GOD EATER
【ごっどいーたー】
ジャンル
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チーム連携型ハイスピードハンティング
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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シフト オレンジボックス
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発売日
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2010年2月4日
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定価
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4,980円(税別)
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判定
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ゲームバランスが不安定 (管理人裁定による)
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ポイント
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バンナムが送る完全新規IPの狩りゲー アラガミが神速・連撃・連携のハンティング カスタマイズは豊富だが扱いが空気な主人公 BGM・OP・(難易度以外の)システムは高評価
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GOD EATERシリーズ
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概要
『モンスターハンターポータブル』シリーズ(以下『モンハン』)の大成功によってアクションの一大ジャンルとなったハンティングアクション、いわゆる「狩りゲー」の一つ。
タイトルのイニシャルを取って「GE」、後発の『BURST』発売以降は「無印」「初代」とも略される。
「狩りは進化した!」のキャッチコピーが示すように、モンハンを意識しつつもモンハンとは違った方向性を目指しており、様々な点で差別化が図られている。
なお、バンナムのモンハンフォロワー作としては、本作の三ヶ月前に『怪獣バスターズ』がリリースされている。
ストーリー
西暦2050年頃、地球上である生命体が発見された。
当初はアメーバ状に過ぎなかったそれは生物・非生物を問わずあらゆるものを「捕喰」することで、
驚異的な速度で多種多様に変化し、爆発的に増殖していった。
東方の八百万の神々になぞらえ「アラガミ」と名付けられたその生命体によって都市は荒廃し、人命は1日に約10万人の規模で失われていった。
アラガミに近代兵器は殆ど通用せず、遂には核爆発すら「捕喰」するアラガミまで出現した。もはや人類に対抗手段は無いかと思われた。
世界中で対アラガミ研究が急ピッチで進む中、北欧の生化学企業「フェンリル」はアラガミを構成する「オラクル細胞」の一部解析に成功する。
オラクル細胞の研究は進み、そして遂にフェンリルは、アラガミの偏食傾向を利用した防御細胞板「アラガミ装甲」と、
唯一アラガミを殺し得る兵器「神機(じんき)」を完成させたのだった。
フェンリルはオラクル細胞の技術を独占して莫大な利益を上げ、荒廃した世界の統制組織へとその姿を変えていく。
残り僅かな人類の居住区は偏食細胞を用いた防御板で囲まれるようになるが、日々変化していくアラガミの嗜好に対応するため、新たな偏食因子=アラガミのコアの捕獲が求められていた。
フェンリルは神機の適合者を探し、破格の待遇・報酬を与えてアラガミを討伐させるようになった。
神機を操るため自らの肉体にオラクル細胞を投与し、神を喰らう戦士「ゴッドイーター」。
彼らの活躍と犠牲によって、人類はかろうじてその種を存続させていたのである……。
そして西暦2071年。フェンリル極東支部、かつて日本と呼ばれていた地域に1人の新たなゴッドイーターが誕生した所から、物語は動き始める。
評価点
ストーリー
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「アラガミ」と呼ばれる存在によって文明が崩壊した世紀末的な世界で、主人公(プレイヤー)と仲間達との交流や支部内で蠢く陰謀を描いている。ただミッションをクリアするだけで話が進むのではなく要所要所でムービーが挿入されるため、より深くストーリーを楽しむことができる。
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初見では軟派な「厨二」ストーリーかと思わされるが、実体はよく練り込まれた世界観設定が光る重いシナリオである。専門用語は説明がましくならないレベルでシナリオ中できちんと説明され、データベース(用語辞典)にもかなり詳しく載っているため、すんなり理解できる。
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主人公の所属する第一部隊のメンバーや別の部隊のメンバー等、多くのキャラクターが登場しストーリーを彩る。特に第一部隊のメンバーは話に深く関わるメインキャラクターと言えるだろう。彼らのC.V.は坂本真綾氏や阪口大助氏、中井和哉氏といった実力派の声優陣が担当、ストーリーをおおいに盛り上げてくれる。
BGM・オープニング
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テーマソング以外の作曲は『テイルズ オブ レジェンディア』でも良曲を輩出した椎名豪氏が担当している。コーラスを多用し、壮大さの中に悲壮感と緊張感が漂うBGMは本作の雰囲気にマッチしており評価は高い。
