SDガンダム GGENERATION PORTABLE

【えすでぃーがんだむ じーじぇねれーしょん ぽーたぶる】

ジャンル ウォー・シミュレーションゲーム

対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 トムクリエイト
発売日 2006年8月3日
価格 4,800円(税別)
廉価版 PSP the Best
2008年10月23日/2,800円(税別)
判定 なし
ポイント 携帯機初の原作再現系
ハロスコアが鬼畜
SDガンダム Gジェネレーションシリーズリンク


概要

  • バンダイナムコ名義では初、携帯機ハードで出た初の原作再現型シナリオのGジェネ。
  • 予約特典として、過去のGジェネシリーズのムービーを収録したDVD「Gジェネ プレミアムディスク」が付属していた。

新システム

ダブルカットイン

  • このカットイン形式を持つキャラクター同士が戦闘を行うと、戦闘アニメの表示前に掛け合う形で音声カットインが表示される。
  • なお、ダブルカットインが表示された場合、通常の攻撃カットインは表示されなくなる。

マスターユニット

  • より多くのユニットから援護を受けられるマスターユニット*1を自由に選択できる。
  • マスターユニットに設定すると、HPとENが毎ターン回復する。ただし、戦艦に収容することはできず、撃墜されるとゲームオーバーになってしまう。
  • 編成しなかった場合はそのステージで予め決まっているユニットがマスターユニットになる。

一斉射撃

  • 一部の戦艦のみが使える、MAP兵器とは別の複数の敵を攻撃する武器。後のシリーズにおけるマルチロックオンの原型とも言える。
  • 戦艦の種類により使用回数や狙える敵の数は異なる。

ハロスコア

  • ステージごとに、アクションゲームのようにスコアが集計される。これを「ハロスコア」と呼ぶ。クリア時に獲得したハロスコアによって「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の4段階の「ハロランク」が授与される。
  • 敵を撃墜するとスコアが上昇し、一定数上げるとランクアップする。シナリオクリア時のランクにより資金やオプションパーツを入手できる他、高いランクほど入手できるアビリティポイント(機体を強化するポイント)も上がる。
  • 本作は同じステージを何度でも繰り返しプレイできるので、自軍を強化したり、プレイヤー自身の腕前を上達させたりしながら、ハイスコア更新に挑むことができるのである。これだけなら良かったのだが……。

評価点

  • 収録ユニットは約1,100体と『F』を抜いて歴代最多、登場キャラクター数も約750人と歴代トップクラス。収録ユニット数で本作が立てた記録は現在でも破られていない。
    • 特にコズミック・イラ作品は『ASTRAY』シリーズからも多くの機体が収録されている。リジェネレイトなど、長らく本作でしか登場していないという機体も多かった。また、各キャラクターには『GENERATION of C.E.』で作られた専用BGMがきちんと使用されている。
      • 他作品や後のシリーズ作品でも省略されがちな「ヴァリアブルフェイズシフト装甲の電圧差(色による防御力の違い)」は、本作ではきちんと原作設定に則った形で差別化が図られている。例えばブラストインパルスのものはEN消費が少ないが実弾攻撃への軽減率が低く、ソードインパルスのものは消費が大きい代わりに軽減率が高くなっている。
  • 『F』ではボーナスステージ扱いだった『∀』と当時の最新作の『DESTINY』シナリオが本格的に収録されている。
    • 前述の『ASTRAY』シリーズの機体・キャラクターが多数登場する他、『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』からガンダム・ヘイズル、『MS IGLOO 1年戦争秘録』からヅダが登場する。
  • 戦闘演出はほぼ『F』の流用で、『NEO』以降に見られたフルボイス要素はない。しかし、SEED系をはじめとした上記の新規参戦組の演出は当然ながら新規に作られており、それぞれの作り込みも良好で迫力のあるアクションが拝める。
    • この一方で、キャラクターの立ち絵やカットインイラストは『NEO』以降の作品からの流用で構成されているため、総じて『F』と比較して高品質なものになっている。
      • ただし、カットインイラストは過去作からの流用であっても本作ではほとんどが口パクと瞬きのみに変更されており、アニメーションの質そのものは抑え気味ではある*2
    • ボイスやBGMの音質も向上しているため、戦闘演出は『F』をベースに順当な進化を遂げたと言えるだろう。
  • ムービーのほとんどは過去の作品からの流用だが、本格参戦の『∀』、初参戦となる『DESTINY』のムービーは完全新作。また、『G』の一部ムービーもボイスは『F』の流用ながら新規に作られている。
    • 流用とはいえ、初期シリーズ4作のムービーが本作1本でほとんど視聴できるのは初代Gジェネからのファンにとっては嬉しい限り。本数から見ても歴代トップクラスである。
      • しかしそのせいで、ボイスが『F』から流用されているドモンなどは声質に違和感を覚えてしまうことも。また、『GジェネSEED』から流用されたムービーは、他ムービーと比べて質感や作り込みの差が激しく良くも悪くも浮いて見える。
    • なお、フリーダムvsプロヴィデンスのムービーでは『GジェネSEED』版の冒頭に映っていたストライクの頭部の残骸が消されている*3
  • 何より本作の最大の特徴は『F』のシステムで遊べる最後のGジェネということである。
    • なお、一部の機体は『F』と性能や武装構成が異なる。ヴェスバーとメガビームキャノンがMAP兵器から通常武装に変更されたV2アサルトバスター辺りが分かりやすいか。

