BAROQUE
【ばろっく】
| ジャンル | RPG |  
  
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| 対応機種 | セガサターン プレイステーション
 Nintendo Switch
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| 発売・開発元 | スティング | 
| 発売日 | 【SS】1998年5月21日 【PS】1999年10月28日
 【Switch】2020年11月12日
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| 価格 | 7,140円 | 
| レーティング | CERO:C(15才以上対象) | 
| 配信 | ゲームアーカイブス 2007年12月26日/600円
 ニンテンドーeショップ
 2020年11月12日/2,400円
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| 判定 | 良作 | 
 
概要
スティングが発売した一人称視点RPG。
独特で陰鬱、退廃的で暗い世界観が特徴的だが、その独特さが多くのプレイヤーを魅了し多数の派生作品を生み出した。
一部ホラーな演出や鬱イベントもあるので、それらが苦手な人は注意。
なお、PS版は『BAROQUE 歪んだ妄想』とサブタイトルが付いている。
ストーリー
「大熱波」と呼ばれる災害で、人も物も「歪んでしまった」世界。その世界で目を覚ました記憶喪失の青年がいた。
彼は体が透けた謎の男・上級天使により、世界を元に戻すため神経塔の奥に座する神を殺せと命じられる。
神を殺すための武器「天使銃」を渡された彼は、自身に残る「罪の意識」や「引き裂かれた感覚」の真実を知るため、神経塔へ向かうのであった。
特徴・評価点
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本作は一人称視点を採用し、ハック&スラッシュをメインに据えたローグライクRPGとなっている。
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一人称視点のリアルタイム進行である点を除けば『不思議のダンジョン』シリーズなどと同様に、ランダムで構造が変化する神経塔を降りていきランダムで配置されるアイテムを入手しつつクリアを目指すこととなる。
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同じく一人称視点を採用したRPGの『KING'S FIELD』シリーズと異なり、避けながら一方的に攻撃するといったアクション要素はない。
 
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プレイヤーにはHPとVP(バイタリティポイント)というステータスがあり、HPが0になれば死亡し外に放り出される。VPは時間経過と共に減っていき、VPがある限りHPが自動回復する。
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HPは肉、VPは心臓を食べることで回復でき。MAX時に食するとそれぞれの最大値が上昇する。また、これらのアイテムには「腐った肉」や「焼き心臓」といった状態があり、種類によって回復量が変わったりステータス異常を起こしてしまうこともある。
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またこれらは炎を受けると焼き○○になる等の要素も。
 
 
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MPに該当するステータスはなく、魔法は「刑具」「骨」「箱」といったアイテムを使うことで発動する。
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「骨」は比較的入手しやすいアイテムで、投げると敵を追跡して攻撃する「追尾骨」や、かじると階段のある場所へワープできる「再階骨」などがある。使い方は「かじる」と「投げる」で、それぞれで効果が異なる。
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「刑具」「箱」は入手しづらいレアアイテムだが、投げることで敵全体に攻撃できたり、回復効果があるなど強力なモノが多い。
 
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装備品は「剣」と「コート」「偽翼」の3種類だが、「寄生虫」によって耐性やステータス強化を得ることも出来る。
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アイテムは特定の場所にいる「呪葬天使」に渡すことで合成出来、装備品なら属性を付加したり強化することが可能。また、劣化したアイテムを回復してくれる。
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前述の「天使銃」はあらゆる敵を一撃で葬り去る最強武器だが、弾数制限があり使いどころが難しい。
 
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この他にも踏むと回復や罠などの効果がある「紋様」やステータスを強化できる「注入液」など様々なアイテムが登場する。
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『不思議のダンジョン』シリーズ同様にアイテムは未鑑定の場合もあり、実際に使ったり装備、または「判明骨」を使うまで不明なものもある。装備したものが呪われているといった罠も当然あり、ローグライクとしての骨子はしっかりしている。
 
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神経塔の外にも世界は広がっているが、移動できる場所は限定されている。
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外の世界や神経塔内には上級天使をはじめとした歪んでしまった人物たちがおり、会話が可能。また、少数だがザコ敵も出現する。
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登場人物たちも独特でまともな外見をしたものはまずいない。キリンのように長い首を持つ「首の者」や、主人公の心を読んで言葉にする「角女」など外見も独特だが、ストーリーが進むたびに妄執や未練など様々な感情を吐露する様は哀愁漂う。なお、主人公は喋る事が出来ないため、角女の言葉が主人公の心情や口調を知る手がかりともなっている。
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彼らの言葉を聞くことで世界の背景、物語の真相が少しずつ明かされていく。
 
