武装神姫バトルマスターズ Mk.2

【ぶそうしんきばとるますたーず まーくつー】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 ピラミッド
発売日 2011年9月22日
定価 UMD版:5,800円
DL版:4,800円
特別版: 19,800円
(限定フィギュア2セット+素体1体同梱)
特別版コンプリートセット: 22,300円
(限定フィギュア2セット+素体2体+同日発売サントラ同梱)
判定 なし
ポイント 改善点に比例するかのような改悪点の数々
依然として良ゲーには遠い
武装神姫シリーズ
BATTLE RONDO / バトルマスターズ / バトルマスターズ Mk.2 / バトルコンダクター


概要

  • 武装神姫バトルマスターズ』の約1年後に発売されたアッパーバージョン。データ引継ぎ可。基本システムに変更は無いので、まずは前作のページを参照されたし。
    • キャラクターやパーツの追加、ゲームバランスの一部見直しなどにより、完成度も高まっている…はず、だったのだが…。

変更点

戦闘システム

  • 2種類の新武器をはじめパーツを大幅に追加。パーツのランクも、前作の5から7へ引き上げ。
  • 新要素の追加、バランスの見直し。
    • 威力や弾数の増加といった恩恵が得られる、「強化アビリティ」を武器に追加。
    • 神姫自身にも武器アビリティの強弱が設定され、個性が強化されている。
      • 前作では神姫の微妙なステータスの差はほとんど装備で補えてしまい、基本的には声と外見が違うだけで、個性は無いに等しかった。
    • 格闘武器では「ナックル」「大剣」といった強武器の弱体化、「小剣」へのガード崩し付与など弱武器の強化が行われた。
    • 射撃武器は「手動リロード」、更に一部に「手動照準」を追加。使い勝手が向上した。
    • 相手の攻撃のタイミングに合わせてガードする事でダメージを無効化する「ジャストガード」が追加。ガードの重要性が増した。
    • 無敵時間を伴う回避「ターン」の無敵時間短縮による大幅弱体化。前作ではほぼノーリスクで永久に無敵だったため。
    • 「レールアクション(RA)」の新技追加、空中発動の追加、一部仕様変更。前作の「無制限にRAが使えるバグ」も修正。
  • 敵のAIが全体的に強化され、ある程度計画的な攻略も要求される場面がでてきた。
  • NPCとの戦闘前会話スキップ機能に加え、経験値稼ぎを効率よくするためのアイテムもクリア特典として登場。
  • その他、自分のSPや相手との間合いが戦闘中に数値化されるようになるなど、今まで何故無かったのか分からない欠点も改善されている。