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ボーカル曲もメインテーマをロック調にアレンジした「No Way Back」など名曲揃い。中盤の山場で流れる「神と人と(Vocal Ver.)」は日本のメディアとしては唯一、Hollywood Music in Media Awards 2010にノミネートされた。
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余談だが、「神と人と」オフボーカルバージョンは2010年に開催された第63回全日本新体操選手権大会、青森大学男子新体操部のBGMとしても使用された。
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alanが歌うテーマソング「Over the clouds」が流れるオープニングアニメも評判となった。ちなみに製作は高品質なアニメを数多く輩出する製作スタジオ「ufotable (ユーフォーテーブル)」が担当。
ハイスピードバトル
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攻撃速度や移動速度、アイテムの使用速度等が全体的に速く、爽快なアクションが楽しめる。攻撃後にステップやガードをすることで攻撃後の硬直をキャンセルでき、それと同時に攻撃回数がリセットされるためスタミナが続く限り「攻撃 → 硬直キャンセル → 攻撃」のループコンボが可能。また、敵は複数同時出現するため混戦、乱戦になりやすい。そのため戦闘のスピード感とテンションの高さはかなりのもの。
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武器は剣と銃の二形態をいつでも切り替えることが可能。状況に応じて接近戦と遠距離戦の両方をこなせる。
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剣形態では□・△ボタンとジャンプを組み合わせることで様々なコンボ攻撃が可能であり、神機の刀身を換装すれば殆ど別物のアクション性を楽しめる。シールドを展開してガードも可能。剣の種類は連撃によるスピード感がウリの「ショート」と、仕込み銃を使ったキャンセル技が光る「ロング」に加え、高威力の溜め斬りと攻撃の隙をガードでキャンセルできる「バスター」の3種。
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本作のタイトルでもある「ゴッドイーター」を体現したシステムである「バースト」の存在。剣形態から移行する「捕喰形態」で生きた敵を「捕喰」する事で武器が活性化し、一定時間パワーアップできる。
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バースト状態のキャラは攻撃力やスピードが上昇し、敵の能力を模した「アラガミバレット」と呼ばれる特殊な弾丸を入手できる。これで敵を攻撃できるほか、仲間に受け渡すこともできる。アラガミバレットを受け渡されたキャラはより強力な「リンクバースト」状態に突入し、受け渡されたアラガミバレットは性能が強化されたうえで使用可能となる。
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銃攻撃では弾丸を撃って攻撃するのだが、この弾丸は「バレットエディット」と呼ばれる機能でカスタマイズすることができる。基本的な能力の弾も市販されているが、すぐに物足りなくなるのでバレットエディットは必須。
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普通の弾丸、レーザー、爆発する弾、相手に貼り付く弾など多種多様なパーツを組み合わせ、オリジナルのバレットを作成する。実用性重視の強力なバレットから、見た目は綺麗だが実用性皆無のネタバレットまで様々な物がプレイヤーによって考案されており、非常に好評。攻略サイトなどでも数多くのレシピが公開されている。
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特に「ないぞうはかいだん」「のうてんちょくげきだん」と呼ばれるバレットは後述の「トリアン」戦法と合わせ、多くのゴッドイーターをクリアまで導いた。
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これらの武器には「破砕」「貫通」「切断」の物理属性と「炎」「氷」などの非物理属性がそれぞれ設定されている。当然敵アラガミにも弱点となる属性が設定されており、ここを如何にして突くかが攻略のポイントなる。
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隠れた評価点として、これら武器には属性ごとの相互互換関係があるものの、例えば「貫通武器だけ持ってりゃ余裕余裕」と言われるようなカテゴリ毎の上位・下位互換が存在せず、自在に使い分けを楽しめるという事が挙げられる。
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NPCを最大3人までミッションに連れて行くことができるため、一人でのプレイでも仲間との共闘気分が味わえる。
手早く終わるミッション
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スピード感を重視したゲーム性ということもあり、ミッションの所要時間は短い。難易度相応の装備であれば、速ければ5分程度、長くても10~20分あればたいてい終わる。3~40分もかかるようなミッションはクリア後の「チャレンジミッション」以外には無いため、短い時間でパッと遊ぶのに向いている。
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フィールドはシームレスとなっており、エリア移動による戦闘中のロードは全く発生しない。フィールドの形状も比較的単純なので敵を見つけやすく、見失う事も少ない。
