ワンダーモモ

【わんだーもも】

ジャンル アクション
対応機種 アーケード
発売・開発元 ナムコ
稼動開始日 1987年2月
プレイ人数 1~2人(交互プレイ)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 【Wii】バーチャルコンソールアーケード
2009年6月16日/800Wiiポイント(税5%込) ※配信終了
アーケードアーカイブス
【Switch】2022年3月31日/838円(税10%込)
【PS4】2022年3月31日/837円(税10%込)
判定 なし
ポイント ナムコご乱心ゲームの先駆的一品


概要

キャラ作りに定評のあるナムコが80年代末期に世に送り出したアクションゲーム。
80年代のアイドルブームと特撮ヒロインという要素を組み合わせた独特な舞台設定を持つゲームで、当時のアーケードゲーム界隈でもまだまだ珍しかった、「女性が主人公のゲーム」として大きな話題になった*1

特撮ヒロインショーをモチーフにしたアイドルショーの舞台上で、美少女アイドルがあられもなくパンチラを披露しながら敵と戦うという、ナムコ黄金期のゲーム全般に漂っていた漢らしい硬派なイメージを覆すシチュエーションが当時のオールドナムコファンにとっては(いろんな意味で)すこぶる衝撃的であり、「ナムコ終わった」「ナムコが狂った」等散々な評判が飛び交い、見た目の軟派さとは裏腹な難易度の高さが賛否を呼んだ。

なんとも形容しがたい独特な一品だが、女の子を主人公に据えた先進的な設定からギャルゲーの先駆的作品としても見られている。


ゲーム内容

「『地球の平和を守るためロリコット星からやってきた愛の戦士ワンダーモモが、悪の異次元怪人軍団ワルデモンと戦う』という設定の特撮ヒロインモチーフのアイドルショー」。
そんな少々ややこしい設定の世界観の元に展開する横スクロールアクションゲーム。