アドベンチャーシステム

  • 操作キャラクター=神姫が5体追加、前作に加えて全15体になった。ゲームオリジナルの隠しキャラも3体追加。
    • DLC神姫も8体が倍増して全16体、前作に無かった個別シナリオも配信されている。
      + パッケージ追加神姫
    • セイレーン型 エウクランテ(声:加藤英美里 デザイン:間垣亮太)
      • 真面目で時折融通が利かず、正義感が強くおせっかい焼きな正統派ヒロイン風気質。
    • マーメイド型 イーアネイラ(声:井上麻里奈 デザイン:間垣亮太)
      • あらあらうふふ系の掴みどころのない、しかし怒らせると怖いお姉さんキャラ。
      • デザイナーの趣味を全開にした、フィギュア版でも群を抜くほどの「ある部分」の大きさが特徴。
    • サンタ型 ツガル(声:釘宮理恵 デザイン:GOLI)
      • 声優補正もあいまってツンデレに見えがちだが、実は背伸びしているだけの年少系。
      • 元々は同じコナミの「beatmania」シリーズとのタイアップ企画で神姫化された同作のキャラクター。
    • モトレーサー型 エストリル(声:伊瀬茉莉也 デザイン:黒星紅白・柳瀬敬之)
      • 天真爛漫な元気っ子だが、レーサー機を元に制作されたためかとにかく「速さ」に拘る。語尾は「~っしょ」。
      • 現実のフィギュア発売に先駆けてゲーム登場したが、その後のシリーズの縮小でフィギュア販売はお蔵入りとなった。
    • クルーザー型 ジルリバーズ(声:日笠陽子 デザイン:黒星紅白・柳瀬敬之)
      • クルーザーバイクが元のためかクールで時として辛辣、勝利に対して非情に貪欲で若干ダーティーな思考も持つ。
      • こちらもエストリル同様にフィギュア販売はお蔵入りとなった。
    • 以上の性格設定はプレイヤーキャラクターとしてのもの。
    • + DLC神姫
    • エレキギター型 ベイビーラズ(声:平野綾 デザイン:CHOCO)
      • 非情にロックな口の利き方と考え方が特徴の、ロックに拘るお子様。語尾は「~じゃん」。
    • ヴァイオリン型 紗羅檀(しゃらたん、声:高垣彩陽 デザイン:CHOCO)
      • 上品で落ち着いているものの、少々世間ずれしたお嬢様風。
    • 九尾の狐型 蓮華(れんげ、声:金田朋子 デザイン:いづなよしつね)
      • 自分を神の使いと思い込んでいるのじゃロリ。声優の熱演(いわゆる「金朋地獄」)は必聴。
    • 地獄の番犬型 ガブリーヌ(声:小林ゆう デザイン:いづなよしつね)
      • 自分を地獄の番犬と思い込んでいる口の悪い暴れん坊ロリ。
    • 鷲型 ラプティアス(声:遠藤綾 デザイン:かこいかずひこ)
      • 高貴さと秘めた情熱が同居する、スポ根マンガに出てくるお嬢様然とした神姫。
    • 山猫型 アーティル(声:中原麻衣 デザイン:かこいかずひこ)
      • どんな困難も根性で乗り切ろうとする熱いハートを持つ、スポ根マンガの主人公のような神姫。
    • ケンタウロス型 プロキシマ(声:朴璐美 デザイン:NiΘ)
      • 凛とした雰囲気を持つ、王子様のような気質の僕っ娘。
    • テンタクルス型 マリーセレス(声:桑谷夏子 デザイン:NiΘ)
      • 淑女的な表層とサディスティックな性格を併せ持つ小悪魔敵性格の持ち主。
    • 戦闘機型 飛鳥(声:藤田咲 デザイン:島田フミカネ)
      • 奥ゆかしさと凛々しさが目を引く大和撫子。個別シナリオがとかく超展開で初見では混乱する。
    • 戦車型 ムルメルティア(声:浅野真澄 デザイン:島田フミカネ)
      • 厳格な性格と古参兵の風格が目を引く軍人的な性格。元傭兵部隊長と自分で言い張る。
    • 花型 ジルダリア(声:小林沙苗 デザイン:OKAMA)
      • ノリが軽く面倒くさがりなマイペースなお姉さん。
    • 種型 ジュビジー(声:名塚佳織 デザイン:OKAMA)
      • 非情に素直で純情で可愛らしく、愛を与えて育てたい天使。
    • ビックバイパー型 ヴェルヴィエッタ(声:明坂聡美 デザイン:明貴美加)
      • マスターに反抗的で、辛辣な言葉も頻繁に口にする「上級者向け妹」。
      • 同じコナミの「グラディウス」シリーズに登場する宇宙戦闘機ビックバイパーを元にした神姫。
    • ビックバイパー型 リルビエート(声:井口裕香 デザイン:明貴美加)
      • 元気で可愛らしい「典型的な妹」……のはずだが、プレイヤーキャラ個体は低確率で混ざる別性格の個体。
      • 同じコナミの「グラディウス」シリーズに登場する宇宙戦闘機ロードブリティッシュを元にした神姫。
    • 剣士型 オールベルン(声:悠木碧 デザイン:島田フミカネ)
      • 剣士型の白鳥の方。何事も真剣に向き合いそつなくこなす、優等生タイプのお姉さん。
    • 剣士型 ジールベルン(声:竹達彩奈 デザイン:島田フミカネ)
      • 剣士型の黒鳥の方。最低限しか人と触れ合わずそこか機械的に感じるが、実は感情表現が苦手なだけ。
    • アーンヴァルMk.2(黒)
      • 上記のDLC神姫と異なり、DLC配信アニメ「Moon Angel」の全話購入特典。
      • 通常型のアーンヴァルと個別シナリオは共通だが、性能や選択時ボイスなどが微妙に異なる。
    • 以上の性格設定はプレイヤーキャラクターとしてのもの。
    • + 隠し神姫・ネタバレ注意
    • ブラックドラゴン型 ジャスティス(声:久川綾 デザイン:新川洋司)
    • ミミック(声:喜多村英梨 デザイン:新川洋司)
    • 強化ミミック(声:喜多村英梨 デザイン:新川洋司)
      • 以上の三体は2周目における特典的な存在である。
    • 本作では髪・瞳の両方とも3色から個別に選ぶことができ、購入後も髪・瞳・名前を変更出来る。
    • 前作では天使型アーンヴァルのみだった、最初に選択できる神姫も4体追加。
  • 前作ラストから続くメインシナリオを追加、これに伴いNPCもか増えた。前作で印象的だった個性豊か過ぎて変人すぎるNPCも増加し、各神姫の担当声優も多彩かつ奇矯な役を怪演する。
    • 前述の武装ランク開放のためのLOVE(レベル)も20から30へとキャップを開放。個別シナリオも追加されている。
    • バトルを有利にする要素は全く無いが、さらに255までレベルアップ可能。やりこみが愛になる。

