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Clair Obscur: Expedition 33

【くれーるおぶすきゅーる えくすぺでぃしょんさーてぃーすりー】

ジャンル リアクティブターンベースRPG
対応機種 プレイステーション5
Xbox Series X/S
Windows(Steam/Epic Games Store/Microsoft Store/GOG.com)
Linux(Steam)*1
発売元 ダウンロード版: Kepler Interactive
国内パッケージ版: セガ*2
開発元 Sandfall Interactive
発売日 2025年4月24日
定価 7,400円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
備考 「The Game Awards 2025」Game of the Year受賞作品
判定 良作
ポイント 独自の世界観を持つ「フランス産JRPG
美麗なグラフィックと前衛的で幻想的なアートワーク
心地よい良質なBGM
コマンドバトルとアクションを融合した斬新なバトル
パリィを前面に押し出したバトルは爽快だがやや人を選ぶ


概要

フランスのモンペリエに拠点を構える、約30名の少人数から成る新進気鋭クリエイター集団「Sandfall Interactive*3」が送り出した、同スタジオのデビュー作となるRPG。
制作陣は "JRPG" をリスペクトしており、影響を強く受けていることを公式インタビューで度々公言しており、作品全体の構成が日本でおなじみの伝統的な "JRPG" のフォーマットに沿っている。
一方、演出や世界観は近代フランスで隆盛を見せた華やかな芸術文化「ベル・エポック」をコンセプトとしており、近代フランス文化のエッセンスが作品の随所に盛り込まれている。

こうした異色の背景を持つ "フランス産JRPG" として、リリース前から世界的に注目されることとなった。


あらすじ

67年前に起こった「崩壊」により、世界は大きく姿を変えた。
女性の姿をした巨人の絵描き「ペイントレス」が年に1回、遙か遠くにそびえ立つ巨大な石柱「モノリス」に数字を描くとき、その数字の年齢を迎えている人々は皆「抹消」され消えてしまうのだ。
ルミエールの街で毎年結成される「遠征隊」は打倒ペイントレスを掲げ年に1回出征してきたが、帰ってきた者は誰一人としていない。
そして今年、ついに「33」が描かれる日が訪れた。
それは「第33遠征隊」のメンバー・ギュスターヴにとって遠征出発前夜でもあり、元恋人ソフィーとの今生の別れの時でもあった。

それぞれが年に1回の別れを乗り越え、出征したギュスターヴと第33遠征隊の一行。
彼らを待ち受けるのは、想像を絶する脅威や苦難、そして謎と不思議に満ちた驚くべき世界と、思いもよらぬ世界の真実であった…。


特徴

世界観・アートワーク

  • 物語の舞台は「崩壊」とよばれる惨事が発生し67年が経過した世界。
    • この世界では、不思議な色合いの岩や植物が至るところにせり出していたり、液体が満ちたような空間で呼吸ができたり、空中で人工物や岩石が静止していたり、無機物から成る生き物が跋扈していたり…と異様な物理法則に支配されている。
    • 世界各地には歪んだ異形のエッフェル塔、引き裂かれた凱旋門など、フランスに縁のある建造物が随所に確認できる。
    • それ以外にも作品内には芸術作品や建造物が多数登場するが、いずれも19世紀末~20世紀初頭の戦前フランスで隆盛を見せた、華やかな芸術文化「ベル・エポック」 の統一されたコンセプトのもとに描かれている。
  • この世界には巨大な石柱「モノリス」がそびえ立ち、その前には巨大な女性画家「ペイントレス」が鎮座している。
    • ペイントレスは年に1回だけ立ち上がり、モノリスに書かれた古い数字を消し、新たな数字を描き込む。その後程なくして描かれた数字の年齢に達している人々は皆「抹消」され、花弁のごとく散って世界から消えてしまう。
    • 「100」から始まったカウントダウンは既に「34」まで来ており、いよいよ「33」が描き込まれるというその当日に物語が開始される。
    • プレイヤーは「第33遠征隊」のメンバー・ギュスターヴとして仲間と共に遠征に出発し、道中を阻む異形の敵「ネヴロン」と戦いつつ、世界を冒険し打倒ペイントレスを目指すこととなる。

