機動戦士ガンダムSEED DESTINY GENERATION of C.E.
【きどうせんしがんだむしーど ですてぃにー じぇねれーしょん おぶ しーいー】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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バンダイ
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開発元
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トムクリエイト
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発売日
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2005年8月25日
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定価
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6,800円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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リアル頭身で動くユニット 発売が見切り発車だった オリジナルBGMや一部演出は高評価 IFシナリオも見所
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SDガンダム Gジェネレーションシリーズリンク
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概要
ゲーム内容
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ベーシックなSLG
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ステージごとに出撃するMSとそれに搭乗するパイロットを選択する。
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キャラクターは戦闘を行っていくことでレベルアップしていく。
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ストーリー内容
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ストーリーは『SEED』全編と『DESTINY』の中盤までに加えて、『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』の一部を収録。
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キャラクターとユニットは『ガンダムSEED-MSV』の他に『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY』のジェス・リブルとカイト・マディガン、アウトフレームも登場している。
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『DESTINY』中盤以降は発売時期の関係上、今作オリジナルのIFストーリーが展開される。
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戦闘システム
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バーストゲージ
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戦闘中に徐々に溜まっていき、消費することで大ダメージを与える「バーストアタック」や様々な効果を持つ「パーソナルアクション」を行うことが可能。
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レンジタイプシステム
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近・中・遠の3タイプがあり、近⇒中⇒遠⇒近の3すくみ相性がある。有利なほうに命中率などが補正される。
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SEEDセンス
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戦闘アニメ中に「SEEDセンス」と表示され、規定時間以内に指定されたボタンを押すように表示される。
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成功した場合、防御力や命中率など様々な補正を受けることができる。
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機体改造システム
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ステージをクリアするとTPというポイントが入り、このポイントを消費してMSをパワーアップさせることが可能。
評価点
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リアル頭身で動き回るユニット
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かなり細かく動くためアニメ本編のような棒立ちという印象はない。モデリングも悪くなく、トゥーンレンダリングになっているため本編との乖離も少ない。
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『GジェネNEO』のスペシャルアタックに相当するバーストアタックでは、派手に動き回って連続攻撃を繰り出すなど見応えがある。
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多くはゲームオリジナルのアクションで連携を組まれているが、原作のアクションを部分的に取り入れた機体も存在しており、概ね派手さやケレン味を優先した構成になっている。
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後述するデスティニーのバーストアタックなど、一部は他作品に影響を与えるほど迫力がある演出も見られる。
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キャラクターカットインも『SEED』のものは『GジェネSEED』から流用されているが、それ以外は一部新規に作成されている。
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完成度の高いCGムービー
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『DESTINY』の主題歌である『ignited-イグナイテッド-』と共に流れるOPや作中の要所要所を再現したムービーでは機体がよく動き、書籍作品の『ASTRAY』シリーズも2つの名場面がボイス付きで動画化されている。
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一方でフォースシルエット無しにも拘わらず異常な跳躍を見せて上空の敵機の背後を取り地表まで蹴り飛ばす他、スクランブル発進した場面でありながらも悠長に合体するインパルスガンダムなど、原作から乖離している箇所も存在。
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マニアックな収録機体・パイロット
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アニメ本編から外伝作やMSVに登場するマイナー・マニアックな機体、そしてそれらの搭乗パイロット達も細かく収録している。
