【めだろっとでぃーえす かぶと/くわがた】
ジャンル | ロールプレイング | ![]() ![]() |
対応機種 | ニンテンドーDS | |
発売元 | ロケットカンパニー | |
開発元 | デルタアーツ | |
発売日 | 2010年5月27日 | |
価格 | 5,040円(税込) | |
判定 | ゲームバランスが不安定 | |
ポイント |
「知恵と勇気」よりも火力がものを言う対戦バランス
一度は改善の兆しを見せたが…? 旧来のファンが首を傾げる矛盾点・違和感 |
|
メダロットシリーズ |
『真型メダロット』以来5年越し(*1)の『メダロット』シリーズ作品。
プラットフォームをニンテンドーDSに移した完全新作となっている。
本作の発表当時、メダロッターたちの期待は大きな高まりを見せた。
その証明として、キャラクターデザインの変更により大批判を受けた『真型』から一転、メダロットの生みの親である「ほるまりん」の帰還が期待のボルテージをさらに上げた。
そして、Wi-Fi通信を生かした、全国のメダロッターたちとのロボトル。いままでケーブルを介して身近な友達としかできなかった通信対戦の輪を、全国にまで広げられる。この新要素も、対戦派のメダロッターたちの魂を燃え上がらせていた。
こうして多くのメダロッターが無意識に本作へのハードルを上げていく中、「期待の完全新作」はこの世に誕生したのだった。
本作はナンバリング作品から引き続き、ファンの間から非公式に「シャトルラン式ロボトル」と呼ばれる伝統のロボトル形式を採用している。
しかしそのルールは細かく変更されており、どちらかというと『3』以前のロボトル形式に近い。
+ | パーツ編 |
+ | メダル・メダフォース編 |
発売後、Wi-Fiでは超絶火力の攻撃が飛び交い、それを防ぐためにホーリーウォールで相手の攻撃を耐え、そして戦場が停滞している間に互いのメダフォースがたまり、メダフォースの応酬…という、緻密な戦略もクソもない戦いが繰り広げられた。
「防御しなければ高火力での瞬殺、完全ガードすればチャージの余裕を与えてしまい、メダフォースの格好の的」という狂ったバランスが成立してしまったのである。
これを防ぐため、多くのメダロットに「装甲を上乗せするためだけに使えもしない防御用パーツを搭載する」という光景が多々Wi-Fiでは見られた。
そして永遠の難問である、チートを使用したプレイヤーへの対策もおろそかで、スレッドではチーターの報告が後を絶たなかったという。
元々メダロットシリーズの作品はゲームバランスが悪いことが多かったが、始めて導入されたWi-Fiによる通信対戦の影響により、本作の劣悪な対戦バランスは主に対戦派のメダロッターから従来作以上に大きく取り上げられることになった。
公式サイドは、この混沌とした状況に歯止めをかけるべく、通信対戦で「ルール」を導入した。
これは一種のレギュレーションのようなもので、開発側は即座に対戦バランスを揺るがしかねないパーツを規制したレギュレーションを制定、Wi-Fiに一種の「隔離部屋」を作った。
また、ユーザー側も強パーツ・メダフォースを使用したいわゆる「量産型戦術」「厨構成」に対抗策を練り、依然として高火力主軸のゲームバランスではあったものの、ある程度戦術の採れる幅は広まった。
このふたつが重なったことで、ロボトルには一時的に平和が戻った。戦略とセンスがものを言う「歯ごたえのあるロボトル」が活気を見せ始めたのである。
毎月行われる開発からのレギュレーション配信や追加要素も相まって、メダロッターたちには一時的な安息の日々が戻ってきていた。
しかし、8月の配信で解禁されたある一つのメダリアが、そんな平穏な状況に終止符を打った。
それこそが最狂のメダリア、「MF-MAX」である。
このMF-MAXというメダリア、公式に使用可能ながら「ゲーム開始時からメダフォースをMAXにする(≒開幕からメダフォース発動可能)」という反則的な効果(*5)を持っている。
これにより、かつて『3』『4』の時代に大会を席巻した「速攻メダフォース戦術」(*6)と同様に、「開幕メダフォース戦術」がWi-Fiを席巻したのである。
そこにあったのは、発売当初のWi-Fiの「高火力vs高火力」という地獄を超えた、「メダフォースvsメダフォース」という世紀末の様相であった。