  • 3画面分あるステージはアイドルショー上演中の劇場の舞台の上で、左右の舞台端で仕切られた舞台上を左右に行ったり来たりしながら戦う。
    • ステージ開始後は床下からザコ敵が出現し、所定のタイミングで舞台袖からステージ毎のボスキャラが出現する。
    • ステージ開始後、一定の間隔で舞台の左右端のどちらかからカメラ小僧が現れて移動するモモを執拗に追いかけ、立ち止まった隙に「フォーカスチャンス!」の掛け声とともにカメラのフラッシュを炊いてくる。これをくらうと恥ずかしがってしゃがみこみ、一定時間硬直して隙ができてしまう(しかも硬直時間がかなり長い)
      「……ミニスカでハイキックしまくっているくせに」は禁句。(「事務所の指示で嫌々ながらやらされてるんだ」と思ってあげよう)
      • ちなみにカメラ小僧はザコ敵の出現パターンが変化する時やボスキャラ出現の直前に出てくるという特徴を持ち、つむじ風の発生やボスの出現を予測する目安になる。
  • ステージはエピソード仕立ての構成となっており、全4話16ステージ(1話4ステージ)からなる。
    • 第1話「恐怖!怪人軍団」
    • 第2話「吸血フラワーの謎」
    • 第3話「狙われた女学生」
    • 第4話「変身!最終決戦」
    • 各ステージの固定ボスキャラを倒すとクリア。
    • ライフ制でHPが尽きた時点でゲームオーバー。コンティニューすると体力ゲージ・ワンダーゲージが初期値にリセットされた上でプレイ中のエピソードの冒頭ステージからやり直しになる。
      • 筐体設定でラウンドセレクトをONにしていた場合に限り、ゲーム開始前に自由にステージを選択可能。
    • 制限時間及び永パ防止キャラクターの類は存在しないが、ステージ開始後は時間経過に伴ってザコ敵の登場頻度や攻撃頻度、移動スピードが上昇していく。攻略に手間取っているとその分、クリア難度が上がってしまうため、的確かつ手早い攻略が肝要。
  • 自機の性能
    • 後述の変身によってキャラクターの性能が強化されるようになっているが、変身前はジャンプや振り向きの動作に慣性が働いているため、動作がやや重くもっさりとしていて操作の癖が強い。
    • 敵の飛び道具攻撃を食らうとしゃがみこんで硬直し隙ができる。また敵本体と接触すると後方に尻もちをつき、ジャンプ中に接触した場合は後方に大きく弾かれて仰向けに倒れてしまう。いずれの場合も転倒してから立ち上がって完全に体勢を立て直す直前まで無敵状態となる。ジャンプ中に舞台袖に激突した場合も弾き飛ばされて転倒してしまう。
      • 立ち上がるまでの無敵時間を利用してわざと舞台袖にぶつかって敵の包囲から逃れるというテクニックもある
  • 操作形態は「4方向レバー+アタックボタン&ジャンプボタン」
    • レバー左右
      • 横方向き中に軽く1回入力すると正面を向く。横向き中にレバーを倒すと反対方向へ歩き出す。
    • レバー上
      • ジャンプボタンと組み合わせることでジャンプの高さが2倍になる。
    • レバー下
      • しゃがみ。正面向き中は正面向きのまましゃがむ。
    • アタックボタン
      • キックで攻撃。体勢によってキックの種類が変わる。変身時を除き足技のみ。
        + キックの種類
      • ハイキック
        • 横向き時にアタックボタン。
          • リーチが短く隙が大きい
      • しゃがみキック
        • 横向き時にレバー下+アタックボタン。
          • リーチが長く隙が小さい。主に攻撃のメイン手段となる。
      • 開脚しゃがみキック
        • 真正面向き時にレバー下+アタックボタン。
          • 左右にリーチの長い蹴りを繰り出すが硬直時間が長く隙が大きい。
      • 開脚ジャンプキック
        • 真正面向き時にジャンプ+アタックボタン
          • アタックボタンを1回押すだけだと蹴りを出した瞬間にすぐに足を引っ込めてしまうが、アタックボタンを押しっぱなしにすると着地するまで足を延ばし続けると同時にモモの左足先(画面に向かって右側の足先)の攻撃判定が持続するため、耐久力の高い敵に密着して出すと多段ヒットする。
            逆の足を当てた場合はダメージモーションになって強制キャンセルされる。
          • 隙はやはり大きいので使いづらいが、障害物「クリスタルタワー」を破壊する時や一部のボスに非常に有効。
      • ワンダー稲妻キック
        • 横方向にジャンプ中にアタックボタン
          • 通常の2倍の威力を持つ横蹴りを繰り出す。敵に当てづらいためあまり有用ではない。
  • 変身
    • 正面向きでアタックボタン連打。連打開始と同時に回転を始め、回転の加速と同時に変身が始まる。
      • 連打開始直後は無防備となるため隙が大きいが、変身中は敵の動きが停止して無敵状態となる。
    • この他、舞台上に時々現れるつむじ風に入ることで自動的に変身可能。
      • こちらの場合はつむじ風に入った直後から無敵状態となる。
    • 変身条件はザコ敵を倒すことで上昇するワンダーメーター(画面左上の体力メーターの下段)が1メモリ以上溜まっていること。
      溜まっていないと変身アクション自体が行えず、つむじ風もこない。
    • 変身するとパワーアップして自機の性能が上がるが、変身中は敵を倒してもメーターは上昇せず時間経過と共に減少し、0になると変身が解けてしまう。効率よくクリアするには敵の出現パターンと変身のタイミングを覚え、パターン化する必要がある。
      + 変身中の効果
    • 攻撃力・防御力・ジャンプ力が2倍になる。
    • 破壊不可能な敵弾の一部を破壊可能になる。
    • 飛び道具「ワンダーリング」を常時装備。
      • 横方向への攻撃はこれで固定となり、横向き時のキックはリングを手放さないと出せなくなる。
    • カメラ小僧のフォーカスショットに怯まなくなる。変身後はアンダースコートと言う事なのだろうか?
    • 一部のザコ敵の弾を喰らっても硬直しない(今風に言うと「アーマー効果」)。さらにダメージを受けて転倒した際の復帰時間が変身前より短くなる。
    • 自機に働く慣性が緩くなり、全体的に動きが機敏になる。