その他

  • やりこみ要素のひとつとして用意されていた「称号」も大幅に追加。
  • フレンドカードシステムの追加。自身と神姫のペアを、フレンドカードとして対戦相手に渡せる。
    • フレンドカードを受け取った相手はこれをNPCとして戦うことができ、登場時の台詞は配布者が設定できる。
  • 神姫のモデリングが若干修正されて可愛くなっている。
  • オープニングムービーをアニメで追加。前作のボーカル曲はタイトル画面とエンディングで流れるだけだった。
    • ダンバイン、エルガイム 、ヨドバシカメラ などで知られるベテランの女性アニソン歌手MIQ氏(旧・MIO)をオープニングのボーカル曲に起用、
      サイバーフォーミュラ、ガンダムSEEDなどで知られる福田己津央氏がオープニングムービーのコンテ・監修を務めるなど、豪華なメンバーも名を連ねている。
  • 前作最大の問題点とさえ言われたUMD版のロード時間は、データインストール機能対応により、DL版と遜色ない速度まで向上した。
    • あくまで「UMD版の」である。ロードの頻度と速度は前作DL版から変化は無く、やはり多め・長めな傾向ではある。

評価点

ゲームシステム改良

  • ロード速度向上とバランス調整による快適化、フレンドカードの追加など、一人でも複数でも楽しめるように調整されている。
    • 特にフレンドカードは「神姫はオーナーごとに性格が異なる」という武装神姫の共通設定が生き、個性豊かなNPCにもなりきれる、良好なシステムと言える。

アドベンチャーパート増強

  • 前作発売後も武装神姫シリーズは60体近くにまで増えているが、本作はDLCを入れれば全31体、半数近くがゲームに登場している。
    • ゲームオリジナルの神姫がメインシナリオのキーパーソンとして登場し、独自色も見せている。
    • 前作にあった「フィギュア発売前の神姫がゲームに登場する」という要素も損なわれていない。
    • キャラクターが増えても声優は相変わらず豪華。