問題点

  • 部隊編成UI回りがシリーズ中最悪。
    • 他のシリーズでは編成画面ひとつでパイロットも機体も配置できたのに、本作ではいちいち別画面で1機づつパイロットを搭乗させてからでないと部隊に配置できないので乗り換えの度にストレスを感じる。
    • また、キャラクターが縦一列に並べられており、ジャンプやページ送りといった機能も一切ないので、キャラが増えてくると延々と画面をスクロールさせながら目当てのキャラを探す羽目になり、とにかく面倒。
    • そしてパイロットが搭乗している機体でしか「設計」できないので、新しい機体を手に入れる度にわざわざキャラを乗せて確認しなければならない。
  • ローディングが地味に長くて多い。
    • 発売日からわかるように本作はPSPでも比較的初期の作品であり、当時はメディアインストールなどという便利な物はなかったので仕方ないと言えば仕方ないのだが。
    • ZERO』や『F』のように、ロード画面がキャラクターによって変化せずワンパターンなのも体感的な長さに拍車をかけている。
  • 本作におけるアナザーガンダムはEN量は多いが消費も激しい。例えば初代ガンダムとストライクガンダムを比べると、EN量はストライクが圧倒的に多いが燃費で見るとほとんど変わらない(どちらもビームライフルなりビームサーベルで5回も攻撃すればEN切れになる)。
    • しかも戦艦に収容したときの回復量がかなり少なく、整備値を限界まで上げたクルーを配置しても1ターンあたりの回復量は140。ENが空の状態から全回復させるのにガンダムなら1ターンで済むのに対しストライクは3ターンもかかる。回転率を考えればむしろガンダムのほうが優秀。
      • とはいえ、アナザーガンダムのほとんどが特殊な基本アビリティをデフォルトで複数持っている(単体飛行能力、ゼロシステムなどの機体パワーアップ能力、PS装甲に準ずる各種防御能力)。そこを考えると、EN消費の激しさは機体のアビリティ搭載の代償と見ることもできる。
    • ただしデュートリオンビーム受信を持つインパルスなどザフトセカンドステージおよびデスティニー、レジェンドは例外。戦艦からの「照射」を受けることでその場でENが全回復するので、鍛えれば帰艦せずに延々と戦うことができる永久機関と化す(ただし戦艦側は「照射」を実行すると行動終了になる)。だが、その「照射」を使えるのが原作通りミネルバだけなので、これらを最大限に活かすのならば母艦がミネルバ一択となってしまう。
    • もちろん攻撃力などはもともと差がある以上いかんともしがたい。が、シリーズの伝統で改造していけば何の意味もなくなる
    • なお、本作ではゲームシステム上サブフライトシステム(SFS)が戦艦の搭載枠を圧迫しないので、資金さえあれば移動力と地形適性はどうとでもなる。加えて、フリーダムなどSEED系の後期ガンダムは何故かSFS搭乗不可に設定されている。移動力はオプションパーツでしか強化できないので、戦力が充実していくと単独で飛べるのに相対的には足が遅くなるという奇妙な現象が起きる。
  • 新たに追加されたユニットやキャラクターに設定ミスが見られる。
    • 上記でも触れたが、いくつかの機体は特に理由もないのにSFS搭乗不可に設定されている。例えばバスターガンダムはSFS搭乗可能なのに、バスターダガーは何故か搭乗不可である。
    • いくつかのユニットはステータス画面のアビリティと実際の能力が噛み合っていない。
      • ミネルバは原作通りに水上適性を持っていて実際に水上移動もできるのだが、アビリティ欄には記載されていない。
      • 逆にプロヴィデンスはステータス画面では「ビームシールド防御可能」となっているが、原作設定でプロヴィデンスが装備しているのはアンチビームシールドであってビームシールドではなく、そもそもゲーム中では防御そのものができない
    • また、何人かのキャラクターが原作を見れば首を傾げるような性格に設定されている。
      • 例を挙げると、シン・アスカが何故か「冷静」でレイ・ザ・バレルが「強気」と、どう見ても逆に設定されている。なお、後のシリーズではシンは「激情」、レイは「冷静」になっている。
  • ハロスコアが鬼畜。