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以上のように、本作は登場するアイテム、ストーリー、キャラクター全てにおいて陰鬱で独特な世界観を築いている。全体的に暗い世界はプレイヤーを強烈に惹きつけるものがあり、この世界にドップリハマったプレイヤーも多い。
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ゲームバランスは「死んで覚える」を地で行くバランスのため、慣れない序盤は死にまくる。死亡すると当然レベルとアイテムを失ったうえで外に放り出される。
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だが、ダンジョン内で死ぬことで先に進むヒントが見つかったり、「死ぬ」こと自体が物語を構成する重要なファクターとなっており、厳しめながら練られたゲーム性である。主人公は多数のクローンが存在しており、ダンジョン内で死亡すると次のクローンが目を覚ましてプレイヤーとなる。ローグライクでは当たり前の「死ぬと外に出され、レベルやアイテムを失う」という要素もこうして理由付けされている。
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特定の場所にある「感覚球」にアイテムを投げることで外に放り出しておくことが出来、回収可能。PS版ではアイテムを送ると外にいる「物の者」が拾い、彼を殴ることで回収できるが、彼の袋には容量制限があるため、容量を超えると送り返されてしまうようになった。容量はアイテムリストが埋まることで増えていく。
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神経塔以外に「カンオケ男」が主催するダンジョンがあり、挑戦することができる。ゲーム開始直後はチュートリアルもしてくれる。
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なお、ストーリー進行フラグの立て方とゲーム進行のコツを掴んだ後は、慎重プレイを心掛ければチュートリアル(-1)からノーミスでエンディングを迎える事も容易となるが、無謀な行動をすると途端に難易度も上昇するといった、絶妙なゲームバランスになっている。
 
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PS版は「~歪んだ妄想~」の副題が付いた。NPCの台詞をリスト化した「シーンリスト」と、PS版から登場する「物の者」に預けたアイテムが一覧化された「アイテムリスト」に加え、一度見たムービーを見返せる「ムービーリスト」といったやりこみ要素や、クリア後に挑戦できる高難易度ダンジョン「地獄ダンジョン」など、多数の追加要素や修正点がある。
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SS版に比べ、ムービーの画質が向上している一方で、ポリゴン描画では画面手前のテクスチャが歪むPSのハード的欠点が出ているため、ゲーム画面の画質はややSS版より劣る。
 
問題点
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一人称視点ということもあり、ローグライクRPGとしては操作性に癖がある。
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大抵の敵は足音がなく、サラウンドでもないので背後から突然攻撃されることも多い。
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カメラを上下に向けられないため、足元を確認できないなど不便な場合がある。
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HPの自然回復は時間経過制のため、『不思議のダンジョン』のように足踏みで高速回復などが出来ない。
 
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ストーリーを進行するにはフラグを立てる必要があるのだが、そのフラグが分かり難い。
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一応、進展に応じてNPCの反応が変化したり行ける場所が増えるといった要素がある。
 
総評
独特で強烈な世界観は人を選ぶものの、本作最大の魅力でもある。
一方で1つのローグライクゲームとして見ても、骨太な作りの光る良作といえる。
派生作品・リメイク
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『BAROQUE REPORT CD DATA FILE』
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SS版の予約者に郵送配布された、サターン用データベースソフト。
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イメージ画・PV・ラジオやシアター向けCMなどが収録されている。
 
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『バロックシンドローム』
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『セガサターンマガジン』連載の同名小説を元に、PS用にゲーム化したマルチエンディング方式のサウンドノベル。2032年5月14日の大熱波以前の世界が描かれる。
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主人公のバロック屋「金沢キツネ」をはじめ、登場人の大半は日本人で日本の都市が舞台となっているが、神経塔やマルクト教団が存在し特定の地域には異形が跋扈する様な世界情勢となっている。
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2019年1月11日にはiOS/Android版も配信された。
 
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『バロックシューティング』
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Win向け縦シューティング。本作のマスコット(?)である天使虫リトルが主役。
 
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リメイク版『BAROQUE』
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PS2/Wii向けのリメイク。三人称視点への変更やキャラにボイスが付くなど多くの変更が行われている。
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先に出たPS2版には取り返しのつかない要素(収集関係)があるので、ゲーム機を両方持っているならWii版の方が快適かもしれない(セーブなどもWii版の方には手が入っていたはず)。
 
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また、天使虫リトルと創造維持神のデザインがPS2の規定により大きく変更されている。
 
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『BAROQUE~ふと目を覚ますと異形になっていた~』
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2022年1月26日にリリースされたiOS/Android用のアプリゲーム。プレイヤーは異形となり神経塔を攻略していく。
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「フロッガー」の様なゲームで、無料で配信されている。
 
 
復刻版
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2020年11月12日にSwitch用のDLソフトとして『バロック -ORIGINAL VERSION- 』が配信開始。
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SS版のエミュレートでほぼ同じ挙動だが、アンチエイリアスの適用、アスペクト比の変更、ポリゴンの透過処理など、画質設定が追加。
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特典として「BAROQUE REPORT」 のCD版及び紙媒体のデジタル版。PS版やWii版のOPムービーが収録。
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任意の場面でセーブできるいわゆる「どこでもセーブ」機能も追加されたが、ゲーム全体をセーブする仕様のため、ロードすると進行状況もどこでもセーブの時点まで戻ってしまう点に注意が必要。
 
余談
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メーカー公式サイトで毎年期間限定で壁紙を配っている。
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PS2版発売を起点としても、20年近くにわたって毎年新しいものを配信しているのは驚異的といえるだろう。
 
最終更新:2024年05月28日 12:16