問題点

新たなゲームバランスの問題点

  • 武装ランクの最大が5から7に上がり、固有レールアクション(以下固有RA)もランク7のみに使えるEXと名の付いた強化バージョンが使えるようになった。
    • 大体はモーション追加、ダメージ増加、ヒット数増加、方向転換追加等通常とは全く違った性能になっているのが多い。なのだがそれが非常に扱いづらく、EXというにはどうにも微妙な感じ。固有RAは特に制限なしに使えるのだが、EXはなぜかライドレシオがMAXにならないと使用できないという訳のわからない仕様になっている。それを含めても実用性の高い固有RAEXももちろんあるが、中にはあまりにも微妙な変化で逆に使いにくくなったのもある。
    • 何よりも疑問なのはEXを使えるランク7やその前のランク6で通常の固有RAを使えないところにある。このせいで使いにくくなったEXを使いたくなければ低ランクの武装を装備せざるを得なくなってしまう(そのぶん空いたところに高ランクの武装を詰め込みやすいという考えもあるが、必要武装が多い神姫にとっては慰めにもなりゃしない)。
      + その一例
      + 忍者型 フブキ:無双手裏剣EX
    • 通常は真上に高く飛び上がり16Hitする手裏剣を投げつけるRAなのだが、EX版では手裏剣を三回投げて移動→もう一度手裏剣を3回投げて16Hitする手裏剣を投げつける物になった。
    • このせいで通常と同じような使い方が全くできない上に、追加されたモーションにはガードも糞も無いのではっきり言って死んでいる。
    • そもそもフブキ型は純正武装の性能が低く通常でも補うためのカスタマイズに悩まされていたのだが、EXの場合余計に必要な武装が増えててどうしようもなくなっている。
    • + セイレーン型 エウクランテ:グライドオンプレステイルEX
    • 通常はいわゆる武装を乗り物に変形させて突進するものなのだが、エウクランテのは突進距離があまり長くないらしく、なのに発動時飛び上がるためぎりぎり届かないということが割とよくある。
    • そしてEXでは何故かノーマルショットガン(しかもランク6)が必要武装となってしまう。そして突進モーションの前に射撃の連射をし、そして移動して飛び上がり突進と言う流れになった。
    • この突進に移るまでの移動にはガードがないため、はっきり言って使いづらい。一応近接ACからならばそのまま突進するが、それじゃあなんでショットガンなんか持たせて余計なモーションを追加したのか。
    • しかもこいつは通常の固有RAのランクが他の神姫と違う3となっている。そのせいでEXが使えないからといって低ランクの武装で妥協するなんてとても出来ず、固有RAを無視したカスタマイズをせざるを得なくなってしまう。
    • + エレキギター型 ベイビーラズ:We Will Rock Y☆EX
    • とてつもないボッタクリ価格のDLCキャラもいくつか冷遇されているのがいる。こいつは前作では使いにくかった固有RAが今作では強化され非常に実用性の高いものとなった。
    • だがEX版は移動して音符を飛ばす攻撃を2回ほど行ってから通常と同じ攻撃…という風にモーションが変わっており正直使えたもんじゃなくなった。
    • エウクランテと同じく近接ACから使えば通常と同じように使えるが、ダメージはかなり落ちてしまいEXを使う意味がない。
    • ベイビーラズの武装はどうにも頼りない性能だが、これならいっそ防御力は完全に捨ててランク5+αのカスタマイズをしたほうがマシである。
    • また、通常もEXも相変わらず判定が弱くてコンボに繋ぎづらく劣化ラプティアスな性能のハウリンや、必要武装は減ったが結局死に技でしか無いゼルノグラードあたりも悲しみを背負っている。
    • 基本的に射撃系のRAはどれもEX化で使いづらくなっている傾向にある。
    • 固有レールアクションとは関係がないが、同じく新しく追加された2種類の武装のRAを合わせたダブルレールアクションもある。しかしこれもほとんどがコンボにならないなど、ぶっちゃけ追加する必要があったのかと疑問に思わざるを得ない。
    • 戦術などでどうこうなるレベルのものではないため、あまりに酷い待遇差であるといえる。
      というよりキャラゲーでキャラの最大の特徴である固有RAが産廃というのは…

悪化したシステム

  • 前作でも使い勝手が良いとは言えないUIだったが、本作の追加要素のせいで悪化している。
    • 戦闘の大半を占める「ゲームセンター」ではフレンドカードのNPCとも戦えるのだが、ゲーム固有NPC/フレンドカードNPCとの対戦区分を選択→リストからNPCを選択…という手順を取らなければいけない。
    • NPCとの対戦後は対戦区分の選択まで戻され、リストのカーソルもリセットされてしまい、「特定のNPCからパーツを入荷させるまで連戦する」作業が煩雑化する。前作からNPCが増えているのに、リストの並び替え・絞り込みといった機能も無いまま。
    • カスタマイズ画面とショップのパーツ一覧でも、カテゴリによる絞り込み、名前や性能による並び替え以外の操作ができないまま。下位から上位のランクまで様々なパーツが追加されているため、パーツ管理の手間も比例して増えている。
      • 武器のカテゴリは大分類から小分類に分けられるが、武器のカテゴリの絞込みも大分類でしかできないまま。
        「ヘビーガン」は前作で最大の小分類4種を抱えていたが、更に本作の新武器2種も追加されて合計6種に。「ガトリング」「ランチャー」「ショットガン」「バズーカ」「粒子ブラスター*1」「浮遊機雷」という統一感のないカテゴリ*2となっており、パーツ数も150近くとダントツで多く*3、パーツ探しには根気が要る。
  • 前作にあった「称号の獲得率」「カテゴリ内の全パーツを集めた称号」が廃止されている。
    • 全ての称号を獲得するとNPC固有のレールアクション全種を自分で使用できる、という隠し要素が前作にあったのだが、本作ではパーツを集める称号はカテゴリ内の9割程度までに条件が緩和され、RAは特定の称号と同時に少しずつ獲得できるように仕様が変更されている。
      しかし称号とパーツを本当の意味でコンプリートできたか確認できないため、やり込みユーザーには決して優しくない。
  • メインシナリオの中盤、いかにもザコっぽい無機的な神姫(正確には神姫とは違うものらしいが)「ミミック」が登場。演出のため全体マップ移動時にランダムで乱入し、強制戦闘を仕掛けてくる。
    • 登場時、いちいちフルボイスで「ううぅぅぅぅきゃあぁぁぁぁぁっ!!」と叫ぶ。
    • どんな時でも乱入してくるので、「セーブしに自宅まで戻ろうと思ったらミミック」「ゲームセンターに行こうと思ったらミミック」「通信対戦の準備をしようと思ったらミミック」挙句には「ミミックとの戦闘後に施設を出入りしたらまたミミック」という状況も起こり得る。
    • 勝利すると、通常通りの経験値・資金の入手に加え、ミミック装備の未入荷パーツが必ず入荷し*4、クリア後は隠しキャラの解禁条件にもなるなど、メリットが無いわけではない。
      しかし、いくらやり込んでもミミックの乱入を止められないので、叫び声や乱入のタイミングと頻度のせいでストレスが溜まり、最終的にはデメリットになる。
    • 敗北したらゲームオーバーかと思わせる台詞で不安を煽る一方、実際には敗北しても自宅に送り返されるだけで、デメリットはほとんど無い。しかしそれが分かるのは、実際に敗北してみるか、シナリオ終盤である人物が教えてくれた後である。もっと早く言え。