    • ザコ敵を一定数倒すと、アイテム(カプセル)が出現する。
      • 赤&黄色のカプセル
        • 体力ゲージが2メモリ回復する。ステージクリア以外で体力回復できる唯一の手段。
      • 白&赤のカプセル
        • 取るとモモが白く光り、静止した状態でボタンを押すとワンダーリング攻撃の代わりにモモが腕を組んで光線を出す「ワンダーショット」が使用可能になる。一定時間内なら何度でも撃てる。変身中にしか出現しない。
      • 黄色&青のカプセル
        • 高速回転しながら左右にワンダーショットを乱射する必殺技「ワンダータイフーン」を一定時間放つ。発動中は動けないが、完全無敵でワンダーゲージも減らない。変身中にしか出現しない。
      • 倒したザコ敵の数はステージ開始直後から累計で加算されていくため、1ステージ内で多くのザコ敵を倒していくほどカプセルの出現が早まる。

    賛否両論点

    • 作品全体に漂う独特なノリ
      • 本作が敬遠された大きな原因でもある。美少女が足を振り上げてキックする度に、ダメージを食らって転倒する度にパンツをちらちらさせ、カメラ小僧に激写されたり「キャー!」だの「もうだめ!」だのの叫び声をあげるのである。
      • 今でこそ女の子がパンチラしたり露出度の高い恰好をしてお色気を振りまくゲームは極々普通のものになっているが、この頃はゲーセン全体が男性の立ち寄る場所という認識がまだまだ根強く、世界観もキャラクターも男らしく硬派なものが主流だった。女の子が主役のゲームがぽつぽつと表れ始めた時期だったとはいえ、女性が主役の作品はまだまだ軟派と見られがちであったのである。
        ただでさえそんな背景があったうえに、硬派な作品を多く輩出してきたナムコがここに来てまさかの攻めの姿勢に転じたというわけで、その衝撃たるやなかなかのものだったのだ。
        当時のゲーセンのメイン顧客であった男性ユーザー及び当時の硬派な男性ナムコファンに「恥ずかしくて手が出せなかった」という人が多かったのもむべなるかなというところである。
      • 80年代当時のアイドルブームを意識してヒロインがアイドル、舞台下で腕を振り上げて応援する親衛隊らしい男たちなど、その筋のマニアを意識したような作風である。

    問題点

    • 操作性の悪さに起因する難易度の高さ。
      • 歩くスピード自体は速いものの、自機に慣性が働いているため左右へ方向転換する際の反応が鈍い。加えて転倒後の復帰中の無敵時間が極わずかしかない上に点滅表現がないので視覚的にわかりにくく、硬直時間も長い。
        慣れない内は転倒して体勢を立て直せないまま畳み掛けるように敵の攻撃を食らって瞬く間にゲームオーバーという事態が起きがちで、ストレスが非常に溜まり易い。
        上述の舞台袖を利用した包囲脱出のテクニックにしても舞台袖に多数の敵が群がっている状況ではあまり役に立たない。
      • ちなみによく言われている「左右への向きの転換には正面を挟む」というのは誤りで、横方向を向いた状態で反対方向にレバーを倒すだけで振り向くようになっている(この仕様に関してはインストラクションに明記がないため分かりにくく、ナムコミュージアムアンコールの取扱説明書で初めて明記されている)。
        • レバー押しっぱなしでは振り向くと同時に歩き出すので敵に衝突し易くとっさの対応も取り難くなるため、「レバー2度入力で正面を経由して振り向くことにより向きを変える際の隙を極力減らす」というわけである。
          しかし、この方法にしても向きに応じて素早くレバーを複数回入力しなくてはならないので忙しくやはり対応が遅れ易い
    • ボス敵も種類も攻撃方法も多種多様なため、それぞれに適切な攻略パターンを見出す必要がある。
      • 変身前のモモの素の性能が弱いためワンダーモモに変身した状態で戦わないと厳しく、ボス戦突入時に変身状態を十分に維持できるようにパターンを組まないといけない。
        • 後半になるとボスクラスが2体以上出てくることも珍しくない。最大で4体出てくるステージもある。
      • 特に3-4のボス「ターボノイド」はかなりの難敵で、敵の特性や倒し方を知らないとここで詰まりやすい。
    • 受けたダメージのリカバリーが難しい
      • 「ザコをたくさん倒すほどカプセルの出現頻度が上がる」という仕様のためか面クリア時の体力回復量が少なく、全ステージ一律で2メモリしか回復しない。このため、ギリギリで面クリアした際に立て直し難く、ジリ貧になりやすい。
      • 肝心のカプセルアイテムも以下の難点がある
        • 出現後放置しておくと画面上部に上昇していき最終的に画面外に消えてしまうようになっているため取り逃してしまい易い。無数の敵に囲まれて混戦状態になっている時に遠距離攻撃で遠くの敵を倒して出してしまった場合はまず取得が間に合わない。
        • ザコ敵を一定数倒すと出るという仕様上、敵を倒せば倒すほど次のカプセルの出現が早まる上に時間をかけすぎると難易度が上昇してしまうため、ワンダーゲージを貯める(ザコを倒す)ことが必須となのも相まって意図的に出現タイミングを調整するのも難しい。
    • ワンダーパワーのやりくりが難しい
      • 変身後のタイミングを誤ってパワーを消耗してしまったり、ボスを倒すのに時間をかけすぎてパワーが切れてしまったりと、パワーを維持するのが難しい。
        • ワンダーメーターの初期値が2メモリのみで設定でいじることもできないため、コンティニュー後に十分な量のパワーを稼ぐのが難しいのも拍車をかけている。
        • 特に中盤以降では開幕直後からボスが出現してくるステージが多く十分な稼ぎに勤しむ余裕がなくなってくるため、直前のステージでワンダーパワーを十分に残しておけなかった場合、実質的に詰み状態になってしまうケースも多発する。
    • 舞台劇という設定上、背景はステージによって変わるもののただの書き割りであり、敵以外の障害物やアスレチックなどのギミックも皆無。
      『ザコを倒し力を溜める→ボスキャラ出現→変身してボスを倒しクリア)』……と、同じことの繰り返しで、ゲーム的には単調である。