JRPGのフォーマットに則った作品構成

  • 今作全体の構成は伝統的な和製のコマンドRPG、いわゆる "JRPG" のフォーマットに則っている。
  • マップは、ダンジョンのアイコンが点在するフィールドマップと、各ダンジョン内のマップから成るきわめて古典的なスタイル。
    • フィールドマップは、拡大されたキャラが縮尺の小さい世界を歩く、和製RPGではおなじみのスタイル。ダンジョンを示すシンボルを選択し進入することでダンジョンマップに移行する。
      • フィールドでは「キャンプ」の設営が可能で、拠点として休息、パーティ強化などが行える。シナリオが進むと、キャンプでパーティ内メンバーと交流して各キャラクターとの「親密度」を上げ、アビリティやスキルをアンロックすることもできる。
    • ダンジョンマップではロープアクション、グラップルアクションなども駆使して三次元的なフィールドを探索するが、特殊アクションはいずれもJRPGらしいワンボタンのオート操作で、マップ自体もオープンワールド形式ではなくやはりJRPGのように移動可能範囲が見えない壁で制限された、古典的な造りとなっている。
    • ファストトラベルポイントはダンジョンマップ内にのみ存在し、休息や消費資源の補充、キャラ育成などの拠点機能も部分的に兼ねる。
    • フィールド上の移動やダンジョン間の移動は、徒歩または乗り物要素による移動が必須。

音楽

  • 楽曲ジャンルはクラシック風、カントリーミュージック調、ラテン風ポップスなど幅広く、クライマックスを中心にボーカル曲も数多く取り入れられている。
  • 音楽は、新進気鋭のフランスの作曲家Lorien Testardが主担当。
    • 彼は本作以前にキャリアのなかった無名の作曲家で、SoundCloudに自作曲を趣味でアップロードするアマチュアユーザーに過ぎなかったが、その才能を見込まれ大抜擢されることとなった。

バトル関連

育成

  • キャラの育成は、レベルアップに伴うパラメータ配分、装備、スキル習得の3要素から成るシンプルなシステム。
  • パラメータは「体力」「攻撃力」「防御力」「素早さ」「運」の5種。それぞれ主にHP・与ダメージ・被ダメージ・行動頻度・与クリティカル率に関与する。
    • 各キャラは経験値をためてレベルアップするごとに3育成ポイントずつ獲得でき、これを拠点において上記5種のパラメータに手動で振り分けることでキャラの基本性能を強化できる。
      • これらは、拠点で消費アイテムを使うことでリセットし自由に再配分できる。
  • 装備は武器、「ピクトス」とその成長により習得できる「ルミナ」の3つのカテゴリに分かれる。
  • 武器には育成の概念があり、集めた資源を消費することでレベルアップさせることができる。
    • レベルが上がると攻撃力が強化されるほか、一定レベルに達するたびに装備特典のパッシブ効果を最大3個まで習得できる*4
    • また、武器ごとにそれぞれ相性の良いパラメータが2種設定されており、その2種に連動して他のパラメータを底上げするという効果も併せ持つ。
      • たとえば「体力B」「素早さC」の特性を持つ武器を装備すると、体力の基礎パラメータが高いほど他のいくつかのパラメータが中等度、素早さが高いほど他のいくつかのパラメータが軽度、それぞれ連動して上昇するという仕組みになっている。
  • 「ピクトス」はいわばアクセサリーで、最大3つまで装備可能。各ピクトスには2種までのパラメータ上昇が設定されているほか、固有のパッシブ効果を一つ持ち、装備すると効果が発揮される。
    • 各「ピクトス」をバトルメンバーの誰かが装備した状態で計4回バトルに勝利すると、そのピクトスの持つパッシブ効果を「ルミナ」というアビリティとして習得できる。
    • 「ルミナ」の修得はパーティ単位で共有であり、一度修得したルミナはパーティメンバーの誰でも装備可能となる。
      • 各ルミナには消費する「ルミナポイント」が設定されており、習得したルミナを各メンバーが持つ「ルミナポイント」の枠の上限におさまる範囲で組み合わせて装備することになる。
      • 一般に強力なルミナほど必要ルミナポイントが高いが、全く同じ性能のルミナでも1個目はポイントが低いが2個目以降は高いなどの制約もあり、取捨選択の駆け引きが発生する。
  • スキルは、レベルアップごとに1ずつ手に入るスキルポイントをスキルツリー画面で消費し、習得済のスキルに線でつながったものを順次習得していくというごくシンプルなシステム。
    • 基礎パラメータと同様に、拠点にて消費アイテムを発動することでリセットが可能。
    • 習得可能なスキルはキャラごとに全く異なり、キャラごとに固有の特徴を持つ。
      • たとえば「攻撃ヒットごとにゲージがたまり、後にそれを消費して強力なスキルを発動できる」「スキル使用ごとに属性エネルギーがたまり、その消費により特定のスキルが強化される」「敵に呪いを付与し、のちにそれを消費して与ダメージを上げる」といった具合。
    • 習得可能なスキルはキャラごとに20種以上あるが、同時にセットできるのは6種類のみ。
      • キャラごとに形式こそ違うが、全キャラとも「過去ターンにとった行動が、未来ターンの行動の効果を大きく左右する」という点で共通している。プレイヤーは各キャラのスキルの効果を最大限に高めるため、ピクトスやルミナ、スキルの最適なビルドを試行錯誤することになる。

