ハイパーオリンピック イン アトランタ
【はいぱーおりんぴっく いん あとらんた】
ジャンル
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スポーツ
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対応機種
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プレイステーション
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1996年6月28日
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定価
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5,800円(税抜)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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ファミコン時代からまるで進化していない内容 ハイパートラック&フィールドインアトランタ
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ハイパーオリンピックシリーズ 初代(AC / MSXI / MSXII / FC)/ '84 / アトランタ / ナガノ(AC / PS / N64)/ GB / 2000
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概要
1983年から続くコナミの人気シリーズ、ハイパーオリンピック。
本作はJOC(日本オリンピック委員会)から正式に許諾を得て、12年ぶりに「オリンピック」の名を冠した作品となった。
システム
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まず、選手の名前と国籍を決定する。選手は計4名で、プレイヤーが操作しないキャラはコンピューターになる。
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国籍はアメリカ、ロシア、ドイツ、中国、キューバ、韓国、フランス、オーストラリア、カナダ、イギリス、日本、ケニアから選べる。
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なぜか妙に東アジアとヨーロッパに偏っているとか、アフリカとオセアニアがそれぞれ一か国しかないとか、中東と南米に至っては完全に忘れられているとか突っ込みどころは色々あるが、これも時代と言うものだろう。
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次に種目を選ぶ。種目は100m走、走り幅跳び、砲丸投げ、水泳自由形、110mハードル、走り高跳び、ハンマー投げ、三段跳び、槍投げ、棒高跳び、円盤投げの11種目。
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各種目の操作は、基本的に◯か□連打で操作、△か×でアクションとなっている。
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100m走は連打のみ、それ以外はタイミングを合わせてボタンを押す操作が求められる。水泳自由型ならターン、ハードルや三段跳びならジャンプなど。複数回測定が行われる競技ならば規定回数の計測を終えるまで挑戦することになる。
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個々の種目には目標スコアが定められており、このスコアを上回れなかった場合は失格となる。目標を上回れた場合は、成績に応じてポイントが与えられる。
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全ての種目をこなして、総ポイント数の多い選手の優勝となる。
問題点
ハッキリ言ってファミコン時代からゲーム内容が全くと言っていいほど進化していない。
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種目数の少なさ
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まず全11種目という種目数。なんとファミコンの『コナミックスポーツ イン ソウル』の14種目から減少している。
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その内訳も、水泳自由形以外すべて陸上競技という変化のなさ。当然、背景は水泳以外は全て同じスタジアム。
ここまで来ると、もはや『ハイパーオリンピック』ではなく『ハイパートラック&フィールド』と言われてもしょうがないレベル。
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相変わらずの連打がすべてのゲーム性
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操作方法もハイパーオリンピックシリーズの伝統に乗っ取り、正々堂々連打のみという漢らしさ。
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種目によっては、連打中にタイミングよくボタンを押すことは指示される。しかし操作系統の違いはそれぐらい。
ファミコンの時代ならばこれでも評価されただろう。しかしフルポリゴンのPS時代にもなってこの変化のなさは…。
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より詳細に説明すると、100メートル走は連打するだけ。残りの競技は連打してパワーを溜めたりスピードを上げ、タイミングを合わせてボタンを押してジャンプしたり投げたりするだけ。ハードルだとジャンプする回数が多かったり、三段跳びだとタイミングがシビアだったり、槍投げはハンマー投げと違って角度のタイミングがあったりするが、それ以外の違いはほぼなく
冗談抜きにこれだけしか操作方式がない
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そもそもひたすら記録を更新する以外のゲームモードが一切ない。