完成度の低いシナリオ

  • 違法プレイヤーが小遣い稼ぎを目的に他人の神姫を改造、暴走・爆発させるという、非人道的とも取れる賛否両論な展開が前作にもあったが…
    • 前作では違法プレイヤーの溜まり場になっていた裏バトル会場を警察が摘発して事態を終息させたのに、本作の追加シナリオの発端は「また」神姫の爆発事故。
      前作の悪戯半分の爆発事故とは違い、本作の事故はある特定の人物数名の殺害を目的とした「事件」であることも後に明らかになる。
      • しかも殺害は標的全員分が完遂されてしまう。前作の事故では神姫以外が犠牲になった描写はなかったのだが、人間の死者が出てしまった本作では一層暗い影が落ちる。
      • 神姫のサイズを考えれば、傷害を加える方法は他にいくらでもあるのに(実際にやってみた*5、ただでさえ賛否両論だった方法を二度も使うことには疑問とマンネリがある。
    • 連日の報道で世間の目が厳しくなり、神姫を連れた主人公に通行人が陰口を叩くシーン、神姫バトルの全面中止といった憂鬱な展開が続く。
    • 「ミミック」と呼ばれる神姫らしきモノが現れ、それに敗北したプレイヤーが何者かに拉致されてしまう事件も発生。
  • 爆発事故現場に向かった主人公が「ジャスティス型」の神姫を発見。神姫メーカーの社長でさえその存在を知らず、人間らしい感情を持ち合わせないことや「ライドオン」できないという謎だらけ。社長の提案でジャスティスを預かり、感情を育んでいく展開もあるのだが…
    • これらの出来事が一つに繋がり、真相が明らかになる。
      + ネタバレ
    • ある開発者が神姫を作り上げるが、その高性能ゆえに同僚から妬まれ、仲間はずれにされてしまった。
      この開発者が人知れず名を変え、数年越しの復讐のため同僚を殺害していた、というのが事件の真相。
      • 「同僚が殺されている」という関係性から、最後の生存者は殺害される寸前で彼が名を変えたことに気付いたが、同僚が業界内で社長になってなんで気付かなかった。
        • 神姫というオーバーテクノロジーなロボットが存在している以上、整形など造作もないことだが、本作の人間の立ち絵はシルエットなので、知る由も無いし、説明されても白々しい。
      • 作り上げた神姫とはジャスティス型「アストライアー」。復讐のためアストライアーを最強の神姫として完成させようとしており、最強のプレイヤーと見込んだ主人公の元へ偶然を装って送り込み、もう一方ではミミックのバトルで拉致したプレイヤーからもデータを収集していた。
      • 彼とアストライアーがラスボス。主人公に負けてなお諦めきれない彼に、もう1人の開発者がアストライアーに隠したメッセージが再生され、彼は過ちに気付く。主人公に人間と神姫の行く末、アストライアーを託して投身自殺する。「さらばだ!!」更にアストライアーも、マスターは彼しかいないとして後を追ってしまう。
        • 要約すると、身勝手な復讐のために大勢の人間と神姫を巻き込んだ挙句、責任を主人公に押し付けて勝手に死んだ。後味どころか胸糞まで悪くなるプレイヤーもいるのではないだろうか。
  • メインシナリオに関与しないNPCにも難あり。神姫と夫妻同然の愛人関係を築く、というある種の到達点を見せ付けて好評だった(?)NPC「給料シーフ」。しかし、彼の本物の(人間の)嫁「シーフ嫁」がNPCに登場して…
    • 夫を奪った憎しみの対象として神姫を見ており、自身の神姫「スリンキー」*6に賭博の裏バトルを行わせ、負ければ罵詈雑言を浴びせ暴力も振るう。
      • 更にシーフ嫁が裏バトルの主催者に対する不倫を示唆するような発言もしている。
      • 理不尽な扱いに耐えるスリンキーは被虐心や庇護欲をそそることもあるかもしれないが、それはシーフ嫁への不快感と隣り合わせのものである。
      • NPCには神姫マスターとしての生い立ち、主人公からの第一印象などの一言コメントが付いているのだが、シーフ嫁へのコメントは「人間なんかと結婚するから…」この主人公、生涯独身か。
      • 神姫を酷く扱うマスター自体は前作にも登場しており賛否両論ではあったが、シーフ嫁は「前作のキャラ評価も一変させかねない背景設定を抱えている」ことにも問題がある。
        また、前作の当該人物と比べ、シーフ嫁に対する神姫の反応は淡白である。

