戦律のストラタス
【せんりつのすとらたす】
| ジャンル | ドラマチック殲滅アクション |  
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| 対応機種 | プレイステーション・ポータブル | 
| 発売元 | コナミデジタルエンタテインメント | 
| 開発元 | ヌードメーカー | 
| 発売日 | 2011年10月27日 | 
| 定価 | 通常版:5,980円 DL版:5,480円
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| 判定 | なし | 
 
概要
謎の情報生命体「ミーム」によって滅亡の危機に瀕した近未来世界を舞台に、生き残りをかけて絶望的な戦いに挑むアクションアドベンチャー。
監督・脚本は『クロックタワー』や『鉄騎』など様々なジャンルのゲームを手掛けてきた河野一二三。
『エヴァ』と『ガンパレ』を足して二で割ったような世界観やテレビアニメを意識した各話毎の演出など、魅力的な要素を数多く持つ。
しかし、肝心のゲーム部分がいまひとつな出来になってしまっているのが問題となる。
ストーリー
生きて帰って・・・、ただそれだけでいい・・・。
西暦2058年 ー 帝都東京。
突如始まった”ミーム”と呼ばれる螺旋情報柱体の侵略により、
人類は滅亡の危機に瀕していた。
侵略者ミームは実態を持たない情報だけの
集合生命体であり、人々を襲い次々と吸収、同化。
その3年に及ぶ激しい攻勢により、
地球人口の半数が失われる。
地球側劣勢の中、対ミーム機関、
帝都防衛第六特務機関”帝都六機”では
司令官である鷹乃巣禊の下、ミームによって肉体の一部を
侵略された物達が集結。
蒼く輝くミームの拠点”月面ストラタス”から飛来する
巨大生体侵攻兵器”特異点”に絶望的な闘いを
挑んでいった。
過去にミームの侵食を受け、防疫所に監禁されていた
九断征四郎は、その特異な経歴に目を付けた禊によって強制的に
帝都六機に編入させられる。
政府の無策によって引き起こされた妹の死や、対特異点の
“兵器”として自身を扱う帝都六機に対し強い不信を抱きながらも、
青年は闘いに身を投じていくことになる……。
(公式サイトのアーカイブより引用)
特徴
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テレビアニメ的な構成
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本作は基本的に格話ともオープニング(アニメムービー)→シナリオADV→防衛モード(ベルトスクロールACT)→シナリオADV→殲滅モード(人型兵器での3DACT)→エンディング(アニメムービー)→次回予告、という構成になっている。
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一番多く操作することになるのは防衛モードで、基地内を移動して会話をしたり市街地でザコ敵の「子体」と戦って情報収集したり勲功値(所謂、お金に当たる)を稼いだりする。
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そのステージに存在する子体の全種類(中ボス含む)を一体以上倒し、必要な情報を集めたら上申書を作成する。上申書が承認されれば殲滅モードに移行する。
 
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殲滅モードでは人型兵器「アラバキ」(及び、強化版「シン・アラバキ」)に搭乗し、ボスである「特異点」と対決する。防衛モードで得た情報や、本部からの指示を元にボスとのロボットバトルを繰り広げる。
 
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絶望的な戦い
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既に劣勢にある人類の反撃を描いているということもあり、そういった演出や展開が多い。
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それに伴ってか戦闘も難度がやや高め。一撃で大ダメージをくらうこともしばしば。
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また、帝都の人口を表す人口カウンターというものが存在し、ゼロになるとそのままゲームオーバーになってしまう。
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このカウンターはプレイヤーキャラがダメージを受けると減少する。大体、1ダメージにつき50人ほど減少。判定から一定時間を掛けて減少するため、時間と共にどんどん減少しているようにも見えるが、実際はイベント等を除いてダメージを受けない限りは大きく減ったりはしない。
 何故主人公達がダメージを受けるだけで減少するのか不思議に思うかもしれないが、その理由は終盤にて暗示されている。
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エンディングに影響したりはしないが、ゲームクリア時には人口カウンターの残数で特典を購入できる。
 
 
問題点
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防衛モードについて
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キャラが全体的に小さく、アクションシーンが迫力に欠ける。
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敵の異形さを際立たせるための演出なのかもしれないが、せっかくのキャラクターがよく見えない。
 
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攻撃手段も二種類のみ、しかも近接武器をメインにするキャラはどちらも格闘攻撃。
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ダッシュが「敵に向かって行く」ものなので、距離を取りたい時や回避、移動にはまるで使えない。
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二段ジャンプの入力受付が、最初のジャンプが頂点に達するまで。落下中に再ジャンプすることは不可。リアルといえばそうなのだが、救済措置としての面は薄い。
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ダメージを受けると人口が減り、その後回復する手段がない。
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ノーダメージでくぐりぬけられるような難度ではないので、最悪詰む。
 