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ミッションでは3回リスポーンするか制限時間をオーバーすると失敗となる。この辺りはモンハンと同じだが、本作には「リンクエイド」と呼ばれるシステムが存在し、体力が0になってから30秒以内に仲間から体力を分け与えてもらえればリスポーンを回避できる。
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「ある程度のミスなら仲間とカバーしあえる」ということでもあり、後述の問題点と合わせて本作の生命線とも言えるシステムである。
マイキャラのカスタマイズ
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ゲーム開始時にキャラメイクを行う。名前や性別だけでなく、髪型やボイスなども選択可能。
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マイキャラのステータスは「神機」と呼ばれる武装で決まり、服装は能力値には一切影響を与えない。そして服装のバリエーションは非常に豊富で、自由に変更できるため個性を出しやすい。
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ただし、その外観はムービーにもしっかり反映される。あまりネタに走るとシリアスなムービーが台無しになるので注意。
快適なロード
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メディアインストール機能はないが、それでもミッション開始/終了時以外ではロード周りのストレスはほとんど感じない。
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戦闘中もロードや処理落ちがほとんど発生しないので、ゲームのスピード感を損なうことはない。
…などなど、作品そのもののポテンシャルは非常に高かったのだが……(問題点を参照)。
賛否両論点
シンプルなゲームシステム
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本作は基本的に「アラガミの討伐」がメインでそれ以外の要素は極力省かれており、全体的にシステムがシンプル。ただし、この点はゲームを進めやすい反面、選択肢が限られるなど一長一短である。
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スキルは各刀身や銃身、装甲に加え「強化パーツ」と呼ばれる「スキルを発動させるためのパーツ」を装備するだけで発動する。
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裏を返せばスキルは完全に装備に依存するため、強力なスキルを発動させるために装備が限定されてしまうという欠点も抱えている。前述のスキル「ふんばり」に関する欠点もこれによるところが大きい。
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ミッションの受注・出撃、アイテムの売買・合成、装備の作成・強化・変更、データベースの閲覧といったミッションの準備に関する全てのことがアナグラのエントランスで行えるため、いちいち他の場所に移動する必要がない。
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逆に他の場所(自室も含む)が完全に「ストーリーを進めるために行く場所」と化しており、存在意義がほぼ無い。しかもストーリーの進行によって入れなくなる部屋もある。
問題点
本作が評価を落とした最大の要因として「難易度が非常に高い」事が挙げられる。
それも、「歯ごたえがある」の域を超えて「理不尽」とまで感じられる物であった。
敵が異常に強い
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ミッション進行度に合わせて装甲を強化していても、一発攻撃を喰らうだけで普通に体力の1/3~1/2を奪われる。高難度ミッションにて活性化状態の敵の攻撃なんぞ喰らった日には体力満タンから瀕死に、場合によっては即死することもザラ。そのためキャラの死亡率が半端ではなく、リンクエイドがなかったら間違いなく無理ゲーと化していただろう。一撃死を防ぐスキルもあるが、使用するのとしないのでは難易度が段違いである。
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他にも以下のようにダメージを受けやすいケースが多々。加えてこれらを繰り出す頻度も高いため余計タチが悪い。
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回避自体が困難な攻撃。攻撃範囲・誘導性が異常に広い&強いヴァジュラ系の突進や飛びかかり、出が早く予備動作もほとんどないクアドリガ系のステップ(ミサイル付き)やシユウ系の手刀など。
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「多段ヒット技をガード → 体力とスタミナがごっそり削られた挙げ句スタミナ切れでガードが解除され直撃 → 死亡」というパターンもある。
その強い敵が連携してくるミッションだらけ
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中盤以降は同時討伐ミッションが多くなり、多い時には上記のようなアラガミ共を3~4体同時に相手しなければならない。
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特定の難易度では一部のアラガミが同時討伐でしか出てこないことも多く、素材集めを難しくしている。ただし、この問題は後にDLCでほぼ全てのアラガミの単体討伐ミッションが配信された事で緩和された。