    評価点

    • パターン化必須のゲーム性
      • システム自体は単調だが、制限時間の伴う変身アクションで攻略パターンを組み立てる要素によりそれなりの戦略性を持っている。
        • もしこの要素がなかったら、単純に敵を倒していけばいいだけのヌルいゲームになっていたであろうことは想像に難くない。
    • 独特な操作に慣れるまでが壁だが、1プレイあたりの総プレイ時間は20分程と短くゲームテンポそのものはよい。
      • 全16面と、アーケードのアクションゲームとしてはそれなりのボリュームで戦略性と難易度面での歯ごたえも十分あるため物足りなさも感じ難い。
    • 明るくコミカルな作風
      • キャラ作りに定評のあるナムコらしい、マッピーやパックマンなどのポップでかわいいキャラクターをメインにした作品と同様の、明るくどこか能天気な雰囲気がよい感じ。
      • 先述の通り「アイドルショー」という設定になっているため殺伐感もなく、ゲームオーバーになってもそれほど後味の悪さを感じないのもいい所。「舞台を失敗して泣きだしてしまい、途中でショーが終わってしまった」だけで、別に深刻な怪我をしたり死んでしまうということではない。
        • と同時に、後述のように特定の面クリアでは色々な演出が挟まるため、「ようし、モモのためにも次こそはクリアするぞ」と思わせてくれる。
    • 80年代の特撮番組とアイドルブームという、80年代当時の風俗を取り入れた独特な舞台設定。
      • アイドル推し的な風情を取り入れた世界観やキャラクターと合わせ、当時としてはかなり斬新であった。
    • コミカルに、変身時にはカッコよく決めてくれるBGM。
      • 本作のBGMはプログラムを担当した弓達公雄が制作した(サウンドスタッフが他のプロジェクトで多忙だったため)。
    • 敵味方ともボイス付きでよく喋る。
      • パターンは非常に多い。ほとんど棒読みだが*2
    • 演出もセンスがいい
      • ステージ開始時に主役のモモが描かれた緞帳*3が上がってスタートし、ステージクリアすると緞帳が下りてくる、3面で敵に捕らわれた女学生を助け出すと「どーもありがと」と(棒読みで)お礼を言ってくれたりと、舞台劇という設定を活かした演出にもなかなかこだわりが感じられる。
      • エピソード仕立ての構成によりささやかながらもストーリー性が含まれており、特撮ヒロインものならではの熱いノリを感じさせてくれる。
      • 「変身中は完全無敵で周囲の敵も動かなくなる」というのも、「変身中は敵も大人しく待っていてくれる」という変身ヒーローもののお約束を体現しているとも言える。
    • ヒロインのモモがかわいい。
      • なんだかんだ賛否両論ながら、主人公のモモは80年代のナムコを代表する人気女性キャラクターとなった。
        ドルアーガシリーズのカイ、ワルキューレシリーズのワルキューレと合わせて当時のナムコ三大ヒロインとして多大な人気を集め、一時期ゲーメストの人気キャラ投票で三者で上位を独占するほどの人気を誇っていた。
        • 「狙われた女学生」に登場する「アマゾーナ」も人気は高い。