バトルシステム

  • 雑魚敵はシンボルエンカウント方式で、マップ上に配置された敵シンボルに接触するとバトルに突入する。
    • このとき、こちらから攻撃を当てると先制攻撃が可能になる。
  • バトルはキャラごとのターン制で、各キャラの行動順が左上に寿示されており、その順番で行動していくシステム。インターフェイスや枠組みは『ファイナルファンタジーX』の「カウントタイムバトル」に類似している。
    • ただし、あちらとは異なりこちらは行動ごとの所要時間の差異はなく、純粋に素早さのステータス及びそれを変化させる状態異常によってのみ行動順が決まる。
  • バトルはコマンド制で、ターンが回ってきたら各コマンドに対応したボタン1つ押すことで通常攻撃、スキル、アイテム、フリーエイムなどの各アクションの画面に移行できる。
    • このインターフェイスは『ペルソナ5』に類似しており、制作チームも同作の影響を強く受けたことを公式インタビューで明言している。
  • 味方のスキル使用には「AP(アクションポイント)」を消費する。
    • APは全キャラとも戦闘開始時の初期値が4で固定で、戦闘のたびに毎回リセットされ、次の戦闘には持ち越されない。
    • APはターン経過による基本加算に加え、通常攻撃、「パリィ」(後述)の成功、ピクトスやルミナのパッシブ効果などにより追加獲得が可能。このAPのやりくりがバトルの成否を大きく左右する。
  • 味方のスキル使用時には、多くのスキルで「QTE」(Quick time event)が発生。
    • QTEではスキル発動中に菱形のマスが短時間表示され、その周囲を矢印が時計回りに素早く回り、ボタンを入力することで停止させることができる。停止した際の矢印の位置によってスキル効果が強化され、パーフェクトのゾーン(菱形の左上の辺)だと大幅に、他の3辺だと軽度強化される。ただし、停止自体に失敗すると強化はない。
      • 効果範囲が味方単体から複数に強化されたり、矢印の停止の失敗によりスキル自体が失敗したりするものもあり、バトルの成否を大きく左右する要素の一つ。
  • 敵の攻撃ターンにはただ攻撃を受けるだけでなく、ヒット時にタイミングよくボタンを押すジャストアクション動作「回避」「パリィ」などによって避けたりカウンター攻撃を行ったりすることが可能で、本作のバトルにおける目玉要素となっている。
    • 回避」は純粋に敵の攻撃を回避する行動。「パリィ」より成功判定のタイミングが緩いが、「パリィ」の持つメリット(後述)を得られない。
      • 「パリィ」でも成功するジャストタイミングで「回避」に成功した場合は「パーフェクト」と表示され、「パリィ」のタイミングを探る行動としての意味合いもある。
    • パリィ」は敵の攻撃をはじく行動。攻撃を受けずに済む点は「回避」と同様だが、1回成功するごとにAPを1ポイント獲得できるうえ、敵の一連の行動をすべて「パリィ」させることに成功すると、その敵に対してターンやAPを消費しない強力なカウンター攻撃が自動発動する。
  • 敵の攻撃の中には「ジャンプ」でしか回避できないものもある。
    • 被弾直前に黄色の特殊アイコンが表示される行動で、通常の「回避」「パリィ」では回避できない。代わりに同アイコンの短い表示時間内にジャンプボタンを押し、かつその後カウンターボタンアイコンが表示されたタイミングでボタンを押すことで、こちらもカウンター攻撃が可能。
  • 物語が進行すると、「グラディエントゲージ」を消費して行える特殊な行動「グラディエントアタック」が可能になる。
    • グラディエントアタックは、パーティメンバーの行動ターンを消費せず、そのまま続けて通常ターンの行動に移行できる特殊なスキル。
    • グラディエントゲージは、通常のスキルを使うたびに一定量ずつ蓄積していくパーティ共有のゲージで、戦闘が長期化するほど溜まりしやすくなる。
      • このことから、グラディエントアタックはジリ貧の長期戦における救済手段としての側面が大きいといえる。
    • グラディエントアタックは敵も使用してくることがあり、「一時的に画面がモノクロになってスローがかかる」という敵味方共通の特殊な演出が目印。
      • この攻撃は敵から受ける際に通常の「回避」や「パリィ」では避けられないが、先述の特殊演出の間、被弾直前にタイミングよく対応ボタン(通常の回避やパリィとは別)を押すことで、攻撃を回避しつつ「グラディエントカウンター」という強力なカウンターを発動可能。
  • 味方は、スキルや通常攻撃の前に「フリーエイム」という、APを消費しての狙撃攻撃を行うことが可能。
    • 『ペルソナ5』の銃撃に類似したシステムだが、名前の通り敵のどこを狙撃するか手動で狙うことができ、その敵の弱点を見抜いて狙うことで大ダメージや状態異常を与えたり、部位破壊を引き起こして弱体化させたりすることができる、というシューティングアクションの要素も併せ持つ。
  • 敵味方とも、各種行動によって「火傷」「疲労」などの状態異常や攻撃力の増減、素早さの増減など多彩なバフ・デバフを与えることができ、これらを上手に活用したり防いだりする駆け引きも存在する。
  • 当初はJRPGよろしくダメージキャップ(9999)が設定されているが、シナリオが一定段階まで進むと撤廃できるようになる。
  • 戦闘中に使用可能なアイテムはHP回復、AP補充、蘇生の各効果を持つ3種類の「ティント」のみ。
    • 所持上限数はそれぞれ各地で見つかる「〇〇ティントの欠片」を集めることで増加し、またそれぞれの効果はレアアイテム「〇〇のシェイプ」を拠点で消費することで最大2段階ずつまで強化可能。
    • 消費したティントは、拠点での休息時に自動で最大まで補充される。
  • バトル難易度は3段階でメニュー画面から随時変更可能。
    • 変化するのは被ダメージの大きさ、「回避」「パリィ」タイミングのシビアさの2要素のみ。