多発するバグ・ミス

  • とにかくバグが多い。発売日を3週間延期していたのは一体何のためだったのか。
    • 本作で追加された5体の神姫のイベントが発生しなくなる。
    • DLC神姫で一部NPCとの戦闘を行おうとすると、会話開始前のロードが無限に続き、最悪フリーズ。
    • 前作で作った「DLCパーツを含む武装セット(保存済みのカスタマイズ)」を呼び出すと読み込みエラーを起こし、最悪フリーズ。
    • 勝利すると一定確率で対戦相手の装備品がショップに入荷、以後自由に購入できるのが本来の仕様だが、初回入荷時に購入しないとショップ一覧から消えることがある。
    • 「ハウリン」でゲームをクリアすると、エンディングで別キャラクターの全く関係ないボイスが流れる。
  • 発売直後からバグ報告が相次ぎ、1週間で公式に告知された。
    発売から約2ヶ月後の11月半ばにアップデートが行われ、上記バグをはじめとする多くは修正されたのだが…設計ミスも含めて、バグはまだ残っている。
    • DLC神姫の売却・追加購入ができない。通常の神姫は個別シナリオのクリア後に解禁されるし、前作ではDLC神姫にはシナリオが無かったので無条件でできた。
    • フレンドカードの武装にDLCが含まれている場合、自分もそのDLCを購入していなければいけない。
      • フレンドカード対戦を最大限楽しむには、極論として、全DLCを双方が購入しなければいけない。フレンドカードの武装はドロップ可能=DLC未購入で解禁させないためのものと思われるが、不親切にも程がある。
    • 「アルトアイネス」でラスボスを撃破するとスタッフロールで無限ロードするバグが新たに発現した。本末転倒。データインストールで回避できるのだが、DL版でもそれを行わなければいけないので、これまた本末転倒。
  • パーツの設定ミスも散見される。
    • ランクとコストのバランスが釣り合っていないパーツが前作以上に散見される。同じ外見の武装でランク6よりもランク7の方がコストが低い、という明らかな入れ違いまである。
    • 「バズーカなのにランチャーの射程が表示される」、「パイルバンカーなのにドリルのモーションで攻撃する」、「レーザーキャノンなのに火器属性」といった意味不明な武器の数々。
    • カスタマイズ画面でアビリティの計算を正しく行えないことが多々ある。カンスト±3のアビリティを「+1+2+1-1」の順に付与した場合、「+1+2=3」でカンストして「+1」を無視。そのまま「-1」して結果「+2」として表示されてしまう…というカンスト判定タイミングのミス。実性能への影響は無いのだが、不便。
  • これら未修正のバグ・ミスについて、コナミはそれらを「概ね」認めつつ仕様としている。アルトアイネスの無限ロードバグは認められていない。

