス戦に慣れてきたころだろう。
    • 他にもこのボスに対する救済策的な嵌め技はあるのだが、スタイリッシュアクションが肝であるこの作品で、それに頼って切り抜けることに難色を示すプレイヤーが多い。
      腕の立つプレイヤーはスタイリッシュにノーダメージでクリアしつつド派手な死闘を展開出来るため、そうした層からはやり応えがあると言う高い評価もある。
  • レバガチャを要求する場面が多い
    • 敵のつかみ攻撃やピヨり攻撃を受けて行動不能になった時に、レバガチャ操作で素早く復帰することができるのだが、本作にはそのようなレバガチャを強いる敵の攻撃が割と多い。ただでさえ忙しいアクションゲームなのに、度々レバガチャをさせられるのは煩わしいものがある。
    • 酷い時には、レバガチャで復帰した直後にまた敵の攻撃を受けて連続でレバガチャをさせられたり、ピヨり中に拘束されるといった二重苦を味わうこともある。
    • 正確なスティック入力を求められるシステムと、荒々しいレバガチャを要求する仕様は極めて相性が悪いと言え、他のゲーム以上に気になるところ。
  • 集団戦でのレベルデザインが大味
    • 終盤や高難易度では敵の質や密度が上がるが、そのために「飛び道具の乱発」「予兆がほぼない攻撃やつかみを起点に気絶も挟んで連続攻撃を受ける」「ダウン後に他の攻撃が確定被弾の状況がある」「カメラ外からの急襲が頻発」など対処の難しい、あるいはときに不可能な状況に陥ることも少なくない。
    • 対する堅実な対処が逃げ回りながらの攻撃や、反撃しやすい行動を待ち続けるなどの能動性・攻撃性に薄いものであり、折角の爽快なゲーム性を殺してしまう。

総評

一振りの刀を手にユニークなシステムを駆使して死闘を切り抜ける、その爽快感溢れるプレイヤーのアクション性にはプラチナゲームズが培ってきたノウハウが存分に活かされており、ただのムービーに留まらずBGM・ゲームシステムすら一体となった演出パートの完成度は圧巻の一言である。
ストーリーについてもまた、独立した作品として主役キャラ達を対比を通して掘り下げる奥深いものでありながら、その背景として『MGS4』で一旦ひと区切りとなった世界情勢やキャラクター・その思想の行方を描くという点でシリーズ作としても一定の役割を果たしている。
カメラワークやボリューム・敵の攻略バランスに難点こそあれど、プラチナゲームズと『メタルギア』シリーズそれぞれが受け継いできた「ミーム」がともに活かされた良作といえる。

しかし本作はまた、シリーズファンを中心に賛否両論を巻き起こした問題作でもある。
根本的なゲーム性の変化は個人の好みによっては大きな問題点であり、過剰ともいえる演出・衝撃的なストーリーを受け付けない人々が多かったこともまた事実である。
雷電を演じる堀内氏の思わせぶりな演技や任意無線に散りばめられた考察要素等によって、プレイヤーによってストーリーの受け取り方が大きく違うこともその傾向に拍車をかける。

総合的に見て万人に勧められる作品ではないものの、根幹としては魅力的な要素を数多く持った作品である。
ハイスピードアクションが好きな人、ハイテンションな演出・掛け合いに魅力を感じる人にはぜひお勧めしたい。


余談

  • 『メタルギアソリッド ライジング』の開発中止を免れる為に小島監督がプラチナゲームズに本作の開発を引き継がせたのは、「アクションでなおかつ『ライジング』のゲームデザインを委ねて答えを出せるのはここしかない」という理由からだと本人が語っている。
    • その際、小島プロダクションの若手スタッフが3年掛かっても作ることが出来なかったゲームのプロトタイプを、プラチナゲームズはわずか数ヶ月で完成させたという逸話がある。これらを含めた『ライジング』から本作に至るまでの経緯は「ライジングの真実」という公式インタビュー動画にまとめられている。
      • また、本作で培われた斬撃アクションの技術は、プラチナゲームズが後に開発した『NieR:Automata』や『BABYLON’S FALL*5』にも活かされている。結果的に本作はプラチナゲームズの転換点となった作品だと言えるだろう。
+ ライジングの真実