その戦いの苛烈さは、攻略サイトで「MF-MAXを装備しないということは勝利を放棄することと同義である」とまで書かれるほどであった。
その敵味方互いにメダフォースを連発する姿に、古参のメダロッターはかのトラウマ製造機「ゴッドエンペラー(*7)」以降のラスボスの姿を思い浮かべたという…。
本作には「フォース制御」(*8)や「フォースドレイン」(*9)は登場しない。
一応メダフォースに「メダフォースがそれ以上たまらないようになる」ものは存在するが、それでも発動そのものを抑制することは出来ない。つまり、どうあがいても開幕のメダフォースを止めることは出来ない。
MF-MAXの事を考えなければMFの発動にはフルチャージという手間がかかるため、あえて登場させなかったとも考えられるが、その場合“対策”という面白みのある部分を無くすことになるので、入れるべきだったとする声が多い。
このゲームを問題作たらしめたのは、ゲームバランスだけではなかった。
多くのファンは、そのストーリーにも失望させられることになった。
最強最悪のワルガキ「ウィローズ」
続投キャラクターの扱い
従来の設定との矛盾
メダロッターたちが「5年越しの新作」ということで心の期待値を上げていたこともあり、ガッカリゲー、ひどいときは名前だけ借りた駄作として扱われることも少なくない。
完全新作ということを差し引き一つのゲームとしてみても、ゲームバランス(主にWi-Fiによる対戦に関して)が不安定なことは擁護できない。
評価すべきポイントもあるものの、いささかゲームとしての完成度は過去の名作に劣ると言えるだろう。
*1 一部ゲーム誌やニュースサイトでは「8年越し」と書かれているが、これは最後のナンバリング作品である『メダロット5』から数えた場合になる。
*2 命中率・クリティカル率に関連するパラメータ、攻撃力にも少なからず影響を与える。
*3 熟練度が低くても余裕で100ダメージ以上は叩き出せる。
*4 機体の移動速度に関連するパラメータ。
*5 装着したメダロットの頭部パーツ使用回数が0になるペナルティはあるものの特定のメダフォースで回復が可能なため、リスクとリターンのバランスがまったく取れていない。
*6 文字通り速攻でメダフォースを発動させて相手に大打撃を与える戦術。メダフォースを上昇させるパーツを使って一体にメダフォースを供給し、発動役が強力なメダフォースで敵に大打撃を与えるというもの。当時の対戦環境で猛威を振るい、昔のメダロットのずさんな戦闘バランスを物語る戦術として否定的に語られる事が多い。
*7 『2』のラスボス。超絶的火力を誇る上に開幕からメダフォース値がMAXで、メダフォースを開幕早々ぶっぱなしてくる為、メダフォース制御を使うなどの様々な対策を練らないといけない。
*8 フィールドを制御し、一定時間互いのメダフォース発動を封じる行動。
*9 相手のメダフォースを吸収する行動。
*10 その後、大体しっぺ返しを食らうのもお約束。
*11 アニメ無印では笑いあり涙ありの成長劇まで用意されており「救いようのない嫌な奴」「単なる悪役」ではないことが強調されている。
*12 メダロットシリーズにおける警察組織。
*13 現在では新装版、オリジナル版の電子書籍化がされている。
*14 これにはイッキも驚いており、メダロット博士も「なんだかんだでヘベレケはイッキ達を認めた」と発言している。
*15 カブトならガンノウズなので「ガン」、クワガタならサンジューロなので「ジュウ」。
*16 一つのパラメータを重点的に強化する振り方。
*17 3D化は本作が初めてではなく、PSの『メダロットR』が初。ただしあちらは完全なクソゲー扱いである。
*18 さらなる余談になるが、セッティング時現在装備していたパーツと変更時のパーツとの能力値の変化を比較してくれる・パーツの変更を確定し組み替えから抜けるときに特定ボタンで確定しないといけない、というパーフェクトエディション独自の仕様も本作で再登場している。
*19 エンカウント時に使用することでロボトルを断れる消費アイテム。旧作では一部の敵に勝利した時の戦利品やミニゲームの粗品として入手できる。
*20 旧作でもメモリーカードを採用したPSの『R』は3枠まで可能。