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特に『ASTRAY』シリーズやMSV関連は充実しており、SEEDファンでも『ASTRAY』やMSVをあまり詳しく知らない、とっつきにくい層に対しても興味が持てる内容となっている。パイロットとしては僅かに活躍したのみのリーアムや、当時は1話のみの登場であったヴェイアも使用出来る。しかもヴェイアには専用BGM付き。
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原作ではまだ登場前だったデスティニーガンダムとストライクフリーダムガンダムも先行登場している。
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なお、先行登場ということで設定や演出が定まっていなかったためか、パルマ・フィオキーナが中距離での射撃武装になっているなど、現在とは異なる描写も見られる。
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モデルを使い回せる関係からか、ルナマリア専用ブレイズザクウォーリアやレイ専用スラッシュザクファントムなど、他の作品ではあまり見られないオリジナルのザクも登場する。
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戦艦の艦長であるマリューやタリア、さらには本編にて前線で戦わなかったデュランダルやジブリール、ミーアなどもパイロットとして使用可能。
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『SEED』編におけるプロローグとエピローグ
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本作では各マップの開始時と終了時にそれぞれ事の経緯を語るデモが挿入されるが、『SEED』編(SEED本編+MSVの再現ステージ)ではそれぞれの面に深い関わりを持つキャラクターの独白と言う形で行われている。当然のように、全て担当声優によるフルボイス。中には死を迎える直前のキャラクターによる辞世の句というパターンもある。
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担当キャラクターがマップ中で戦死した場合は例外的にエピローグがカットされる。これも演出の一環であろう。
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作品間の繋がりを拾った面構成
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『SEED』の再現ステージでは中盤以降からMSVに登場した機体とキャラクターも出現して密度を高めている他、あるステージでは『DESTINY』から登場したとあるキャラクターがプロローグ、エピローグのデモ担当となっている。
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『ASTRAY』の再現ステージにもときた洸一版(漫画版無印)とASTRAY B(小説版)にて並行して行われていた戦いを同時に体験する面が存在。
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IFシナリオ
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全10ステージが枝分かれ状に繋がるルート制となっており、各ステージでの行動に応じて次のステージとシナリオが決まる。シンとキラが和解するルートもあれば徹底的に抗戦するルートもあるなど、様々なシナリオが存在。中には番組前半(インパルス)、後半(デスティニー)の主人公機が激突するガンダムシリーズ全体でも珍しい構図も見られる。
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ただし、中にはキラやラクスが撃墜されて死亡したり、ネオ・ジェネシスが地球へ向けて放たれるなど過激な展開も用意されている。そもそもエンディング6種の内5種類が手放しで喜べないバッドに近いエンディング、或いはバッドエンディングとなっている。ある意味で一見の価値はあるが。
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1つあるグッドエンドも前作『SEED』の最終決戦の焼き直し感が強く、ゲーム中でこれを皮肉るキャラもいる。また、ストライクフリーダム&ジャスティスやデスティニーが部隊を率いるラスボスとして登場するルートもあるが性能面で劇的に強い訳でも無く、別のルートではラスボスにあたる機体自体がいないのでゲーム的にもどうもパッとしない。ただし、デスティニーが率いる部隊はとある機体で占められており、初見では強いインパクトを与えられる。
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『DESTINY』本編の結末がシンの敗北に終わっている為、曲がりなりにも終始シンが主人公をしている今作のIFストーリーのほうがマシという声もある。戦いを通じてシンの思考に変化が生じ成長するグッドエンドに限れば、原作より良いと言えなくもない。
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ただし前述の通り、殆どの結末は主人公の勝利エンドとは思えないほどの凄惨なものではある。基本的にシンの勝利=原作の黒幕である議長の勝利なので、ある意味当然ではあるのだが。
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ちなみにザフトが地球連合軍に敗北するエンディングを用意している本作でも、流石に主人公の敗北までは想定出来なかったのか、ステージクリア後のエンディングは全てシンの勝利として終わっている。
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ストーリーの展開上、連邦軍・オーブ軍に加えて『DESTINY』編ではザフト軍とも交戦出来るマップが存在する。
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エンディングの簡易ネタバレ
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①ザフト完全勝利エンド(地球にネオジェネシスが向けられて終わるバッドエンド。ある意味原作最終決戦の議長勝利エンドとも言える)
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②両軍和解エンド(唯一のグッドエンドと呼べるもの。ただし内容は完全に前作SEEDの焼き直し)
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③プラント全滅エンド(↑のステージミッション失敗その1。勿論バッドエンド)
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④地球滅亡エンド1(↑↑のステージミッション失敗その2。勿論バッドエンド)
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⑤地球滅亡エンド2(こちらはれっきとしたステージクリア。勿論バッドエンドだが展開は原作のダイダロス基地攻略戦に似通っている)
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⑥戦争長期化エンド(限りなくバッドに近いエンド。主要キャラの殆どが死亡している為『俺たちの戦いはこれからだEND』とはまるで空気が違う)
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①と⑥をバッド扱いするかどうかは個人の解釈次第ではあるが、お世辞にも平和とは言い難く爽快感のあるエンディングとは呼べないのは確か。
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問題点
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『DESTINY』と『DESTINY ASTRAY』のシナリオや収録ユニットが中途半端