    総評

    本作がリリースされた80年代末期は、ナムコが優れた作品の数々を排出し脂が乗りに乗っていた80年代……いわゆるナムコ黄金期と呼ばれた時代が終息に向いつつあり、攻勢を誇っていたナムコに一抹の陰りが見え始めていた時期であった。
    それまでの硬派で漢らしいゲームか、女性向けのかわいらしいキャラクターをメインに据えたコミカルなゲームとはまた毛色の違った作品が現れ始めていたその中で、本作は突如世に放たれ、大きな衝撃をもたらすこととなった。

    ゲーム性の面では操作性が悪く難易度も高いためにとっつきにくく、キャラクターや舞台設定などの外堀の面を見ても、キャラクターは魅力的だけれどもいかんせんマニアックで万人受けするとは言いがたい作風であり、「操作性が悪くて難しいけどキャラクターがかわいいから(むしろパンチラが)いい」という人、「ゲーム性の悪さやゲーム全体の雰囲気やノリについていけない」という人と、評価が真っ二つに割れることになってしまった。

    とはいえ、その作風で確かなファン層を掴んだこともまた事実。
    ゲーム全体に漂う能天気な雰囲気や明るい世界観、そしてキャラクターの持つ魅力は、まさにキャラ作りに定評のあるナムコの面目躍如といえるだろう。

    その後、「女性キャラをメインに押し出したマニアックな設定のアーケードゲーム」というこのセンスは、「女体にサル」のキャッチコピーでお馴染みの脱衣系陣取りゲーム*4ダンシングアイ』、そして一大センセーションを巻き起こしたアイドル育成ゲーム『アイドルマスター』へと受け継がれていった。


    移植版

    • PCエンジン版
      • 1989年4月21日発売。容量の関係から一部変更が加えられている。
      • サンプリング音声、一部の敵(大型ボス)と音楽、ステージ数の削減。
      • キャラクターのモーションパターンの簡略化、背景の全面書き換えと演出・ステージ構成の変更(エピソード仕立てではなくなった)。
      • モーションパターンの簡略化に伴い、キャラクターの動きの慣性がなくなって全体的に動きが機敏になり、ゲームスピードがAC版に比べて上昇している。
      • 一定のステージをクリアするごとにビジュアルシーンが挿入されるようになり、ギャルゲー色が強まった。
      • 2007年2月27日にはWiiのバーチャルコンソールで配信開始された(サービス終了につきDL不可)。
    • プレイステーション版
      • 1997年10月30日発売の『ナムコミュージアムアンコール』に収録。
      • こちらは業務用を再現しているが、わずかに業務用と異なる部分がある。またPS2本体では互換性の問題から正常に動作しない。
    • バーチャルコンソールアーケード版( ※サービス終了につき現在はダウンロード不可
      • 2009年6月16日配信開始。業務用の完全移植版(要800Wiiポイント)。
    • アーケードアーカイブス(ハムスター)
      • 2022年3月31日にSwitchとPS4に配信。

    その後の展開

    • モモはこのゲームでデビュー後、『ファミスタシリーズ』に登場するナムコキャラによる球団チーム「ナムコスターズ」のメンバーとして*5、またFC用ソフト『ファミリーサーキット』のナムコキャラで構成された「ノービルクラス」のライバルレーサー、『ファミリーピンボール』のバトルモードの対戦相手としてゲスト出演するなど、その後も地道な活動を続けた。
      • 後に『バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海』や『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』にアイテム扱いで特別出演している他、2002年発売のWSC用シミュレーションRPG『ナムコスーパーウォーズ』*6、2005年発売のPS2用シミュレーションRPG『NAMCOxCAPCOM』にゲスト出演を果たしたのを皮切りに、3DSソフト『プロ野球ファミスタ2011』にナムコレジェンズ*7のメンバーとして引き続き続投、2011年7月28日発売のPSPソフト『クイーンズゲイト スパイラルカオス』にもスペシャル参戦キャラとして登場する*8など、再びキャラ自身が日の目を見る機会が増えてきている。
      • また、バンダイナムコゲームスの運営により2012年には海外で運営されているナムコのレトロキャラクターを取り上げたwebコミック連載サイトで本作もwebコミック化され、2014年にはさらにそれを原作としたwwebアニメが配信された他、ブラウザゲームも制作された。
      • 続編として配信された『Wonder Momo:Typhoon Booster』は、ワンダーモモの時代から25年後、神田桃の娘が二代目ワンダーモモとなり侵略者ワルデモンと戦うという設定。役者による舞台演劇の設定がカットされてワルデモンはすべて本物の侵略者という設定になり、これによりアマゾーナ(初代)もワルデモンの忠実な僕になった。
        • 「ワルデモンの王が軍団の総元締め」という設定のためモズーの存在がなかったことにされている(が、エンディングでさりげなく登場する)。