収集・やり込み要素

  • 収集アイテムは、育成やバトルに関連するのは先述した武器や資源に限られるが、世界観を広げる収集要素が複数盛り込まれている。
    • 過去の遠征隊が残した記録が世界の随所に散らばっており、収集することで世界観、シナリオ解釈の幅が広がる。
    • キャラの衣装や髪型、拠点で再生できる音楽レコードなど、本編攻略には直接関係のない収集要素もある。
  • シナリオ本編とは関係ない、いわば「ラスボスより強力な敵」も複数配置されており、やり込み要素も充分。
  • 若干だがミニゲームも存在する。
    • 「ジェストラルの浜辺」という寄り道ダンジョンでは、マップ上でのキャラ操作アクションを用いたミニゲームが用意されており、クリアするとやり込み要素であるキャラの水着衣装が入手できる。
      • ちなみに、この水着を着用すると女性キャラクターの乳房が揺れる「乳揺れ」が発生し、同時に男性キャラクターにはなんと「股間揺れ」が発生する。

その他

  • セーブは基本的にオートセーブ。任意のタイミングでのセーブ機能は実装されていない。

評価点

JRPGとしての王道と斬新さの融合

  • 既に出尽くした感のある "JRPG" のジャンルをあえて土台とし、ともすれば退屈になりがちなコマンドバトルに「QTE」「回避」などのアクション要素を組み合わせることで、斬新なプレイ体験を生み出すことに成功している。
    • コマンドバトルへのアクション要素の融合には『スーパーマリオRPG』などといった前例もあるが、今作はそれを発展、洗練させより大人向けのバランスに調整したものととらえることができる。

独創的な世界観とアートワーク

  • 剣と魔法のファンタジー要素を色濃く帯びながら、ありそうでなかった近代フランスの格式高いアートワークがふんだんに盛り込まれた本作の世界観は唯一無二。
    • 幻想的な世界は色彩豊かに描かれており、足元の雑草から遥か彼方の遠景に至るまで非常に緻密に書き込まれている。
    • 各ロケーションは草原・海中・洞窟・城跡などそれぞれ意匠が異なり全く違った美しさを持ち、また大自然と人工物が混在する異様な光景も多いが全体としての調和が見事にとられており、見ごたえがある。
    • この作り込み具合により「世界をただ歩いているだけでも壮大な芸術作品を鑑賞している気分になれる」「まるで映画の中を歩き回っているようだ」などときわめて高く評価されている。

高品質なグラフィック

  • 上述のアートワークを支えるグラフィックの品質も良好。
    • 画質をそこまで高く設定せずとも充分に見ごたえのあるクオリティで、演出上の処理落ちやグラフィックの大幅な欠落などもほぼみられず、最適化の度合いは高い。