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また、一度敵に捕捉されたら向こうから逃げない限り捕捉状態が解除されることはなく、執拗にキャラを追ってくる。フィールドの狭さもマイナスに働き、いつの間にか合流されて大乱戦になっていることも多い。
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「1体だけにわざと見つかって隅のエリアまで誘導し、ほかの敵に見つからないうちにフルボッコ」が本作におけるセオリー。「敵の分力をこちらの総力で各個撃破する」といえば聞こえはいいが…。
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それでも敵が鋭敏な聴覚を持っていると戦闘の物音を聞きつけて向こうから集まってくるうえ、合流されると分断はほぼ不可能となる。特にストーリーミッション「ピルグリム」に登場する敵は耳が良くすぐ合流されてしまうため、狭いフィールドにプレイヤー含む味方4人と敵4体が入り乱れる阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される。当時のモンハンとは違ってフィールドがシームレスなので、エリアチェンジして体勢を立て直すことも難しい。
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視界外の攻撃を察知するのも難しい。複数同時は基本ムリ。
難易度緩和を阻むシステム
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使用アイテムの現地調合や現地での入手、さらに無料回復ポイントも一切無い。回復アイテムが尽きたら、あとは双方どちらが死ぬかのガチンコ生存競争となる。
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ストイックなゲーム性にマッチしているとも言えるが、敵の強さを考えたら現地調合か現地調達くらいはできるようにして欲しかったところ。
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後に、強力なバレットを撃ちまくり、ひたすら遠距離からの射殺に徹する「トリアン」と呼ばれる戦法が確立され、これを用いてなんとかクリアまでこぎ着けたプレイヤーも多い。
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他のゲームならいわゆる「ハメ」と捉えられかねない戦法だが、こうでもしないと一人でのクリアは不可能、とまで言われていたのだ。実際に動画サイトに公開されているソロプレイ動画も、この戦法を用いてクリアしている例が多い。
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このトリアン戦法で用いられるバレットも前述の「ないぞうはかいだん」「のうてんちょくげきだん」の2種類でほぼ固定。「ないぞう~」「のうてん~」で使われるモジュール(弾の種類。ないぞうのうてんの場合レーザーが使用される)以外の、特にDPO(1のエネルギー消費に対するダメージ効率)に劣る爆発、放射系モジュールは殆ど用いられず、またそれらを得意とするブラストという銃種は必然的に存在が空気となった。
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難関ミッションを当時のモンハンで例えるとすれば、乱戦がほぼ避けられないフィールドで「ドドブランゴ4体同時討伐」「テオ・テスカトルとラージャン同時討伐」といったイメージであろうか。
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しかも、それらはストーリーミッション、つまり「クリアしないと話が先に進まないミッション」であり、多くのプレイヤーがクリアできずに脱落した。クリア後のスペシャルミッションでは「ラージャン4体同時討伐」と例えられる超難関ミッションも。
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「難ゲー」「マゾゲー」を好むゲームラボをして「ちょっぴり理不尽」と言わしめたその難易度は、キャッチコピーをもじって「(アラガミが)神速、(アラガミが)連撃、(アラガミ)チーム連携型(ゴッドイーター)ハンティングゲーム」と揶揄されたことも。
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アルダノーヴァやツクヨミの光柱など、一部の攻撃のエフェクトで一時的に周囲の状況が確認しづらくなることがある。
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アルダノーヴァは単独でしか出現せずツクヨミも複数討伐で登場するミッションは限られるので実害はそれほどでもない。おそらく一番実害があるのはサリエル系だろう。
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怒り状態でもヘイトが蓄積されるので怒り解除直後に怒る事もよくある。
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本作では体力低下時にのみ逃亡するようになっているが、モンハンと違って振り向いた後即座に走り出す為、先読みでもしない限り足止めできない。
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その仕様の影響で場合によっては「逃げられる>見つけて2、3回攻撃>また逃げられる」という事も起きる。
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行き先そのものは容易に予測できるので、すぐに追いかければ見失うことはまずない。