その他疑問点

キャラクター設定の理解不足

  • もともと武装神姫は組み換えパターンが豊富なアクションフィギュアと、プレイヤーが操作をする必要のない、つまり比較的ビジュアル面での融通が利かせやすいシミュレーションゲーム『バトルロンド』を元としたコンテンツである。複雑な可変・合体機構を持つパーツも多く、アクションゲームでその全てを完璧に再現するには少なからず無理があることもあり、大幅な簡略化(手抜き?)が行われている。
    • エウクランテのショットガン*7はフィギュアでは多数のパーツを組み合わせて完成するものであり、それには自身が装着する防具も含まれる。このゲームでこのショットガンを使うと、どこからともなく完成品を持ち出してくるのでどうにも不自然。EX固有RAにも微妙な変更をさせるくらいなら、最初からショットガンとして武装させるのではなくRAで変形させて使うだけにすればいいものだが…*8
      • 上述の武器自体、及びRAの性能や、人を選ぶようなキャラ付けなどを含め本作において不遇な神姫の代表例である。
        尤も、エウクランテに限らず多くの神姫がなにがしかの点で手放しで褒められないような設定をされているのだが。
    • また、エウクランテのDLC追加装備(ヘッドパーツ)は独立装備*9の中で 唯一 ランク5止まり。固有RAが使えないだけではなくカスタム装備としても論外である。
      • ちなみにこの装備はイーアネイラのDLC装備と共にリペイントのノーマルカラー版。本来フィギュアの販促のためと思われるが、これではあまりな扱いである。最早嫌がらせの域。
    • ヴェルヴィエッタ、リルビエートの固有RAも同じ状態にある(彼女らの武装は分離してファイター形態、ヒューマノイド形態になるのであって、武装したまま変形するのはゲームでの武装方法だと不可能)。
      • アーンヴァルMk2でも、フィギュア一体では不可能な組み合わせで行う固有RAがある。
    • アルトレーネ、アルトアイネスの固有RAの必要武装では一部武装時に使わない(使えない)パーツがある。二の腕につけるパーツはともかく、首のアクセサリーは武装胸をつけたら付けられない。そうした不自然な組み合わせを要求されるため、カスタマイズの幅が狭く感じてしまう。
      • アルトアイネスのリアパーツにはレーネのリアパーツにあるはずのシールドが何故か省略されている。固有RAの問題もあるだろうが、単に色を変えればいいはずなのにアイネスだけシールドを省略する必要があったのか。

理不尽な仕様

  • DLCにて購入することで使えるアーティルのシナリオを進めると手に入るRAがあるのだが、シナリオの内容的にいかにもアーティル専用のRAのようだが入手後は他の神姫も何事も無く使えるようになる。
    • おまけにフレンドカードの神姫にそのRAを装備させれば、フレンドカード対戦で簡単に手に入ってしまう。しかもそのRAの性能は攻撃前の移動が射撃ガードありの直進になっただけで他の性能はナックルRAとほとんど変わらない割にSP消費が多いという… シナリオの内容のことを考えるとアーティルがあまりにも可哀想過ぎではないだろうか。
  • 主役級のアーンヴァルMk2、ストラーフMk2が優遇されすぎているという批判も強い(固有RAを2種(+EXで4種)持っているのに対し、他神姫は1種(+EXで2種)だけ。更にはオリジナルアニメの特典であるアーンヴァルMk2(黒リペイントver)にも別の専用RAがつく)。

高いだけの問題でもないDLC

  • 本編に合わせてDLCも週1回・全16回配信とボリュームアップ。発売翌週からの配信を予定していたが、先述のアップデート準備を理由に配信を延期。
    • アップデート開始翌週から配信が再開されたが、週1回配信のペースはそのまま。
    • 本作で前作のDLCを使用する場合、引継ぎデータをDLする必要があるのだが、本作発売時点では一部の引継ぎデータしか配信されておらず、武装によりまちまちな配信そのものも待つ必要があった。
  • DLC神姫のシナリオが配信されるのは先述の通りだが、素体とも武装とも違う別売りの有料配信なので、実質的にキャラを値上げしている。
    • 神姫素体500円+純正武装1000円+シナリオ600円=合計2100円。好き嫌いも分かれて全キャラ購入する可能性はあまり無いだろうが、DLC神姫一式を全16体で揃えると 総額33600円。 またシナリオ1本で何故か200MBも要求してくるので、DLCだけでなくメモステまで買わされる可能性も…。
    • この価格設定でDLC神姫が倍増しているのも前述の通り。(隠しキャラ実質1体として)本編16体に対してDLC16体という1:1比率も如何なものだろうか。
    • DLC神姫の売却・追加購入ができない先述のバグについてコナミに問い合わせると「今後配信されるシナリオのクリア後に解禁される」という返答が行われていた。しかし実際にはクリアしても解禁されず、バグが仕様とされてしまった。
  • DLC神姫の追加以外にも、本作から新たに販売される武装に加え、オリジナルアニメ「武装神姫 Moon Angel」の配信も行われているのだが…
    • あくまで「バトルマスターズMk2のDLC」なので、ゲーム本編を起動してから視聴する。しかも40分を全10話にするという、買うのも見るのも不便な仕様。
    • バトルの演出と3DCGのクオリティは高いが、喋って動く神姫は3体(4体?)しか登場せず、作画もいまいち安定しない。
    • 第1話は無料で視聴できる。買ってから後悔させられる可能性が低い分、本作の他のDLCと比べればまだマシか。
  • 前作からの通算で 総額67600円。
    • 総額のうち半分近くをDLC神姫が占めるということを省みても、やはりバランスが悪いと言わざるを得ない。
    • 繰り返しになるが、DLC神姫や「園児服」のような尖ったアイテムへの好き嫌いがあれば実際の負担額は少なくなる。
      しかし、先述の通り、フレンドカード対戦を「最大限」楽しむためには全DLCの購入が必須なので、負担額を減らせるかどうかは保証できない。
      ローポリ携帯機のDLCがこれだけの総額になることも、悪習として特筆に価するだろう。

