Neorude ~刻まれた紋章~
【ねおりゅーど きざまれたもんしょう】
ジャンル
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リーディングRPG
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 裏を見る
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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テクノソフト
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発売日
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1999年12月16日
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定価
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5,800円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※ゲームアーカイブスで付加
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配信
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ゲームアーカイブス:2016年11月22日/617円(税8%込)
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判定
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良作
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Neorudeシリーズ Neorude - Neorude2 - Neorude ~刻まれた紋章~
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概要
マウスのクリック操作に近い操作を駆使してダンジョンを踏破していく「リーディングRPG」、ネオリュードシリーズの第三作。
物語は2の数年後のアルファーウの街を舞台としているため、前作や前々作に登場した人物のほとんどが続投している。
まさしくネオリュードシリーズの集大成である。
ストーリー
大陸船が激しい雷雨と強風の中をつっきっていく。やがて船に雷が直撃し、不時着を余儀なくされる。
その船に乗っていたのは空賊リムファイアとその一味、そして乗客として乗せたユグドラシルという謎の青年と4人の子供たちであった。
彼らが墜ちたのはアルファーウの街の傍にある六花の迷宮。
ちょうど街で雑貨屋を営む少女シィールが商品の仕入れのためにそこへやってきていた。
シィールは大陸船の修理が終わるまでの間、労働を条件に彼らを自分の家に招くことを決める。
同じ頃、別の場所、闇の中から男たちの声がする。
「奴が逃げた、奴を追え」
その声に応えて、フェンリルと名乗る少年が、追跡者として名乗りを上げた。
特徴
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1、2はのんびり屋の戦士ティル、勝気な魔法使いアリア、クールな盗賊ルーフレインの3人の冒険であったが、この作品では1のライバルキャラであるリムファイア、2のヒロインであるシィール、謎の青年ユグドラシルの三人が冒険を繰り広げる。
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パーティキャラクター
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リムファイア・フォン・カルネアデス
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大陸船を駆る女空賊。実は南の船団国家カルネアデスの宗主の娘。
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高飛車で強引な性格だが、なかなかに情の深いところもある。
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ユグドラシルを大陸船に乗せたことから、今回の冒険に巻き込まれてしまう。
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空賊だけあって鍵開けやトラップ解除、盗みなど前作のルーフレインポジションとして活躍する。また高い所に登るのが得意。
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戦闘では銃使いだけあって広範囲の必殺技やステータス異常を付加する技が豊富にあり、円滑な戦闘に欠かせない。
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シィール
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気がついたらシィールとだけ呼ばれていた。
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アルファーウの街で雑貨屋を営んでいる少女。
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一見しっかり者だが、どこかずれて天然ボケな部分があり、その行動は時として周囲の人を驚かせる。
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やがて彼女の過去が物語の重要なカギとなるのだが、本人には過去の記憶がない。
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雑貨屋であることを生かしアイテムを駆使した謎解きで活躍するが、それ以外だと力技の傾向が強く、鍵のかかった宝箱を蹴り開けたり氷壁を爆破したりする。パーティーの中で一番小柄であるため狭い穴を潜り抜けられる。
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戦闘ではか弱いが道具を駆使した回復が強力であるためプレイヤーが操作する機会が一番多い。
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ユグドラシル
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リムファイアの操縦する大陸船に乗っていた青年。
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彼は、ある特殊な「病」にかかった子供たちを連れ、その治療のために旅を続けているという。
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やがて、彼の背後に見え隠れすることになる赤い瞳の戦士の姿など、まだまだ秘密のありそうな謎の多い人物。
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戦士だが、魔法文字を解読でき、高い知識を持つ。戦闘では魔法を使わないが魔法の鍵を開けられる。
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溜めでスキルゲージを高速で上昇させられるため戦闘では攻撃の要として活躍する。