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流石にこの時期の家庭用ゲームとしては、あまりにもやり込み要素に欠如したクオリティ。シナリオモードとまではいかずとも、何かしらのご褒美要素ぐらいはあっても良かっただろう。
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一人でやり込むには底が浅く、パーティゲームとして評価するにも各種ミニゲームがあまりにも変わり映えせずゲームモードが乏しい…とゲームとしての全体的な方向性がかなり曖昧。一通りの種目をクリアした後にプレイのモチベーションを維持するのは困難。
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リアルさ重視のためか、あまり現実離れした描写はみられない。リアルと言えばリアルなのだが、地味。
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競技に集中させるためか、競技中は一切BGMが流れない。確かに実際のオリンピックでも競技の最中に流れたりはしないが、ゲームとしては地味である。
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しかし槍投げで限界までゲージを溜めて投げると、なんとUFOが落ちてくる。なぜそこにだけリアリティとかけ離れた表現がなされているのだろう。
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100m走、ハードル、水泳以外は個別にスコアを計測する形式になる。しかし、3人以上のプレイにはマルチタップが必要になってしまう。
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正直このシステムならコントローラー使い回しでも十分操作できる。同時に計測を行う3つの競技も(実際とは異なる形になってしまうが)個別にタイムを計測する方式にすることは可能だったはず。
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つまり、リアルさを追求しすぎてパーティーゲームとしての遊びやすさが犠牲になってしまっているのである。これでは本末転倒だろう。
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CPU操作キャラの名前がCOM2、COM3とやたら味気ない。
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実際の選手名は肖像権の問題があるから無理にしても、せめてそれらしい名前にはしてほしかったところ。
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隠しコマンド入力で世界記録を見ることができるが、隠さなければいけない必然性は到底感じられない。
評価点
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グラフィックは時代相応の悪くない出来。選手の個性は肌の色ぐらいしかないが。
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またオープニングは非常に気合が入っており、躍動感があってワクワクするものになっている。
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アナウンスも多彩で、演出はかなり盛り上がるものが多い。
総評
プレイステーション円熟期を迎える頃合いの1996年に出たのか理解に苦しむ程に時代遅れなゲーム。
グラフィック以外はそれこそファミコンでも十分再現できるレベルの内容の薄さである。ファミコン時代なら良作と評されたかもしれないが、この時期にハード性能の向上した次世代機で出す作品としてはいただけない。
本作を評価するに当たっては、「8割連打2割タイミング」という極限までシンプル化された操作をどう受け止めるか、がポイントになるだろう。よく言えば「わかりやすくとっつきやすい」と言えなくもないが、プレイの幅があまりにも狭すぎるため、繰り返しプレイすると速攻で飽きるという致命的な問題点でもある。総合的には、ゲームとしての完成度に大きな疑問符が付けられることは避けられないだろう。
現実にオリンピック競技として正式認定されたスポーツの数の多さも踏まえれば、時代に合わせて新しい種目を多く取り入れ、ゲーム性においても根本的にテコ入れを行って然るべきであったが、それすらもなかったためにただ古臭いだけのゲームとなってしまった。
余談
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同時期にAC版もリリースされたが、『ハイパーアスリート』とタイトルが変更されている。JOCから許諾を得られなかったのかについては不明。
基板はコナミのPS互換基板であるGVシステムが使われている。
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コナミも連打だけではつまらないゲームになってしまうと判断したのか、2年後に発売された『ハイパーオリンピック イン ナガノ』は十字キーやスティックによる操作、ボタンを押すタイミング等を取り入れたゲームとなり、本作と比較しても楽しめるゲーム性となった。
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本作と同じ年にココナッツジャパンから、アトランタオリンピックを題材にした、PSソフト『炎の15種目 アトランタオリンピック』がリリースされている。
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こちらはU.S.GOLDがPS用に出した公式ライセンスゲームの『Olympic Summer Games Atlanta 1996』をそのまま日本でリリースした洋ゲー。選手の参加国も24カ国(中東や南米の国も含まれている)あり、競技内容も本作と被るものを除けば400mリレー、アーチェリー、クレー射撃、重量上げ、射撃(25mラピッドファイヤピストル)やフェンシングがあったりとバラエティさの面では勝っている。
しかし、グラフィックのレベルが低くテクスチャも雑だったり、キャラの挙動におかしな面があったりと、当時のダメな洋ゲーにありがちな「雑な作り」が散見されている。
最終更新:2022年11月14日 20:51