    余談

    • 本作のプログラムと音楽を担当した弓達公雄によれば、本作は80年代中期辺りまでのナムコのアーケードゲーム作品のプログラムを多く手掛け、天才と称されていたプログラマー・深谷正一をプログラマーに据えて立ち上げられた企画であったという。
      • 深谷の机の上に多くのフィギュアがあったことから氏が好きなそうなテーマということで企画されたものだったが、ほどなくして深谷が急逝したため弓達がプログラムを担当することになったという*9
    • 後に『ドラゴンスピリット』などで頭角を現し、『リッジレーサー』でブレイクするmegaten/Sampling masters MEGAこと細江慎治のデビュー作はこれ(ソースは三原一郎氏のツイート)。ただし音楽スタッフではなく、ドッターとしての参加だった。
    • 後に本作のメインBGMと変身BGMがボーカルアレンジされ、当時定期的にリリースされていたナムコゲームミュージックのアレンジアルバムシリーズに収録された。
      変身前をアイドルポップス調、変身後をハードロック調というギャップの著しいアレンジに乗せて戦うヒロインの日常と悲哀を描いた名曲である。作詞はプログラムと作曲を担当した弓削氏*10
      • 初出はドラゴンスピリットがメインで収録されていた「ナムコ ビデオゲームグラフィティ Vol.2」。当時ドラスピ目的で購入し、いかにもアイドルチックなロリボイス的歌声とハスキーボイスによる熱いシャウトの掛け合いを聴いてのけぞった人は多いだろう(しかも収録トラックは世界観がまさしく対極な戦車シューティングアクション「ブレイザー」の次)。*11
        • ちなみに変身前パートを担当したのは、詩人・シンガーソングライターで路上弾き語りライブを行っていることでも知られる女性ボーカリスト津田まさごろで、ディグダグのボーカルアレンジ曲「恋のディグダグ」も歌っている。*12
      • 更に2005年に歌手兼声優・桃井はるこによる書き下ろしの歌詞と、「日本ブレイク工業社歌」で脚光を浴びたミュージシャンmanzoの手がけた新規アレンジによるパロディ的カバー楽曲「ワンダーモモーイ」が家庭用『太鼓の達人 とびっきり! アニメスペシャル』に収録。AC版『8』『9』に限定収録された*13他、後に新録シングル版がリリースされた。
    • NAMCOxCAPCOM(以下ナムカプ)』で正真正銘の戦うヒロインになったこともあって誤解されやすいが、このゲームはあくまで「アイドル主演の舞台劇(ヒーローショー)」をモチーフにしたゲームであり、ゲーム内の世界でも「ワンダーモモ」はフィクション上のキャラクターである。よってモモ自身にはスーパーヒロインとしての能力は一切ない。
      • この点は、AC版のチラシの作品解説が劇場のパンフレットを意識した文章になっていたり、当時のゲーム雑誌でアイドル・モモへのインタビュー形式という形で特集記事が組まれたり等で当時から押し出されており、ビジュアルシーンの導入によってギャルゲー色が強まったPCエンジン版ではさらに強調されている(ゲームの合間合間に挟まれるビジュアルシーンは、アイドル神田桃の日常の一幕という設定になっている)
      • ナムカプに参戦した際も原作同様、特殊能力を持たない極普通の少女であり、同じナムコヒーローであるベラボーマンから『超変身物質』を授かることによって本物のスーパーヒロインに変身した(こちらではアイドルではなくミュージカル女優という設定になっている)。
      • 同作には他にアマゾーナ、クラブフェンサー、キャノンポッターが登場している。モモ同様原作では戦闘能力はないが、アマゾーナはドルアーガに操られており、クラブフェンサーとキャノンポッターは着ぐるみの中にドルアーガの兵士が入っているというクロスオーバー設定が組み込まれている。
      • 原作の独特な作風からキャラ人気自体は高かったもののデビュー当初はどこかイロモノ的な目で見られがちであったが、2000年代以降はナムカプで初めてキャラクターを知った新規層も増え、純粋にかわいい女の子キャラクターとして新たな人気を獲得していった。
    • 2020年から始まったバンダイナムコスタジオ制作によるYouTubeの番組「ナムコ ミュージアム オブ アート」の第3回で本作が取り上げられた。それによるとPCエンジン版発売後にいくつかの別企画が進行していたそうで、その中の一つであるRPGの『ワンダーモモクエスト(試作品)』の画像も紹介された。「1987 1992 NAMCO LTD.」の表記があるが機種など詳細は不明。その画像からSFC用コマンドRPGだったと推察されている。
      • その画像内におけるセリフなどから類推するに、「地球にやってきたワンダーモモがとあるアイドルプロデューサーの下に居候しアイドルとして活動しつつ敵と戦う」というような内容になる予定だった模様。
    • 本作は後付け設定によって『アイドルマスター』と世界観がリンクされている。
      • 同作において「ワンダーモモを演じた神田桃は765プロの高木順一朗社長がプロデューサー時代に初めて手がけたアイドルである」という設定が付加され、アイマス本編のアイドル候補生たちの先輩として位置づけられるようになった。年齢は気にするな!
      • それと関連し、アイマスのDLC衣装にワンダーモモの変身中コスチュームがラインナップされている。
    • 『ファミコン通信(現ファミ通)』で連載されていたギャグマンガ『しあわせのかたち』(1986-1994年)に登場する「ワンダーオオ」*14の元ネタであり、当時は本作は知らなくてもオオなら知ってる(『しあわせのかたち』はOVA化も果たしており、その中でワンダーオオも登場している)と言う人も多かったかもしれない*15