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NPCに対して指示が出せない。またAIも賢いとはいえず、乱戦時に敵を分散させたいのにできなかったり、プレイヤーが敵を分断しても敵を引き連れて合流しようとする。
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プレイヤーが倒れるとリンクエイド優先の思考になるのか、敵の攻撃の中を愚直なまでに近寄ってきて回復しようとするためミイラ取りがミイラになる。また、キャラによってはあっさり戦闘不能になるので、リンクエイドのために余計にアイテムを消費することになる。
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難易度4以降は基本的にスタート地点がランダムになる。
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NPCもバラバラに配置されるので、PCへの合流を最優先する彼らを追いかけてマップ中の敵が集合することもざらにある。
高難度のミッションではNPCを連れて行かない方がむしろ楽になるという始末。
敵や装備の種類が少ない
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アラガミはザコが3種、ボスクラスが9種類。それをモーション違い、攻撃属性違いの堕天種・接触禁忌種(モンハンで言う亜種・希少種)を出して増やしている。
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ただし接触禁忌種は単なる色変えではなく、外観・攻撃方法で大きく差別化が図られている。例えば本作の顔と言えるヴァジュラ種は「ヴァジュラ(雷)」「プリティヴィ・マータ(氷)」「ディアウス・ピター(神)」と基本種と接触禁忌種を含めて3体存在しているが、基本の骨格以外はほとんど別物である。
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装備は銃身、刀身、装甲のカテゴリが3つずつ。見た目は同じで色が違うだけの装備も多い。ただ、それによっていわゆる産廃装備や武器カテゴリの完全な上位下位互換などができ難くなっているのは皮肉というべきか。
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とはいえ前述のトリアン戦法プラスないぞうのうてんの使用比率から、銃身に関しては「火・氷・神の属性特化スナイパー」と「全属性対応の銃『ファランクス真』」の4本さえあればいいという風潮であった。
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更には剣・銃・装甲・オプションの強化パーツ等装備の種類を問わず、最終段階まで強化してもメリットスキルを打ち消すようなデメリットスキルが付いている装備も多く、銃種では上記の装備以外は大抵デメリットスキルが付与されていた。
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特に元から不遇であったブラストのカテゴリに至っては、デメリットスキルがない武器が一種類しかなく、中には「属性攻撃倍率自体は高いのに、その属性の攻撃力を大幅に下げるデメリットスキルが付与されている」などと完全に長所を殺しているものまであったりする。
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刀身に関しては、敵の攻撃力、攻撃範囲から近接攻撃に行く事へのリスクが高いため、ダメージソースとしてよりはOアンプルが切れた時のOP回復で使うという見方が強く、使用率はOP回収率と機動力に優れたショートカテゴリの一強だった。
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さらに装甲も、「ふんばり」という一撃死を防ぐスキルを持っている「属性バックラー」系に人気が集中していた。ふんばり自体は他に2つほど付いている装備があるのだが、1つは「鈍足」という、移動速度が大幅に低下するマイナススキルが付いており、もう1つは使用頻度が極端に低い雷属性(DLCで追加されたものを除くと、序盤に出現する中型アラガミ2体以外、雷単独の弱点属性持ちが居ない)の武器に付いていたため存在が空気、結果選択肢が属性バックラー系しかなかったのである。
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属性相性の偏り
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本作での非物理属性は「炎」「氷」「雷」「神」で、概ね「炎と氷が対」「神には神が有効」「雷には炎や神が有効」といった傾向で設定されている。先述の「雷弱点持ちが少ない」という問題は、そもそも雷弱点が例外であることから生じている。
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一般的な創作物で雷が有効と設定されることが多い「水」や「闇」といった属性がないためこのような結果になったと思われる。なお、この問題は次回作以降も根本的な解決には至っていない。
主人公の扱いの酷さ
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プレイヤーの分身となる主人公はムービーシーンで一切喋らず、リアクションと表情でしか感情を表さないため空気気味。キャラクタークリエイトの都合上仕方ない点ではあるが。
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それでも物語序盤は他キャラとの絡みや隊長就任など主人公らしい面も見せるものの、物語中盤からはむしろ他の第一部隊メンバーのほうが主人公らしい働きをしている。そしてラスボス後のEDでは完全に空気。