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調べられるものによってキャラクター次第でその反応や用い方が変わってくるのは他のシリーズと同様だが、魔法使いがいない、知識担当が戦士であるユグドラシルなどキャラクターが変わったことでその対処に若干癖がついている。
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またリムファイアの挑発やシィールのアイテム拾い、ユグドラシルの溜めなど戦闘中のコマンドもそのキャラでしかできない行動が増えており、より戦術やチームワークが大切になってきている。
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分散システムが登場。これによってパーティーを分割して行動することができ、複数個所の仕掛けを同時に発動させたり、特定の場所に入れるキャラクターを単独行動させて仕掛けを解いたりなど新たな謎解きの解決手段が登場した。
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2に登場したハーミア屋やガラクタ屋なども健在。やり込み要素の充実に一役買ってくれる。
評価点
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従来シリーズ譲りのダンジョン探索の奥深さ。
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グラフィックや演出面が若干向上しているのと、テキストの量も増えていることからダンジョンの各所を調べたり、キャラを変えて同じNPCに何度も話しかけたりしたくなる。
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分散システムによって新たなタイプの仕掛けが増えているのも好感が持てる。分散中は戦闘で不利になるが、分散が必要な場所はモンスターと遭遇しにくいように配慮されている。
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演出面の向上。
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今の時代から見ると古臭いポリゴンのキャラクターたちだが、その挙動は2以上に細かく、台詞だけでなく動きから感情が推し量れるレベルでよく動く。
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カメラワークの切り替えやズームなどもよく取り入れてあり、イベントシーンはなかなか見ごたえがある。
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キャラクターの挙動がより細かくなったことによりキャラクターごとの個性もさらに深まっている。ツッコミを入れて相手をどつき倒す、尻もちをついて弱り顔になる、など動きや表情が生き生きしている。
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しっかり者であるが天然行動を連発するシィールは特に可愛らしい。
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ユグドラシルの連れた子供たちや、リムファイアの子分たち、追跡者フェンリル、街の人々などNPCたちも様々な表情を見せてイベントを盛り立ててくれる。
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相変わらず出来のいい音楽。
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コンポーザーは九十九氏ではないが、神秘的な曲が多くダンジョン探索の雰囲気を見事に盛り立ててくれる。
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ストーリーも「信じることの大切さ」というテーマをよく表現しており、1や2の内容を包括するような設定や前述の演出力の向上から2に負けず劣らず素晴らしい。
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伏線も丁寧に張られている。前作以前を遊んだプレイヤーならより納得するだろう。
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ただ、2の敵であるラグナレクも登場しているのだが、モブの一人のような扱いをされているのが残念なところ。
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カメラワークはキャラを中心に部屋の重要な部分を映すように練られたため1や2のようにカメラを切り替える手間がなくなった。
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戦闘面では戦闘後のボーナス経験値を入手しやすくなったため、敵とのレベル差があっても経験値を得られることが多くなった。
賛否両論点
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ラストダンジョンは広大な割にギミックが少ない。
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もっとも急いで最深部へ向かわなくてはならない状況であるためテンポがよい、シナリオの熱が冷めにくいともいえる。
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やはり操作性は癖が強い。
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リーディングRPGというコンセプトである以上シリーズのアイデンティティーともいえるが。
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戦闘面ではやれることが多くなったために行動指示のアイコンが小さくなり、この操作に慣れるまでは思い通りに指示ができない。
問題点
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カメラワークを切り替える□ボタンが分散システムに割り当てられてしまったためか、戦闘中に技をかける対象を選ぶのが困難になってしまった。
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前作以前ではキャラクターが重複するなどで技をかける対象が選びにくい時はカメラワークを切り替えることで対処できたのだがそれができなくなった。
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やっぱりボリュームが少ない。
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シナリオは手堅くまとまっているのだが、10時間以内でクリアできてしまう。
総評
ネオリュードシリーズ最終作に相応しい出来のゲーム。シリーズの欠点も引き継いでしまっているが、丁寧に造られた世界観やダンジョン、温かみのあるストーリーなども健在。
舞台やキャラクターの多くが前作以前にも登場していることもあって1や2を気に入ったプレイヤーなら十分にこの作品を堪能できるだろう。
最終更新:2022年05月19日 09:00