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    ACT ナムコ 1987年 AC
    最終更新:2025年07月20日 13:12

*1 近い時期に出た有名どころでは、SNKの『アテナ』や本作と同年の『サイコソルジャー』、タイトーの『タイムギャル』『奇々怪界』などがある。

*2 敵味方含めて社員が担当しているため。

*3 しかも芸が細かく、エピソードごとに絵が変わる。

*4 開発中の社内呼称「ニョタックス」

*5 ただこの当時の作品でのナムコスターズはキャラグラを意識してか男キャラに限られていたため登場したのはシリーズの後年作品。

*6 発売はバンダイ。ハードがマイナーだったため作品の知名度も低い。

*7 ナムコスターズのキャラクターが1990年代以降のキャラクターに入れ替えられたため、1980年代のキャラクターには「ナムコレジェンズ」として新たなチームに割り当てられた。

*8 声優は「ワンダーモモーイ」を歌った桃井はるこ氏。キャラとしてモモを演じるのは実はこの作品が初。

*9 サウンドトラック『HuCARD Disc In BANDAI NAMCO Games Inc.Vol.2』付属ブックレット掲載。弓達公雄インタビューより

*10 氏は80年代のナムコアーケードゲームのボーカルアレンジ曲の作詞を多く手掛けている。

*11 ちなみにこのアルバムは他に「トイポップ」「サンダーセプター」「妖怪道中記(アレンジ)」が収録されており、当時のナムコゲーの闇鍋ラインナップっぷりがよく表れている。

*12 初音ミクを思わせるような高音域かつ幼さとあどけなさの残る歌声を持ち味としている人で、有名なテキストサイト『バーチャルネットアイドルちゆ12歳』の記事内で『まったりロリボイス』形容されている。

*13 後に新筐体ホワイトVer.に収録され、約8年4ケ月ぶりにAC復活を果たした。

*14 「オオ」の由来は正体の「本田べるの」の台詞が「~お」「~だお」な事からと思われる。なお『2ちゃんねる』の「やる夫」誕生は2006年頃なので誤解なきよう。

*15 当時の小学校はゲームセンターへの出入り禁止をしていたし、そもそも『ワンダーモモ』自体が"大友"向けすぎて子供に受ける内容とは言いがたかった為。