    • 前述の通り敵を倒していくことで少しずつ加算されていくのだが、ハロスコアの基準が敵に与えた総ダメージ数のため、普通に敵を倒しているだけではせいぜいブロンズかシルバーが精一杯。最高ランクであるプラチナにするにはマスターユニットによる多数の援護や超強気によるクリティカルヒットを用いた「援護攻撃によるオーバーキル」を連発しなければならない。MAP兵器で倒した場合はスコアが増えず、さらに戦艦を撃沈され白旗を揚げている機体は撃墜してもほとんどスコアが加算されない。
    • このため、ハロスコアを重視すると「雑魚に至るまで全ての敵ユニットに対して、自軍数ユニットによる支援攻撃を敢行、最大HPの10倍ものダメージを与えて最高得点を得る」という徒労じみた作業が必要になる。
      • これはクリア時の資金獲得・後述のパーツ獲得・成長といった、通常プレイ上での有利・不利という要素に直接関わってくるため、さほど効率を重視しないとしても基本的にこのプレイスタイルはほぼ強制である。もちろん敵ユニットの捕獲といった従来の楽しみ方にも相反するプレイスタイルでもあるため、プレイヤーの精神的苦痛やストレスの元となったのは言うまでもない。
      • さらに、そんな精神的苦痛を助長するかのようにハロスコアを獲得するたびにいちいちスコアが加算されていく演出が挟まれ、「ハロッ」「ハロッ」というハロの声が鳴り響くのもマイナス。シナリオクリア時にも挿入されるため、場面によっては余韻が台無しになることすらあった。
    • オプションパーツの入手にもハロスコアが関与。下位のハロランクしか取れないプレイヤーは、いつまでたっても低性能なパーツしか獲得できない。
      • さらに、「高ランクでクリアすれば、他ランクのパーツも入手できる」といった仕様もないため、全て入手するには全部のランクでクリアしなければならない。
      • どのパーツが入手できるかはランダムな上に、入手済パーツと未入手パーツが区別されておらず一度入手したパーツが普通に出る。ダブると破棄されるが、散々苦労してプラチナランクを取った挙げ句ダブったパーツが出たときの虚脱感は筆舌に尽くしがたい。
    • とどめがユニットの成長にもたらすハロスコアの適用の悪弊である。ユニットはレベルアップするたびに各能力にアビリティポイントを割り振り、各ポイントが10に達した時、初めて各能力が成長する。
      • しかし、ハロランクがノーマルやブロンズといった低評価の場合、2~3LVUPごとに能力成長なのに対し、ハロランクがゴールドやプラチナの場合、アビリティポイントは1LVUPで2回近く能力成長という数値になる。
      • つまり、ステージの序盤で十分なハロスコアが溜まっていない状態で敵を倒し、レベルアップしてしまうと、能力の成長が低くなってしまう。そして、レベルアップ以外にアビリティポイントを獲得できる方法がないので、成長が遅くなるわけではなく、成長の上限が低くなる。これはあとで挽回できる問題でもない。
      • かといって、強いユニットにしたいと思えば、前述の理由からハロランクがゴールドやプラチナの状態の時にレベルアップしなければならないのだが、そんな状態はステージの敵ユニットのほとんどを常時最大数の味方ユニットで支援したマスターユニットで撃墜する(捕獲不可)という条件を満たした上で、さらに特定のステージ終盤でしか実現しないようなスコア設定になっている。
  • BGMは概ね『F』の流用で、新たにシナリオが収録された『SEED』などのBGMも、ほとんどが『F』同様にアレンジが加わったものになっている。
    • このため、『NEO』『GジェネSEED』などの過去作で原曲に忠実なアレンジがなされていたBGMでも、本作では音を外したアレンジ版が収録されていたりする。
  • コズミック・イラ作品から多数の機体が加わった一方で、『THE BLUE DESTINY』『センチネル』『閃光のハサウェイ』『クロスボーン』を除くゲーム、漫画、小説作品に登場する機体やキャラクターはほとんど登場しない。『MSV』系統は削られた機体が少ないのが救いかもしれない。
  • 収録シナリオはテレビ放送・劇場版・OVAといった映像化作品に絞られており、各ステージ数も『F』に比べると減少している。
    • あくまで『W』の後日談という位置付けのためか、OVA『Endless Waltz』のシナリオも未収録になっている。
    • 幸い、初の本格参戦となった『∀』『SEED』『DESTINY』に関しては、比較的多くのステージが用意されている。