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上記の件からファンの間では「主人公(笑)」「モブ主人公」「スキル:空気」等と言われる羽目に。
その他、細かいシステム周りでの不満点
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ミッションのリタイアやミッション中の一時停止ができない。
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後者はPSP本体のスリープモードで代用できたが、ミッションを途中で終了したい時などはタイトル画面に戻るしか選択肢がなかった。
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アクションの批判点もいくつかある。
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命綱とも言えるガード操作は「2ボタン同時押し」。ガードしようとして他のアクションが暴発、事故死するプレイヤーが続出した。しかもキーコンフィグ不可。
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Rを押しながら移動すると走るのだが、Rを押し続ける時間が短いと武器切り替えが暴発してしまう。そして受付猶予時間が微妙に長いので暴発しやすい。
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ジャンプ攻撃(空中コンボ)ができるので空中にいる敵にも対処はしやすいのだが、空中ガードがない。ジャンプ中に敵が攻撃してきたら直撃は免れない。
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ウリであるはずの捕喰は終盤になるとほぼ使わなくなる。というのも捕喰中は完全に無防備になり、複数の敵が入り乱れる中で行うのは自殺行為となるからである。そんなことをしているヒマがあるなら、普通に攻撃したり回避やガードをしたほうがよっぽど安全。
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バレットエディットも「ないぞうはかいだん」と「のうてんちょくげきだん」が強すぎたため、その2種類の属性違いだけ用意すればいい状況であった。アラガミバレットも1度の捕喰につき1発しか入手できないのに弾の威力がさほど高くないため、有効活用する戦術、及びバレット入手の為に捕喰をすることなど到底出来なかった。
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アイテム使用のショートカットがない。
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アイテムを使う際にはいちいち「アイテムウインドウを開く → アイテムを選ぶ → 使う」という操作をしなければならず、咄嗟に使えない。
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行動の先行入力及びディレイの受付時間が極端に長い行動がある。
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ステップ>ステップ攻撃の受付とダメージを受けた後のガードなどが該当。前者は攻撃が届かなかったりするだけで大した害は無い。
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しかし後者はガードし損ねてダメージを受けた後先行入力によってガードモーションに移行するが、防げなかったからとボタンを離してしまった場合即座にガードを解除するので、その結果攻撃している敵の前で無敵もガード判定も無いただの大きな隙を晒す事になる。
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敵の弱点を狙うのが非常に難しい。
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本シリーズの近接攻撃のヒット判定は武器の先端の物が優先的に認識されるので、特定の部位を狙う時は敵自体に当たるか当たらないかの距離で攻撃しなければならない。この仕様のせいでチャージクラッシュなどは敵に背を向けて構え、振り始めを当てた方が狙いやすいといった現象も。
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未見のムービーを飛ばしてしまった場合、見直すことができない。
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マルチプレイで他のプレイヤーに急かされてムービーを飛ばしてしまうと、再度やり直さない限りはどうにもならなくなる。
バグや誤植、設定ミスが多い
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例えば、特定のアイテムが買値より売値の方が高い。売り買いだけでお金を無限に増やす「錬金術」ができる。
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もっとも、本作ではアイテムの消費が激しく、調合やバレットエディットにも金がかかる。おまけにミッションクリアの報酬金額も安いので、ミッションの失敗を繰り返すとジリ貧になる。そのため「ユーザーに有利なバグ」としてある意味救済措置になっているとも言える。
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購入できるアイテムも回復アイテムおよび便利アイテムで、装備の強化に必要なアイテム等はミッションで自ら集めなければならないため、バランス崩壊要素には成りえなかった。
部位破壊の爽快感が薄い