総評

UMD版ではプレイの大きな障害となっていたロード時間が改善され、ボリュームも増加。前作以上に遊べる作品として仕上がっている。
しかし戦闘バランスの悪化、致命的なバグの多発、相変わらずのDLC…等々、問題点までボリュームアップしてしまった印象は否めない。
残念ながら「神姫愛が試される一品」という点においては前作と同様である、と評さざるを得ない。


その後の展開

  • 2012年に入って、武装神姫シリーズの動きが突如として減速。同年のアニメ化を最後に、シリーズ全体の動きが完全にストップしてしまった。
    • 本丸であったフィギュア制作費用の高騰と、税金対策で金型を海外工場に預けていた事によるトラブルが主要な原因ではないか、と言われている。
    • 2014年2月に、コナミスタイル東京ミッドタウン店における武装神姫関連商品の特別販売会(という名の在庫処分)が開催され、多くのファンが(ゲーム作品を含めた)今後のシリーズ継続を絶望視したという。
  • しかし諦めきれない一部ファンによって細々と活動が続けられていたのが実を結んだのか、2015年になって『フレームアームズ・ガール』『メガミデバイス』等で知られるコトブキヤより、プラモデルとしての武装神姫復活が発表された。
    • この流れで、武装神姫とコラボの一環として『メガミデバイス』仕様による「猟兵型エーデルワイス」が販売された。
    • さらに2018年になって、コトブキヤがプラモデルでの立体展開、コナミがゲーム制作を手掛け、両者を連動させていくという形でのシリーズ再始動が宣言された。
  • 2020年12月24日には、いよいよアーケード作品『武装神姫 アーマードプリンセス バトルコンダクター』が稼働を開始した。
    • しかし残念ながら、2022年7月時点では前例と同様、稼働店舗がそこまで多くはなく気軽に遊べるとは言い難いのがネックとなってしまっている。
    • スマートフォン向けの新規作品『武装神姫R(仮)』も鋭意制作中とのこと。続報を気長に待つべし。
  • 一方プラモデル版の方はというと、ワンダーフェスティバル2018年夏の「チェシャ猫型タオニャオ」発表以降音沙汰が無かった。しかし2021年にコトブキヤコレクションにて「天使型アーンヴァル*10」のリメイク版の原型が発表。翌年6月に予約開始となった。
    • なお「アーンヴァル」の発売が当初復活が発表された2015年から7年経った2022年までもつれ込んだのは、フィギュア版の原型を担当し『メガミデバイス』の企画にも携わる浅井真紀氏から、当初の「アーンヴァル」原型に対してストップがかかったためである。(ソース)
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最終更新:2022年07月31日 23:21

*1 隙がやや小さく連射可能な「ハンドブラスター」、隙が大きくダウン効果を持つ「ランチャーブラスター」の2種に更に分けられる。よって、ほぼ別物。

*2 隙が大きいこと「だけ」が共通点として挙げられる。しかもハンドブラスターは「ライフル(最も隙の大きいライトガン)」と同程度でヘビーガンとしては隙が小さく、カテゴリ内でも少なからぬ差が生じている。

*3 次いで多いのは「ライトガン」。「ハンドガン」「ライフル」「機関銃」の小分類3種・約80個。これでも十分多いが、ヘビーガンと比べれば半分程度。

*4 ミミックからの入手専用パーツもある。

*5 本作中でも「人間に向けて物を落下させる」行為が見られる。

*6 「Slinky」で「人目を忍ぶ」の意。忍ぶというか、見せられたものではないというか…。

*7 ちなみに『バトルロンド』ではランチャー的な扱いだった。

*8 更に言えば、なぜか火器属性のボレアス、なぜかダブルナイフのエウロスなどの問題もある

*9 コスプレや装備セットを除いたもの

*10 本作に登場しなかった初代版