良質で印象深いBGM

  • 収録されているBGMの数々は、極めて高い評価を得ている。
    • 今やゲーム音楽では何ら珍しくなくなったボーカル曲の活用だが、本作ではフランス語、英語、どちらでもない架空の言語、ヴォカリーズなどを効果的に織り交ぜ、クライマックスを中心に効果的に用いられている。
      • 中でもスタートメニュー画面で流れ、その後も全編通して様々な形にアレンジされて登場するメインテーマは壮大かつ哀愁に満ち、本作の象徴となっている。
    • 各マップのBGMも、環境音に近いような楽曲からノリノリのファンキーなミニゲーム用曲まで多彩で、場面にそぐわない選曲が一切ないと言ってよく、世界観を盛り上げている。
    • 雑魚戦のバトルBGMはフィールドごとに異なり、かつそのどれもがフィールドBGMの要素を盛り込んでいるという贅沢かつ丁寧な仕様。
      • バトルに勝利するとバトルBGMからリザルトBGMへ切り替わるが、リザルトBGMは各バトル曲のアウトロ部分になっており、バトル終了時点でそれまでの曲がどの箇所であってもそこから自然に違和感なくアウトロへと切り替わるという、非常に高度な演出となっている。

個性豊かなキャラクター

  • パーティメンバーは遠征隊の中でも特に強い選り抜きの猛者たちで高い戦闘能力を誇る一方、皆どこか人間臭い不完全さを持ち、親近感を覚える個性的な顔ぶれとなっている。
    • また行く先々で出会い、遠征隊を支援してくれる場合も多い「ジェストラル」という非人間キャラたちも個性が際立っており、殺伐とした本作の世界におけるマスコット的要因として愛されている。

全体として良好な戦闘バランスと、バトルの豊かなバリエーション

  • 通常以下の難易度でのプレイにおける、育成やシナリオ攻略での戦闘バランスは概ね良好である。
    • シナリオを普通に進め、あまり逃走せずにバトルをこなし、適度な育成と大きく外さない装備を心がけていれば、敵を全く倒せずに困る事態に陥ることはほとんどない。
  • シナリオ攻略に必須ではない敵も含め、素早く倒さないと全滅する敵、「パリィ」を成功させ続けなければ倒せない敵、やっかいな状態異常を多用してくる敵、弱点を狙って弱体化させないと大変な敵…など全編通して敵のバリエーションは豊かで、バトルに飽きが来にくい設計となっている。

シンプルながら奥の深い育成要素とバトルのやり込み

  • 非常にわかりやすい育成システムでありながら、多彩なルミナとスキルの組み合わせにより、戦い方の幅は非常に広い
    • 1手での最大ダメージを極める手段などの研究も進められているなど、やり込み要素としても奥深い。
  • なお、シナリオが進み9999のダメージキャップが撤廃された後の与ダメージの伸び方はすさまじく、育成とビルド、運用次第で数十万、数百万単位のダメージに容易に達する。
    • しかしそうしたインフレにあわせて敵のHPも指数関数的に伸びており、敵味方の強さのバランスがやりこみの段階でも比較的うまくとられている。

プレイを快適にする各種配慮

  • シナリオ最序盤にはバトルについての丁寧なチュートリアルが用意されており、慣れていないプレイヤーでもゲームシステムを自然に理解できる親切な設計である。
  • 回復資源が休息と同時に自動補充されるシステムによって、資源の確保に時間を割かれることがなく、また消費を惜しむことなく戦略に積極的に組み入れられるなど、ビルドとバトル自体に専念しやすい設計となっている。

賛否両論点

バトルにおける「パリィ」

  • 本作のバトルでは「パリィ」の効果がきわめて強力で、決まれば演出も相まって強烈な爽快感と実利が得られ、本作の大きな醍醐味といえる。
    • 「パリィ」を上手く行える人なら、序盤のうちから通常は到底敵うはずのないような強力な敵に勝つことも不可能ではない。
  • 一方、「パリィ」のタイミングはこの手のRPGとしてはかなりシビア。
    • 「振りかぶって大きく溜めて、一呼吸おいてからヒット」といった「タイミングずらし」といえる敵の行動も序盤からそれなりに見られるなど、「パリィ」の難易度は比較的高めになっている。
  • よって、得意な人はとことん爽快感を味わえ有利に進められる一方、苦手な人だとリアル体力をかなり消耗するうえ爽快感も得られにくいという状況になり、賛否の大きく分かれる評価となっている。
    • 特に中盤以降は「パリィ」の成否がバトルの成否に直結しやすく、上手く「パリィ」を活用しないと通常難易度でも苦戦しやすくなる。
  • 本作には、ほぼ同じ用途でより難易度の低い「回避」も実装されているため、「パリィ」の難易度は意図的に高めに設定されていることが推察され、「回避」で慣れたうえで「パリィ」に挑戦しよう、という制作側の設計意図は明白である。
    • また、バトル中に敵から攻撃を受ける際、他のパーティメンバーから被弾予定のメンバーに対して和訳されない「パリィして!」というボイスが、割と頻繁に発せられる。この点からも制作側がプレイヤーに対して「パリィ」を強く推奨していることは明らかである。
  • しかし、JRPGを愛好してきたプレイヤー層はそもそもこうしたジャストアクションに慣れていない場合も多く、「爽快で飽きの来ないバトル」と取るか、「難しくて辛いバトル」と取るか、賛否の分かれる結果となっている。
    • 戦闘難易度を低難易度に設定することで「パリィ」のタイミング判定を緩くすることもできるが、そうすると同時に被ダメージも大きく軽減されるため、今度は「パリィ」がそもそも不要なヌルいバランスと化してしまうというジレンマもある。
      • 「パリィ」の難易度だけを下げた、現在の低難易度と通常難易度の中間に位置する難易度が欲しいとする意見も聞かれている。
    • ごく一部のサブイベントには「パリィ」でしか倒せないというかなり尖った性質の敵もおり、これだけはどうしても倒せず難易度を下げたという声もしばしば聞かれる。