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足場の判定が画面奥や手前には存在しない場合がある。
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狭い足場を飛び移りながら進むシーンでは、アナログパッドの加減を間違えて上や下に方向を動かしてしまって転落することが多い。転落すると操作キャラが即死する上、一度戦闘不能になるだけで、人口カウンターが100万人以上減ってしまう。
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終盤では非常に難度の高い場所があるが、そこだけは数回失敗するとそれ以降人口カウンターが減らない。
 
 
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殲滅モードについて
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こちらもキャラが小さい。そしてアクションも少ない。せっかく巨大ロボットに乗っているのに、迫力が無い。
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時間と共に「ドーピングテンションゲージ」が溜まっていき、それに伴って強力な攻撃が出来るようになるが、ゲージがマックスになるとゲームオーバー。
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主人公機には活動限界があるという設定の為だが、溜まるスピードは速め。ボスもかなり硬いのでプレイヤーは焦らされる。
 
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ドーピングテンションゲージが最大近くまで溜まった時の「エクスプロージョンモード」での必殺技「ディスラプター」が、言うほど強くない。
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チュートリアルを兼ねた最初の戦闘では一撃で特異点(ボス)を葬っているが、とてもそこまでの威力はない。発射後は一定時間動けない上、時間的に活動限界間際である。また必中でもないので、頼るのは危険。
 
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あるシーンでは核ミサイルを打ち落とすべくSTG風の戦闘をするが、そこも非常にショボい。
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画面のショボさも然ることながら、チャージ→発射しながら上下に移動、の繰り返しで簡単にクリア可能と、STGとしてもショボい。そこに至るまでの演出が熱いだけに、この落差は残念。
 
 
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有料体験版を購入しないとアンロック出来ない隠し要素がある
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あるキャラを中盤から使えるようにするもので、これを解除していない場合はゲーム終盤のスポット参戦になる。
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その場合は育成出来ずに初期装備のまま強力な敵と戦うはめになる。
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ゲーム本体を購入した上に有料体験版まで買うのはどうにも腑に落ちないのだが…。
 
賛否両論点
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死亡イベントが非常に多い
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『クロックタワー』や『御神楽少女探偵団』、『無限航路 -Infinite Space-』などと言った河野氏の過去の作品に共通するように、多くの人が死ぬ。
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特に前半は早くも主要人物の大量死に見舞われ、第2話ではプレイアブルキャラが3人死亡する。しかも1人ずつアニメ付きで。前述の人口カウンターの存在からも判るようにモブキャラもとにかく死ぬ。
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第2話で殺される仲間は2周目以降のクリア特典を購入すればで生存させる事が可能だが、そのうちの1人だけは必ず死亡する。その死が主人公を精神的に成長させる為、致し方ない所だが。
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ちなみに生存可能な2人を生存させた場合、メインストーリーにはほぼ関わらないものの、イベントには相応の変化が現れる。だったら最初から死なせなくて良かったんじゃ…。
 
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流石に以降は(メインキャラに関しては)ここまで極端な例は無いが、こういった展開が苦手な人にはかなり辛い。そして終盤の忘れた頃にまた…。
 
評価点
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ビジュアル面の出来のよさ
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オープニングやエンディングはもとより、合間に入るムービーや会話中の挙動まで細部にわたり上出来。
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TVアニメのように、ストーリーの進行で登場キャラが増えるとOP、EDにもしっかり反映されるのもポイント。
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むしろこのままアニメにしてくれれば、と思うが…。
 
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いい意味で「どこかで観た」ようなシナリオ
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オリジナリティという意味ではあまりよくないかもしれないが、期待を裏切らない王道展開。
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主人公が戦う理由を見つけていく過程や世界の真実など、この手の作品ではお馴染みの要素を上手に組み合わせており、波長が合えば一気に引き込まれる。
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ボス撃破後のリザルト画面ではヒロインのボイスが一言入るのだが、最初はただ冷淡に作戦終了を告げていたのが、主人公と打ち解けるにつれて主人公の無事を喜ぶものに変わったりと、心情の変化が上手く表現されている。
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殲滅モードもゲーム的な問題こそ多いものの、巨大な怪物を相手に司令部の支援を受けながら戦うロボットアニメ的雰囲気がよく出ている。
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シビアなストーリーの中にもガス抜き的なコメディシーンがあったり、次回予告が一話だけラブコメ調だったりと、この手のアニメでお約束とも言える要素もある。
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ラストバトルではオープニング主題歌(ボーカル付き)をバックにラスボスと対決する、これまたアニメの最終回を彷彿させる熱い演出がある。
 
総評
決してクソゲーではないのだが、高評価を下すような良点が見つけにくい作品。
ゲームとしての評価とアニメ部分の評価をあわせると、丁度「普通」という評価が当てはまるだろうか。
有料体験版も配信されているので、そちらを遊んでみてから購入するか否か考えるのがいいだろう。
最終更新:2021年11月28日 15:24