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『DESTINY』放映途中で発売されたため、原作再現のシナリオは中盤まで。『DESTINY ASTRAY』に関しても物語前半の南アメリカ独立戦争編の途中で終了している。
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この都合上、未収録になったりオミットされた要素が多い。先行参戦ではないはずのデストロイガンダムも、本作ではMS形態のみとなっている。
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連合のMS・MAではユークリッドが、ザフトはレジェンドガンダム、グフイグナイテッド量産型、アッシュ、バビが未登場。
そして三隻同盟はアカツキ、インフィニットジャスティスガンダム、ドムトルーパーが未登場である。
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一応、IFシナリオではインフィニットジャスティスの代わりにジャスティスガンダムが登場している。
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この他、『ASTRAY X』も物語前半のみの再現となっているが区切りの良いところで終わっており、後半はSLG向きの大規模な戦闘が無い事を考えると止むを得ないか。機体はドレッドノートとハイペリオン1号機に加えて後半に登場したXアストレイも使用可能な他、ドレッドノートとハイペリオンの最初の戦闘を再現したCGムービーも存在するので、どちらかと言えば優遇されている方ではある。
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戦闘バランスが原作と乖離している
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原作での戦闘はエースパイロットの無双シーンが中心だが、今作は良くも悪くも普通のSLGのバランス。
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そのため、エースパイロットが雑魚敵に何度も攻撃するシーンを見ることになり、原作と印象が全く逆になってしまっている。
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特定のユニットに限り、成長する事で特定のレンジに存在する2機の敵機へ同時に攻撃可能となるスキルを習得するため、エースになり得るパイロットは突き抜けた才覚を持つという演出自体は存在する。特にキラ、アスラン、シンの主役3人はあらゆるレンジで同時攻撃が可能となるため、他のパイロットよりも高い攻撃性能を持っている。
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戦艦が補給艦でしかない
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戦艦にはMAP兵器しかない。移動すると使用できない上に、ミサイル系の武器は着弾点がランダムであるため全く使えない。
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結局戦艦の役割はMSの補給修理か、敵の攻撃から自軍を守る盾しかない。
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改造システム
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自軍ユニットのステータスの平均に応じて敵ユニットも強化されるため、強化する意義を感じにくい。
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エースユニット1機にだけ強化を集中し、残りのユニットは無強化で出撃させれば強化の恩恵に与れる。
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バーストアタックの演出格差
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本作の目玉とも言えるバーストアタックだが、デュエルガンダムやアストレイブルーフレームのように換装形態別に演出が変化したり、一部の機体は自分と相手の位置する地形に応じて行動の細部が変化する一方で、機体によっては行動内容が通常攻撃の使いまわしだったり、そもそもバーストアタックが存在しなかったりする。ストライクガンダム系の演出が使い回しな一方でジンにはバリエーション毎に差別化が図られていたりするなど選出基準も不明。
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ビームライフルやバズーカなどの射撃武器を連射するアクションがある場合、相手側は1発ずつ被弾しよろめく演出が入るためその部分だけテンポが悪くなる。マシンガンやバルカン、ミサイルなどの連射は問題ないのだが。
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格闘攻撃に関しても、派手な連続攻撃を行う機体がいる一方で、近づいて一撃だけ加えて終了するものもあり、これらはかなり味気なく感じられる。最低でも射撃からの連携で構成するか、格闘オンリーなら二撃以上加える形で統一するなどの工夫が欲しかったところである。
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敵対ユニットの獲得が面倒
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基本的には作中で主人公に味方したパイロットや機体は自軍ユニットとして加入し、以後各ステージの自由枠で出撃させられるようになる。一方で敵対ユニットの獲得は全体的に面倒臭く、一部の敵対機体は撃破した際にドロップが発生すれば獲得、そうでない機体とパイロットはIFシナリオを1度通しでクリアした後に特定ステージをもう一度クリアする事で獲得と、周回を強いる仕様である。これにより、ただシナリオを進めているだけだと『DESTINY』編やその戦力を引き継ぐIFシナリオ一周目では部隊編成の自由度がかなり低くなる。
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なお、『SEED』編では『SEED』とそのMSVのマップが交互に展開されるため、シナリオクリア報酬だけでも獲得出来るユニットの種類はやや多い。ソードカラミティやロンド・ギナ・サハクも強制的に入手出来てしまう。
総評
ビジュアル面において、リアル頭身でMSの迫力のある動きを見ることができるという点が大きなポイント。
しかし、シミュレーションゲームとしては原作寄りかゲームバランスかでどっちつかずになり、シナリオ面での中途半端さはどうしようもないところでもある。
一応オリジナルシナリオの結末部分に関しては、中途半端というよりも悪い意味で突き抜けていると言えるが、そこに魅力を持てるかは微妙なところか。
結局は『SEED』シリーズの関連グッズの1つとして、MSの大胆なアクションが好きな人や熱心なシリーズのファンなら手にとってもよい、という程度だろう。
余談
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本作のデスティニーガンダムのバーストアタックの演出は、「ビームライフル連射→パルマ・フィオキーナ発射→長距離ビーム砲発射→ビームブーメランを投擲して抜刀しつつ敵に突進(→各射撃が敵に当たる)→ビームソード突き刺し→宙返りからのパルマ・フィオキーナ接射でトドメ」となっている。
バルカン以外の装備を全て活用しつつ、アニメでも印象的な「ビームソード突き刺し」や「パルマ・フィオキーナ接射」も取り入れた、派手さと原作要素を兼ね揃えた構成と言えよう。
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この構成は『スーパーロボット大戦シリーズ』に参戦したデスティニーガンダムの必殺技としてしばしば採用されており、技名こそ違えど本作を参考にした演出と思われる。
最終更新:2023年04月08日 03:04