多くを説明しない序~中盤と、対照的な怒涛の終盤から成るシナリオ構成

  • 本作の世界は先に述べた通り奇妙な現象や生物と実世界にもみられる要素とが当たり前に存在する不思議な世界だが、「そもそも一体どういう世界なのか」という全体像を解説する情報が、序~中盤の段階ではほとんど得られない。
    • 「クロマ」「ルミナ」「ピクトス」「ネヴロン」「ジェストラル」といった本作独自の用語も多いが、これが作中では常識であるかのようにごく自然に語られ、ほぼ解説されない。
    • こうした、多くを説明しないことが今作らしさであり、世界観に神秘性をもたらし考察の余地を深めていると好意的に捉える人も少なからずいる。
  • シナリオは起伏に富み衝撃の展開も多く、古き良きJRPGのようにちゃんと筋があるドラマチックな内容となっている。
    • 一方、上記の世界説明が不足していることも相まって「中盤頃までシナリオを進めても世界の全体像が全く頭に入ってこない」「出てくる言葉がよくわからないまま何となく進めてしまい置いてけぼりにされた」とする意見も少なからず聞かれる。
  • そうした序~中盤とは対照的に、シナリオ終盤では世界全体の真相に関する情報が一気に全面解放され、世界全体の理に関連する複数の重要人物が新たに登場するなど、怒涛の急展開を見せる。
    • こうした急展開、驚きの真相によりもたらされる伏線回収のカタルシスを高く評価する声もある一方、あまりに急すぎてついていけない、最後まで何が何だか理解できなかったという声も少なからず聞かれ、賛否が分かれている。
  • 序盤から描かれる様々な要素には、終盤に明かされる世界の真相の伏線が実は多数盛り込まれており、設定や伏線はよく練り込まれている。
    • しかしそうした要素に序盤から気づくことは容易ではなく、またあまりにもさり気なさすぎてクリア後にも気づかない場合も少なくない。
  • なお、世界の全体像を推察できる要素も世界全体をくまなく探索すれば散りばめられてはいるが、探索要素も終盤になってようやく解放されるものが多い。
    • 無駄な説明要素を省きクリア時間の短縮ややり込み要素の充実に寄与していると評価する人もいる一方で、そうした要素はもっと早くから小出しに解放してほしかったという意見も少なくない。

問題点

ダンジョンマップ非搭載

  • 今作の3Dダンジョンにはマップ機能が一切搭載されていない。
    • 移動中に参照できる小さいナビマップがないばかりか、別画面で参照できるマップすら一切ない。
    • その割にアイテムの配置された脇道が非常に多く、どこから来てどこまで探索したのか、非常に混乱しやすくなっている。
    • 今作のバトルは先述の通り雑魚戦でも1戦1戦が集中力を要する重い内容であるうえ、時間も数分以上かかる場合が多いことも迷いやすさに拍車をかけており、バトルが終わった時点で順路を見失い、気づかず逆走し入口やファストトラベル地点まで戻ったあたりでようやく気づく…といった事態が頻繁に起こりうる。
  • ナビマップ非搭載は、美しいアートワークに注目してほしい制作側の意図的な仕様であることが明かされている。
    • 実際、アートワークの高評価をもたらしている一因である可能性はあり、制作陣の意図に一定の理解を示す声もあるものの「不便さが上回りストレスだ」「マップ表示有無をプレイヤーが選択できるようにすべきだ」とする意見が根強い。