総評

携帯機で初めて出された原作再現系のGジェネ。
新たに追加された各作品の演出は良好で、Gジェネらしさもしっかり保っているものの、色々と粗の目立つ作品となっている。
編成画面の面倒さは過去作と比べても劣化した点であり、携帯機であることと発売時期を考慮しても、全体的な読み込み・ロード時間の長さも無視できない。
そして新たに登場した「ハロスコア」はシリーズ中でも最悪といっていいシステムであり、快適なゲームプレイを期待できないのは残念なところ。
しかし本作は『F』のシステムをほぼそのまま採用した最後のGジェネであるため、『SEED』シリーズなどが入った『F』らしいGジェネをしたい方はやってみてはいかがだろうか。

余談

  • 前述のように、『∀』までのユニットやキャラクターのデータの殆どは『F』からの流用であるのだが、内部データには未使用となった没ユニット・没キャラクターのデータが大量に存在する。中には『G-UNIT』といった本作未参戦の作品も混ざっている。
    • 改造ツールを使えば殆どの没ユニットは使用可能で、戦闘アニメも『F』と同じものが確認可能。没キャラクターもボイスや顔グラは無いが、戦闘用の台詞テキストはきちんと用意されている。このため、本作の収録ユニット・キャラクター数は実は裏の方でとんでも無い事になっている。

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最終更新:2024年02月25日 02:17

*1 通常は2体までだが、マスターユニットは6体まで。さらにゲストユニットからの援護も受けられる。

*2 例外として、ロウ・ギュールのカットインは『GENERATION of C.E.』のアニメをそのまま流用しており、派手な動きが見られる。

*3 ゲーム上の進行の都合かと思われる。ちなみに原作アニメや後に放送されたHDリマスター版でも、ストライクの残骸が映るカットはある。