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中型と大型アラガミは、特定の部位を破壊(結合崩壊)可能であり、肉質が低下するメリットなどがあるが、部位破壊しても、破壊後の部位の外観に変化が少ない物が多い。
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特にボルグ・カムランの尻尾は、破壊してもモンハンのように尻尾切断とはならず、尾の付け根の外殻の一つが剥がれるだけ。しかも分かりづらい位置で。
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さらに後述の通り堕天種は尾針と尻尾が別の部位として分かれているので、破壊が面倒。
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破壊可能な部位は各アラガミによって異なるが、ほぼ全て3ヶ所(BURST以降に登場するカリギュラは4ヶ所、ヤクシャは2ヶ所と、稀に例外も存在する)。
その為、破壊できそうな部位や、特徴的な部位は破壊不可能だったと後でショックを受ける事になる。
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堕天種や禁忌種の大半は、基本種とは破壊可能な部位が異なる場合が多く混同しやすい。
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ゴッドイーターの名前の由来にもなった、捕喰形態を使った部位破壊が存在しない。
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仮に存在していれば、アラガミの特定部位その物を、モンハンの尻尾切断のように豪快に食い千切って破壊できただろう。前述のボルグ・カムランの尻尾がそれ。
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BURST以降でもこれらの問題は一切改善されていない。
総評
挙動の重さや採集などの「狩猟生活のリアルさ」を追求した当時のモンハンに対し、明確なストーリーやサブキャラクターの存在、リンクエイドに代表される「チーム連係」の要素、高速のアクションシーンなど「漫画・アニメ的な面白さ」を追求した作品と言える。
体験版の配布やプロモーションにも力を入れていたためかユーザーの掴みも良く、2010年に発売された完全新作タイトルの中では第2位、PSPソフトの中での累計販売本数は歴代11位という快挙を達成した。さらに付け加えるなら、PSPソフトの累計販売本数において、本作よりも上位のタイトルは『モンスターハンター』シリーズや『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』など、シリーズ物の続編や関連作しかない為、事実上「PSP史上最も売れた完全新作タイトル」といえる。
良作となりうる素質を十分持ちながらも、調整不足としか思えない敵の強さとそれに起因するソロプレイではハメ必須という歪なゲームバランス、痒いところに微妙に手が届いていないシステム周りの不備のせいで評価を落としてしまった点が惜しまれる作品である。
余談
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無印体験版は本編よりもさらにタイトなゲームバランスであった。「体験版」ということでストーリー後半の強力な装備を作成できない他、NPCを連れて行けないため、ファンの間では「無印体験版のチャレンジミッションが一番鬼畜だった」と言われている。
開発陣の真摯な姿勢
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本作を語る上で絶対に外せない項目。『BURST』にもつながる、『GE』最大の良点と言ってもいい。
事前配信された体験版から得られた意見を製品版によく反映している点に始まり、公式サイトや開発ブログで不明な点を回答するなどのユーザーサポートを積極的に行っていた。
また、ダウンロードコンテンツでユーザーが考案したミッションや武器、新規モンスターを無料で配信するなど、DLC商法が横行する(当時の)バンナム製ゲームの中において、とても良心的な姿勢を保っている。
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後発のGEBにしても、かなりのボリュームを誇る体験版の配信と、無印から得た意見を細かい所までフィードバックしてシステムを大幅改善したり、アペンド版という形での廉価販売までも行うといった配慮が高く評価されている。
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DLCも全て無料、さらに2011年12月より(普通なら有料となっていてもおかしくない)初回特典限定NPCの無料開放を実施、2013年にはPSVへのUMDパスポート無料キャンペーンを実施(期間限定。現在は終了)したり、GE2への引き継ぎを睨んだDLCも配信している。
-このような「ファンと共にいいゲームを作る」姿勢を当初から貫いている点が高く評価されている。そのため、「開発チームはバンナム最後の良心」とまで評するプレイヤーも多かった。
その後の展開
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本作発売から約8ヶ月後に、アッパーバージョン『GOD EATER BURST』が発売された。追加要素が豊富で、何より本作の問題点のほとんどが解消・改善されており、こちらは間違いなく良作と呼べる出来になっている。
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オリジナルストーリーでのコミカライズやノベライズなども継続的に行われている。
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いくつかはバンナムの監修が入っており、準公式ストーリーとなっている。
最終更新:2024年06月25日 17:02