一部ダンジョンに盛り込まれた、アクション要素の操作性の悪さ

  • 一部のダンジョンやミニゲームには、飛び移りなどのキャラ操作によるアクション要素を駆使して攻略するものがある。
    • 大半は衣装が得られるのみのオマケ要素であるが、一部にはバトルに活用できる要素がこうしたアクションの要求される箇所に配置されているものもある。
  • 本作のキャラ操作性はRPGとしては及第点だが、慣性やオートジャンプなどの最適化はアクションパートを成立させるほどの水準には到底達していない。にもかかわらず、こうしたパートで求められる操作性は比較的シビア。
    • 「狙った箇所に飛び移ろうと思ったら、微妙にズレてオートしがみつきが発動せず落下した」「意図した向きからややズレてしまいミスし、それまでクリアしてきたミニゲームが1からやり直しになった」といった事故が頻発し、不評な要素となっている。

メニュー画面の操作性全般

  • メニュー画面のユーザビリティは、良好とはいえない。
    • ピクトスやルミナ、スキルはどれも同じようなマスで大量に表示され、縦一列でもなく複数列に分かれて並んでいるため、区別しづらく、目当てのものを探しにくい。
      • またアクティブなマスとそうでないマスがわずかな色合いや明暗の違いのみで区別されており判別しにくく、誤操作が頻発する。
    • ピクトスやスキルの装備画面では、手持ち一覧と装備中一覧の2エリアに分かれているが、これらの間は相互にカーソル移動できてしまうため、付け替える際に「装備したいものを選んで、装備中のものと置き換える」のか、「装備中のものを選んで、装備したいものと置き換える」のか、操作のフローが一定しづらく混乱しやすい。
      • 特にピクトスの画面では、装備しようとしているピクトスの情報が表示されると、現在装備中のピクトスの情報が一部隠れてしまい比較ができなくなるなど、不親切な設計も散見される。
  • なおこの点は、漢字がなくすべて同じ文字種で表記されるアルファベットの言語圏では更に深刻な問題らしく、海外では「本作最強のラスボスはメニュー画面だ」というジョークが語られている。

(日本語版限定)一部の翻訳がやや不適切

  • こうした作品の宿命であるローカライズの問題を、本作も一部抱える。
  • 「ペイントレス」という語は作中で基本的に本編冒頭から登場する巨人画家の名称として使われているが、日本語版に限り、シナリオ終盤の重要な局面で違う意味でも使われてしまっており混乱を招いている。
    • 「ペイントレス(paintress)」はもともと「女性画家」を指す一般的な英単語である*5。英語版では巨人を指す場合は "The Paintress" という "The" がつき大文字で始まる固有名詞として表現され、一般用語 "paintress" とは明確に区別されていた。
    • 一方、日本語版では終盤のシナリオにおける文章の中で、巨人 "The Paintress" ではなく「女性画家」の文脈で "paintress" となっていたのを「ペイントレス」と和訳してしまっている箇所がある(ネタバレのため詳細は控える)。
      • たった一語ではあるが、「ペイントレス」の語が最序盤から特別な意味を持つ本作においては世界観の根幹の理解に致命的な混乱を来しうる重大な誤訳であり、ただでさえ賛否のあるシナリオの難解さに、日本語版プレイヤーはさらに拍車がかかる事態になってしまっている。
  • 戦闘終了後のリザルト画面において、画面を閉じてシナリオやマップに戻る「閉じる」的なボタンのキャプションとして「私たちは進む」という文言が表示されるが、これもよく批判の対象となる。
    • これは英語では "We Continue" とされている表現の直訳で、作中の「誰かが倒れても、他は歩みをやめない」という遠征隊の宣誓の一部を拝借したもの。主人公達の強固な矜持を、プレイヤーがボタンを押すことで再確認ないし追体験するという意図が察せられる表現である。
      • しかし、日本語の平文で書かれると日本人にとってはどうにも間の抜けた珍訳感あふれる表現となってしまっていることは否めず、日本プレイヤーからは「雰囲気をぶち壊している」として否定的な反応が主である。