  • 本作発売から10ヶ月後に全DLCを含んだパッケージ、スペシャルエディション版が発売された。
    • 2,480円(税込)と破格の値段だが、ディスクにデータが内蔵されているのではなく、通常版にプロダクトコード(期限無し)が同封されているだけである。
  • 続編を匂わせる展開があったが、小島プロダクション(現・コジマプロダクション)はコナミを離れて別会社として独立した事と、『メタルギア』の版権はコナミが所有しているため、続編は絶望的と考えられる。
  • 『MGS4』同様、日本版ではサイボーグの人工血液は『ポリスノーツ』以来の設定通り白い液体だが、海外版では普通の血液同様赤い。
    • 海外版は他にも一部のムービーで日本版とは違うカメラワークになっており、よりグロテスクな映像になっている。
    • 一方国内版ではこの規制を逆手に取った場面が存在する。
  • ZONE OF THE ENDERS HD EDITION』のPS3版には本作の体験版のダウンロードコードが付属している。同年12月からはPlayStation Storeにおいて体験版が配信されている。
    • 奇しくも雷電のデビュー作である『MGS2』の体験版も『ZONE OF THE ENDERS』に付属されていた。スタッフも意識していたのかもしれない。
  • 本作のCMにはOLと学生の2つのパターンが存在する。OL版はネチっこい上司に、学生版はヘリコプターの騒音にそれぞれブチギレるというもの。
    • 発売日がちょうど受験シーズンということもあり、学生*6版のCMには「がんばれ受験生。」とテロップが出る。
+ 本作のCM

  • メタルギアソリッド3 サブシスタンス』には雷電が『MGS』シリーズの主役の座を狙う「METAL GEAR RAIDEN (メタルギアライデン)」というジョークムービーが存在する。
    • 内容としては『MGS3』の内容に介入し、過去を変えようとするストーリーで、オチではローズマリーから「未来で頑張りなさい」と言われてしまう。雷電は既に『MGS4』の主人公は決まっていると答えるが、「5があるんじゃない?」と締められる。実際の『MGS5』では返り咲きとはいかなかったが、約8年経って全く別の形で願望が叶ったと言える。
  • 案件R-04の最初の方にいる受付ロボットが難易度VERY HARD以上だと声がアニメ声になるという仕様がある。
    • なお、海外版だと難易度がVERY HARD以上でも声が変わることはない。
  • 360版は後にOneの後方互換に対応した。
    • 日本でもプレイできるが、地域設定を日本以外にしないと起動時にエラーが出て起動できないという仕様になっている。もともと日本で360版は発売されていないためか、日本の互換リストにも載っていない。
  • 一方、Win版はSteam配信でのみの販売となっているが、日本はおろかインドとサウジアラビアを除くアジア全域で「おま国」の為、発売から長い年月が経過しているにもかかわらず未だ購入不可である。
    • 一方、正規販売している外部サイトでWW版のSteamキーを購入できても、自分のアカウントに登録しようとすると正規のSteamキーなのに「地域外」と見做され認証を弾くという徹底ぶりである。
      • 斬撃の回数や敵の残骸の残り時間を増やすオプション追加やCS版での全DLC収録、ボス単体と戦えるチャプターの追加等ほぼ*7完全版と言える内容になっており正規購入を望む声は多い。
  • 2015年にNvidia Shield*8への移植が発表され、翌年発売された。
  • 賛否両論項のリージョン内でも触れたように、本作のラスボスはそのキャラクター性の濃さゆえに国内外を問わず異様な人気を獲得している。
    • なので発売から月日を経たこれまでにも度々話題に上がったりはしていたのだが…2022年現在に至って何故か再ブームが到来。
      • ラスボス戦での雷電のパンチ連打シーンに後半戦のBGM「It Has To Be This Way」を流した『Standing Here, I Realize』(ラスボス戦の出だし部分の歌詞)や、突然アームストロングが殴りかかってくる釣り動画が海外を中心に大流行している。
    • 特に後者は日本にも輸入され、YouTubeでは様々なネタ動画が投稿されている。詳細はこの動画を参照。