その他の細かな問題点

  • フィールドマップでのファストトラベル機能がない。
    • これは昨今のゲームでは当たり前になっている機能であるが、本作には未搭載。
      • いちいちフィールドを飛び回るのはJRPGらしさがあるとはいえ、現代のゲームとしては煩雑。
      • また古いJRPGとは異なり本作ではサブイベントでしか訪れないサブダンジョンがとても多く、一覧できる画面がないことでクリアしたものとそうでないものを整理しづらくなっている。
  • 任意セーブの機能がなく、オートセーブのタイミングもまちまち。
    • バトルメンバーの装着スキルの変更操作を行うと、たとえ同じスキルを装備し直すだけで実際には何も変更が生じていなくても確実にオートセーブされる。この操作が、実質的な手動セーブの代わりとして使える。
    • しかし控えメンバーのピクトスや装備に多数の変更を加えたり、ドロップアイテムを拾ったりした際にはセーブされないことがある。
      • もっと確実にオートセーブされるようにするか、どうせ実質的にどこでもセーブが可能なのだから手軽な手動セーブ機能を実装するか、どちらかは実現してほしかったという意見は根強い。

総評

"JRPG" を現代の技術で正統に発展させつつ、独自の斬新な要素も盛り込んだ意欲作。
「近代フランス文化」というありそうでなかったコンセプトに基づく独特な世界観、優れた映像美とBGM、シンプルながら練り込まれたアクション要素を盛り込んだバトルシステムは、全体として斬新なRPG体験を生み出した。
「パリィ」を前提としたバトルや、肝心なところを語らないシナリオについてはやや賛否が分かれる面もあり、人を選ぶ要素も存在するのは事実である。
またメニュー画面のUIなど、荒削りな部分があるのも事実だろう。
しかしそれを差し引いてもなお高い完成度は世界的に高評価を得て、多くのファンを獲得することとなった。
発祥の地である日本で多くの血筋が途絶えつつある "JRPG" の新たな可能性を世界に知らしめ、日本でも「国内でこのクオリティのRPGが開発されたら…」という声も挙がっている。
「王道 "JRPG" の発展形」として、後世のRPG界に大きな影響を及ぼすであろう、圧倒的な存在感を見せた良作といえるだろう。


余談

  • 本作は、インディーに近い規模のスタジオによる作品としては異例ともいえる、極めて高い評価を世界的に受けた。
    • 2025年4月の発売から1年経たずして全世界で500万本の売り上げに達し、世界各国の複数のゲーム賞におけるGame of the Yearや多数の部門賞を総なめにするなど2025年のゲームシーンの話題をかっさらった。
    • その圧倒的な高評価から、フランスの大統領であるエマニュエル・マクロン氏も自身のSNSで「モンペリエとフランスにとって大きな誇りである」と称賛している。
      • 一方で、開発側が生成AIを使用していないと明言していたにもかかわらず、ゲーム内の一部にAIで生成されたコンテンツか実装されていたことが物議を醸した*6
  • タイトルの "Clair Obscur" は絵画の技法「明暗法」を示すフランス語由来の言葉。"Expedition" は「遠征」「遠征隊」を示す英語である。
    • ただこれらはいずれも日本人には馴染みのない語でパッと見で覚えにくく、本作が話題になって以降も日本ではタイトルがなかなか定着せず、「なんとか33」という半ばネタ的な大ざっぱな愛称が定着した。
      • ネット検索では「33」の語だけでも充分に情報が得られ、また作品の認知度が徐々に高まっているためか、そう呼ばれる頻度はやや減ってきている様子。
    • また、芸術用語であるが故に同じく "Clair Obscur" をタイトルに含んだ『L' Académie Clair-Obscur』というフランスのコミックが本作発売以前から存在したが、本作発売後に本作開発元のSandfall Interactiveの法務部門が「自社の商標権を侵害している」としてこのコミックの作者に販売停止を要請するという事態が発生し波紋を呼んだ*7
  • 海外作品ということもあり、本作のレーティングはJRPGの作品としては珍しいCERO:Z(18歳以上のみ対象)である。
    • ゲーム冒頭に記載がある通り暴力・流血・自殺企図などの描写が要因と思われるが露骨なゴア表現はほとんどなく、全体的に購入制限がある同レーティングが付与された作品としては描写はかなりマイルドな方である。
最終更新:2026年04月16日 12:51

*1 Protonによる互換対応。Steam Deck認証済み。ProtonDB: Platinum判定。

*2 韓国ではSmileGate Entertainment、アメリカではMaximum Games, Inc、EU圏内ではバンダイナムコエンターテインメントがパッケージ版の販売を行っている。

*3 ちなみに、このスタジオは元ユービーアイソフトのクリエイターで構成されている。

*4 各キャラの初期装備に限っては、パッシブ効果は一切設定されていない。

*5 "painter" の女性版。「俳優=actor」が「女優=actress」になるのと同じ。

*6 現在は修正されているが、これが原因で受賞した一部アワードを剥奪されている。

*7 なお、この件は後にSandfall Interactive側が社全体としての認識と法務部の対応に相違があったとして要求を公式に撤回し、コミックの作者との直接対話で和解が成立している。